【オリジナル】幼なじみの狼獣人父さんと、"新しい"秘密を共有する話

  「シュウ、洗い物持ってきてー」

  食器を洗いながら、背中越しに声をかける。

  けどその相手、幼なじみのシュウはゲーム機を片手に生返事しただけ。困ったボウヤだ。で、その頭を軽快に引っぱたくのはシュウの母さん。

  「ほらあんた持ってきな! ソースケ、いつも悪いね」

  「こんなの全然だよ、おばさん」

  答えながら笑っちゃう。いつものやりとり。

  今はシュウの家で夕飯を食べさせてもらったところで、これもいつものことだ。

  毎日帰りが遅いぼくの父さんに代わって、シュウの家族には十年近く面倒を見てもらってる。皿洗いくらいなんてことない。

  その父さんと学生時代からの付き合いなのがシュウの父さん――おじさんだ。

  今はソファでスポーツ中継を見ながらいつもの晩酌中。と、振り返ってビールの缶をふりふりしてみせた。

  「もう一本くれー」

  「ちょっと、控えなさいってお医者さんに言われたでしょ。ソースケ、ダメだからね」

  耳ざとく聞きつけるおばさんに釘を刺される。う、板挟み。

  ちらっと見ればおじさんと目が合う。片目をつぶって頼むよ、と口だけで言ってる。……もう。

  シュウの一家はオオカミ獣人種だ。

  その中でもおじさんは毛色が濃く、茶色と黒に近い焦げ茶の二色。瞳の白が際立って、強い印象を与える顔つき。さらにスポーツ特待生だったくらいの実力者で体つきもがっしりだ。お腹はちょっと出てるけど。

  そんな外見もあって、会社ではおっかない部長で通ってるらしいけど、家だといつもこんな感じ。ぼくにとっては優しくて面白いおじさんだ。

  おばさんが席を外したの見計らって、こっそりプルタブを開けて持っていってあげると、おじさんは手にしていた空き缶とそれをさっと交換した。

  「一本だけだからね」

  「おまえ本当にやさしいな。相手いなかったら、いつでも俺が貰ってやるからな」

  「ばか」

  「まあソースケに限って、そんなことないだろうけどな。ハハハ」

  このヨッパライ。酔うといつもそんなこと言って。

  ……ま、こんな囁きあいも慣れたもので、ふたりだけの秘密は他にもいくつもあったりするんだけど。シュウにはそういう腹芸、まず無理だしね。

  で、そんな幼なじみ君は相変わらずゲーム機を手にフラフラやってきて、

  「今日泊まってくよな? 九時からの討伐、今度こそクリアだぞ」

  「うん」

  「あんたたち、ゲームもいいけど勉強もしなさいよ」

  「かーさんそれしか言わねー」

  「また赤点だったら今度こそレギュラー外されちゃうでしょ! やだよまた先生に謝りに行くの!」

  シュウはおじさんに似てスポーツ達者だ。それで推薦も取れそうだ。勉強さえもう少し頑張れば。

  それで思い出したけど、

  「シュウ、来週から体育祭の練習……ゼッケン用意した?」

  「あっやべ! かーさんゼッケンある? 裏表で色違うやつ!」

  「あるわけないだろーが!」

  「ぐえー!」

  シュウの脳天におばさんのフライングチョップが炸裂する。

  「あんたなんでいっつもギリギリまで!」

  「ソースケが言ってると思ってたあ」

  「おい」

  幼なじみでもさすがにそこまで面倒みきれないなあ。

  「まだモーカドー開いてるから買いに……お父さん」

  「俺、飲んじゃったよ~」

  「この男ども……ソースケはこんなのになっちゃダメだからね! ほらシュウあんたも来なさい!」

  で、おばさんとシュウは慌ただしく出て行ったのだった。いつものとおり元気な母子です。

  洗い物の続きを、と腕まくりすれば背中にかかるヨッパライの声。

  「ソースケぇ、もう一本~」

  「もう飲んだの!? 一本だけって言ったでしょ」

  「そう言うなよー、俺とおまえの仲だろお?」

  「おじさん……身体に気を付けてって、冗談で言ってるんじゃないんだからね?」

  手を拭いてソファまで行って、見下ろしてニラんであげる。

  でもおじさんはむしろそれでニッとしたりして。……その笑顔に弱いって知ってるからって。

  「わかった、最後にする。だからもう一本だけ。頼むよ。な?」

  「もおー…………、はい」

  それで手にしてる缶を渡してあげちゃうこっちもこっちなんだけど。

  「おおっ、愛してるぞお、ソースケ」

  「……投げキスやめて」

  ヘタクソセクハラオヤジムーブにパンチする真似で返すと、今度はウハハと笑う。

  まったくもう……そもそも、ぼくが断るわけなんかないのだ。

  子供のころからずっと大好きな、おじさんの頼みなんだから。

  ◆◆◆

  「おじさん、先お風呂入っちゃったら?」

  洗い物を終えてごみをまとめて。あらかた片付けてからソファのおじさんに声をかけた。

  買い物に行った二人はまだ帰ってきていない。おじさん、おばさんがいないとパンツ一枚で歩き回ったりするから……ちょっとだけ下心も含めて。

  でも返事はなかった。いつもみたいに寝ちゃった?

  タオルケットでもかけてあげようかと覗きに行く。――やっぱり寝てる。

  テレビでは試合が続行中。音下げようか……と、おじさんの手の中にあったリモコンがころんとした。股の間に。

  目で追った先、オリーブ色のハーフパンツ。その中心は平常サイズでもしっかり盛り上がっている。……おっきいな。やっぱり。

  リモコンを取り上げて――指先で、そっと触れた。……反応、ない。

  テレビの音を少しだけ下げる。下げすぎない。

  おじさんの横に座る。そうっと体を寄せる。白シャツ越しの肉のついた胸板。あったかい、いい匂い。

  手の甲を、がっしりした太腿に置く。こうしていたら、くっついてたら一緒に寝ちゃって、手が当たっただけ……なんて?

  そんな小芝居、ばかみたい。だけど実は、昔からやってる。こうなったおじさんが全然起きないのもよく知っているから。

  トクトクと打つ胸の早鐘。おじさんと二人きりになるのはかなり久しぶり。それがちょっとだけ、大胆にさせた。

  手を裏返して、ソコに乗せて。マッサージするように下からゆっくり撫で上げていく。ハーフパンツ越しでも、ふにゃっとした肉感と先端の張った形までよくわかる。……あ、少しだけおっきくなって、きた…………。

  「……んんぅ」

  「!!」

  おじさんが小さく呻いた。

  飛び上がりそうになったけど――体勢を変えただけ。……死ぬかと思った。

  顔が近くなる。こちらを向く彫りの深い顔、狼獣人のマズル。口周りの少し乱れた毛、ヒゲの一本までよく見える。

  脚の向きが変わって、ハーフパンツの裾と腿の間に隙間ができている。

  覗けば、トランクスらしき下着の端が見えた。さらにその奥、獣毛の色が変わる部分まで……。

  何度も、何度も唾を飲んだ。

  …………ダメだって、わかってるのに。指を入れるのを、止められなかった。

  獣毛をそっと掻き分け進めると、反射的にか、おじさんの下半身がヒクヒクしだす。ハーフパンツの中央が、大きく盛り上がってきた。……感じてる。

  おじさんの雄としての反応を目の当たりにして、おでこの中心がかっと熱くなる。

  ――でもさすがに、これ以上はまずいよね。

  手を引こうとした時。お尻がわずかに上がった。それはまるで指をもっと奥に誘っている、みたいで。

  …………え、おじさん、もしかして……起きてる?

  「ただいまーっ!」

  玄関から響くでかい声。文字通り跳ねるようにして立ち上がった。

  リモコンが反動で落ちて硬い音を立てる。

  「お、お帰り!」

  動悸を隠すつもりで小走りで玄関へ。

  振り返って――そこから見えたのは、ソファに深く沈んだおじさんの頭と耳だけ。

  ◆◆◆

  そうして、いつものようにシュウの部屋で布団を並べて寝る。

  ご執心のゲームにこちらがいまいち集中出来ず、シュウは大層不満そうだったけれど「調子悪いのか?」とか心配してくれて、早めに布団に入ることになった。……ごめんね。

  けどそんな殊勝な気持ちになったのも束の間、

  「ぐえっ!!」

  

  お腹にエゲツナイ衝撃。飛び起きて横を睨めば、複雑な回転をかけたうえで脚を落としてきやがった幼なじみ。内臓出るわ!

  寝相の悪さ半端ない。枕で思いっきり叩いてやったけど起きる気配もゼロ。

  寝相はともかく、一度寝たら朝まで起きないこの体質うらやましすぎる。

  ――仕方なく、枕をもって部屋を出た。

  薄暗い廊下は蒸し暑い。足音を抑えてそっと移動する。目的の部屋は二階の奥。

  エアコンの風が嫌いなおじさんは、夏でも扉と窓を開け放して寝ている。半開きになっているドアからは薄く明かりが漏れていた。

  よかった。まだ起きてるみたい。小さくノックした。

  「おじさん」

  「――ん、どうした」

  大きな窓のある和室。ローテーブルで読書していた人影が振り向く。顔の半分は陰になっていて、よく見えない。

  「シュウの寝相があ」

  「今日はなんだった」

  「みぞおちにかかと落とし」

  「それはきついな」

  フッと笑ってくれたその顔に安心する。そう言えば小さい頃も、怖くて寝られなかった時、よく一緒に寝てもらった。

  おじさんがひいてある布団を指した。

  「先に寝ていろ。すぐいくから」

  「うん。――ごめんね」

  「なんだ、どうした。いつものことだろ」

  横になっていると、すぐに明かりが消えた。

  背中側で、おじさんも布団に入る気配。

  「……いつもって言ったって、最近はなかったよ」

  「んー?」

  「一緒に寝るのとか」

  「ああ……泊まりに来るのも久しぶりじゃないか。身体大きくなったから、布団狭くなった」

  「そう、かな。もっと筋肉つけばいいのに」

  ぼくの父さんも、おじさんと同じスポーツ特待生だった。二人の交友関係はそこから。けれどその素質を受け継いだのは、シュウだけだった。

  肩に乗せられる大きな手。

  「肩大きくなってる。ちゃんと成長してるじゃないか」

  「推薦、取れるくらいだったら良かった」

  「そればっかりはな。けどおまえ前は頭もよく回るし、俺はそういうところが気に入ってるんだけどな。それじゃ不満か?」

  「んー……まあ、おじさんがいいなら、いい」

  渋々風に言えば、いい子だ、と頭までポンポンされる。

  「おーじーさん、もう子供じゃないんだよ」

  「何言ってんだ、俺にとっちゃおまえはいつまでも子供……いや、腰とかも結構成長してるなホラ」

  「ちょっそれは普通にセクハラっ」

  「俺とソースケの間にそんなもんはない。……ないよな?」

  微妙に自信無いの is 何。

  背中と腰をぐっと押し付ければ、ぐえっとなりつつ笑うおじさん。

  「おまえだって、そうやって昔はいっつもくっついてきただろ」

  「そりゃ子供だったし獣人さん好きだし」

  「懐かしいなあ。ぎゅーっとされてさ、尻尾やら耳やら引っ張られまくった」

  「やだった?」

  「まさかだろ。最近してくれなくなって寂しいんだぞ」

  「また、もう」

  「本当だ」

  「――ほんと?」

  「――本当だ」

  耳元のその声音が少しだけ深くなった気がして。

  言っちゃった。

  「こっちだって、今も触りたいけど」

  「――そう、か?」

  「――うん」

  また肩に乗る手。さっきより力がこもっているのが、わかる。

  少しの、沈黙。

  ふうっと、熱い息が耳のあたりにかかった。

  「……だからって、あんなところで急に触るなよ」

  「……やっぱり、起きてたんだ」

  「途中からな……けどおまえの匂いがしたから、すぐわかった」

  「ごめんね」

  「もう子供じゃないんだろ? ――場所選ばないと、だぞ」

  肩の手が、ゆっくり移動する。腕、手……腰。

  感覚が鋭くなっているのか、その指いっぽんいっぽんの動きまで感じ取れる。触れられる部分がビリビリする。

  鼓動も痛いくらいになっている。背徳的な期待と予感を前に。

  「…………そっち、向いてもいい?」

  「……ああ」

  寝返りを打つ。厚みのある身体が、外の明かりにぼんやり照らされている。

  寄れば腕を上げてくれて、それで子供の時みたいに抱き着く。大好きな匂いを鼻いっぱいに吸う。あの頃と違うのは――今その身体がはっきり熱を帯びていて、こちらはそれに欲情しているということ。

  顔を埋めたまま撫でまわす。おじさんは大きく息を呑んで、だけど何も言わない。

  自然と手は下へ向かう。みぞおち、お腹。シャツが少しめくれてる。まだ少し躊躇もあって指がさ迷っていたら、大きな手が伸びてハーフパンツの前を下げた。

  思わず覗く。奥は見えない。けどその暗闇が一層誘ってるみたいでごくりと唾を飲む。

  そこで視線を上げれば目が合う。いつものおじさんの顔に浮かぶのは、初めて見る雄の表情だ。

  互いの湿った熱い息がかかる距離で、ささやく。

  「……誰にも、言うなよ」

  「……わけないでしょ」

  そうして、ふたりだけの秘密が、またひとつ。

  ◆◆◆

  抱き合おうとして――けど、すぐに手で制止される。

  「ど、どうしたの」

  「いいから、待て」

  おじさんが立ち上がって……あ、扉閉めた。鍵もかかるの、知らなかった。

  「全然気付かなかった」

  「声聞こえたら、まずいだろ。――お預けされると思ったんだろ」

  「い、いいでしょ……!」

  こっちの考えなんてお見通しのおじさんにニヤリとされる。

  むくれて仰向けのまま両手を伸ばせば、厚い肉体ががばっと覆いかぶさってきた。

  「あっ、んんっ……おじさ、ん……!」

  「お、おぉっ……ソースケ……!」

  そうして今度こそ、貪り合う。何年もかけて醸成された欲望が溢れ出したみたいに。

  ぎゅうぎゅう抱きしめ合って、頭を首をぐしゃぐしゃにし合って。下半身の一番硬いところを擦り付け合う。何度も。

  獣みたいに唸りながら、互いにシャツを乱暴に脱がして投げ捨てた。

  そのままハーフパンツに手をかけようとしたけれど、逆に下半身を抱え込まれて。スウェットを一気に下ろされ――ボクサーブリーフ一枚になったこちらをニヤリと見下ろす雄の狼。

  「おまえ、今こんなパンツ履いてるのか。大人になったな」

  「さ、さっきから、そういうのずるいよ……!」

  「いいだろ。俺とおまえの仲なんだから。ほら、もっと見せろよ」

  「あっ――」

  容赦なく剥ぎ取られるボクサー。痛いくらいに上を向く欲望がおじさんの目の前に跳ねあがった。反ってお腹でバチンと跳ねるほど。

  「おおっ、すげえ。ガッチガチだぞ。先走りもこんなに……若いな」

  「やっ、あぅぅ……!」

  既にお漏らししたんじゃないかというくらい溢れる先走り。

  満足げにニヤつくおじさんがそれを指で掬って、舌を出して舐めてみせる。さらにその糸引く指で鈴口の割れ目を[[rb:弄 > もてあそ]]ばれる。たまらず身をよじれば、口に当てられるもう片方の人差し指。

  「がまんしろ。声、外に聞こえる」

  「あぅっ……だってえ……ひっ」

  「が・ま・んだ」

  強い口調。わざとコワイ言い方。おじさん、怒ると本当におっかないんだ。それで両手で口を抑えて言いつけを守ると、本当に小さい子供みたいな気分になる。

  けど今その人は、ぼくの股間に顔を埋めて、鼻で陰毛をかきわけてスンスンして劣情をむき出しにしている、ただの獣。

  「ああ……ソースケの匂い……たまらん」

  うっとり呟きながら愛撫を繰り返す。そうやって堪えるこちらの反応をひとしきり楽しんでから、大きな口が開く。

  綺麗に生えそろった歯の間から、ずろりと出てくる大きく長い舌。

  「ほらソースケ、見ろ」

  「う…………あぅぅ……」

  「フェラするぞ。いいな、がまんしろよ」

  「ぁっ――――――――ッッッ!!!」

  敏感な部分に絡みつく肉厚の舌。

  ぞりっと神経を抉られる感覚に目の前で光が散った。

  ガクガクっと下半身が跳ねそうになったけど、がっしり掴まれてそれすら許してくれない。なのに吸い付く力は加減するどころかもっと激しくなって。

  「やっ、おじさ……! おじさぁん……!!」

  ムリムリムリ。がまんなんてぜんぜんムリ。

  大きな声が出そうになる寸前、ごつい手が口を塞ぐ。頬に爪が食い込むくらい強く。ぐっと目も閉じて我慢したけど、じゅっぷじゅっぷと響く卑猥な音に意識が飛びそうになる。

  ――こんなの、欲情したおじさんに無理やり犯されてるみたい。

  そう思ったら、

  「っ――も、ダメぇ……!!」

  「ム、グッ――!? んっ――――んん――っっっ!!」

  身体が勝手にえび反りして、達していた。

  呻くおじさんの喉の奥、しっとり熱い場所に何度も精を吐き出す。

  ――おじさんは、こちらが落ち着くのを待ってからゆっくり口を離した。ぐったりしたこちらを抱き上げて。

  「ごほっ……やりすぎた。大丈夫か?」

  「ばかぁ」

  大丈夫なわけない。胸板を何度も叩く。

  おじさんはすまんすまんと言いながら、目の横をぬぐってくれる。

  「おまえがあんまり気持ちよさそうだったから、止められなかった。あと可愛かった。ちょう可愛いぞ。今まででいちばん可愛い」

  「ほんとに、ばかっ…………あ、え……でもおじさん、口に、出したの、は……」

  「ああ……飲んじゃったよ。すごい濃かった」

  目の前、ホラ、と開ける口の中には何も残ってない。見えたのはただ、唾液が糸を引いている暗い空洞だけ。

  その淫靡さにまたくらっときて、完全に身体を預ける。

  「…………おじさん、ほんとやらしい。知らなかった」

  「がっかり、したか?」

  「――ぜんぜん」

  「まだ、できるか?」

  「ん……ね、もっと教えて…………えっちなこと」

  下半身の熱と疼きが全然収まらなくてこちらからおねだりすれば、おじさん、一瞬コワいくらい真顔になって、鼻から大きく息を吐きだした。それから嬉しそうに、本当に嬉しそうに口の端があがる。

  「ああ。教えてやる。俺がなんだって教えてやるからな」

  そしてハーフパンツを下着ごと脱ぎ捨てて全裸になる。

  股間にそそり立つ、天井を向く太くて黒い肉棒。ズル剥けの先端がテラテラ鈍く光っている。

  ご奉仕しようとしたけれど、逆に手を取られて導かれた。

  行く先は引き締まったお尻の、その奥だ。触れたそこは汗でしっとりと湿ってヒクついてる。

  「こっち、してくれよ」

  「え、し、したことない…………よ」

  「俺が教えてやるって。したくないのか?」

  「…………したい」

  「よし、いいこだ」

  こちらを抱きしめたまま体を反らして、背後のサイドチェストに手を伸ばすおじさん。取り出したのは、ローションの入ったボトル。……そんなところに、そんなのが入ってるってこと自体が、ひたすらやらしい。

  「いっつも、その、してるの? 自分で……」

  「そりゃ性欲全然あるしな……ただ、こっちじゃないとあんまり気持ち良くイけないんだ……だから、こういうやつで」

  で、ついでみたいに取り出して見せてくれたのは、半透明のシリコンで出来た――え、ディルドってやつ……?

  「そ、そんな目で見るなよ。おまえにしか言わないんだぞ、こんなこと……」

  あ、それはすぐ仕舞った。恥ずかしかったみたい。――かわいい。

  急に覚えた劣情。さっきのお返しも含めて押し倒す。

  おじさんは驚いた顔になって、でも抵抗せず仰向けになった。

  両手を布団について見下ろせば、とろんとした目が見上げてくる。

  自分から股を開いてみせて、両の手たっぷりのローションでソコをくちゅくちゅ広げている。尻尾までゆらゆらさせて……誘ってる。

  「ほらソースケ……はやく」

  おねだりが得意なおじさん。ほんとにやらしいおじさん。大好きな、おじさん。

  ぼくがその頼みを断わるなんて、あるはずない。

  ◆◆◆

  はじめは固くキツかった。

  けど、体勢を何度か変えてローションもたっぷり垂らせば、よく慣らされたソコは若い雄の欲望をすぐに受け入れた。

  「うっ――!? お、おおっ……!! ぅぉっ……すげえ硬い……!」

  「っ、おじ、さん…………!」

  そうして待っていましたとばかりにきゅうきゅうと吸い付いてくる。

  先っぽから中身が全部ずるりと引き出されそうになる感じ。ゾクゾクして腰が砕けそうになる。お腹に力を入れて堪えるしかない。腰をがむしゃらに前後すれば、

  「ひぐぅっ……ア゙ッんぉっ、おう、ア゙ッア゙ッ、ああっ――――!!」

  肉体をよじって、枕を噛みしめて快楽に悶える大人の雄。

  ……すごい。その乱れる姿を目の当たりにして、さらに動きが止まらなくなる。

  下腹部に熱いものが流れる感覚。それを燃料にしたみたいに、ひたすらに下半身を打ち付ける。ばちゅんばちゅんと肉を打つ濡れた音が和室に響く。

  「ヒッ……ソ、スケ……!! ちょ、ちょっとタンマ、ごっ、おあ――――!!」

  制止の言葉とは裏腹に、雄穴は食いついた欲望を離そうとしない。それにさっきから、太くてしっかりした尻尾がこちらの足に巻きついてるのもわかってるんだ。

  「ね、欲しいんだ? おじさんほしいんでしょっ、いっつもおねだりしてさ、大人のくせにっ」

  「ぐ……くっそおまえ……ううっああイイっ、いいぞソースケ! ケツすげえいいんだよ! もっとくれよぉ!」

  もちろん。おじさんが欲しいって言うんなら。

  片脚を掴んで肩に乗せた。重い。ぐいっともっと奥まで[[rb:挿入 > い]]れれば、おじさんの喉から切なげな音が漏れる。

  完全に密着する下半身。結合部から愛液がじゅぷじゅぷと溢れて糸を引く。

  「おじさ、んっ、気持ちいいっ? ね、うまくできてる……っ!?」

  「んぁっ、ああ、いいっ、じょうずだぞ、ソースケ――――!」

  汗と愛液にまみれて盛り合いながらも訊けば、ぎゅっと抱き寄せてくれる。こちらも強く抱き返す。

  そしてその間もずっと、おじさんの股間のソレはいきり立っていて、前後するたびにぶるんぶるん揺れている。

  手を伸ばして、その濃く生え揃った陰毛に指を入れた。

  さっきソファでやった秘め事を思い出して、また別のところがかっと熱くなる。

  ――今は、触っていいんだ。これ、ぜんぶ。

  根元付近から掴んで、たっぷりした玉袋ごと扱き上げる。皮が少し余っていて、使い込んでいるのがよくわかる雄の性器。竿は熱を帯びた鉱物みたいに硬い。

  さっきやってくれたみたいに、流れる蜜液を使って先端を刺激してあげれば、

  「ヒィッ……アアァァァン……!!」

  おじさんが内股になって、完全に泣き声をあげだした。両腕で顔を覆って見ないでと。いやいやするみたいに首まで振って。

  でも、うそ。知ってるんだ。ほんとは欲しがってるって。――ほら、すぐおねだりする。

  

  「ソースケぇ……もっとおく……なか、ほしい……おまえのほしいよぉ……っ」

  「おじさん……っ、ぼくも、中に、出したい……っ」

  よがる口の端からは涎がとめどなく溢れている。

  顔を近づけて舐め取ってあげて――その口を塞いだ。

  喘ぎながらもおじさんが目を丸くする。けどすぐ応えてくれた。

  がちっと歯がぶつかっても、おかまいなしに続ける舌と唾液の交歓。きつく吸い合って、そして。

  「おじさ……、イく――――――!!」

  「オッ、ア゙ア゙ア゙ア゙――――――ッ!!」

  ぎゅうううっと締まる雄膣。ぼくはおじさんの一番深い所に放出する。

  おじさんの身体もビクビク跳ねて、熱いものが二つの身体の間で[[rb:迸 > ほとばし]]った。どろりと濃厚な液体が流れて伝う。……すごい量。

  「あっ……はっ……ううっ」

  「フーッ、フーッ……」

  そうして吐き出す荒い息。乱れに乱れた布団の上。汗だくで、汚れることも気にせず抱きあって。時折、ぶるりと身体を痙攣させる。

  ――息が落ち着くまで、かなりの時間を必要とした。

  「……おじさん、平気?」

  「…………ああ。おまえは」

  「ぐったり……」

  「だな……」

  ようやく交わした会話もそんなもの。

  けどそのままでいるわけにもいかないから、重なりながら身を起こした。

  「……このまま風呂、行くぞ」

  「うん。――おじさん、平気?」

  「……ちょっと、腰痛いな」

  「ご、ごめんね!?」

  さすがにやりすぎたと反省して、お互い苦笑したのだった。

  ◆◆◆

  「ほら、おじさん。流してあげるよ」

  「……ん」

  控えめにシャワーを出して、浴槽の縁に腰かけているおじさんにかけてあげる。

  さすがに疲れたみたいで、大きく息を吐いている。

  「おまえ、はじめてなのに、なんでそんなエッチうまいんだ」

  「わ、わかんないって……おじさんが教えてくれたんだから、おじさんのせい」

  「俺かー……」

  死ぬほど意味のない会話。

  で、おじさんはまだむっつりしている。なんだろと思っていたら、

  「……だいたい、おまえ、キスも、ファーストキスだったんじゃないのか……」

  「そ……だけど……エッチなことするのに、それは気にするんだ……」

  「ばか。ファーストキスは大切だろ。なんか、アレだろう」

  「ロマンチスト……じゃあ、なおさら、おじさんで良かったもん」

  ――あ、と思った時には。

  顎をきゅっと掴まれて、口の中に舌を入れられていた。

  目の前にある顔、茶色と焦げ茶色の体毛。際立つ白目。こちらをじっと見つめる強い視線。

  有無を言わさない態度に力が抜けて、時間をかけて口内を犯されるままになる。

  ちゅるちゅると唾液を吸い合って、最後、長い舌が口の中から引き抜かれるのをぼうっとした頭で見ている。

  「――また、しような。ソースケ」

  「うん……いいの?」

  「あたりまえだろ。俺とおまえの仲じゃないか」

  「ん…………おじさん、だいすき」

  いまだ顎に添えられていた手が頭に移動して、くしゃくしゃしてくれる。

  やっぱりおじさんは、いつまでもぼくのおじさんだ。

  そうして、もう一度キスをする。

  ――と、不意に。

  おじさんが立ち上がった。

  「じゃあさ……ソースケ」

  こちらに背中を向けて、浴槽に手をついて腰を上げる。

  尻尾も上げてよく見えるように。さらに手で拡げてみせて。

  露わになるソコはまだ、物欲しそうにヒクついている。

  振り向いた横顔は笑みを浮かべている。

  二人の間に出来た新しい秘密。

  その共有が、嬉しくて仕方ないというように。

  そうしておじさんは、おねだりする。

  「もう一回、いいだろ?」

  ◆幼なじみの狼獣人父さんと、"新しい"秘密を共有する話

  ――了。