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新春けもケット11 新刊  『落第』幼稚園 試し読み版

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  「無駄な抵抗はせず、大人しく投降しろっ!私たちが

  来たからには好き勝手出来ると思わないことだ!」

  近頃この周辺で悪事を働いていた集団の拠点に私たちは

  乗り込む。抵抗するものもいたが、ヴィランと呼ぶには

  まだまだ小物の相手だったので大半は私たちに抵抗する

  ことなく捕まる道を選んだらしい。…それが、賢明だ。

  私はフォルティス・レオンという。このヒーロー支部の

  支部長を任されて今年で三年目になる。ここのエリアは

  元々、大規模な工業地帯だったのだが昨今は都市開発が

  進んできており、現在では住宅地も徐々に増えてきた。

  それに伴ってこのエリアの治安を守る為、ヒーロー本部

  第三支部を創設することになったんだ。着任当初は中々

  うまくいかないことも多かったがそれも近頃は安定して

  人々の暮らしに貢献出来ていると自負している。

  「支部長、周辺のヴィランは全て捕縛出来ました!」

  「この現場にも危険はないものかと思われます!」

  「一般人にも被害は出なかった模様です。」

  「ああ、ニケ、メロ、アル。報告ありがとう。」

  ニケフォルス、メロディア、アルヴォ彼ら三人は世間で

  アイルーロス三兄弟と呼ばれている。猫獣人であり実の

  兄弟である彼らは皆、私を慕ってくれていて第三支部を

  そして、この地域に住む人々を共に守っているんだ。

  [newpage]

  『うさ、うさ。らび、らび。よい子みんな~。準備は

  いいかな?それじゃ、らびらび体操はじめるよ~!』

  ニケが手に持ったスマホで再生した動画を私に見せる。

  「…いや、なんなんだい?これは?」

  それは、ある月初めのこと出来事だった。その前の月も

  第三支部は優秀な成績を収めることによって本部からの

  表彰を受けており私たちは活気付いていた。支部内でも

  ムードメーカーの彼が…やけに良い笑顔でそれを見ろと

  言わんばかりに見せつけてくる。私は見覚えの無いその

  動画の正体を彼に尋ねたのだが…。

  「えっ?支部長知らないんですか?今、子供たちの間で

  流行ってる『ラビラビ体操』っすよ…っ!?」

  知ってて当然のように言われたのが若干だぞ?少しだけ

  気に入らなかったので仕返ししてやることにした。

  「残念ながら私の身近に小さい子供がいないものでな?

  ん~…さり気なくリア充をアピールしてるのかね?」

  「ち、違いますよっ!?…今月末、支部長にうちの子が

  通ってる幼稚園まで来てもらう時の為に、最近園児に

  人気のやつを案内しとこうと思っただけですって!」

  少し意地悪だっただろうか?まあ、この強面というか…

  老け顔というか、そのせい(だと思いたい!)で恋人も

  出来たことのない私とは違い妻子がいて幸せいっぱいの

  ニケに少しばかり絡むくらいは許されるだろう。

  「そうだったな。だが、私でいいのか?この顔を見て

  子供たちが泣かないかとても心配なのだが…。」

  そうなのだ…この立派過ぎる、たてがみ…おそらく私の

  唯一のコンプレックスだろう。これのおかげでヴィラン

  相手には威圧の効果が働いて戦闘を有利に進めることが

  出来るのだが…私生活では年齢に合わないコレのせいで

  学生時代から色恋事にも縁がなく…現在もその…な…。

  そんな私の心配をよそに、ニケは自信たっぷりに…。

  「大丈夫ですって!ヒーローレオンは子供たちに大人気

  なんですから!園児も先生方も支部長が幼稚園に来て

  くれる日を楽しみにしているんですよ!」

  「そうか…ありがとう、ニケ。こんな私を好いてくれて

  いるのであれば、格好悪いところは見せられないな?

  えっと?それを…覚えてくればいいのかい?」

  「いやっ!そこまで支部長に頼めないっすよ!あくまで

  園の子供たちが、普段どんなものを見てるかの参考に

  って思っただけで、これを覚えるとかではなくて!」

  勧めてくる割に、ニケは子供と一緒にそれを踊ったりは

  しないらしく…なんだ?付き合ってやれば良いものを…

  まあ、彼なりの子供との付き合い方があるのだろう。

  「という訳で!今月末の週末っすね、よろしくお願い

  します!当日は妻が迎えの車出しますんでっ!」

  「わかった、よろしく頼む。当日が楽しみだな?」

  見せられた動画で流れていた体操は、軽快な音楽と共に

  小さい子でも踊れるように簡単な振り付けをしていて…

  その楽しそうな様子に、私も元気をもらえたように感じ

  られた。なんだか…やけに耳に残る音楽だな…?それが

  子供たちにも人気の理由なのかもしれない。

  『うさ、うさ。らび、らび。みんなで~じゃんぷ!』

  そういえば、ここしばらくは音楽どころか何かを楽しむ

  こともないくらいヒーローとしての活動に没頭していた

  …子供向けの音楽とはいえ何かの縁だろう。私は自分の

  スマホにニケから勧められた『らびらび体操』の動画を

  登録し、時々だがそれを眺めるようになった。

  最近は、この第三支部地域におけるヴィラン達の活動も

  沈静化し活力を失っている。滞りなく訪問も実施出来る

  だろう。私たちも日々、街の平和の為に頑張っている…

  きっとこの街の安寧は守られていくのだろうと私はそう

  考えていたのだ。だが幼稚園への訪問の日まで二週間を

  切るくらいになった頃、事態は動きはじめる。…そんな

  いつまでも続く筈であった平穏な日常は私たちが予想し

  得ないところから崩れていくことになるんだ…。

  [newpage]

  「…ニケが体調不良、だって?」

  そう、第三支部に所属しているヒーローや職員の欠員が

  目立つようになってきたのだ。この一週間で三分の一が

  支部に出てくることが出来ず、そして不可解なのが…。

  「みんな…体調不良ってだけで、詳しいことは報告を

  渋っている。…のか?わからん…なぜなんだ…?」

  ヒーローといえども社会の一部である以上、大人として

  社会人として職場に顔を出せないとなれば…ある程度は

  詳しい理由を説明してから休む筈だろう?それとも何か

  言えないような事情があるのか?それにしても、ニケの

  調子が悪いところなんて想像が出来ないな。いつも持て

  余すくらい元気いっぱいで…いや、待てよ?そういえば

  ここ数日は元気がなかったようにも見えたが…それこそ

  何か悩みでもあったのだろうか…?

  「メロも数日前から休んでいる。…二人して何か問題に

  見舞われていた?深く考え過ぎだろうか?どうか私の

  思い過しであってくれれば良いのだが…。」

  第三支部のムードメーカーが不在になり支部内は静かに

  感じられてしまう。いつも騒がしい二人だったが彼らが

  いてくれることで第三支部は活気付いていたのだと痛感

  させられてしまうな…。

  「兄たちが…すみません。ご迷惑をお掛けします…。」

  そう、申し訳なさそうに謝るのはアルヴォだ…三兄弟の

  末っ子になる。テンションの高い兄達とは違って冷静な

  彼は我々にとっても能力分析や作戦指揮などで活躍して

  くれていて頼りになる存在なのだが…。

  「アル、君が悪い訳じゃない。無論ニケやメロもな?

  だが…アルにも体調不良の詳細を教えないとはな…

  本当に…いったい彼らに何が起こっているんだ…?」

  「わかりません…ただ、何かを隠しているのは間違い

  なさそうです。オレが問いただすと二人して慌てて

  いましたから…まったく、何を考えてんだか…。」

  「まあまあ、そう言ってやるなよ?そのうち何食わぬ

  顔をして戻ってくるだろう。まあ、その時は私たち

  二人で問い質してやろうじゃないか。」

  私が少しばかり苛立った様子のアルを宥めて、そう声を

  掛けると表情を和らげてくれたんだが…その表情はすぐ

  曇ることになった。アルの心配は簡単には取り除けない

  らしい、なんだかんだ言っても彼らは仲が良いからな。

  「そうですね。ただ、あんなでも兄たちは…お父さん

  なんですから…可愛い甥っ子、姪っ子たちの為にも

  しっかりしてほしいんですけどね…。」

  「それは…そうだな。反応があるかはわからないが…

  再度、連絡はしておこう。…我々も心配していると

  …早く復帰出来るといいな。」

  ニケ、メロ?アルがこんなに心配してるんだぞ?なにが

  あったかはわからないが…早く元気になって顔を見せて

  安心させてやってくれよ?

  ヒーローや職員の一部が休んでいるだけ。まだ、この

  時点では支部としての機能は十分に働いていたことも

  あって私はこの現象をそこまで深刻な事態だと捉えて

  いなかったんだ…。だが、もしこの時に気付くことが

  出来たとしても私たちは防ぐことが出来ただろうか?

  私たちは既に閉じ込められていたんだ。…ヴィランの

  用意した、一度でも捕まってしまえば抜け出すことが

  出来ない檻…もう、その中から抜け出すことは…。

  [newpage]

  …うさ、うさ。らび、らび。らぁ〜びぃ〜〜…。

  聞き憶えのある…リズム?ああ、ニケが…教えてくれた

  『らびらび体操』か、生で見るのは初めてだな?……?

  私としたことが…幼稚園のイベントの最中に…微睡んで

  いたのか?…ここ数日間、休むヒーローや職員が多くて

  激務が続いていたとはいえ…私を慕ってくれている子供

  たちの前でうたた寝をしてるようではヒーロー失格じゃ

  ないか!気を引き締めろ…ヒーロー『レオン』!

  …ぴょん、ぴょん、らびっと…っ!

  みんな上手に踊っているじゃないか。よく聞いて覚えて

  いっぱい練習をして今日の日を迎えたのだろう。そんな

  微笑ましい光景が目の前に拡がっている。…ん?あれは

  …ニケの息子か?ははっ、そっくりじゃないか!しかし

  あの子の動きは随分と良くないな…。ニケ?…ちゃんと

  子供に付き合ってやらないからだぞ?今度、支部に出て

  きたら言ってやろう。

  「どうしたのかな~?今日は調子が良くないね?緊張

  しちゃったのかな~?そんな、もじもじ…してたら

  上手に踊れないよ?もっとぴょん、って飛んで~?」

  そこで先生のフォローが入る、そうだな…あのまま立ち

  尽くしていたのでは、いくら子供といえど可哀相だろう

  流石は先生だな?園児たちのことを良く見ている。

  「で、も…っ、せんせぇ…おれ…おむつ、おもた…く

  てっ、そんな…とんだりっ、でき、ないよ…っ!?」

  おむつ…?えっと、幼稚園って…そんなだっけか?あの

  くらいの体格なら年少ってことはないだろう?おむつが

  まだ取れてない…のか?

  「ニケくん?おむつだけなら重たくないはずだよ~?

  ちょっと先生に見せてみようか?…あれっ?今日も

  お漏らししちゃったんだ~。…また『落第』だね?」

  …は?落第って言ったのか?園児を相手にそんな難しい

  言葉を使っても伝わらないのでは?…って、いや…そう

  いう問題じゃないだろ…いったいどういう意味なんだ?

  それに…ニケの子供じゃなくて、ニケ…だって?そんな

  訳ないだろう、ニケは園児ではなくて第三支部に所属の

  ヒーローで私の自慢の部下だぞ…?

  「せ、せんせぇ…っ!?お、おれ…もうっ、らくだい

  やだっ、やだよぉ…っ!こんどは…ちゃんと…やる

  から、できるからっ!ゆ、ゆるしてよ…っ!?」

  ニケと呼ばれた子は泣きそうな声で、先生に頼み込む…

  そんな…必死に?だが、先生と呼ばれたそいつは…。

  「だ~め、約束は約束なんだからね?今日ニケくんは

  失敗しちゃったから年少よりも下のクラスに行かな

  きゃいけないんだよ?上手に出来なかったもんね?」

  「や、やだっ!…あっ、お…おしっこっ!?お、おれ

  ま…た…っ!?だ、ダメっ!?…~~~っ!?!」

  教室内に「しゅぃぃぃ~。」という、独特な音を響かせ

  ながら…ニケは床にへたり込んでしまい、そして徐々に

  彼が座った場所に水溜まりを作りはじめてしまう…。

  「あ~あ…また漏らしちゃった。仕方ないよ、そんなに

  『落第』しちゃったら我慢なんて出来ないし。…もう

  おむつ穿いてても、ニケくんには意味がないねぇ?」

  そう楽しそうに先生は言うと、ニケに近付いて…。

  「もう『落第』のスタンプもけっこう溜まってきたね?

  大変だぞ~?いっぱい合格しなきゃいつまで経っても

  ニケくんはここを『卒園』出来ないんだからね~?」

  「お、おれ…っ、おと…な…なのに…っ!?そつえん

  …な、んか…すぐ、にでき…るはず…なの…に…っ

  なん…でっ、なん、っ…う、わぁぁぁん…っ!?」

  「ふふ、悔しいねぇ…?でもね?大丈夫だよ、先生が

  いつまでも面倒を見てあげるからね?…ニケくん♪」

  ニケはそのまま泣きはじめてしまい…しばらく泣いた後

  泣き疲れてたのか…眠ってしまったようだった。

  [newpage]

  力尽きるニケを、愛おしそうに見つめていたそいつは…

  不意に私の方に向き直って話しはじめる。なんだか妙だ

  …この先生から感じる威圧感は…いったい…?

  「さて、君は初めましてだね?えっと『レオン』くん

  っていうんだ?よろしくね~?レオンくんは上手に

  出来るかな?『卒園』目指して頑張ろうね~?」

  さっきから落第だの卒園だのと…先生は何を言って…?

  「レオンくんはまず、年少さんからだね~?」

  話しかけられてなお椅子に座ったままというのは流石に

  失礼かと思い、私は席を立つ。ん?この先生はウサギの

  獣人…だよな?大型種の私よりも背が高い…のか?

  「いや、随分前に園児からは卒園させてもらったんだ。

  今日は、一人の大人としてヒーローとして園児たちに

  会いに…この幼稚園へ訪問させてもらっている。」

  ニケからの提案ではあったが正式に園の方からも依頼が

  あったはずだ。やはり、何かおかしいぞ…先生がそれを

  知らないなんてことはないだろう。それに、この先生は

  まるで私のことを…。

  「ヒーローのごっこ遊びか~。レオンくんはヒーローが

  好きなんだね。そっか~、やっぱり男の子だもんね?

  近頃はヒーローになりたいって子が多いもんね~。」

  園児に接するかのように話しかけてくるなんて…?

  「でもね?今はお遊戯の時間だよ?ヒーローごっこも

  いいけど、みんなが大好きなぁ『らびらび』体操!

  やってみよう!レオンくんは上手に踊れるかな~?」

  「ごっこ…だと?さっきから、どうしたっていうんだ?

  私は幼稚園児などではないぞ…っ!?」

  「ん~?どうしたのかな?レオンくん。ほら、こっち

  見てみてよ、今のレオンくんは…ちゃんとヒーロー

  なのかな?先生には幼稚園児にしか見えないけど?」

  ウサギの先生に促されて、私はその方向に視線を向ける

  そこには大きな鏡があって…なんだ?ずいぶんと目線が

  低い気がして…?い、いや、そんなことよりも…っ!?

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  「な、なぜ…っ!?わたし…は、どうしてこんな…。」

  …鏡に映し出されたのは獅子族の獣人の子供だったんだ

  それも遥か昔に目にしたであろう幼い頃の自分自身の姿

  立派なたてがみもなくなっていて…それこそ本当に…。

  「ね?レオンくんは、この幼稚園の園児なんだよ~。

  だから『卒園』して立派な大人にならなくちゃね。」

  「ば、バカなことを…そんなはずはないだろう…っ!」

  「あれ~?レオンくん?ダメだよ~?先生に向かって

  バカ、だなんて?言うこと聞けない子は『落第』に

  なっちゃうんだからね?…まずは一個目だね?」

  まただ…落第だと?それに一個目…とはいったい、何を

  言ってるんだ?目の前の幼稚園の先生だと名乗るウサギ

  獣人の発言を理解しかねていた…その時だった、お腹の

  奥が急に重たくなるような感覚がしてしまい…。

  「な、なん…だ…っ!?急…にっ、おしっこ…っ!?

  お…おしっこしたく…なっ、て…っ?と、トイレ…

  どこに…っ、あるんだ…っ!?うっ、…~~っ!?」

  不可解な発言をする先生と話しているうちに私は急激な

  尿意に襲われてしまい…ぐっ!?も、もう…っ!?

  「さっきのニケくんと一緒だよ?年少さんから『落第』

  しちゃったら我慢なんて…あ、でもね?教室の隣に

  ある、トイレまで行けたら『合格』出来るんだよ?」

  「と、ト…イレすぐ、そこ…にっ!?…わ、わかった

  …そこ、までっ、行け…ばっ、いいん…だなっ!?」

  い、意味が…わからんっ、こと…を言って…るが、この

  まま、漏らすっ、訳には…いか、ん…トイレ…にっ!?

  「うんうん、そうだよ~。でも、気を付けてね?もし

  お漏らししちゃったら『落第』スタンプが二個目に

  なっちゃうからね?よ~し、レオンくん頑張れっ!」

  私の頭の中は既に…おしっこのことでいっぱいになって

  いて…そいつの話はほとんど頭に入ってこなかった…。

  [newpage]

  「…っ!?あ、…~っ!?はぁ…、はぁ…っ、…なん

  っで…となりっ、にある…のに…とお、くてっ!?」

  なんとか教室を出て…トイレは、すぐそこにあるのに?

  目の前にあるのに?ずっと歩いているのに?どうしても

  辿り着くことが出来ないんだ…。

  「どう…し、て…っ?ト、イ…れ…っ!?あ…っ?!

  だ、ダメ…だっ、おし…っこ出ちゃ…っ、う…!?」

  廊下に立ち尽くしたまま…我慢は限界を迎えてしまって

  生温かい感触が下腹部に拡がっていく…。

  「あ、…あっ、そ…んな…っ、おし…っこ…間に合わ

  ないっ、なん…て…っ!?わ、わたし…は…っ!?」

  大人なのに、ヒーローなのに、という感情が溢れてきて

  私の心を揺さぶっていく…トイレに間に合わなかった?

  おしっこすら我慢出来ないなんて…私は…っ!?

  「あ~、レオンくん?トイレ間に合わなかったんだ~?

  うんうん、大丈夫だよ?先生が付いてるからね?ほら

  教室に戻って新しい服にお着替えしましょうね~?」

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  失敗したところをすぐさま見つかってしまい…そしたら

  …え?なん、で…?さっきまで廊下に…いた筈だろう?

  私は…どうして教室の中にいるんだ…っ!?

  「それはね~『落第』しちゃうと、みんなのクラスが

  変わっちゃうからだよ。『合格』の時もなんだけど

  そういう時は、この教室からまたはじまるんだ~。」

  「い、意味がわからんことを…っ!?さっきから何を

  …っ、…い、いや…なんで…私の考えたことを…。」

  「ん~?だって、みんなの先生だもん。みんなが考えて

  いることぐらいは、わからなくちゃね?先生の言った

  ことわかったかな?…二回『落第』のレオンくん?」

  考えが読めるだと…流石にはったりだろう?それに落第

  などと訳のわからんことを…何か意味があるのか?

  「はったりじゃないんだけどな~。それと『落第』は

  …そうだね。言葉で言うよりも今から起こることを

  体験した方が意味がわかるんじゃないかな~?」

  [pixivimage:125550422-4]

  「なん、だ…と…っ、…っ!?あ、ぐ…っ!?ま、また

  …漏れ…っ、とま…ら…な…っ!?…~~~!?」

  尿意を感じた途端に…我慢をすることも出来ずに、私は

  おしっこを漏らしてしまう…。先程はなんとか着ていた

  服を濡らす程度で済んだのだが…今回はそうもいかず…

  決壊したそれは…私の足元を濡らしはじめてしまい…。

  「先生が教えてあげてもいいけど~。出来れば自分で

  理解した方がいいかもね?さっきも言ったでしょ?

  『落第』しちゃったら我慢は出来ないってさ。」

  「だ、から…っ!?なに…を…っ、…~~っ!?ぐっ

  …あ、あっ、また…っ!?出、てっ、…~~っ!?」

  「…今日はここまでかな?教室の中でそんな水溜まりを

  作っているようじゃ『卒園』はまだまだ先みたいだ。

  ふふふっ、それじゃあ…また、明日も待ってるね?」

  「な、に…言って?あ…した…だ…と?待て…っ!?」

  突如視界が歪むような感覚が訪れて目の前にいた先生も

  私がいたはずの教室も幻のように消えてしまったんだ。

  呆然と立ち尽くしているうちに遠くから聞き覚えのある

  電子音が鳴りはじめて、その音は徐々に大きく鳴り…。

  ピピっ ピピピっ ピピピピっ

  「ん…?あ…っ、…?ここ…は…?」

  目覚まし時計のアラームによって私は目を覚ます。寝室

  …自分の家、だよな?目から入る情報で頭はそう判断を

  するのだが…どうにも拭いきれない違和感が感じられて

  しまう。私はそんな筈はないと思いながらも毛布を捲り

  自分の手足体付きをおそるおそる確認したんだ。そして

  大人の姿の自分を見て胸を撫でおろすこととなった。

  「…夢、だったのか?やけに…現実味があっ…た…?」

  変な夢だった、それに…大抵の夢の内容を覚えていない

  私にしては珍しく夢の内容を鮮明に…っ、…~っ!!?

  「お、おしっこ…っ!?…よかっ…た、いや…そんな

  ことがあっては堪らない、そんな…夢を見たからと

  言って…おねしょをするようなことがあっては…。」

  そう、幸いにして着ていた服もベッドも無事だった…。

  い、一応…私の名誉の為に言っておくが物心はつくころ

  には、そういった粗相をすることはなくなっていたのだ

  からな?だが、あまりにも夢の中での衣服が濡れる感触

  なんかがリアルだったものだから流石に心配になって…

  って誰に言い訳しているんだっ!?しっかりしろ…私!

  「…夢見が悪かったからといっても、臆病になりすぎ

  だろう…。こんなことを恐れている所など、住民や

  子供たちにはとても見せられんな…。」

  その日の朝はそんな感じで情けない目覚めをして嫌でも

  トイレにだけは行っておこう。という意識にさせられて

  しまうほどには、下の失敗に対して慎重になってしまい

  …我ながらどうしてしまったというんだ…?あんな夢を

  見たというくらいで私は何を恐れているんだ…?

  [newpage]

  試し読み版はここまでとなります。続きは是非

  イベント会場にて、手に取っていただけましたら!

  ちなみに、ここまでで全体の五分の一ほどです。

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