騒々しいレストランへようこそ!(2部)【殺人鬼編】5

  火月「Welcome to the HEAVEN!」

  エリ「ようこそ エンディングへ」

  翔「エンディング?」

  エリ「そう。もうすぐこの物語は終わる。全部終わる。“主人公”である君が死ぬことで物語は終わる。」

  翔「一体何のつもりだ…ガストとタクヤを返せ!」

  エリ「うわー、“主人公っぽい発言”!」

  火月「つまりは君は僕たちによって殺される。」

  翔「…てめぇら…」

  エリ「でもさ、いつまでもいつまでもこんな辛い運命を見るのはさ、嫌じゃない?」

  翔「…は?…それは…」

  エリ「嫌なんでしょ?だったら、幸せな夢の中で幸せに生きている方がいいと思うな。だからさ、行こう。僕たちの舟に。」

  翔「………そんなのは間違っている。」

  エリ「そうかな?幸せな夢の中で幸せに生きる。それの何が悪いんだい?誰にでも幸せに生きる権利はあるはずだよ?」

  火月「その通り!僕たちは結局“幸せ”を求めている。なら!現実を捨てるべきだよー!」

  翔「……そんなのは間違っている!例え自分の為でも、例え幸せの為でも、夢の中で生きるなんて間違っている!」

  エリ「なんで、そんなことを言うんだい?夢の中であれば何だって出来るし、何だって叶うんだよ?」

  翔「そんなのはただの現実逃避に過ぎない!」

  エリ「現実逃避?幸せを求めているだけなのに?」

  翔「……それは…」

  火月「そう、これは現実逃避なんじゃないよ。」

  翔「……」

  ガスト、ユウリ「翔!」

  翔は呼ばれて後ろを向く。

  翔「なんで2人が?!」

  ユウリ「話は後!今はこいつらを倒すんだ!」

  ガスト「火月、よくもあんなことしてくれたな」

  火月「…別にー、何とでも言えばいいさ!」

  エリ「タロット『3番/女帝』起動『Dream』」

  エリの周りから火の粉がユウリら目掛けて飛んでくる。ガストが猟犬が如く走り、軽々しく火の粉を避け、ターゲットを捕捉した目でエリを見る。エリは無駄だよと呟くかのように嘲笑する。

  エリ「Destroy」

  ブー

  急激に鳴り始めた警告音。そして無機質な声が流れ始める。

  「特別コード『DESTROY』発動。間もなく『HEAVEN』が自己爆破します。」

  エリ以外の一同が驚いた。

  火月「お前!」

  エリ「みんな仲良く夢に沈ませてあげる」

  「爆破まで10秒前… 8… 7… 6… 5… 4…」

  火月「お前!」

  3…

  ガスト「早く逃げるぞ!」

  2…

  ユウリ、翔「ああ!」

  1…

  火月「ふざけるな~~~!」

  0、爆破します。

  壮大な爆発音がした。その瞬間“天国”は意図も簡単に崩れ果てた。

  リミ「嘘…」

  皆が呆然と衝撃を受けていた。

  リミ「ガストは?!ユウリは?!翔君は?!嘘だよね!死んでなんか…ないよね…」

  現実的に、3人は死ぬ。哀しみに包まれた空気が漂う。

  リミ「嘘…どうして…」

  悲しく響くその声。タツマはいてもたってもいられず泣き崩れる。それを中心に皆が泣き始めた。

  ガスト「おいおい、勝手に俺らを殺すなよ」

  皆が、後ろを振り返る。そこにいたのは今ごろ瓦礫(がれき)の下にいるだろう3人。

  リミ「…生きていたの…」

  ガスト「あんなんでへばるような奴じゃねぇよ、俺らは。」

  ユウリ「……」

  ユウリは若干不服な顔をしている。ガストの言い方が気に入らなかったらしい。

  翔「早く帰ろー、寒い。」

  リミ「それもそうね。」

  ───レストラン「UNTLE」にて

  ガスト「なあ」

  翔「何?」

  ガスト「その目の傷、何だ?」

  よく見ると、右目の横に何か刺さったかのように小さな傷がついていた。

  翔「あー、これは“ロボトミー手術”の跡なんだ」

  この発言で、その場にいた全員が驚愕した。(大丈夫、今客は翔以外いなかったから)

  コウヨウ「ロボトミーって今のご時世、あるの?」

  ガスト「闇方面にならありそうだけど…」

  はい、説明します。“ロボトミー手術”とは、精神病の治療とされかつて実際に使われていた処方です。片方の目からアイスピックのような針を入れ、前頭葉を切断するというもので、前頭葉が機能しなくなると、廃人となってしまうという恐怖の手術です。(翔の場合は奇跡が起きたとでも思っといてください。)

  コウヨウ「そうだとしたら凄くない?」

  翔「いや、リーフさんから定期的に貰ってる薬で繋ぎ止めてるだけだよ。」

  ガスト「ふ~ん」

  翔「もし薬を一回でも飲まなかったら死ぬって。」

  ガスト「それ殺されるだろ…」