騒々しいレストランへようこそ!(番外編)【破壊者】DESTROYER 4

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  研究所から響く忌々しい爆発音。硝子は割れ、飛び散り、無惨にも大木の幹に刺さった。円形の中庭で、四方八方から硝子が飛び散る。俺はカイを咄嗟に庇う。

  火月「久し振りだね、実験台10番君。」

  ガスト「火月」

  火月「12年前振りだね。」

  ガスト「黙れ」

  カイ「何しに来たんですか。」

  カイがいきなり、喋るや否や、まさかの棘(とげ)のある言い方だった。そのように謂った理由をカイは小声で教えてくれた。

  カイ「彼、実は研究者から【凶気】と呼ばれる程の人物なんです。」

  正直、知ってはいた。容赦なく子供の動物種を誘拐し、容赦なく子供の動物種を実験動物に扱い、いずれも殆どの確率で死に至った。その中には「異形」と称されるものや、「五臓六腑(ごぞうろっぷ)不完全」と称されるものもいた。因(ちな)みに俺もこいつに誘拐され、実験動物として約1年間過ごした。俺はそれを境にこいつが大嫌いになった。トラウマとでも言うべきか。

  カイ「あんな研究、狂ってる。」

  火月「どこが、狂ってるのかなー?」

  カイ「あんな、『動物種を使って動物種と人間の中間にある存在を造り出す』なんて出来やしないよ!」

  は?まず真っ先に脳に浮かんだ言葉だ。一体、何を…と思ったが、すぐに理解が追いついた。火月は今まで動物種と人間という全く違う種別の中間にある生物を造り出そうとした。表では凄いことを語っている。だが、裏を返せば、『純粋で幼い子供の動物種を用いり、強制的に、凶悪な生物兵器を作り上げる。』そんなことを語っている。

  火月「話は解ったろう?カイ、君の『生物の完全なる複製』のデータがほしい。それさえあれば、私たちの知らない場所を開拓できる。新たな道を…」

  縋(すが)る。狂わしい程に、それに縋る。

  カイ「断る。」

  火月「何故?」

  火月の顔色がみるみる引いていく。唖然。呆然。

  カイ「君のしたいことに、僕は荷担したくない。」

  火月「なら… 実力行使だ…」

  火月の顔色は憤怒に近かった。

  火月「殺せ!カイを!」

  ガスト「カイ」

  カイ「え?」

  俺は顔色を抱き、跳んだ。それは大木を越え、4階の高さだった。研究所は5階まであったので、4階のフロアに入った。

  ガスト「大丈夫か?」

  カイ「うん。それより、紅葉は!?」

  ガスト「紅葉には、カイトが付いてる。あと、もしかしたら、あの人も…」

  ここでのあの人とは、俺が唯一勝てない相手。その人とは師弟関係にある。俺の方が弟子だ。

  ガスト「でもまあ、合流はしておかないとな…」

  カイ「紅葉たちはどこに…?」

  一番使えない手段かもしれないが…電話。応じてくれるか…

  プルルルルル

  プルルルルル

  カイト{もしもしー}

  ガスト「カイト…」

  カイトの安否は確認。

  カイト{どうしたん?ガスト}

  ガスト「お前、よくそれで会話できるな…それより紅葉は?」

  カイト{いるよ、ほら。}

  紅葉{もしもしー}

  紅葉の安否も確認。

  ガスト「他にそこには誰かいるか?」

  リーフ{ああ、久し振りだな。馬鹿弟子。}

  リーフもいた。俺の師匠。これなら、安堵できる。

  リーフ{取り敢えずそっちは大丈夫なのか?}

  ガスト「ああ、カイは無事だ。」

  カイは端末を取って、「無事だよ」と伝えたのち、返した。

  リーフ{解った。今、そっちに向かう。連中は地下に立て籠っているようだ。}

  ガスト「解った。」

  俺たちは、リーフたちの到着を待つこととなった。カイは早く紅葉の無事を確認したいらしい。ウズウズしてる。

  リーフ「…いた。」

  大分探したんだな。

  紅葉「お父さ~ん!」

  カイ「紅葉~!」

  感動の再開と言ったところか。

  リーフ「馬鹿弟子」

  ガスト「ん?」

  リーフ「これから君は宿敵と戦うことになる。いいな?」

  ガスト「ああ」

  そんなのは端から承知してることだ。

  ガスト「カイト」

  カイト「あ?」

  ガスト「俺の仕事は…お前に任せる。」

  カイト「……………解った。」

  リーフ「俺も手伝おう。カイトのことを。」

  ガスト「解った。カイ…… いない!?」

  謀られた。

  ガスト「クソッ」

  俺は急いで地下に行った。カイがいるであろう地下室へ。