恋愛耐性ゼロの厳つさ全開な強面巨漢オスケモは、愛らしさ満点の小柄な恋人にドキドキさせられまくっている。
多くの生徒が部活動へ行ったり帰宅の途につく放課後、一階の下駄箱近くにて校内の誰もが知る生徒の姿があった。
その生徒の名は[[rb:岩壁 > いわかべ]][[rb:優冴 > ゆうご]]、種族はサイ獣人で鼻筋の辺りに反り上がった先尖の角を生やす。優冴は高校一年生でありながら身長190センチ体重100キロと大柄な体格であり、加えて筋肉質ながっしりとしたガタイからまるで巨大な岩の塊を想起させる見た目だ。
ただでさえ迫力があるにも関わらず、顔つきが厳しいのもそれに拍車を掛ける。本人は普通にしているつもりでも、周りからすると鋭い目つきで睨まれている印象を抱いて迂闊に近寄れない。優冴本人も自身が強面である自覚を持っている為、相手に怖がられるのにも慣れてしまった。
中学校3年間は常に孤立した日々を過ごし、たまに悪ぶった上級生からケンカを吹っ掛けられたが拳一発で返り討ちにした。元より争いを好むタイプじゃない優冴は自ら諍い事を起こさず、平穏無事に過ごせたら良いと高校は偏差値の高い学校へと進みおかげで無用なトラブルも回避できた。
クラスでは相変わらず周囲から避けられているものの、奇異な視線を投げられるのは構わないとのスタンスを取っている。このまま高校生活も淡々と過ぎていくのだろう。そんなふうに思っていたある日──優冴に思ってもみない驚きの展開が舞い込んだ。
「あの、ボク⋯⋯優冴くんが好きなの。良かったらボクと、お付き合いしてくださいっ!」
入学して最初の夏休みが終わった始業式の日、手紙にて呼び出された体育館裏で告白された。それも相手は、情報に疎い優冴ですら存在を知っている学校の人気者として超有名な同級生の白雪[[rb:白雪 > しらゆき]]ましろだった。
ましろはウサギ獣人の男子生徒であり、名前の通り全身が綺麗な白い被毛で覆われた中性的な顔立ちの容姿は見る者に可愛らしさを抱かせる。もし彼が女装したとしても違和感は微塵も覚えないだろうと全校生徒が全会一致するほどだ。
春に入学してから瞬く間にましろのキュートな見た目は学年の壁を越えて広く知れ渡り、一ヶ月もすると有志でのファンクラブが設立された。流石にやりすぎだと生活指導の教師から注意されてファンクラブはあえなく消滅したのだが。
とにかく、それだけ絶大な人気を誇るましろから突如として告白を受けた優冴は大いに混乱し、なぜ自分を好きになったのかと問い掛ける余裕もなく押しの強さに負ける形でましろの恋人となった。
優冴とましろのカップルが誕生した事実はすぐさま学校中で噂が広まり、芸能人の熱愛報道並みな活気を生んだ。賛否両論はあれど全会一致で定まったのは、2人の関係性がまさしく『美女と野獣』に該当するという結論だった。
「──ユウくんごめん! 掃除当番が長引いちゃって、待った?」
「いや⋯⋯そうでもない」
「良かった。じゃ、行こっか。今日も寄り道してかない? ユウくんと一緒に遊びたい場所があるんだ」
「あぁ、分かった」
「わーいっ、ありがと! お手々、繋いでも良い?」
「靴を履いてからな」
優冴からの返事にましろはピョンと小さく跳ねて喜びを露わにする。フワフワした長い耳が揺れて天使の羽みたいだと優冴は密かに思った。
校門を抜けた2人は定期圏内の駅で降り、道を挟んで様々な店が立ち並ぶ商店街に足を踏み入れる。ここは学校に近い事もあり、制服を着た学生たちが放課後に多く訪れていて優冴とましろもその中に分類される。
身長190センチの優冴に対し、ましろの方は155センチと背が低く2人横並びで歩くと胸くらいの高さしかない。従って手を繋ぐ際は位置が自然と高くなり、まるで仲の良さを表立ってアピールしているかの様な構図だ。
「あ、ユウくん。あそこのお店に入らない? ユウくんに似合うお洋服が置いてありそう」
「⋯⋯俺に似合う服、あるんだろうか」
「きっと見つかるよ! 探してみよ、ねっ!」
「お、おい。あんまり引っ張るな」
積極的なましろに腕を引かれて優冴は否応なくファッション用品を扱う専門店へ連れてかれる。受け身な優冴をましろが強引に連れ回すのが日常的なやり取りと化していた。
店内に入ってましろは優冴が着る服を色々と物色する。この服屋では大きいサイズも取り扱っており、いつもサイズ選びで苦労する優冴にはうってつけの品揃えだ。
「ねぇ、ユウくんってどのサイズ着てる?」
「⋯⋯4L、だ」
「4Lだね、じゃあこの辺りかなー。わ、これとか凄くカッコいい! ユウくんのイメージにぴったりだよ! 試着してみてくれない?」
ましろから手渡されたシャツを受け取って優冴は試着室に向かい、カーテンを閉めて制服からそれに着替える。そして着替えが完了し、カーテンを開けて着衣した状態の見え方をましろに訊ねる。
「⋯⋯どうだ。変じゃないか?」
「ううん、思った通り最高に似合ってる! この服はボクからユウくんにプレゼントするね。今度デートする時に着てきてくれたら嬉しいなっ!」
チャームポイントの八重歯を覗かせて屈託ない満面の笑みを浮かべるましろに、優冴の胸はドキンと高鳴って早鐘を打つ。
己とは何もかもが正反対な愛おしい恋人。ましろと付き合ってから優冴には確かな心境の変化があった。今まで一度も感じた事すら無かった恋心が芽生え、時間を重ねるごとにましろへの想いがどんどん強くなっていく。優冴にとってそれは生まれて初めての経験だった。
こんな不細工で野暮ったい俺と皆から愛される素敵な魅力を備えたましろが釣り合う訳ない。告白されたのも何かの間違いだろうと、優冴は後ろめたい気持ちに襲われしばらく信じられなかった。しかし、ましろは優冴に一途な感情を抱き2人で過ごすひとときに何物にも代えがたい幸福感があると訴えた。
ましろからの熱烈なアプローチに半信半疑だった優冴も心を許し、今では相手の好意を素直に受け止められている。
「プレゼントしてくれてありがとう、ましろ。大切にする」
「えへへっ、どういたしまして。服を選んでたらいつの間にか夕暮れになっちゃったね。今日はもう家に帰ろっか」
買った商品を携えて店から出た優冴とましろは再び手を繋ぎ、商店街を引き返し駅の方向へと戻っていく。並んで歩く2人の影がアスファルトに伸び、大きな影の尻尾がゆらゆらと控えめに振れて喜楽を示していた。
週末、正午過ぎに家を出た優冴が訪れた先はましろの住む家だ。玄関前のチャイムを押して少しすると、中から普段着のましろが軽快な仕草で恋人を出迎える。
「はーい。あっ、ユウくんボクがプレゼントしたお洋服を着てくれてる! やっぱり何度見てもカッコいいや!」
「せっかくましろが選んでくれた物だからな。お邪魔します」
「どうぞどうぞ、上がって」
促されるまま三和土で靴を脱ぎ、室内用のスリッパに履き替えて宅内へと上がり込む。その時、優冴は一つ疑問を覚えた。
「今いるのはましろだけか? 親御さんどこかへ外出しているのか?」
「そうそう、言うの忘れてた。ママとパパは今日の朝から旅行に出かけてるの。たまには夫婦水入らずでゆっくりしてもらいたいなって思ってね。帰ってくるのは明日の夕方頃だよ」
「なるほど、それで不在なのか。合点がいった」
「でね、良かったら今日泊まっていかない? ボク1人じゃ何となく心細いし、ユウくんが一緒だったら寂しくないから。あとパジャマはパパが着てる寝間着を使って大丈夫だよ! お泊りの件は事前に説明してあるから」
「⋯⋯なら、お言葉に甘えさせてもらおう。幸い明日も休みだしな」
「ホント!? 急だから断られるかもって心配してたけど、ユウくんが優しい性格で良かったぁ。お礼にボク精一杯おもてなしするからねっ!」
つぶらな瞳を見開いてにっこりと天真爛漫な面持ちのましろは喜びそのままに、丸太の如く逞しい優冴の腕にしがみつき身体を密着させる。途端に良い香りがふんわりと鼻腔をくすぐり、またしても優冴は胸をドキドキさせられたのだった。
階段を上がって廊下に面したましろの自室へと入る。部屋の中には何かのマスコットキャラクターやファンシーなデザインの小物などが棚に並べられ、世界観がましろのイメージにぴったり一致している。
「何して遊ぶ? ゲーム? それともオセロ?」
「⋯⋯オセロはましろが強すぎるから、止めておこう。ゲームの方がまだ良い息抜きになる」
「そんなに強くないよ。勝つポイントを押さえてるだけで」
元々ボードゲームの類は得意なましろだが、オセロに至っては未だ無敗で盤上全てが白く染まった事もある。その時は優冴の頭も真っ白になっていた。
そんな苦い記憶になぞらえ、2人はプレイヤー同士が協力しながら進めるタイプのゲームをやり始める。声を上げてはしゃぐましろとは裏腹に口数の少ない仏頂面な優冴だが、表情に出ないだけで2人きりの時間を尊く感じているのは確かだ。
しばらく経って下に降り、ましろは台所に立って夜ご飯の調理をする。優冴も何か手伝おうかと申し出たが、お客さんなんだから座って待っててとやんわり断られリビングの椅子に腰を掛けている。
ましろがご飯を作り始めてからおよそ40分後、皿に盛り付けられた料理がテーブルへと運ばれてきた。それは以前、優冴が好きだと話していた肉じゃがだった。
「さっ、食べて食べて。お口に合うと良いな」
「いただきます。⋯⋯美味い、しっかり味が染みていて煮込み具合も抜群だ。全くもって非の打ち所がない」
「ユウくんに美味しい肉じゃがを食べさせたくてママに料理のコツ教わったんだ。味付けは調味料の黄金比が決め手だって聞いてその通りに作ったら上手くいったよ、大成功!」
得意気にピースサインするましろを見て優冴も自然と頬が緩む。こうして2人は和気藹々とした食事のひとときを過ごし、お腹も心も両方揃って満たされた。
せめてもの恩返しで優冴は食べ終わった食器やコップなどの洗い物を行い、丁寧に水滴を拭いて元あった棚の中へとしまう。それが一通り済むとましろは廊下から姿を現した。
「ユウくん、洗い物してくれてありがとね。お風呂が沸いたから冷めないうちに入ろっ」
「⋯⋯ましろが先で構わないぞ?」
「遠慮しなくて大丈夫だよ、浴槽も大きめだし2人で入るには十分な広さだから。おっふろおっふろ〜!」
それとなく提案してみたものの、2人で入浴する気満々のましろによってばっさりと一刀両断され、優冴も従わざるを得ない状態になった。
着替えの服と下着を持って脱衣所へ移動し、ましろは優冴の前で躊躇なく脱衣し始める。2人が付き合い始めてからお互いの裸は見た事なく、雪の様に白く透き通った肌が露わになり優冴は目を背けるべきか迷いが生じる。
だが露骨に反応するのも却ってやましい気持ちがあると思われかねない気がして伏し目がちにしていると、優冴が胸中で葛藤してるのも露知らずましろは白ブリーフのみを残してほぼ全裸となる。
「へーっ、ユウくんってこういう感じの下着を穿いてるんだ。大人っぽいね。ボクは小学生からずっと同じタイプのパンツなんだ、幼いって思われちゃうかもだけど」
「⋯⋯いや、そうでもない。ましろにはましろの良さがある。人と比較しなくても大丈夫だ」
「ユウくんはどんな時でもボクを認めてくれるね、誰よりも優しくて穏やかなのはボクが一番知ってるよ。だからユウくんも胸を張って自信持ってね!」
「あぁ、ましろから励まされたら心強い。自らを肯定してあげられそうだ」
「へへっ、お互い様だよ。あ、話してたらお湯がぬるくなっちゃう。ボク先にシャワー浴びてるね」
──ぷるんっ、と。可愛らしい擬音が聞こえてきそうなましろのすっぽりと皮を被った幼茎が飛び出した。それはおよそ生殖器と呼ぶに似つかわしくない、まだ排尿にしか使われていなさそうな成長途中の蕾を連想させる小ぶりなペニスだ。
一瞬ではあったが優冴の網膜にその光景はしかと焼き付けられ、初めて見た恋人の局部に心拍数が通常よりも上がる。浴室でましろがシャワーを浴びる間、深く息を吸い長く吐き出して乱れた気持ちを落ち着かせ、お湯の出る音が鳴り止んだところで股間を手で隠しながら優冴は浴室に足を踏み入れる。
「お先にお風呂頂いたよ〜。良い湯加減だからユウくんもシャワー浴びたら入ってきて」
「分かった、洗い終わるまで待っていてくれ」
肩まで湯船に浸かり寛ぐましろを横目に、優冴はノズルを捻って温かいお湯のシャワーを出して頭と全身の隅々までくまなく綺麗に洗い流す。そしてシャワーを浴び終わり、優冴は風呂椅子から立ち上がって股座を隠しつつ浴槽の空いたスペースに巨体を沈ませる。
「あははっ、ユウくんが入ったらお湯溢れちゃった。ざばーんってなってるよ」
「⋯⋯すまん。無駄に図体がでかいせいで」
「謝らなくて良いよ、ボクはチビだからユウくんみたいなおっきい身体に憧れるんだ。でも高校生だしこれからまだ背が伸びる可能性もあるよね。身長170センチくらいは欲しいなぁ」
「そうなのか。逆に俺は、ましろの背丈はチャームポイントだと捉えている。言い方が正しいか判断に困るが、こう、守りたくなる庇護欲を掻き立てられるというか。ましろに何かあったら俺が真っ先に駆けつける。そんな想いを日々抱いているんだ。⋯⋯迷惑、だろうか」
「ユウくん⋯⋯。迷惑どころか、すっごく嬉しくて幸せだよ。だってそれだけボクの事を大切に感じてくれてるって事でしょ? 一方的なんじゃなくボクとユウくんが両想いなんだって強く実感してる、愛してるよユウくん!」
「ま、ましろ⋯⋯っ!?」
感情の高ぶりに突き動かされ、ましろは目の前の優冴に抱きついて腕を背中に回し密着する。次の瞬間、しっとりと濡れたましろの柔らかい肌がぴったり吸い付き、優冴のドギマギは最高潮へと達する。
──と、そこで良からぬサインを脳からの信号で受け取った。下腹部に沸々とした熱が滾り、それが太ももの間にふてぶてしく鎮座する雄の象徴をピクリと起き上がらせ海綿体に血液が集まっていく。そう、他ならぬ勃起現象の発生だ。
それに気付いた優冴は冷や汗をかき、必死に収まれと念じて愚息が怒張するのを防ごうとする。しかし、性欲盛んな高校生の肉体は理性よりも本能に従うのを選択し、優冴の意思に離反してビクビクと小刻みに震えながら最大まで張り詰めた。
屹立した男根は抱きついているましろの足に当たり、何の感触かと気になったウサギが湯船の下に目を落とすと、水中で揺らめく優冴の立派な巨根が視界に飛び込む。もはや隠し通すのは不可能なシチュエーションだった。
「えっと、ユウくん、これって⋯⋯?」
「⋯⋯申し訳ない。心の底から反省している。自制しようと試みたんだが、焦れば焦るほど裏目に嵌まってしまった。少ししたら元通りになるから、悪いが辛抱してもらえないだろうか」
「もしかして、おちんちんが硬くなったのはボクのせい? 急に身体をくっつけてハグしたから、こうなっちゃった?」
「ち、違う。俺が性処理せずに溜め込んでいたせいだ。ましろは決して悪くない。ここ三日間に渡って自慰行為を怠ったから、ふとした弾みに勃起してしまったんだと思う」
「ふふっ、ユウくんも自慰行為とかって言うんだね。エッチなイメージないけど、そういうとこはちゃんとオトコのコなんだ。ユウくんの知らない一面を知れてニヤニヤしちゃう」
「か、からかわないでくれ。そういう話題に、な、慣れていないんだ⋯⋯」
思春期男子には付き物である下ネタトークがあまり得意じゃない優冴は、ましろから己の軽率な発言を指摘されて顔が赤く染まる。今この場において主導権を握るのは十中八九ましろの側だ。
「ねぇ、ユウくん。ボクのおちんちん、さっき脱衣所で見てた? 嘘ついたらダメだよ」
「⋯⋯み、見た」
「どう思った? 正直に答えて問題ないよ。怒ったり文句言ったりしないからさ」
「その、なんだ⋯⋯。白くて、小さくて、か、可愛らしいと感じた。包皮も、先端まですっぽりと被っていて」
「ふぅーん、思いの外しっかり目に焼き付けてたんだね。ユウくんは硬派なふりして実はむっつりスケベさんだなぁ〜」
「うっ、か、返す言葉もない」
「けど、ユウくんがボクの肉体に興味を持ってくれてるのは嬉しい気分だよ。だってボクも同じく興味津々だから。ユウくんのおちんちん、触らせてくれる?」
「⋯⋯了解した。ましろがそれを望むのなら、俺は期待に応えたい」
「ユウくんならそう言ってくれると思ってた。そしたら浴槽の縁に座って足を開いて、ボクの目線と合う様にね」
ましろの指示に頷き、湯船から腰を上げた優冴が縁の部分に尻を乗せて太く逞しい両足を左右に割り開く。
未だに硬さを保ったままの剛直する肉棒、洗ったばかりにも関わらず濃い雄のニオイを漂わせるモノにましろは赤ピンク色の鼻を近付けてくんくんと何度か嗅ぐ。まさか恋人からこういった仕打ちを受けるとは思わず、青天の霹靂もかくやといった心境で優冴は眼下のましろを惑った目つきで眺める。
「これがユウくんのおちんちん⋯⋯改めて見ると規格外だね。太さはボクの腕とそう変わらないし、長さも耳と同じくらい。もしかしたら耳よりも長いかも」
「は、恥ずかしいから詳細に伝えないでくれ。居た堪れない気分になる」
「ごめんごめん。つい舞い上がっちゃって。ボク、ユウくんと付き合ってからずっと気になってたんだ。はしたないから触れない様にしてたんだけどね。今日は⋯⋯今まで我慢してた分たくさん触らせてね、お願い」
念願叶ったましろが一言告げてから巨竿に小さな手で触れる。濡れぼそりしっとりとした感触に優冴はビクッと背中を震わせながらも鎮座したまま動かず、足を広げて甘美な刺激にじっと耐える。
ましろの操るしなやかな指が亀頭部のカリ首を繊細に撫で回す。それは手淫にまで至らない、こそばゆくもどかしい性感を相手に与える指使いだ。もっと無遠慮に弄ってほしいと、優冴は心のどこかでそんな劣情を抱き邪な衝動に駆られる。それは至極真っ当であり、人としても動物としても当然あるべき正常な思考だ。
だが、当の本人である優冴は今この状況において激しく葛藤していた。欲に塗れた己自身が綺麗でどこか妖精めいた清楚な生き物のましろを、果たして欲望がままに汚してしまうのはいかがなものかと。
そう、優冴にとって最大の懸念点はそこだった。まだましろは性的な概念に疎く、一言で表すならば染まっていない。恐らく精通も迎えておらず、優冴への愛撫もぺたぺたと触るだけで幼児が行う児戯に等しい。つまり、優冴とましろとの間で性行為に伴う知識または情報量に優劣の差が発生しているのだ。
「あれ? ユウくん、先っぽから透明な液体が出てきたよ。これって何? おしっこ?」
「い、いや違う。尿じゃない。それは⋯⋯カウパー液だ」
「かうぱぁ液? ボク初めて聞いたよ。保健体育の授業で習った?」
「習っていない可能性はある。ひとまず名称は置いておくとして、この液体が漏れ出るのは射精の前段階という証だ。⋯⋯射精は知っているか?」
「もうユウくんってば。射精くらい常識に決まってるじゃんか。保健体育の教科書に書いてあったよ、おちんちんから白い液体が出るんでしょ? でもあれってどうやったら出てくるんだろうね。ユウくんは射精した事ある?」
「無論ある。ちなみにだが、ましろはどうなんだ?」
「ボクまだ無いんだ。良かったらボクに教えてくれる? 射精の仕方。よく分かんないから知りたいんだ!」
本来であれば断りたい内容の頼みだが、恋人のましろからここまで迫られて無下にはできない。一つ息を吐いた優冴は、迷いを振り切って相手の要求に従う事と決めた。
「あぁ、俺がやり方を説明する。その前に一旦風呂から出るとしよう。長湯はのぼせてしまう原因になるからな」
「確かにそうだね。じゃ、続きはボクのお部屋でやろっか」
浴室を後にした2人は替えの下着を穿いてから上の階に場所を移し、ましろの匂いが充満した室内で中断した行為を再開させる。ボクサーパンツの中で優冴の陰茎は布地を突き破らんばかりに大きな膨らみを作り、昂ぶった熱が鎮まっていないのを如実に示す。
「ましろ、その、本当に良いんだな? 俺たちは紛れもなく恋人同士だが、お互いの同意なしに性的な営みを交わすのは倫理から外れてしまう。もしもましろが拒むなら俺も無理強いしない。お前の意思を最大限尊重する」
「うん、大丈夫だよ。ボクは未熟だしエッチな事に関する知識も豊富じゃないけど、ユウくんが好きな気持ちは嘘偽りない本物だから。そもそもユウくん相手じゃなかったら恥ずかしくてこんなのお願いできないよ。全面的にお任せするね」
「そこまで言うのなら、俺もやぶさかじゃない。ましろ、パンツを脱いでくれ。俺も全裸になる」
「了解だよっ、ユウくん!」
元気良く応じたましろは白ブリーフを即座に脱ぎ捨てて素っ裸の格好と化す。対する優冴も筋肉の上にうっすらと脂肪が乗ったガチムチ体型の裸体を晒し、2人は生まれたままの姿で共に向かい合う。
いつの間にかましろの包茎ペニスもピンと立ち上がって腹に付きそうなほど反り返っており、それをましろ自身が珍しそうに見つめる。
「普段は朝起きた時しかこうならないんだけど⋯⋯ユウくんのおちんちんを思い浮かべたら自然と勃起しちゃった。ちょっと照れ臭いね、へへ」
「チンポをくっつけてみろ。そうすると気持ち良くなれるぞ」
「そうなの? でも高さが合わないね」
「心配無用だ、俺が合わせる。膝を曲げれば問題解決だ」
「ユウくんあったま良い! これでくっつけられるね、よいしょ。⋯⋯何だかおちんちんでチューしてるみたい」
スクワットの要領で屈んだ優冴とましろが竿と竿とをピトッと密着させ硬い感触の逸物が擦れ合う。ましろの口から零れた表現は言い得て妙であり、カリ高な赤黒い亀頭と皮の隙間から顔を出す一切使われていない綺麗な色の亀頭が鈴口を重ねて淫らに口づけを交わす。
最初は立ち尽くしたまま微笑み合う2人だったが、気付けば雄の本能にスイッチが入り優冴だけでなく純粋無垢なましろまでもが腰を上下に素早く振り、兜合わせの形式を無意識下で取り入れ男根が擦れる際に生まれる艶やかな快感を次から次に貪っている。
「はっ♡ はっ♡ な、なにこれぇっ♡ よくわかんないけど、き、きもちいいっ♡ とにかくきもちいいよぉぉっ♡ ひあああんんんんんっっ♡」
「んおおおっ♡ た、堪らんっ♡ 甘い痺れが背筋を、か、駆け上がってくるっ♡ おああっ♡ ぐうううっ♡」
ヌチュヌチュと卑猥な水音が部屋の中で響き渡る。どちらの肉棒からも先走り液が止めどなく溢れ出し、それを潤滑油として滑りが良くなり擦れ合うスピードも増していく。
「んあっ♡ で、でるっ、なんかでそうっ♡ だめっ、でちゃうっ♡ でちゃうよおおぉぉぉぉ♡」
「俺も、イキそうだっ♡ 一緒に出すぞ、ましろっ♡ 思う存分ぶっ放せ、俺が見ていてやるからっ♡」
「で、るぅっ♡ あ、あ、あっ──んひゃああああぁぁぁぁぁぁんんんんんんんんんっっっ♡♡♡」
「ぐっ、イクイクイク──ッ! うがああああああアアアアアアアアアアッッッ!!」
甲高い嬌声と猛々しい雄叫びが交差して混じり合い、悦楽の絶頂へと達した2人が精液を大量に打ち放つ。互いのザーメンが相手の被毛を汚して白く染め上げ、室内にはたちまち雄の青臭さが立ち込めて充満する。
中々勢いが衰えない射精は30秒近くに渡って続き、ようやく収まった頃には足腰がガクガクと震えて立っていられなくなり、仰向けになって床へ倒れ込んだ優冴の上にましろが小さな身体を投げ出してしなだれ掛かる。優冴は手を広げて優しく抱き止めた。
「ましろ、大丈夫か?」
「う、ん⋯⋯。疲れちゃって力が抜けたけど、大丈夫だよ。受け止めてくれてありがと。今のが、射精なの?」
「そうだ、一つ大人の階段を登ったな。お前は精通したんだ。今日はいわゆる記念日だな」
「精通⋯⋯そっかぁ、嬉しいな。それもユウくんと迎えられて良かった。これから先もユウくんと一緒に、色んなハジメテを体験していきたいな。どうぞよろしくね」
「こちらこそよろしく頼む。愛してるぞ、ましろ」
「先に言われちゃった。じゃあボクは──えいっ」
次の瞬間、ましろは顔を寄せて優冴の唇に自身の唇を重ね合わせ不意打ちよろしくキスをした。
このタイミングで接吻されるとは想定外だった優冴は完全に度肝を抜かれ、してやったりな顔つきのましろに胸をドキドキさせられたのだった。
[newpage]
──とある日、優冴は社交ダンスの講師をしている母親に頼まれ、注文していた衣装を取りに商店街の中の衣料品店へと足を運ぶ。そして店内に入ると、そこにはフリフリの可愛いデザインがあしらわれたドレスを着るましろがいた。
「なっ、ましろ!?」
「あ、ユウくん。奇遇だね。買い物しに来たの?」
「俺は、母さんに頼まれてダンス用の衣装を取りに訪れた。ましろは⋯⋯ドレスを選んでいるのか?」
「実はボク、小学生の頃から雑誌モデルをやってるんだ。それで今度ドレスを着て撮影する機会があるんだけど、貸衣装だけじゃなくて自前のドレスも一着くらい持っていこうと思って。でもどれにしようか迷うんだよね〜⋯⋯ん、そうだ! せっかくだからユウくんが選んでよ! ユウくんチョイスの物ならボクも納得して撮影に臨めるから」
「お、俺で良いのか? ファッションセンスが問われる場面において自信皆無だが、他ならぬましろの頼みなら致し方ない。その役目を担わせてもらう」
「そうこなくっちゃ! 気になったのあったらどんどんボクに渡してね、試着してみてサイズ感とか着心地のチェックするからさ!」
そうして急遽ドレス選びをする事になった優冴だったのだが、とてつもなく悩ましい事態が発生した。ましろというモデルの素材が良すぎるあまり、どの色や柄をチョイスしても似合ってしまう。それ故に選択肢が多くなり、どれか一つに絞るのがテスト問題よりも遥かに難題となったのだ。
これは困った。どのドレスもましろの魅力を引き出していて甲乙つけ難い。いっそ全部選んでしまいたいと思わずにいられないが、そうもいかない。予算面にも配慮して一着だけに決め切らなければ。優冴は渋い面持ちで必死に頭を働かせる。
「うーむ⋯⋯こっちのデザインも良いが、こちらの色合いも捨てがたいな。取捨選択にこれほど苦悩するのは未だかつて味わった経験がない」
頭から湯気が出そうなほど煮詰まる優冴の様子を眺めていたましろは、先ほど試着したライトグリーンのドレスを着たまま裾を踏まない様に手でたくし上げながら歩み寄り、悩める恋人にささやかな要望を告げる。
「撮影現場だとピンクとか黄色とか明るいカラーの衣装をよく着るんだけど、自前のドレスはそれと反対に寒色とか無彩色も良いかなって気がしてるんだ。普段のイメージと違う大人っぽいボクを見せられるかなって思うから。だからユウくんも可愛いだけじゃなくて、シックなデザインのドレスを選んじゃってもオッケーだよ」
「シックなドレス、か。それは考えに至らなかった。よし、ではその方向で選び直すとしよう。助言してくれて感謝する、ましろ」
ましろの愛らしい要素が先行してパステルカラーを自然と手に取っていた優冴だが、考えを一新して逆に落ち着いた色合いのドレスをいくつかピックアップする。そして思案を巡らせた結果、優冴は上品なレースが施された黒いドレスを選んで渡す。それを試着したましろは目を丸くさせた。
「これ、ボクが着たいと思ってたテイストにぴったり! 可愛さと大人っぽさが両立してて言う事なしだよ! やっぱりユウくんにお願いして正解だった、これにするねっ!」
漆黒のドレスに純白の被毛が映えるましろはくるっとターンして声を弾ませる。役目を無事に果たす事ができた優冴も微かに口元を緩ませてましろの喜ぶ姿を見守っていた。
母親に頼まれていた衣装を店の人から受け取り、共に紙袋を提げて家路を歩く道すがら、優冴の隣で連れ添うましろが横を向いて無邪気に言葉を発する。
「ね、ユウくん。近いうちにユウくんのドレスも買って2人で撮影会しようよ。今日のお返しに今度はボクがドレスを選んであげるね、それもとびっきり可愛いやつ!」
「⋯⋯ましろは似合うから欠片も問題ないが、俺がドレスを着たら大男が奇妙な格好に身を包んでいると思われそうだな」
「えーっ? そんな事ないって。ユウくん絶対にドレス似合うよ! あ、それかいっそゴスロリ系ファッションもありだよね。そういう専門店を知ってるからお揃いコーデしよっか。あーもう、想像しただけでめちゃくちゃ楽しみだな〜っ!」
「まぁ、ましろが望むのなら構わない。何にせよ俺は、ましろの笑顔を見られたらそれだけで十分だ」
手を繋ぎながら会話する2人の間には和やかな温かい空気が流れる。端からすると釣り合っていない様に見られがちな強面のサイと可憐なウサギだが、そんな外野の声すら届かないほどに優冴とましろは互いを強く想い合って恋慕の情を際限なく募らせる。他者からの評価など関係なく、2人にとってそれこそ何物にも代えがたい愛の証明だ。