ある中年男性の平穏で円満な一日

  ここにとある平穏で円満な一つの家庭がある。ある地方の郊外に位置する閑静な住宅街、表通りに面した二階建ての一軒家には早乙女と書かれた表札が掛けられている。

  「それじゃあ行ってくるよ」

  柔和な笑顔を浮かべた犬獣人の夫が、玄関で妻へと行ってきますの抱擁と口付けを交わしている。ひとつ屋根の下で暮らし始めて今年で二十年、出勤の際は欠かさず行う儀式を中学校に入ったばかりの息子は相変わらずといった様子でやや呆れたような目付きで眺めていた。

  男の名は早乙女ミズキ。金色だったふさふさの毛皮から色が抜けてやや薄茶色になりつつあるたれ耳の四十二歳だ。学生時代から続けている柔道によって全身に帯びた筋肉は日々妻の作る栄養満点の食事によって脂肪分も蓄え、大柄な体は威圧感すら帯びているが生まれ持ったおっとりとした気質と顔立ちによって親しみを感じやすい。二歳年下の妻と育ち盛りの息子へ日々愛を注ぐ壮年の男は、この光景だけ眺めていればとても理想的な人生を歩んでいるように見えるだろう。

  愛車に乗り込み仕事へ赴く男は今日も一人になると誰にも聞かせられない口癖を呟く。

  「セックスしたいなぁ」

  地元の農業組合にて管理職を務め、仕事も家庭も順風満帆な男が抱える唯一の不満は、己の尽きない性欲にあった。

  もちろん妻とは夜の営みを大切にしている。避妊を心得ているため第二子が誕生する可能性は限りなく低いが、昨晩も愛を囁きながら妻の胎内へ上反りの巨根を幾度も挿入し、しっかりと絶頂に至っている。頻度としては週に一度、妻の気が向いてくれた際に行われる夜伽の時間を男は何よりも大切にしていた。

  しかしながら、その程度で満足できればこのような煩悶など抱かない。叶うならば毎晩愛しい妻を抱き、遠慮なしに種を付けたいと思っているのだ。わずか十歳で精通を迎えた男の性欲は三十二年間もの間一度たりとも衰えというものを知らず、毎朝のシャワータイムはその実朝勃ちを鎮めるためのオナニーの時間が大半を占めているほどだ。

  「今日は九時から市役所のイノグチさんと打ち合わせ、それ以外はいつも通りと。イノグチさんの予定次第かな」

  男は職務柄もあり顔が広い。地元地域では馴染みのおじさんとしての地位を確立して久しい存在だ。打ち合わせを行う五十代の猪獣人も業務上での付き合いが長い農政課の職員であり、会うのを楽しみにしていた。もちろん仕事の話ではない。

  [newpage]

  二時間も抑えた会議室で、打ち合わせ自体は一時間で恙なく終了した。もちろんそうなることを予期したうえで二時間の予約をしている。

  「それじゃあ、堅苦しい話はここまでにしておきますか」

  「そうだなぁ。いやー楽しみにしてたよミズキちゃん」

  「またまた。奥様とはご無沙汰ですか」

  「そりゃお互い五十過ぎだぜ? 夫婦円満なミズキちゃんが羨ましいっての」

  互いに軽口を叩きあうほど親密な関係を築くのは男の十八番だ。スポーツマン、それも互いの体が密着する競技を続けているからか、早乙女ミズキは同性との距離感を詰めることに長けていた。スキンシップを仕掛けても問題ない相手を見極めるのが上手いとも言える。現に目の前でいそいそと下着を降ろす猪獣人ともそのように仲を深めていった節がある。

  「五十過ぎてもマス掻き盛りでかなわねえや。今日はミズキちゃんと打ち合わせって思うと朝からべしょべしょだ」

  穿き古してよれよれになったトランクスには立派な水玉模様が描かれており、今宵の打ち合わせをいかに期待していたかを示していた。三人の子供と初孫を抱えた猪の家庭はセックスレスになって久しく、打ち合わせにかこつけた密会はここ最近で始まったものではない。

  「男相手にこんなんなるのはミズキちゃんだけだぜ」

  「光栄です」

  お互いに着衣を全て脱ぎ捨てる。毛皮はともかく、着衣に相手の匂いを移すことは憚られた。中年男が二人、期待と興奮で汗ばむ体を間近に寄せ口付けを交わす。猪の肉厚な舌と犬の平べったい舌が唇の先で絡み合い、滲む唾液を吸っていく。触れるだけの生半可な口付けなどでは満足できるはずもない。触れ合い、交わる快感を享受してこそだ。

  「ふー、ちゅ、ん、くちゅ、じゅるっ……」

  愛情など欠片もない。情熱的にすら感じられる激しい口膣の交わりは快感を得るための必要な過程にすぎない。両腕が相手の体を求めて抱き寄せるのも、体温と感触を刺激と快楽に変換しているだけにすぎない。

  「ぷは。気持ちいいなぁ、ミズキちゃん。相変わらずキス上手いじゃねえの」

  「イノグチさんこそ、立派なおちんぽがヒクヒクしてますよ」

  三人の子供を仕込んだ猪の逸物は太く逞しくそそり立ち、次に種を付ける器を探してひくりとしゃくりをあげている。ちょっとした雑談から性的欲求の消化に苦労している相手を見つけ出すことにかけて、早乙女ミズキは天性の嗅覚をもっていた。

  「ミズキちゃんのぷりっぷりケツマン、どんだけ仕込まれたか見せてもらおうか」

  会議室の床に自身の作業着を敷き、その上に大柄な犬が仰向けで寝転がる。本当ならば机の上でやりたかったが、重量級の体を支えるには折り畳み式の机には文字通り荷が重すぎた。

  「はしたないケツまんこですけど、時間の許す限り楽しんでください」

  股を開き、尻を持ち上げる。毛足の長い薄茶色の毛皮で覆われた双丘の谷間、本来ならば窄んでいるはずの肛門は使い込まれた影響で肉襞が露出し、縦型の楕円形になったピンク色の淵肉は女性器のようだと形容しても申し分ない熟練のケツマンコに仕上がっている。肉の隙間からは事前に仕込んでいた潤滑液が滴り落ち、獲物を求めて涎を垂らしているようにすら見えた。

  「男のケツがこんなにやらしいなんてなぁ。そいじゃ挿れるぜ、歯ぁ食いしばりな」

  猪の逸物、その先端が肉襞に触れる。避妊具を付けずにできることは早乙女ミズキが得た男同士のセックスにおける最大の利点だった。妊娠の可能性が全く存在しない形だけの行為は、こうした不貞行為に対する忌避感情を限りなく薄めていく。猪だけではない、市役所どころか業務上関わりのある男のうち約半数が早乙女ミズキと肉体関係を結んでいる。

  「はあっ……ふ、くぅ……♡」

  早乙女ミズキがアナルセックスに目覚めたのは中学生の頃だ。男子校に通っていた彼とその友人は有り余る性欲を自分たちで解消する方法の模索に青春のエネルギーを費やし、解法の一つとして同性間のセックスに辿り着いていた。幼馴染の友人との肉体関係は続いており、互いに一児の父となった今も月に一回どちらかの自宅でセックスをしている。

  「あ”~~~これだよこれ、たまんねぇ……生まんこは格別だぜ」

  「イノグチさんの、猪ちんぽ……♡ 太くて、気持ちいい……」

  年齢を重ねて体力が衰えている猪とのセックスはがつがつと貪るようなものではない。そのような行為は若いうちに堪能している。ゆっくりと下腹部と臀部の距離を縮めていき、ゼロになるとじわじわ抜いていく。犬が開いた股の間で腰を前後させる猪の動きは緩慢だがしっかりと相手の快感を得られる部分を刺激していた。

  「女房もミズキちゃんみたいにおっぴろげになってくれりゃあなあ……」

  猪の目の前に横たわっているのは抱き心地も都合もいい孔を持った存在である。ゆえに顔や体をまじまじと見つめるようなことはなかった。自分たちの子供の頭よりも太い筋肉が詰まった両足も自ら持ち上げているのだから、猪はただ腰を振るだけでいい。加齢と運動不足で締まりが緩くなった腹の肉が上下に揺すれ、鈍重な体からは流れる汗が毛皮に染み込んでいく。

  「はあっ、あっ♡ ん、くぅ、ふううっ♡」

  衝動に任せて喉から溢れそうになる声を必死で抑え込むが、耐え切れなかった衝動が甘い声になってマズルから零れていく。早乙女ミズキの甲高い喘ぎ声は耳にやさしく、生娘のような反応と相俟って男受けがよかった。もちろん本人の意図するところではないのだが、情欲を煽られる声を無意識のうちに奏でてしまうところも肉体関係が長く続く秘訣の一つではある。

  「おっ、マン肉がきゅーっと抱きついてきてるぜ。そろそろイきそうか?」

  「んっ♡ く、やぁ、んーっ♡」

  言葉で返事ができるほどの理性はとっくに手放しており、こくこくと頷いて限界が近いことを知らせている。三人もの子供を仕込んだ男の熟練された技術による掘削に犬の情欲は限界寸前まで溢れ、下腹部の奥から突き上げられる衝動を必死に耐え忍んでいた。

  「は、ああっ、あんっ♡ や、あああああっっっ♡♡♡」

  一児の父たる男が、自らの逸物に一切触れることなく絶頂へと至った。幾日も使い込んだ結果、色素が沈着して黒ずんだ立派な逸物が尻穴を穿たれるたびに暴れまわり、開いた鈴口の先端から噴き出す白濁が周囲へと撒き散らされていく。膨らんだ腹の毛皮へ、律動を続ける猪の毛皮へ、会議室の床板へ、壊れたスプリンクラーのように無秩序な軌道を描いて精液が飛び散っていく。

  「おっ、派手にイったなぁ。まんこが子宮みたいにおねだりしてるぞ」

  射精の反動で犬の肛門へと圧力が加わり、猪の逸物へと肉襞がまとわりついて締め上げる。この感触こそ猪は待ちわびていた。年齢を重ねて射精までの所要時間が長くなりつつある昨今、早乙女ミズキの絶頂による雄膣の締まりこそが猪をゴールへと導く燃料なのだ。

  「そのまま出すからな、ガキ汁孕めよ……!」

  しなやかな指先のように絡みつく淫肉の導きによって、猪がようやく己の欲望全てを解き放つ。濃縮された精子によってゼリー状になるほどにどろりとした精液が直腸の奥へと注がれ、たった数秒の間で胎内を侵蝕していった。

  「お~~~……はー、気持ちいいなぁ……」

  抜かずの三連発を豪語していたのも今は昔。一撃に全てを込めた猪から力が抜けていく。満足して緩んでいく逸物をそっと引き抜くと、ぽっかりと開いた肉の花が良く見える。あまりにも高い粘度を帯びた精液はスライムのように腸壁にへばりつき、出てくる気配はなかった。

  「今日も良かったぜ、ミズキちゃん」

  「あっ……ふ、ふーっ♡ 何より、ですよ♡」

  茹で上がった脳から熱が引いていく。快楽に浸った頭を動かして壁掛け時計に視線を投げかければ、時刻は十時四十五分。今から起き上がって後片付けをすれば何も問題はない。

  「イノグチさんは先に」

  「おう、いつも悪いね」

  来客に後片付けを任せるわけにはいかない。好きでやっていることなので苦だと思うこともない。早乙女ミズキは行為後の脱力感に包まれた状態での後片付けの時間を悪いものだとは思っていなかった。自分が撒き散らした精液を入念に拭き取り、毛皮に染み込んだ汗と精液もボディペーパーで隅々まで拭き取っていく。駄目押しに消臭剤を噴射して全ての証拠を消し去ると、満足して会議室を後にした。組合の制服に身を包んだ犬はいつも通り、柔和な笑顔を浮かべている。

  [newpage]

  午後からは地域の農家を直接訪ねる作況調査に赴いていた。ゴムの長靴に履き替えて、広々とした畑を農家と回る時間を早乙女ミズキは大切にしている。

  「トガワさん、仕事中にすみません」

  「いえいえ、いつもお世話になってますから!」

  中でも懇意にしているのは若く端正な顔立ちをした兎獣人が個人で営む人参農家だ。都心の会社員から心機一転、脱サラして親戚の人参畑を受け継いだ兎の育てる人参は爽やかな甘みと細長さで卸先からも好評を博している。

  「ぱっと見る限りでも好調のようで安心しました。トガワさんの人参、需要が高くなってきてますから」

  「あはは、光栄です。早乙女さんに見てもらえると安心して出荷できますから」

  青々と茂る人参の葉で覆われた畑の中を見て回り、どれほどの実りが得られるかを直接確かめていく。おおよその収穫予測を基に出荷の予定を組むための大切な仕事だ。

  「……うん、大丈夫そうですね。葉の勢いもいいし、形も綺麗に揃ってます。トガワさんの土作りがしっかりしてる証拠ですね」

  「あはは、ありがとうございます。下手なもの作ったらおやっさんに叱られますから」

  当然ながら、この男は律義にそして迅速に業務を進めることで隙間時間を強引に作り出すことに余念がない。手早く視察を終え、今後の出荷についても簡潔に話し合いを済ませてしまえば、残りの時間は彼の独壇場だ。

  「トガワさんもすっかり一人前になったんじゃないですか?」

  少子高齢化社会において、三十代の農家は若手に分類される。四捨五入すれば四十になる壮年とはいえ、兎自身の経験年数の少なさも相俟って周囲に可愛がられることが多かった。

  「いやー、まだまだですよ。ミズキさんのほうが詳しいじゃないですか」

  「そりゃあ二十年以上見てますから。この畑だって、隅から隅まで知ってますよ」

  兎が管理する農地はかなりの面積を有しており、奥へ進めば公道からは見えなくなるほど広大な土地を預かっている。だからこそ早乙女ミズキはこの畑の主を気に入っていた。土の香りを感じながら陽の光を浴びるのは健康に良いのだから。

  「もちろん、トガワさんだって。もう十年ですか、随分と実りましたね」

  「あはは、おかげさまで」

  畝の間に腰を降ろす兎を押し倒すようにのしかかり、寝ころんだ体が纏う作業服のボタンを外していく。移り住んで間もない頃の痩躯を思い出すと、逞しくなった兎の体に親心のようなものすら抱いていた。日々の農作業でがっしりとした体躯を獲得した兎の黒い毛皮が夕焼け前の明るい陽光に照らされてきらきらと光って見える。伴侶を持たず誰のものでもない兎の体は、今だけはこの犬のものだ。

  「乳首、ちょっと大きくなりました?」

  黒い草原の中で主張する桃色の乳頭へ大きな薄茶色の手が伸びていき、先端を軽く摘まむ。戯れに触れた乳首の感度が高いことは知っている、自分で開発したのだから。

  「んっ。そう、ですかね?」

  「とても美味しそうです。……ちゅうっ、ちゅぷっ」

  「んあぁ……!」

  兎に覆いかぶさった犬が胸元にむしゃぶりつき、舌先でとらえた乳頭を唇で吸い寄せる。兎の育てた人参の葉は育ちがよく、寝ころんでしまえば大柄な犬がそこにいるとはよほどの注意力がない限りは気付くことなどできない。人通りも車通りも少ないこの時間帯はまさしく絶好の野外交尾チャンスなのだ。

  「あっ、胸いいっ、ミズキさんっ……!」

  切なげな声は広い畑の空へ溶けていく。ひとしきり胸を弄った犬が満足そうに離れていくと、兎の下半身を覆うズボンを脱がせていく。この男は白昼堂々と畑の中でセックスができる環境を何年もかけて作り上げたのだ。

  「ちゃんと自分で練習してたみたいですね」

  股を開かせ、午前中とは逆の立場になった犬が指先で肛門の感触を確かめる。事前に来訪することは告げていたため、準備は既に整えられていた。

  「ミズキさん、俺……ミズキさんのチンポが、忘れられないんです」

  「僕もトガワさんのまんこが好きですよ。若手まんこなんてそうはいませんから」

  既に兎自身によって解されている秘所へと犬の顔が近付く。早乙女ミズキにはセックスの流儀というものがあった。即挿入など素人の童貞がするもの、まずは愛撫で体を温めつつ、雄を求めて蠢く孔へと舌を這わす。前戯を疎かにしては男の名折れ、腰を振るだけがセックスではないと早乙女ミズキは知っている。

  「う、ぁ……ミズキさんっ……」

  兎が切なげに呻く声はクンニに夢中の犬にもしっかりと聞こえている。己の舌で悶え、感じているのだ、より舌での愛撫にも力が入るというもの。丹念に舌先で淵肉を押し広げ、この一か所から兎の全身を雌へと作り替えるつもりでいた。

  「お、俺もう……まんこが、切ない……」

  「ぷは。うさまんこがびくびくしちゃってますよ」

  早乙女ミズキは服を脱がない。濃い緑色のジャケットが人参畑に溶け込む迷彩として機能するからだ。ズボンのファスナーだけを降ろし、中から滾る逸物を取り出して兎へと見せつける。早乙女ミズキは自身の性器に自信を持っていた。日々地域の男たちに抱かれては、同じだけ抱いてきた絶倫だ。三十年にわたって使い込んできた肉槍は男たちの腸液と愛しい妻の愛液を一身に浴び、定着した色素が表面をどす黒く染めている。例え女好きであろうと一目見れば息を呑む風格を供えた巨根が天を衝いてそそり立っているのだ、元より同性愛者だった兎は易々と早乙女ミズキへ屈服している。

  「はぁ、はーっ……ミズキさんのでかちんぽで、俺のとろふわうさまんをほじってほしいです……!」

  最初は言い淀んでいた淫語の羅列も、今ではすらすらと出力される。恥すらも快感に変換されてしまっていた。

  「ええ。それじゃあ、女の子になりましょうね」

  磨き抜かれた犬の逸物が兎の体へ突き立てられる。密着する犬の首筋に顔を埋め、襲い来る巨躯に抱き着くことで羞恥と快感に耐えていた。土と草に交じって鼻腔をくすぐる犬の体臭は兎を発情に至らせる劇薬となっているのだ。

  「っ……ぁ……」

  「ふー……いい具合ですよ、トガワさん」

  この男は抱く相手を比較することはない。最愛の妻と目の前の男、どちらの膣も自分の竿をもてなしてくれる素晴らしいまんこなのだ。妻の柔らかく温かな膣と男の締まりのいい雄膣、甲乙など付けられようか。

  「ミズキさんっ……動いて、俺に……!」

  「もう大丈夫ですか。それじゃ、遠慮なく」

  早乙女ミズキの体力は一度のセックスでは消耗などしない。兎の懇願を受けて、腰を浮かすと力強く押し込んでいく。午前中に別の男から抱かれていることなど兎には想像もつかなければ知る由もない。

  「んぅううっ!」

  兎に畑を譲った叔父の父は家でテレビでも見ているだろう、この時間に畑へ現れるはずもない。それでも誰かに見つかってしまうことを恐れ、兎は声を抑えようと口を噤む。健気にも快楽に耐える姿を晒す兎を犯すことが早乙女ミズキは好きだった。

  「っ、く、ふ。ふーっ……」

  本気のセックスに言葉は要らない、少なくとも早乙女ミズキはそう考えている。黙々となって、ただ腰だけを突き動かすことに自分の持てる全てを費やす。長閑な午後の畑には毛皮がぶつかり擦れる音と兎の艶やかな悲鳴だけがどこにも届かず響いていく。人参の葉が遮る中で、二人の世界を堪能していた。

  「あっ、ああっ、あふ、んっ、んぁっ気持ちいい……!」

  心地よさと一抹の切なさの波に揺さぶられる兎はただ犬に抱き着いていることしかできない。単身地方へ移住して、右も左もわからない己を親身に支えてくれた半回り年上の男の腕の中で抱かれているこの瞬間が兎には至極の時間なのだ。

  「ミズ、ミズキさんっ……俺、すご、ああっ」

  幾度も幾度も挿入を繰り返す中で、兎が犬の名前を呼ぶ。限界が近いことを示す二人だけの合図だ。わかっているからこそ、犬もペースを上げていく。

  「く、ふーっ、ぐ……ん”っ!!!」

  本日三度目の射精だというのに、犬が放つ精液は兎を悦ばせるほどの勢いをもって直腸へ注がれていく。兎に子宮が存在していたならば間違いなく妊娠していただろう、そう脳裏で錯覚するほどに濃密な射精を受けて絶頂に至らないほど不作法な兎ではない。黒い毛皮へ押し出されるように白濁がこぼれ落ち、胸元にまだら模様を描いていた。飛び散る精液は犬の制服にも染みを作っていく。

  「あっあーっイっ、イくイくっ、んぅっ!」

  絶頂の折、一層力強く兎が犬に抱き着く。自らを覆っている逞しい犬獣人が自分のものにならないことはわかっている、だからこそこの瞬間だけは自分だけのものであってほしい。そんな打算を無意識のうちに抱いていることを兎はまだ自覚していない。

  「ふー……気持ちいい……」

  射精の余韻で弛緩する様は、便所で放尿する際の脱力にも似ている。本人がどう思っているかはともかく、二人の関係は欲求を持て余す男と専用の肉便器にしか見えない。妊娠の危険性もなく、無責任に中出しし放題の都合のいい肉便器へと容赦なく種を注いでいく。ひとしきり逸物を律動させ、尿道に残った分までしっかりと胎内へ植え付けてから兎から離れていく。

  「ひ、ぁ……!」

  ぐぽっ、どろり。ぽっかりと開いた便器の穴から白濁液が漏れていく。地面にこぼれ落ちてしまえば拭き取る必要などもなく、人参がすくすく育つ肥料として吸収されていくのだ。

  「気持ちよかったですよ、トガワさん」

  種と腸液でてらてらと光沢を帯びた逸物を軽く拭き取り、ズボンの中へ納めていく犬がにこりと笑いかける。全くもって悪意など持っていない、純粋にセックスを楽しんでいる朗らかな笑顔こそが、数々の不貞行為を成立させている秘訣だった。現に地面で乱れた呼吸を落ち着かせようとしている兎もまた、肉体関係を持つ犬の穏やかな表情に絆されているのだから。

  「収穫、楽しみにしていますね」

  「は、はひ……♡」

  時計ではなく陽の傾きを眺めて残りの業務時間を推測する。もう数件は回れるな、つまりはあと数人とセックスができるはず。半裸のまま身悶えする兎へ労いの言葉をかけ、男は人参畑を後にした。

  [newpage]

  日が沈む少し前に早乙女ミズキは自宅の駐車場に愛車を停めていた。男は時間外労働を好まない、本日も実りある仕事をこなしてきた分上機嫌だ。

  「ただいま、ハルミ」

  「お帰りなさい。もうすぐ晩御飯ができるから、テーブルの準備をお願いしてもいいかしら」

  玄関へ足を踏み入れれば、芳しい香りを犬の敏感な嗅覚が捉える。醤油と酒とそれから砂糖を煮詰めたご馳走の香りを男はいたく気に入っていた。とりわけ妻ハルミの手料理は家族内ではもちろん、近所のママ友達の間でも折り紙付きの味を誇っている。中学生になる一人息子ハルキが反抗期を比較的平穏に乗り切ったのも、毎食提供される彼女の手料理に秘訣があるのかもしれない。

  「もちろん。さては肉じゃがかな」

  「ええ、一昨日タハラさんから頂いたのが沢山あるもの」

  犬が記憶をほじくり返せば、己の股の間で楽しそうに腰を振る腹の出たじゃがいも農家の狸が脳裏に浮かぶ。あと数年で還暦だというのに早乙女ミズキ同様衰えない性欲を抱く性豪から、行為の後に段ボール箱に詰まったじゃがいもの山をお裾分けしてもらっていたことを思いだし、内心で日頃の感謝を抱いていた。タハラさん、いつも絶倫ちんぽと美味しいじゃがいもをどうもありがとうございます。

  「ただいまー。あー疲れた、ご飯なにー?」

  配膳を終えたころ、幼い犬が慌ただしく食卓へと舞い込む。一家団欒のひとときが幕を開けた。早乙女ミズキからはイノグチさんやトガワさんと会ったこと、他にもいくつかの農家を回ってきたこと、早乙女ハルキからは友達の動向や部活動での活躍など、本日の報告会のように話題は次々と湧いてくる。専業主婦である妻ハルミも井戸端会議で得た情報を夫に渡す。さながら作戦会議のように多数の情報が受け渡されるが、家族には笑顔が満ちている。

  「ご馳走様。おいしかったよ」

  「あー食べた、お腹いっぱい」

  大柄な夫と食べ盛りの息子ともなれば、大皿に用意された大盛りの肉じゃがも一晩で胃袋に収まってしまう。旺盛な二人を前に、作り甲斐を感じる妻は微笑んだ。

  「お湯が湧いてるから、冷めないうちにお風呂入っちゃってね。その間にデザート用意しておくから」

  「あぁ、わかったよ。ハルキ、すぐ入るか?」

  「ん……いいよ」

  早乙女家では、父と息子が同時に入浴することはそう珍しいことではない。そうあるよう息子を愛し育ててきたし、息子もまたそこに疑問を抱いてはいない。妻も纏めて入ってくれるのであれば光熱費が少し軽くなるからとむしろ推奨している。

  「「ふ~~~……」」

  一軒家の、それもとりわけ大きな湯舟は自宅を建てる上でのこだわりの一つだった。元々大柄だった早乙女ミズキにとって、広々と脚を伸ばせる浴室は憧れだったのだ。息子が生まれ、今ではこうして二人揃って熱々のお湯を堪能できるのだからこだわった甲斐もあるというものだろう。

  「熱くないか」

  「だいじょーぶ……父さん、またお腹出てきてない?」

  「あ、やっぱり? いっそ自転車通勤にしようかな……」

  胸元に頭を預ける息子の手が背中にくっついた腹へと回され、お湯の中で毛皮を撫でる。日々仕事と交尾に勤しむ父ではあるが、寄る年波には勝てないようだった。

  「父さんも昔はハルキくらいバッキバキだったんだぞう」

  父と同じく柔道部に所属した息子の体は発育途上の可能性を秘めており、未だ伸び続けている身長にぎゅっと引き締まった筋肉を詰め込んでいる。摂取した栄養を効率よく筋肉に転換する肉体に脂肪を育む余地はなく、アスリートの理想的な体型を形成していた。思春期に突入し、濃密な若い男の体臭を蓄えた毛皮に鼻先が触れるたびに、父もまた情欲を湧き立たせた。

  「あ、父さん勃起してる」

  「はは、ばれたか」

  「そりゃばれるよ」

  自分が体を預けている父親が自身に対して欲情していることは隠しようがあるはずもなく、息子もそれを理解していた。父と同じように幼くして精通を迎えて以来、早乙女ミズキは自身にできる限りの性教育を施している。

  「ハルキもちゃんと発散してるか」

  「してるよ。……一回じゃ足りないけど」

  早乙女ミズキの旺盛すぎる性欲は、自慢の息子にもしっかりと受け継がれていた。先月の合計自慰回数はゆうに六十回以上を記録し、朝晩にしっかり射精をしなければ、最悪翌朝に夢精するほどに性欲に振り回されている。

  「例の先輩たちとはセックスしてるか」

  「まぁ、たまーに」

  早乙女ハルキには同性のセックスフレンドが存在する。彼と同じく柔道部に所属する数人の先輩と爛れた肉体関係を結んで既に数ヶ月が経過しており、性欲と好奇心がとめどなく湧きだす中学生同士でガス抜きをしていた。

  同性の友人を誘って発散することを入れ知恵したのも当然ながら早乙女ミズキだ。異性相手への性教育は入念に施した半面、同性に対しては自身の業を受け継がせようとしているのも、あくまでこの男なりの善意である。

  「先輩も毎日したいってわけじゃないみたいだし、学校じゃできるとこ限られるから」

  「そうか。じゃ、今日もするか」

  「……うん」

  振り向いた息子の唇を奪う。ねっとりとした舌遣いで息子の舌を絡めとり、耳に届くように音を立てて口元を貪っていく。早乙女ミズキの性教育はそのほとんどが実践式だ。キスも、愛撫も、セックスも、自らの体を使って教え込んできた。

  「ふ、くちゅ……んむっ、ふー……」

  「……やっぱ父さん、キス上手い」

  「キスが上手い男はモテるぞ、ハルミもそうやって射止めたからな」

  自身に向き直り、憧憬を帯びた熱っぽい視線で見上げる若い犬に対しては他の数多といるセフレと扱いが違う。大事な一人息子と一緒に性欲を発散しつつ、自身の持てる技術の全てを教え込む気でいた。いつかこの子が生涯の伴侶を見出し、夜の営みに挑む際に不自由しないように。父親としての愛情が歪に出力されているのだ。

  「今日はどっちがしたい」

  「父さんに入れたい」

  「いいぞ。それじゃ、やってみなさい」

  二人して立ち上がり、父は浴室に置かれたプラスチック製の椅子に腰かける。息子は父の胸元に縋りつき、張りのある胸筋をそっと揉みしだいた。下手な女性よりも豊満に見えるほどに実りある胸筋は加齢と充実した日々の食卓により脂肪で覆われ、中年男性とは思えない揉み心地のよさを手のひら越しに伝えてくる。

  「父さんのおっぱいもやらかいけど、女の人ってもっと柔らかいんでしょ」

  「そうだぞ。だから優しく扱うんだ」

  乳房と呼ぶにはあまりにも雄々しい胸筋を覆う毛皮を指で掻き分け、埋もれていた乳首をそっと口に含む。早乙女ミズキの雄乳、とりわけ乳首の感度は日々揉まれ続けることにより非常に敏感になっている。柔らかでいて揉み応えのある一児の父乳は女性とはまた違う良さがあり、地域の中高年からもお墨付きをもらっている。未だ女の味を知らない息子もまた、幼き乳飲み子だった頃の本能が呼び覚まされているかのように父の乳頭へと吸いついた。

  巧みに唇で摘まみ上げた乳首を吸い上げ、舌先で転がしていく。微弱な快感を楽しみながら、まだ息子が幼く小さかった頃を思い出し、父は柔らかく微笑んで息子の頭を撫でた。

  「よーしよし、父さんのおっぱい美味いか」

  「んー。美味しくはないけど、なんかドキドキするかな」

  父と息子はお互いに性欲を抱いている。それでも父と息子であり、交わされる言葉に慕情の気配はない。父は息子を親として愛し、息子は父を尊敬していた。早乙女ミズキにとって同性とのセックスは性欲発散の手段であり、それ以外の意味は持ち合わせない。愛しい人と愛を育むためのセックスは妻ただ一人としか成しえない行為であり、そういった思考は息子にもしっかりと受け継がれている。

  「指、入れるよ」

  挿入前には念入りに膣を解すこと。早乙女ミズキが施した性技指南の中でも特に念入りに躾を施したおかげで、ハルキ自身や柔道部の先輩、ミズキ自身も肛門を裂いた経験はない。入浴時に持ち込んだボトルから潤滑液を指先に垂らし、にちゃにちゃと毛皮に馴染ませると股を開く父の臀部へと侵入していく。

  「ん……父さんのまんこは使い込んでるからな。もっと指入れていいぞ」

  本日既に合計三本もの逸物を食い散らかした壮年犬の熟成雄膣は少年の未発達な指先程度は造作もなく受け入れる。言葉通りに指先を纏めてねじ込み、ばらばらに動かすと念入りに淵肉を柔らかく解した。

  「父さんのお尻、すっごい柔らかい」

  「セックスの時はまんこと呼べと言ってるだろう。恥ずかしいならおまんこでもいいぞ」

  「えー……じゃあ、父さんのおまんこ、ちゃんと見せてよ」

  浴室の床にはウレタン製のマットを敷いており、仰向けに寝転んでも背中が痛むことはない。足元を冷やさないために敷いているが、本音はもちろん浴室でセックスを楽しむためである。

  丸々とした尻を持ち上げ、両手で開かれる雄膣は一日中使い倒した上に指で開かれてぐっぽりと大口を構え、ともすればグロテスクにすら見えるほどに淫靡な内臓を息子の眼前へ晒した。

  「俺もセックスしてたら父さんみたいになるかな」

  「あぁ、何年も続けてれば肛門だって立派なまんこになるんだぞ」

  「ふーん。本物のおまんこ見たことないからなぁ」

  異性愛者として生きるのであればおそらく一生目撃することはないであろう同性の秘所へともう一度指を伸ばす。クンニも手マンも入念に行え、なんだったら一回イかせてもいい。父からの教えを息子は忠実に守っている。

  「どうかな、父さん」

  「んっ……いいぞ、ハルキ……こういう時はな、聞かずに反応で確かめるんだ」

  「わ、わかった」

  早乙女ミズキは性行為中の言葉は無粋なものだと考えている。男ならば指先一つで抱いている雌の肉体を制御し、操ってこそだと信じている。そして今、自身は男を前に抱かれようとしている、ならば自身は雌なのだ。

  「んっ……あっ、ふー……♡」

  与えられる快感には素直に応じ、身を捩って感じていることを示す。父として息子へ女の快感を教示するために、男は雌として振舞う。熟れきった男の逞しくも豊かな体を悶えさせ、指先が気持ちいい箇所に触れればより艶やかな声を漏らす。息子は父が示すとおりに動いていた。

  「みんな父さんみたいに感じやすかったら楽なんだけどな」

  「父さんはあくまで練習相手だからな、本番では油断するなよ♡」

  「わかってるよ。ねぇ、そろそろちんこ入れてもいい?」

  前戯もたけなわだが、早乙女ハルキは既に我慢の限界だった。このまま耐え続けていれば手マンを続ける右手をよそに左手で自慰を始めかねないほどには耐えかねている。有り余る中学生の性欲をこれでも必死で抑え込んでいるほうなのだ。

  「あぁ、いいぞ。父さんの淫乱犬まんこに無責任中出ししなさい」

  「言い方……ん、しょ」

  卑猥な言葉も度が過ぎれば理解から遠退いていく。いまいち単語同士の意味を測り兼ねる息子は動じずに亀頭を雄膣へと押し付けた。もう数年もすれば父と同じかそれ以上の大きさへと成長を遂げる可能性を秘めた中ぶりの肉牙を突き立て、ゆっくりと父の胎を穿つ。筆おろしから世話になっている恥肉の筒は息子の形状をしっかりと記憶し、寄り添うように収縮してぴったりと包み込む。

  「うぁ……ぐねぐねしないでよ、イっちゃいそうになる」

  「く、ふーっ♡ ハルキのちんぽが気持ちよくてマンコが疼くんだ、仕方ないだろう♡」

  血の繋がった親子が性行為をしている。その歪さを早乙女ミズキは理解していた。教育だ指導だと理由を付けてごまかしていようが、この行為がどれだけ邪悪で背徳なものか知っている。だからこそ溢れ出すとめどない快感に中毒症状を起こし、既に戻ることのできない深みの中にいた。

  「動くよ……!」

  「んっ、くうっ♡ ふーっ♡」

  居間のソファに腰掛けて食後に切った林檎を味わいながらバラエティ番組を眺めている妻は、浴室で夫と息子が情事に耽っていることなど知る由もない。外で無数の男たちと日々淫らな生活を営んでいることなど可能性として思い至るはずもない。我が家の大黒柱で、妻と息子を愛する自慢の夫だと信じて疑わない。日頃積み重ねた信用を盾に、早乙女ミズキは今息子に抱かれて悦んでいる。

  「ふっ、くっ、ふうっ、ぐっ……!」

  日々経験を積み重ね、早乙女ハルキの技術は常に進歩を遂げている。父譲りの上反りで前立腺を掘り当て、まさしく獣のようにがつがつと幾度も幾度も穿っていく。溢れる若さを余すところなく発揮する雄々しいセックスは早乙女ミズキの理性をいとも容易く粉々に砕いていく。

  「んっあ、あーっ♡♡♡ お”ぉっお”っ♡」

  早乙女ミズキは息子の成長に喜びを感じていた。腕で抱きかかえるほど小さかった仔犬が、男の味を覚えて健気に腰を振っている。自分が感じるために、そして相手を感じさせるために。早乙女ミズキの想定する理想的なセックスを身に着けたことが嬉しかった。

  息子の努力に応えるために、父は奉仕することを選ぶ。抱かれている雌が何を求めるかを体を張って雄へと伝えるために、両腕で息子を抱き寄せる。童貞だった時は腰を振るだけしかできなかった少年も今では行為を続けながら口付けを落とし、両の手で親の毛皮を愛撫する。体の形を確かめ、口膣をねっとりと舐っては唾液を味わう。早乙女ハルキは口付け、それも濃厚な舌同士の絡み合う口付けが好きだった。そして身をもって教えてくれた父に感謝と憧憬を抱いていた。

  「ふっ、ぐちゅ、ふーっ、じゅぷ、じゅるっ、ずずっ……!」

  真剣に父の口内を貪りながら、四肢を使って抱き着く父を穿つ。上下から体内へ触覚器官を押し込み、臓腑の内側を直接擦り合わせていく行為に二人は耽溺している。二人の男が流す汗が浴室内に充満し、飽和した雄臭さが鼻腔を刺激して獣の本能を引き出していく。伴に快楽を貪る二匹の雄犬が浅ましく腰を振り続けた。

  「んっ♡ ふーっ、んむっ、じゅるるるっ、んーーーっ♡♡♡」

  父の両腕に力が籠るのは絶頂が近い合図だ。息子もそれを理解しているし、元よりこれ以上はあまりの心地よさに耐えられそうにない。互いに快楽を貪りあう獣たちが果ててしまうまでの猶予は限られている。

  堰を切ったのは父だった。がつがつと押し込まれる杭に押し出されているかのように、暴れまわるどす黒い陰茎からびゅるびゅると噴き出す白濁。白交じりの金色がまだらに乱されていき、ぶつかり合う腹同士が被毛の奥まで早乙女ハルキの兄弟たちを塗り込んだ。

  「ん”っ、ん”-っ! ぐっ……!!!」

  失った分を補填するように、息子もまた父の胎内で射精を迎えた。蓄積された若い滾りが尿道から押し出され、父の雄膣を満たしていく。子宮もなければ卵子もない、孕むなどありえないというのに、父の脳裏にはその単語がよぎっていた。自分の息子によって第二子を授かることを空想し、早乙女ミズキはどぷりと精液を垂らした。

  「はーっ、ふーっ……♡ 上手くなったな、ハルキ♡」

  「ぜぇ、ふぅ。そう、かな」

  「なったとも。気持ちよかったぞ」

  ひとしきり射精して満足したのか、息子が逸物を引き抜く。むちむちの尻から覗く肉孔から自分の精液が滴ってくる光景がなぜだかクリームパンのように見えて、性欲を発散した息子は苦笑しながら父親を起こす。

  「なんか疲れちゃった。早く上がっておやつ食べようよ」

  「そうだな、父さんは中洗ってるから先にあがりなさい」

  己の指先を雄膣に突っ込み、息子の子種を描き出しながら父親はなんともなしに語りかける。行為が終わってしまえばすぐに日常会話に戻れるあたり、二人はセックスを既に日常生活に取り込んでしまっている。

  湯上りの男二人を妻は和やかに迎え入れる。長湯をしていることに対しては疑問を抱くこともない。入念に洗い流して換気をした浴室からは交尾の形跡は消え失せているのだから。

  「二人とも、長湯はいいけど林檎の色変わっちゃうわよ」

  「お、クマガヤさんとこのかな。いただくよ」

  息子の逸物を味わったばかりだというのに、早乙女ミズキの脳内には林檎農家の熊獣人の下腹部から垂れ下がる下反りの極太陰茎が浮かんでいた。近いうちに挨拶に行こう、あの太マラでまんこを拡張されるのが楽しみだ。

  「お、甘い」

  「いいね、今年の売り上げも期待できそうだ」

  「ふふ、クマガヤさんに伝えておかないとね」

  三人でソファに腰かけ、瑞々しい林檎を口に含む。湯上りの果実を口内で嚙み砕き、嚥下すれば爽やかな触感と香りが喉を抜けていく。この後もいつも通り息子は自室に戻って宿題に取り掛かるし、夫と妻は就寝までの時間を睦まじく過ごすだろう。早乙女家は今日も平穏で円満だ。