カメラ

  俺はサラリーマン、今日も仕事で疲れて帰宅する途中だ。

  今日もいつもの道で帰る予定で歩いていたが、花の金曜日であちこちサラリーマンでごった返す街並み、俺はそれを避けながら歩いていた。

  俺も何でもいいから癒されてたいと思いビルの一角で[猫癒しスポット]の看板を見た。

  ここから近いし歩いてもそんなにかからないから寄っていこう、そう思いそのお店の前に立っていた。

  お店に入り受付の女性が説明をしてくれる。

  [こちら当店では前払い制になっています。中に入り猫ちゃん達と戯れたり、可愛いポーズをカメラで撮ったりして癒されてください。]

  [うちの猫ちゃん達はカメラ慣れしてますから遠慮せずに写真を撮ってください。]

  [癒された後は別の出口にお帰りなって頂きます。猫ちゃん達を見て癒された後に他の人に会いたく無い処置です]

  [猫ちゃん達の安全もバッチリです!首輪にタグをつけてお持ち帰りされるお客様にアラームが鳴るシステムです。つい可愛くてお持ち帰りしちゃますもんね。]

  [写真でベストショット取った場合こちらで写真を飾らせてもらいます。お持ち帰り帰りも可能です、私たちじゃ気づかない仕草もありますから。]

  [こちらで説明は以上になります。どうぞ癒されてください。]

  説明が終わり中に入ると猫達が沢山いて色々な種類もいるしかも、人懐っこいではないか。 足に擦り寄ってくる子達や触っても怒らない、いい猫ばっかりだな。

  店の中にカメラがあり試しに撮ると可愛い仕草でポーズしているではないか。

  人馴れもしているしカメラ慣れもしているのか。

  しばらく癒され時間を忘れていたが、時計を見るとかなりの時間が経っている。立ち上がり帰り支度をしていると胸ポケットから社員証が落ちてしまった。

  やれやれと拾おうとした時、白い影が横切り[カシャ]っとシャター音が聞こえた。

  瞬きした瞬間視界が変わったのだ。部屋の中の物が大きく見える何故かと思いながら下を見るといつも見慣れている社員証が変わって猫の写真になっている。

  こんな物持っていた記憶ないし、知らない猫だしと横の鏡を見ると同じ猫がいるではないか。

  何故と思い動いた時鏡の猫も動くではないか。もう一度動くと同じように動く、自分の感覚が違和感なく動くと確信した

  [自分が猫になっている事に]

  呆然といると受付のお姉さんが入ってきた

  [お客様お帰りになったのですね。]

  そう話しつつ下に目線がいくと自分に気づく。

  [わー可愛い猫ちゃん! 見た所首輪とタグが付いていないし新しい子かな?

  も〜まったく店長は報連相が出来ていなんですから。]

  と喋りながら俺の方に近寄ってくる、とりあえず気づいてもらおうと近付き声をかける

  ニャーニャー(どうなってるですかこれ)

  ニャーニャ!(さっきまでいた客ですよ!気づいてください!) と声をかけるが、受付の女性は鳴き声にしか聴こえないらしく声かけながら俺を持ち上げ[オスだね]と喋り

  [健康だし毛並みもいい、後は名前か〜]と下を見ると元社員証に方を見て[レオ君か〜カッコいい名前だね。 よろしくねレオ君♪]と挨拶をしてきた。

  俺は少し混乱した後、腕から抜け出しもう一度声を出す

  ニャー!(これどういう状況ですか!)

  と鳴き声を発してる中受付の女性は[カメラ]に目を向け手に取り、データを中身を見ながら答える

  [お客様はどんな写真を撮っていたのかな?ふむふむ可愛いですね〜持ってきてくれても良かったのに。]

  [よし! レオ君も撮ってみますか!]

  とカメラを構えこちらにピントを合わせてくる

  ニャーニャ....(今そんな事してる場合...)

  鳴き声を発しそうになった時、シャッター音がなる

  [カシャ]

  と音がなった時頭が真っ白になりいつのまにか寝転んでポーズをしていた

  [わー!可愛い! しかもこの子写真を撮る時ポーズをしてくれるなんて慣れてるのかな? 才能あるよ!]

  俺は一瞬何か薄れて剥がされる感覚に陥った。

  それでもせめて鳴き声で抗議しようとする前に

  [カシャ][カシャ][カシャカシャ]

  と音が鳴った僕はポーズをしていたのだ

  [可愛いねレオ君! 写真の撮りがいがあるよ!]

  シャッター音が鳴るたび真っ白なり考える前に身体が動く僕の、、、

  いや、俺?僕?と混乱してるのか?

  自分自身が薄れていく感覚がぼんやりと

  して来る。

  混乱してる横で、受付の女性はある物を持って来る

  [よし!レオ君に首輪を付けてあげますか!]

  手にはタグ付きの首輪を持ってこちらに歩み寄る

  僕は後退りをするが、後ろの鏡に当たり鏡前に止まってしまう

  あまりに大きな存在に怯えてしまいその場で立ち尽くす

  [レオ君首輪つけるね〜 動かないでね〜]

  この首輪をつけると何かが終わる。

  でも頭に首輪が通されて締め付ける

  付け終わり受付の女性が手を離すと

  [チャリン]

  タグが鳴り、目の前を見るとそこには

  当たり前のように立っている

  首輪がよく似合う猫が鏡の前にいる

  猫?...僕....猫....

  [カシャ]

  その時、剥がれて別の何かが定着する実感が湧いた

  [可愛い〜レオ君はそしてカッコイイ!決まってるよ♪]

  [早速、店に写真を飾りますか!]

  そうだ!僕、猫だったんだ。何で悩んでいたんだろう?

  目の前に居るのはいつものお姉さん。

  今日も皆の世話をしてくれるお姉さんだ!

  そう思えたら急に甘えたくなってしまい、お姉さんの足元に甘えに行く

  ニャー♪ニャー♪(今日もいっぱい遊んでよ♪ )

  店長ルームで防犯カメラ越しに覗く1匹の大柄な白猫

  [今日も新人が入ってきたな、我ながら良い発案だな。これからも楽しみだ]

  その後、サラリーマンを見た者は居ない。

  誰もが田舎に帰ったと思っているが、都会の一角の建物の部屋の中で出れない場所で今日も写真を撮られていた

  終わり