恋人のサバサバ系クール獣人さんが全然構ってくれないので、魔が差して淫魔さんの誘いに乗ってしまう愚かな人間くんの話

  一応恋人ではあるはずなのに、いつも冷めた態度で接してきて、発情期の時でさえ性欲を発散するためというあくまで事務的な理由で呼んでくる上に、終始真顔のまま行為を終えてくる、彼女のサバサバ系クール獣人さん。

  こちらから告白したとはいえ、オッケーしてくれたはずなのにいつも素っ気なくて冷たい態度なので、本当は僕のことを好きじゃないのかもしれない、と最近不安に思い始めてきた。

  付き合い始めたら仲良くなるものかと思っていたのだが、平日はもちろん土日も仕事があるからとパソコンに向かっているばかりで、全然相手をしてくれない。

  更にはこの冷めた関係のまま疎遠になってしまってはいけないと思って話しかけようとするのだが、「仕事の邪魔だ」と言われてしまうような状況だった。

  そんなこんなで、自分で言うのもなんだが拗ねてしまい、前々から知り合いの淫魔さんに誘われていて一旦断っていた飲み会にやっぱり行ってみることにした。

  引き止めてくれたりしないだろうかと淡い期待を抱いて獣人さんにも、今度淫魔さんと飲みに行くから、と言って一応日程と場所を伝えてみるものの、全く引き止めてくれないものだから、やっぱり本当は好かれてない形だけの恋愛関係なんだな、と悲しくなる。

  そうして、モヤモヤした気持ちを抱えたまま迎えた飲み会の日。

  待ち合わせの場所にちょうどぴったりの時間に着くと、少し早めに着いていたのか淫魔さんが先に待っていた。

  しかし他の参加者も居るという話だったはずが、そこには淫魔さんしかいない。

  皆少し遅れているのだろうか。

  そう思って……もう少し待つことになるのかな、と考えていたのだけど、淫魔さんは「ごめん、他に来る予定だった子たち、全員急遽来れなくなったみたい……。まあ2人きりでもいいよね?」と言ってきた。

  いや、それは流石にと思い「2人きりはちょっと……一応彼女がいるので……」と言って断ろうとするも、「別にこれくらい大丈夫だって~。彼女さんとの付き合いで困ってることとかあったら相談乗ってあげるしさ~?」と返され上手く丸め込まれてしまう。

  そうして結局、気がつけば僕と淫魔さんは2人で居酒屋に来ることになってしまった。

  しかも最初は、すぐに帰らなきゃなあ、と思っていたものの、淫魔さんの話が存外上手く、途中から話すのが楽しくなってしまい、どんどんお酒が進む。

  淫魔さんは言っていた通り相談にも乗ってくれ、僕が彼女と上手くいっていないことを話すと「うわっ、それ絶対浮気してるよ?可哀想に。私だったらそんな思いさせないのになー♡」と言ってきた。

  他にも、様々な彼女に関する悩み事を相談する度「うんうん、それは彼女が悪いよ~」と言ってきて、やっぱりそうなのかな……と思い始める。

  それからしばらくして、あまり酔わないうちに帰ろう、と思っていたのが、迂闊にも立てないほど酔っ払ってしまい、淫魔さんが介抱してくれることとなった。

  「あーあ、○○くん凄い酔っ払っちゃって。これじゃ1人で帰れないね?♡いいよいいよ、お代はとりあえず私が払っておくから。それよりさ……辛そうだから少し休憩できるところ行こっか?♡」

  僕は朦朧とした頭でそれを何となく了承してしまう。

  そうして次に目を開ければ、僕はホテルの一室のような場所に居た。

  ベッドに寝かされていて――

  そこまでは良かったのだが、なんと、よく状況を確認すれば僕は裸にされていて、しかも目の前には淫靡な裸体を露わにした淫魔さんがいた。

  淫魔さんは僕が起きたのに気がつくと、「あれ?なぁんだ。まだ寝てて良かったのに♡」と言ってくる。

  僕がまだ酔いが残っている上に寝ぼけていて回らない舌でなんとか「な、なにやってるんですかぁ……?」と尋ねると、彼女は平然とした調子で「えー?彼女さんとも経験あるくせにしらばっくれちゃって♡見ればわかるでしょ?すっごく気持ちいいことを今からするんだよ♡」と話し笑った。

  そこで、僕は初めてとんでもない状況に置かれていることに気がつく。

  そんな……これだけは駄目だ……なんとか逃げなきゃ、と思うものの、酔って弱った身体には思うように力が入らず、更には淫魔さんが馬乗りになってきて両手を抑えて拘束してくる。

  「だーめ♡○○くん、彼女との行為に満足してないって言ってくれたじゃん♡」

  そんなこと、本当に言ったのだろうか……。

  酔っていたせいで淫魔さんと居酒屋で話していた時のことを途中から全く憶えていない。

  でも、本当に言っていたとしてもこんなのはダメだ。

  やめさせなきゃ……。

  そう思うけれど、やっぱり力が入らず、全く抵抗することが出来ない。

  「えへへ、だからね、そんな可哀想な君を私が慰めてあげるの♡心配しないで大丈夫だからね♡最初はゆっくりやってあげるから♡」

  そ、そんな……。

  だ、だめ……絶対にそれだけは。

  浮気になっちゃう……。

  「い、いやだぁっ……!」

  そうやって必死に捻り出した言葉を、淫魔さんは笑い飛ばしてから呟いた。

  「じゃあ、挿れるね……♡」

  ああ、何もかも終わりだ。

  僕、これから浮気しちゃうんだ。

  どうしようどうしようどうしよう。

  淫魔さんの顔がどんどん近づいてくる。

  漂ってくる甘ったるい淫魔のフェロモンをなんとか嗅がないようにしているのに、それは閉じた鼻腔を貫通して脳に性欲を奮い立たせろと命令してくる。

  淫魔とお酒なんか飲むんじゃなかった……。

  いよいよ最後だ、と思ったその時――

  ドガァンッ!!!

  突如地響きが起きるぐらいの轟音が部屋に鳴り響いた。

  「え、なっ、何――」

  淫魔さんも戸惑ったようにそう呟いた、その僅か数瞬後、見慣れた姿が視界に飛び出してくる。

  それは、鍵がかかっていた扉を強引に蹴破って入ってきたようであり、それでいながら涼しい顔をしている獣人。

  ――僕の彼女だった。

  彼女は間髪入れずに淫魔さんを一発ドカッと殴り倒したかと思うと、地面に倒れた淫魔さんの頭をぐりぐりと踏みつける。

  「い、痛っ、ちょっと痛いっ!やめてよ!あんた誰なの!急に部屋に入ってきてなんなのよ!!!💢💢」

  淫魔さんは突然のことに怒った口調で喚くが、そうすると獣人さんは冷たい声で言い返した。

  「お前がそれを言うか。人の番に唾をつけるとはいい度胸だな」

  獣人さんはいつも通り冷静な顔をして、淡々とそう言ったが、曲がりなりにも彼氏だからわかる。

  彼女の口調に淫魔さんに殺意すら抱いているような怒りが含まれているのが。

  「え……あ、○○くんの彼女さんですか……?あ……え、えっと、これは、あの、そのちがくて――」

  「何が違うって???ホテルに連れ込んでお互い裸になっておいて何が違うんだ???なあ、言ってみろよ💢💢」

  「……あ、……いや……あの……す……すみませんでしたぁっ!!!……でっ、でもですよ?わ、私、○○くんに誘われちゃって我慢できなくなっただけでっ、これは○○くんの意思でもあってぇ――」

  「お前っ、ふざけんなっ!!!💢💢○○は私のこと大好きなんだよっ!!!💢💢そんなことするわけないだろがっ!!!‪💢💢」

  獣人さんは突然怒声を響かせて、それとともにドカンッと壁を殴る。

  そうすると、その拍子に壁に大穴が1つ空いた。

  それを見て、淫魔さんは恐怖に身を捩り悲鳴をあげる。

  「ひっ、ひぃぃっ!ご、ごめんなさい!私が誘いました!で、でも、もう2度と○○くんには関わりません!許してください!ごめんなさいっ!!!」

  焦ったように必死な声でそう言い、淫魔さんは何度も土下座して謝罪をし始めた。

  そうすると、獣人さんは「そうだなあ。……見たところまだ本番までは行ってないようだしなあ……。でも念の為子宮はくり抜いて去勢しておくか?」と言って、先程の怒り狂った表情からコロッとニコニコとした笑顔になって不気味に微笑む。

  「えっ……」

  そう漏らしたのは淫魔さんではなく僕の方だった。

  それは流石にやり過ぎでは……。

  しかし獣人さんは、一通り声にならない叫びをあげて恐怖に打ち震えている淫魔さんを見下ろしてから、心底バカにするように鼻で笑ってから言った。

  「ははは……なんだよ。ただの冗談に決まってるだろう?」

  青白い顔を見せていた淫魔さんはそれを聞いて一瞬安堵した顔になるけれど、加えて「まあ、2度目があれば本気だがな」と言われて、もう一度恐怖に身体を震わせる。

  そうして、獣人さんに「わかったらさっさとどっかに行け」と言われた瞬間、淫魔さんは脱ぎ捨てた服を凄まじい速度で拾うと、恐ろしさのあまりか、とんでもない速さで部屋を出ていった。

  「さて……」

  淫魔さんが居なくなると、早速獣人さんは僕の方へ目を向けてくる。

  「あ……ありがとう」

  僕は素直に感謝の気持ちを伝えた。

  先程から、僕は驚いてばかりだった。

  急に彼女が乱入してきて、淫魔さんを追い出して……今でもあまり理解が追いついていない。

  けれど、彼女が実は僕をどれだけ想ってくれているかを知れて、とても嬉しかったのは確かだった。

  だから感謝をしたのだけど――――

  「おい、○○。のこのこと淫魔と酒なんか飲みやがって、第一声が謝罪じゃなくありがとうだと?‪💢💢」

  獣人さんはイラついた声でそう言って、僕を鋭い目付きで睨み詰め寄ってくる。

  「え、ご、ごめんなさ――」

  そうやって謝罪の言葉を言いかけたところで、獣人さんはベッドの上に上がってくると、そのまま僕を押さえつけてから遮るように早口で「私は今日、お前が淫魔の参加する飲み会に行くと言うから気が気じゃなかった💢💢仕事もまともに手につかず、早上がりしてお前が教えてくれた店の近くのホテルを巡り、嗅覚をアテに探し、やっと見つけたと思えば真っ裸でベッドに寝ていたんだ💢💢私がどんな気持ちだったと思ってる💢💢そもそもお前、私が止めに入らなければどうなっていたと思う?💢💢」と言ってきた。

  それに対して僕がおずおずと「お、襲われてた……」と答えると獣人さんは「わかっていたなら何故抵抗しなかった!そもそもな、淫魔と酒を飲むなんてどう考えても危険だろうが!!!‪💢💢」と憤慨した様子で僕の目の前で叫んでくる。

  「ご、ごめんなさいぃ、でも、ぼ、僕、獣人さんに好きって思われてないんじゃないかって不安で……構って欲しくてぇ……」

  また怒られるんだろうなと思って、僕は泣きそうになりながらそう説明した。

  しかし獣人さんはそんな様子とは裏腹に一旦拍子抜けしたような顔になり理解が追いつかないといった表情で「は?」と言ってきた。

  「な……何が不安だって?」

  「じゅ、獣人さん、僕のこと好きじゃないのかなって」

  そう言うと獣人さんは再度フリーズする。

  それで、あれ、怒らなくなった?と一時は思ったのだが、数秒の戸惑いを挟んだ後、獣人さんの怒りは急に頂点に達したのか、突然僕の身体に馬乗りになってきたかと思うと、服を脱ぎながら叫び始めた。

  「……は?‪はあっ!?💢💢何言ってんだお前‪!💢💢好きに決まってるだろうが、ぶち犯すぞ‪!!💢💢」

  「……で、でもっ、獣人さん仕事ばっかりだし!」

  僕はそう言い返すけれど、獣人さんの怒りは留まるところを知らない。

  「構って欲しいなら言えばいいだろ!‪💢💢そもそも好きじゃなきゃ付き合ってねえよ!💢💢はーっ💢💢くそくそくそっ!💢💢ふざけんなっ!💢💢勝手に不安になって浮気しようとしやがって!💢💢そんなこと言い出すならもう退職してやるっ!!!‪💢💢」

  言いながら、獣人さんは全く躊躇せずに挿入させようとしてくる。

  「あっ、ま、待ってぇっ……」と、僕はそう言うが、獣人さんは全く気になどしてくれない。

  「待つわけないだろうっ‪💢💢お前にはしっかり教え込まなきゃいけないんだよっ!‪💢💢私はお前のことが大好きで大好きで仕方ないのに!!💢💢人間は弱い生き物だと聞いていたから今まで必死に耐えてやってたんだ!!💢💢だが、もう我慢ならない!!‪💢💢我慢していて浮気されるくらいなら徹底的に搾り取ってわからせてやる!‪!!♡♡♡💢‪💢‪💢💢」

  そんなことをほとんど叫ぶように言われ、これまでの彼女とは別人かと思うほど感情剥き出しの、暴力的ともとれるような激しさで腰を打ち付けられ始めてしまい、「や、やめてよぉっ……!」となんとか出た情けない声で許しを乞うけれど、獣と化した彼女の耳には届いていないのか、夜通しわからせ交尾をされてしまい、その一件以降、獣人さんはサバサバしていたこれまでと違って、むしろやり過ぎなくらいに愛をぶつけてくるようになっちゃった話