JUNE BRIDE FESお疲れ様でした!
次ページからは無配で配っていた『猛獣使いタケミっちin横浜天竺』です
こんな要素があります
◇支部に上げてる『猛獣使いタケミっち』の続き
これだけでも読めます
◆武道のみ人間、それ以外は年下で猫獣人の年齢差有り
◇どちゃくそ平和
著作権は放棄してないんで無断転載とか止めてくだせぇ
[newpage]
仕事休みの今日、武道は横浜へと降り立っていた。以前イザナに誘われた約束を果たすためである。
そんな武道の後ろには、いつも休みの日に引っついているマイキー達三人組。武道は微塵も気づいていない。
「くっそー……イザナのヤツ、最後まで口割らなかった」
「春千夜がタケミチから聞き出してくれたお陰だな!」
「タケミチさん……隙だらけじゃない?」
好き勝手話しているが視線は武道に一点集中。ジッと見つめすぎているからか、瞳孔も縦に開いている。
道行く人らがギョッと二度見するが、それすらも気にしない。今は何よりも武道のことが気がかりだった。
そんな武道は駅でキョロキョロとイザナを探しているが、イザナはまだ来ていないようだった。
暫くしてイザナと頭一つ分はでかい猫獣人が現れる。
「タケミっち待たせるとかさー!」
「いや、それ、マイキーが言うなよ……」
「……なぁ、アレ」
自分のことを棚に上げて言うマイキーにいつもぶん回されている場地がツッコむが、それよりもとイザナ達を指差す春千夜。
相変わらずほにゃほにゃと笑い、イザナと合流して暫く会話をしている。
そしてイザナがでかい猫獣人を紹介した際に武道が驚いた顔をした次の瞬間、花を飛ばしたかのような笑顔ででかい猫獣人に抱きついていた。
「な、なん……もがっ!」
「ばっか! 流石に叫んだらバレるわ」
「くっそ……流石に距離あって聞こえねぇ……!」
あんなにも嬉しそうにする武道はなかなかお目にかかれない。イザナも不機嫌そうに尻尾を振っているが、何とか足は出ていないようだ。
これ以上近づくとバレるため、もやもやしながら三人は見守ることしかできなかった。
◇◆◇
「でっかくなったなー! オレよりもでかいじゃん!!」
興奮して鶴蝶をバシバシと叩いて成長を実感し、鶴蝶は照れて耳まで真っ赤にしていた。
そんな二人を気に入らないのが王様である。
「……で? どんな関係なんだ?」
相変わらず尻尾はパシンパシンと不機嫌そうに振られている。武道はそんな不機嫌なイザナを気にせずに、ニコニコと話しかけるものだから鶴蝶はハラハラするしかない。
「オレとカクちゃん、年の離れた幼馴染なんだよ! まさか横浜でそれもイザナからの紹介でまた会えるなんて思わなかったな!」
「……ふーん」
「ありがとなイザナ!」
「……別に」
興奮冷めやらぬままイザナの頭を撫でる武道の手に嫌がる素振りを見せず、不機嫌そうに振られていた尻尾も今度はゆらゆらと機嫌良さげに振られる。
それに対して目を見開くのは見慣れていない鶴蝶のみ。
「マ、後から聞かせてもらうが……とりあえず行くぞ」
「今日はイザナが案内してくれるんだよな、よろしく!」
イザナを先頭にゆらりと横浜散策に出かける三人。
後ろからマイキー達が着いてきていることに気づかないまま、波乱の横浜散策が始まった。
◇◆◇
今日はメジャーに横浜中華街で食べ歩きコース。アレもコレもと買って一口食っては、武道と鶴蝶に渡すイザナ。
しょうがないなーなんて言いながらもニコニコと受け取る二人に王様はご満悦。尻尾も嬉しそうに振られているのがわかりやすい。
「たーいしょ♡」
語尾に明らかに♡マークが付く呼ばれ方、本来のホームは六本木だが、何故今日に限って横浜にいるのか不明だ。
機嫌良さげに振られてた尻尾はダラリと垂れ、顔も少し不機嫌そうになる。
「なんでテメェがいるんだよ……蘭」
「オレだけじゃないぜ?」
「……兄ちゃんに連れられて」
「悪ィな」
「イザナがいると聞いて」
「止められなかった……すまん」
イザナが振り向くと蘭以外にも天竺の面々。ワクワクしているのは蘭と斑目くらいで、後は気まずそうだ。
「イザナの友達?」
似たような身長のためイザナからひょいと顔を出す武道。
両手にはパンダまんを持ち、もぐもぐと食べてる姿はハムスターを彷彿とさせる。
「……あれ?」
「タケミチじゃーん♡」
「タケミチ!?」
「えっ! タケミチさんなんでいるんだよ!」
そんな武道に反応したのはまさかの灰谷兄弟と斑目。
斑目は黒龍関連だろうと瞬時にイザナは判断した。どうせ真一郎経由で知ったのだろう。
しかし灰谷兄弟と武道の接点がわからず、機嫌は一気に下がる。
「蘭くんに竜胆くん! ここ横浜だよ?」
「オレらの大将はイザナだから、横浜もオレらのホームなの」
「あー……なるほどね」
「……お久しぶりっス」
「獅音くんも久しぶりー。真一郎くんのお店以来?」
竜胆はイザナの機嫌を察してか、望月・武藤の傍まで下がっている。気づいていないのは武道と斑目のみ。
蘭はただ面白がっている。
「……タケミチ」
「何? イザナく……いっだぁ!」
スススッと武道に近寄ったかと思うとノーモーションで武道の首に噛みついたイザナ。
武道の首にはくっきりと歯型が残ってる。
「なになになに!? 急にバイオレンスになるのやめて! ってかここ外っスよ!」
「オレを無視すんのが悪ィ」
不機嫌そうにガツガツと武道に頭をぶつけている。そのたびにピアスが鳴り、カランカランどころなガランガランと鳴るレベル。
結構な力なので当たっている音は痛そうだが、武道は体幹がいいのかビクともしない。
「ごめんって! 久しぶりに会ったからテンション上がっちゃったんだよ! イザナを無視したわけじゃねぇって!」
「……」
頭突きをしてくる頭を両手で受け止めてわしわしと頭を撫でてやる。
そんじょそこらのヤツならば、頭を触られた時点で蹴りが飛んでくるが、イザナは大人しく武道の手を受け入れていた。
それに驚くのは天竺の面々。あのイザナが! 飼い猫のように大人しくしてる! と戦慄。
尚、一部は笑いを堪えている。
どこぞのカリスマ兄とは言わない。
「……で? どんな関係」
無言で言えよというオーラを出して、武道に詰め寄る。撫でていた武道の手もピタリと止まった。傍から見たらカツアゲにあっていると思われてもおかしくない構図。
だが武道はにこにこと気にせずに答える。
「蘭くんと竜胆くんは六本木で知り合って、時々家に来るんだよ。母さんのお気に入り」
「タケミチもタケミチマミーも超おもしれーからな〜」
「……獅音は」
「獅音くんは真一郎くんのお店で。ちょうど九代目になった挨拶の時だったかな?」
「……ッス」
何処で三人と知り合ったのか話している間も武道に抱きついたままジッと見つめている。若干瞳孔も開いているように見えなくもない。
そんなイザナを気にせずにニコニコと話を続ける武道に、武道をよく知らない望月と武藤は顔色悪く青褪めている。なんなら尻尾も足に巻き付いているくらいだ。
「……どっちだ」
「ん?」
「……下僕は仕方ねェ、幼馴染だって言うしな。ならオレとコイツら、どっちと先に知り合った」
急なデッドオアデッド。武道の返答次第では灰谷兄弟と斑目獅音は天竺からいなくなるかもしれない。流石の蘭も冷や汗をかいている。
「カクちゃんの次に知り合ったのはイザナかなぁ」
セーフ。命が繋がった瞬間。
「知り合ったの真一郎くん経由だけど、八代目やる前からだもんね。施設入ってちょっと経ってからだっけ?」
「……あぁ」
「八代目もすげぇ! って思ったけどまた別で総長やるなんてイザナはかっけぇな!」
そのまま自分と同じ身長のイザナを、再度わしゃわしゃと撫でてやる。
不機嫌そうな眉間の皺は和らぎ、そのまま目を伏せる。ゴロゴロと喉は鳴らないものの、尻尾はまた機嫌良さげに振られている。
「なータケミチ、オレも撫でろ♡」
「え、あ、うん」
両手でイザナを撫でていたが、片方の手をそのままにもう片方を蘭へと伸ばす。
武道よりもでかい身長を屈めて、腕も伸ばしやすそうにしている。あの蘭が。
イザナ同様に他人に撫でられるのが嫌いな蘭が自ら頭を差し出すことにまたも衝撃。
そんな周りは気にせず、セミロングでツートンカラーの頭を優しく撫でてやっている。
「あ~……コレコレェ♡」
「……兄ちゃんの次、オレな」
ゴロゴロと喉を鳴らす蘭。その蘭の後ろをちゃっかりと並ぶ竜胆。
鶴蝶と斑目は武道のゴッドハンドならこうなるのも仕方がないと割り切れるが、初対面の望月と武藤はそろそろついていけなさそうだ。
目を白黒とさせ、首もキョロキョロと振り何度も見返している。誰か説明してやれ。
「もー我慢ならねぇ!!」
そんな中、乱入してきたのは武道を気に入ってストーカーしていたマイキー。後ろから場地と春千夜も少し険しい顔で着いてきている。
「うえっ!! マイキーくん!?」
「おいイザナ! タケミっちから離れろ!!」
「何言ってんだ。タケミチはオレのだろ」
一触即発。顔を合わせればすぐに口も手も足も出る喧嘩が勃発する二人。外だというのにお構い無し。
「……タケミチさん」
「あっ! 春千夜くん! これどういうこと!?」
「タケミチさんが天竺のいる横浜行くって聞いて、どうしても心配だったんで……」
うるうると目を涙で濡らして上目遣い。そんじょそこらの女の子よりも可愛い。
が、この男。武道に近寄る前に目薬をしれっと差している。
猫なのにさらに猫を被りまくっていた。
場地は呆れた顔で春千夜を見ているが、武道は気づかない。
「え〜何このあざとブス」
そこに火に油どころかガソリンを注ぐのが灰谷蘭のいう男。
春千夜の笑顔に青筋が立つという器用なことがおきる。
「……オマエこそ弟とオソロの髪型とか弟離れしろよブラコン男」
「おっやるかー?」
「後から泣くんじゃねぇぞクソドブがよォ」
戦いのゴングがこちらでも鳴り響いてしまった。
マイキーとイザナはまだ手は出ていないものの口論が増しているし、蘭と春千夜も聞くに耐えない罵声が飛び交っている。
いつの間にか場地も斑目とやり合っている。どうしてそうなった。
「えぇ〜……ナニコレェ」
普段は自分に絡んでくる可愛い弟分達が、大乱闘スマッシュブラザーズをリアルにやろうとしている。
「タケミチ、大丈夫か?」
「兄貴達放っておいて店入ろうぜ。で、頭撫でて」
「カクちゃんありがとうね。竜胆くんは後で撫でてあげるから、お兄ちゃん見捨てないであげて」
この状況においても撫でてもらうことを忘れない竜胆。
兄の影に隠れがちだが、この男も大概自分勝手である。心配してくれる鶴蝶が癒し。
「えー……っとタケミチさん? だったよな?」
「イザナがすまん」
蚊帳の外に追いやられていた望月と武藤もこちらに近寄ってくる。
何が何やらわからない間にいつの間にか乱闘が始まっているのだから、今日一番可哀想なのはこの二人かもしれない。
「あっ! なんかごめんね! こんなことになっちまって。イザナのとこの子だよね?」
「そうだけど……子ってほどガキじゃねェよ」
「え、でもまだ十代だろ?」
「まぁ……そうだが……」
望月と武藤は体格もいいしタッパもある。顔立ちも大人びてるためよく成人に間違えられるが、その二人を目の前に子供扱い。
見知らぬ相手なら怒鳴って手の一つでも出るが、相手はイザナが気に入っている人物のため思わずたじろぐ。
そして今度は武道から無意識の爆弾投下。
「十代ならオレとは一回りは離れてるから、ガキみてぇなもんでしょ」
ケラケラと笑いながら言う姿はどう見ても同年代。下手したら年下に見えるのに年上、だと……?
宇宙猫が二人、出来上がった瞬間だった。
「えっ! あっ、アレ? 固まっちゃった……?」
「うん……まぁ……そうなるよな」
「タケミチ、撫でて」
「え、あ、うん」
武道を知っている二人はノーダメージだが、鶴蝶も地味に武道の年齢詐欺な見た目に、久しぶりに会った最初は衝撃を覚えていた。望月と武藤の二人には憐れみの目を向けている。
そしてここでずっと撫でろコールをしていた竜胆が、混乱に乗じて見事に撫でてもらえている。
喉もゴロゴロと鳴らし、大変満足そうだ。
が、武道も相当混乱しているというカオス。
収拾がつかなくなったその場は、警察の介入が入りそうになり、その場から逃げるまで続いた。