獣人至上主義

  「なぁ大神、お前もそろそろ自己中な俺様キャラにならないか?」

  「なりません」

  会社の後輩である狼獣人の大神拓真に話しかけた俺は、そのあまりの拒絶の早さに驚く……こともなく、いつものように食い下がる。

  「えー、なんでだよー。いいじゃんちょっとくらい」

  「良くないっすよ。どうせいつものアレっすよね、獣人至上主義」

  「そうそう。獣人様の下僕になりたい、的な」

  華の金曜日の仕事終わり。お互い一人暮らしだし、どっちかの家に集まって宅飲みしながら駄弁るのも悪くないけど、結局のところ、金さえ払えば美味いツマミと酒が無限に出てくる居酒屋の誘惑には勝てないのだ。

  混雑した居酒屋で、大神はハイボールのジョッキをグイッと煽ると、巨体なせいで座っていてもなお身長差がある俺のことをジトリと見下ろす。ちなみに大神は俺が雄獣人好きで大神がドストライクなことを知っている。でも、こうしてジトリと見下ろされるだけでチンコが半勃ちなのには流石に気付いてないだろう。

  「至上主義より酷いんすけど」

  「自分よりも遥かに強いオスがいたら屈服したいと思うのが日本男児だ!」

  「先輩は全日本男児に謝るべきっすね。普通に人種差別だし」

  「でも、だ。人間と獣人を比べたら、獣人のほうが遥かに強いのは事実だろ?」

  「まぁ確かに、普通の人間にはまず負けないっす」

  「スポーツとかも全部人間と獣人で種目が分かれてるしな。とある文献によると、人間の女性の力の平均を100とした場合、人間の男性は150程度、獣人の女性が300程度、獣人の男性は450程度らしい」

  「へぇ、男女差が1.5倍で種族差が3倍って感じなんすかね」

  「そうだ。つまりやろうと思えば、俺みたいな男が女性を押さえ込むのよりももっと容易く、大神は俺のことを押さえ込めるってわけだ」

  「やらないっすけどね」

  「そして押さえ込むだけじゃなく、俺たち人間を力づくで支配することだって可能なわけだ」

  「いきなり規模がデカくなるじゃないっすか。このご時世に力ですべてを支配するって発想、どんなガキ大将っすか」

  軽くため息をつきながら、流れるような手つきで唐揚げを注文していく。毎日のように説得を試みて、当たり前のように拒否される。いつもの流れすぎて、大神はもう気にも留めていないらしい。

  しかし、今日の俺にはとっておきがある。

  「あ、そういや俺、こんなものを持ってるんだけどさ」

  急に話題を変えた俺に対し、獣人至上主義の話題は終わったと判断したらしい大神が、俺が差し出したスマホの画面を覗き込む。そして、スマホの画面を見た大神の目が、驚きに見開らかれていく。

  「なんでこんなもん持ってるんすか!?」

  「なんとなくコンビニで買ったら当たった。これ、激レアなんだろ?」

  画面に映っているのは、時価10万円もする激レアなトレーディングカード。テキスト欄に書いてある効果とかはよく分からないけど、高いってことはたぶん強いんだと思う。

  大神は、屈強な肉体に見合わず、大会にも出たりするようなカードゲーマーだ。俺はその辺まったく分からなくて、コンビニでパックが売ってるのを見て「俺もやってみようかな」と1パックだけ買ったところで、そもそもデッキというものを作らなければいけないと知って、めんどくさくなってやめたほど。

  ただ、その1パックの中身がこれだ。中の1枚がやたらとキラキラしてるなぁと思って調べてみて、ネットオークションで値段を見て、目が飛び出るかと思った。カードゲームをやらない人間からしたら、紙切れ一枚にこんな値段がつくとは信じられなかった。これはもう、神様が俺に与えてくれたチャンスだとしか思えない。

  俺は予想通りの大神の反応に満足しつつ、大神の眼前からスマホを引いて手元に戻すと、あえて大神に視線を合わせずに、こう告げた。

  「あー、どっかに、このカードを譲ってもいいと思える、俺のことを力で簡単に支配できる自己中俺様系狼獣人はいないかなぁ」

  ・

  ・

  ・

  流石に外でそういう差別的な態度を取らせるのはこっちとしても抵抗あるし、やるなら家の中ってことで、居酒屋を出た俺たちは、そのまま俺の家へと向かう。軽く2メートルを超える大神にとって俺の家は天井が低すぎるから、大は小を兼ねるということで、いつもなら2人で過ごすときはいつも大神の家だけれど、そういうことをするのなら、色々と揃っている俺の家のほうがいいだろうという判断だ。

  家に着くと、大神は大きく腰を曲げてくぐりながら家に入ってくる。頭をぶつけるんじゃないかと思ったけど、そもそも扉の天辺が視線よりも下なのだからぶつけるわけがないのかと感心しつつ、そんな大神に、リビングのソファに座るよう促し、俺はその隣に座る。

  「じゃあ、獣人至上主義の俺様系でよろしく。俺が全力で抵抗したって、簡単に抑え込めるだろ?」

  「まぁ多分、それは余裕っすけど……自己中俺様系なんてやったことないんで、期待外れでも許してくださいね」

  「全然いいよ。じゃあ俺は風呂入って色々と準備してくるから、イメトレして寝室で待っててくれ」

  「色々と準備って、えっ!?」

  動揺した声をあげた大神を置いて、風呂へと向かう。そりゃ、大神がドストライクなわけだから、そういうことも期待するし、準備くらいはするだろ。

  色々と準備をして、破かれてもいいような、というか破かれることを期待したボロTシャツと色褪せたパンツに着替えて寝室に向かうと、大神はベッドに座って手に顎を乗せてぶつぶつと何かを呟いていた。大神もシャツとパンツの下着姿になっていたが、あれはたしか獣人専門のハイブランド品だ。こんなところでも思わぬ格差を見せつけられた俺は、それだけで少し興奮してしまう。

  ただ、近付くにつれて、興奮に加えて不安が混じってくる。普段であれば、俺の気配を察知して向こうから声をかけてくれるのに、その気配が全くない。いつも陽気で元気な大神らしからぬその様子を見て、大丈夫だろうかと不安になって声をかける。

  「大神?」

  そして、俺の存在に気付いた大神はハッとした表情で顔を上げると、瞬く間に不機嫌そうな表情を浮かべ始める。

  「大神?大神“様”の間違いじゃないっすか?」

  大きな一歩で距離を詰めると、眼前20cmくらいまで一気に詰め寄られる。俺の視線は大神の胸のあたりにあるし、顔を見るには首が痛くなるくらいに見上げないといけない。

  ……大神、こんなにデカかったのかよ。

  巨体なことは知ってたけど、こうして詰め寄られるとその巨大さがもの凄く強調されて、威圧感が半端ない。並んで歩いているときとは桁違いだ。

  そのサイズに唖然としている俺を見下ろしている大神が、胸を張るようにして突き出すと、俺はその胸にドンッ!と突き飛ばされてその場で尻もちをつく。

  「ってぇ……」

  「こんなんで突き飛ばされるなんて、ホント人間って弱っちぃっすね。ほら、言うべきことがあるんじゃないっすか?」

  大神はそう言うと、ニヤニヤとした表情で俺のことを見下しながら、大きな足を俺の胸に乗せて押し倒す。ただ足で押さえつけているだけで重さはあまり感じないけれど、俺が全身に力を込めて抵抗しようとしても、その足はまるで鋼鉄のようにビクともしない。

  「く、このっ……」

  「もしかして、それで抵抗してるつもりっすか?ただ掴んでるだけじゃなく?マジで人間って非力なんすね」

  「うっ、ぐぅ……」

  「踏み潰されたくないならちゃんと言うっすよ。大神様、呼び捨てにしてごめんなさいって」

  俺を見下し嘲るような表情は崩さずに、乗っている足に徐々に体重がかかっていく。どう足掻いても自力で抜け出すことのできないこの状況から逃れる方法は、大神の言うことに従うことだけだ。

  「呼び捨てにして、ごめんなさい、大神、様っ……」

  「分かればいいんすよ。それにしても……」

  俺が大神様と呼ぶと、あっさりと足を退ける。その代わりに、つま先で俺の股間を軽く小突いた。

  「ひゃぅっ」

  「踏まれただけでチンポおっ勃ててるなんて、マジモンの変態なんすね。人間ってみんなそうなんすか?」

  小突くだけでなく、軽く踏んだり擦ったりしながら問いかけてくる。人間がみんな踏まれて悦ぶわけがないけど、俺が特別に変態なんだと言うのは少し抵抗があって、躊躇していると、大神の足の指が俺のチンポをギュっと掴み、俺はその刺激に体を大きく跳ねさせる。

  「っ!」

  「俺が聞いてるんすよ?なに無視してんすか」

  「ご、ごめんなさい」

  「もういいっす。さ、ベッドで続きやるっすよ」

  大神はそう言ってしゃがむと、俺の首に手をかけて片腕で俺の体を軽々と持ち上げる。そして、まるで荷物を放るかのようにベッドの上に落とした。

  「先輩マジで軽いっすね。これなら俺がいつも使ってるダンベルのが重いっすよ。さて、邪魔なモンは剥いじゃいますか」

  「あ、ちょっ!?」

  そう言って俺の上に馬乗りになると、俺の制止も効かずに容赦なくシャツとパンツを破いていく。まるで紙切れのようにいとも容易く破かれぼろ切れになった服を適当に投げ捨てた大神は、俺を見下して嘲る。

  「なに止めようとしてんすか。そもそも、あんな色気のない下着を着てきたってことは、破いて欲しかったんすよね?」

  「それは……」

  「人間ごときの浅い考えなんて、お見通しなんすよ。にしてもマジで細いっすね。よくこんな体で生きていけるなって感心するっす」

  俺の平らな腹を、大神の巨大な手が撫でる。獣毛の生えた手のくすぐったさに体を震わせると、俺の股間と馬乗りになっている大神の股間が触れ、その刺激に声が漏れる。

  「んぅっ……」

  「あぁ、獣人至上主義の先輩は身の程を知りたいんでしたっけ?なら、要望に応えてやるっす」

  大神は見せつけるようにしてシャツを脱いでいく。ボコボコに割れた腹筋、張り出した胸、盛り上がった肩、大樹のような首。今まで見えていた腕や脚だけじゃない、すべてにおいて巨大な圧倒的体躯。人間のボディビルダーも素足で逃げ出すような体をもつ大神だけれど、実のところ筋トレ好きな一般獣人にすぎないのだ。

  これだけの格差を見せつけられて、それでもなお人間と獣人が対等であるなんて考えを持つ人間は、身の程知らずにもほどがあるだろう。

  そして、それだけにとどまらない。

  シャツを脱いだ大神は、パンツにも手をかける。太い脚に貼りついたパンツを剥がすようにして下ろしていくと、巨大なチンコが姿を現す。そこに釘付けになっていると、それに気付いた大神がニヤリと笑って腰を下ろし、俺のチンコの上に自分のチンコを重ねた。

  「!!」

  「身の程、知れたっすか?」

  萎えていても、勃起している俺のチンコよりも太くて長い大神のチンコが、俺のチンコを圧し潰す。俺の勃起では大神の重いチンコを押し返すことすら出来ずに、ただただ雄としての格差を刻まれるだけだ。

  「まさか、萎えてるチンコに硬さでも負けるなんてこと、ないっすよね?」

  更に追い打ちをかけるようにして、大神の手が2本のチンコを一緒に掴むと、上下に扱き始める。いわゆる兜合わせだ。咄嗟に大神の腕を掴むけれど、非力な俺の細腕では両腕を使っても大神の腕を止めることなどできるはずもなく、大神の萎えチンは程よい弾力で俺のチンコを刺激する。そして、夢にまで見た『分からせ』のシチュエーションに興奮していた俺の体は、あっという間に精を吐き出してしまった。

  「だめ、イく、イくっ!!」

  ビュビュッと勢いよく射精し、俺の腹と大神の手を汚していく。そして大神は、脱力して息を切らす俺を見下ろして、呆れたように罵る。

  「もうイったんすか?小っちゃいだけじゃなくて早漏なうえ精液もこんなもんしか出ないとか、ほんとに雑魚チンポっすね」

  「う……」

  「俺が本物の雄ってやつを見せてやりますよ」

  大神の手が俺のチンコから離れ、大神のチンコだけを握ると、そのサイズに合わせて、兜合わせしていた時よりも大きなストロークで扱く。獣人は精力が強い人が多い。大神も例外ではないらしく、扱かれたチンコはすぐにぐんぐんと大きくなっていく。

  大神の巨根は、俺の倍はあるんじゃないかと思うほどに大きく、悠々と天を突く。少し上反りで、大神が見せつけるようにして少し下に力を加えて離すと、腹筋と衝突してバチン!と音が鳴る。大きさだけでなく硬さや勃起力も、俺とは比べ物にならない。デカいのは知っていたけど、これほどとは。

  「すげぇ……」

  「感心してる場合じゃないっすよ。ほら、やるべきことがあるっすよね?」

  「えっ?」

  「はぁ……先輩は人間なんていうチビゴミの下等種族なんだから、獣人様にチンポ向けられたら気持ちよくなっていただくよう奉仕するのが当たり前だなんて、言われないと分からないんすか?」

  「!」

  大神からそう言われて、ハッとする。

  こういう類のセリフは普段俺が大神に言って呆れられているセリフだ。おそらくそれを真似てくれただけなんだろうけど、それを大神自身の言葉として聞くと、本当にそれが当たり前であるかのような感覚になって、俺はすぐさま大神の下から抜け出すとチンポへと手を伸ばす。

  大神のチンポは、片手で回りきらないほど太く、ギュッと握ってもビクともしないほど硬く、火傷しそうなほどに熱い。大神が少し腹筋に力を入れるだけで、掴んでいる手が持っていかれそうになる。俺はそんなチンポに口を近付けると、その先端に舌を這わす。

  とろりと垂れる先走りを舌で掬い取り、パンパンに張った亀頭に広げていく。唾液を絡め、獣人様の雄の味を堪能する。こんな極上の肉棒に奉仕しているのに、咥えることが出来ないなんで、マズルの無い人間の口の小ささを呪いそうだ。

  「そうそう、人間はそうやって奉仕してればいいんすよ。やればできるじゃないっすか」

  チンポをしゃぶる俺の頭に、大神の手が触れて、軽く撫でる。それはまるで、芸を覚えたペットを褒める飼い主のような手つきで。

  チンポから口を離さず目だけで大神を見上げると、大神とバッチリと視線が合った。そして大神はニヤリと笑うと、俺の頭を掴んでチンポから引き離す。

  「先輩、さっき色々と準備してくるって言ってたっすけど、チビゴミな人間ごときがコレを受け入れられると思ってるんすか?」

  そう言って、グイッと俺の眼前に唾液と先走りに塗れた巨根を突きつけてくる。これまでのプレイ内容を考えれば、大神が求めている返事は「獣人様の巨大なチンポを受け入れるなんて、矮小な人間ごときでは不可能です」なんだろう。

  ただ、獣人様に犯されることを妄想して慣らしてきた俺のケツは、大神のチンポを受け入れたいと激しく主張していて、雌にされたいとキュンキュン疼いている。激レアカードを対価にしてプレイしている現状、次があるとは限らないし、ここで大神に求められている返事をして手と口で射精してもらって終わりなんて、満足できるはずがない。

  「それは、やってみないと、わからない、だろ」

  「あ゛ぁん?」

  大神の表情が一瞬で曇る。当然だろう。

  ただ俺はそんな大神を気にすることなく、体を倒して大神のチンポを受け入れる体勢になる。そして、そんな俺を見た大神は低く呟いた。

  「それなら、身の程ってもんを教えてやるよ……後悔すんじゃねぇぞ」

  いつもと違う口調と声色、鋭く刺さる捕食者の視線を受けて、とうとう獣人様に蹂躙してもらえるのだと、体が歓喜に震える。キスはしない、愛撫なんて無い、慣らしてもらうことも無い。ただ、自分よりも遥かに強い雄に使われて、格の違いを思い知らされる。俺が求めていた行為だ。

  天を突いていたチンポが大神の手でグッと押さえつけられて、口に入らないほど大きな先端が俺の穴へと押し当てられる。慣らしてから時間が経っていて少しきついけれども、呼吸を整えて拡げるよう意識すると、それに合わせて少しずつ俺の中へと侵入してくる。そして、亀頭が入ったところで、一度動きが止まった。

  「マジで咥えこめんのか。じゃあもう、遠慮はいらねぇな」

  大神はそう宣言すると、両手で俺の腰を掴む。そして、俺の腰を覆えてしまうほどに大きな大神の手が俺の体を布団から軽く持ち上げ、一気に引き寄せた。

  ガツンッ!

  「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」

  遠慮なく突き入れられた規格外のチンポは容赦なく俺の中を抉り、前立腺を擦りつぶし、俺は絶叫を上げる。

  「なんだよ、大声上げて。一番太いカリの部分が入ったんだから、あとは余裕だろ?」

  「そんな、わけ、ないだろっ……」

  「へぇ、そうかよ。まぁ、入ったんだからいいよな。続けんぞ」

  大神は悪びれることも無くそう言うと、俺のことを持ち上げてチンポを引き抜き、亀頭だけ中に残すと、再度突き入れる。ガツガツと容赦なく動かされる俺は、まるでオナホールだ。

  「あ、あ゛っ、んんっ……」

  「やっべ、これ想像以上に気持ちいいな。おらまず一発イくぞ!」

  「~~っ!!」

  大神が吠え、最奥まで突き入れられると同時に、巨根が脈打ち、大量の精液が体内に注ぎ込まれる。そしてそれと同時に俺も絶頂し、触れてもいないチンポからとろりと精液を漏らした。

  「ふぅ……ん?先輩、もしかしてチンポに触れずにイったんすか?」

  息を整えていると、頭上から声がかかる。口調が元に戻ってるな、もしかして、獣人至上主義はもう終わりだろうか。

  「あぁ、めっちゃよかった……」

  「人間って、めっちゃ気持ちいいと、チンポに触れずにイけるんすね……それは初耳っす」

  獣人にも前立腺はあるだろうから人間に限ったことではないと思うけども、説明がめんどくさいのでスルーしておく。

  「それにしても、チンポのデカさにビビったと思ったから逃げ道作ってやったのに全然逃げないし、入るわけがないと思ってたのに普通に入るし、先輩なんなんすか」

  「獣人至上主義だからな、獣人様のチンポを受け入れるために日々研鑽してるんだよ」

  「ってことは、このまま2回戦に行ってもいいってことっすよね?」

  「え?」

  「さっき、まず一発って言ったじゃないっすか」

  「ちょ、ちょっと待て、少し休憩してから……」

  「ま、無理って言われてもヤるんすけど。嫌だったら全力で抵抗してもいいっすよ」

  抵抗したところで無意味だと見下すその言葉を聞いて、心がぞくりと震える。そして、俺の中に入ったままだったチンポが、硬さを取り戻していく。

  どうやらまだ、獣人至上主義は続きそうだ。

  ・

  ・

  ・

  「なぁ大神、お前もそろそろ自己中な俺様キャラにならないか?」

  「なりません」

  会社の後輩である狼獣人の大神拓真に話しかけた俺は、そのあまりの拒絶の早さに驚く……こともなく、いつものように食い下がる。

  「えー、なんでだよー。先週末、俺様キャラやってたじゃんか」

  「あれは特別っすよ。いつもあんなキャラでいたら疲れるっす。というかそもそも、あれで懲りなかったんすか?」

  「懲りる?」

  「あのあと朝までヤって、俺が帰った後も土日丸々動けなかったって言ってたじゃないっすか」

  「土日なんて動く必要無いんだから動けなくても問題ないだろ」

  「……そっすか」

  ん?ちょっとトーン下がったんだけど、なんか地雷踏んだ?

  そう感じていると、大神が俺の目の前にスッとスマホを見せる。

  「そういや俺、こんなもん持ってるんすよ」

  先週、俺がカードの写真を見せた時と同じ言葉で見せられたスマホ。俺は特別に何かをコレクションしてるってわけではないんだけど、なんだろうか。そう思いつつ画面を見ると、そこには、画面いっぱいに大神のチンポが映っていた。

  「ブッ!!?」

  突拍子もないチンポに、飲んでいたビールを噴き出してしまう。間一髪でおしぼりを口に当てられたから良かったけど、もし間に合わなかったら大惨事だったぞ。

  「ゲホ、ゲホッ……大神、お前何考えてんだ!」

  「これ、欲しくないっすか?」

  「あのなぁ、外でいきなりこんなもん見せてくる奴がいるかよ」

  「欲しくないっすか?」

  「……そりゃ、欲しいけどさ」

  大神のゴリ押しに負けて、本音が口から出る。そんなの、欲しいに決まってる。

  「でも、もうレアカード持ってないぞ」

  「先週のセックス、激しくしすぎたから先輩はもう懲り懲りだろうと思ってたんすけど、懲りてないならレアカードなんて無くてもいくらでもヤってやるっす。俺は気持ちよかったんで」

  「激しかった?」

  「……マジっすか。俺ちょっと、先輩のこと舐めてました」

  俺が聞き返すと、大神は驚いたような声を出す。

  確かに、一般的な観点から見たら激しい行為だったのかもしれないけど、獣人様が人間を使う行為としては、想定の範囲内というか。むしろぬるいくらいだ。骨折くらいは覚悟してたけど、動けなかった以外は掴まれてた腰が少し赤くなった程度だったし。

  「ってことは、今晩も自己中な俺様キャラになるってことでいいよな?」

  「なんでそうなるんすか。今度は逆っすよ」

  「逆?」

  「先週はカードがあったから先輩の望み通りのキャラを演じたっすけど、そうじゃないなら、俺がやりたいようにやらせてもらうっす……つまり、今晩は砂糖を煮詰めたような甘々セックスするっすよ」

  「うわぁ、大神がそういうセックスしたいとか、解釈違い。それは俺以外とやれよ」

  「俺のチンポが入る人間なんて、そうそういないっす。それは先輩も分かってるっしょ?」

  「まぁ、そうだろうけど」

  「そもそも、俺がそうするって決めたらもうそれで決定っす。人間ごときが獣人様に逆らえると思わないほうがいいっすよ」

  「甘々を目指すんじゃないのかよ。せめてキャラ統一しろ!」

  俺の指摘を受けた大神は大声で笑うと、手元のハイボールをグイッと飲み干す。

  俺が甘々も悪くないと言い出すか、大神が獣人至上主義に染まるか……それが分かるのは、もう少し先の話。