外に出れば、そこはもう一面の闇に包まれていた。玄関口の外灯なんかほんの少ししか照らしておらず、社用車が真っ黒だったら完全に見失っているところだった。
「いや悪いね、遅くまで引き止めてしまって」
「いえいえこちらこそ! 今回の件、誠にありがとうございます」
わざわざこんな片田舎の山奥くんだりまで別荘を建てた取引先の役員を訪ねただけの成果は得られた。これで今期の契約トップは間違いなくうちの部署が搔っ攫っていくことだろう。
「ふー……ほんっとお疲れ様でした、シシミネ部長。上手いこといきましたね」
連れてきた担当営業のトラサワ君も好印象を与えていたのではなかろうか。大学ではラガーマンだったらしい虎獣人の爽やか笑顔は三十路を迎えてなお通用するらしい。俺などそのころには爽やかさなどとは無縁の強面獅子だったというのに。四十路を過ぎて余計に眉間に皺が寄ったと社内で噂されているの知ってるんだぞ。どうせ生涯独身だよ、ったく。
「ひとまずは契約成立だが油断はできんぞ。……だがよくやった、間違いなくトラサワの手柄だ」
トラサワが入社してからもう十年近くにもなるが、ここまで手塩に育ててきた部下が立派に成長したのは誇らしい。辞めていく奴も多い中で俺のもとに残ってくれたなら尚更だ。大口の受注に漕ぎつけられるのなら、俺の部長職としての立場を遠慮なく使ってくれて構わない。だからこそこうして手土産片手に隣県まで社用車をかっ飛ばしてきたわけ、なのだが。
「部長顔色悪くないです……?」
「……あれだけ飲まされたんだ、察しろ」
役員はうちの企業出身であり、趣味趣向といった情報は容易に入手できた。中でも大の珈琲愛好家らしく、確かに玄関を開けるなり芳しい香りが漂ってくるほど常飲しているらしかった。俺も珈琲は好きだ、ある程度はこだわりもある。それを加味した手土産も持参したわけだが、いざ話し始めるや否や次から次へと珈琲を淹れられていくものだから、全て飲み干した代償を今味わっているわけで。
「あぁ……何杯飲みました?」
「十から先は忘れた。くそっなんだってこんな標高の高いところに別荘なんか建てるんだ」
「麓まで一時間はかかりそうですよ」
もちろんお手洗いはお借りした。だのに俺の体は既に膀胱への再装填を済ませている、ここまで来ると少しいやかなり恨むぞ御社め。
「ッ……すまんトラサワ、車見ててくれ」
「えっ、ここでです?」
「四十過ぎたオッサンが隣で漏らすとこ見たいか!?」
「見たくないですどうぞ!」
物分かりがよくて非常に助かる。ちょうどヘッドライトの照らす先に藪が茂っているじゃないか。悪いが今日ばかりは俺のトイレになってもらうぞ。
あぁくそシートベルトすらもどかしい。後続車も対向車もいないなよし、トラサワにも見られたくはないとなると少し奥まで入るしかないがえぇいスーツと革靴でやることじゃないぞこんなこと! もう一刻の猶予もない、ファスナー……えぇいまだるっこしいベルト降ろす方が早い! どうせ誰も見ていないんだ、ここでパンツまで下ろそうが構うものか!
「……お”ぉー」
尊厳は保たれた。下腹部に満ちていた水分が全て解き放たれていく。はぁ……すっきりした。今この瞬間だけは周りが藪だろうが些細なことだ。
「ふぅ……ん?」
落ち着いたことで周囲の状況に目を配れるようになってきたぞ。といっても真っ暗な藪の中でヘッドライトの光が僅かに届くばかりでほぼ何があるかもわからない。ちょうど目の前に木か何かあるようだが、今日ばかりは俺のトイレになってくれ。
「すまんなトラサワ、もう大丈夫だ」
「それはいいんですけど……あれ、おしっこかけちゃって大丈夫でした?」
「なんだ、何があったか見えたのか」
「夜目利くんですよ、視力2.0ありますし。……まぁ、いっか」
何があったか知らんが、どうせこんな山奥だ。大したものが落ちてるわけでもあるまい。それより早く帰ろう、また尿意が来たらたまったもんじゃない。
あれだけの珈琲を飲まされたというのに、緊張と疲労からか帰宅後は風呂に入る余裕もなくベッドに倒れ込んで爆睡をかましてしまった。おまけに何か悪夢を見ていた気がする。よく覚えてはいないが……でかい蛇がいたような。山に行ったからか? まぁいい、夢のことなど考えるだけ時間の無駄だ。とっとと風呂に入って出勤準備だ、シャワー浴びれば寝ぼけた頭もすっきりするだろう。
「……ん?」
シャツを脱ぐ。日頃の努力が相俟って中年にしては引き締まった理想的な体格をしているのが鏡越しに映っている。それはいい。問題は下半身、気に入っている履き心地のいいパンツは普段なら密かに自慢の大きさを誇るマグナムが装填されている。なんならこの歳にもなってたまに夢精する程度には衰えていないわけだが今はそんなことどうでもいい。この前袋のペッタンコ具合はなんだ。これではまるで短小みたいじゃないか、まさか昨晩トイレの行き過ぎで縮んだのか。そんな馬鹿な。
とにかく脱ごう、どのみち風呂に入るんだ。直接この目で異常を確かめてやる。
「ッ……な、なんっ……!?」
無い。銭湯では脱ぐたびに周囲の羨望の眼差しを感じる気がした俺のデカチンが綺麗さっぱり消え失せている。代わりに下腹部には何かに嚙まれたような跡が左右に二つと、毛皮から露出して見える地肌に、縦に割れて肉が見えるわけだが。これは、紛れもなく。
「まんこになってる……だと……!?」
俺かてもう四十路だ、乳臭い童貞じゃない。なんなら先月も風俗に行ってきたから見慣れている。鬱蒼と茂った陰毛の下にちょこんと佇むクリトリスと、そこから左右に膨らむ陰唇、そして中央に鎮座する鮮やかな桃色をした肉の隙間。紛うことなき女のまんこが、俺のちんぽの代わりにそこにあった。
「は、え、いやこれどうなって……!?」
おそるおそる指先で軽く触れると、確かに触れられている感触がする。間違いなく俺の体がまんこに変貌してしまっている、だと。ならここに本来ならあるはずのない空間が奥に広がっているっていうのか。
「う、ぉ……膣がある……」
確認のために、ゆっくりと指先で肉を開く。なんだこの感触、男なら普通こんなとこ開くはずもない。前代未聞の感覚だぞ。まるで手マンみたいな姿が鏡に映るのが非常に不愉快なうえに、自慢の巨根が穴に変わり果てた事実が恐怖を湧き立たせて興奮どころの騒ぎではない。
「ぐ、これ処女膜か? マジかよ……」
奥まで確かめようとして、わずかな隙間を残して指が阻まれていることに気付いた。頑張れば指程度は入りそうだが、これを躊躇なくぶち破るのは怖い。なんだ四十路過ぎたオッサンの処女膜って。意味が分からないだろ。
とにかく、これは夢だったりはしないわけだ。どうすりゃいいんだこれ……
結局あれからどうしようもなく、時間も迫っていたのでひとまずはいつも通りに出勤することを選んだわけだが、早速トラサワの奴が俺の不調をつぶさに見抜いてくるなどという事態に見舞われているわけで。
「シシミネ部長おはようございます。昨日はほんとありがとうございました! ……て、顔色悪くないですか」
「なんでもない」
朝起きたらちんぽがまんこになっていた。意味が分からん、誰にも言えるものか。
「ならいいんですけど……ひょっとかして昨日のあれ、やっぱり罰が当たったとかないですよね?」
「はぁ?」
何の話だ。そういえば昨日の帰り道、トラサワが妙なことを口走っていたような……
「あのあと気になって調べてみたんですよ。そしたらこんなの出てきまして」
トラサワの使用端末には小さなホームページが表示されていた。えぇいもう少し拡大してくれ、最近小さい文字を読むのがしんどいんだ。
「……やつのさま?」
ホームページには画像も掲載されており、薄暗い森の中にとぐろを巻いた蛇の像らしきものが鎮座しているのが写っていた。白い石を削って作られたその蛇には、なぜだか角が生えているようにも見える。鬼か何かと混ざったんだろうか。
「そういう神様の祠だか像だかだったらしいですよ、昨日部長がトイレ扱いしてたのって」
馬鹿馬鹿しい。口には出せなかった、それ以上に馬鹿らしい異変が俺のちんぽに発生している以上は与太話だと断じることができない。あれか、立ちションされた腹いせにちんぽ持ってったとでも言いたいのか。どんな祟りだよふざけんな。
「まぁ早々ないですよねそんなの」
「お、おう。そうだな……」
祟り、祟りか。非現実的極まりないが、原因として心当たりになる以上は下手に病院へ駆け込むよりいいかもしれない。何よりこんなものをほかの誰にも見せたくない。そうなると、あれか。その手のことに詳しい人を探してみるべきか?
著名な退魔師を探してみる [jump:2]
近所の寺に参拝してみる [jump:3]
開き直って部下に打ち明ける [jump:4]
[newpage]
インターネットで調べてみたところ、大量のネット漫画や小説の群れの中に実在する人物のSNSアカウントを発見した。正直なところ胡散臭いことこの上ないが、今は藁にも縋る思いなんだ。贅沢は言っていられない。
「どれどれ……本場バチカンで修行を積んだ退魔師? 嘘臭い」
バチカン市国って修行の場なのか? 適当なことを言っている気がするが、元々駄目もとの話だ。これまでの実績もあるにはあるらしいので、取り急ぎ会って話をしてみることにした。
「聖ツィーゲ教会……本当に教会なのかこれ」
先方から指定された場所は住宅街に佇むどう見ても一般家庭の一軒家だったが、確かに表札には教会だと記されていた。もっとこう、西洋風の厳かな建物が待っていると思っていたんだが。宗教も予算がないんだろうか。
「あぁ、シシミネ様ですね。お待ちしておりました、神父のボックと申します」
インターホンを鳴らすと出てきたのは黒いローブみたいな、たしかカソックだったかを着て眼鏡をかけた細身の山羊獣人だった。顔立ちは見る限り俺と同年代くらいだろう。名前からして外国人だろうか、日本語は流暢そうだが果たして本当になんとかなるだろうか。
「祟られた……ということでしたが、詳しくお話を伺っても?」
案内された室内はざっと十畳程度か、礼拝室みたいな祭壇や椅子が置いてあるがそこまで広くもなく小ぢんまりしていた。中に誰もいないというのはありがたい、人目を気にしないで相談ができる。
「その、我ながら荒唐無稽だとは思うんだが……」
あの日起きたことをそっくりそのまま話そう。帰り道に山で偶像みたいなものに小便をひっかけて、そうしたら体がおかしくなってしまったことを。
「体がおかしく、ですか。具体的にはどのような?」
「え”。いやそれはその、明確に変なことになったというか……」
そりゃ聞かれるだろう。だが言えるわけがない、ましてや見せるなどもっての外だ。そのためにわざわざこんな胡散臭い手段を試しに来てるんだから。
「そういう力があるなら、何かわかったりしないのか?」
「えぇ、えぇ。シシミネ様、あなたの体に何か恐ろしい力が働いていることはお会いした時からひしひしと感じておりました」
真剣な面持ちの山羊が俺の手を取って、体を上からじろじろと舐めまわすように一瞥して、告げた。
「下半身、ですね。股間のあたりでしょうか」
「!」
マジか、わかるのか。どこがどうなった、なんて一言も言っていないのに。
「わかりますよ、主は仰せです。目の前の苦しむ迷い子を救済せよと」
これは本物かもしれない。なんとか元の、俺のちんぽを取り戻すことができるだろうか。
「ですので、正直に告げてほしいのです。シシミネ様、主の大いなる奇跡の御業を行使するのですから、間違いがあってはいけません。もちろん恥ずかしいと思う気持ちがあることはわかります、場所が場所ですからね」
優しい眼差しで諭してくる山羊に対して、任せてもいいんじゃないかと思ってきた。ここまで配慮してくれているんだ、問題解決のためなら俺も少しは譲歩しないといけないんじゃないか。
「安心してください。ここには私しかいません、あらゆる秘密は神に誓って秘匿されます。さぁ、身に纏っているものを捨てて、患部を見せていただけますか」
「お、おぅ……」
気づけば警戒心が薄れていた。この山羊ならなんとかしてくれそうだ、だからどうなっているか見せても問題ないはずだ。なら立ち上がって、パンツまで脱ぎ捨ててしまおう。
「なんと、これは……」
「……こんなん、なっちまってよ。元に戻せないか」
凝視されると謎の羞恥心が込み上げてくる。銭湯なんかで他人に覗き見されるのは悪い気がしないしむしろ優越感に浸れるものだが、それは俺がぶら下げていたのが立派なデカチンだったからであって。こうも間近でじっと観察されると、思わず手で隠したくなってしまう。
「隠してはいけません、隠匿は即ち背徳なのですから。……少し触れますよ」
「んひっ……」
山羊の指先が陰唇を突いた。なんだこの、自分で触るのも妙だったのに、誰かから触られると余計にむずむずする。白い毛皮が触れた箇所が痒みにも似た微弱な痺れを生んでいる。
「あ、あんま触ると、ひゃ、くそなんだこの感触、妙な声出るっ……!」
「耐えてください。……なんと恐ろしい災いでしょうか。大変な思いをしたことでしょう。もう大丈夫ですよ」
あぁ、指が離れていく。ちょっと名残惜しいなどと思ってしまった自分を殴りつけたいが、どうやらここを頼ってきたのは正解だったようだ。
少し顔を顰めていた山羊が戸棚を漁り、仰々しい小瓶を取り出して戻ってきた。硝子製の瓶の中には液体が入っているらしく、軽くゆすると粘性のある動きが見えた。
「シシミネ様、これより退魔を行います。よろしいですね」
「あ、あぁ。お願いします。……その瓶は」
「秘蔵の聖水です。聖地バチカンにて教皇猊下より聖印を賜っています」
なんだかよくわからんが凄いのはわかった。本場の聖水って粘ついてるのか……
「塗布しますので、じっとしていてくださいね」
「は、はい。……んひ、あ、ふああ!」
小瓶から滴る粘液がまんこに触れた瞬間に、びりびりと痺れる感覚がまんこから溢れだしてくる。熱くてじんじんする感触に耐えきれず股を閉じようとしたが、割って入った山羊の体がそれを許してくれない。
「いけませんよ。聖なる力があなたの体に沁み込んだ悪魔を焼いているのです」
「で、でもこれ、すご、あつ、やっ」
「仕方がありませんね。暴れては退魔に障ります、拘束させていただきますよ」
まんこから伝わる刺激で脱力している隙に、俺の脚が椅子の足に縛り付けられていく。腕も後ろ手に縛られて、一切の抵抗はできなくなった。
「こ、ここまで、ここまでするんだ、ちゃんと治るんだよなっ」
「えぇ、えぇ……次は聖水を馴染ませていきます」
今度こそ、文字通り手マンをされている。くちゅくちゅ、ぐちゅぐちゅ。山羊の指先が俺のまんこの入口で卑猥な水音をたてて、粘液を体に馴染ませようと肉襞を撫でては揉みこんでいく。これは治療だ、ちんぽを取り戻すための必要な行為なんだ。だから、こんな。恥ずかしくて、身動きひとつできなくて、おまけにまんこの触られている部分が段々と気持ちよくなってきてても、これは必要なことで。
「どうですか、馴染んできたようですね。悪魔が抵抗しているのがわかりますか」
「う、ぁぐ、じ、順調、なのか」
山羊が目の前で指先を広げて見せつけている。指に絡みついた粘液は俺の股間に垂らされた量よりも遥かに多い。それは、つまり俺の胎内からも粘液が分泌されているということで。つまり俺は、山羊神父の指先で、感じて。
「えぇ、順調です。これは悪魔による抵抗の証ですよ。……まさか、感じてなどいませんよね。男なのですから」
山羊の言葉は冷や水みたいに俺の脳にぶっかけられて、思考を急激に冷やしていく。そうだ、俺は正真正銘男なんだ。女を抱く立場であって、こんな、手マンされて愛液を垂れ流すような男じゃない、はずだ。
「お、俺は……」
「もうひと押し、ですね。見たところ中まで膣になっているようですし、奥まで聖水を塗り込んでいきましょう。とはいえ指では届きませんし……」
おい、待て。なんで神父まで服を脱ぎだすんだ。カソックの上からは細身に見えたが、毛皮が露になると引き締まった体躯にしっかりと筋肉が浮かび上がってるじゃないか。それにその、下半身が妙な膨らみ方をしているのはまさか。
「私の聖棒で直接塗り込みましょう。よろしいですね」
「い、いや、何言って、おい」
下着まで脱ぎ捨てた山羊の逸物、槍みたいに俺の眼前へ突き出されたそれは、太さはともかく長い。何センチあるんだこれ、長さだけなら俺の失われたちんぽを上回るんじゃなかろうか。おまけに十字架のタトゥーが刻まれたそれは全体的に赤黒く色付いていて、月に一回の風俗通いを楽しんでいる俺など比ではないほどに使い込まれているのが見て取れる。まさしく熟練の肉槍だ、賞賛したくなるほどだろう。こんなもので俺のまんこを突かれたら、それはもうセックスじゃないか。
「いいですか、これは退魔治療なのです。私としても本意ではないのですが、奥まで届く長さがあるのはこれしかありません。……元に戻りたいんですよね、ここで諦めるんですか」
優しい声音が耳から理性を揺さぶってくる。そうだ、俺はまんこを元のちんぽに戻すために来たんだ。そのためなら、今更ちんぽを突っ込まれたところで。そうだ、突っ込まれたくらいなんだ。まんこはちんぽを入れるためにあるんだろ。
「どうしても嫌というなら仕方がありません。今日のところはこれにて」
「……ださい」
「なんです?」
絞りだした声では山羊の耳に届かない。はっきりと、伝わる声で。告げなければいけない。
「入れて、ください。……お願い、します」
縛られたままで頭を下げる。今俺に示せる精一杯の誠意だ。頼む、俺にちんぽを取り戻させてくれ。
「承知しました。……処女を食うのは久々です。顔と体が中年男相手なのは残念ですが、贅沢言ってられませんね」
「え……何を言」
ぶちゅり。熟れた果実が潰されたような鈍い音がした。何の音か、なんて。目線を下に下げれば、聖水を満遍なく塗りたくられて光沢を纏う山羊の長槍が、俺のまんこに押し入り処女膜をぶち抜いて膣へと抉り込まれたところだった。
「んひぃいいいいっっっ!!!」
「声だけは生娘ですね……あぁ、中はちゃんと膣のようで安心しました。いい締まりですよ、さすが処女です」
熱い。熱だけじゃない、押し広げられる感触が肉を通じて伝わってくる。こんな刺激、耐えられるとも思えない。思わず身を捩って抵抗したくなるが、椅子に縛り付けられた体ではどこにも逃げられない。
「なんだこれっ、中あっちぃ、どうなってんだよぉ」
「うるさいですよ。さえずる余裕があるなら内股に力を入れなさい」
こ、こうか? 腿の内側を閉めるように力を入れてみるが、縛られている以上脚は動かない。むしろこれ、まんこの内側に圧力がかかって、俺が自分から山羊ちんぽを欲しがってしがみついているみたいじゃないか。これは治療だ、必要なことなんだ。だからこんな、ちんぽ突っ込まれたまんこがじわじわ気持ちよくなってきてる気がするのも、悪いことなんかじゃないはずだ。
「な、なぁっ聖水塗り込むんだろっ、早く奥までずぼずぼ塗ってくれよぉ!」
「もちろんそうしますよ。ほら、奥まで来てるのがわかりますか。感触からして子宮口でしょうか、子宮までしっかりあるようですね」
子宮ができてるってことは、まさか妊娠してしまう可能性もあるってことなのか。妊娠。誰が。俺が? 人生の中に発生するはずのない選択肢が、茹だりそうになっていた思考にもう一度冷や水になって脳髄を凍らせた。
「やっやめっ抜い、今すぐ抜いてくれっ! もう奥まで塗れただろっ!?」
「駄目ですよ。馴染むまで塗り込みます、こうやって……!」
「んほぉおおおお!!!」
一瞬取り戻した理性なんて手放すのは呆気なかった。まんこが、膣の奥が痺れる。山羊ちんぽが俺の奥の奥まで届いて、あまつさえ中の肉襞と擦れて。こんなの駄目だ、耐えきれない。気持ちよすぎる……!
「やはり少し挿れづらいですね。拘束を解きますので、苦しい場合は遠慮せず抱き着いてください」
「はひっ、わがっだっ!」
腕と脚が自由になっていく。それはつまり、もっと挿入しやすい体勢に体を動かせてしまうわけで。
「お”っ! さっきよりはいっでぐるぅ!」
「おかげで私もやりやすいですよ。では続けますね」
「ひぐっお”っ、ちんぽすごいぃ!」
これは聖水を塗り込んでいるんだ。まんこになってしまった体を元に戻すためなんだ。だからこんな、四十路過ぎたオッサンライオンがみっともねえ声で喘ぎ散らかして、まんこにちんぽを何度もずぼずぼハメられて、咽び泣きながらアへ顔晒しているのだって、必要なことなんだ……!
「お”がじい”っ! おがじぐなりゅ! おれおどごなのにい”っ! まんこもっどずぼずぼしでほじぐなりゅっ!!!」
「大丈夫ですよ、膣なのですから当然です。感触も遜色ありません、気持ちいいですよ」
俺のまんこが褒められている。うれしい。嬉しくて気持ちよくて体が熱くて、行き場をなくしたもどかしさから、気付けば腰を振り続ける山羊の体に縋りついていた。
「っ、く……そろそろ、仕上げです。聖印を刻みますよ……!」
「はひっ! ずたずたにしでくだひゃいっ!」
かろうじて刻むと聞こえた気がした。何をかはわからないが、とにかく気持ちいいことなんだろう。今だってこんなにも、まんこの奥底からびりびりがあふれ出てくるのだから。あぁ、幸せだ。どうしてこうなったのか考えられないし、今はどうだっていい。俺はちんぽで幸せになれたんだ……!
「出しますよっ……孕みなさいっ!」
「あああ”やだっごれいじょうむ”りっ!!! ひぎぁあああ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!」
意識が一瞬弾け飛んだ気がした。まんこの奥がぎゅうっと熱くなって飛び上がる感覚が突き抜けて、直後になにか熱いものが膣を満たしている。山羊の精液なのか、俺が満たされていく感覚がする。焦点の定まらない目線をどうにか下に向けると、気持ちよすぎて感覚がむしろ鈍くなりつつある両足ががくがくと痙攣して、結合部からは透明な液体が断続的にぶしゃぶしゃと噴き出している。この現象を俺は知っている。
「あ”ひっまんこあぢぃ、アクメしゅりゅううう!!!」
「そのようですね、搾りとられそうです」
痺れて、熱くて、幸せすぎておかしくなっちまいそうだ……! あれ、おれ、気持ちよくなりたかったんだっけ……
「へ、へふ……らえ、耐えたぞぉ。そうらぁ、これで、俺のちんぽ、戻ってくるんだよなぁ……?」
そうだった。俺はもともとちんぽを取り戻したかったんだ。まだ頭がぼうっとしているが、それだけは思い出せる。まんこが気持ちよくなれば、俺は元に戻れるはずなんだ。
「えぇ、いずれ必ず。退魔はすぐに効果が現れるものではありません、おそらくこれからあなたに潜んだ悪魔が暴れ出すことでしょう。そのときはまた訪れてください。いいですね?」
「はひぃ、またきまひゅ……」
自慢のデカちんぽを取り戻すためだ、絶対に諦めないぞ……!
疼く。疼く。まんこがジクジクと勝手に蠢いているみたいだ。火照った体は家に帰っても熱が引かず、一晩中眠れない夜を過ごす羽目になってしまったほどだ。そんな体たらく故に仕事も全くもって集中できず、午後休を使った俺は縋るようにツィーゲ教会にふらつく足を運んでいた。
「よくお越しくださいました、シシミネ様。あなたに潜んだ悪魔が内側から苦しめているのですね。さぁ、今日も退魔を行いましょう」
「あ、あぁ、早く、早く」
あぁ、待ち侘びたぞ。あれ以来疼く下半身を押さえきれずに、昨晩は浅ましくも手を突っ込んで自ら慰めてしまった。正真正銘、ただの手マンで興奮する淫乱でしかないだろう。だがこれもちんぽを取り戻すためであって、そのための行為のはずなんだ。
「おやおや、余程悪魔が暴れているようですね」
礼拝室ならば人目がない。窓もないこの密室に入るなり、着衣を纏っていることすら急激にもどかしく感じてしまった。スーツのネクタイを外すのがもどかしい、ベルトの金具が邪魔だ。あぁ、前袋がぶかぶかになった下着は滲んだ愛液でぐちゃぐちゃじゃないか、これではもう下着の意味すらない。それすらも脱ぎ捨ててしまえば、昨晩の手マンオナニーですっかり熟れた果実のように腫れあがった恥丘が、指でこねくりすぎて一回り大きくなって着た気がするクリトリスが、今も愛液をじんわりと滲ませている俺のまんこが、ボック神父の前に全て露わになっている。
「お、おれ、変なんだ。ちんぽ、ちんぽだったのに、まんこが疼いて仕方ないんだ」
「えぇ、えぇ。苦しかったことでしょう。今鎮めて差し上げますよ」
あぁ、神父のなっげえ山羊ちんぽだ。これで気持ちよくなれる、俺の指じゃあ全然奥へ届かなかったんだ。神父の聖槍で俺の奥をがりがりしてほしい。こんなにつらくて仕方が無いのも全部まんこのせいだ、山羊ちんぽでがつがつセックスすれば元に戻れるはずなんだ。
「さぁ、始めましょう。股を開いて、全て私に委ねなさい」
椅子に座って股を開く。あぁ、やっとだ。永遠にも感じた乾いた時間が終わる。細長く勃起した神父のちんぽが、まんこに侵入していく……
程なくして俺は務めていた企業を退職した。起きていようが寝ていようが、まんこが疼く体になってしまったからだ。業務に集中しようとしても、気付けば指先が股に伸びてまんこを刺激しようとしてしまい、仕事どころではなくなってしまった。表向きには難病に罹ってしまったため、治療のため退職という形になった。トラサワからも退職を惜しまれたが、もう今の俺にはまんこにちんぽをハメてもらう以外のことはまともに考えていられないんだ。
「巡礼の時間ですよ、シシミネ」
神父が俺を呼んでいる。結局ボック神父は俺のまんこを元に戻してなどくれなかった。当然だろう、信仰とは名ばかりの詐欺師、それがこの山羊の正体だった。ここが悩みを抱えた女性を中心に囲い込み、口八丁手八丁でセックスに持ち込み堕とすための場所だったことに気付いたときには、既に俺はボック神父のちんぽ無しでは生きていけない体にまで堕とされていた。あの聖水と称した粘液、あれの正体は薬物を仕込んだローションだったらしい。通りでまんこに触れた途端に頭がぼうっとする感覚がしたとも思ったが、もう何もかもどうでもいいことだ。
「男を抱くなど想像したこともありませんでしたが、案外悪くありませんでした。取り急ぎあなたには慰み物になっていただきましょう。富裕層にでも売り込んでみましょうか、物好きな方は多いですし。なによりあなたは頑丈な体ですから、そう簡単に擦り切れないでくださいね」
俺の理性が擦り切れる少し前にそんなことを言っていたのを朧気に憶えている。とはいえ恨みはない、俺は今とても幸福なのだから。
この冷酷な詐欺師に縋るしかなくなった俺は住んでいたマンションすら引き払い、教会の一室で暮らしている。ここなら沢山の人が俺にちんぽをハメに来てくれる。神父は顔が広いようで、まんこ男である俺を物珍しさに抱きたがる男を沢山集めてくれている。どうやら莫大な金額を対価に俺の体を売り渡しているらしいが、そんなことはどうでもいい。
「さぁ、集いし皆様にご挨拶を」
幾度も行為を重ねてすっかり俺の淫臭が染みついた礼拝室に並ぶのは、好奇心と欲望で膨れ上がった大小選り取り見取りのちんぽをぶら下げた男たち。生来のちんぽを失い、まんこが付いている雄ライオンという見世物目当てに集まった好事家たちが、にたにたとした表情で裸体の俺を眺めている。視線はもちろん、俺の下腹部へ全て集まっていた。幾日も使い込んで、神父の槍ちんぽと同じくらいに赤黒く色付いてきたグロまんを使いたいと、どのちんぽも興奮を隠すことなく高らかに天を突いている。
俺のためにあつらえてもらった分娩台のようなベッドに裸のまま寝そべって股を開き、高らかに告げるのだ。
「お……俺は、ちんぽが大好きな、淫乱おまんこ男です。たくさんハメて、犯してください……!」
今日もまた、溺れるような淫蕩のミサが始まった。
[newpage]
どう調べていいかすらわからなかったので、とりあえず近所の裏山にある寺に参拝に行くことにした。引っ越して最初の年に初詣でしか行ったことがないうえに、その時ですらほぼ参拝者のいないがらがらの寺ではあるが何事も手ごろなところからとっつくのが一番だろう。参道からしてあまり手入れがされていないのか、苔生した石畳の階段がなんとも歩きにくい。というか人が住んでいるんだろうか、ここも敷地内なんだからちゃんと手入れをすればいいだろうに。
「……不安しかないな」
鬱蒼とした森の中をぶち抜く参道を抜けると、そこそこ立派なお堂と簡素なプレハブのような寺務所が出迎えてくれる。のはいいが、云年前に参拝した時よりも荒廃が進んでいる気がするのは気のせいではないはずだ。辛うじて枯葉を掃除してはいるんだろうが、本堂の屋根瓦は所々剝げ落ちているし、プレハブ小屋の壁面は見るも無残にも蔦が浸食しきっている。こんな惨状で、住職など誰もいなさそうだが……
「そこのライオンさん、加持祈禱の相談かい。なんだか面白いことになってるねぇ」
「なっ」
唐突に背後から声をかけるな驚くだろう。振り向いた先には、ぼろぼろの袈裟を纏った恰幅のいいやや老けた顔の熊が杖のようなものをついて立っていた。確か錫杖とか言ったか、普段から持ち歩いているのか? 一応は僧侶の装いをしているが、妙に軽薄そうに見えるにちゃり顔といいどうも生臭坊主にしか見えんぞ。
「トカゲ……いや蛇かぁ? チンポコでも食い千切られたのかね、にひひ」
「んなっ」
前言撤回、ただものではないかもしれない。出くわすや否や核心を突く発言をされては無碍にもできなくなってしまう。
夢で見たあの蛇は神だったのだろうか。食い千切られたときたか、もしや下腹部に残っていたのは蛇の噛み痕だとでも言うのだろうか。
「あんたわかるのか。その……」
「あぁ、拙僧ユウゲツと申しやす。とりあえず、中で話としよか」
この廃屋同然のプレハブ小屋に今も住んでいるらしい。中も相当に汚い覚悟はしているわけだが、覗いてみると意外とそこまで汚れているわけではないようだな。というより、そこまで家財の類いがないのか。畳敷きの座敷には小さめの箪笥にテレビとちゃぶ台、それからおい待て寺に酒があるのはおかしくないか。
「戒律とかあるんだろう……」
「はは、そりゃあ修験道に心身捧げた頃にゃあ御法度だったとも。今となっちゃあ咎める御師さんもいねえ、好きなように生きてんのさ。あんたも一杯どうだい?」
「遠慮しておく。それより、なんとかできるのか」
「せっかちだな。一旦落ち着いて、何があったか言ってみ? ん?」
焦りもするだろう、こんな状況一刻も早く脱したいんだこっちは。今にも気持ちが逸りはするが、あの日起きたことをそっくりそのまま話そう。帰り道に山で偶像みたいなものに小便をひっかけて、そうしたら体がおかしくなってしまったことを。
「ぶっくく、ぶはははは! 厠かと思ったら御神体だったってか! そいつは災難だったねぇ、いっひひひ」
そこまで笑わなくてもいいだろう……! くそ、余計に恥ずかしくなってきたぞ。
「ぐ……その、治るか?」
「取り急ぎ見てみないとわかんねえなぁ。少なくとも現段階で奴さんがバチギレなのは伝わってくるけどねぇ。ほれ、恥ずかしがってないで穿いてるもの全部脱いじまいな」
結局こうなるのか。えぇい、こうなったらやけっぱちだ。ズボンもパンツも一緒くたに脱ぎ捨ててやる、見るなり触るなり好きにしてくれ。
「見せるが笑うなよっ」
「笑わねえよ。……ほぉー、こりゃオメコか? 本物は初めて見るぜ」
なに、そのなりで童貞なのか。じゃない、覚悟は決めたがじっくり見られるとやはり羞恥心でいたたまれなくなってくるから早くしてほしいのだが。
「腕やら目やらを化生に喰われたから取り戻してほしいっつーのは割とあるが、チンポコ食い千切られた挙句にオメコにされたのは日ノ本中探してもお前さんくらいだろうなぁ」
「だろうな! 悪いがこっちは必死なんだ、治るかだけ教えてくれ」
「おうおう。とりま、やってみるさね。南無阿弥陀仏……」
なにやらぶつくさと念仏みたいなことを唱えだしたが、本当に大丈夫か。
「ん? なんだこれ、熱……あぐっ」
下腹部に熊の手が触れるや否や、毛皮の温もりとは到底思い難い熱が押し付けられた。いや、そのまま握られているこの感覚は……
「ほい、随分と立派なチンポコだことで」
「お、おぉ……!?」
戻ってきた。失われた俺のちんぽが熊の手でふにふにと握られている。すごいな、何が起きたかはさっぱりだが、これで元通りに……!?
「が、あ、ぐぅ!?」
再び焼けるような感触に襲われ、咄嗟に熊から飛びのいてしまった。するとどうだろう、下腹部に目線を降ろすと再び俺のちんぽが失われているじゃないか。どういうことだ。
「あちゃあ、奴さん余程お怒りだねぇ。こりゃ一朝一夕では赦してもらえないだろうなぁ」
「嘘だろ……そりゃ悪かったとは思ってるけどよ」
喜びは束の間、赦しを得るまで俺はこのまままんこが付いた女男として生きていかないといけないのか。どうするんだこれ、トイレも風呂も外でおいそれと行けなくなるんじゃないか。
「こいつはもう、根気よーく奴さんに頭下げてお願いし続けるしかないだろうなぁ。下手に刺激したら今度は命まで喰われかねないぜ」
ちんぽを奪われまんこを生やされ、あまつさえ命まで握られているだと。俺はただ山でトイレに困ってその辺で用を足しただけだぞ、ここまでされねばならんのか。
「頼む、どうにかしてくれ。俺にできることならなんでもする、さっき一瞬どうにかなっただろ」
まさかこんな廃寺みたいな場所で解決の糸口が見つかるとは思わなかった。今後の俺の尊厳のためにも、なんとしてでもこのふざけた呪いを解いてもらわねば。
「へーえ。なんでもねえ」
「謝礼ならする。なんでも言ってくれ」
「じゃあ、おいらの子供こさえてくれるか」
「わかった。……は?」
反射的に返事が喉から飛び出してから、こいつが何を言っているかを脳が咀嚼し始めた。子供を、こさえる。つまりは、俺がこいつの子供を妊娠して出産しろということになるのか!?
「なっななな何を言ってふざけるなそんなこと」
「嘘つくのかい? なんでもする、わかったって言ったろい」
「程度があるだろ常識的に考えて! なぜそうなる!?」
意味がわからないにも程がある。初対面の女に対して仕事の報酬に孕めなどと迫る奴がいてたまるか。いや、俺は男であってそもそも論外なのだが。
「なんでえ、理由言えばこさえてくれんのか? 昔っから女っ気皆無の寺で育ってたもんでね、己の煩悩が気付けばそっちに膨らんでったのさ」
つまり、この熊は女ではなく男が好きだと。あぁわかった、まずそれは飲み込もう。おもいっきり欲に塗れてるじゃないかと指摘するのは野暮かもしれん。
「おいらも歳だ、そろそろ身を固めたいわけよ。あわよくば御師さんから預かったこの寺の跡継ぎも育ててえ。だが困った、己にゃあ女性と愛を育む素養がとんとないもんだ。そんなところに、都合よくオメコ携えた雄ライオンがなんでもするって言ってくるんだ。それなら一つ頼まれてくれないかい」
言い分はまぁ理解しきれんが、概ねはわかった。そのうえでとんでもない選択肢を突き付けてくるじゃないか。ちんぽを取り戻すためにこいつの子を孕めと、なんとも馬鹿げている。
「帰る。あなたと同じくらいの力をがある坊主を探せばいいことがわかっただけでも収穫だ」
「あー、水を差すようで悪いがそうはいないと思うぜい。元々素養があったのか、それとも千日お山を廻って悟ったのかもわかってねえんだ。そこだけは御師さんも驚いてたくらいだからな」
「だからってなぁ……!」
確かに尋常ならざる何かがこの熊にあるんだろう、人は見かけによらないということが先の一連でよーくわかった。その上でも、子供を作れというのは度を過ぎているだろうが。まんこを取るためにまんこを使うのもあまりに本末転倒じゃないか。
「……そうさなぁ、なんでもなんて言われておいらも気が急いちまった。いいぜぇ、引き受けたるよ。仕事の後でいい、毎日ここに来なぁ。できる限りのことはしちゃるよ」
「本当か!」
「おうよ。一応は阿闍梨にまで至った身、悩み苦しむ衆生を放っとくのも寝覚めが悪いってもんさね」
あぁ、安心した。一時はどうなるかと思ったが、引き受けてくれるとなれば心強い。……待てよ。
「つまり、俺はこれから毎日お前に」
「まぁ、直接触れねえとどうしようもねえなあ。にひひ」
かくして、俺の日常に新たな習慣が誕生した。仕事を終えてから家に帰ると私服に着替え、裏山へ登るのだ。スーツに革靴でこんな参道を歩いてたまるか。
「邪魔するぞ」
「おう、待ってたぜい」
出迎えの類も一切なく、寺務所の今で酒を煽りテレビを眺めたままの熊にも既に慣れた。この生臭坊主ユウゲツ曰く、かつては比叡山で修行を積んで悟りにすら至ったとはいうものの、生活態度からそういった様子は感じがたい。しかし腕は信用に足るものだと、この一ヶ月でわかってきた。当然まんこをいじられるという屈辱的な時間ではあるのだが、続けたおかげで朝目覚めてから日が沈むまではちんぽを維持できるようになってきている。毎回トイレで個室に入るのも地味に面倒だった分、ファスナーを降ろして即用を足せるありがたさを改めて実感してきたところだ。
「今日は檀家さんから白菜貰っちまってよう。チゲ鍋こさえてみたぜい」
「やたら美味そうな匂いがすると思ったらそれか」
時間帯も相俟って、夕食は相伴に与ることも増えた。悔しいことにこの生臭坊主、なぜか料理の腕がいい。最初のうちは断っていたが、一度同席したところ俺の舌と胃袋が大層気に入ってしまった。今日もちゃぶ台の上には携帯コンロの上でぐつぐつと煮立つ真っ赤な鍋が就業後で飢えた獅子の食欲を誘ってるじゃないか。
「ほれ、座りねえ。今日も食ったらすぐやるだろ」
「……あぁ」
当然、そのために来ているのだからな。二人で鍋をつつき、完食すれば食器を片付け、そのあとは風呂場へ行き服を脱ぐ。この後のことを考えれば、その方が楽だと初日に気付いたがゆえだ。
「……頼む」
必要な儀式だ。実際効果も出ている。割り切ってはいるが、慣れはしない。こんな、夜になるとまんこに変わってしまう下腹部を曝け出し、あまつさえ素手で触れられるなど。
「入れるぜぃ」
「んっ……!」
指が突き立てられて、恥丘を搔き分け肉膣へ進入していく。最初の一週間は表層を触りながら何やら念仏を唱えていたが、それだけでは効果が薄かったらしい。俺の体にこびりついた呪いを指で直接触れなければならない以上、胎内へ指が進入していくことは避けられなかった。
「や、あっ……つ、い」
熊の毛皮は少し毛が硬めでごわついている。そんな指で中を弄られるのだ、ブラシでじっくりと擦り上げられる不快感は、いつしか気持ちいいと感じてしまうようになっていた。最初に感じた焼けるような熱も、今では刺激をを助長する燃料となって俺の興奮を焚きつけるばかりだ。
「あ”、ぎぃっ……! ん、ひ、ひぁ、やっ、中すご、いい”っ」
俺が快感に悶えていようが、熊はひたすら念仏を唱え続けていた。真剣な眼差しで、目の前の呪いに向き合っている。昼間に浮かべていた軽薄そうな表情をどこへ置いているのか、この時ばかりはこの熊が格の高い僧侶だということを思い知らされる。むしろ真剣にやられる分、熊の指先で悶える俺がとても淫らに思えてしまい、余計にまんこの中を意識してしまう。
「あ”お”っいっイイ”っ! あ”~~~イグイグイグッまんこでイっちまうっ!!!」
もう駄目だ、耐えきれない。まんこの刺激が気持ちよすぎる。こうして熊の手で絶頂に至ることが、この儀式の終わりだ。なんて情けないことだろうな、同年代の男の手で無様に手マンでイかされるのが日課になっているんだぞ。あまつさえ、体も心もそれを良しとしてしまっている。今もそうだ、みっともなく股から愛液を噴き出して風呂場の床に崩れ落ちてしまう体を自分自身で支えることができないのだから。
「よっ……今日はここまでだな」
「は、ひぃ……す、すま、にゃ」
崩れ落ちた俺を熊が支えて、温かいお湯で下腹部を流してくれる。ここまでが毎日の恒例行事となっていた。もちろん最初は拒んだが、脱力した体で無理やり抵抗できるはずもない。幸いにも祈祷以外の行為をするつもりはないらしく、イった後に無理矢理行為を迫られたこともない。
「ひひ、今日もいいイき顔だったぜい」
「る、さい、ぞ」
その代わり、終わってしまえばこの通りだ。その集中力を終わった後も維持してもらえないものだろうか、すぐにこちらも気が抜けてしまう。
「おお怖い怖い。こちとら目の前であんあん言われてチンポコがイライラしちまうってのにねえ、律義に加持祈禱を続けてるおいらを少しは労ってくれてもいいんでないかな」
「そ、それは……感謝はしている。というか、しっかり興奮してたのか」
自分で言うのもどうかと思うが、気持ち悪くはないのか。四十路過ぎたオッサンライオンが顔歪ませて、我ながらはしたなく思う喘ぎ声でまんこを弄られて毎晩泣き喚いているんだぞ。
「今更そんなこと聞くんですかい。そうでなかったら、子供こさえてくれなんて言わねえってもんでしょう」
「それは……その、俺が好みなのか?」
何を聞いているんだ俺は。イったばかりで正常な思考ではないのかもしれない、だがなんとなく聞いてみたくなってしまった。
「ん、まぁなぁ。……昔好きだったお方の面影があって、どうもなぁ」
この返答に限っては、珍しく物憂げな反応を見せるじゃないか。目線もこちらに合わせずそっぽを向いて、搾りだすように答える熊の横顔は不覚にも、少し良いものだなどと思ってしまった。
「好きだったお方、っていうと」
「出会ったばかりの、家から放り出されて凍え死にそうだったおいらを拾ってくれた御師さんだよ。同じ色の鬣した獅子獣人だもんで、当時のあの方を思い出すとむずむずするのさ」
それはまた、因果なものというか。だからって即子作りを迫るのもどうかとは思うが、つまりは俺が初恋の相手に似ていたわけか。あの発言の真意がようやくわかったな。
「御師さんもちょいと前に次の輪廻に向かわれたもんでね。そんな折にあんたが来るもんだからよ、不覚にもぐらりと来ちまってなあ」
ここにきて真っ直ぐな愛の告白をされると、その、すごく困る。なんだその照れくさそうな顔は、俺はこんなむさ苦しく大柄な熊男などそもそも眼中にないんだぞ。だってのに、なんだ、妙に胸がざわつくのは。ここまで面と向かって真っ直ぐな好意を向けられたのは学生時代に交際していた彼女くらいなんだ、あれから二十数年も経過すれば免疫なんてなくなるに決まっている。まずい、なんでこんな生臭坊主相手に胸が高鳴っているんだ。まんこのせいで、心まで女みたいになってしまったのだろうか。
「そうさな。あんたのことが好きだよ、シシミネよぉ」
「っ」
イったばかりのまんこが煩わしい。まずい、理性的な思考が戻ってこない。そんなことまで言われてしまったら、ろくでもないことを口走ってしまう。
「はは、今日のことは忘れてくれい。なぁに、加持祈祷はしっかりやるから、しばらくは我慢して」
「……いいぞ」
何を素っ頓狂な顔をしているんだ。こういうときこそ飄々としていてくれよ、恥ずかしいだろう。
「え、は」
「だから。……子作り、しても。……いい、ぞ」
あぁ、自分から言ってしまった。正気の沙汰じゃないだろう、自分と同年代の中年男との子作りだぞ。何を言っているんだろうな俺は。仕方ないだろう、少しでもいいと思ってしまったのだから。体の重要な部分が女になると、ここまで変わってしまうものなのだろうか。
「い、いいのか。本気だな、やめるなら今だぞ」
「いいって言っているだろう。……ずっと指だけで焦らされて、我慢ならないんだ」
指だけでああも無様にイくほど気持ちいいんだ、抱かれてしまえばもっと気持ちいいかもしれない。期待している自分がいる。俺は男だ、女は抱く相手だ。だが今は、俺の体は女のまんこが付いている。だからこいつを求めてしまうのだろうか。
「……へへ、まさかこんなツキが巡ってくるとはねぇ。いっとくが童貞だ、技術には期待すんなよ」
「それを言うなら俺は処女だ、手荒くしたら殴るからな」
元より全裸になっている俺の前で、坊主が袈裟を脱いでいく。一応言葉を選んでこいつの体型を表現していたが、毛皮の下には案外筋肉が備わっているものだな。ぐうたらしている姿しか見ていないから、てっきり脂肪を蓄えていると思っていたが。
「なーんか失礼なこと考えてないかい? ただのデブじゃないんだよ」
「言ってないだ、ろ……」
下着は褌を穿いていたのか。どうやら興奮していたのは確かなようで、着古して薄汚くよれた木綿の白布には熊のちんぽが勃起してくっきりと浮かび上がっていた。長さこそ俺の本来あったはずのちんぽよりは短く見えるが、問題は浮かび上がるその太さだ。布越しだってのに、どう見ても太い。ここまでの太さはなかなかないだろ、珈琲缶くらいはあるんじゃないか。裂けたりでもしたら一生恨むぞこの野郎。
「このまま、ここでやるのかい」
「汚れても問題ないだろう。今更ムードとか言い出すなよ」
「言わねえよ、憧れはあったけどなぁ」
しっかり童貞なのかこいつ、なんかちょっと可愛いな。じゃない、本当にどうしたんだ俺は。俺に取り憑いたまんこが俺を狂わせているのか。
「なぁ、口……吸ってもいいかい」
「いちいち聞くなよ。ほら……」
キスもしたことないのか、妙なとこで奥手なやつめ。近付くと興奮してるのか、汗の臭いを濃く感じる。年相応の雄臭さが鬱陶しいかと思ったが、なぜか不思議と落ち着きすらしている自分がいる。体が抱かれたがっているんだろうか、ずっと熱に浮かされたようなもどかしさに覆われているままだ。
「ん、ふ、はふ……」
呆けていた熊の顔を寄せて、こっちから口付けを交わしてやる。ちんぽがなかろうがキスの上手さには割と定評があるもんでな。……男とキスするのは初めてだが、女と何も変わらないのな。むしろ、気分が上がる。
「くちゅ、ふ、は……あんた、口吸い上手いんだなぁ……」
「ぷ、は。そりゃあな、その気になったろ」
「最初からその気だっての。……い、入れる、ぜ」
照準が定められたら、もう逃げられない。いや、元より逃げる気などない。自分から受け入れると決めたんだからな。あぁ、恥丘に亀頭が触れただけでぞくりと内股が勝手に震え出す。怖い、これを受け入れてしまえば、男の味を知ることになる。ただでさえ自分より大柄な相手に抱かれようとしているんだ、俺が今まで抱いてきた女もこんな感情を抱いていたんだろうか。
「うおっ……やわっこい、なぁ」
「んぅ……!」
太すぎる、指など比較にならない。内側からめりめりと圧迫されて、肉が広がっていくのが伝わってくる。
「お”-……熱くて、きゅうきゅう締め付けてくるなぁ。ひひ、極楽だねぇ……」
「お”、ふ、あ”-……きっ、つ」
事前に指で散々手マンされてぐちょまんになっていたとはいえ、馴染むまで時間がかかりそうだ。おまけにわざわざ感触を口に出して言うものだから、興奮と恥じらいで顔が火照って仕方が無い。あぁ、体が熱い。熊に抱かれてふれあう毛皮も擦れてなんだかもどかしい。
「おうおう、ぎゅーって抱きついてきてよぉ。いいなぁ、あんた」
逃げ場をなくした四肢が自然と熊に抱きつく形になるが、指摘されたところで止めることもできない。まんこの内側、膣を貫かれた状態で他にできることなどない。幸いにも無理矢理に動かれるということはなく、俺を抱きかかえたまま熊はじっとしていた。どうやら熊ちんぽが俺のまんこに馴染むまで、俺がいいと言うまではこのままでいてくれるらしい。こんなに落ち着いた、穏やかなセックスはいつぶりだろう。それこそ初体験、学生時代を思い出す温かさがあるような。
「……もう、動いても、いいぞ」
「そうかい? ほいじゃ……こっちも、我慢の限界ってな、もんでね」
背中の冷たい感触は浴室の床に触れたものか。つまりは正面から組み敷かれ、覆い被さって抱かれているわけだ。最早みっともないとか男なのにとか、そんなことは些末だな。ただ、気持ちいい。まんこの中を雄の象徴でじんわりと刺激される感触がこんなに心地良いものだと知ってしまった以上は、もっと心地よさを求めてまんこが疼き出すのを止められない。
「はぁ……ふーっ……オメコあっちいなぁ……」
熊に上半身へ抱きつかれ、ぎこちないながらも腰を上下に動かして俺の中を堪能されている。粘膜と擦れるたびにまんこが喜んでいる、さっきからびくびくと内股が震えて濡れていくんだ。肉厚な体に視界が遮られて見えないが、きっと壊れた蛇口みたいに愛液を漏らしているんだろう。布団に戻ってヤっていたら、今頃使い物にならなくしていただろうな。
「っ……ぁ、ゃっ……」
「っへへ、声我慢しなくてもいいぜぃ。こんな山奥で獣が盛ってても、誰も気に留めやしねえさ」
「ちが……はず、かし」
「聞かせてくれって言ってんだよ。それとも、あんあん啼かせた方がいいか? 手で慰めてやった方がまだ素直だった、ぜぃ!」
「ひいっんっ!」
駄目だ、なんとか耐えていたのに。体重をかけてちんぽを押し込まれたら、気持ちいいところをちょうどぐりぐりと亀頭が押し当てているのを感じる。人が我慢していたものを、またしても女のようにはしたなく甘ったるい声が漏れてしまうじゃないか。
「お、ここかぁ? ひひ、ちょんちょんしてるとオメコがぎゅっと締まるなぁ」
「んや、いいっあ”っ! やめっ!」
「やめんのかぁ? でも困ったなぁ、あんたのオメコがおいらのチンポコ離さねえぞ」
強烈な快楽から逃げたくて発した拒否の言葉になんの意味も価値もない。体が先にちんぽに屈して、子種を欲しがってちんぽに尽くそうとしている。俺のまんこが、孕みたがっている。まるで猛毒のような感情だ、理性の溶けきった脳髄に染み渡って今の俺を肯定していく。孕みたい、このまま孕んで気持ちよくなりたい。
「んぎ、やっあっ、あ”っ! まんこすご、おまんこごわれ、るっ!」
貫かれるたびに圧迫感から呼吸が詰まり、反射的に大きく息を吸い込むと熊の首元から漂う汗の臭いを肺一杯に吸い込んでいく。もう嫌悪感はちっとも感じず、俺を女にしていく男のフェロモンのようなものを感じ取ってさらに頭がくらくらと痺れていく。ずっとこうしていたい、などと思ってしまうほどに。俺に女の悦びを教えてくれた熊の匂いを嗅いで、互いに抱きしめ合って、幾度も膣を掘り進められて感じていたい。
「あ”ー、たまんねぇなぁ……おいらの子供、元気な子供こさえてくれよぉ……!」
だが、終わりの時は唐突に訪れた。熊の側から熱烈な口付けがやってきたと思うと、舌を絡ませたと同時に俺の中で熊ちんぽがぶるりと震え、熱い滾りを迎え入れた。
「ん”っ……む”……!」
射精だ。俺の中で精液が吐き出され、子宮めがけて幾度も注がれている。あぁ、なんて気持ちいいんだろうか。気付けば俺のまんこもイってしまって、内股から失神しそうなほどの心地よさが突き抜けてくる。
「……ぶ、はぁ。……へへ、種付けちまったな」
これで俺は妊娠するかもしれない。そうしたらどうなるんだろうか、体は男なのに本当に子供ができるんだろうか。そうなったら、俺はこの熊の……よ、嫁に、なるのか?
「へへ、あんがとなぁ。本当にあんがとなぁ」
「……まだ、出来たと、決まったわけじゃ、ないだろ」
あぁ、息も絶え絶えだ。イった反動で少しは理性的な思考が戻ってきたが、それでも言葉を発するのがやっとだ。……冷静になっても、この熊を疎む感情が湧いてこないのはよかった。一時の気の迷いなどではないと、さしもの俺も思いたいからな。
「そんでも、初めての子作りだからよぉ。あんがとなぁ」
「……あぁ」
そんな幸せそうな笑顔を向けられたら、今更嫌うことなどできないじゃないか。
今日も仕事を終えて、定時ちょうどでタイムカードを押す。家庭がある以上、残業も飲みも御免だからな。夕食の買い出しをして、さっさと帰るに限る。
あの歩きにくかった参道も随分と手入れが行き届き、見えてきた本堂は廃寺そのものだった外観から厳かな雰囲気を取り戻していた。俺からかなりしつこく言いくるめたからな、これくらいは普段からしていてほしい。なんたって、毎日通う道なのだから。
「ただいま、帰ったぞ」
「おう、おかえりさん。ほれ、母ちゃんが帰ってきたぞぃ」
「……ぅー」
寺務所では袈裟を纏った熊、ユウゲツが相変わらず横になってテレビを眺めている。変わったところといえば、赤子をその腕に抱いていることだ。
あれから俺は妊娠し、子を産んだ。あの一撃で本当に孕んでしまったようで、そこからは怒濤の日々だった。なにせ出産、それも男が出産するなど前代未聞だろう。病院に頼ることもできず、不安に駆られることも多々あった。臨月が近付くにつれて大きくなっていく腹と重くなる体を隠すため、表向きには癌が見つかったため治療と称して数ヶ月ほど仕事を休んだ。この寺に住居を移したのもその頃だったな、なにせ一人で破水したらどうにもならん。
「母ちゃんはやめてくれ、もうまんこじゃないんだから」
出産後何日だったろうか、気付けばまんこは完全に元のちんぽに戻っていた。夜になってもまんこに変わっていることもなく、息子がいなければまんこがあったことなど俺ですら忘れそうになるほどだ。ユウゲツは残念そうにしていたが、俺としては当初の目的が叶ってなによりだ。
「でもおっぱいは出るもんなぁ。粉より母ちゃんのおっぱいの方が食いつきがいいだろ?」
そう、妊娠の後遺症自体はばっちり残ってしまっている。正直今も仕事中に胸が張るほどきつくなり、トイレでこっそり搾るほどには困っている。これで我が子が健やかに育つならまぁいいんだが、吸われすぎて乳首がワイシャツの下から主張してきたことも頭を悩ませている。たまにユウゲツも吸いにくるのは本当に勘弁してほしい。俺は男だってのに、本格的にブラの着用を検討すべきなのだろうか。
「ま、座ってゆっくりしてなぁ。この子を頼んだぜぃ、その間に晩飯作るさね」
「あぁ、頼んだ。……ふ」
「どしたい?」
「いや、別に。そら、パパだぞー」
周囲には子供の存在は告げていないが、いつかは紹介することになるだろう。自分で産んだ命への愛情はしっかりと感じている。それに、これだけ一緒に暮らしてしまったんだ。あの日のセックスを契機に、俺はユウゲツを愛してしまっていた。ユウゲツとは籍を入れることすらできはしないが、それでも家族になったわけだからな。これからも大事にしていきたい。
[newpage]
この際だ、トラサワにだけは全て打ち明けてしまってもいいかもしれない。大体こいつも当事者ではあるからな、一人で抱え込むよりはいいかもしれない。
「その、本当に祟られていたらどうする?」
「えー何言ってるんですか。……マジで言ってます?」
俺は日頃冗談を口にすることはほとんどない。真剣な表情で話したのが効いたのか、トラサワがこちらをみる目も変わったように思う。
「あのあと何があったんですか」
「それは、だな。……会議室取るぞ」
「え、そこまでします!?」
会議室の私的利用にあたるだろうがそんなの知ったことか。なぜ祟りだと断言するのか、ただの体調不良ではないことを伝えるには直接見せるしかないだろう。
「トラサワ、何見ても笑う・引くなどしないか」
「いやモノによりますけど……とりあえず見ますよ。単に体調悪いだけじゃないんですよね」
そもそも体調が悪いのではなく、体の作りがおかしくなっているわけで。顔面蒼白になる理由もこれでわかってくれるはずだ。
「頼むぞ本当に。……起きたら、こうなっていた」
「は? ちょ、何脱い……ほげぇ!?」
そりゃあ驚くだろうさ。トラサワとは出張の際にホテルの温泉でも出くわしたことがあるから、当然互いのちんぽの大きさはなんとなく把握している。そいつが俺の股から消え失せて、代わりに膨らんだ肉の狭間に筋がみえてるんだからな。
「え、うそ。マジですか……わぁ、祟りってあるんですね。捥がれたどころの騒ぎじゃないじゃないですか」
「取り急ぎ信じてくれて助かる。……どうすればいい?」
スラックスを穿きなおして、安心して相談できる相手を確保したところで問題はこいつをどう元のちんぽに戻すかというところだが。
「そーうですねえ……やつのさま、結構怒ってそうじゃないですかこれ。その、まん……にされるくらいですし」
「ぐ、それに関しては完全に俺が悪い」
見えていなかったし知らなかったとはいえ、思いっきりじょぼじょぼとぶっかけてしまったのは事実だ。少なくとも俺が初対面の相手にそんな真似をされたら殴りかからない自信は持てない。
「なら謝りにいきます?」
昨日走ったばかりの道を、今度は俺の自家用車で駆け抜けていく。助手席には俺に合わせて午後休を取得したトラサワも一緒に乗っている。
「悪いな、付き合ってもらって」
「いえいえ、こんな機会ないですから。ちょっとワクワクしますね、本物の神様相手ですよ」
「俺はゾクゾクしてるよ……」
他人事だからって気楽でいいもんだ。いや、本当にその通りではあるし同行してくれるだけありがたくはあるのだが。何せ気軽に体の構造を作り替えるような奴だ、一人で行ってあの夢みたいに食われでもしたらたまったもんじゃない。
道中のホームセンターで水のボトルと掃除用具、それから供え物などもいくつか買い込んだ。傍から見たら墓参りに行くような装備だが、供え物に生卵のパックを選ぶのは俺たちくらいのものだろう。
「このあたりか。日が出てるうちに着いてよかったな」
「ですね、ちゃちゃっと済ませちゃいましょう」
トラサワの調べた情報も加味して車を走らせ、どうにか昨晩俺が立小便をした場所に辿り着いた。日中でもそこは藪に阻まれて、直接入ってみなければそこに石像があるなど目を凝らさなければわかるはずもない。むしろトラサワはよく車内からあれを見つけられたな。
「確かに蛇っぽいな。……しっかり残ってやがる」
藪を抜けた先、少し開けた傾斜面にその像は鎮座していた。大きさとしてはおよそ俺の腰を上回る程度の、白い石でできた彫像だ。あの時はよく見えなかったが、こうして木漏れ日の中にたたずんでいる姿は神秘的に思えてくる。
周囲に置かれた餅や酒、卵といった供え物が今も信仰されていることを示しているが、肝心の像には盛大に尿をぶちまけられて薄く黄ばんだ痕跡がしっかりと残されていた。
「まずは洗ってみましょうか」
「そうだな。……車で待っててもいいぞ」
「いやここまで来て待機はないですよ?」
俺の放尿の後始末を部下にさせるというのも情けない話だが、ここは素直に頼っておこう。乾いてから時間が経っているが、水をかけてブラシで擦ればみるみるうちに汚れも落ちていく。というかやってることは墓参りのそれに近い、今度うちの墓も様子見ておかないとなぁ。
「よし、大方綺麗にはなったか。あとはこいつを供えて……」
ここで二礼二拍手一礼をするのは正しい作法なのかはわからないが、とりあえず誠意は伝わってほしい。悪気はなかったんだ赦してくれ、頼むから元の体に戻してほしい。
「どうです、戻りました?」
「待て、確かめる。……だめか」
パンツを降ろして確かめてみるが、やはりそこにはちんぽではなくまんこが備わっているままだった。
「一体どうすりゃいいんだ……というか、なんでまんこにしたんだよ。ただ捥ぐだけでよかっただろ、いやよくないが」
「うーん。もっとこう、誠意を見せるべきなんですかね。土下座するとか」
「ぐっ……」
確かに許しを請うならそれ相応の姿勢が必要になる。土下座のひとつでちんぽが戻ってくるなら俺の尊厳など大した問題ではない。
「この度は、申し訳ない……!」
汚れるのも厭わずに土へと両手をつけ、鬣を地につける。人生四十三年でこんな姿勢を取ることなど初めてだ。あまつさえ部下に見られている前での行いに俺の尊厳がずたずたにされていく。あぁ、これでも赦してもらえないのか。
「……だめだ、変わらない」
「うーん……いっそ着てるもの全部脱いでやります?」
「そこまでか!? そこまでしないとか!?」
「だって、神様が何を望んでるのかわかんないですから……シシミネ部長が心から反省してるってとこ見せるなら、隠すものが無いほうがいいかなー、なんて思いまして」
なりふり構うものかと思いはしたが、こんな往来で全裸になるのは程度が違う。車通りだって少ないがないわけではないんだ、こんなところを誰かに見られでもしたら間違いなく通報される。……だが、それでもちんぽを取り戻すために必要になってくるならば、やらなければならないのだろうか。思いつく限りの謝意は示した以上、他にできることは俺の尊厳すらも捧げることだけだというのか。
「……誰か来ないか見ててくれ」
せめてもの抵抗としてホームセンターで念のためにと買ってきたレジャーシートを敷いて、その上に靴と靴下を脱いで立つ。ネクタイを緩め、ジャケットを脱ぎ、ワイシャツのボタンを外し、スラックスのベルトを外し、全てを一枚ずつ脱いでは畳んで傍らに置いていく。毛皮が外気に触れるたび、風と木漏れ日に晒されるたびに背筋をぞくりとした感覚が駆け抜けていく。非常識かつ背徳的な行いが俺の理性と思考を良くないもので搔き乱していくのを止められない。
最後の防壁だった下着まで脱ぎ捨ててしまえば、もう俺が身に纏うものは何一つない。獅子らしく引き締めた恵体に、外気に触れて少し冷やりとするまんこを隠すこともなく立っている。きっと顔は真っ赤に見えることだろう、恥ずかしさで頭が熱くて火が出そうだ。
「これで、許してくれ……!」
もう一度、俺の無様な姿をもって許しを請う。しっかりと両手両足を整え、額は地面にぴったりと付け、誠心誠意で土下座の姿勢をとる。しかし、それでも何も起こらない。石像が急に動いたり喋りだすこともなければ、俺の体に何かが起こる兆しもなかった。
「くそ、だめなのか……! 次、次はどうしたらいい、トラサワ」
どうしようもない極限状況に置かれた心がざわつく。自分一人ではこれ以上どうしようもない。頼むトラサワ、何か手段を考えてくれないものか。
「……部長、僕から提案しといてなんですけど。今すごいドエロい姿してるの自覚してます?」
……おい待てトラサワ、見張りを頼んでいたはずだぞ。それがなぜ、俺をじっと眺めて、しかもスラックスの上からでもわかるくらいガチガチに勃起しているんだ。
「な、おい、待てトラサワ、どうした」
「どうしたもこうしたもないですよ。会議室でいきなりおまんこ見せつけられて、ずっとムラムラしてるんですから」
嘘だろ、あれで興奮してたっていうのか。確かに今の俺はまんこを剝き出しにしているが、そこ以外はどこからどう見てもむさ苦しい中年の雄獅子なんだぞ。興奮する要素なんかどこにもないだろ。
「待て、落ち着け。そうだお前彼女いただろう、なんで俺に欲情してるんだよ」
「いつの話してるんですか。数年前に別れてますよ、仕事が慌ただしくて構ってやれなかったので愛想尽かされて他に男作られて出ていかれちゃいました」
数年前というと、別の大手企業相手に大口受注があったあれか。確かにあれはとんでもない事態だった。俺も何日か家に帰ることすらままならずに事務所で寝泊りすらしていたっけか。トラサワも頑張ってくれていたが、裏で私生活が犠牲になっていたのは知らなかった。
「その時思ったんですよね、せめて仕事に理解があって親身になってくれる人と一緒になりたいなって。……いっそ部長が女だったらありだったかもなーとか、考えちゃったんですよね」
裏でそんなこと考えていたのかこいつ。確かに一日の中で一番過ごす時間が長いのは直属の部下であるトラサワだ、その分気にかけもしていた。素直で物覚えもいい、容量も悪くない相手ともなれば気心も許せる。確かにトラサワがもし女だったならばいい雰囲気になっていたかもしれないが、俺もトラサワも男なんだぞ。こんな、筋骨隆々な男相手にそんなことは。
「まんこ見せられてビビりましたけど、やっぱこうして見るとすっごいエロいですよ。ね、セックスしましょうよ」
「なっ……いや、その」
ついに直球にその単語が突き付けられてしまった。俺とトラサワで、セックスをしたいと。ちんぽがまんこになっただけで、ここまでトラサワのツボが刺激されるなんて想像だにしなかった。一歩ずつトラサワが近づいてくる。窮屈そうにしているスラックスのファスナーに手を伸ばし、開いた隙間から取り出されたトラサワ自身。なんてちんぽだ、体格に見合うだけのものじゃないか。同じ男である俺ですら喉を鳴らしてしまうほどに大きく、太く、バキバキに血管が這いまわる雄々しい姿で鈴口から涎を垂らしている。
「シシミネ部長を見てたら、俺もうこんなんなっちゃったんですよ。おかしいですよね、部長が男なのは見てわかるんですけど。俺いますっげえセックスしたいんです」
真剣な表情のトラサワに気圧されて、思わず尻餅をついてしまった。俺も人並み以上の体格はしているはずだが、トラサワが覆いかぶさってくるとまるで敵わないとわかってしまう。鈴口と触れたクリトリスから甘く切ないような感触がする。このままだと、抱かれる。こんな立派なちんぽで刺し貫かれたら、俺は無事では済まないんじゃないのか。動揺が抑えきれない、この異常な状況に困惑と、なにより少し興奮している俺がいることに酷く心が揺さぶられている。なにより元々俺自身の性欲が強いんだ、まんこが期待に震えだしている事実からもう目を背けられない。
「ま、待て。本当に待て。よーく俺の顔見ろ、四十路過ぎたオッサンなんだぞ。絶対あとで後悔するに決まって」
顔を見ろとは言ったが、それ以上の距離でトラサワの顔が迫ってくる。くそ、整った顔立ちしやがってからに。この顔にこの体ならさぞ合コンなんかでモテるだろうに、よりによって俺相手にちんぽをおっ勃てて、あまつさえ今も俺の唇にトラサワの唇が重なって、毛皮同士がこすれて、うお、舌まで入ってくるじゃないか。生温かくて柔らかい、女とするキスと何も変わらないのか。くそ、こいつなかなか舌の使い方が上手いな……
「……ぷ、は。静かになってくれましたね、部長。おまんこも欲しがってるじゃないですか」
「え、は……うぉ」
今の口付けだけで体に情欲のスイッチが入ってしまったのか、僅かに開いた恥丘の隙間からとろりと透明な雫が零れ落ち、トラサワの巨根に滴っていた。
「ね、セックスしましょうよ。ここまできてしないなんて、ないじゃないですか。ちゃんと気持ちよくしますから、ね?」
「う、うぉ、おー……」
気持ちが揺さぶられていく。正面から真剣な眼差しで見つめられて、照れくさくて視線を逸らすと今度はトラサワのちんぽに目が吸い寄せられてしまう。あぁ、もう駄目だ。身も心も、トラサワに抱かれたいと言っているようなものじゃないか。
「……優しく、しろよ。処女だからな」
ついに言ってしまった。あまつさえ自分から股を開いて、期待で熟したまんこを見せつけてしまった。自分から受け入れてしまえば、その先は目に見えているというのに。
「いきますよ、部長。……生で失礼しますっ」
生。あぁ、そうだ。普通はゴムを付けるじゃないか。茹だった頭ではそんな当たり前のことを考えている余裕もなかった。自分で風俗嬢を抱くときは必ず付けるものだが、いざ抱かれる側に回ると考えもしなかった。……いや待て、待ってくれ。それはつまり、妊娠の危険性があるということになる。
「待――ッ!」
既に遅すぎた。しっかりと傘を張った雁高の亀頭が恥丘を押し分け、今も濡れ続けている愛液が潤滑剤になってトラサワのちんぽを受け入れていく。処女膜に一瞬阻まれるも、そんなもので防げるわけがない。まんこの中でぶちゅりと何かが潰れるような感触と共に、堰を失って一気に最奥部までちんぽが到達してしまった。
「お”っ……ぁ」
息が詰まる。膀胱に尿が溜まる感覚に少し近いが、響く刺激はそんなものの比ではない。こつこつと敏感な部分をトラサワのちんぽが突いている。そのたびに俺の口から信じられないような甘い声が断続的に漏れていた。
「この感じ、子宮口まで届いたみたいですね。シシミネ部長、ナカすっごいあったかいですよ」
やめろ、そんな目で俺に笑いかけるな。まんこ以外はちゃんと俺は男なんだ。なのにトラサワに優しく抱きしめられて、まんこを奥の奥まで貫かれて、他の部分まで女にされたみたいに感じてしまうじゃないか。
「は、ひゅ、う」
呼吸が苦しい、太く大きい虎ちんぽに膣の中を限界まで広げられて息が詰まる。毛皮には俺の汗がどっと噴き出して湿り気を帯び、風に撫でられて熱を奪われるぞくぞくとした感覚が止まらない。しっかりと虎ちんぽに吸いついた俺のまんこも、次から次へと愛液を垂れ流して虎の股をぐちょぐちょに濡らしている。
「部長、そんな可愛い顔できたんですね」
可愛いわけがないだろう。恥と興奮で茹で上がっているうえに、まんこから伝わってくる刺激に耐えきれずにぐしゃぐしゃになっているんだ。可愛い要素なんてあるものか。
「部長の処女、貰っちゃったんで、しっかり中出ししますねっ」
抽挿が始まった。動きは至極単純だ。奥に入っては出ていく、ただその繰り返し。だというのに、ちんぽが膣を擦るたびに俺の喉から情けない悲鳴が上がるのを抑えられない。
「ひ、ぃ、ああ”っ! う……んっ!」
俺の耳に届く声が自分のものだと信じ難い。風に乗って偶然山歩きでもしていた誰かに届いてしまうかもしれないと考えると、余計に大きな声を抑えられなくなっていく。抗おうとするほどに快感が増していく負の循環の中で、俺にできるのは虎の逞しい体に縋りつくことだけだった。
「どうせ誰も来ませんよ、来るとしたら……神様にでも見せつければいいですよ、部長のエロくて可愛いとこ」
ブルーシートに寝転んで犯されているなかで、ふとその言葉で視線を上に向けると例の石像と目が合った気がした。石像に、この蛇に見られている錯覚すら感じて頭がおかしくなりそうだ。何かに見られている視線を感じながら、木漏れ日の中で淫らに腰を振っている。こんな野外でセックスに興じる日が来るなど考えてもみなかった。非日常、非常識なことの連続で俺の脳がどんどん麻痺していく。こうして考えを纏めることももどかしい。
「っ、ふっ、ぐ……!」
トラサワは真剣に、必死に腰を動かし続けている。単調だった動きにも変化が生じ、俺の反応に合わせて挿れ方を変えているようだった。子宮口と亀頭が思い切りキスをするほど奥まで貫かれ、ぐりぐりと押し付けられるたびに虎ちんぽのことが好きになっていく。もっとされたい、もっとこの感触が欲しい。
「ん、んぁ、い、ああ”、イ”っ! イグっ……!!!」
切ない感覚がまんこの奥から込み上げて、思わず虎に抱き着く力が強くなった。視界がちかちかする、まんこがびくびく、びゅくびゅく震えている。雄獅子のはずの俺が、虎ちんぽで絶頂を迎えていた。繋がっているから見えこそしないが、射精にも似ているこの感覚は潮を吹いていることだろう。なんて気持ちいいんだ。
当然ながら俺がイこうがトラサワには関係ない。絶頂に合わせて膣がきゅうきゅう締まるのをいいことに、むしろ動きがより激しくなっていく。トラサワも筋肉で覆われた体が汗ばんで、抱き寄せられた首元から若い男の匂いが香るのを思わず鼻いっぱいに吸い込んだ。会社では制汗剤を使っているから、トラサワの匂いを直接嗅ぐのはこれが初めてだ。自分よりも若い男の匂いを受け止めて、より一層体が女に近づくのを感じる。悪くない、むしろ癖になる気がする。抱かれている今だから安心感すら感じるんだろうか。
「はあっ、はーっ、はっ……! 部長……っ、出します、よっ!」
虎ちんぽで幾度も膣を貫かれ、イってもなお抱かれ続け、時間の感覚も曖昧になりだした頃合いで、トラサワもまたラストスパートに入っていた。堂々たる宣言と共に後頭部の鬣を掴まれ、固定された頭蓋に虎の牙が迫る。まるで貪り食うような口付けだ、身も心も虎に喰い尽くされてしまうような、抗いがたい感覚に全てをゆだねてしまう。
「ん、ぐちゅ、ふ、は、ふちゅ……ん”っ!!!」
「ッ~~~~!!!」
トラサワが弾けた。俺の胎内で一瞬膨れた虎ちんぽから、熱く粘るものが溢れだしてくる。どく、どく、どく、どく。脈動と共に俺の膣がトラサワの子種で満たされていくのを感じる。もうだめだ、俺はおかしくなってしまった。誰にでも誇れる優秀な部下のちんぽに犯されて、幸せになってしまった。満ち足りた感覚が心地良い、屈強な虎の腕の中が温かい。まんこの奥に迎え入れた虎ちんぽが気持ちいい。射精の一瞬がとても、とても長く感じた。
「っはぁ……!」
「う、ぐぇ……お、もい」
絶頂の余韻で脱力したトラサワがしなだれかかり、思わず受け止めようとして肺が潰されていく。くそ、体重何キロあるんだ。この重量感すら苦しいと同時にどこか心地よく感じるあたり、俺はもう本格的にだめになってしまっているんだろう。
「あ……すみません。シシミネ部長、めっちゃ良かったです」
「……おう」
素直に口に出せないが、認めたようなものだろう。とても気持ちがよかった。未だ繋がっているまんこから伝わる熱い滾りがトラサワにも感じられるだろう。まんこが心地よい刺激に震えている。
「……抜きます、ね」
「あ、んっ」
虎ちんぽが抜けていくその時まで、俺の喉からは気の抜けた甘い声が出ていた。ぽっかりと空いたまんこの奥、膣からごぼりと零れだした精液の量たるや、ブルーシートの上に滴ると愛液と一緒に広い水たまりを作り始めるほどだった。
「出しすぎ、だ。馬鹿野郎……」
「は、ははは……後片付け、しておきますから。部長は車に戻って休んでてください」
情けないことこの上ないが、そうするほかないだろう。まんこを使った初めてのセックスで、俺は既に体力も気力も使い果たしてしまっている。正直立ち上がれるかどうかすら怪しい力の抜け具合だ、辛うじて服を着るのでやっとじゃないか。
「帰りの運転も、頼む」
「了解です。……なんかすいません」
「謝るな思い出すだろうが。……う、ぐ」
今も滴る体液を拭ってどうにか下着を穿いたというのに、先程まで俺のまんこを穿っていた虎ちんぽの感触を思い出すと下腹部がきゅうと締まるような感覚がする。仮にちんぽが戻ってきたとして、俺はトラサワの前で男としての矜持だとか、そんなものを抱き続けていられるだろうか。
翌日、出社してトイレに行くとトラサワとばったり鉢合わせた。
「あれ、部長……元に戻ってます?」
「おうよ」
朝起きれば、まんこになっていたことなど嘘のようにもとに戻っていた。今も便器へと勢いよく放尿しているのは、紛れもなく俺のちんぽだ。またぞろ例の蛇が夢枕に立っていた気がするが、もうよく憶えてはいない。満足げな唸り声がしたのをかろうじて憶えてはいるが、元に戻った今としては些細なことだ。
「よかったですね、許してもらえて」
「あぁ。……なぁ、トラサワ。昨日のこと、だが」
「へ? あ、あぁ。……なかったことに、ってのは難しいですよね。お互い」
気まずい沈黙が二人並んだ小便器の前に降りかかる。物証は消えども記憶はしっかり残っている。隣でじょぼじょぼと尿を放つトラサワのちんぽに俺は抱かれ、喘ぎ、そして絶頂した。もう感じることもできないが、あの幸せな感覚は夢などでは断じてない。
「その、部長は部長ですから! 尊敬してますし、ちゃんと上司として」
「お、おう。ならまぁ、いいが」
流石にちんぽまで完全に元に戻ってしまえば、俺に対して欲情することもなくなるだろう。忘れるというのも難しいとは思うが、これまで通りの距離感でいられるだろうか。
「ただその、あー、何と言いますか。……昨日の夜は、部長の顔思い出してシコってました」
「あぁ?」
思わず物理的に首をかしげてしまった。なんだその告白は、忘れる気など更々ないじゃないか。……というか、俺の顔で、ってのは。
「その、部長が男だってのはちゃんとわかってるんです。そのうえで、好きになりそうなんですけど……どうしたらいいですかね、これ」
放尿を終えた虎がちんぽを仕舞いながら、照れくさそうに俺を見つめてくる。やめろ、その表情はだめだ昨日を思い出す。もう俺にまんこはないんだ、今更女みたいな感情なんか抱くはずが……はずが、ない、のだ、が。
「勤務中に惚気るな」
「あでっ!」
つい手が出てしまった。軽く額を小突く程度だが、これで視線は逸らせただろうか。でないと困る、こんな弛んだ……照れくさくて恥ずかしい俺の顔など、見られたくはないからな。