おー、おかえり。
今日は遅かったな。
飲み会、楽しかった?
そっか。
学生時代の友達も来たんだっけ。
どうだった?
結婚してるやつとか、いた?
へぇ、いたんだ。
じゃあアタシたちが結婚するとき、式場とか相談できるかもな。
……あ。
おかえりのハグ、まだだった。
(布擦れの音)
んー……
今日は帰り遅かったから、寂しかった。
(深呼吸)
やっぱ、アンタの匂い落ち着く。
ちょっと酒くさいけど、それも好き。
……で?
この女の匂い、なに?
へー……
途中から来た、ね。
スンスン……
アンタさ、アタシの鼻、舐めてる?
伊達に鼻が利くわけじゃないんだけど。
正直に言えよ。
女、最初からいただろ?
……やっぱり。
しかも一人じゃないな。
アンタにくっついてきたの、二人。
どう?
ふふ、正解。
香水の匂い、ぜんぜん違うからすぐわかった。
じゃ、恒例のやつやるか。
そうそう。
アンタについてる匂いで、どんな女か当てるやつ。
まず一人目。
甘い花っぽい匂い……
んー、いかにも“かわいい”を作ってる感じ。
あざとい系の子だろ。どう?
……お、当たり。
で、もう一人は――
あ、こっちは紅茶っぽい。
しかも甘いやつ。
ミルクティー系だ。
んー……こっちは王子様っぽい女だな。
ははっ、やった。
ってかアンタ、
とうとうそういう系の女にもモテ始めたんだな。
まあ、わかるよ。
アンタ、かわいいもんな。
女ウケする顔してる。
……でもさ。
最初から女がいたわりに、
匂いが薄いんだよな。
アタシ、言ったよな?
ちゃんと女の匂いつけて帰ってこいって。
なのに、なんでこんな中途半端なんだ?
あとその服、家出た時と違うけど、関係ある?
それに、そのカバン……
スンスン……
うわ、くっさ。
雌臭ハンパじゃねぇぞ。
なんでもないわけないだろ。
ほら、早く開けろよ。
中に入ってるもん、出してみろ。
(カバンをあさる音)
……ははっ。
おーおー。
とんでもねぇもん隠してたな。
ま、こんな雌臭ついてる服、隠しきれるわけないよな。
……あー、なるほど、そういうことか。
お土産ってわけね。
いいじゃん……
これくらい、しっかり他の女の匂いついてるほうが興奮する。
……あ?
なんでこんなことしてるのか、知りたい?
いいよ。
どうせ、いずれ話すつもりだったし。
まずさ、アンタってモテるだろ?
黙ってても女が寄ってきて、
少し優しくしただけで、勝手に堕ちる。
……まあ、アタシもその中の一人だけど。
でさ。
アンタを自分のものにしたいって思った女が、
会う前に何時間もかけて服を選んで、
髪整えて、メイクして、
少しでも可愛く見られたくて香水つけて。
今日こそ意識してほしいって、
必死におしゃれして、
アンタに会いに来るわけだ。
でもアタシは違う。
ダルダルの部屋着で、
ボサボサの髪で、
ノーメイクで、
キッツイ獣臭までさせてる。
そんなアタシがさ……
その女たちが必死で着飾って、
必死で残した匂いごと、
最後に全部上書きするって思うと……
……たまんなく興奮するんだよ。
そのために、
アンタには女の匂いつけて帰ってこさせてる。
あー……もうダメだ。
我慢できねぇ。
ベッド行くぞ。
女たちが触ったとこ。
女たちが残した、そのクッセェ雌臭。
全部、アタシの匂いで塗りつぶしてやる。
ほら。
アンタが持って帰ってきたお土産、貸せ。
これおかずにしながら、
アンタのこと、ぐちゃぐちゃになるまで抱きつぶしてやるから。
……ほら、脱げ。