ふーせん狐の一日…新たな仲間と進化する鼠

  「…ンッ、クワアァ…クオォン」

  此処は智月龍狼が住んでいる家、その中に置かれているペットハウスには、きつねポケモンの『ロコン』とひねずみポケモンの『ヒノアラシ』が住んでおり、早朝六時頃にロコンの方から目を覚ましながら、アクビと共に鳴き声を上げていた。

  このロコン、青く澄んでいる変わった目を持ってはいるが、実は元人間であり『ナディム』という名前を持っており、彼の傍らで眠りこけているヒノアラシはナディムの元パートナーポケモンであった。

  「ふわあぁ…おっ、ナディムおはよう。」

  「クォウオォン!」

  現在はナディムとヒノアラシ、2体共に先程ナディムに挨拶をした龍狼の手持ちポケモンとして、彼が住む世界にて上手く過ごしていってる。

  「ンンッ…ヒィノ」「クォン!」

  「ふふっ、お寝坊くんも起きたみたいだね。朝食用意するから待ってろよ?」

  因みにナディムの手持ちだったヒノアラシとは異なり、ロコンに成っているナディムはモンスターボールに入っておらず、その理由は元人間のポケモンがモンスターボールに入る事になれば、どの様な不具合が起きてしまうのかに対する様々な『恐れ』であり、元の世界でもそれらに対する議論が多く出て混乱が巻き起こってるそうだ。

  [newpage]

  「はい、君等の分。しっかり味わえよ?」

  「ヒノッ、ハグッハグッ…」

  「クオォン、モッモッモッ…」

  そんな混沌とした世界から離れ、この世界にやってきたヒノアラシとナディムに対し、彼らの暫定的なトレーナーとなった龍狼は苦労しつつも充実した日々を送っていた。

  特に大変だったのは食事周りであり、元人間であるナディムにポケモンフーズが合うのかどうか、フォックに頼んでポケモンフーズを購入してもらい、人間時の龍狼と莉音が試しに食べてみたところ

  「こ、コレがポケモンフーズの味…成る程」

  「た、確かにロケット団のムコニャが、飢え凌ぐ為に食ってたみたいだけど…」

  「「これ、水分結構持ってかれる…!」」

  人間には向いていない味に加え、最中の皮の様に水分を持ってかれる事を知り、二人はフォックにどうすれば良いのか聞いてみた。

  [newpage]

  「取り敢えず、木の実を入れてみたら?

  木の実の中には水分があるのもあるし、食べやすいと思うよ」

  「…木の実と言っても、炎タイプに合いそうなやつってあるのかな?」

  「そこは彼らの好みによるし、味も5種類あるから…好みの味に仕上げればいいわ」

  フォックからのアドバイスを元に、龍狼が二体の性格に合ったきのみを調べ、三桜がそれらを元に莉音が手に入れたきのみをポケモンフーズに組み合わせていった所、『ウブのみ』を味のする部位ごとに切り分けてから、渋い箇所をヒノアラシのポケモンフーズに、酸味部分をナディムのポケモンフーズに入れるという方法で、水分もあって美味しくなったポケモンフーズを二体は美味しそうに食べていってみせた。

  「モグモグ…此処に来た時は色々驚いてたけど…アグッ、最近は落ち着いてて…シャクッ…なんだかずぶとい感じになってきてるな?」

  「モッモッ…クォ、ンッ…」

  (リューロさん、何か言った?)

  「ンンッ…何でもないよ」

  母が作ってくれた朝食を頂きながら、この世界に入ってきた時よりも『ずぶとい』感じに成っているナディムを眺める龍狼に対し、ナディムは怪訝そうな目を浮かべ彼の足に近づいてから、テシテシと自身の前脚を使って龍狼の足を叩いてみせ、聞こえてしまった事を理解した龍狼はそうはぐらかしてみせた。

  「龍狼ー、そろそろ行かなきゃいけない時間よー?」

  「っと、やべっ…カッカッカッカッ!」

  母である智月 夢見からその様な事を言われ、龍狼は残ってた食事を急いで食い終えてから、ご馳走様を言ってから歯磨きをしに立ち上がって洗面所の方にゆくと、未だ食べているヒノアラシとは違いナディムは少々ため息を付く様な仕草をしつつも、何処か満足げな表情を浮かべていた。

  [newpage]

  「いよっと、これで準備完了…それじゃ、ヒノアラシの事、任せたよ?」

  「ふわ…おぉ、分かったよ。」

  「ヒ、ヒノオォ…」

  龍狼とは違い大学に入り卒業した兄の虎狼は、今までの学業詰めの生活の鬱憤を晴らすかの如く、自室でパソコンを使った配信をしたり、近くの図書館で本を読んでいたりしている所謂『燃え尽き症候群』の重症な状態になっており、母から色々と心配を掛けられているが本人はどこ吹く風と言わんばかりに暮らしていて、ナディムの手持ちポケモンである臆病なヒノアラシの世話を龍狼が頼めるくらいには、生活に困窮はしていない様である。

  「それじゃ…行ってきまーす!」

  「クオォーン!」(いってきまーす!)

  そうしてヒノアラシを虎狼の所に預けた龍狼は、ロコンのナディムを肩に乗せてから共に会社に行く事を家族に伝えると、弁当や筆記用具を入れているリュックを背負い直してから、玄関にある車の鍵を手に外へと足を進めていった。

  [newpage]

  「うぅ、やっぱし寒…ナディム、あの技で車内温める程度にお願い。」

  「クォン、フウゥー…」

  最初はこの世界にやってきて、右も左も分からないナディムの為に龍狼が車に乗せて各地を教える為であったが、仕事に疲れてる龍狼を見かねたナディムが取った『ある行動』によって、龍狼は『保護をしているトレーナーとして』という名目で、ナディムを仕事場の方にまで連れてくるようになった。

  「おっ、暖まってきたな。よしナディム、虫歯になんないようにそれ噛んでろよ?」

  「クォ…アグッ」

  勿論そのままの状態で仕事場に入れば、現実世界に存在しない筈のポケモンがいる事による混乱が予想できてしまう為、その対策にどうしたものかと皆が頭を悩ませていたところ、盗み聞きしてた母が意外な解決策を持ってきてくれた。

  「それにしても、ソレを身に着けてるだけで他の人には普通のペットの様に見えるようにするだなんて…母さんには敵わないな、ホント。」

  「アグッ、アグッ…」

  犬用ガムを噛んで歯の掃除をしているナディムの首には、夢見の手によって変わった文様が刻み込まれてるスカーフが巻かれており、妹の縁でさえ読み解く事の出来ない術式を織り込んだその装飾には『魔力を扱える者以外にはこの世界の小動物に見える術式』が組み込まれており、常人なら今のナディムはポケモンではなく子犬に見える為、混乱に至る問題はなかった。

  「っと、そろそろ仕事場に着くな。ナディム、俺が仕事してる間は…?」

  「クフッ…クォン、オンオン!」

  「ふふっ、分かってるようだね?」

  目的地にそろそろ近づいてる事に龍狼が気付き、犬用ガムを噛み終えて吐き出しといたナディムに対し、前もって話していた『自身が仕事中の間』について聞いてみると、彼は忘れてない事を伝えるように何度も頷いてみせ、それを確認した龍狼の車は会社の方が指定した駐車場の方へと入っていった。

  [newpage]

  「おはよう御座いまーす!」

  「おぉ、おはよう。ナディム君も元気そうだね?」

  「クォン!」

  リュックを背負ってナディムを抱えた状態の龍狼の挨拶に、フロントで待機していた有名ホテルの従業員がそう返してみると、ナディムもロビーに漏れ出ない程度の声量で元気よく挨拶をしてみせ、龍狼とナディムは準備の為に更衣室の方へと足を進めていった。

  「はいっ、到着。っと着替えてくねー?」

  「クォーン」(はいよー)

  男性更衣室に入りリュックを下ろした龍狼は、仕事着姿に着替える為にナディムにそう言ってから、自身の指定されてるロッカーを開けてから中にある服の準備を始める最中、ナディムは彼の下ろしたリュックのロックを解除して中に入っている自身の暇潰し用のタブレットを取り出すと、少しの間リュックに寄りかかってみせた。

  「これで…良しっ。ナディム、仕事頑張ってくねー!」

  「クォ…クウォーン!」(ん…はぁーい!)

  そうして仕事着に着替えた龍狼の準備が完了し、ナディムが寄りかかったリュックをロッカーの方へとしまい、タブレットを起動して面白い事を探そうとするナディムに龍狼がそう伝え、仕事に赴いていった。

  [newpage]

  「…えーと、二階にあるタオルは…うわ、カメラ越しでも分かるくらいに減ってら。直接見に行った方が良いなコリャ…」

  龍狼の仕事はお客様とは関わらない裏方仕事中心であり、主に不足している物の補充に関しては徹底的に行っていると自負している節がある。

  「うわっ、バスマットも見事に減っちゃってるよ。他のスタッフ、補充しっかりやってなかったな…?」

  先ずは二階のある部屋に置かれているタオルの在庫を確認し、減り具合が多ければ直接行って調べ上げてゆき、確認し終えたら二階に上げるのに必要なタオルやバスマットの量を、一階と二階を通じされている荷物用エレベーターを使って運んでゆく。

  「いよい、しょっと。これで全ての段を収まりきる事が出来たな…さて次は、あれらの補充をやってくか。」

  一階に置かれていたタオルやバスマットを複数回に渡ってエレベーターに乗せて二階に運んでいき、用意された棚の空いた所を埋める様に手作業で入れてゆく事で問題のあるタオルが出ないようにしていた。

  そうして二階にあった棚をタオルやバスマットで殆ど埋め終えた龍狼は、次に宿泊するお客様が使用するアメニティを入れているバック、それの補充に行動を移し始めていった。

  「よし、ブラシはコレで十分だな。トイレットペーパーは2個入れりゃ満杯になりそうだな…髭剃りは、結構まとめて入れる必要ある感じかな?」

  「龍狼さん、おはようございます。」

  「ああっ、おはよう。今日も宜しくね」

  今では他のスタッフが使っているバックの中身を確認しつつ、龍狼がアメニティの補充をしていると所属が同じである同僚がやって来て挨拶してきた為、挨拶し返しながらも作業を止めることなく髭剃りの入ってる箱を開けていった。

  「はい一丁上がりっ。で、次は…ドリンクの確認をしてゆくか」

  偶に外の天気模様についてを同僚に話したりしつつも、バックのアメニティを補充しきった龍狼はホテルでお客様に提供しているドリンクが入ってる冷蔵庫を確認し、空きが出来てるならばその分のドリンクを作成したりしていく。

  「あ、そろそろ時間か…休憩入りまーす」

  こうして午前の業務を行って休憩時間に差し掛かったところで、近くにいるスタッフや同僚に休憩に入る旨を龍狼が伝え、終えた時間を紙に記録しつつ弁当を入れてあるリュックの為、一旦更衣室の方へ向かって行く事に。

  [newpage]

  「はぁ…日中は空気寒いのに日差しは暖かい感じになってるから、厚着で外に居ると中が汗びっちょになっちゃうよ…」

  「ハグッ、ハグッ…」

  男性更衣室のリュックから弁当を取り出しつつ、タブレットとナディムを持って休憩室に入った龍狼は暖かな季節には程遠い今の時期の空模様を愚痴りながら、昼食代わりのポフィンを食べているナディムと共に弁当を頂いていた。

  「2月も過ぎれば春の兆しが来ると思っていたが、ドカッと来る時はマジで来るんだな…クシュ!」

  「ンッ…クウゥン」

  「んっ…あんがとナディム、ふふ」

  この間の冬季最後の寒波の影響で、鼻風邪を引いてた龍狼がクシャミを出したのを聞いて、ナディムはポフィンを咥えたまま彼の懐に入ると、その毛皮と炎タイプのたねポケモン特有の熱量で龍狼を優しく温めると、それに気づいた彼がナディムの毛並みを崩さずに撫でており、傍から見れば仔犬と戯れてる青年と化していた。

  「精神的に安定してきているようだね?」

  「あっ、〇〇さん。おはようございます」

  龍狼とナディムがご飯を食べてる最中、仕事でのアドバイスをしてくれる龍狼の先輩が休憩室に来ており、それに気付いた龍狼はキチンと挨拶をする。

  「あぁ、おはよう…全く、去年の夏頃にあんな状態になって大丈夫なのかと思ってたが…アニマルセラピーか、悪くない手だ」

  「あ、あはは…あの時はホントすみませんでした。」

  先輩が話してた内容は、去年の夏頃に多発していた龍狼のミスに対し、彼の精神状態を鑑みずに言いまくってしまった事で龍狼の心が根本から枯れ枝の如く圧し折れ、一時期は趣味である小説を書く事すらままならない程の状態にまで陥ってしまった。

  そんな状態の龍狼に対し、仕事量や時間を軽めにしたり知り合いが相談に乗ってあげたりする事に加え、最近彼が連れてくるようになったナディムによるアニマルセラピーによって、何とか今の精神状態にまで元に戻す事に成功した。

  「また元の時間に戻したりすると、下手したらどえらい事になるからな…今の時間で我慢してくれよ?」

  「えぇ…今は、この作業を安定して時間内に終わらせる事を目標にしております。」

  「そっか…そろそろ時間だ、悩んでる事あったら相談してくれよ?」

  「あっはい、分かりました!」

  先輩から次の仕事時間が近づいてる事を聞かされた龍狼は、残ってた弁当の中身を美味しく頂き終えてから弁当箱とナディムを抱えて休憩室から出てゆき、次の作業への準備をし始めていった。

  [newpage]

  「…クゥ、クオォンヌ…」

  龍狼が午後の作業に向かってしまった事でまた単独行動になって寂しい感じに見えるナディムであるが、今の彼の本心は別の所に注目が集まっており、それは元の世界『ポケットモンスター』関係で今の自分の事についてであった。

  「クォクオォン…クゥ、クォン…」

  (やっぱりそうだ…僕、相棒に家族に近いの感じちゃってる…)

  ロケット団残党達の手によって『もらいび』持ちのロコンに変身したナディムは、相棒のヒノアラシと共に龍狼の元で日常を過ごしてゆく内に、ポケモンとしての一面が自分に芽生え始めてたらしく、人間だった頃までヒノアラシに対し友達と呼べるモノであったソレが、今では『兄弟』に近しい感覚となって彼に襲いかかっており、何故その様な気持ちになったのか、ナディムは龍狼のタブレットでポケモンについてを調べていたのである。

  最も、その変化した気持ちの影響か面白い事に関しても大いに惹かれており、本人さえ否定しきれない程の好奇心で遅々として進んでないそうだが。

  さて、何故ナディムの気持ちに変化が起きたのか、それは今のナディムとヒノアラシは共に特性としてもらいびを持ってるのに加え、もう一つ共通点があったのだ。

  (あぁー、なんでそんな気持ちになるんだよぉ…あいつと僕は別々の筈なのにぃー…)

  未だナディムはそれに気づいてなかったが、その答えは彼の手元にあったタブレットが出しているサイトに書かれていた。

  今のナディムである『ロコン』と彼の相棒である『ヒノアラシ』、彼らは共にタマゴグループ上は『りくじょう』に属しており、それがナディムの中で兄弟に似たモノを感じさせる要因と成ってたからである。

  「…クフオォン、クゥクォン…クワァ…」

  (…あー駄目だ、コレ以上は訳わかんなくなる…フワァ…)

  ナディムにとって有り得ない事を深く考えすぎたからか、彼の目と声が疲れた感じになるとタブレットの電源を切ってから、部屋にあった椅子の下でコテリと横になってみせると、その疲労か本能によるものかは分からなかったが、ナディムは強めの眠気に呆気なく屈してしまった。

  [newpage]

  「…い、お…て…。ナディ…おーい、起きんかナディム」

  「ンッ…クフアァ…クオォン」

  途切れ途切れの声がはっきりしてきたのを聞いたナディムが目を覚ますと、予定の仕事終わりより数十分も遅れた時刻になった時計をバックにし、半目でヘソ天状態で眠っていたナディムを眺めてる龍狼の姿があった。

  「ふうぅ…また時間かかっちゃったよ。ナディム、アレ良い?」

  どうやらいつもやってる仕事の中に、想定外の事態によって時間がかなり掛かってしまった箇所があったらしく、いつもの仕事終わりより遅れてしまった事で酷く疲れた様子の龍狼は、ナディムに対し何かお願いする視線を送っていた。

  「クウゥ…ンゥッ…」

  ナディムは龍狼の願ってる事が何なのか理解しており、それに応えるかの様にゆっくりと口を閉ざすと共にその目をも閉じ始め、まるで自身の内から出る何かに堪えるかのような様相を見せる。

  [newpage]

  「ンンー…ンムゥッ」

  ゴォッ、と口を固く閉ざしてたナディムのお腹の辺りから音が聞こえると、標準体型だった自身のお腹が徐々に膨らみだす。

  かえんほうしゃを放つ際の要領で体内に炎を作っていってる様だが、その炎を周囲を放たずに自身の中に溜め込んでいってるらしく、それを自身の特性である『もらいび』が吸収してゆく事で、この様な事を彼の体内で起こしていた。

  「ンゥ、ムム…ンウッ」

  自らの炎を体内で作ってゆく度、それが漏れ出てしまいそうな感覚に痺れて気持ちよさを感じつつ、ナディムは出てきそうな所にしっかりと力を込めて漏れ出ない様にしていると、炎はお腹以外にも溜まり始めてるらしく四つ足含め身体全体が丸みを帯びてゆく。

  「ンムッ、ムムゥ…ンッムゥー…」

  「あぁ、そろそろかぁ…」

  ドンドン炎の溜めるスピードが増してゆき、風船に空気を詰めるかのように膨らんでゆくナディムの身体。

  人目があったら怪しまれそうなパチパチ音も聞こえだす中、ようやくナディムの膨張が収まっていってるらしく、龍狼の両腕で抱えてやっと手同士が合わさる程の大きさで、ナディムは止まってくれた。

  「いつもありがとなナディムー。んじゃ、モフモフしてくねー…!」

  「ンッンー…ンムウッ」

  ポカポカで風船みたいに膨らんだナディムを前に、感謝を伝えると共に彼の身体に抱き寄せた龍狼。

  温かな毛皮で覆われた弾力のあるナディムのお腹は、柔らかで言い表せない程の感触を味わえるらしく、龍狼は彼から炎が出ない程度の力でフニフニと触れたり撫でたり、時には毛皮に顔をうずめて呼吸をしたり等して、疲れを癒していってた。

  [newpage]

  先に挙げた龍狼がナディムを仕事場に連れて行く理由の大部分を占めてるのが、この膨らんだナディムをモフモフする事であり、人目につかない所でコレをやって疲れを癒してゆき、スタッフ達が此方を見てない頃合いで龍狼は膨らんだナディムごと此処を出て帰路につく。

  そうして過ごしていった事で、去年の誕生日に小説を投稿出来るくらいに回復した龍狼は、このルーティンで好きに暮らしていた。

  「いよっと…こうなったナディムを人目に入らないようにするってのが、少々難点だな。何処かで出そうにも下手したらドエライ事になるからな。」

  「ムギュッ…ンキュウゥ。」

  膨らんでるナディムを車の後部座席に優しく押し込み入れながら、苦笑い気味に龍狼はそうボヤく。

  龍狼がナディムをモフモフする際、どれくらい膨らんでもらえば満足できるか複数回に渡って試した結果、社内で膨らんでもらったサイズが一番満足できる事に気づけたのだが、その膨らんだナディムの大きさ故に目立つ事この上なく、母が用意してくれたスカーフを用いても『風船みたいに膨らんでる子犬』に見えてしまう為、龍狼が言ったように人目につかない様にする必要が出来てしまっていた。

  仮にもナディムの中に溜め込んでるモノを全て出そうとしたら、ソレは長時間に渡る『かえんほうしゃ』になるか、超巨大な『たいもんじ』になる可能性が高く、間違いなく周囲に甚大すぎる被害を巻き起こしてしまう為、迂闊な解放も不可能な状態。

  「そういう事で、その炎エネルギーを日常的に使える様にフォックに頼んで付けたタンクに一々貯める必要があるんだよぉ。」

  「ンムウゥー…ウ」

  車のエンジンを掛けながら龍狼がそう語り、毎日膨らんだ身体をしぼまされる際に繋がれるホースに疑問を抱いてたナディムが、納得するかの様に深く頷いていった。

  [newpage]

  「あ、あのフォックさん。なんでこの子が此処にいるんで?」

  一方その頃、龍狼の自宅の方で先に仕事を終えて帰ってきてた莉音が目にしたのは

  「実はこの子野生でね、どうしようかを智月に相談しようとしてきてね」

  「け、けどこの子の状態って…」

  「…ブギュオォー!」

  フォックが涙目で膨らんだ身体を抱えてるブースターを連れてきた姿であり、莉音はそのブースターの姿からナディムやヒノアラシと同じ『もらいび』持ちの個体だと推測する。

  「どうやら、あの事件で使われた薬品の一部を誤って飲んでしまったらしくって…この子こうなってるのよ」

  「ウッソだろ。まだあの薬、流通してたんですか!?」

  フォックの言う『あの事件』とは、ナディムがロコンに成ってしまった発端である『Pチェンジバルーン事件』というモノであり、その事件によってナディムの住んでたポケモン世界で、特性の影響で膨らんでしまうポケモンやポケモンに成ってしまう人間が続出するという事態を引き起こしていた。

  [newpage]

  「残党もいたりだし、パジオでもまた悪巧みしていたりと、俺やスカルドラゴ団の皆も大変なのよ」

  「あぁー…ほんとお疲れさまです。」

  元スカル団の面々に、フォックが新たなメンバーや編成をして出来た組織『スカルドラゴ団』の力でも、ナディムのいたポケモン世界の問題は解決しきれて無いようで、それを理解した莉音から労りの言葉が出てくる。

  「今は、パジオの方やパルデアにも学生生活など大変だからね。でもこの子どうするべきかねぇ、智月いないならどうしようかしらね?」

  「龍狼さんなら多分仕事帰りの最中だと思いますので、そろそろ来る頃合いだと…あっ、来ましたよ!」

  フォックが龍狼が家に居ない事に気づきそう語ると、莉音は彼が仕事帰りしている途中だと考えそう言い出すと、龍狼が扱い乗っている自動車が話し合いをしていた二人の近くに現れると、一時停車してからバックにギアを変えたらしく、駐車場の方へゆっくりと窓も開けつつ後退していった。

  「丁度よかったわ。」

  「そうですね、龍狼ー!」

  「よし、後は窓を…っと、莉音とフォックさんじゃないですか。どうしたんで?」

  駐車場の白枠内に自身の車が収まれたのを確認し、龍狼が車の窓を閉めかけようとした際に莉音とフォックの存在に気づき、開けたままの状態で二人に龍狼がそう聞いてきた。

  「お前にちょいと相談があって、来たんだが?」

  「相談…って、ブースターじゃないですかっ。なんで此処に!?」

  「あー、少し説明が必要だね?」

  「ブウゥーイ…」

  フォックのその言葉に疑問符を浮かびかけた龍狼であったが、直後に彼の足元に膨らんだブースターがいる事に気づき驚いてしまった彼を見て、莉音は先程の話を彼にも伝えようと考える中、涙目のブースターは彼の後ろにいる自分よりも遥かに大きい『何か』を見つめていた。

  [newpage]

  「実はカクカクしかしがで…」

  「あー、そちらも対応に手一杯に成ってるんですか…」

  「ん…しょっ、ナディム大丈夫だったー?」

  「ンンッ…キュウゥー」

  「ブ、ブイィ…」

  フォックが先程まで莉音に伝えていた事を龍狼にも伝えると、少し握った手を口に近づけながら龍狼は事情を把握して、莉音が彼の車に入れられていた膨らんだナディムを車外に出してみせると、涙目だった膨らんでるブースターは、車から出てきたロコンが自分以上に膨らんでる様を見て呆然としていた。

  「うん、そっちもナディム君達との生活慣れているようね」

  「あーまぁ、少々問題とかもあるけどね…ハハッ」

  龍狼とナディム達の生活の慣れ具合にホッとするフォックに対し、職場の方でやらかしてる龍狼は苦笑いを浮かべながら最近の事についてを彼に話す中、

  「キュウ…ン、ンッ」

  「キュ、ブウブウゥ…?」

  「おっと、あの子に近づきたいなら手伝うよ?」

  ナディムはブースターが膨らんでる状態から元に戻れない事を察すると、ズリズリと膨らんだお腹を使って何とかブースターに近づこうとしているのを見て、莉音が大玉を転がす要領で膨らんでるナディムを動かしてゆき、涙目ブースターは思わず鳴き声を溢す。

  「あら、慣れない感じ?」

  「あーいや。慣れないっていうよりも、慣れすぎて困った事が…」

  龍狼がフォックの考える事に訂正しようと言い掛けたその時、

  「はい、これで良いよね?」

  「ブイブウゥ…?」

  「キュウゥー…ンッ!」

  「ンブゥッ!?」

  莉音に転がされて目前にまでやってきたナディムの大きな身体に、膨らんだままの涙目ブースターが何をするのかと思った途端、突然オス同士であるのにナディムが深めのキスをしてきたのである。

  [newpage]

  「なっ!?」「えっ!?」「いっ!?」

  「ンッ、ンンッブ…!」「ンキュ…フウゥーッ」

  「ンブゥ!?」

  ナディムの突然の行動に、莉音とフォックと龍狼が驚く中、コレをやってのけたナディムはキスをしたままの状態で、自身の体内に溜め込んでいた炎を涙目ブースターの方に、送り出し始めたのである。

  「キュフウゥー…」「ブッ、ブゥッ…!?」

  「な、ナディム君!?」

  ナディム自身が体内に溜めてた炎をキス経由でブースターに送る度、オス同士のキスという突然の事に目を白黒させているブースターは、もらいびで太ってる様な体型が風船の如き状態へと膨らみだしており、莉音はナディムの名を叫ぶように言う。

  「何をやってるの!?」

  「…あれっ、あのやり方は…」

  フォックもナディムのやっている事に驚きながら言っていると、ナディムがブースターに対し行っている行動に見覚えがあったのか、咄嗟に龍狼はスマホを取り出してロックを解除する。

  [newpage]

  「フブッ…キュフ…フウゥー…」

  「ヴッ…ンブゥ、ンブヴゥ…!」

  膨らんでたナディムの体型が元に戻りだす中、もらいびで太ってる様な体型だった涙目ブースターは、胴体の膨張に引きずられる形で四つ足の根本まで膨らんだ事で抵抗出来ない状態にされ、まるでオレンジ色の風船みたいな身体になり始めていた。

  「一体、何を?」

  「龍狼さん、何か心当たりが?」

  「やっぱしそうだ、アレもらいびを治しに掛かってるんだ!」

  突然スマホを操作している龍狼を見てそう聞いてきたフォックに、龍狼は手にしたスマホの画面を莉音とフォックに見せてみると、もらいびによって中途半端に膨らんでしまったポケモンに対する対処方法が動画として写っていた。

  「「そんな事が出来るの!?」」

  「…まぁー、荒療治に近い感じなんだけどね?」

  龍狼が二人に見せた動画内容は、中途半端にもらいびで膨らんでしまったポケモンに炎タイプの技を当て続ける事で、オーバーフロー状態にさせて栓の抜けた風船の様に飛ばすという手段であった。

  [newpage]

  「上手くいくの?

  特性でも限界はある筈…」

  「あの子が成り立てって事なら…」

  「…キュプフゥ!」

  龍狼がフォックの疑問に対し応え掛けようとしたその時、元の体型に戻ったナディムの口の離した音が聞こえると共に彼が降りてゆき、その風船みたいに膨らんだ身に収まっていた全ての炎を、その身全てに見事に納めきってしまったブースターが、其処に出来上がっていた。

  「終わったみたいね?」「みたいですね…」

  「ナディム、今日の貯蔵は無しに成ったな?」

  フォックと莉音が、オレンジのアドバルーン程の大きさに成ったブースターを見上げながら話し合ってゆく中で、龍狼がナディムに対し語り掛けると、彼はキュウキュウ言いながら笑みを浮かべて涙目ブースターを眺めていた。

  「あの子、涙目みたいだけど大丈夫?」

  「ブッ、ブゥッ、ブヴゥッ…」

  フォックがその様子を眺めてると、中途半端に太ってる感じに膨らんだ状態から、ロコンに口移し経由で彼に溜められた炎を沢山注ぎ込まれた事で、オレンジのアドバルーンみたいに成った涙目ブースターは、顔色を赤くなったり青くなったりと忙しい事に成っていた。

  [newpage]

  「やばい事に成ってるけど、どうする?」

  「そ、そう言われても…んっ!?」

  「ブ…ブチュウウゥゥーッ!」

  まるで中にタップリごま蜜の詰まった団子を、奥歯で噛んだがすきっ歯で蜜が勢いよく飛び出してしまった男の様に、膨らんでいたブースターの口から大量の炎が放出されながら、その反動で身体が宙に浮いた途端、見事に飛んでいってしまった。

  「はぁっ!?」「キュウ!?」

  「飛んでった!!?」

  「わわっ、やっばいやっばい!」

  飛んでいってしまったブースターをみな見上げながら、莉音は落下するであろう地点に走り始めだした。

  「だ、大丈夫かしら…?」

  「ま、まぁあの方法なら元に戻れる可能性大だそうですし…大丈夫、かな?」

  炎を吹き出しながら飛んでいってるブースターを追っている莉音を見ながら、フォックと龍狼はそう語り合う。

  「どこまで飛んでったんだろう?

  かなり飛んでいったとは思うけど」

  「うーん、そろそろこっちに戻ってくる筈だと思うんだけど…あっ、莉音っ!」

  草むらを手で払いながら莉音が姿を現すと、その両手には、今までその身体に溜まり込んでいた炎を全部放出しきった事により、元の体型へと元通りに成ったは良いものの、見事に戦闘不能の状態に成ってしまったブースターの姿があった。

  [newpage]

  「ありゃ気絶してるようね」

  「だね。グルグル目に成ってらっしゃる」

  「まぁ色々無茶し過ぎてこんな事になったからね…」

  伸びちゃってるブースターをフォックと龍狼が眺めていると、莉音がブースターをその手に抱えたまま家の方へと足を運ぶ。

  「取り敢えずその子どうする?」

  「僕に一旦預からせても良いか?

  色々あった筈だし…」

  戦闘不能状態のブースターを抱えながら、莉音がフォックに対しそう語る。

  「構わないよ、俺もどうしようか迷っていたところだし任せるね」

  「それじゃその子の事、お願いするね?」

  「任しといてー」

  フォックと龍狼にそう言われた莉音が家の中へと入っていった。

  [newpage]

  「それじゃ俺はこれで、任せたよ」

  「キュウ」「はいよー、さて家に帰って…」

  「おい龍狼っ、あっフォックさんもいるんかっ。二人とも来てくれー、ヒノアラシが変なんだ!」

  莉音が家に入ったのを確認し別れの挨拶し掛けようとした二人は、二階の虎狼が住んでる部屋から当の本人が出てその様な事を言いだしたのを聞きとると、ピシリと空気が凍った。

  「ヒノアラシがどうかしたの?」

  「な、なんかブルブル震えてて…変な病気かな?!」

  「なんだって!?」「キュウッ!?」

  気になったフォックがそう聞くと、虎狼の口から現在のヒノアラシの様子についてが出てきて、それに驚愕した龍狼とナディムが慌てた様子で家へ入ってゆく。

  「病気かどうか分かんないけど…他に何か異常は?」

  「か、身体から光が出てて…踞ってるんだ!」

  「う〜ん、進化なのかしら?

  でも震えているのが気になるわね」

  「虎兄入るよっ…あー、そっか。これじゃ震えるのも仕方がねぇか!」

  フォックが虎狼にヒノアラシのさらなる詳細について聞いてみる中、龍狼が兄の居る部屋を開け中の様子を一瞬の内に見てゆくと、雑貨や服はあるべき所にしっかりとしまわれており一見すれば問題が無さそうに見えるが、よく観察すると部屋のあちこちに埃が溜まってしまって、炎タイプのポケモンが火を溢したりすればあっという間にボヤ騒ぎになるのが必定な部屋だった。

  「なんか埃が、火がうつると危ないわね」

  「ヒッ、ヒノオォ…!」「キュキュウ!」

  「っと、ヒノアラシが堪えてること含めてやってかないと!」

  SNSのカメラ機能を使って龍狼のスマホ越しに部屋の様子を見たフォックがそう呟き、進化の際に背中の火が吹き出す事を抑えようとしているヒノアラシを抱き抱え、ナディムを背負ったままの龍狼が急いで家から出始める。

  [newpage]

  「エッホエッホ、外に運ばないと…」

  「キュウ、キュウキュキュウ…!」

  「やはり進化が近いってことなのね」

  「ヒィッ、ヒィッ、ノオォ…」

  「何か妊婦さんみたいな声出してるよ!?」

  龍狼がヒノアラシを運ぶ様子を見ているフォックがそう言い、オスのヒノアラシが進化を堪える際の声が、出産の掛け声に似てるとブースターに元気のかけらを与えてた莉音が叫ぶように言う。

  「進化ってこういうのだっけ?

  確か進化って、何かしら窮地に立った時とか様々だけどこんなパターンありなの?」

  「そんな事、僕が知るかよ…っと!」

  「キュキュウゥ!」

  シチュエーションに違和感を抱いているフォックを他所に、ガチャリと家の扉を開けた龍狼はナディムを背に乗せたまま、周囲が燃えても迅速に消火可能な地点へと移動し、其処に進化寸前のヒノアラシを置いてみせた。

  「取り敢えず大丈夫なの?」

  「そいつぁ、あの子次第…だよ!」

  「ヒッ、ヒノオォー…!」

  フォックと龍狼、ナディムが様子を見る中、周囲が安全な状態になったのを確認したヒノアラシは、安心して進化を抑えようとする力を緩めると、シルエットだけしか見えない程の光を放ち始めた。

  [newpage]

  「「始まった!」」「キュウン!」

  三名が見守る中、光に覆われたヒノアラシのシルエットは次なる進化への移行を始めており、背中に4つのオレンジ色の斑点をもった胴体は細長く伸び、斑点から放たれていた炎は後頭部と臀部に分散して、噴き出される様に変化した。

  その顔にも三角形の耳が出てくると、長かったマズルは短くなりつつ、いつもキツネ目だった所は、カァッと見開くと共にその赤い眼が三名の姿を捉えていた。

  「へ、変化してってる。」

  「そろそろ収まる頃ね」

  「キュ、キュウゥンス」

  最後に、その余りあるエネルギーを発散するかの如く、斑点から炎を噴き出して身体を縦に一回転すると共に光が弾け飛び、『かえんぐるま』を放ち終えたそのポケモンは待ち草臥れた様な様子を見せていた。

  『おめでとう!ヒノアラシはマグマラシに進化した!』

  「い、いったん収まった様だね?」

  「進化できたけど大丈夫?」

  龍狼が進化し終わったのを確認し、フォックがマグマラシとなったソレにそう聞いてみると、マグマラシは相当無茶してたらしく、そのままグルグル目に成ってからぶっ倒れてしまった。

  「キュ、キュウン!」「あ、あらま…」

  「進化したとたんに倒れるとはね、進化するのに相当体力を使っちゃったみたい」

  [newpage]

  その後、伸びてしまったマグマラシを介抱しながら、何があってこうなったのかを虎狼に聞いてみると、退屈しのぎに龍狼の小さいバックを探ってみたところ、変わった『飴玉』が入ってたのでヒノアラシにチビチビ与えていった様で、それが『ふしぎなアメ』だと気付かずにやってたらしく、その事を聞いた龍狼がドロップキックをかましていた。

  「ふしぎな飴が原因だったのね、進化条件である程度の強さまで達してしまっていたから進化に繋がったってとこか」

  「げほっ…その様だね。お陰でこんな目に遭っちゃったよ」

  また、急に進化した関係からかマグマラシの火の噴き出し方はどうやら調整出来て無いようで、制裁し終えた龍狼が復活したマグマラシに近づいた所、いきなりその子から噴出した炎を食らってしまい、黒コゲ状態にされてしまっていた。

  「一応バクフーンへの進化もあるけど…強さの達成条件を満たせてないから、先になりそうね」

  「…なぁ、こんな状態じゃあ、家が火の海になっちゃう可能性があるけど…こんなに懐かれてるから、離れようもない状況なの…どうしよ?」

  「キュ、キュキュウ…」「マァグゥー…」

  フォックがそう判断する中、龍狼は火力調整が上手くいってないマグマラシが自身に懐いてる状態を見せながら、ナディムと共に家が火の海に成ってしまうのを避ける策が無いかとフォックに聞いてみた。

  「そうねぇ…炎を吸収するか、もしくは水タイプのポケモンを持っていれば打ち消す様にするしかなさそうね。また魔術使えるなら水属性の魔法で何とかするしかないわ」

  「…あぁー、思い当たる手が一つしかないなぁ…」

  「…キュ、キュウ?」

  フォックからの助言を聞いた龍狼が、傍らにいるナディムに視線を向けながらそう言い出し、何やら変な予感を感じた彼はそんな鳴き声を零していた。

  [newpage]

  その後、火力調整不足のマグマラシと特性を変えられてしまった涙目ブースターを、龍狼が仕事場に連れてゆくと共に、マグマラシをナディムとブースターの二体と一緒に車に乗せておく事で、マグマラシが突然の炎を噴き出しても、ナディムとブースターがもらいびで受け止めるという手で行くことになった。

  「お陰で…こんなに膨らむことになるとはねぇ…?」

  「…ム、ムムゥー…」「ブ、ブブゥー…」

  車内でそう言いながらモフモフしてる龍狼の両脇には、彼が両腕で抱える大きさにまで膨らんでしまったナディムとブースターがおり、その2体の間には赤面した状態でプスプスしているマグマラシが挟み込まれており、暫くはこの状態が続く事になったそうな…

  …END?

  [newpage]

  ナディム

  龍狼の住む世界で過ごす事になった彼は、好奇心を持ちながら『図太さ』も得ており、仕事疲れでクタクタな龍狼の癒しとして、もらいびで膨らんだ身体を柔らかクッション代わりにしてくれている。

  不具合で元に戻れない可能性を考慮して、モンスターボールに入らない選択をしているが、最近相棒であるヒノアラシ→マグマラシに変な気持ちが湧き上がっており、このままの状態で過ごすのかと悩んでいる姿を隠しながら過ごしている。

  (実は彼のなっているロコンと、相棒のヒノアラシもとい『火鼠火山組』は、タマゴグループが同じである為この様な事態を引き起こしている)

  ヒノアラシ→マグマラシ『燈煉(トウレン)』

  ナディムのパートナーポケモンだったヒノアラシであるが、虎狼に与えられたふしぎなアメによって進化する事態に発展し、アニポケのポッチャマみたく堪えている中、救う形で龍狼が外の問題ない場所に連れてくれた事で、進化すると共に彼に懐いてしまう。

  急に進化した関係で、自身から出る炎の調整が上手くいってない時があるが、ニックネームとして与えられた『トウレン』の名と共に、日々精進する事を誓う。

  ブースター

  いじっぱりな面を持つ野生のポケモンだったが、『Pチェンジバルーン事件』によって流出した特性を変更する薬を誤って飲んでしまった事で、慣れない『もらいび』で勝手に膨らんでしまって涙目になってた所をフォックが保護する。

  一先ず龍狼の住む世界に持ってゆき、これからどうしようかと考えてる最中に、膨らんでるナディムが彼に更なる炎を追加してゆき、オレンジ色の風船みたいになってから暫くした後、『某奇妙な冒険』に出てくるワンシーンの如く口から炎を噴き出していって戦闘不能にされてしまい、そうさせた原因であるナディムに責任取って貰うのを理由に、龍狼の手持ちポケモンとなる。

  膨らむ事に関しては成り立ての荒療治によってか容量がデカくなってるらしく、鳴き声から否定的な態度をとってはいるが、気持ち良さを感じてる節があるらしく、人目の入らない所で膨らんでる姿が度々目撃されている。