[chapter:ケース1 専業主婦の疑似交尾]
私の名前は加藤綾子。
幼稚園に通う息子を持つ、普通の専業主婦。
今日は息子のお迎えのため、幼稚園に来ていた。
(あ、そう言えば…変身抑制薬飲むの忘れてた)
息子が出てくるのを待つ間、ふと家を出た時の事を思い出した私は、常備薬を飲み忘れていた事に気づく。
(まぁ…今日くらい大丈夫でしょ。)
それは私の体質に関わる薬だけど、1日服用しなかったからと言って命の危機かと言われると、そんなこともない。
急いで家に帰れば問題ない…はずだ。
「ママ〜!」
「あ、お帰り!はると」
そう、楽観視していた私の元へ可愛い息子が駆け寄ってくる。
両手で虫かごを抱えていて、何やら捕まえてきたみたいだけど…
「見て見てママ!僕ね、今日でっかいカマキリ捕まえたんだ!」
「っ!?」
ドックンっ!!
真っ先に私に見てほしかったのだろう。
有無を言わさず目の前にカマキリが突き出された瞬間、私の身体の奥で大きな鼓動が脈を打つ。
(う、嘘でしょ……)
本来であれば微笑ましい親子の会話のはずなのに、よりによってまさか、抑制薬を飲み忘れた日に限って…。
「ママ?」
(うぅ…まずい。このままじゃ………)
期待した反応が返ってこなかったからか、息子は私を見上げながら首をかしげるが、私も今は返事をしてあげる余裕がない。
何故なら…
(このままじゃ私…息子の前で、カマキリに…変身しちゃう!)
[newpage]
昆虫変身体質。
これが私の持つ体質。
その言葉通り私は昆虫…それも、メスのカマキリに変身することができる…と、言うか変身してしまう体質だ。
とんでも無いことを言ってると思われるかもだけど、実はこの体質自体は珍しいものではない。
この世界の一般的な成人女性のほとんどは、皆何らかの昆虫に変身してしまう体質だと思う。
原因はこの世界の昆虫が持つウイルス。
女の子がちょうど2次成長を迎える頃…身体が大人の女性へと変化しようとする不安定な時期に、このウイルスを保有する昆虫に噛まれたり接触することで、体内にその昆虫の遺伝子が刻み込まれてしまい、昆虫への変身が可能な変身体質になってしまうのだ。
なぜ女性だけが変身するようになるのか?
諸説あるけど、有力な説はこのウイルスの目的が宿主である昆虫の数を増やすことで、昆虫側も子孫を増やしたいという本能が噛み合った結果の突然変異の結果とされている。
オスを増やしても争って傷つけ合ってしまうから、産卵が可能なメス…女性だけに感染、変身させてしまうのではないか?とのことらしい。
変身体質…と言っても、身体が勝手に昆虫に変化する…なんてことは基本的にはなくて、頭の中で昆虫の姿を強くイメージすることで私達の身体は各々の昆虫へと変身することができるし、逆に昆虫から人間へもいつでも戻ることができる。
だから、ほとんどの女性は昆虫の遺伝子を持ちながらも普通に社会生活を送っているし、特に支障はないんだけど……この時期だけは別だ。
初秋。
過酷な暑さが終わり、若干の涼しさを覚えるこの季節だけは、昆虫化体質の女性にとって厄介な時期になる。
多くの昆虫達の生涯は、夏の間に成長して大人になり、残すは交尾を終えて子孫を残すだけ。
だから、この時期のオスの昆虫は身体中からメスを誘うためのフェロモンを大量に放出するんだけど…私達、昆虫化女性もまた例外ではない。
普段は変身を抑えて人間として過ごす私達だけど、このオスのフェロモンにあてられてしまうと、たちまち体内の昆虫の遺伝子が活発化して、交尾しようと身体が疼いてしまう。
この感覚、男性にも分かるように例えるなら…極限の空腹時に目の前に高級ステーキを差し出される感じだろうか?
強く自我を保たないと、あっという間に欲望に身を任せて変身しそうになる本能を抑えるために、この時期の私達は変身抑制薬と言うものを服用するのが基本。
なんだけど…まさか、たまたま忘れた日に限ってオスのカマキリを出されるとは思わなかった。
「はぁ…はぁっ……。ごめんね、はると。ママ、虫さん苦手なんだぁ…逃してあげられないかな?」
「え〜……」
理性を強く持ちながら目の前の誘惑に……変身に抗いつつ、カマキリを遠ざけるようにお願いする。
息子には私の体質の事は話していないから仕方ないんだけど、一応カマキリを離してくれて…
「カマキリさん、ママのことが好きみたいだよ?」
「んっ!ダメっ!お、お願い!もっと、もっと遠くに…」
生殖スイッチが入ってしまった私の身体からも、メスのフェロモンが出てしまっているみたい。
息子の手を離れたカマキリは私に向かって飛んてきて、その身体を擦りつけてくる。
ゼロ距離で浴びるオスの欲望を前に、私の身体も勝手に受け入れ体勢に入って、今にも変身して交尾しようと急かしてくる。
「ばいばーい、もうママを怖がらせちゃだめだよ」
小さく縮もうとする自分の身体に必死に力を込めて抵抗していると、遠くで息子の声が聞こえた。
どうやら、今度こそ離れてくれたらしい。
(はぁ…はぁ………今年はもう、ダメみたいね)
徐々に弱まる変身衝動に安堵しながらも、生殖スイッチが入ってしまったこの身体。
次はもう耐えられる自信がない。
こうして家に帰る途中、私はとある決意を固めるのだった。
[newpage]
翌日、息子を幼稚園へと送った私は、その足でとある施設を訪れていた。
ここは国が運営する、昆虫化女性専用のサポート施設。
と言うのも、せっかくの変身体質。
空を飛んだり泳いだり…変身を楽しみたくなる時は当然ある。
とは言え、昆虫の身体は屋外はもちろん、家の中でさえ完全に安全とは言い難くて、ゴキブリやクモのような外敵となる大型昆虫の存在や、下手をすれば家族に踏み潰される可能性もある。
そんな私達が安全に変身できるスペースを用意してくれているのが、この施設だ。
昆虫の種類ごとに最適な環境を整えられた個室で、思う存分昆虫に変身できるため、定期的に通う女性は結構多いとか。
…私の目的は楽しむのとはちょっと違うけど。
「すみません、カマキリの産卵処理をお願いしたいんですけど…」
「かしこまりました。お部屋へご案内しますね」
受付で要件を伝えると、淡々とした対応で個室へと誘われる。
それだけ、この世界では日常的な光景という訳だ。
案内されたのは、土や草が敷かれた畳1畳程度の個室。
今の私にとっては狭すぎるけど…どうせ変身したら10cm程度に縮むので、特に気にしない。
「こちら交尾用の模型です。部屋の中でしたら、どこに産卵していただいても構いませんが、お帰りの際に産卵箇所をお伝えいただけると助かります。」
「あ、ありがとうございます……」
オスのカマキリを模した模型を用意してくれたスタッフさんは、必要事項だけ説明すると部屋を後にする。
同性とは言え、これから自分が交尾して産卵することを指摘されると流石に恥ずかしい。
向こうは気にしてないだろうけど。
パタン…。
扉が閉まると同時に、部屋の中には昨日も嗅いだオスのフェロモンが充満して私の本能を刺激する。
「はぁっ…はぁっ……服、脱がなきゃ」
カマキリに変身するため、服を脱いでいく。
これから私が行うのは交尾…とは少し違って、模型を使った疑似交尾。
そこ、オナニーじゃんとか言わないで!
これにはちゃんと理由があるんだから!
昆虫が夏から秋にかけて産卵をするように、私達昆虫化女性も、この時期になるとお腹の中に卵が蓄えられる。
この卵は毎年排出する必要があるんだけど、その方法は大きく分けて2つある。
1つは言うまでもなく、オスの昆虫と交尾をすること。
ただ、結婚して子供もいる今の私には昆虫との交尾は少し抵抗が…や、性欲旺盛な学生の頃には何度か経験したけどさ。
そしてもう1つの方法が、交尾をせずに排卵すること。
冬頃まで交尾をしなければ、不要となった卵を無精卵として産むことになる。
だから、交尾を望まない女性は抑制薬を服用してこの時期を乗り切り、家や施設でひっそりと排卵するのが通常で、私もそのつもりだったんだけど…昨日の件でこの身体は完全に繁殖モードになってしまった。
こんな身体で数ヶ月を耐える自信はないから、施設にきたってわけ。
先程渡されたこの模型は疑似交尾用に作られていて、交接器…人間で言うおちんちんが用意されている上に、産卵を促すためのオスのフェロモンも塗られている。
この模型と擬似交尾を行うことで、身体が交尾をしたと錯覚して冬を待たずに無精卵を排卵することができると言う話だ。
「はっ…はぁっ…はぁ……っ、下着、んぐっ…と、取れないっ…」
服とズボンを脱いで後は下着を外すだけなのに、興奮しきった身体ではうまくブラのホックを外せない。
「はっ…はっ…はっ…はぁ……はうっ!!も、もうダメ!!!!」
ゾクッ!
立ち込めるオスの匂いに、とうとう限界を迎えてしまった。
我慢が出来なくなった身体にゾワリと、変身特有の快感が走る。
こうなったらもう変身を止めることはできない。
「ん、んぐぐっ!あ…キ、キタぁぁっ!」
グググッ…
我慢を止め、変身の衝動に身を委ねた私の身体は、カマキリにふさわしい姿になるために急速に縮み始めた。
窮屈だった部屋がドンドン広くなり、足元に生い茂っていた草むらが近づいてくる。
スルリ…
身体が小さくなったことで支えがなくなったブラジャーを、まだ人間の動きが出来るうちに床に放り投げる。
こうして、完全に素っ裸になった私は四つん這いになって身体の変化を加速させていく。
「ん…んあっ……んぐ、ああああっ!!」
パキ…パキパキッ……
地面に着いた両腕がカマキリの鎌に変化していき、両足や胴体は細長くなる。
人間とは大きくかけ離れた身体のサイズと輪郭。
先程から私が上げている声は、そんな身体を作り変えられることによる苦悶の声…ではなく、むしろ逆で強い性的快感によるものだ。
当然と言えば当然なんだけど、私達女性にわざわざ昆虫への変身と産卵を促すウイルス。
強烈な快感をエサにするのは理にかなっていると言える。
「ああっ、足…足がっ……増えるぅぅぅ」
ニョキニョキ…
鎌と後ろ足…その間の胴体から、もう一対昆虫の…カマキリの足が伸びてくる頃には、私の胴体には羽も生えて色は肌色から緑色に。
身体がほとんどカマキリに変わった後、最後に顔にも変化が訪れた。
(目…目っ……顔がっ……ん、んあっ!!!)
髪の毛が吸収され、目は大きく飛び出る。
言葉を出すこともできなくなった私の顔は、逆三角形型のカマキリのものへと変化して変身が終わる。
(ふっ…ふぅ……ふぅ。か、変わっちゃった)
つい先程までは子持ちの専業主婦だった…なんて、説明されない限り絶対に分からないであろう。
10cm程度の体長、緑色の皮膚、6本の足と羽の下には卵を抱えて、大きく膨らんでいるお腹。
そこにいる私は、人間ではなく1匹のメスカマキリでしかなかった。
(ふぅ…ふぅ…気持ちよすぎて、力が入らない……)
この快感だけは、何度変身しても全然慣れない。
いつもなら呼吸が整うまでゆっくりするんだけど、目の前にはフェロモンを漂わせたオスの模型。
人間の身体ですら身体が疼いたくらいなのに、カマキリに変身した今、この誘惑に耐えられるはずがない。
(あ…欲しい……。ちんちん、挿れたい…)
一刻も早く交尾がしたい。
なのに、快感の余韻で歩くことがままならないため、羽を広げて模型の元まで飛んだ私はその懐に身体をねじ込ませる。
そして、間髪入れずに剥き出しのおちんちんを自分の穴へと挿入して……。
ズプリ。
(っ〜〜〜〜〜〜!!!)
ずっと我慢していた交尾の感覚。
最早言葉にもならない強い快感で、私の頭は真っ白になる。
人間と違って、一生に一度しか交尾の機会がない昆虫達の交接器は、捕まえたメスを逃さないためにメスを満足させる形状をしている。
夫とのセックスでは腟内で感じたことがない私も、カマキリの身体では動きの1つ1つに強烈な快感を感じるため、無我夢中で身体を動かす。
ヌプヌプヌプヌプ……。
(はーっ、はーっ…い、いいの。気持ちいいの……こんなの、久しぶり!)
おちんちんを出し入れし、快楽を貪る私の身体は行為を始めたばかりと言うのに、急速に快感の頂点へ達しようとしていた。
自然とお腹を動かす動きも早くなってくる。
(はっ、はっ、はっ、はっ…イ、イきそ…イクっ、イクっ……イク…イ、イクぅぅぅぅ!!!!!)
ギューッ!!!!
盛大に達した私の身体は、模型相手だと言うのに精子を1滴足りとも逃すまいと、中をキツく締め上げる。
ビクンッ…ビクンッ…ビクッ………………ビクッ。
しばらくの間絶頂を味わいながら痙攣していたけど、快感が緩やかになると同時に脱力して地面に横たわる。
(あ、あはぁ…気持ちい、あっ…おちんちん抜けっ…)
ヌポン。
(はー…はーっ……やっぱ、交尾って気持ちいいわね……)
夫には悪いけど、来年はオスのカマキリを捕まえてきて本気交尾しようかしら?
そんな、はしたないことを考えていると突然、お腹に異変を覚えた。
(んっ!?お腹っ……あっ、卵が…出たがって…)
擬似とは言え、オスのフェロモンをたっぷりと生殖器に塗り込んだことで、私の身体は交尾をしたと思い込んで次の段階へと進んでいた。
交尾を終えたメスの、生涯最後の大仕事…そう、産卵だ。
(はぁ…はぁ……お腹、重い……産まなきゃ……)
どこで産もうかしら?
ふと、周りを見渡す。
別に無精卵だからどこで産んでもいいんだけど、この身体は平地だと踏ん張りがきかなくて産みづらいのよね。
(どこで産卵してもいいって言ってたわよね?)
少し悩んだ結果、背が高くて丈夫そうな葉っぱの裏に産み付けることにした私は、葉っぱに飛び乗ると頭を地面に向けて逆さ向きとなり、葉っぱにお腹を押し付ける。
(この体勢が一番産みやすいのよね………んっ!)
すでに産卵の準備が整っていた私のお腹は、少しいきむだけですぐに卵を身体の外へと送り出し始めた。
(んおっ!?お"っ"、お"お"っ"…ん"っ"お"お"お"お"っ"!!)
毎年無精卵を排卵しているし、それも十分気持ちのいいものではあるけれど…疑似とは言え、交尾をした今日の快感はそれ以上のものだった。
先程までおちんちんを出し入れして敏感になっている産卵口を、卵一粒一粒が押し広げる度に心の中で喘ぎ声が止まらない。
(お"あ"っ"…あっ…………っ。は、はぁ…はぁ……全部、出た?)
メスが生涯最後に感じる快感を思う存分堪能していたところなんだけど、残念ながら終わりがきてしまったようだ。
お腹も軽くなり、ふと振り返るとそこには私のお腹のどこに収まっていたのだろうか?と驚くばかりの大きさの卵胞が産み付けられている。
(はぁ…はぁ……これで、落ち着ける………あっ)
産卵を終えた私は、気が抜けてしまいポトッと地面に落下する。
本物の昆虫達ならこれで寿命を迎えるのだろうけど、もちろん私は違う…ただ、変身に交尾、続いて産卵と立て続けに凄まじい快感を味わったせいで身体に力が入らないだけだ。
(ふぅ…それにしても)
こんな時間久しぶりかも。
いつも家で変身や排卵する時は、安全のためにすぐに人間に戻るので、カマキリの姿で無防備に転がる機会なんて珍しい。
脱力し、天井を見上げていると視界の端に先程放り投げたブラジャーが映り込む。
人間の身体では片手で扱うそれも、今の私にはちょっとした建造物のような大きさだ。
(私、ホントに小さくなってるのね…)
考えてみれば不思議な体質だ。
薬や機械を使うわけでもなく、頭でイメージしただけでこれほど小さい姿に変身できるなんて。
今更ながらに、変身の非日常感と…僅かな興奮を実感する。
危険がないのであれば、たまにはこの身体を楽しむのもアリかもしれない。
(時間は…まだあるわよね?)
ようやく快感が落ち着き、身体に力が入るようになった私は起き上がると、人間に変身し直す…のではなく、羽を広げて室内を飛び回りはじめた。
人間では体験できない動きを楽しみながら私は…
(これからはここに通って変身を楽しむのもいいかもね)
ふわりと宙を舞いながら、時間いっぱいまでカマキリの身体を満喫するのだった。
[newpage]
[chapter:ケース2 新米教師の産卵]
私の名前は鈴原琴音。
25歳の小学校教員。
現在4年生の担任を受け持つ私は今日、林間学校の引率で宿泊施設に来ていた。
「スズ先胸でっか!」
「ねえねえ何カップあるの?」
夜。
ご飯を終えてお風呂の時間。
生徒たちの監督と自身の入浴を兼ねて、私達引率教師陣は交代でそれぞれ教え子達と入浴をしていた。
(はぁ…静かに浸かりたかったのに)
生徒達は露天風呂でテンションがあがっているのか、女子小学生だと言うのにまるでエロオヤジのごとく私に群がってぐる。
「皆、お願いだから静かに入ろうね。後、先生はEカップです!」
さらりと自慢を混ぜつつ、適当に生徒達をあしらう。
男子じゃあるまいし、すぐに興味も失うだろう。
そう思っていた私にふと、とある質問が投げかけるれる。
「ねえねえ、スズ先も虫に変身できんの?」
この世界では、何らかの昆虫に変身してしまう昆虫化体質の女性がそれなりに存在していて、私もまた例外ではなかった。
「できるよー?先生はね…オニヤンマに変身しちゃうの」
私の地元は自然豊かな田舎で、ちょうどこの子達と同じ小学4年生くらいだったかな?通学路でオニヤンマに小突かれた時に昆虫化ウイルスに感染して以来、オニヤンマへの変身ができるようになった。
「私オニヤンマ自体見たこともないよ!」「空飛べるんだよね?いいなぁ」「ねえねえ先生、変身ってどんな感じなの?」
その後も、生徒達から次々と挙がる称賛の声や質問にいろいろと答えていて、その内…
「私、スズ先の変身見てみたい!」
「あ、私も私も〜」「先生!お願い!」
気がつくといつの間にか、質問は私へのお願いへと変わっていた。
一応、昆虫への変身はこの世界の常識ではあるけど、基本的にはひっそりと楽しむものであって、他人に見せることはほとんどない。
いくら生徒達とは言えそれは流石に…
(でも、この子達の中にも昆虫化しちゃう子が出てくる年頃よね)
昆虫化は、二次性徴期に昆虫の持つウイルスに感染することで引き起こされる。
この子達が初めての変身に戸惑わないように、教えるのも教師としての自分の役割ではないだろうか?
「ねえねえお願い〜」「誰にも言わないから〜」
小学生の秘密なんてまったくアテにはならないけど。
ここまで言われたら、私も教師として一肌脱がないといけない気持ちになってくる。
…全裸だけど。
「あー、分かった分かった。じゃあ、1回だけ。絶対他の人には言わないでよね」
後で他のクラスの子にせがまれても困るし。
踏み潰されたら困るので、生徒達には絶対に近づかないように念を押してから、私は四つん這いになり頭の中でオニヤンマに変身するイメージをする。
ドクンっ…
「っ…!」
大きな鼓動と快感が身体を駆け巡り、私の変身が始まった。
ドクンドクンドクン………。
だんだんと広くなる浴室。
相対的に大きくなっていく生徒達。
ってか、さっきまで騒いでいたのに、気がついたら皆静かに私の変身に見入っていてちょっと恥ずかしいんだけど。
「くっ……ふっ、ふぅぅ」
生徒達の前で快感によがる姿なんて見せられない。
声を噛み殺しながら、身体の変化に全てを委ねる。
足や胴体は人間のものから、細い昆虫のものへと変わっていく。
4枚の羽が生える頃には、身体はすっかり縮んで足は6本に増えて胴体も縞模様のトンボのものへと変化しており、残すは顔だけとなった。
(んあっ…顔っ、歪むっ…んっ、んおおおおおおっ!!!)
グニャリと、顔が歪んだと思うと、次の瞬間には目が飛び出して口が広がる。
一瞬で人間からオニヤンマの顔へと変化したことで一際強い快感に襲われるが、すでに声を出すことが出来ない私は心の中で密かに絶頂を迎えて、完全にオニヤンマの身体へと変身を終えたのだった。
(ふぅ、ふぅ…はぁ、はぁっ。いつもより…き、気持ちいいかも…)
「すごーい!ホントにスズ先が虫になっちゃった!」
「私変身見たの初めて〜!」
「いいなぁ、私も昆虫に変身してみたい!」
教え子達に見られたことでいつもより興奮していたのか、凄く気持ちいい変身だった。
呼吸を落ち着かせて快感の余韻に浸っていると、生徒達も一層賑やかになる。
「スズ先!飛んで飛んで〜!」「こっち来てよ〜」
「動いてみて〜!」
(ふふ、ちょっとだけサービスしちゃおっかな)
言葉が話せない分行動でコミュニケーションを取ろうと、私は生徒達の頭上をしばらく飛び回って変身をアピール。
キャッキャと喜ぶ生徒達の反応に、すっかり気分を良くした私はそろそろ人間に戻ろうと…そう思った時だった。
ガシッ!
(はぇ?)
突如飛来した何かに、身体を抑え込まれてしまう。
そう言えばここは露天風呂…つまり、屋外だった。
(う、油断したぁ。すぐに人間に変身し直さないと……って、この匂い……。)
外敵だったら流石にまずい。
人間に戻るためのイメージをしようとした矢先、私の周りにむせ返るようなオスの匂いが立ち込める。
身体が疼くこの匂い……まさか。
複眼となった両目で私を掴んだナニカをよく見てみると、なんとその正体は…
(やっぱり!オニヤンマ!?しかも、お腹のそれって…)
なんと、滅多に見ることのないオニヤンマの姿だった。
いや、よく考えたらここは林間学校の宿泊施設。
大自然の中なら、オニヤンマがいてもおかしくはない。
それよりも問題なのは、そのオニヤンマのお腹。
そこには、今にも交尾を始めようとする生殖器が見える。
「ね、ねえねえ…あれって、さ」「うん…多分、オスのオニヤンマ……」「え、え、じゃあまさか…」
視界の端で、生徒達の困惑した姿と声。
小学4年生ともなれば、オスがメスを掴んだ後何をするのか予想がつくのだろう。
そして、当然私も同じ結論に至っている。
(ちょっ、待って!ここで交尾なんて…だ、だめっ!)
まずいまずい!今すぐ人間に戻らないと!
変身のために頭の中で人間の身体をイメージしようとするんだけど、オスのフェロモンに刺激された私の中の昆虫の本能が交尾を思い起こして、うまく頭が働かない。
変身をコントロールできずに困惑する私を、交尾体勢に入ったオスが待ってくれるはずはなく、浴場の隅っこに着地するや否や、私の身体をガッツリとホールドして逃げられなくしてきた。
(はぁっ…はぁっ……はぁっ…だめ、なのに…こんな、皆の前…で…)
頭の片隅では「私は教師!子供達の前で性欲に流されるなんてあってはいけない」と、僅かに理性が残っているのにフェロモンを浴びた私の身体は完全に交尾を始める準備を整えてしまっていた。
(うぅ…やだぁ。身体、言う事聞かな……ん、んああああっ!?)
ズプププッ………
目の前に差し出された交接器。
昆虫の身体でこの生殖本能に抗うことなんて出来るはずもなく…私の身体はあっさりとオスの挿入を許してしまう。
(あっ、あっ、あっ…これ、久しぶりぃ……気持ちいい…いいよぉ……)
オスと交尾をするなんて何年ぶりだろうか?
久しぶりに叩きつけられる生殖の快楽に、私に残っていた理性は完全に流されて、メスの昆虫そのものになってしまう。
子供達が見ているのも忘れて、快楽に身を委ねること数分。
ビュッ!ビュビュッ!!
(あっ!出てるっ!出されてるっ…んぎっ、んっ…あああああ!!)
オスの交接器を受け入れ、2匹で身体を擦りつけながら何度も出し入れした末に、オスの精子が注入される。
私の中に精が吐き出される、その脈動の1つ1つが私に快楽を押し付けてきたせいで、射精を終えたオスがあっさりと私の元から飛び去った後も私はすぐに動けずにいた。
(はーっ、はーっ…や、やっちゃったぁ…………あ、お腹がっ)
少しずつ理性も戻ってきて、今の状況を思い出し始めた私だけどすぐにお腹に異変を感じた。
交尾を終えたメスの次の仕事…産卵の準備だ。
(はっ、はーっ……お腹、熱い…出したい。産みたいっ!)
ボコボコボコ…
受精したお腹の卵達が、外に出るために私のお腹を刺激するせいで、ようやく戻ってきた理性も本能に再び押し流されようとしている。
幸か不幸か、ここは浴場。
水が張られたお風呂に、受精卵を抱えたメスのオニヤンマ。
産卵の条件は整ってしまっている。
(生徒達が見てる…でも、身体がっ)
どうしようもなくうずく今の身体では、人間への変身ができそうにない。
これは昆虫の本能だから仕方ない…よね?
自分に言い訳をして、理性に蓋をする。
そう、これは身体が勝手に動いているの…私の意志じゃないの。
産卵を受け入れたことで、地面に転がってピクピクと痙攣していた私は、重いお腹を抱えて再び飛び上がる。
目指すは水風呂…その水面でホバリングしながら、産卵管のある尾を静かに差し込み…
ビクンッ!ビクビクッ…ビクビクビクビクッ!!!
(んっ……あああっ!出てるっ!卵っ…気持ちいいっ!!)
お腹が震えて、水の中に勢いよく卵を産み落としていく。
細い産卵管を押し広げながら、卵が1粒1粒産み落とされる度に強い快感が私を襲う。
ただ、ここは林間学校のお風呂。
私はすっかり状況に流されていたけど、当然周りには生徒達がいて…。
「ねえあれ、卵じゃない?」「まじ?スズ先産卵してんの?」
「うわぁ、いっぱい出てる…」
(んぉっ…ぉっ、ぉっ、まだ…まだ出るぅ。止まらないぃぃぃ!!)
ビクンッ……ビクッ……………………ピクッ。
一度始まった産卵を途中で止めることはできなくて、結局私は最後の1粒までお風呂の中に産卵してしまった。
お腹がすっかり軽くなった私は、お風呂の外に着地するや否や、静かに人間の身体へと変身してその場に横たわる。
(ぁ、はへぇ…やっと、戻れた……)
「ス、スズ先?」「えっと…大丈夫?」「生きてる…よね?」
ようやく人間に戻った私に対して、生徒達は困惑しながらも心配そうに声をかけてくれる。
「は…あはは……。皆も、昆虫に変身することがあれば…き、気を付けて…ね」
生徒達の頼みだったとは言え、快楽に流されて産卵まで晒してしまった私は羞恥心から、乾いた笑みを浮かべることしか出来ないのであった。
※お風呂に産卵された卵は、動けるようになった鈴原先生と子供達の協力により全数回収され、近くの小川に放流されました。
「バイバーイ!スズ先の赤ちゃん達。無事に生まれるんだぞ〜」
「言わないで!?先生、複雑な気持ちになっちゃうから!」
…と、言う少し変わった世界のお話なのでした。
おしまい。