体験学習 牧場編

  もうすぐ夏休みになろうかという時期に、とある高校の生徒たちを乗せたバスが高速道路を走っていた。

  連休前に職場体験が行われ、それが終わればすぐに夏休みであり、授業の一環とはいえ教室での勉強から解放されるので、本来なら生徒たちは好意的に受け入れているはずなのだが……そのバスに乗っているクラスはなんだかうかない様子で、どんよりとしたムードが漂っていた。

  「牧場かあ……肉体労働確定だろうなあ」

  そう春樹がつぶやいた。

  陽気な性格の彼も、さすがのこの学校行事には気が進まないようだ。

  学年全体で同じ職場に向かうのはではなく、クラスごとに向う職場先は違うのだが……他のクラスはテレビ局や警察署だったり、ゲーム会社等の興味があったり楽しそうな職種なのだが、高校生からすれば牧場は明らかに見劣りすると誰もが思っていた。

  地味で汚れ仕事で危険で体力も使う。おまけに就職や進学に有利になることもなさそうなので、クラスの生徒たちはがっかりと不満をはっきり表していた。

  「みんなごめんね。年功序列もあって、先生じゃなかなか人気の行先は選べなくて。でも、きっと今後の糧になるはずよ。それに基本は集めて管理しておくけど、夕食後ぐらいはスマホを許可するから」

  要するに新人である教師に、人気のない職場が押し付けられたわけである。

  今後の糧とやらには期待できそうにないが、職場体験中はどのクラスもスマホは禁止されているので、どうにかクラスの溜飲が下がったのである。

  「ごめんなさい。行く予定だった牧場の従業員さんが体調不良で、急遽別の牧場にいくことになっちゃった……」

  どこかへ連絡をしていた担任の言葉に、バス内でひときわ大きな不満の声が上がるのも当然であった。

  「もうさあ中止でよくない? スマホが使えるのはいいけど、そこまでして牧場にこだわらなくてもいいじゃん。どうせならパン工場とか面白そうなとこに行こうぜ」

  「一つのクラスを数日間ってなると、急に受け入れてくれるのも牧場になっちゃったんだろうね」

  「なら中止でいいよもう」

  「帰りたいけど、僕らだけどこにも行かないわけにもいかないからね……それにあんまプリプリしてると、紬ちゃんが困っちゃうよ」

  不満そうな春樹を親友の瀬名がなだめている。

  陽気な性格で体格のいい春樹とは違い、真面目で落ち着いた性格で

  痩せ気味な瀬名だったが、二人は仲が良く同じサッカー部に所属している。

  「わ、私は別になんともないよ……」

  春樹と交際をしている紬がおどおどしながらそう言った。

  図書委員で控えめな彼女だが、胸のサイズは大きめで、体つきもぽっちゃりとしているその筋にはたまらない体をしている。

  「でも勉強しなくていんだし。先生がゆるいからスマホもオッケーで、こうしてうちらで同じ班にしてもらえたし。まあいいじゃん」

  琴葉からもフォローが入る。

  快活な性格の琴葉は紬の親友であり、瀬名の交際相手でもある。

  春樹と紬のカップルと瀬名と琴葉のカップルは、お互いに良いコンビなのだった。

  「んーまあそうだよな。せっかくこの四人で行動できるんだし、気持ちを切り替えて楽しまないとな……おっ、そろそろ着くんじゃないか?」

  こうして不満を抱えつつも、クラスの生徒を乗せたバスは牧場へと向かうのであった。[newpage]

  「なんか思ってたよりもだいぶ違うな……」

  「デザイン事務所みたい」

  春樹と紬はそうつぶやく。他の三十人のクラスの生徒もそう思っているようで、いい意味で意外そうに建物を眺めている。

  厩舎や放牧地等は普通の牧場であるが、母屋や事務所らしき小屋などは真新しい建物で、明らかにコストをかけてデザインされている見た目だったのだ。

  彼らのクラスを出迎えたここのオーナーである女性も、キャリアウーマンのような外見をしていて、仕事には積極的なようだが一切の汚れが服についていなかった。

  「むしろここでよかったかもね」

  琴葉の前向きな言葉通りに生徒たちの暗いムードは一転して、ここであれば素晴らしい体験ができるのではという期待に満ちていく。

  この牧場はなにかが違う。普通じゃないと……心を躍らせるのだった。

  「それでは、こういったスケジュールで動いてもらいます……」

  きれいでおしゃれな建物、よく分からないが最新の技術を取り入れてそうなシステム……牧場内の案内と牛に関する簡単な勉強が行われたのだが、予想外の事態を好印象として受け入れた生徒たちは真面目に聞いていた。

  「うわあすげえー」

  「レストランみたいだね」

  提供された食事も小洒落たもので高級感が漂い、味も学生には不相応なくらい美味であった。

  浴室もクラスの男女に分かれて全員が一度に入れるほど広くきれいであり、生徒たちは当たりの職場であることを確信し、誰もが死んでいた目を輝かせていく。

  「うめー! やばいな、いくらでも食える」

  「学校の行事とは思えないくらいのクオリティだよね。最新の牧場ってすごいんだなあ」

  春樹と瀬名の部活組の男子は、牧場から提供された食事を気に入ったようで、モリモリと平らげていく。

  「すごく美味しいけど食べきれるかなあ……」

  「ちょっと量が多いよね。その辺は牧場らしいんだけどねえ……」

  そうではない女子からは映えそうな見た目や味は好印象だが、通常よりも多めな食事に苦戦していた。それでも食べきれないような量でもないので、なんとか完食しているようだ。

  「こんなのが毎回出るのかなあ。楽しみだな!」

  「あんなに不満と文句ばっかだったのに、ご飯を食べたらこれだもんね」

  瀬名につっこまれたように、清潔で新しい建物や施設、洒落た食事等に満足した春樹はご機嫌のようだが、それは彼だけでなくクラス全体がそうであり、こちらのあまりしていなかった期待を大幅に超えてきた牧場に対して、クラス全体が浮足立っているかのようだった。

  「この後はお風呂に入って寝るだけなんだよね。スマホも一旦返してもらえるし」

  「見た感じ大浴場もいい感じだったよね。楽しみだなあ」

  食事の量には少し困っていた女子たちもこの牧場に満足しているようで、クラス全体がバス内での沈んだ雰囲気とは真逆の穏やかさに包まれていた。

  「あっやべっ……」

  「どうしたの?」

  賑やかな学生たちの夕食の一方で、牧場の従業員とオーナーが深刻そうに会話をしているなどとは誰も知らないでいる。

  「急な対応で担当が不在でして、学生の団体だから一般的な牧場の対応をして、普通の食事を提供する予定だったんですが……手違いでこちらでいう『普通』の食事を出してしまったみたいでして……」

  「結論から言いなさい」

  「つまり『家畜用』の食事を提供して、すでに完食しちゃってるみたいです。それも雌雄逆転仕様のをです……」

  「あなたねえ……どうするのよ? いつものうちの客じゃなくて、ごく普通の学校からの受け入れなのよ……それも三十人近くも……少し考えればわかるでしょう。相手はただの高校生なのよ?」

  「その普段とは違う状況で、大人数の対応が原因で現場に混乱が生じたようでして……緊急事態として上に報告しましょうか?」

  他責気味に説明する従業員と、この状況に冷静そうな顔を崩してしかめてしまっているオーナーが深くため息をついた。

  「分かったわ……もうこのまま普段のお客として対応しなさい。なにかあれば私が責任を取るから、組織にはなんとか火消が出来ないか頼んでおきます」

  リスキーなトラブル対応を選択することをオーナーは覚悟を決めたようだ。

  「あれっなんか難しそうな会話しているな……」

  問題の発覚した食事を終えた生徒たちは浴場に移動し始め、春樹は偶然従業員とオーナーが深刻そうに会話している所を目撃するのだった。

  「なにしてるの? お風呂に行こうよ。あの大浴場に入らなくていいの? 時間決ってるから早くいかないと少ししか入れなくなるよ」

  「ああ、今行く!」

  しかし内容は所々しか聞こえず、春樹は瀬名に呼ばれてその場から離れるのだった。

  牧場側で不穏な会話がされているのとは対照的に、生徒たちは素晴らしい職場体験になりそうだと誰も彼もが期待を膨らませていた……。[newpage]

  広く清潔で出来たばかりであろう浴場に女子生徒たちは、すっかり気を良くしてリラックスしている。

  (ちょっと食べすぎちゃったなあ……)

  普段はあまり食べない紬は食事量をまだ気にしていて、腹が苦しいようだ。

  しかし、もっと狭くて古いであろう浴室を想定していたので、この大浴場には喜んでいて気分よく体を洗っている。

  年頃の女子たちは、学校の行事であることも忘れてしまったかのようにはしゃぎながら、自宅よりも豪華な入浴を楽しんでいる。

  「やっぱり大きいわねえ。うらやましいなちくしょー」

  体を洗っていた紬の後ろから、琴葉がふざけながら確かめるように軽く揉んで来たので、彼女はやや驚いてしまったようだ。

  ぽっちゃりとした体型に大きな胸……ベストプロポーションでは無いものの、紬の肉体は同性からも魅力的だと思わせるくらいには良い体をしている。

  「ちょ、ちょっとやめなさいよ……セクハラエロ親父じゃないんだから」

  「このこの、こんな大きな胸は牛より大きいんじゃないのか? 白状したまえ」

  「もー大きいのって邪魔なだけだし、肩もこるから大変なのよ?」

  琴葉は別に女性に興味があるわけではなく、ただの悪ふざけで紬の胸をおもちゃのように扱っているが、控えめな性格の彼女は強く拒絶することもなくやや困った様子でいる。

  「こら、やめなさい。入浴中だけど職場体験中は授業であることを忘れないようにね」

  「はーい」

  担任の注意によって琴葉は紬の胸から手を離す。

  とはいえ紬も本気で困っていたわけでもなく、琴葉も注意されずともやめるつもりでいたし、担任も強く叱ったわけでもなく平和的な雰囲気のままだった。

  「ふう、これで職場体験はなんとかなりそうね……」

  担任は自分が強く出れず、不人気の行き先になって生徒たちを落胆させてしまったことを気にしていたので、明るく楽しそうにしている生徒たちの様子を見て、彼女はようやく肩の荷が下りるのだった。

  大人も未成年も自分たちにとんでもない手違いが発生していることなど、分かるはずもなかった。[newpage]

  「思ってたより大変だな……っていうか、やっぱ地味できつい仕事になるんだな。まあしょうがないか」

  「思ってたのと違ってたからってサボんないようにね」

  「分かってるって、ちゃんとやるよ。働いた後の飯は美味いし、いい感じの風呂と寝床があるもんな」

  いくら新しい建物だとはいえ結局は牧場なので、体力を使う仕事には変わらないようだが、予想よりもいい職場であったので春樹は不満や文句を垂れ流すこともなく真面目に仕事をこなしていた。

  男子は牧草の運搬の手伝いを任させていて、ロール状に固められた牧草の山を見て気が遠くなりそうになるが、まあ食事も宿舎も当たりだしな……と、当初のように不服は無いようであった。

  それに汚れ仕事はさすがにしないようであったが、あの気難しそうな女性オーナーが事務仕事だけでなく積極的に現場で牛の世話をしているのを見たので、驚きと共に学生とはいえ自分達もしっかりしなくてはと気が引き締まったのだった。

  「うーん結構重いなあ」

  「やっぱり厩舎の中は臭うね。こういう汚れ仕事こそ男子に担当させるべきだと思うんだけどなあ。まったく、か弱い女子にこんなことさせるなんて」

  「でもこれでも楽な部類の仕事なんだろうね」

  女子は厩舎の掃除を任されており、汚れた飼葉や家畜の糞などを片付けている。担任も自分だけ他のことをしているのに気が引けてしまうのか、作業に参加している。

  それもオーナーが現場の仕事までしていることの影響かもしれなかった。

  牧場側の手違いさえなければ、今後の良き糧となる職場体験になったはずであった……。

  「今日も美味いし、量も用意してくれてる。おかわりしたいくらいだぜ」

  「肉体労働だから気を利かせてくれてるのかもね。しっかり食べないと動けないし」

  今日の食事も朝昼夜と洒落ていて美味であるが量が多かったが、男子たちはペロリと軽く完食していた。

  「そ、そうだね……今日は動いて疲れたからこれくらいならなんとか食べれそう」

  「昨日なんて美味しいけど全部食べるのは辛かったもんね。残さないようにするのが大変だったけど、今日はそうでもないし男子の言うことが分かるなあ」

  女子たちも多めの食事量を今日は難なく完食しているようで、会話が弾んでいる。

  「でも食べすぎちゃって太らないかなあ……」

  「大丈夫でしょ、あんなに運動になりそうなくらい働いたんだし」

  いつもの食事量からは考えられないほど食べても平気なので、紬は体型と体重のことを意識してしまう。

  魅力的とはいえど、彼女は自身の肉付きの良さを気にしているのだ。

  「俺らでもくたくたになるくらいだし、むしろダイエットになるかもな」

  「おかわりしようとしてたやつがダイエットを語ってもなあ……」

  「は? 瀬名だっていつもより食べてるくせに。腹が減ったらちゃんと食うぐらいがいいんだぜ」

  「でも、体重が増えてるのかなあ? なんか体がおかしいような……」

  「気のせい気のせい。私なんか疲れてるのにいつもより元気な気がするんだもん」

  体重の話になっているが、実はこの時クラス全員の肉体へ脂肪が蓄えられつつあることに誰も気がついてはいない。

  「ねえ、みんなスマホはいいの? 使えるのはこの時間だけよ」

  夕食後に担任がスマホを返そうとしたのだが、今日はいきなり誰も関心が無くなったかのように受け取らなかった。

  風呂も時間が決まっているとはいえ、大きく広いので慌てて全員で入る必要もないことが分かり、夕食後は談話スペースや自室でのんびりと過ごしている。

  「せっかく使ってもいい時間になったのに、みんないらないのかしら? なら管理も面倒だし、牧場の人にでも金庫か倉庫で預かってもらおうかな……」

  担任はもう必要無しと感じて、スマホを厳重に管理できる場所にしまってもらえないか牧場側に相談するつもりでいる。

  「なんだか何もしたくないな……」

  「食べてすぐ寝たら牛になるよ」

  春樹に突っ込みを入れている瀬名も、真面目な彼は普段なら食後でもしっかりと姿勢を正しているのだが、今夜はだらりと広間に横になってしまっている。

  「で、でも眠いなあこのまま横になってたい……」

  紬さえもこんな調子であり、クラスの生徒たちは誰もが気が抜けたようにのんびりとしていた。

  「消化に時間がかかってる感じがしてだるいんだけど、お風呂には入らないとね……」

  「そうだな、うっかり時間が終わらないうちに入っとかないとな」

  気だるそうに琴葉が立ち上がり、他の三人も続くように浴場へと向かうのであった。

  担任がいないこともあり、穏やかにはしゃぐ女子風呂とは違って男子風呂の様子ときたら大騒ぎのありさまであった。

  「ねえ、ふざけて物を壊したりしないようにね」

  余計なことを誰かがしでかさないかと心配になった瀬名が一声かけるも、他の男子生徒は返事もせず騒ぎ続けている。

  「大丈夫かなあ……まあ、すぐ近くにも不安なのが一人いるけどね」

  そう言いながら瀬名は春樹に視線を向けたのだが、その友人は下を向いて自分の体を見つめている。

  「仕事はきついけど、建物は新しくてきれいでおしゃれで飯も美味いからよかったよなあ」

  「そうだね、覚悟してたのにびっくりするくらい普通の牧場のイメージとちがうんだもん。本当に良かったよ」

  「でも虫にでも食われたのかなんだか体が妙な感じなんだよなあ……」

  「慣れない力仕事をしてるせいなんじゃないの?」

  こうして湯船に浸かりながら雑談をしていても春樹は下を向いていたままなので、どうしたのかと瀬名はその視線の先を追うと、どうやら彼は自分の股間を見つめているのだった。

  春樹の股間は水中にあるせいかなんだか大きく見えた。瀬名はわざわざ春樹の股間のサイズをチェックしているわけではないが、そう見えたのである

  「ほらほら、俺のでけえだろ! よく見ろよ!」

  男子だけということもあり変なテンションになっているのか、春樹は立ち上がって自慢げに瀬名へ股間を見せつけるのだった。

  本人が自覚するほど股間は大きくなっているのだが、瀬名はばかばかしそうに無視を決めスルーするのであった。

  「ほらよ俺の勝ちなんじゃないか? 見ろってば」

  (あれ? でもこんなに太ってたかなあ?)

  春樹は股間をアピールしているが、そこだけでなく顔も丸くなりつつあり、腹もなんだか出てきていたりしている。

  胸も大きくなりつつあって、乳輪さえ広がっていた。太ももでさえも太くなってるように見えて全体的に大きくなりつつあった。

  瀬名はこんなだったかなあと昨日の風呂の時間を思い出そうとしたが、よく思い出せず……周りを見れば他の男子たちも似たような体型だったので気のせいかと結論付けてしまった。

  すらりとした瀬名の体型すら同じようになっていても気がついていないようだ。[newpage]

  「今日はいつもよりはかどるなあ。それにしても飯はなにが出て来るかな」

  「それしか楽しみがないとはいえ、やっぱ気になるよね」

  三日目ともなると慣れてきたのか作業効率が明らかに上がっていた。

  と……見せかけて、実の所は脂肪と筋肉がついて来たからであった。

  特に男子は脂肪がついて体が丸くなりつつあり、女子は筋肉質な体つきになりつつあった。

  (でもやっぱ体がおかしい気がするんだよなあ……なんかムズムズするというか)

  春樹は不穏ななにかを感じ取ってはいるのだが、体の変化を自覚できずに首をかしげるばかりだった。

  「牛乳。みなさんが飲んでいるミルクは乳房の先にある乳頭孔から出ますが、その先端の乳頭孔は普段なら閉じられています。乳を搾るには何らかの力を加えなければなりません。直接人の手でしぼる手搾りもありますが、現在はどこも専用の機械を使います」

  従業員から搾乳についての説明があり、生徒たちはどういうわけか興味津々といった様子で聞いている。

  退屈で長くなる話であるはずなのに、特に男子たちは自分たちのことのように真剣に聞き入っていた。

  「搾乳作業は大きく四つに分けられます。まず病気予防と殺菌のために消毒します。次に異常がないかチェックして、刺激の為の手搾りします。それから清拭後に搾乳機を装着してミルクを搾ります。この細かい方法や順番は人によってさまざまですが、この四つはほとんど共通していると思います」

  「なるほどなあ……」

  春樹も瀬名も興味深そうに聞き入っていて、感心さえしていた。

  今後の糧であり、将来につながる有益な情報である気がしてきていて、やはりこの牧場に来れてよかったと思うのだった。

  「まず搾乳に使う道具を牛舎内に用意してから搾乳場に呼び込み、乳牛の乳頭を殺菌剤で消毒します。それから手で搾る前搾りを行います。溜まっている乳を排泄して通りを良くし異常がないが調べ、刺激を与えて乳を出やすくする等の効果があります。うちでは牛を驚かせないように、最初にこれから絞るよと牛さんに合図してやってから搾りますね。そして牛さんは刺激されるとオキシトシンというホルモンがを分泌します。それによってお乳が出て来るので、刺激することが重要なのです。これをしないと大事な牛が乳房炎という病気になります。ここで搾った前搾りの乳は出荷はしません」

  「へえ……そうなんだ」

  長くて退屈なはずの乳絞りの説明なのに全員が真面目な態度を崩さず、学校のテストでも見ることが無いような男子の真剣な面持ちは別格であった。

  「続いて清拭です。一般的には清潔なタオルを使って丁寧に乳頭を拭き取るのですが、うちは乳頭とその周辺を徹底して機械を用いてブラシで拭き取りきれいにします。それから牛さんの乳首を消毒ですね」

  従業員の他所とは違うという説明に、男子たちからは特別な技術へのロマンへのどよめきが起こる。

  「乳頭を殺菌剤で消毒し、きれいに拭き取ります。ここまでの作業を経てようや搾乳機をを装着します。これは空気の力を利用して乳搾りを行っていて、カップを四つある牛の乳頭に取り付けます。この部分はティートカップと呼ばれていて、二重構造になっており、外側は硬いですが、内側は柔らかい素材で出来ています。これは子牛が乳を飲む時と同じ動きをしてくれて、真空の圧力差でミルクを搾ります。機械がこれ以上は搾らないほうがいいと判断すると、自動的にカップがが外れます。ちょっと長いですが、もう少し続くので聞いてくださいね」

  「はい!」

  男子からいい返事が返ってきて従業員は普段よりも手応えを感じると共に、これで手違いがなければと心を痛めるのだった。

  客ではない無関係の高校生たちを、こちらの不手際によりクラスまるごとこのまま商品にしなくてはならないことを、彼はさすがに申し訳なく思っているのだ。

  「搾乳におけるポイントは三つあります。まず清潔にすること。牛を病気にしないこと。搾乳時間を快適な時間にすることです! この三つが達成できていればいい搾乳と言えますね」

  「おおーっ!!!」

  ただの乳絞りの説明であるのに、関心の高い男子から再びどよめきが起きた。

  「オキシトシンもそうですが、牛が安らぎを感じて安心してもらうことで搾乳が可能になるので、とにかく牛には優しく接します。カップが外れたら、乳頭を再び殺菌して保護します。それから搾乳機を清掃、消毒して保管しして作乳は終了となります。長くなりましたがおつきあいありがとうございました」

  普通の高校生ならこんな話をされても退屈でたまらないであろうはずなのに、生徒たちは最後まで真剣に聞き、男子からは拍手まで送られている。

  「ここの人たちが妙に優しいのは、牛に優しく接しているからなんだろうなあ」

  春樹は従業員たちから生徒へのここまでの対応に納得してうなずいた。

  とてもいい話を聞かせてもらったような反応をしている、三十人ほどの学生を見て、従業員は彼らのこれからの進路のことを思うと心苦しくなるのであった……。

  

  「それでは実際に絞った牛乳を飲んでもらいましょうか。おかわりはありますからいくらでも飲んでいただいて構いませんよ……」

  牧場からの好意によりミルクが提供され、説明をしていた従業員とは別の男がタンクに入った牛乳を持ってきたのであった。

  「うめー! いくらでも飲める」

  「わ、私牛乳って苦手だけど……これならおかわりしたいかも……」

  『特製』の搾りたてのミルクは生徒たちが飲んだことのある牛乳よりも濃厚で癖になる味わいをしており、どの生徒も夢中で競うように何杯も飲んでいた。

  「まだまだあるので遠慮しないでどんどんおかわりしてくださいね」

  その牛乳は、彼らにとって今までに口にしたことのあるどんな食べ物や、飲み物よりも美味しく感じられ、胃が増えたかのようにいくらでも腹の中へ入っていく。

  やがて彼らの肉体にある異変が起き始めた。

  「なんか体が変だな……」

  春樹は体の違和感が増したことと、特別な牛乳を結びつけることが出来ずにぼんやりとそう思った。

  脂肪がついて丸みを帯びた体つきになり始めていた男子の胸板が、大きく柔らかくなっていく。

  男性の胸から女性の乳房のような膨らみを得ていき、その代償に股間のペニスがだんだんと小さくなっていき、反対に睾丸が大きくなりつつある。

  「あ、あれえ……おかしいな、なんだか胸がしぼんだような」

  紬も不思議そうにしており、実際に彼女の牛のように大きかった胸は小さくなっていた。

  担任も含めクラスの女子は胸が平たく固くなりつつあり、クリトリスが少しばかり腫れだしている。

  こうしてこの日はクラス全員が疑問を抱えながらも夕食になり入浴時間になるのだった。[newpage]

  「やっぱり大きいわねえ……その大きさは犯罪よ。その二の腕!」

  今日も風呂場で琴葉が悪ふざけで紬の体の一部をつかんで、おもちゃのように扱っていたが、胸ではなくだいぶ太くなってきた上腕二頭筋を揉んでいた。

  「そうかなあ……太いの気にしてるんだけどなあ」

  紬は気にしているとは言うが、体自体の変化には気にならない様子だ。

  「こらこら毎日女同士で触らないの」

  担任がそれを軽くたしなめる。

  「でも先生もだいぶいい体してますよね」

  「わ、私もそう思います……」

  「あら、なんだか力仕事をするようになって鍛えられたのかしら?」

  女子たちの肉体は筋肉が発達していき胸が平らになっただけでなく、腕や足も太くなり男性的な体つきになりつつある。

  それを見てお互いを褒めているのだ。

  「あなた達もいい体じゃないの。紬さんみたいな大きな体って素敵よ」

  胸ではなく体の大きさを評価される紬だったが、確かに彼女の体はムチムチからがっしりしたものになり、周りよりも大柄であった。

  筋肉が付き始めた体に、腫れてきたクリトリスと女性器の割れ目の周りの肉……女性よりも男性に近づきつつあるが、それらを見た女子たちは紬の体に疑問を抱かず良い体とほめてしまうのだった。[newpage]

  「俺たちだいぶ力がついて来たんじゃないか?」

  「なんか嬉しいし自信になるよね」

  ついたのは脂肪と筋肉であり、四日目は男女関係なくハードな力仕事を任されてるようになっていた。

  力仕事と言っても、牧草のロールをパッキングしたものを重機無しで自分の体のみで転がして動かしたりと、明らかに高校生どころか人間の力ではありえないような内容だった。

  「なんか口が変なんだよな」

  「もごもごしちゃうよね」

  彼らの舌は太く長くなりつつあり、反芻めいた挙動をするようになっていた。クラス全員が不気味に、まるで牛のように下顎を動かしてしまっている。

  「あっ! まじかー」

  「まいったなあ、こっちもだよ……」

  ブチッと嫌な音がして春樹と瀬名はしかめっ面になってしまっていた。増えてきた体重とより大きくなっていく足のサイズに耐え切れず靴が破壊されてしまったのである。

  「先生は替えの靴なんてもってないよなあ? どうしようか」

  「そうだなあ、牧場の人に何とかしてもらえないかなあ……」

  春樹と瀬名だけでなく他の生徒たちにも同様のことが起きているのだが、靴が壊れてしまったことは気にしても、体の変化を気にしないのであった。

  「うめえうめえ!」

  「お、美味しい……まだ昼食だけど、今日も仕事後のご飯は特別に美味しく感じられるね」

  春樹はいつものことだが、量もかなり増えたというのに紬までもがガツガツと食事をがっついて、平らげるようになっていた。

  それだけではない。小洒落た料理から質素な菜食中心のメニューになり、ろくに味付けすらされてなくなっている。

  内容が変わったせいか、それとも彼らが変わってしまったせいか、生徒たちは

  その野菜中心の食事を手づかみで口に入れ、草食動物のように反芻している有様である。

  まだ『行儀はよい』ものの、テーブルや床に野菜くずが多少落ちてしまっている。

  「けど今日はどうしてかもの足りないな……量は増えてるのに」

  「仕事に慣れてハードになったからじゃいの?」

  元から多かった食事の量が倍以上に増えているのに、それでも生徒たちは不足しているようで、それらを補うように今日から提供されたミルクをがぶ飲みしている。

  どうやら彼らは成長期を向えているらしく、脂肪と筋肉で体が一回り大きくなって服がきついどころか所々が破けてしまっているのである。

  その破けた個所からは、白色と黒色の毛のようなものが見えている生徒までいるのだ。

  「明日はもっと量を増やしてもらうように頼んじゃおうかしら?」

  「そ、それがいいかもな……あれ?」

  春樹はたまに女子のような言葉使いが混じってしまいっていて、紬は逆に男子のような言葉が出てきてしまっていたので彼は首をかしげた。

  「なんか体が妙な感じがするし運動でもしようぜ。サッカーボールが物置にあったから、ご飯が終わったら使っていいか聞いておくわよ」

  「いいね、やろうぜサッカー!」

  男だか女だか分からない言葉で春樹がそう言うと、いつもの引っ込み思案でオドオドしている態度を見せずに、普段は運動なんてしないはずの紬が男らしく続いた。

  「俺もやりたいわ……あれ?」

  「私もしたいかも。元気が余ってて体を動かしてえんだよ……ん?」

  こうして男女関係なく他の生徒たちも賛同し、許可も下りたのでクラス全員で昼休みにサッカーをすることになったのである。

  すでに男子も女子も靴は無く靴下のみしか履いていないのだが、そのままなにも思わずに外へ出てしまっていた。

  「力がついて来たのになんか疲れるな……」

  「そうよね、動きにくいような……それにこんなに胸って邪魔だったかしら? 肩がこっちゃうのよね」

  まるで女子のように春樹と瀬名はそう口を開いた。

  (おかしいな……よく分からないけど、やっぱなにかが変ななんだよなあ)

  なんだか思ったように動けず違和感があって、やけに心臓がドクドクしているのだ。

  素敵な匂いがしてなにかを探して歩き回りたくなるのに、乳房のように胸が大きくなったりで体が動かしにくい。

  反対に女子たちは興奮した様子でパワフルに走り回っていて、力強さを感じさせた。

  それを見た男子たちは体が……特に股間がムズムズしてたまらなくなり、ぼーっとしてしまう。

  「んっ!?」

  下半身がキュンと疼くのを感じて変な声が出てしまう。

  「あーもうだめだ……」

  やけにだるくて熱っぽく火照る体に違和感があるので、男子たちはやけに元気で鼻息を荒くしている女子と比べてすぐにばててしまい、牧草地にへたり込んでしまう生徒が続出してしまう。

  「やだわ食べ過ぎたかしら? 俺太ってきたかも?」

  運動のおかげかまた体が成長した生徒たちがいて、体を動かすとビリっと音がして服を内側から破いてしまう音がそこら中で聞こえている。

  男子は体が丸くっこく肥えていき、女子はがっしりと逞しくなっていくようだ。また大きく成長してく体とそれにより増える体重、そしてその妙な肉体の運動により制服は破れ靴下までも破れて裸足になってしまう。

  「なにが必要なんだ……?」

  身体も制服も、そのことに生徒たちはまったく無頓着でありサッカーを続けたり休憩をしたままだった。

  周りと同じく体が肥えてきている春樹も、制服が破けていることや裸足になったことよりも、なにがが不足しているような感覚の方が大事なようだ。

  彼は肥えていく体で悩ましそうに首をかしげながら、放牧地に腰を下ろして休憩してしまっていた。

  やけに心臓の鼓動が早いのは運動のせいだけでは無い気がしている。女子たちのことをどうにも意識してしまい、そうなるとたまらず下半身が熱くなってしまう。

  男子たちの金玉がずしりと重くなる。

  「さっき食べたばかりなのに腹でも減ったのかなあ?」

  そう思いながらふと下を見ると、何故だか唐突に牧草が美味しそうに思えてきてしまったのだ。

  そんなまさかなと、穴が大きくなり始めている鼻で笑いながらすぐに否定したのに、ついつい口へと牧草をつまんで入れてしまう。

  「なんなのよこれ!? 美味しいじゃないのよ!!」

  躊躇無く食べてしまったが、春樹はその青臭くて苦みのあるしっくりくる味と食感にちょうどいいおやつとして認識してしまい、夢中で口に運んでしまう。

  「ねえ春樹……なにしてるのよ」

  休憩中の他の男子生徒たちもきょとんとしてやや引いていたのだが、のどをごくりと慣らしてしまいつられて牧草を味見してしまうと、次々に彼らのおやつをつまんでしまって皆夢中で牧草を食べ始めてしまうのだった。

  「なんかこう……特別美味しいわけじゃないけど、もうこういうのしか食べたくないような……」

  春樹が探そうとしていたものではなかったが、これもまた体が求めている物だったようで、放牧中の牛のように男子も女子も生徒たちは地面に手足をつき、牧草を思い思いに食べてしまっていた。

  牧草を食んでいるせいか、男子は肉体だけでなく顔つきまでだんだんと女性的になっていき、女子は逆に男性的な顔つきに変わっていくのであった。

  「なんかやっぱりしっくりくるなあ……」

  昼休みの間、放牧地に高校生たちが飼育中の牛のようにしばらく放牧されていた。誰もがのんびりと牧草をつまみ食いし、それは異様でのどかな風景であった。

  「今夜はちょっと特別なディナーをご用意したのでどうぞ楽しんでください」

  夕食前にオーナーがわざわざ挨拶に来て、生徒たちのテーブルには金属製の無機質で大きなボウル置かれたのだった。

  「ねえこれって……まさか」

  女らしく春樹がそう言うと。

  「こいつはずいぶんなごちそうじゃねえか! がっはっはっ!」

  と、紬が男らしく堂々と答える。

  三十人の生徒たちは用意されたごちそうを前にして、牛のようにダラダラよだれを垂らした。

  どうやら昼休みのことを見ていたオーナーが、気を利かせてくれたのだとすぐに理解し、彼らは感謝するのだった。

  目の前には大きなボウルに山盛りの新鮮な牧草と、バケツに注がれたただの水がある。まさしく彼らが今最も食べたいものである。

  「おかわりも十分あるのでお好きなだけどうぞ」

  オーナーも従業員も生徒たちがオキシトシンを出すようにうんと甘やかしてくれている。

  そして牧草を前にした彼らは我慢できないといった様子で、いただきますも言わずに牧草に食らいついた。

  手づかみで、両手で交互に、食べ方は様々だが下品ないい食べっぷりである。中にはボウルに直接顔を突っ込んでしまっている生徒もいる始末だ。

  「美味しいね。ほんとここはいい所だねえ……」

  春樹は牧草を片手でつかみ口に入れ、しばらく反芻し、そしてまた口に牧草をほおばる。

  安心して牧草を食べていたが、やがてそれすらめんどうになってしまい他の生徒がやってるのをマネして、ボウルに直接顔を突っ込んでしまうのだった。

  手づかみより食べやすく安定している。反芻しやすい……そう思いながらボウルから一旦顔を上げると、鼻の穴は大きくなり、湿ってきた鼻先と口先が太くなって前にやや伸び始めていた。

  「ん? なにかしらね……」

  なにかがおかしいとは思ったが、他の生徒たちもだいたいは同じ状況なので、彼は安心して食事に戻り、家畜じみていく顔をボウルに突っ込む。

  生徒たちは穏やかではあるが、まるで草食動物のように品の無い食事をし、顔つきまでも牛のようにさせていく。

  耳が尖り始め、頭から突起物が小さく出てきていて、尻尾らしき物まではえつつあった。

  体が異様に膨らむように大きくなっていくが、明らかに人間の体の成長の仕方や太りかたではなかった。それでもはっきりと男子は肥満していき、女子は筋肉が発達していくのである。

  「うっ……」

  男子も女子も股間から直感的に非常事態を思わせる、じっとりとした熱を感じていたが……ただの家畜のように食事に夢中になっていて、たかが牧草を反芻するのに夢中でやめようとしない。

  自身の性別に取り返しのつかない変化が起きているというのに、食事を優先して気にも留めようとしない。

  草食動物らしく太く前に伸び始めた口は、前の口よりも反芻がしやすいので生徒たちは嬉しくなってより牧草をほおばり、バケツの水をがぶ飲みするのであった……。

  「良い体してるわねえ」

  「そっちこそ大胆な体になって来ているじゃないの」

  風呂場にて女子のように春樹と瀬名はお互いの体をほめ合っていた。まるで雌牛のような姿になりつつある男子たちは、当然のように女子風呂に入っているのである。

  体は女性らしくでは無く、歪に厚く大きく丸まっていき股間はさらに歪であった。

  乳房となった胸が豊満なサイズとなり、ペニスは元の半分ほどに縮んでしまっている。特徴的なのが睾丸は大きくなった乳房かそれ以上に膨らんで重たくなりつつあった。

  そんな白と黒の斑の毛のようなものがあちこちから生えつつあるおかしな体を、わきあいあいと男子たちはほめているのである。

  「あらー素敵ねあなたの体」

  「いやだわ、そちらこそいい体してるわよ。胸だって金玉だってこんなに大きい」

  春樹と瀬名のように、体格の良い男らしい性格の男子も小柄で大人しい男子も別人のような姿に変りつつある。

  雌牛化していく他の男子生徒たちも各々でお互い歪な肉体をほめ合い、しっとりとスキンシップに興じている。

  男子風呂では今頃性別が逆なった以外は同じ現象が起きているだろう。女子生徒たちがなんの疑いも無く男子風呂に入り、固く引き締まり逞しい肉体や股間にぶら下がり始めているそれをほめ合うのだ……。

  「うふーん……変ねえ。あたしどうしたのかしら?」

  そして現在女子風呂では、男子たちは全員がこんなにも睾丸が大きく重たくなって股の間からぶら下がっているというのに、なにかでぱんぱんに満たされているのにムラムラしたものが無く、中身があまりないようにさえ思えていて、むしろ肛門の前のあたりがやけに疼いているのである。

  男性器と肛門の間にとても大切ななにかが出来つつあるのを、男子たちは全員本能的に理解している。

  だというのにとても穏やかで朗らかにお互いの体に触れ、妙にしっとりスキンシップをとっているのであった。

  就寝部屋に戻ってからも春樹は体が火照ったままで下半身の熱を感じていた。

  ぎらついた十代の性欲とは違う、穏やかな波のように続くなにか……。彼は周りにバレないようにそっと股間に手を伸ばした。

  勃起した半分サイズになったペニスをしごいても、以前とは違う快感が芽生えようとしているのが伝わってくる。

  「んっ……やばっ、なによこれっ」

  それは女としての快楽なのだが、彼がそれを知るはずが無く……これから嫌というほど知ることになるのである。

  「オナニーしてなかったからたまってるはずなんだけどな……なんか違うんだよな。違うもんがたまってる気がするわよ」

  春樹のペニスは勃起しているはずなのに元気が無く、職業体験に来てからオナニーをしていなかったというのに、そういった勢いも無い。

  「うーん……どうしちゃったのかしら俺?」

  首をかしげながら彼はペニスをしごき、もう片方の手で睾丸と肛門の間の蟻の渡に触れた。

  そこにはまだ何も無いが、センシティブなものがそこはなとなく存在していて、春樹は蟻の渡を刺激してしまうのだった。

  「あっ……そうそう」

  いまいちしっくりこないオナニーに良いアクセントが加わり、春樹は牛のように広がりつつある鼻の穴から大きく息を吐く。

  ペニスの快感とは違うじんわりとした疼き……それにより彼はすんなりと絶頂してしまう。

  男の絶頂感とは違う陶酔するような甘い痺れが、今はまだかすかにぼんやりと霞のように下腹部をくすぐる。

  「おっ……なんだこれ? やべえ……」

  睾丸は肥大化しているのに精液はあまり出ていない。むしろ他の物が出て行ってしまいそうな気がしている。

  なにかを失っているような、今だけの自慰でしか味わえない『両方』の特別な快感を、春樹は悪くはないなと思ってしまうのだった。

  一方その頃、牧場の従業員たちが担任と生徒のスマホや持ち物、痕跡すらも処分していたのだが、生徒たちは体の違和感と疼きを感じながら平和的な雰囲気でスキンシップに勤しんでいた。[newpage]

  五日目になると、生徒たちはいつの間にか担任も含めてお互いを牛であると認識していて、牧場の人間と自分たち牛と分けてしまっていた。

  「ンモオあれえ、私って牛だったかなあ……でもクラスのみんなも牛だしなモオ」

  春樹は疑問も抱いているがその原因が分からず、首をかしげるばかりだ。

  歪な見た目の牛たちは声が少し低くなり、言葉に牛の鳴き声が混じりつつあった。

  まだ短めだが角や尻尾がしっかりと生えてきていて、鼻と口が厚く平たく伸びてより顔つきが牛に近づいてしまっている。

  全身ががほとんど白黒の斑の産毛に包まれていて、人間の特徴を残した獣人のような見た目になっていた。

  「今日モいい天気ねえ……」

  「ンモ、おうそうだな!」

  のんびりとしゃべる春樹に紬が男らしくはきはきと答える。瀬名と琴葉のカップルも似たような状況だ。

  クラス全体がいつの間にやら交際していなかった男女も含めてペアになっており、男子のだらしのない中年男性のようだった胸は、完全に女性の乳房となってしまいたわわに実っている。

  体が肥えて肥満体になり、がっしりとした体型だった春樹も痩せ気味だった瀬名も、すっかり太ってしまっている。

  顔つきはなんだか雌牛らしさがあり、口調も体つきも雌牛の特徴が出始めていて、股間はより小さくなってペニスが豆粒のようになってしまっていたのにもかかわらず、睾丸が更に肥大化していた。

  だが、ギラギラと湧き上がってくるような性欲は不思議と無く、代わりにじんわりとした焼けつくような耐え難い熱を股の間に感じていて、じっとなにがが訪れるのを待っている。

  「モオ……ミルク美味しいね」

  「モ……もっともっと飲みてえな」

  彼らの仕事は放牧がメインとなり、一日のほとんどを牧草を反芻することに費やされていた。

  牧草のお供にミルクは飲み放題で一人ずつがミルク缶で提供され、それをゴクゴクと皆飲み続けている。

  男子は体のだるさと熱に加えて食欲が落ち、番相手を探して牧草地を長時間歩いてしまったり、女子に対して大げさにおどけてしまったりと、発情期の雌牛と同じような行動が見られるようになった。

  「ブモッ、てめえらかわいいな……なんだか乗りたくなってくるんだよなあ」

  紬はいやらしい目で春樹を舐めまわすように見て鼻息を荒くした。

  そんな女子は顔つきや体つきに雄牛のような特徴が見られ始め、クリトリスは人差し指のように伸びていき、ヴァギナの割れ目の周りの肉が膨らんで垂れて中身こそまだないが、股間に男性器のようなものが形成されつつあった。

  雄牛の特徴が現れた女子の体は男子よりも筋肉が発達していて、固くて一回り大きく、身長差が逆転してしまっていて、股間についている物も逆転してしまうのは時間の問題であった。

  「ぷはーっ……ゲエエエップ! あらやだ恥ずかしいわモオ。ちょっ服までダメになったっじゃないのよ」

  まだ毛の生えそろっていない雌の肥えた牛獣人のような姿になった春樹が、牛乳を一気飲みしてミルク缶を置くとその拍子に特大のゲップをしてしまう。

  するとより肥えて大きくなった肥えた雌牛のような奇妙な肉体によって、制服がビリリと悲鳴を上げて激しく内側から裂けてしまう。

  背中は大きく裂けてまんまるの背中が丸見えになって、脇などの付け根のすでに破れていた箇所はより広がってしまった。

  開いてしまって地肌が見えてしまっているズボンの縫い目もより大きく広がり、ミチミチと限界を迎えている音をさせていて、足がハムのようになっていた。

  「制服の代え、モっ持ってくればよかったかしら?」

  たとえ持ってきていても彼らの着れる服はすでに無い。ミルクの栄養とカルシウムのおかげで、女子も男子もここから更に一回り全身が大きく成長して完全に制服の上下が内側から裂けてしまう。

  彼らは放牧されているだけだったのに、クラス全員の制服は破けてしまい下着になってしまっており、その下着も今にもはちきれそうでもう限界寸前であった。

  生徒たちはついに風呂に入るという当たり前の行為すら頭に出て来ず、今夜は汚れたまま就寝してしまうのだった。

  「あっやばい……こんなの初めてだわ。モモ……」

  下半身がじんわりと疼く春樹の股間には、とても小さなペニスと……とても大きな睾丸があるのだが、蟻の渡へついに穴らしきものが出来てしまっていた。

  まだ湿り気があって指先がどうにか入るだけのものだが、昨日よりもよりセンシティブで感度が上がってきている。

  「モオオ……こんなっ!?」

  ここを触ってはいけないと心のどこかでは思っているのだが、そのトンネル工事が始まったばかりのヒリヒリする湿った穴を、彼はいじらずにはいられなかった。

  春樹は周りのクラスメイトに知られぬように声を殺して、まるで女の子のようにマスターベーションに耽るのだが……他の男子たちも同じような状況であり、お互いがお互いを隠したまま今までになかった快感にはまっていて、股を穏やかに愛撫しているのである。

  「モオオオ! やばいわ、声が出ちゃう! モッ!」

  股間の穴を優しくいじりながら、ミニサイズウインナーのようなペニスをなにかが消えていくせつなさでこねていると、男子のオナニーではなく女子のマスターベーションのやり方と何ら変わらなかった。

  春樹のクラスの男子全員が女の子のやり方で、マスターベーションを甘美なものとして受け止め夢中になっている。

  パンパンに肥大している睾丸に中身はなく、まったく違うもの……液体らしきなにかが溜まっていくようだ。

  出すのではなく受け止める。入れるのではなく股間になにかを入れたいという欲求が男子たちの中で高まっていき、下腹部がキュンとせつなく疼く。

  一人ではなく誰かが……番が欲しくなってくる。春樹たちは一人でいて、誰からも何もされていないのに、意識改革と肉体改造の両方が行われているのであった。

  「あ……な、なに? なにか来る? モモオオ! イク、イクッ! ブモオオオオ!」

  牧場だからだろうか、就寝時間だというのにあちこちから牛の低い鳴き声が聞こえてくる。

  春樹は斑の産毛が生える全身をこわばらせ、ガクガクと痙攣させた。絶頂しペニスから射精するのだが、ザーメンはほとんど出て来なかった。

  股に開いた穴も湿り気を増した。

  「ハァハァ……」

  なにかが減っていき、なにかが増えている……春樹は継続する波のような小さな快感に安堵するかのように、ベッドに寝転んだまま起き上がろうとはしなかった。

  「ブモオオ! いいなこれ! いいっ!」

  その頃女子の部屋でも自慰が行われていた。しかしなよなよした男子とは違い、逞しく雄々しい女子たちは隠そうともせず堂々とオナニーをしている。

  紬はついに片手でつかめるようになったクリトリスを、シコシコとこすり荒く鼻息を吐いた。

  女子たちは男の子が新しいおもちゃを手に入れた時のようにはしゃぎ、長くて太くなったクリトリスを扱うのに熱中している。

  積極的にクリトリスをしごきながら、どう使えばいいのかを調べ確かめ情報共有していた。

  中身はまだ無いが、ヴァギナの周りの肉が垂れて皮袋となって股間からぶら下がっている。

  「ブモ、なあこれ……どこかに入れたらいいんじゃねえのか?」

  なんでも積極的に試そうとする彼女たちがそれを実行してしまうには、あまり時間はかからなかった。

  一人の女子がクリトリスを他の女子の肛門に突っ込んでしまったのだ。しかもそのまま相手に抱き着いて腰をヘコヘコと振り始めた。

  「モ゛ッ! あっ、これたまらねえな……」

  「ケツに入れられんのも悪くねえモオ」

  センセーショナルな一大ムーブメントの誕生の瞬間である。

  女子たちはクリトリスを他人の肛門にねじ込み腰を打ちつけ始めたのだった。

  どの女子もクリトリスを肛門に入れていき、紬もまた琴葉の肛門に入れてしまうのである。

  「モモモモ……締まるなあ」

  「んーケツがあ……」

  性行為がまだであれば初めての、経験済であれば陰核を愛撫する時の快感をより突き詰めたような気持ちのよさに、彼女たちは腰を振りクリトリスを突っ込むのに没頭していく。

  股間で中身のまだない皮袋が揺れる。女子が自分が入れる側であると自覚していき、これでなにかが出てきたらいいのではという発想が生まれるのであった。

  「ブモ……で、出てくる! イクイクっ! イっちまう!」

  絶頂した女子の女の割れ目からは、透明なゼリーのような発情粘液が少し垂れてくるだけであった。

  しかしクリトリスの先端が発情粘液とは別の透明な液体で滲むという、大きな収穫があったのである。

  女子の部屋では、自分たちが入れて出すがわであるという意識改革が行われ、それに対応した肉体改造が起きたのであった。

  卵巣が下りていく準備を進め、女子たちの女性器の穴がより狭く縮んでいく……。[newpage]

  六日目は牧場の周りの切り倒し、切り株を引っこ抜き丸太を運んで、その土地を重機を使わず人力ならぬ牛力で行うという、重労働をしていた。

  「思ったよりも簡単ねえ……」

  声はしっかりと牛のような低さになり、角と尻尾が伸びて脂肪と筋肉がより蓄えられたその見た目はより牛に違づいていた。

  高校生たちは人間ではなく、ほとんど牛の獣人になってしまっているが誰もそのことを疑問に思わない。

  ただ一匹、春樹だけが時折首をひねって頭を悩ませているが、理由はなぜか理解できないでいた。

  食事は完全に放牧地の牧草と、牛用の飼料である穀物と干し草に変更され、誰もが床に手足をついて這いつくばり、ボウルに牛のような顔を突っ込んで食べるようになった。

  その手足の筋肉が四つ足で重い体重を支えやすいように大きく発達し、爪が偶蹄目らしく黒ずんでいる。

  産毛が濃くなって、斑のホルスタイン柄の毛皮となって全身を包まれてしまった肉体は、より歪に大きく寸胴のように厚く四角く膨らんでいった。

  その体に耐え切れず、ついに下着が破けてしまい裸で過ごすようになったが、まあいいかと誰も気にはしなかった。

  「モオオオ……やっぱお前かわいいな……ムラついてしょうがねえぜ」

  鼻息荒く興奮した様子で、すっかり逞しい雄の牛獣人のようになった紬が春樹を力強く抱き寄せ、首筋をいやらしそうに分厚い牛タンで舐めている。

  「あっ……やめてください。そんなのいけません」

  春樹は恋人である興奮した雄牛に対して、オドオドと弱々しい態度で落ち着かせようとしていた。

  全裸になった生徒たちはそれにより股間が丸見えになってしまい、すっかり女らしい体になって脂肪で太ってしまった男子の股間には穴が開いて女性器が……男らしく逞しい体になった女子の股間では割れ目が閉じかけていて男性器がほとんど完成しており……それがむき出しにされたのだった。

  「ブモモモ! へえ、いい体してるじゃねえか」

  それにすぐさま反応したのは雄牛たちだった。牛たちは男女問わず放牧地や大広間で過ごすようになっていて、明らかに発情期を迎えている雌牛を捕まえ、ペア相手に熱心にアプローチして番になろうといる。

  「モオ……いいだろうなあ……」

  「ンモオ……んっう! だめです。そんなこといけません! あっモッ!」

  しっかりとした運動部らしい体であったのに、他の雌牛と同じようにぽっちゃりとよく肥えて、胸と腹も大きな雌牛獣人のようになった春樹は、雄牛を拒んでいるものの……超ミニサイズの豆粒のようなウインナーとそっくりな大きさになってしまったクリトリスのようなペニスと、水が詰まった袋のようになった睾丸の後ろ、男性器だった物と肛門の間に割れ目が出来てしまっていて、桃色のきれいな穴まで開いてしまっている。

  そのまだ作りかけだが、お互い未完成なので行為には問題無い穴に、すっかり男性的な形状になった紬の指が入れられていて、試すようにいじられているので妙な声が出てしまっている。

  春樹は口では嫌がっているのだが、その肥えた豊満な肉体は雄を受け入れる準備が出来ていて、初めての愛撫の刺激により出来たての割れ目から発情期の雌牛のように、透明な水溶性の粘液を垂らしてしまっている。

  (だめなのに……交尾しに牧場に来たわけじゃないのに……)

  そう思っていても彼女の周りはすでに各々が行為を始めており、痩せ気味な体型だった瀬名も漏れなくよく肥えた雌牛の獣人になっていて、どちらが最初に手を出したのか分からないほど楽しそうに、雄牛になった琴葉の上に跨って贅肉を揺らしてだらしのない肉体を跳ねさせている。

  「モオ……瀬名……なんでそんなことしているのよ。それじゃ雌牛みたいじゃない」

  実際、男子も女子も牛のような姿になっている。

  担任に至っては俺が教師として指導してやると言わんばかりに、ペアを作れず番相手の居ない雌や雄を、見境無く野獣のごとく次々に犯している。

  「もうこんなにぐしゃぐしゃなんだから入れていいよな? なっ?」

  春樹のアソコから指を引き抜いた紬は、雄々しい表情で自分の濡れた指を見ながら鼻息を荒くした。

  「モオオオ……だめええ……」

  春樹は昨日女性のような絶頂という初体験をしたばかりなのに、今は雄牛になった彼女が野獣と化して体に圧し掛かってくる。

  あおむけで春樹は抵抗しようとしたが上手く力が入らず、運動部の男子らしい良い体から脂肪の蓄えられた雌牛のものになったかわいらしい肉体は、雌として雄を受け入れようとしている。

  人間の男性のに近いが、クリトリスのように粘膜に包まれていて動物の物にも似ている紬のペニスが、春樹の新品ほやほやの完成寸前の濡れた割れ目に迫っていく。

  「モオ、あっやだ入って来てる……あああっだめえ! 入れないでモオオオオオオオオオッ!」

  「ブモモモ……こいつあいいや」

  雌を組み敷いた雄牛が腰を前に押し出すと、先端が雌の穴を捕らえた家畜のペニスが中へ沈んでいく。

  粘膜がこすれ元々の自分の物よりもはるかに大きなペニスを、大事なアソコに入れられ雌牛が鳴く。

  「モオオオオ! ああーモオオオ……いい! 最高だモオオオオ!」

  雄は中の暖かさと濡れている感触を楽しんでいたが、やがて腰を動かし始め動きが大胆に豪快になっていく。

  「ンモっ やああ、入れないで! エッチしないで、交尾しないで!」

  「ブモモ、そんなこと言われてもなあ。モオオオ!お前のここは交尾したがってるぜンモオ」

  春樹がどんなに鳴いても、彼女の番相手となった雄牛は強引に交尾に持ち込み雌牛を犯した。

  牧場のあちこちで元からそういう生物だったように雌牛と雄牛が交尾している中、春樹だけが繁殖行為を嫌そうにしているが、きちんと喘いでもいた。

  雌牛としてきちんと雄を受け入れてしまっているのだ。

  「あっ! やだあっ! ンモオオオ! んっ、やめてえ」

  「モオオオ! たまんええ モオオオ!!」

  初めての雌としての交尾、初めて経験する種付け行為……彼女はどうしてかいけないと思いつつも感じてしまっていた。

  他の雌牛たちと同じように情けなく雌として喘ぎをもらしてしまう。

  ヴァギナへペニスを入れられるという本来は知ることの無い快感を、家畜にされ無理やり経験させられているのに、固い肉の棒も番相手のことも愛おしくてたまらなくなってきてしまう。

  はっきりと嫌なのに頭の中がめちゃくちゃにされてしまう……。

  「あっ! モオオ……奥に! 奥におちんちんが当たってる! 大きすぎる!」

  「ブモオ! 交尾! いい! モオオ……もっとしたい! モオオオオオ」

  雌としての交尾は驚異的に快感であり感動さえ覚えてしまう。彼女は雄の性器がとてつもなく魅力的に思えてきていた。

  「やだあ……モオオオ、やめてよお……」

  「ブモオオオオオオオオッ! こうび おれこうびしたいモオオオオ!」

  雄に犯される喜びを受け入れながら、肥えた体を揺らし交尾が好きに……番相手の雄がもっと好きになっていく。

  「モオオオッ! あっあああっも……モオオオっと!」

  「ブモオ! こうび! ンモオ! おでおまえすき モオオ!」

  拒否から受け入れる姿勢になっていき、やがて自ら求めるようになっていく。

  ペニスを発情した雌の器官に突っ込まれるだけで、人間の男からただの雌牛へと落とされていく……。

  「ンモオオオオオ……ああん……いいわああ」

  「ブモッ! モオオオ……ンモオオオオ!」

  セックスではなく交尾として荒々しさが増していく。

  雄牛は雌に種付けをするために力強く腰を押し上げペニスを突き入れ、雌牛はそれを愛おしそうに受け入れている。

  「ンモッ、やだあそこでビクビクしてる……いいわ出して! ンモオ! 出してちょうだいモオ!」

  「ブモオオオオオオオオッ! で……る……」

  雄牛が雄々しくいななき、雌牛の胎内でなにかが確かに弾けた。

  熱い液体が彼女の出来た直後の新造された部屋にぶちまけられる。

  精通を迎えた雄牛が射精し、雌牛よりも大きな体で押しつぶすように腰をぐっと押しつけて、女性器の最も深い所までペニスを突き入れた。

  「ンモオオオオ! 出てる! 出ちゃってる! もっと出して!」

  「ンモオオオオ!」

  雄が震え胎の中に熱い液体が出ているのを感じて、雌牛は本能的にそれを搾り取ろうとメスイキを起こし、出来立てとは思えない膣と子宮収縮し雄牛のペニスから種汁を搾り取ろうとした。

  雄牛は和牛種のエリートのような高級な種牛では無いが、雌の希望に応えてザーメンをたくさん出そうとするのであった。

  「うふふこんなに出しちゃって……モオいけない牛さんねえ……」

  「ンモオ!」

  初めての射精と種付けを終えたペニスが引き抜かれると、A5ランクほどではないが濃厚なザーメンが、ちゃんと完成したヴァギナからあふれ出てくる。

  彼女のミニペニスもきちんとクリトリスとして割れ目に収まっている。

  豊満な乳房についている大きな乳首の先からはミルクが滲んでいて、種付けが成功したことを物語っていた。

  もちろん春樹だけでなく、瀬名も他の元男子たちも同じ状況であった。

  雌牛も雄牛も種付けが完了し、より濡れた鼻先と口先が前に伸び顎が平たく発達し完全に雌牛と雄牛の顔になった。

  「これじゃ私たちも乳絞りされちゃうわね……」

  母乳が滲む自分の乳首を見ながら、照れ臭くも妊娠したであろうことを確認し彼女は満足するのであった。

  男女の性別が逆転する。雌牛の元は睾丸だった物が家畜としての乳房に近づいていく。雄牛の閉じかけていた大事な割れ目が塞がっていく……。[newpage]

  こうして牧場に牛たちが来て一週間がたったが、今日も家畜たちは放牧地や広間で自由に過ごしている。

  獣人のミルクは出荷できないのか、春樹が予想していた乳絞りは行われなかった。

  だがしかし、牛たちはそこら中で交尾をしていて、常に種付けが行われてるような状況であった。

  「モオオオ……いい……」

  「ンモオオオオオオ!」

  くり返される激しい交尾により、家畜の人間としての意識や理性が薄れていく。

  交尾中に雌牛の乳首からはミルクが飛び出し、雌も雄も等しく髪の毛が抜け落ちていき、だんだん言葉さえ話せなくなっていく……。

  「モオ……」

  (あっなにかへん……)

  雄牛にガツガツを突かれ犯されながら雌牛の乳房がピンク色に変色し、乳首が長くなって、胸の形状までもが変化しながら下腹部に移動していった。

  大きく重たく股間からぶら下がっている睾丸だった物も、すっかり前へと下腹部に移動していき、移動してきた乳房とぶつかり一つになって、人間なんかのではない乳首が四つあり左右に別れている本来の家畜の雌牛の乳房になった。

  「あっモッ……モオオオオオ いく……いく……」

  「ブモオオオオオオオオッ!」

  雄牛の乳首が毛皮に埋もれるように見えなくなってしまう。立派な大きさのペニスがひょろりと細長くなっていき、形状が亀頭さえもなくなって、きれいなピンク色をしたただの牛の物に変わる。

  楕円形の睾丸は、雌牛の乳房のようにより肥大化している。

  髪の毛が抜け落ち始め、胸と腹の境界がなくなって、背中がこぶのように筋肉で隆起することで胴体がより厚く、四角い寸胴やバスタブのようにずんぐり膨らんで筋肉がそれに合わせて発達していく。

  首が太く伸びて、全身の骨格さえもが固い肉を詰めれられて厚くて四角い胴体に適した形に変形を強いられていく。

  大型の家畜の体重を支えるために、二の腕や太ももは四足歩行に支障が無いように平たく太く成長していき、その先の手足は細く見えるが骨太になっていった。

  その手足には指なんて必要が無いので、硬質化していき蹄になってしまった。

  交尾中の牛獣人たちは雌も雄もすべての動物が、四足歩行の家畜となった。

  人の言葉は完全に喋れず、事情をを知っているこの牧場の従業員でさえ判別が難しくなりつつあるほどただの牛と違いが無くなってしまったのである。

  「データでは通常よりも変化が遅れていますがいかがしますか?」

  「そうね……ひとまずこのままで行ってちょうだい。異形がないかのチェックは怠らないようにね」

  牧場としても初めてのことが多く混乱も生じているようだが、オーナーは冷静に経過観察を指示した。

  彼女でさえも牛たちを最終的にどう扱えばいいのか、まだ決めかねているのだった……。[newpage]

  本来の職業体験の期間を過ぎたが、組織が火消を怠らずにこなしたので何の心配もいらなかった。

  「ひとまずはなんとかなりそうね……」

  「この牛たちは商品にするんですか?」

  「そこが困り所なのよね。扱いが難しくてまだ分からないわ」

  生徒たちにこんなことをしておきながら自己保身の目途がついたので、気の毒とは少しばかり思いつつもオーナーも従業員たちもすっかり仕事としての対応していた。

  その牛たちは現在、厩舎で生活させられている。

  「モオオオオオ」

  すでに人間だったという意識は消失しており、髪の毛は大部分が抜けてしまった。

  ほとんど髪の毛が無くなった頭部は顔つきから人間らしさが完全に消失し、目が横に離れて動物の牛の眼球と同じになる。

  瞳に残っていた人間らしさや光さえ消えてしまい、頭部の形状も変形し牛たちは本当にただの牛となんら変わらなくなる。

  「モオオオ……」

  牛たちは喋れないし、ろくに考えることも出来ない。

  蹄に変化した手足はしっかりと四百キロもある体重を受け止め、家畜の体になった身体に馴染むように骨格も完全に牛の物へと変化が完了した。

  牛たちは畜産に適して対応するためにより大きく牛として立派に成長していく……。

  「種付けは完了してますけど、一応しておきますか?」

  「ええきちんとしておいてちょうだい。大きなミスがあったばかりだもの、通常の対応時以外は正規の手順を守らないとね」

  「は、はい。しっかり確認しておきます」

  オーナーは自分の身に危機が迫っていたので、こうして従業員にチクりと小言を言うことが多くなっている。

  「はーいじゃあチェックするからねー」

  そして春と呼ばれている乳牛が最初に連れて来られた。賢い牛なのでこれからなにが起こるのかを理解しているようで、どことなくそわそわしている。

  お相手は最近牧場に入った牛たちの中で、一番種牛として評価高い紬号が選ばれた。

  「春ちゃん大丈夫だよーおとなしくしててね」

  賢い雌牛は落ち着いているようだが、牛たちに優しい従業員はなだめてやっている。

  だけども、生殖器から透明なゼリーのような粘液を垂らす発情した雌牛を見て、種牛は興奮したようで暴れ出した。

  「こらこら、紬号まだ待ちなさい」

  力強い雄牛の存在を背後に感じ取り、雌牛はドキドキとしている。

  あまり考えることはできないが、不安ではなくなにか良いことをしてもらえる気がして喜んでいるのだ。

  「盛りがついちまって大変だなあ。ほら行くぞー……頑張れよ」

  興奮した種牛が装着されたばかりの鼻輪を鼻で引っ張られ、雌牛の後ろまで連れて来られる。

  種牛は雌牛の上にガバリと乗り、腹部まで繋がっている毛皮のさやから鞭のように細長くてしなる、ピンク色の生殖器がニョロリと飛び出した。

  紬号は雌が怪我をしてしまわないか心配になるほど力いっぱいに、すごい勢いで腰を前に突き出した。

  「モオオオオオオオオオオオッ!」

  ごぼうのように細い牛のペニスが、それに対して広すぎる粘液を垂らし続けている雌牛の生殖器に突き刺さり、雌は大声でやかましく鳴いた。

  挿入ではなく突き刺すというのが正しいほどの勢いである。それなのに種牛はペニスを一度突き刺しただけで、雌牛からおとなしく降りてしまうのだった。

  牛の交尾は牛の一突きと呼ばれており、鹿などの偶蹄目と同じく一度の挿入という一瞬で終わってしまうためだ。

  しかし雌牛も雄牛もこの交尾で満足している……。

  「モーーーオ……」

  種牛が余ってしまうが、念のためにこれから新たに入った雌牛全てへ種付けが行われるのだった。[newpage]

  今日で生徒たちが職場体験に来て九日目になる。

  牛たちにわずかに残っていた髪の毛は全て抜け落ちていた。体毛もしっかりと見事に生えそろい、こうなると従業員ですらただの牛と見分けがつかなかった。

  もっとも、この牧場にいる牛は全てが元人間であるのだが……こうして生徒たちは人間から産業用の動物へ、きちんと変化されられたのだった。。

  「量産タイプとしては乳の質も悪くないですし、データも良ですね」

  「分かったわ。早急に手配してちょうだい……」

  乳だけでなく、実は肉質も悪くはないのだが……ペナルティを負った人間でもない、無関係どころか手違いで変化させてしまった高校生たちを、一方的に屠殺するわけにもいかず。

  乳牛や種牛として商品にして出荷してしまうのも、失踪した高校生としてどこかで足がつくリスクが高いと組織が判断したので、この牧場で全頭飼育されることになった。

  オーナーは自分への評価さえ下がらず、罰則が無ければそれでいいと考えていた。

  むしろ和牛種のような高級品ではないが、平均的な牛よりも質の高い牛たちを大量に手に入れたので、これをチャンスだとさえ捉えているのだ。

  「春ちゃん、じゃあこれから絞るよ」

  雌牛が準備の済んだ搾乳場に呼ばれ、乳頭が殺菌剤で消毒された。そして優しい授業員が体をなでて、これから乳を搾るという合図を送られるのだった。

  「モオオ……」

  雌牛は初めての搾乳なのだが落ち着いている様子だ。

  そして前絞りが行われる。乳頭に溜まっている乳を排泄して通りを良くし、異常の発見と刺激を与えて乳を出やすくするためだ。

  これを行わないと乳房炎という病気になると習ったばかりなのだが、雌牛はなにも覚えておらず、考えることも出来ないただの家畜である。

  「モオ……」

  そして再度乳頭を消毒され、清拭が行われた。

  この牧場独自の回転するブラシで乳頭と側面部がきれいにされていく。

  「モオオオオオオオオオオオッ!!」

  雌牛は大きく鳴いた。

  ブラシの刺激が敏感な長い新品牛乳首を刺激し、すでに妊娠して乳牛となった雌牛は生殖器からドロドロの透明なゼリーを垂らした。

  そして恐怖を与えないように大切に優しく扱われてる雌牛から、オキシトシンが分泌される。

  メスイキを起こした雌牛の数日前に出来上がったばかりの、敏感すぎる長くて四つある乳首が刺激されて、ミルクが先端からあふれ出している。

  生殖器からも透明な粘液を雌牛は垂らし続け、従業員に発情しっぱなしの体をこすりつけようとしていた。

  「モオッ!?」

  従業員が問題無しと判断し、その敏感な乳首にティートカップが装着される。そして真空になり、圧力差で良質の乳が絞られていく。

  「モ、モオ……」

  まだ産んでいない。これから確実に産むであろう子牛に、乳を実際に吸われるのを想像しながら雌牛は感じてしまっていた。

  見た目だけならなんら変わりも無い普通のホルスタイン種の乳牛なのだが、雌は普通の雌牛ではなかった。

  やけ敏感な乳首を機械に吸引される刺激に感じていしまっていて、まるで人間の女子のようにとろんと艶のある顔をしていた。

  「モ……」

  この際異種である人間でもよかった。とにかく発情の熱に耐え切れず、交尾をして欲しいと願っている。

  「辛そうだねえ……よしよし今楽にしてあげるからねー」

  雌の家畜の思いがまさか人間に通じたのか、従業員は雌牛の真後ろに立った。

  けれども人間は仕事を真面目にこなしているだけで家畜に発情するわけも無く、触診に使われるような肩まである特殊な家畜用の手袋をはめると、雌牛の生殖器の表面や周りをテンポよくこすり始めた。

  「モオオ……ッ」

  熟練の手慣れた動作であり、雌牛はその気にさせられていく。

  もちろん業務の範囲であり、元人間の雌牛はほぼ搾乳中に『こう』なってしまい……生殖器を刺激してイかせてやると乳の出が良くなることもあって、この牧場で行う搾乳の必須テクニックであった。

  「モ……」

  雌牛は人間のように考えることが出来ない。頭の良い牛なので不思議そうに首をかしげたりもしているが、ただ素直に快感を受け取るだけであった。

  「モオオオオ……」

  テクニシャンの手が生殖器に挿入された。だが奥には入って行かず、入口付近を愛撫しこねくり回している。

  雌牛は快感に尻の大きな穴から粘液をドバドバ垂らし、元から良かった乳の出が見違えるほど更に良くなり、すごい勢いでミルク缶に溜めていく。

  ミルクと共にとても大切ななにかまで出て行っている気もしているが、雌牛にはなんのことか分からない。

  そんなことよりも、搾乳とマッサージによる快感の方がよっぽど乳牛には大事である。

  「出てるねえ。すごいよ春ちゃん、もしかしたらここで一番の乳牛なんじゃないかな?」

  雑談でも交わすように従業員は、優しく丁寧に雌牛の生殖器の入り口付近にある肉のでっぱりを執拗にこねた。

  「モオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

  クリトリスをしつこく愛撫されて、雌牛は生殖器を収縮させ激しく絶頂する。

  人間の手でしかもたらすことの出来ない快感は、種牛との一瞬の交尾よりも強く素晴らしいものであり、搾乳中何度もおねだりするように尻を人間の雄に押しつけ、何度も激しいメスイキを起こしてミルクと発情粘液を勢いよく出してしまうのだった。

  「春ちゃんよく頑張ったねえ」

  搾乳機が外れ、従業員も驚くほどの回数でメスイキをした春と名付けられている賢い雌牛は、彼にミルクの出した量と質をほめられながらもなにかを思い出しかけていて、不思議そうに首をかしげているが……そんなことよりも搾乳中のマッサージが大好きになり、これからは大喜びで種牛に種付けされ搾乳が毎日の楽しみになって、仲間たちと牧場でいつまでも幸せに暮らすのであった。