三位融解

  このうだるような暑さの中で、ただでさえ普段の作業着だって熱が籠もる。だってのにスーツなんて服を考えた奴はどんな不届き者なんだろうな。動きにくいわ暑いわ、不便なとこしかないじゃないか。

  「あれ、宍戸社長。今日はスーツなんすね」

  「あぁ、いつも仕事貰ってる会社の担当さんがいらっしゃるもんだから」

  「それで気合い入ってるんすね、いよっ若旦那」

  「ヤメロ。筋物みたいだろ」

  ただでさえこの業界だとかなり若い部類なのに、余計な渾名まで増えたら益々立場という物がなくなる。交渉というのは相手から舐められたら終わりだから、少しでも圧を保つために鬣を伸ばすようにしているくらいだ。

  大学を出て間もない頃に亡くなった親戚の会社を継いで十年以上にもなるが、経営は一進一退とでも言うべきか。幸い安定した受注は貰えているから、ウチみたいな小さい工場でもどうにか社員を養っている。夏と冬には賞与もそれなりに渡しているからな。

  「打ち合わせの後はそのまま会食に行ってくる。戸締りは任せた」

  「了解でーす。大変っすね、会社付き合い。会食とか何話すんすか、趣味とか?」

  「仕事の話にきまっとろうがい」

  趣味の話もしないわけではないが、人に公言できるような趣味がそう多いわけではないからな。酒と煙草くらいならいいだろうが、もう一つは明かすわけにもいくまいよ。

  工場から歩いて十分もすれば家に辿り着ける、我ながら理想的な環境に住んでいる。六階建てマンションの四階まで律儀に階段で上がるのもすっかり慣れたもので、軽くビールを流し込んだ体で自宅の扉を開ける。

  「んっああっ! はぁ、んっ! おまんこ擦れるぅ! ヨシくんのおちんぽすごいよお“っ♡」

  「ケツマンたまんねっすよマサさんっ! あ“ー中気持ちいっ!」

  おっと取り込み中だった。二人の同居者が奏でる卑猥な声が外に漏れる前に素早く扉を閉めた俺を褒めてくれ。一応角部屋で隣は空室という最高な条件ではあるが、それ以上に二人の声がでかすぎる。

  「ただいま。今日は尻なんですね、マサさん」

  抱かれている中年の竜人は政伸さん。その下腹部に備わった縦割れの収納と肛門は極太ディルドすら余裕で飲み込む百戦錬磨なドラゴンまんこの持ち主だ。もう四十代になるけれど、すらりとした肢体を覆う淡い水色を帯びた鱗の滑らかさは抱きしめていると病みつきになる触り心地をしている。裸で抱き合っているだけでも十分心地いいものだが、当然それだけで済むほど純情でもないからな。

  「お、タマさんおかえり! ノブさんのスリマン空いてっすよ!」

  抱いている白い毛皮の若い熊は義和、若干二十代になったばかりの彼はその体躯に見合う規格外なバキバキ巨根で忙しなくマサさんを背後から犯していた。今は接合部が見えないが本当に太いんだよな、今でも彼に抱かれると情けない悲鳴をあげてしまう。

  「あっ、タマくんおかえりなさい♡ タマくんも、んぁ! セックスしようよ、おっいいっ♡」

  廊下でおっ始めてしまうのもそう珍しいことじゃない。竜と熊と獅子、三人で住んでいるのは毎日セックスをしていたいからなのだから。

  「それじゃ前から失礼しますよ。服は……いいか、どうせクリーニングに出すんだ」

  脱いでいる時間が惜しいというのもあるが、たまには着たままってのも興奮するかもしれない。ヨシもタンクトップだけとはいえ、着たままヤってるみたいだからな。一番年長のマサさんだけ素っ裸ってのもまたいい、妙な背徳感がある。

  「マサさんの大好きなライオンちんぽ、欲しいだろ」

  こんな光景を見せつけられて勃起していないわけがない。とっととファスナーを下ろして滾る俺自身を突きつけてやるだけで、このセックス大好き中年淫乱ドラゴンは目の色を変えてしまう。あーあーだらしない顔、思わずキスしちまう。

  「ん、ふぁい……タマくんのおちんぽ、ぼくの前おまんこにください……♡」

  今日はまだ種付けされてないらしい、愛液滴るマサさんの縦割れに亀頭をめり込ませる。んっ、なんて甘い声が漏れてるのがまたたまらん。ヨシほどデカくもなければ長さもないが、バキバキになった上反りちんこはなかなかいい形をしているだろう。

  「どうすか、マサさんまんこ。さっきほぐしといたんすけど」

  「あぁ、ちょうどいい。ありがとな、ヨシ」

  俺がヤるために前は取っておいてくれたのか、ったく健気な白熊にもキスをしてやりたくなるじゃないか。マサさん越しに頭を寄せて唇を近づけてやれば、期待したような白熊も意を汲んで俺に寄ってきた。

  「ほれ、舌出しな」

  「っす。……んむ、ふ、ぁ。あふ……ん”っ!」

  強面で大柄だが、ヨシはキスが弱点だ。マサさんを抱いている腕に力が籠もっているのがよくわかる。……いや、多分これイったな。最初は俺に合わせて舌を絡めていたものの、呆けた声をあげるだけで反応がなくなったあたり中出ししているんだろう。心なしかマサさんも嬉しそうに震えている気がする。

  「……さーせん、自分」

  「相変わらずキス好きだな、ヨシ」

  ばつが悪そうに顔を逸らす白熊のなんといじらしいことか。一回種付けした程度で引き抜く気がなさそうなのもまたいい、この程度で終わってしまっては味気ないからな。

  「タマくぅん……ぼく、もう我慢できないよぉ……♡」

  おっと、焦らしすぎたか。亀頭だけ突っ込んだままほったらかしにしていたドラゴンまんこが熟れに熟れて、ヌルつく愛液が俺の竿に絡みついている。こりゃあ、もう奥まで突っ込んでもよさそうだ。

  「すいませんね、マサさん……!」

  「お”っ……♡♡♡」

  おいおい、こっちも突っ込むだけでイったな? まんこが締まるだけならともかく、太腿が震えていやがる。マサさんにしっかり抱きついて悶絶しているところを見るあたり、ヨシもケツまんこで締め付けられているんだろうな。ったく、二人共ご満悦なところ悪いがなぁ、俺は帰ってきたばっかでムラついてんだよなぁ。

  「まさか二人共、満足して終わりとか言わねえよな。なぁっ!」

  「あ”っ♡ まっで、ぼくイっ、い”っ!」

  マサさんのまんこはイってる時に突くと反動で万力みたいに締まるのがいいんだよな。甘イキして愛液がだばだば垂れているんだろう、スラックスが一瞬でびちゃびちゃだ。正直動きづらいが、普段よりも興奮する。たまにはいいもんだな、着衣セックス。

  「ヨシもサボってないで、そのデカチンでマサさん支えてやれ」

  「う、うっす。マサさん大丈夫っすか」

  しっかり支えられているところをみるに、ヨシもまだまだ萎えていないらしい。心配そうに竜の顔色を覗き込むが、そこにはおもいっきり喘ぎ散らかす淫乱ドラゴンがいるだけだ。前と後ろ、双方から貫かれたどすけべドラゴンの悶絶が実に心地よいもんだ。

  「ん”ほぉ~~~~~~♡♡♡」

  「「大丈夫そう」」

  へばるどころか、イき続けながら快感をもっとよこせと前後の雄まんこを締め上げつづけてやがる。そのぶん言語野は機能してなさそうだが問題はないだろう。なにぶん気持ちよさそうだし。俺としても気にせず好きなだけ熱中して犯せる雄まんこに集中できる。断続的にイき続けているおかげか、締まりながらもヌルつく内壁の感触がなんとも心地良いもんだ。

  「はー……たまんないなぁ、マサさん」

  「ほんっと、名器っすよねマサさん。自分、またイくかも……」

  「おいおい、早くないかぁ?」

  ヨシと軽口を叩き合いながら、気付けば互いにペースを合わせていた。交互に、俺が押し込めばヨシが引き抜き、ヨシが押し込めば俺が竿を引く。その繰り返しだ。単調だが、それがいい。ぐちゅぐちゅ、どすん。毛皮と鱗がぶつかり合う音と、獅子と白熊に貪り食われる竜の悲鳴。そしてワイシャツに滲んでいく俺たちの汗が匂い立っていく。あぁ、最高に気持ちいいなぁ……!

  「タマさん、自分もう我慢できないっす……!」

  ヨシも頑張って腰を振り続けているが、熟練まんこの前には二度目の種付けもやむなしか。

  「わかった、俺も一発出してえ。一緒にイけるか?」

  「うっす!」

  二つ返事で返すヨシの健気さが好きだ。マサさんを抱いていなければ頭を撫でてやりたいが、それは後に取っておく。今はただマサさんに種付けしたい。ヨシと一緒に思うがままにぶっ放してしまいたい。

  「あ“ーイイなぁ……俺も、種付けっぞ」

  「お”っ、い“っ♡ ん”ぎぃ♡」

  抱く時はじっくりと腰を押し込むのが好きだが、イくとなると勢いを付けていくのが俺の癖だ。快楽に身を任せているマサさんも本能的にそれを理解しているんだろう、雄まんこの締め付けが一層ぎゅっと締まっていく。種を欲しがる時の雄まんこだ。

  「タマさん、キスいいすか……!」

  「あぁ、いいぜ。マサさんも一緒になっ」

  俺と抱き合う竜の唇を奪い、細い舌を絡め合う。横からは白熊の分厚い肉厚な舌が仲間に入れてほしそうに混じり合う。

  「んむ、ふ、はぁ……!」

  三人でキスしながら、舌と唾液が混ざり合いながら、繋がったまま何もかも溶けてしまいそうな、この一瞬が俺は好きだ。この瞬間に絶頂に至るのが、俺はたまらなく気持ちいい。

  「「「イぐっ……!!!」」」

  キスに弱いヨシは言わずもがな、マサさんも何度目かの絶頂を迎えて下半身をがくがく震わせていた。それでも雄まんこはぴっちり閉じているもんだから、俺が注ぎ込む種は一滴も漏れることなくマサさんに封入されていく。

  「お”っあ”~~~♡♡♡」

  「ちょ、マサさん締めすぎっすよ……!」

  さすがの種狂い、愛液はダダ漏れだってのに種付けとなるやきゅうきゅう吸い付いて飲み込んでいくんだ。こっちも注ぎ甲斐があるってもの、一発目から思いっきり射精してしまっている。

  「あ”-……たまらん」

  「ふぃー。タマさん、それおっさん臭いっすよ」

  「うるせえどうせおっさんだよ。アラフォーになった今は否定できねえ」

  「あひ……お”っ……♡」

  「うーん、でも誰よりもおっさんであるはずのこの人はなんか、かわいいんすよね」

  「確かに」

  屈強な雄獣二人に挟まれて、快楽の渦に飲まれて悶える竜が下手したらこの中で一番若く見えるのは世界の歪みではないだろうか。すっかり腰が砕けてふにゃふにゃの肢体を二人がかりで支えているが、十分も放っておけば一人でてくてく歩けるんだから大したもんだよなぁ。

  「シャワー浴びて飯にするか。盛ってたってことは、もう作ってあるんだろ」

  「……おおむね」

  あぁ、できてないのか。この言い淀み方、今日の夕飯はヨシが作る番だったはず。てことはマサさんが我慢できずに発情したらしいな。ったく、このエロ竜は。年長の威厳というものは、少なくとも私生活では発揮されないことが多い。

  「いや、ほぼできてるんすよ? あと味噌汁だけなんで、タマさんは先に風呂いってください」

  「わかった。マサさんも風呂入りますよね」

  「ふぁい……」

  決して軽くはないが、持ち上げることにそう苦労はしない。汗と体液でもう目も当てられないシャツとスラックスは取り急ぎ脱衣籠に纏めて放り込んでおこう。

  「冷めるんですぐ出てきてくださいよー」

  そりゃ難しい相談だ。俺まだ一発しか出してないのに、盛るなってのもなぁ。

  [newpage]

  この家の家主はマサさんだ。今となっては三人揃ってセックスしまくる日々を送ってはいるが、最初は俺が転がり込んだのが始まりだ。

  マサさんとはもう十年以上の付き合いになる。俺が会社を継いで間もない、まさしく右も左もわからない頃だ。社屋に入るなり名指しで俺を呼び出した竜人の柔和だが迫力を帯びた表情は、普段ののほほんとしたマサさんを知る今となっては別人にすら思える。

  「警視庁捜査一課の和泉政人です。宍戸珠紀さん、ですね」

  「そうですが……警察が何か用ですか」

  もちろん犯罪行為に加担していたなどこれっぽっちも自覚はない。警察手帳を手に笑って自己紹介をされたが、内心気が気ではなかった。

  「あぁ、そう身構えないでください。少しお話を聞かせていただきたいだけです」

  解決した後ですら結局詳しいことは教えてもらえなかったが、内容としてはうちの協力会社で事件……おそらく殺人が起きたらしく、捜査の一環で関わりの深かった俺の証言がほしかったらしい。

  「なるほど、ご協力感謝します。お忙しいところ対応していただきありがとうございました」

  この時は知っていることをただ話して、マサさんも納得して帰っていったっけか。

  問題はその日から数日後の週末、この頃俺は色々と餓えていた。気楽な学生生活からの卒業、一企業の代表としての重圧。ストレスの捌け口として、俺は性を求めていた。すなわち、発展場に入り浸るようになっていた。具体的には一・二週に一回くらい。

  今より体格も発達していない、ただ若さだけを武器にしていた獅子とセックスをしたがるような相手を探す手段として、暗い室内で行きずりの男と毛皮を重ねることに依存しきっていた。見ず知らずの相手と一晩だけ肌を重ねる快楽だけが日々の充足になっていたと思う。

  「うぅ……ほ、ほんとに来ちゃったよ」

  早い時間だったからか薄暗い更衣室は閑散としていて、ロッカーの前で挙動不審になっている半裸の竜人がただ一人で周囲をきょろきょろと見回していた。どう見ても場慣れしていない初心者なのは明白で、恐らく年上だろうその人の第一印象はかわいらしいものだった。

  「お兄さん、初めてなんだ」

  「ひぅ!? あ、あはは。そうだよ、思い切って入ってみたけど……すごいね、みんなセックスしてる」

  そのために来たんだろうに、目を合わせることもできずに苦笑いを浮かべる竜人を前に、俺は心を決めていた。今日は絶対この人を抱こう。

  「じゃあ俺としようよ」

  この頃は専ら抱かれる事の方が多かったが、なんとなくこの竜は俺に抱かれてくれそうな気がした。背が高くすらりとした長身に手を伸ばし、戯れに撫でた鱗の感触は少しひんやりとしていた。多分脱ぐだけ脱いだはいいが、踏み込めずに右往左往してたんだろうな。

  「いい、のかい。ぼく、こう見えて結構おじさんだけど……」

  「いいじゃん、嫌いじゃないよ」

  自分で言うのもなんだが、俺は割と離れた年上だろうが年下だろうが構わない。体型も特別極端なものでなければ喜んで抱けるし抱かれる。セックスそのものが好きと言ってもいい。後々ヨシから「タマさんって性癖ワイドショットっすよねぇ……」と半ば呆れたような顔で言われたのはなかなか切れ味鋭かったな。

  ともかく、俺も手早くパンツだけの姿になって竜の手を引いていく。空の個室に連れ込んだ竜人の表情こそ薄暗くてよくわからなかったが、緊張しつつも状況に興奮していることはパンツに浮き出た滲みが物語っていた。

  「期待してるんだ、やらしいな」

  「そ、それは。うん、初めてだから」

  「……まさか、セックスするのが初めてとか言わないよね」

  「え、そうだよ」

  後から聞いた話だが、仕事の都合もあり二十代は同好の士との出会いにも恵まれなかったらしい。三十年以上かけて培われた性への欲求が発露したこの日に、偶然俺たちは遭遇してしまったわけだ。

  「ふーん。ま、いいや。お兄さん、ポジションどっち。というかちんこ付いてる?」

  特別童貞にも処女にも価値を見出していない俺の反応は淡泊で、むしろちょっとめんどくさいなとすら思ってしまった。わざわざ手ほどきするような性分でもないしな。

  「ちんっ……あ、あるよ。ちゃんと、中に」

  「収納式ね、おっけ」

  爬虫類系の雄とも割と経験していたのもあって、俺の反応は実につまらないクソガキのそれだったろうな。こうして思い出すのもかなり恥ずかしい。生意気すぎるだろ。

  「俺、一応リバだけど。どうする?」

  「……その、えと。抱かれたい……です。お尻も、スリットも、広げてはあるから」

  三十年以上熟成されてきたマサさんのオナニー生活はどこかの弾みで自身の肛門を、そしてちんぽを収納していた胎内の空間を直接刺激することに辿り着いたらしく、処女だというのにその下半身は既に両方とも熟練雄まんことして自己開発が済んでいた。これを処女と呼んでいいのかという疑問すら湧くのはさておき、初々しい反応はまさしく生娘のそれに見えた。ギャップ萌え、というやつだろうか。

  「じゃ、ヤろうか。キスしてもいい?」

  「……いい、よ」

  同意を得た途端に竜の顎に貪り付く。餓えた獅子のがっつき具合にこの時は相当驚いたらしい、目を丸くして舌をねじ込む俺にただなされるがままだった。……一応ファーストキスではないとは聞いたが、定かではない。

  「んぁ、ふ、あ、あ……!」

  「……ぷは。イイ反応するじゃん、かわいいね」

  「っ、そう、かな」

  年下に言われるようでは立つ瀬もないとは思うが、四十代になった今でもマサさんはかわいい部類に入る。これはヨシと俺で共通の見解だ。家に居るときに限る、というのはあるが。

  「パンツ、もうびっちゃびちゃじゃん」

  「……君も、かちかちだね」

  これからセックスするって相手と抱きついてキスしてるんだ、そりゃ興奮する。お互いのパンツに手をかけて、ゆっくりと腰下へ布を滑らせていく。外気に触れた俺の竿が腹筋の溝を叩いて先走りを塗りたくっていった。

  「お兄さん、結構筋肉質なんだね。タフそう」

  「んー、仕事柄、かな。君もがっしりしてて、いいね」

  「あぁ、俺も仕事柄かちょっと前はもっとひょろかったよ」

  互いの体つきを確かめるために、指先が毛皮を、鱗を沿って流れていく。獅子の指は大胆不敵に、竜の指は割れ物を扱うように。正直少しこそばゆいが、大事に扱われる感覚は悪くない。

  「毛皮って、いいね。絨毯みたい」

  「濡れると大変だよ。……鱗ってどうなんだろ、そういうとこ」

  「まぁ便利、かな。冷えやすいのが難点だから、君があったかい」

  マサさんの鱗は熱に餓えている。今も昔も、挿入したまま抱きしめると如実に締まりがよくなるからな。挿入そのものより、他者の熱を感じるのが好きだと言っていた。

  「……触るけど、いいよな」

  「うん、お願い……します」

  抱き合ってまさぐり合っていた二人の手も、やがて下腹部へと伸びていく。いつの間にか露出していた竜人の竿は俺とそう変わらない大きさで、ほんのりと湿り気を帯びて俺の毛皮が少し張り付いていた。

  「結構立派なの持ってるじゃん」

  「そうかな。……いいよ、どっちに入れても」

  仰向けに寝転んだ竜の下腹部から尻尾の付け根にかけて、俺を受け入れるための穴がふたつ。一瞬迷いはしたものの、最初は後ろの雄まんこを犯すことにした。前の方は中身が飛び出ていたからな、押し込むのも野暮だ。

  「思ったよか解れてるな」

  「い、家で、広げてきたから」

  「準備万端じゃん、やらし。……入れるよ」

  今ほど熟練ではないが、それでも名器の片鱗はこの頃から発揮していた。挿入しただけでその辺の男とは一線を画す柔らかな感触がそこにはあった。

  「ん、ぁ……ほんもの、はいってる……♡」

  「痛くはなさそう、かな。すっごい、とろとろじゃん」

  「そ、かな。えへ、嬉しい」

  一回りほど年齢が上の男に対してかわいいと思ったのはこの時が初めてだった。隙があるというか、愛嬌があるのは本当にずるい。俺にはないからな。

  「も、もう動いてもいいよ。痛くは……ないから」

  「言ったな、じゃあ遠慮しないから」

  今のマサさんを思えば、この誘い文句は打算など一切無い天然ものだというのはよくわかる。だがこのときの俺は挑発されたように思えて、少し荒っぽく腰を押し込んだっけか。

  「んっあ……!」

  処女にしては艶めかしく、だが淫乱と呼ぶにはあまりにも初心な嬌声。このときだけしか聞くことのできない竜人の無垢な反応が、まだ青臭い俺の情欲を掻きたてて仕方がなかった。指だけで幾晩も慰め続けてきた竜の菊門、うねる竜肉が優しく俺のちんぽを包み込んでいく感触がたまらなく心地よかった。

  幾人もの男と毛皮を重ねて、俺はセックスが上手いとある種図に乗っていたところはある。幾度も抱いたし、幾度も抱かれた。だからこそ、処女相手にここまで心を乱されるとは思っていなかったんだよなな。

  「いいじゃん、お兄さんの処女ケツまんこ。すごい気持ちいい」

  「え、ほ、本当……? よかった、嬉しい。ちゃんとできてるか、不安だったから」

  年上だっていうのに変なとこで可愛いんだよな、この人。太い尻尾と両足の中央に突き立てた俺のちんぽを押し込んでいく腰付きを止められない、止まるはずもない。若さゆえ、今より激しい旺盛な体力をもって目の前の竜を犯していく。

  「んっ! あぁっ! あーっ!!!」

  「いいよ本当っ……お兄さん、エロすぎっ……!」

  最初はもっとじっくりと可愛がるつもりだったんだが、気付けば激しく腰を叩きつける獅子がそこにいた。先程まで可愛いだのなんだの好き放題言ってしまったが、年上ゆえの包容力みたいなものをマサさんは兼ね備えているんだよな。夢中になって盛る姿はきっと滑稽だったろうが、そんなことを考えられる余裕はない。体の相性ってやつがあるなら、俺とマサさんは最高の相手だろう。この時はただ、久しぶりに抱く側に回るがゆえの暴走だと勝手に思っていたけれど。

  「知らねえガキにっ、処女喰われる気分は、どうなんだよっ」

  「やぁっ、そお、らあっ! いじわる、やめぇ……♡」

  明らかに普段のオナニーでは到達しえない竜体の深奥、そこまで届く俺のちんぽが快楽を暴き立てていく。本物を受け入れるのは初めてのはずだが、今までこの暗闇の中で交わったどの男よりも柔らかく、気持ちよかった。そんな相手の反応を引き出したくなって、言葉で精神を掻き乱してしまう。

  「性悪なもんだからさっ、お兄さんが可愛いエロドラゴンなのが悪いしっ」

  「エロドラっ……!」

  咄嗟に違うと言いたくなったんだろうが、言えるはずがないよなぁ。自分から股を開いて抱かれてるドラゴンがエロドラゴンじゃないものか。

  「処女まんこ引っ提げて、誰でもいいから抱かれに来た淫乱ドラゴンだろっ!」

  「そ、れはっ! あ、や、あぁああっ! やあっ!!!」

  この時の経験が深く刻まれてしまったらしく、マサさんは今でも言葉責めに弱い節がある。自分の淫らな本心を外から言語化されたことが引き金になって、一気に絶頂へと上り詰めていく。

  「あっああ“っ♡ らめ、でちゃ、で、あ”っ……♡」

  抱き合う獅子と竜の毛皮と鱗、そこに吹き付けられていく熱い粘り。竜の絶頂は体をしならせるほど激しく、強烈な快楽を帯びていた。

  「先にイくじゃん、よっ……俺も本気出してイっていいよなっ!?」

  「あ”ーっっっ♡ あぁあああ“ーーーっ♡」

  初めてのセックス、初めて味わう快楽にそれどころではないのをいいことに、俺は自分勝手に腰を振っていた。その度に竜の体が跳ねて喜ぶもんだから、俺も楽しくて仕方がない。

  「処女まんこに種付けてやるよっ、エロドラお兄さんよぉ……!」

  隔りなど存在しない肉壺に、若獅子の青い子種を思い切り注ぎ込む。暗い部屋に二人分の雄叫びを響かせながら、俺たちはとにかくイった。一発で満足するくらい濃ゆい、とびっきりの射精だった。

  「お”ー……中出したまんなぁ……お兄さん大丈夫?」

  「……はひ」

  絶頂の余韻で冷静になった俺と、初めてのセックスで体力を著しく消耗した竜がどちらともなしに抱き付いて、つながったまま寝転がる。俺としてはまだまだ体力も精力も尽きなかったが、相手を気遣うことくらいはできる。

  「すご、かた」

  「満足そうじゃん。俺もすっげー気持ちよかったよ」

  俺の返答を聞いて、口元がにっこりと笑ったのがわかる。暗い中でどんな顔立ちかもはっきり見えていないが、本心で喜んでいるのはわかった。

  「よかったぁ……ごめん、ちょっと疲れちゃったかも。その……このまま、寝てもいいかな」

  本音を言うなら、もう少し楽しんでもよかった。それでも誘いに乗ったのは、竜人との添い寝も悪くないと思ったから。

  「いいよ、付き合ったげる」

  「あは、ありがとぉ……」

  言うや否や瞼を閉じて寝息を立てるあたり、余程疲れていたらしい。もっとも、この後は俺もすぐに一緒に寝てしまったんだ。この時の仮眠は数時間程度だったが、家で一人寝るよりもぐっすり休めたのを覚えている。

  その後はなんて事もない。目が覚めて、お互い裸でムラついてたから一緒にもう一回ヤって。

  「お兄さん、ほんと気持ちよかったよ。ね、この辺に住んでるの? よかったらまたしようよ」

  ここまで体の相性がいい相手と一晩きりというのも惜しくなってしまって、普段はしない相手への深入りなんてしちゃって。

  「あ、えと、その……うん。僕も、またしたい」

  「お、やった。じゃあまた会おうぜ、えーと……俺は珠紀。お兄さんは?」

  再会の約束をしたのにお兄さんと呼び続けるのも憚られて、なんとなしに自己紹介をした途端に固まる竜人。

  「え。……失礼。宍戸、珠紀さんですか」

  「は?」

  急に声色を変えて放たれた俺の名前。こうして薄暗い小部屋に二体の彫像が生まれてしまったわけで。

  そこからは多少……いやかなり気まずくはなったけど、結局お互いに性欲には勝てなかった。実家暮らしの俺は必然的に一人暮らしだったマサさんの家に入り浸り、セックスする間柄になっていったわけだ。

  [newpage]

  本格的にこの家へ引っ越したのは五年前、契機はヨシが現れたことだった。会社の経営も軌道に乗ってきた頃で、迂闊に発展場に近寄るわけにもいかなくなった俺は自然とマサさんとのセックスを生活の一部に組み込んでいた。

  「マサさん、いるか?」

  仕事柄マサさんは毎晩家にいるとは限らない。とはいえ一々連絡するのも面倒で、俺はいつもマサさんの家へいきなり訪問していた。

  「タマくん、来たんだ……」

  「なんすかそれ、タイミング悪かったですかね」

  「あ、いや、そんなことはないんだけどね。いや、やっぱあるかも……」

  タマさんがセックスを拒んだことはない。在宅してたら大抵は二つ返事で抱かれてくれる、実に俺にとって都合のいいまんこだった。だからこそ、歯切れの悪い回答をされたことが気になってしかたなかった。

  「どっちなんですか。とにかく入らせてくださいよ」

  「あ、ちょっ待っ」

  勝手知った玄関を抜けて、いつも通り服を脱ぎながらリビングへ向かう。いつもだったらこのままセックスするからな、裸で室内を闊歩することに慣れてしまっていた。

  そうしたら、まさか図体だけは一丁前な白熊のガキがいるとは思わないだろう?

  「んなっ……!?」

  強面な子供だなと思った。体格こそ逞しいが、顔立ちの垢抜けなさからして高校生程度だろう。いきなり全裸の中年ライオンが目の前に現れればそりゃあビビる。気持ちは理解できなくもないが、事態に困惑するのはお互い様なわけで。

  「あぁ? マサさん、なんで子供なんか連れ込んでるんですか」

  マサさんに高校生の知り合いがいたなど聞いたこともなければ、種族が違いすぎて血縁関係とも思えない。実のところ、たまに発展場に顔を出すほどセックスに躊躇がなくなってしまっているマサさんではあるが、まさか普段はお堅い刑事さんであるこの竜人が未成年に手を出すとも思えない。

  「話すと長くなるんだけど……ぼく、この子とセックスしちゃって」

  「は?」

  まさかだった。思わず白熊の方へ視線を向ければ、わかりやすいほど赤面してそっぽを向く。あぁ、本当なのか。

  「マサさんあんた立場ってもんが……」

  「や、ちが、未成年だって知らなくて! 例のお店でセックスしたんだけど……この子、大人だって嘘付いて入店してて。だから補導してたんだ。自宅なのは、その……お互い公にしづらくて」

  確かに迂闊に警察署へ連れて行くわけにもいかない状況に、思わず同情心が芽生えてしまう。あそこ本当に暗いんだ、顔見知りの俺とマサさんが気付けないくらいには。

  それでその場に留まり続けることもできず、やむなく自宅へ連れ込む形で保護したということらしい。それはそれで問題があるとは思うが、そこを追求するのも野暮ってもんだろう。

  「そういう……お前、度胸あるなぁ」

  「なに感心しちゃってるのさ!」

  マサさんとしては気が気でもないだろう、立場ってもんがあるからな。

  「いきなり素っ裸で現れて悪いな。俺は珠紀、マサさんの……まぁ、セフレだ」

  「セフレ……」

  この頃にもなれば、現場での経験と重ねた年月が俺の体躯を今と変わらない程度には屈強なものに育てていた。今更隠しなどしない俺の毛皮の全てを、局部までまじまじと見つめる白熊の視線からして、興味を向けられているのは丸わかりだ。

  「お前もセックスしたくて仕方なくなったんだろ? 気持ちはわかるぜ、俺も昔はそうだった」

  「おっさん……」

  「次おっさんって呼んだら殴るぞ。珠紀だ、宍戸珠紀」

  正直大人気なかったとは思う。三十路に足を踏み入れて間もない俺には耐え難い呼称だったわけだが、それが彼の警戒を解す一手になったらしい。

  「お前は?」

  「……義和」

  白熊が口を割ったことにタマさんは驚いていた。後から聞いた話だが、それまで名乗りすらしなかったらしい。取り調べが本業だからこそ、プライドを折られたようで嘆いていたっけか。

  「義和だな。なぁ、そんなに我慢できなかったのか?」

  「……」

  「なんかあんだろ? わざわざあんなとこ行ってまで、セックスしたかった理由が」

  「……ふ、はは。なんだよあんた、いきなり素っ裸で親身になって」

  ごもっともではある。自分でも初対面の白熊に対してここまで踏み込むとは思ってもいなかったさ。なんでか、と聞かれれば困るが……なんか放っておけなくなったんだよな。

  「後ろの堅物刑事よりは話しやすいだろ」

  「タマくん?」

  背後から冷ややかな視線が突き刺さった気がしたが、それがヨシには効いたらしい。

  「自分、好きな相手がいて。同じクラスで、仲良くって。……そいつに彼女できて」

  ヨシとしても誰にも話せなかった秘密を、誰か一人にでも打ち明けてしまいたい気持ちがあったらしい。そこから彼はぽつぽつと語り出した。実らない恋だとはわかっていたこと、それでも諦めきれない苦しみから自棄を起こしたこと。いっそ見ず知らずの相手で童貞を捨ててしまえば楽になれると思って、強面を武器にして発展場に乗り込んだことまで語ってくれた。

  「これで全部っすよ。……駄目なことしたってのは自覚してる。けど、自分」

  一人で抱え込むのはしんどいことだ。俺もタマさんもそれはわかっている。二人で顔を見合わせて、それからヨシと向き合う。

  「義和くん。話してくれてありがとう、気持ちを汲んであげられなくてごめんよ」

  「え……」

  「よかったな、義和。許してくれるってよ」

  「もちろんもう一回したら今度こそ親御さんに連絡するからね。今回はあくまで口頭での厳重注意ってこと、いいね?」

  タマさんも補導したのはヨシを慮ってのことだろう、何より自分も体を交わらせてしまった以上は強硬手段に出るわけにもいかないだろうしな。

  「あ……ありがとう」

  強面で図体もでかいが、普段は気のいい奴なんだ。俺たちに向かって頭を下げるヨシは本当に反省していた。

  

  もちろん話はここで終わらない。でないと俺たち三人が一つ屋根の下で暮らす生活に繋がらないからな。

  「ところで、どっち使ったんだ」

  「え、それって」

  「この堅物刑事さんのまんこだよ」

  「ちょっと!?」

  マサさんには悪いが、童貞卒業したばかりというのが気になってな。つい踏み込んでしまった。

  「じ、自分……初めてだったんで、正面から」

  「義和くん!?」

  「ほぉー。どうだった、気持ちよかったろ。俺が毎晩鍛えてるからな」

  五年かけてマサさんのまんこはすっかり熟練のドラゴン雄まんこに仕上がっていたからな。自分の所有物を自慢したい気持ちに近いか?

  「凄かったっす。あったかくて、ぬるってして……」

  狼狽するマサさんをよそに感想を吐露するヨシの盛り上がる股間を見逃せるほど、俺は出来た大人じゃない。ジーパンの布地を盛り上げるそれを思わず掴んで、その大きさを手のひらで確かめた。

  「ちょっ、おっさん!?」

  「珠紀だっつってんだろ。いやーデカいな、俺も大概デカいと思ってたけどそれ以上か?」

  ヨシのちんぽは誇張抜きで、俺が今まで見てきた中でも最大級だろう。そりゃあ俺より大きい竿こそ知っているが、こいつのは規格が違う。ただデカく、そして太い。サツマイモみたいな質感の立派な巨根だ。

  「タマさんはどうだったよ。こんだけデカいんだ、満足できたか?」

  「それは、そのぅ……タマくんもすっごく気持ちいいけど、それ以上にナカまで、ごりってされて……」

  抱かれた時のことを思い出しているんだろう、内股でもじもじと足を揺すっている。その姿にまたムラついてしまう自分がいて。

  「随分と楽しんだみたいだなぁ?」

  「そ、れはっ。そうだけど」

  悪いことだ、今までそういう話をしていたんだ。だが残念なことに、俺も悪い大人なんだよな。

  「さっきから俺だけ焦らされてるんだ。大体こっちだけヤる気満々で脱いでるんだぜ?」

  元を辿れば、俺はセックスしにここへ来たのだ。ヨシの存在でお預けを食らったが、三十路になってより旺盛になった性欲にお預けなどできるかっての。

  「仲間外れはかわいそうだろ。これからヤるからお前は帰れなんて言えるか? なぁ義和」

  「えっいや自分は」

  狼狽こそしているが、こいつもヤりたい盛りだ。手を離しても萎えるどころか薄らと滲みすら作っている膨らみが口より雄弁に興奮を示してやがる。

  「確かに年齢詐称して発展場に行くのは悪いことだ。でもここは個人の家で、マサさんは既に一発ヤってんだぜ?」

  「だからって……うー」

  自宅という空間がタマさんを割り切れさせずにいた。平静な時なら真面目に反発しただろうが、ここにいるのは性欲が募りに募ったケダモノだけなんだ。取り繕うのももどかしい。

  「なぁ義和。いや……ヨシ、俺ともセックスしてみたくないか」

  タマさんとセフレになって以来、久しく自分の後孔は使っていなかった。振って湧いた巨根を前に、こいつに抱かれてみたいという欲求が芽生えていたからこそ暴挙に出てしまったんだよなぁ。

  「……して、みたいっす」

  「決まりだな。悪いなマサさん」

  「ぼくが見逃す前提でしょそれ。……あぁ、もう。ぼく少し出かけてくるからっ! 留守番しててよねっ!」

  なんともお粗末な口実を残して、なんだかんだで優しいタマさんは俺たちを残して部屋を出て行った。後に残されたのは、熱に浮かされた雄獣が二匹。

  「あざっす、おっさ……珠紀さ」

  言い切る前にヨシの唇を奪う。目を見開いたまま一瞬硬直したヨシは、それでも拒絶をすることはなかった。俺はどうやらファーストキスを奪って俺の色に染め上げていくことが好きらしい。触れるだけがキスだと思っている相手に舌を捩じ込んで、大人の口付けを教え込んでいく瞬間を人生で二度も堪能するとは思わなかった。

  「んっ、ふぅ……は、ふ」

  マサさんと比べるとヨシの舌は肉厚だ。ねっとりと絡みついてやればおずおずと答えるように俺の舌を舐め返してくる。健気なやつだ。

  「……嫌だったか?」

  「いや、っていうかびっくりした、っすけど。……もっかい、いいすか」

  「おう、舌出しな」

  今度はヨシのしたいように、俺のマズルへ白熊の舌を誘い込んでいく。深い口付けを交わしているうちに、気付けばお互いが激しく抱き合っていた。キスの感触で発情しきった体を互いに擦り合わせて、もっと気持ちよくなろうとしてしまう。

  「ぷ、は。気持ちいいだろ、本物のキスは」

  「……珠紀さんって、悪い大人なんすね」

  「は、今更遅いぞ。ほら、脱がすぜ」

  ヨシのパーカーを肌着ごと剥ぎ取って、白い毛皮を余すところなく空気に晒す。体格は本当に俺以上だ、腕も足も胴も、何もかも太く逞しい。余計な贅肉で太いわけではなく、ミチミチに詰まった筋肉で膨らんだ若い毛皮がまたたまらない。

  「部活とかしてんのか? でっけぇなぁ」

  「あー、中学から山岳部続けてるんすよ。気付いたらデカくなってて……」

  ヨシは登山を始め外遊び全般が好きらしい。そのお陰で培われた体躯には俺も脱帽するしかない。

  「刑事さんもだけど、珠紀さんも体鍛えてるじゃないですか。がっちりしてて、その」

  「エロいか」

  「……っす」

  パンツは自分で脱ぎ捨てて、ようやく規格外の巨根が俺の前に露わになる。抱くのも抱かれるのも好きな俺だが、ヨシの巨根を前にすると同じ男としての格が違うと思ってしまう。

  「っは、本当にでけえな……しゃぶるぞ」

  「んっ、わ、お」

  断りこそ入れたが、自然と俺はヨシの巨根に喰らい付いていた。マサさんのをたまに舐めることはあるが、ここまでデカいちんぽをしゃぶるとなると話が変わってくる。獅子のマズルでもようやく咥え込めるほど太いちんぽに舌を這わせ、側面を舐め上げてから思い切って口に含む。

  「だ、大丈夫っすか。キツくないすか」

  もちろんキツい。今でもヨシのちんぽをしゃぶると顎が外れそうになるくらいだ。だがそれ以上に若く雄臭いデカちんぽを前に、むしゃぶりつきたい衝動を抑えられない。

  「む、ふぐっ……お“っ、ふ。ほんっとでけぇな……」

  「なんか、すみません。でも珠紀さんの口、気持ちいいっす」

  少し口に咥えただけでも咽せてしまうほどの巨根。こいつを俺の尻に収めるんだ、想像するだけで背筋をぞくりとした感覚が駆け抜ける。

  「もっと気持ちいいとこ使わせてやるよ。……っと待ってな、慣らすから」

  久方ぶりに異物が侵入する俺の肛門はだいぶ窮屈になっていたが、それでも指先が発する刺激を快感だと受け取ってくれていた。俺が準備している間、持て余したヨシの視線は必然的に俺の尻に向かうわけで。

  「エロすぎるっすよ……」

  「あー……俺としても恥ずいが、見るなとは言えねえよなぁ……」

  俺のアナニーショーを、ヨシは一時も目を離さずに眺め続けていた。これからセックスする手前、自分の巨根には触れずに。それでも期待でだらだら先走りを垂らしながら。

  「待たせて悪かったな……来いよ」

  「っす!」

  寝そべって股を開いた俺の尻に白熊が巨根を突き立てていく。久々の感触だ、圧迫感と熱で頭がくらくらする。それ以上に、向かい合うヨシの高鳴る鼓動が胸越しに伝わってくる。

  「落ち着いて、ゆーっくり入れろよ……お、ふ。きっつ……たまんね」

  「あっ……たけぇ」

  言いつけを守ってじっくりと挿入されるヨシの巨根が俺の尻をまんこに変えていく。広げられていく肉が悲鳴をあげているのに、痛みが気持ちよさに変換されていく。

  「いいぜ、すっげぇ……わかるか? 俺とお前、繋がってるぜ……」

  意識して呼吸をしなければ、圧迫感で息が詰まってしまう。ここまでの巨根がもたらす充足感は、悪いがタマさんでは得られない快感だ。

  「自分、すっげぇ気持ちいいっす……すみません、自分もう、我慢……!」

  「おごっ……!?」

  若いヨシには刺激が強すぎた。俺の尻まんこを前に、我慢なんか出来なかったんだ。

  肉を引っ張られるほど引き抜かれ、一気に押し戻す。俺の前立腺がヨシの亀頭で簡単に押し潰されていって。

  「お“っ……! お”ぁっ!」

  頭蓋を殴られたような衝撃が走った。気持ちよすぎてイきかけたと自覚した時にはもう遅かった。

  「すっげ、やべえっすよ……珠紀さ、タマさんっ!」

  「お“っ!? お”ほぉっ!」

  きったない濁声しか喉から出てこない。デカく太いちんぽを武器に荒々しく叩きつけられる腰遣いは経験がなくとも俺を満足させるには十分すぎる代物だった。

  「タマさんっ、タマさんっ!!!」

  名前を呼ばれている。返事をしてやれないのはもどかしいが、強すぎる刺激に俺もそれどころではないんだ。

  白熊の巨体が俺に抱きつき、覆い被さって腰を振り続ける。俺にできることはヨシを抱き返して、尻まんこに力を込めて応えてやることだけだ。

  「タマさんっ……自分、自分イくっす……!」

  絶頂が近くなるにつれ、歯止めが効かなくなったヨシの動きが俺の思考を削り取っていく。本当にダメだこれは、気持ちが良すぎる。

  「あ“っ、お”あ“、お”ーーーっっっ!!!」

  そして、俺の中でヨシが爆ぜた。絶頂に達したヨシの巨砲から放たれた精液が俺の胎内を熱く満たしていく。

  「あ“ー、イくの気持ちぃ……」

  「ぐ、ぇ……ヨシ、重いぞ……」

  イくだけイって満足したヨシの巨体がずっしりと俺に体重を預けてくる。いくらなんでもヨシを丸ごと受け止めるのは俺でもキツい、放っておけば圧死しかねないだろ。

  「あ、す、すみません。でもほんと、すごくて」

  「そりゃ何よりだよ。……スッキリしたか」

  「……っす。へへ」

  少し前まで帯びていた憑き物はすっかりどこかへ行ったようで、自然と笑みを浮かべている白熊がそこにいた。

  「本当、あざっす。タマさん、それに、えっと、マサさんも。……自分、一人で悩んでるのが辛かったんすね。自分で思ってたより」

  「ま、誰にでも言える内容じゃないだろうからな」

  まだ高校生のヨシに、自分を開示できる相手を作るのは難しかっただろうさ。だからこそ提案したんだ。

  「また辛くなったらここに来い。話なら聞いてやるし、ムラついたら抱いていい」

  「……いいんすか」

  「一回ヤったなら何回ヤろうが変わらねえだろ。マサさんだってムラついてるの、分かっただろ」

  「それは、そうっすけど」

  これだけの巨根で内に熱を刻まれたんだ、マサさんだって忘れられるわけないだろう。同じ巨根で貫かれた俺には断言できる自信があった。

  「なんなら三人でヤるか?」

  三人でのセックス。それが今へ至る契機だったわけだ。帰ってきたマサさんを二人で説得して、その日は夜遅くまでまぐわい続けた。俺とマサさんとヨシ、三人でヤって、ヤられて、また交わって。それは次の日を迎えても、その次の日も。そうして気付けばヨシが高校を卒業して、大学に通うことになって。

  「いっそ、うちに住む? タマくんも一緒に」

  ほぼ毎晩押しかける日々から、帰る場所に変えたのはそれがきっかけ。踏ん切りを付けるには少し遅かった気がしなくもないが、いい機会ではあると思う。

  「上がったぞ、ヨシ」

  「案外早かったっすね」

  結局風呂場では盛らなかった。ヨシを待たせている手前、楽しみは後に取っておいた方がいい。

  「んじゃ、冷めない内に食べてくださいよ。……今日はタマさんも抱いていいっすか?」

  「おう、そう言うと思って解してあるぞ」

  マサさんを洗うついでに、二人でアナニーの見せつけ合いになりかけてしまったことを思い出す。マサさんも同様らしく、少し頬を染めて目を逸らしていた。

  「それじゃあ、いただきます」

  今夜も激しくなる。まずは腹を満たそう。