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【SE:フリーBGМ、新緑の水面 】
(※故郷は(こきょう)読みで統一お願いします)
(※ここは2行目から意識を取り戻すような感じでお願いします)
………
……
…
【SE:ガサッと草葉が擦(す)れる音】
……?ここは、どこだ……?
我輩は…なぜ、こんな所で…倒れて、いる……?
…嗚呼(ああ)……
喉が…渇いた……
起き、上が、らなければ…うっ…!
【SE:草葉の上でもがく音】
頭がっ…!痛い…!
あっ、ぐっ…!うああっ…!
【SE:心臓がドクドクと脈打つ音】
落ち着け…呼吸に集中しろ…呼吸だ…っ!
はぁっ…!はぁっ…!はぁっ…!はぁっ…!はぁっ…!はぁっ…!
(少しの間(ま)をあけて)
ふー…!ふー…!はぁ…!んはぁっ…少し、落ち着いて、きたか……!
【SE:ぱしゃりとした水の音】
はっ…!この音は…水か…!?
とにかくっ…這ってでもいいから水辺にっ…!
【SE:ずりずりと草葉を引きずる音】
(少しの間(ま)をあけて)
あ"ぁっ…!クソッ…!まだ頭がズキズキとしやがるっ…!
はぁ…はぁ…我輩はここで…終わるわけには…いかん、のだ……
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:ぴちょん、と水の音】
……つめ、たい…
君、は…?人間の娘、か…?
我輩に、水を…?
…恩に着る…
(※ここで水をごくごくと飲んでください)
…はあ…助かった…水が美味しい…とても新鮮だ
改めて礼を言う、ありがとう
人間ではない、キングペンギンの獣人である我輩を、こうして仰向けにし、楽な体勢で水を飲ませてくれるとは…
ここは…日陰か…涼しい風が流れてくる…
君は…我輩をここまで運んできてくれたのだな…
女性ひとりの力では重かったろうに…
我輩は…自分がなぜこんな所で倒れていたのか、分からないのだ…
だが、我輩の故郷へ帰らねばならぬ…それだけは覚えている…
我輩は進まねばならないのだ…
少しの間(あいだ)休憩をしたら、この森の出口を探す
せっかく助けてもらったというのに礼もなにも用意がない、すまない
せめて、我輩に出来ることはないだろうか
(少しの間(ま)をあけて)
…!何…だと…
我輩の故郷探しを、手伝いたいと言うのか…?
…いや、君は危ないから自分の家(いえ)へ帰った方がいい
どんな旅になるか分からない、危険が潜んでいる場所もあるだろう
我輩にはこの剣(けん)もある、単独行動をした方が、効率もいい
君を危険に晒すこともないだろう
だから君はここで…
っ!あぐっ!ぐっ!うっ!頭がっ!
頭が割れそうに痛いんだっ!
【SE:心臓がドクドクと脈打つ音】
(少しの間(ま)をあけて)
はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…楽に、なった……
な…なぜだ…どうして…君が我輩に触(ふ)れると、この割れるような頭痛が治まったのだ…?
君は…普通の、人間、なのだろう…?
(少しの間(ま)をあけて)
…治癒、能力…?そんな能力を持つ人間がいるのか…?
まさか、君は…魔女かなにかの属性が…?
(少しの間(ま)をあけて)
…そう、か…本当に、普通の、人間、なのだな…?
ただ、今までは、自分の怪我や病気にしか使用していなかった能力…
…信じ難(がた)い話だが…この感覚が証明している…
記憶喪失状態の我輩を、放ってはおけない…?
記憶、喪失……確かに、我輩は気がついたらここに倒れていた
そう、か…記憶喪失…
それに、またあの頭痛が起きた場合や怪我をした時には治癒能力で助けてあげられる、と…?
我輩の故郷を、一緒に探す…?
だから旅に同行させて欲しい……
……君のその瞳は、意思が強いようだな
これも、なにかの縁だ
【SE:剣を土に刺す音】
このキングペンギン、故郷を探すにあたって、君を護衛すると約束しよう
優しい君の性格だ、なにかに巻き込まれる可能性も高い
その時は迷わずこの剣(けん)を抜き、敵を斬る
我輩から決して離れぬように
…君も、約束してくれ、無茶はしないと
…よし、それなら決まりだ
この森の出口を知っているか?
案内を頼みたい
…今は我輩の故郷がどこにあるのかは全く検討もつかぬ
が…いや、何でもない、すまない
…ああ、これから、よろしく頼む
【SE:草葉の中を歩く音】
【SE:フリーBGМ、新緑の水面 フェードアウト】
【SE:フリーBGМ、にぎわう街の宝探し 】
【SE:ガヤ】
【SE:綺麗に整地された丸石の地面を歩く音】
…ほう…森の出口から歩いてそう遠くない所に、別の街があったとは…
人間とケモノで賑(にぎ)わっている場所だな
治安もよさそうだ
…そうだ、君は、なぜあの森にいたのだ?
荷物も大したものは持っていない、まぁ、それは、我輩も変わらないのだが…
(少しの間(ま)をあけて)
あの森の澄んだ空気が好きで、よく散歩に来ていた…?
それでは我輩が倒れているのを発見したのは…偶然だったのか…
我輩も悪運が強いのか不幸中の幸いというのか…こうして命拾いしたというわけだな
…なるほど、ある程度 話が分かったところで、当分の食料調達と聞き込みだ
そう言えば…我輩は金を持っているのか…?
…ちょっと、待ってくれ
【SE:コツ、と立ち止まる音】
【SE:ガサゴソと探る音】
…んむ…?この手触りは…
…どうやら記憶のない我輩でも、金は用意していたらしい
この革袋に、相当額の金が入っている
…どのくらいの旅になるか分からないので、必要なものを優先で購入するとしよう
君も、それでいいな?
…よし
…何だ?
(少しの間(ま)をあけて)
…うむ…君の言う通りだな…
見たところ…我輩のようなキングペンギンの獣人はいないようだ
君に、この革袋を預ける、だから、必要だと思うものを先に買っていてはくれないか?
我輩は聞き込みをしてみるとしよう、何せ、この見た目で仲間をこの街で見かけた者がいるかもしれんからな
…さぁ、それでは別行動開始だ
ある程度 用が済んだら、この中央の噴水広場で待ち合わせをしよう
必ず、ここへ戻って来てくれ
…それでは、行ってくる
【SE:綺麗に整地された丸石の地面を歩く音】
…失礼、そこのラクダの獣人殿、どうやらお見受けした所、この街に住んでいるわけではなさそうだ
転々と街から街へ移動している、旅人だろうか?その煙草の煙と共に姿をくらましている、そんな飄々(ひょうひょう)とした方なのではないかとお見受けした
我輩は故郷へ帰るため、旅をしているキングペンギンの獣人なのだが…我輩のような同じキングペンギンを、この街で見かけたことはないか?
(少しの間(ま)をあけて)
…そうか…目撃したことはない、か…いや、その情報だけでも聞けて収穫があった
いきなり声をかけたにも関わらず、快く答えてくれ、礼を言う
…それでは、失礼する
(少しの間(ま)をあけて)
…すまない、少し聞きたいことがあるのだが、構わないだろうか?
我輩と同じ容姿のキングペンギンの獣人を見たことは…?
…そうか、珍しいのか…いや、情報 助かった、礼を言う
(※会話で一度フェードアウト)
【SE:綺麗に整地された丸石の地面を歩く音】
【SE:コツ、と足を止める】
おお、君は…早かったのだな、買い物は…十分出来ただろうか
ほう…我輩のことを気遣い、我輩の好物である小型の魚を多めに買ってきてくれたのだな
もちろん、人間の君が食べられるパンなども購入しているだろうな?
それに飲み物までの調達は、重かっただろう…
【SE:衣擦れの音】
我輩が荷物持ちをする
君は最低限の自分のものを持ってくれればいい、ああ、水が特に大事だな
これで我輩もこうしてこの街を散策出来たのだから
水も食料も…これだけあれば次のどこかの街までには持つだろう
(少しの間(ま)をあけて)
…そうだな…人間にもケモノにも尋ねてみたのだが…どうやらここには我輩のようなキングペンギンの目撃情報はないようだ
だが、このまま南の方へ、南極周辺まで行けば、他の種のペンギンがいるのではないか、そこから情報を得ると分かるだろうとの助言を頂いた
…もう一度聞く、これからどんな気候や天気に恵まれるか分からない
それでも我輩の故郷を探すため、旅を続ける覚悟はあるか?
(少しの間(ま)をあけて)
…そうか、君の意思はこれでも変わらないのだな
強い娘だ
…それでは、このまま早速 南へ進出するとしよう
我輩と共に、な
【SE:フリーBGМ、にぎわう街の宝探し フェードアウト】
【SE:フリーBGМ、Desert3 】
嗚呼(ああ)…まさか街を出て南に進んでいたら、砂漠に来るとは思わなかった…
そして、まさか我輩たちがにこうしてラクダに乗って移動しているというこの現実…
【SE:ラクダの鳴き声】
今はまだ日が昇(のぼ)っているが、直(じき)に日が落ちて気温が一気に低くなる…
その時は無理せずに、キャンプをしよう
ラクダは指示通りに我輩たちを、ひたすら南へ進んで運んでくれるはずだからな
…流石に、馬ではないから君を我輩と同じラクダに乗せることは出来ず…2頭 駆り出してもらったのだが…
君は…楽しそうだな
ラクダを撫(な)で、乗りこなすのも飲み込みが早い
ラクダをもう手なづけている
【SE:ラクダの鳴き声】
…はあ…それにしても…この照りつけて来る太陽と細かい砂しかないこの光景は…殺風景だ…
どこを見ようとも同じ風景…オアシスなぞ、見つかったりはするのだろうか…?
…だが…暑い…どうにも暑くてへばってしまう…
君は大丈夫か…?
この焦げるような太陽に照らされ続けるのは危険だ
こまめに水を飲むように
体力や気力、抵抗力が弱まり、熱中症や思わぬ所から感染症になってしまっては、君を護衛すると誓った我輩は面目(めんぼく)が立たないのでな…
…何だと…?それよりペンギンの我輩の方が心配だから水を飲むように、か…
…ふむ…そうだな…
いくら獣人と言えど、我輩はキングペンギンであり、君と最初に出会った時には、喉の渇きに飢えていたのだからな…
水の大切さは我輩が一番よく理解している
君のその言葉に甘え、水を摂取することとしよう
【SE:ペットボトルの水のフタを開(あ)ける音】
(※ここで水をごくごくと飲んでください)
…っはあ…やはり水は我輩の命の源(みなもと)だな
本当は砂漠とは真逆の存在である海へダイビングし、思い切り羽根を伸ばしたいものなのだが
…この砂漠を抜ければ港に到着したりはしないだろうか…?
辺り一面この砂漠だらけでは…今はなにも見えないな…
…む?頭痛は大丈夫か、と…心配してくれるのだな
ああ、今の時点で記憶障害による頭痛も、この装備が張り付く感覚のある灼熱の暑さの頭痛もないので、安心して欲しい
だが、君は特殊な能力を持っているとは言え普通の人間だ
このような暑さの中、長時間ラクダに揺られ無理するのはよくない
なにか異変が起きたらすぐに我輩に伝えてくれ、君の力に、
【SE:ゴゴゴゴゴ…と砂嵐が巻き起こる音】
なっ…!?何だ!?
【SE:フリーBGМ、Desert3 フェードアウトか止まる】
おい、ラクダたち、止まれ、止まれ!
【SE:ラクダの鳴き声】
いきなり何だっ、これはっ…!?
激しい砂嵐と共に、砂が盛り上がってきたぞ…!?
君!我輩の後ろに回るんだ!急げ!
【SE:フリーBGМ、Katabasis 】
何と…これは…!?
何て巨大なサソリなんだ…!
我輩たちの身長ですらやすやすと超えるこの圧倒的な存在感…!
チッ…!クソッ…!ここはこの巨大サソリの住処(すみか)の真上だったのか…!
ラクダが毒にやられてしまえば、我輩たちはサソリの餌食にされ故郷に辿(たど)り着くことは出来まいっ…!
旅に出てこのように早くもピンチが訪れてしまうとはな…!
ふっ!
【SE:ラクダから飛び降りる音】
【SE:ラクダの暴れる声】
君!我輩のラクダの手綱をしっかり握っておいてくれ!
くれぐれも不用意に近づくな!
我輩は…この巨大サソリと闘ってみせよう…
君を護衛すると、その言葉を有言実行する時だっ!
【SE:剣を抜く音】
はあああっ!
【SE:砂漠を走る足音】
【SE:キィンッ!と剣の音】
クソッ!想像以上に硬い装甲の持ち主のようだなっ!
あの尻尾の太い毒針には要注意せねば…!
ならばっ!まずはその両腕のハサミを根元から斬るまでっ!
(※ここで闘うので、ふっ!はっ!などの掛け声を入れてください)
【SE:キィンッ!キィンッ!と何度もぶつかり合う音が続く、よきところで止めてください】
っはっ!尻尾が飛んできた!
まるで鞭のようだな…!
この砂嵐の中、どこから飛んでくるか分からない!
目を凝(こ)らして見極めなければっ!
くっ!…相手も自分のテリトリーを守ろうと必死だというわけだな…!
両腕のハサミの根元を狙っても、あの硬い装甲では跳ね返されてしまうっ!
狙うは…やはり腹か…!
何とかアレが立ち上がり、急所を見せてくれればよいのだがっ!
ったく!ああっ!地面が砂漠の砂で足元が柔らかく踏ん張ることが難儀だっ!
我輩たちの邪魔をっ!するなあああっ!
っ!!今だっ!サソリが立ち上がったぞ!
腹に一撃っ!喰らわせてやるっ!うおおおおおおおおおおっ!!
【SE:ザシュッ!という音】
【SE:巨大サソリが暴れて地響きが起こる音】
やったか!?
【SE:ヒュンッ!と巨大サソリの尻尾が飛んで来る音】
ふっ!最後の足掻きとして、尻尾を無作為に振り回しているな…!
だがっ!我輩には避(さ)けられるっ!
【SE:ザッ!と高く飛び上がる音】
はあっ…はあっ…!この暑さではっ、獣人でも体力が持っていかれるなっ…!
最後の隙を突きっ!アレを我輩の剣で仕留めてやるっ!
【SE:ラクダの暴れる鳴き声】
【SE:ドサッ!と砂の地面に落ちる音】
はっ!!君っ!!ラクダがパニックのまま振り落とされたか!!
今行く!!君をっ!君を我輩が護衛するっ!!
【SE:ドスッ!という毒針が刺さる音】
【SE:ブシュッ!と血が流れる音】
がっ…!?しまったっ…!
毒針がっ…我輩の背中にっ…!
【SE:ドオオォオンッ…!と巨大サソリが倒れる音】
はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!君!!無事か!?
どこも怪我はっ…して、いない、かっ…!?
ちく、しょうっ…!どう、やらっ…はあっ、はあっ、はあっ、はあっ!
肩からっ、背中にかけてっ…!サソリの毒にっ、当たってしまったよう、だっ……
だがっ…君が無事でっ…よかっ、たっ……
【SE:倒れる音】
【SE:フリーBGМ、Katabasis フェードアウト】
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:フリーBGМ、悠久の絆 】
………
……
…
(※目を覚まし弱々しい声でお願いします)
…わ、がはいは…生きて…いる、のか…
き、君…は…そん、なに…大泣き、しながらも…我輩、の…傷、を…癒や、して…くれて、いる、の、だな…
治癒、能、力とは…すごい、もの、だ…
本来、であれ、ば…わが、はいは…ここ、で…1頭…旅を、終えている…
君、には…たす、けて…もらって…ばかり、だ…
わが、はい、は…君、の、ことを…護衛、出来て、いる…だろうか…
護ると…誓っ、た、と…いう、のに…
ゲホゲホッ!ゲホゲホッ!う…あ…
どう…やら…敵の、毒、が…強力で…回復、には…時間、が…かかる、ようだ…
君、には…迷惑を…かけて、しまって、いるが…もう、少しだけ…治癒を…願い、たい…
すま、ない、な…
【SE:フリーBGМ、悠久の絆 フェードアウト】
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:パチパチと火が弾(はじ)ける音】
【SE:フリーBGМ、ほしぞら研究所 】
……ん、んん……
我輩、は……
…ああ、目が覚めた
いつの間(ま)にか気を失っていたようだな…
もうすっかり暗くなってしまっていたとは…君をこんな砂漠でひとりにさせてしまって、とても心細かったろう…
申し訳ない
…もしや、このあたたかく心地よかったのは…ずっと君が、我輩に触れて、毒や傷を…癒やしてくれていたおかげなのか…
ありがとう、本当にありがとう
もう大丈夫だ、君の治癒のおかげですっかり元通りに回復し、元気になることが出来た
傷跡も綺麗に消えている…本当にすごいな、君は
…それに、焚き火まで起こしてくれていた
君が我輩と共に旅に来てくれて、本当に助かっている
テントは我輩が張ろう
君も、今日一日でたくさんのことを経験して、治癒能力までずっと使ってくれていて、とても刺激的ではあったが、それ以上に、とても疲れたと思う
君が少しでも安心して、暖かく眠りにつけるようにな
…我輩がこれからも君を護衛することは、変わらない
それだけは揺るぎない事実だ
我輩が、記憶喪失だとしても
(少しの間(ま)をあけて)
…よし、これでテント張りは完璧だ
後(あと)は…お腹が空いているだろう
実は、我輩もだ
街で購入した魚を焼いて、温まりながら空腹を満たそう
スープを用意するのもいいな
魚は我輩の大好物だからな、そして君も、栄養を取らねば
(※セリフを言いながらフェードアウト)
(少しの間(ま)をあけて)
ふう…美味かった
あんなに新鮮な魚を食べたのは、記憶喪失になってから初めてだ
君が作ってくれたスープは、優しい味がしたよ
礼を言う、体も心も温まった
…なあ、空を見上げてみてくれないか
砂漠の夜は気温が下がり冷えるが、夜空には数え切れないほど満天の星空が広がっているんだ
それをこうして、生き延びながら君と眺(なが)めることが出来るのは、とても嬉しいよ
…改めて、心配をかけてしまったな
でも、本当にもう大丈夫だ
食欲もあるし、傷があった所だって見せただろう?
…ただ…今夜は、君と星空を目に焼き付けておきたいんだ
…それから、なのだが…君の手を、握ってもいいだろうか
触れるだけでもいい、君の存在を、刻みつけたい我輩の我儘(わがまま)のようなものだ…
【SE:パチパチとした焚き火の音】
…ありがとう
君の手から伝わる体温は、我輩より少し低いが、我輩はペンギンだからな
人間の体温よりも少し高いんだ
…それに、この羽毛と厚い脂肪が我輩の特徴でもある
(少しの間(ま)をあけて)
…我輩は…いや、何でもない
…この景色を、忘れないようにしよう
【SE:フリーBGМ、ほしぞら研究所 フェードアウト】
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:フリーBGМ、Port Town 】
さあ、次の街に着いたようだ
風と潮の匂いがする…久しく嗅いでいなかった匂いだが…何だか懐かしい…
ここは…港町だろうか…
【SE:ラクダの鳴き声】
【SE:コツ、とラクダから降りる音】
ああ、ああ、ここまで我輩たちを連れてきてくれて感謝しているよ
危ないこともあった、長い道のりでもあった、それでも無事に次の街まで辿(たど)り着けた
お前たちのおかげだ、後(あと)はゆっくり休んでくれ
ありがとうな、最後に撫(な)でさせてくれ
【SE:ラクダの鳴き声】
…さて、今度は海を渡る
ここは幸い港町のようだ
我輩たちの進むべき南極方面へと、きっと船を出してくれるだろう
【SE:地面を歩く足音】
【SE:ガヤ】
【SE:ウミネコの鳴き声】
ここいらで水を調達しておこう
昨日(さくじつ)の砂漠ではかなり多く水を使用したからな
それから、今度は船旅が始まるのでな、保存の効く干し肉や干し魚も確保しておきたい所
また、今度も聞き込みをしてみよう
なにか手がかりが見つかるかもしれない
ちょうど市場(いちば)がある、行こう
(少しの間(ま)をあけて)
…すまない、水とこの干し肉、そして、こっちの干し魚をくれないか
ああ、ありがとう
あなたは…トビの獣人か?
なに、この船の情報通だと?
それなら話は早い
干し肉と干し魚、それからトビ殿のおすすめの食料を多めに購入させて頂く
少々 聞きたいことがあるのだが…協力を願いたい
本日、南極方面へ出航する船はあるか?
…ほう、あるにはあるが、この季節は流氷(りゅうひょう)が多い…
やはり保存食を選んで正解だったようだな
…そして、我輩のようなキングペンギンの獣人を見たことはあるか?
故郷へと帰るため、ほうぼうを回っているのだ
…そうか…それは船長が知っているかもしれないということだな
ならば、南極方面への船を教えてくれないか
…ああ、情報はひとつでも多い方がいい
助かった、トビ殿
感謝する
(少しの間(ま)をあけて)
…君も話を聞いていたな?
そういうことだから、その船長の船とやらに乗り込もう
【SE:地面を歩く足音】
(少しの間(ま)をあけて)
失礼、船長の、セイウチの獣人はいるか
我輩たちは南極方面を目指している者だ
市場(いちば)のトビ獣人に、船長ならなにか知っているかもとの情報をもらった
まずは船に乗り込ませてもらう
君は、足元に気をつけるんだぞ
どうぞ、お手を
【SE:船に乗り込む木の音】
【SE:波の音が続く】
…こほん、それでは船長、聞きたいことがあるのだが
我輩のようなキングペンギンの獣人を船に乗せたことはあるだろうか
…なに!?この港町の船を経由しているだと!?
それに、氷の大陸付近でペンギンの獣人が目撃された!?
これは…何と…とても貴重な情報を聞いたぞ!
君も確かに聞いただろう!?
これでやっと…故郷に帰ることが出来るやもしれない…!
…ああ、支度はとうに出来ている…!
船長、安全運転で頼む!
この女性は、我輩にとってかけがえのない人間なのでな
では船長、出航してくれ!
【SE:船のホイッスル音】
我輩は、久しぶりの海に大変 興奮している!
だから、少し羽根を伸ばしてくるぞ!
なに、大丈夫だ、少し海の中を潜ってキングペンギンとしての本能に従いたいだけなのだから!
きちんと船に着いていくから案ずるな
しばらくしたら戻る、君も海のこの景色や音、匂いをかぐ感じて休息を取るといい
それでは、行ってくる!
【SE:船から飛び降りる水音】
(※心の声はエコーをかけてお願いします)
(心の声:嗚呼(ああ)…!海だ…!我輩の本能を満たしてくれる海…!ここから思い切りダイビングをして…!)
【SE:ザバッ、という水音】
(心の声:速く…もっと深く…この海を堪能し、広く広く泳ぎ回り、移動していたい…!)
(心の声:綺麗だ…!こんなにも海が綺麗など…!我輩の想像以上であった…!この海の広さと生き物たちの動き…!懐かしく、久しいこの胸の高鳴り…!彼女にも見せてやりたいくらいだ…!)
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:ザバッ!と海から出る音】
【SE:船に乗り込む木の音】
【SE:ブルブルッ!と体の水を払う音】
ふう…!とても気持ちよかったぞ…!
なあ、君には我輩がどう見えていた?
…生き生きとしていて泳ぎもなめらかでどんどん速くなり、すぐに見えなくなったのか…!
君にも見せてやりたい海の景色がたくさんだったぞ!
キングペンギンである我輩は、約10分間、水中にとどまることが出来る
そして、25メートル〜322メートルのダイビングも出来るのだ…!
その間(かん)時速12キロ、速いだろう…!
我輩は獣人なのでついていないのだが、普通のキングペンギンにはフリッパーという翼がある
他の鳥よりも固く、翼がオール状になっているので、そのおかげでとても速く泳ぐことが出来る
そして外側の羽毛は、油もついているから水を弾(はじ)く効果があるのだ
とてもいい潜水が出来たよ、許可を出してくれた船長にも感謝する
…うむ?そうか、我輩は笑っているのか
目もキラキラとしていて活力に満ちている…?
…心から楽しむこと、それが出来たからであろうな
今度は君についての話が聞きたい、教えてくれないか?
(※セリフを言いながらフェードアウト)
【SE:フリーBGМ、Port Town フェードアウト】
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:フリーBGМ、樹氷の森 】
海に流氷(りゅうひょう)が多くなってきたな…
ここからはずいぶん寒くなる…
我輩の上着を羽織るといい
【SE:バサッと衣擦れの音】
…大丈夫だ、我輩にはこの羽毛があるからな
心配ない
船長、そろそろ到着しそうだろうか
…ああ、分かった
着いたら船着き場に降りる
この先に…我輩の故郷が…本当にあるというのか…?
ただひたすら南を目指し、南極を目指してきたが、ペンギン獣人の目撃情報は確かにあった…
だが…我輩は未だになぜ記憶を思い出せないのか…
キングペンギンとしての本能は思い出せても…どうして
…あ、ああ、すまない、君が心配してくれているのが伝わるよ
そう、か…こういうのは、焦るとまた頭痛が再発するかもしれないものな…
船が着くまで、こうして我輩に寄り添って、暖(だん)を取るといい
船酔いはしていないか…?慣れない場所に連れて来てしまったな…
すまな、むぐ
…そうか、そうだった
共に故郷を探す旅に出ると、君の護衛を約束すると、そう誓ったものな
…君は、優しく思いやりがあり、そして強い
我輩はいつの間(ま)にか、君が隣にいることが当たり前になっているようだ
まだ旅は終わっていない、我輩たちはこれからも進むのだ
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:船の笛の音】
…っ!どうやら無事に到着したようだな…
【SE:波の音】
船長、恩に着る
ここまでの道のりまで助かった、礼を言う
…さぁ、船を降りよう
【SE:船から降りる木の音】
はぁ〜っ、流石の我輩でもここは寒いな…
いや、上着は君がそのまま着ていてくれ
氷で足がすべらないように気をつけて、我輩の手を取って
ゆっくりでいい
船長が船で経由し、目撃したというペンギン獣人を探そう
【SE:氷の上を歩く音】
またきっと街があるはずだ
そこを目指して、慎重に歩みを進めよう
…逸(はや)る気持ちは確かにあるが、この目で確認するまでは…
(※心の声はエコーをかけてお願いします)
(心の声:…だが…なにか違和感がある…これも本能と言ってしまえばどうしようもないが…この寒さに、我輩は長く耐えられない…我輩の故郷は…)
…いや、大丈夫だ
獣人を見つけることが先決だ
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:フリーBGМ、ツララン氷窟 】
【SE:ガヤ】
……ここ、は……
ペンギンだ…!ペンギンの獣人がたくさんこの街を行き交(か)っている…!
…聞き込み!聞き込みだ!
適当な店でもここはペンギン獣人しかいないのだから、入って聞いてみるぞ…!
【SE:氷や雪の中を歩く音】
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:カランカランと氷の音】
【SE:店のドアを開(あ)ける音】
…突然ですまない、ここは、ペンギン獣人が住む街で合っているか?
…!そうか、我輩たちは遂(つい)にペンギン獣人を見つけたのだな!
…だが、我輩はキングペンギン獣人だ…
この黄色に染まった毛並みが頭に生えているのがその印…ならばここは、どこだ…?
他のキングペンギン獣人はどこにいる…!?
知っていたら教えてくれ…!頼む…!
(少しの間(ま)をあけて)
…やはり…ペンギンでも種族の違うコウテイペンギン獣人だったのか…
それでは…ここの氷の街にいるペンギン獣人たちは皆(みな)…!
……そういう、ことか……
そう、なんだな…
…せっかくここまで来たというのに…結局、我輩の故郷は分からずじまいだ…
辿(たど)り着くことさえ出来なかった…!
【SE:机を拳で殴る音】
頼む…!何でもいい…!キングペンギン獣人が住んでいる街はどこにあるか知っていたら教えてくれ…!
どんな小さな情報でも構わない…!頼む…!
(少しの間(ま)をあけて)
…ほ、本当か……?
それは、事実なのか…!?
この地図にある遺跡に行けば、キングペンギン獣人の住処(すみか)が分かるのだな…!?
…っ!
君…取り乱した所を見せてしまってすまなかった…
君がずっと、我輩の手を握ってくれていることには、気づいていたよ…
我輩は1頭ではない…君が、そのあたたかく優しい手が、ずっと我輩を助けてくれている…
…ああ、行こう、その遺跡とやらへ…!
(少しの間(ま)をあけて)
…こちらの店に押しかけ、迷惑をかけてしまってすまなかった
しかし、種族は違ってもペンギン獣人同士、助けてくれたことに感謝する
早速、この地図をもとに出発する
失礼した
【SE:店のドアを閉める音】
【SE:カランカランと氷の音】
【SE:氷や雪の中を歩く音】
…王の遺跡には、失われた一族への道が記(しる)されている…
あの店の獣人がそう言っていたな…
この地図と伝承を元に、しかし、期待し過ぎないようにしなければ…
またあの取り乱した姿を、君に見せたくはない…
君の手をしっかりと握り、離さない
…例え、我輩の同胞の獣人が見つからなかったとしても、君がいれば、また旅を続けていくことが出来る
…大丈夫、大丈夫だ
…では、行くぞ
【SE:氷や雪の中を歩く音】
【SE:フリーBGМ、ツララン氷窟 フェードアウト】
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:フリーBGМ、Arrival 】
…見つけた…のか…?
本当に…遺跡があるなどとは…
…王の…遺跡……
…っ、このまま、奥に進むとしよう
君は、足元に気をつけてくれ
なにがあるか分からない
【SE:遺跡の中を歩く音】
…?あそこにあるのは、扉か…?
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:ギイィ…と古びた扉を開(あ)ける音】
…何だ…?ここは…
やけに開(ひら)けたホールのような場所だが…
…はっ!見てみろ!あそこにある壁画(へきが)を…!
もっと近くに寄ってみるぞ…!
【SE:遺跡の中を歩く音】
これは……何という……
我輩にそっくりではないか……!
どうして…!なぜ…!こんな所にキングペンギン獣人の壁画(へきが)があるんだ……!
【SE:ドクッ!と心臓の音】
あ"があ"っ!!頭がっ!!頭が割れそうに痛いっ…!!
ぐっ…!!なぜっ、こんな、所でっ…!!うがあああああっ!!
はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!あがああああっ!!
ううっ!!だ、めだ…!!君のっ、治癒能力が効かないっ…!!なぜだああああっ!!
はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!はあっ!うぐうっ!!ぐうう〜っ!!がっ…!!がっ…!!がっ…!!がっ…!!ぐっ…うううっ…!!
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!
【SE:壁画(へきが)がボロボロと崩れていく音】
(※ここで呼吸を整えてください)
はーっ!はーっ!はーっ!はーっ!はーっ!はーっ!はーっ!はーっ!
はぁっ!はぁっ!はぁっ!はぁっ!
はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…
【SE:フリーBGМ、Arrival フェードアウトか止まる】
(少しの間(ま)をあけて)
【SE:フリーBGМ、UNTITLED RECОRD 】
(※ここから静かに語るようにセリフをお願いします)
………
……
…思い出した、全て、思い出した……
この、壁画(へきが)の向こうには……
…失われた一族への道……
…ここにはもう、なにもない
キングペンギンの獣人が王族として統(す)べる、街があったのだ
…しかし、このように滅んでしまった
…我輩は、たった1頭の生き残り
故郷を探すのではなく、故郷など、もうとっくになくなっていたのだ
新たな故郷を探すため、ここから出て行ったというのに…
故郷というものに縛られて、記憶を失くし、またここへ戻ってきてしまった…
何という運命…残酷だ
…しかし、君とあの森で出逢えたことだけは
我輩にとって大変な救いとなり、護りたい、かけがえのない、大切な存在になっていった
我輩は最初から、初めから、なにも持っていなかったのだ、なにも
こんな、何者でもない我輩と共に、君は生きてくれるか
我輩のそばに、こうしてあたたかく優しい手を、我輩に差し伸べてくれるか……
これから我輩と…また新たな物語を紡いでいってはくれまいか……
嗚呼(ああ)…我輩を、抱きしめてくれるのだな
ありがとう…ありがとう…
帰る場所は、いつでも君の元に
今こうして、ここにあり、我輩を、抱きとめてくれるならば、我輩と共に、生きよう
(少しの間(ま)をあけて)
…もうここには用はない
二度と振り返らない、縛られない
なによりも、大切な存在を見つけたのだから
君との出逢いも、運命だったのか
…言葉では、これからも我輩なりに君に返すことが多くなるとは思うが、我輩の唯一
行動でも、求愛させてくれ
これからも優しく、触れ合わさせてくれ
…そして落ち着いたら、雪や氷のない陸地で共に住んで欲しいと願う
…ああ、これから、よろしく頼む
【SE:フリーBGМ、UNTITLED RECОRD フェードアウト】
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