[chapter:着ぐるみTFでグリーティング!]
「おーい、[[rb:天馬 > てんま]]さーん」
「あ、あまつゆさん」
ある日のこと、僕、天馬はあるビルで友達のあまつゆさんと会った。というのも、僕たち二人にこのビルで行われるあるイベントの招待状が届いていて、あまつゆさんからも電話でこのビルで待ち合わせるように言われたからだ。
「また着ぐるみグリーティングの参加だって」
「また着る側としての参加かな?」
「そしたら[[rb:PTFS > ポケモントランスファースーツ]]の時以来だね」
「ふふふ…そうだね」
僕たちはそう言って笑いあい、招待状に書かれた部屋へ向かって行った。
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「やあ、いらっしゃい。じゃあ早速、更衣室に行ってこれに着替えてくれるかな?」
部屋に着くなり、係の人が僕たち二人に着ぐるみのようなものを渡した。この前のPTFSのイベントの時に会ったのと同じ人だった。
「これはね、着るとその動物になれる着ぐるみなんだ…あっ、ちゃんと二足でも歩けるから安心してね」
「「やっぱり」」
係の人の言葉に、僕たちは同時に応えた。
「この間の君たちの活躍は良かったからね~、新作を作ってみたんだ。それじゃあ、準備ができたら大広間のほうへお願いね」
係の人がそう言って退室していった。僕とあまつゆさんは、改めて渡された着ぐるみを見てみる。僕のは薄い黄色っぽい色だったが、あまつゆさんのは黒い色をしていた。
「…今回は何になるんだろうね?」
「楽しみだね」
「うん」
僕たちはそう言って、それぞれ更衣室に入っていった…。
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更衣室へ入った僕は、着ぐるみを着るために服を脱ぎ、渡された着ぐるみを広げた。この前とは違い、ツルツルしてはいない普通の着ぐるみだった。それは丸い耳と長い尻尾があり、全体的に薄い黄色をしているが頭に髪の毛のように黒い毛があり、尻尾の先にも黒い毛の束があった。
「ライオンだ…」
僕は広げた着ぐるみを見てつぶやき、背中のファスナーを開けてその中に身体を入れた…。
「!」
その瞬間、PTFSを着た時のようにキュッと締め付けるような感覚を覚え…次の瞬間、外気を身体に感じた。目を開けて身体を見ると、僕の身体は薄い黄色の毛に覆われていた。着ぐるみ体形とでもいうのだろうか、お腹や足は大きめになっていて、足は動物の足のような形になっていた。手を見てみると足と同じような形で、手のひらには肉球がついている。
鏡を見てみると、そこにはお腹と足が大きめの、二足歩行のライオンが映っていた。着ぐるみらしくデフォルメされていて、背中にはファスナーがついており、たてがみと目に以前の僕の名残はあったが。
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耳と尻尾にもちゃんと感覚があって手を触れなくても動かすことができ、腰を下ろしてみると本物のライオンのような姿勢で座ることができた。僕はその姿勢のまま、片手を上げてみた。
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「あ…天馬さん?」
僕がライオンの姿で更衣室から出ると、黒いクマが僕に声をかけた。
「あ…あまつゆさん?」
僕はそのクマを指さして聞くと、そのクマ…あまつゆさんはうなずいた。確かに僕と同じく、頭の毛と目の色があまつゆさんと同じだ。
「天馬さんはライオンか~…それにしても似合ってるね」
「うん、あまつゆさんもね」
僕たちはそう言って笑いあい、大広間へと向かって行った。
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『皆様、大変長らくお待たせいたしました!ただ今より、グリーティングタイムを始めま~す!ライオンさんクマさん、どうぞ~!』
アナウンスの後に、僕たちはそれぞれ舞台袖から入室した。同時に歓声と拍手が飛び交い、僕たちはお客さんたちと写真を撮ったり、ハグしたりして触れ合った。
そうしていると…、
「ねえライオンさんクマさん、四足歩行してみてよ!」
お客さんの子供の一人がそう言い、他の子たちもやってやってとせがむ。僕とあまつゆさんは言われるままに四つん這いになってみた…すると人間のように膝をついた姿勢ではなく、自然に四足歩行の姿勢をとることができ、そのままの姿勢で自然に歩き回ることができた。
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僕が驚いていると、お客さんや子供たちの間から「すげ~」「本物みたい」など、歓声が上がった。
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そのうちに…、
「乗せて乗せて!」
と声が上がったので、その子を背中に乗せて歩いてみる。そうすると乗せてあげた子が喜び、周りのお客さんから歓声が上がる。
「ねえねえ、ガオ~って吠えてみてよ!」
そうしていると、子供の一人が僕にそう言った。他の子たちからもやってやってと声が上がる。
(よーし…)
僕はそう思ってうなずき、両手足を床に踏ん張った。そして…、
「ガオ――――――!」
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自分でも驚くぐらいの声が出た…そして一瞬後、その声に負けないくらいの大歓声と喝采が響き渡った。僕は嬉しくなり、二足で立ち上がって頭を掻いた。
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「いや~、今回も良かったよ!特に天馬くん、いい活躍だったよ~、ありがとう!」
グリーティングが終わり、着ぐるみを脱いで元の姿に戻った僕たちを、係の人がそう言って労ってくれる。
「どういたしまして、こちらも良い体験をさせてくださいましてありがとうございます!」
僕はそう言い、係の人に頭を下げる。
「また何かお願いすることがあるかもだけど、その時はよろしくね!」
係の人がそう言い、僕たちはビルを後にした。
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「いや~天馬さん、大活躍だったね~」
「そうだね、こんなイベントならまたいつか参加したいよね」
「うん」
僕たちはそう言いながら、今回のグリーティングでの体験を噛みしめ、帰り道についた。