super game world ……通称SGWという最新のVRゲームが発売されたらしい。
俺はVRには興味が無かったのだが、絶対にやってみた方がいいと友人からの勧めを受けてやってみることにした。
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「ほー、冒険だけじゃなく建築とか農業とか色んな事が出来るのか。すごいな。」
俺はゲームを買った時に付いてきた説明書を読んでそう呟いた。
「だろ?職業だって沢山あるし、自分でギルドを作ることだってできるんだぜ!」
俺の隣でこのゲームを勧めた友人…本野がドヤ顔でそう言ってきた。お前がこのゲーム作ったわけじゃないのに…。
「とにかく!このヘルメットみたいなやつを被ってみろよ!そうすればゲームに行けるからよ!」
「ん?待て、ゲームに行けるってどういうことだ?」
俺は雨野の言い方に疑問を覚える。
「あれ?説明書に書いてあるだろ?SGWは自分の精神を一旦肉体から切り離してゲームの世界に飛ばすことであたかも自分が本当にゲームの世界に来たような感覚を得られるんだぜ!」
本野はまたドヤ顔で説明してくる。
「肉体から精神切り離すって…戻れなくなったりしないのかよ…。」
「その点は大丈夫だ。まぁ、メンテナンス中はログアウトできなくなるけどな。」
雨野はそこは普通の表情で答える。俺はもう一度、説明書を見て本野の言っている事が本当かどうか確かめてみる。
「ゲームプレイ中にメンテナンスに入る場合がございますがその間トラブル防止の為、プレイ中の方がログアウトすることはできなくなっています…か。本当みたいだな。」
「ま、戻れなくなるなんてアクシデント聞いた事がないし大丈夫だろ。さっ、速く始めろよ。」
「わかったわかった。これを被って…スイッチを入れりゃいいんだよな?」
俺はゲームにログインするために必要だというヘルメットのような物を被って本野に見せてみる。
「そうそう。それで右耳にあるボタンを押せばいい。」
「これか…。」
ポチッ
俺は本野の言った通り右耳のある辺りについていたボタンを押す。
キュイイイイ………
すると、俺の付けていたヘルメットのような物が起動し始めた。
「うっ………。」
突然、強い睡魔に襲われて瞼が重くなる。
「……………!」
そんな俺に向かって本野が何か言っているが聞き取ることが出来ず、俺は目の前が真っ暗になった。
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「むっ………。」
気を失ってからしばらくしないうちに俺は意識を取り戻した。しかし、
「どこだ?ここ、さっきいた部屋の中じゃなさそうだな…。」
俺が目覚めた場所は先程まで本野と一緒にいた部屋ではなく何もない真っ暗な空間だった。
「おーい!!本野ーー!!」
俺は大きな声を出して本野を呼んでみる。
シーーーーーン…
しかし、返ってくるのは静寂のみだった。
「ったく…どうすりゃいいんだ?」
何をすればいいかわからず困っていると、目の前に、
【SGWの世界へようこそ!!】
と書かれたスクリーンが出てきた。
「うおっ!ここってもうゲームの世界なのか!感覚がはっきりしすぎて気づかなかった…。」
とりあえず、現れたスクリーンに触れてみる。
【SGWの世界での君の姿を決めて!】
すると、スクリーンには、質問が沢山出てきた。同時にペンみたいなものが出てきたからこれで画面をなぞって入力すればいいんだろう。
「ユーザー名は普通にユウキでいいかな。年齢も身長も現実のやつと同じでいっか。」
俺はスムーズに答えて次へと進む。
「ん…種族…?」
すると、最後の質問にゲームの世界での俺の種族を選ぶ項目が出てきた。
【人/獣/竜/妖精】
「この4つの中から一つ選べばいいのか。んー、どれにしようかな。」
俺はどの種族にしようか迷い頭を抱える。
「普通に人でいいかなー?」
俺は迷いながらも人の文字を指で触れる。すると、人の選択肢がファンと音を立てて青色になった。
「あれ?これって複数選べんのか?」
俺は選択肢を見て首を傾げた。
人の選択肢が青色になると同時に竜と妖精の選択肢が赤くなった。しかし、残る獣の選択肢は何色にもならず変わっていなかった。
試しに竜の選択肢を触れてみるがブブーッとクイズで不正解したような音が鳴るだけだった。
「特定の選択肢を組み合わせることが出来んのか…。」
そう呟いて俺は獣の選択肢に手を伸ばす。
(人と獣だから…獣人ってことになるのか?)
そんなことを思いつつ獣の選択肢を追加で選んで終了ボタンを押す。
【それではユウキさん!SGWの世界へ行ってらしゃい!!】
スクリーンに文字が映し出され辺りが急に光り出す。
「うおっっ!」
周りの様子が見えるようになって俺は驚いた。なぜなら、さっきまで真っ暗な空間だったのに沢山の生き物に溢れた明るい町に変わっていたからだ。
ワイワイガヤガヤ…
「ここからが本当のSGWって事か…って、うわぁぁぁぁ!!!」
俺は自分の腕を見て驚いた。俺の腕は茶色い毛に覆われた毛むくじゃらの腕になっていた。
「え…どうなってんだ!?」
俺は急いで近くの建物のガラスに自分の姿を映してみる。
「お、オオカミの獣人か?これ?」
どうやら俺のSGWの世界での姿は狼の獣人ということになったらしい。
「ま、オオカミは嫌いじゃないし。結構カッコいいかもな。さて…。」
俺は辺りを見回してみる。
町には様々な店の看板があり、普通の人間も歩いていたが、熊や虎といった獣や大きな竜に翼の生えて耳が横長い妖精などが沢山歩いていた。
「あれも全部プレイヤーなのか…。」
SGWの規模のデカさに驚いていると…。
「おーい!おーい!どこだー!」
と何やら聞き覚えのある声が響いてきた。
「この声は…本野か!?おーい!」
誰かを探すような本野らしき声に応えてみる。
「あぁー!?お前、獣人になったのかよ!」
声のする方を向くと白虎が驚いた様子でこっちを見ていた。
「お前、本野か?」
俺は白虎に近づいてそう聞いた。
「あー、そうかアップデートで追加されたのか。いいなー、ちくしょー!」
白虎はこっちの質問など無視して話し続ける。ま、雰囲気や声で本野だって事はわかったけど。
「あ、そうだ。SGWの世界はどうだ?」
「まだ来たばかりだから分かんないけど、本当にすごいな尻尾の感覚まであるよ。本当に獣人になった気分だ。」
「そりゃ、このSGWの中じゃそれがお前の体なんだからな。」
「ふーん、それで本野はその姿で感覚くるわないのか?」
俺は白虎になっている本野を見てそう言った。いつもの体格とあまり変わらない獣人の姿だと動きやすいが、四足歩行の虎の姿だと動きにくい…はずだ。
「ふふーん!最初はキツかったが今じゃこの通りさ!」
本野はその場でジャンプしてくるりと一回転して着地するとドヤ顔でこっちを見てきた。
「おぉーー!」
「どうだ!すごいだろ!」
本野は尻尾をブンブン振りながら自慢げに見つめてくる。一瞬、可愛いと思ったが中身が本野だと思うとそんな感情も吹っ飛んだ。
「そうだ!このSGWの事色々教えてやるついでに俺のギルドに招待してやるよ!」
「え、いいのか?」
「いいっていいって!獣人なんて珍しい歓迎されると思うぞ!早速、行こうぜ!」
本野はそう言って立ち上がると走り出した。
「ちょ、待てよ!」
俺はそんな本野を急いで追いかけるのだった。
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そんなこんなで数時間経った。
なんとかギルドに加入してそのメンバーの人たちとも挨拶をすませ、SGWの事について色々理解することができた。
「よしゃ!そろそろ冒険に行こうぜ!」
本野は俺にそう言ってくる。
「ま、待てよ。そろそろ現実世界に戻らないと…時間やばくないか?」
俺は時間の心配をする。ゲームを始めてもうかなり経つ。流石に家に帰らないと親から大目玉を食らってしまう。
「ハハハ!このSGWの中と現実世界じゃ時間の流れが違うんだ。だから、もしこのSGWで一日過ごしたとしても現実世界じゃ1時間しか経ってないんだぜ!」
本野は「はやく冒険しに行こうぜ!」と言わんばかりに輝いた目をしてこちらを見つめてくる。
「本当か?ま、いっか。行くならいこうぜ。」
俺は渋々了承し、俺は本野と共に人生初の冒険へと出たのだった。
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俺は本野が比較的簡単だという【風水の洞窟】へとやってきた。
「なんか風が涼しくて気持ちいいな。」
「初めての冒険なんだから少しは緊張しないのかよ…っと来たぞ!」
俺は洞窟の奥から吹いてくる風に当たっていると、その風と共に明らかに敵の顔をしたゴブリンが2体飛び出してきた。
「ちょうどいいや。お互い仲良く1匹ずつ倒そうぜ。」
本野はそう言って一体のゴブリンに向かって凄まじいスピードで突進していくと、
「ガァッ!!」
ゴブリンに向かって牙を立てて噛みついた。
『ゴブゥ!!』
噛み付かれたゴブリンはそんな声を出して消滅していった。
「グルルル〜さて、後は頑張れよ〜。」
「あぁ…って、うわっ!」
俺はゴブリンの攻撃をなんとか躱す。
「な、なぁ!攻撃ってどうすりゃいいんだ!?」
攻撃の仕方が分からない俺は本野の方を見て助けを求める。
「はぁ?俺は獣だぞ?獣人の攻撃なんて分かるわけがないだろ。」
本野は呆れた声を出す。俺はゴブリンの攻撃をなんとか躱しながらどうすればいいか考える。
(とにかく本野がやったように噛みついてみるか!今、俺はオオカミの獣人なんだ!出来るはずさ!)
そう考えた俺はゴブリンの方を睨みつける。
『ゴブ!?』
今まで防戦一方だった俺が見せた強気な姿勢にゴブリンは一瞬だじろいだ。
「グ、グルルル…。」
俺は頑張って相手を威嚇する。
『ゴ、ゴブゥ…。』
ゴブリンはすっかり怯えてしまう。
(よ、よしっ!行ける!)
そう確信した俺はゴブリンに向かって口を大きく開けると、
「ガオッーーーーーー!!」
ゴブリンに目一杯の力を込めて噛みついた。
『ゴブッー!』
ゴブリンは消滅した。
「はぁ…勝ってた〜。」
俺は初めての戦闘に疲れてその場にへたりと座り込んでしまう。
「なにたった一回の戦闘で疲れてんだよ!結構カッコ良かったぜ?お前の威嚇。」
本野はそんな俺に馬鹿にしたような感じで話しかけてくる。
「ば、馬鹿にすんな!ガオッーーーー!!って、ハッ!?」
「あれ?もしかして癖になった?オオカミの鳴き声だすの。」
俺は無意識のうちにオオカミの鳴き声を出してしまい慌てて口を抑える。
「ち、違う!」
「まーまー俺も白虎になりたての頃はそんな事もあったらよwそんな恥ずかしがらずに自分を曝け出せよw」
もう本野は完全に馬鹿にしてる口調で話しかけてくる。
「チガォって言ってるガオッ!とっとと次に行こうぜ!」
無意識のうちにオオカミの鳴き声を出しているとも知らずに俺は立ち上がって洞窟の奥へと進んでいく。そんな俺を見ながら本野はニヤケながら後に続いていくのだった。