【タイバニ】 開花直前の蕾 【龍→虎】

  

  組み手とか体術。

  大人と子供、そういうのがこんなにも響くなんて思わなかった。

  だって、一応は自信があったから。

  驕ってたわけじゃないけれど、驕ってたことになるの?

  上には上が居る、そして。

  小さな頃からテレビを通じて憧れていたヒーローは、今現在でもボクの一番のヒーローで。

  

  ヒーローカードとか、密かに?おおぴらではないけど集めてる。

  集め始めたらキリが無い、だってタイガーはベテランヒーローだから。

  下手したら発売中止になったのとか、昔のトップマグ時代のとか沢山ある。

  レアものっていわれているのもあるんだよねぇ、この事はイワンさんに聞いたら事細かく教えてくれた。

  で。

  僕が一番大事にしているカードは、買い集めた物じゃない。

  タイガーがボクにくれたんだ、いいの??って思わず何度も確認してしまったくらい。

  知る人ぞ知るレアカード、だって旧バージョン!!

  ただで貰うのは勿体無いし申し訳無いから、ボクは提案をした。

  唐突で驚かせちゃったけど、納得したようにタイガーは承諾してくれたんてだ。

  うん、頭を撫で回してくれるの大好き。

  僅かな時間でも、挑めばきちんと勝負してくれる。

  中々勝てないのは当然の事なんだって、最初からわかっていたけど。

  でも本当に悔しくて、日々鍛錬の繰り返し。

  一日一回、恒例勝負。

  あ、逢えないときは無し。

  決まった時間に利用しているボク、時間の決まってないタイガー。

  中々、連日勝負にはなってくれない。

  

  

  

  「まけ、た、ぁ!!」

  「始めた頃から考えたら良くなってきてるぞ」

  「そ、うか、なぁ」

  

  ゼハゼハ息をしながら、ボクは息を乱すことなく立ってるタイガーを見上げる。

  体力も何もかも比べ物にならないくらい、強靭な何かを持っている人。

  

  「ほら、立てるか」

  「うん」

  

  自然に伸ばされる手。

  それがとてもとても好き、繋いでしまって良いんだって嬉しくなる。

  これみよがしに抱きついたりしちゃ駄目かなぁ。

  バイソンさんほどじゃないけど、タイガーは体がしっかりしていて無駄が無い。

  最近はよくバーナビーさんがタイガーを見ては小言を言ってるみたいだけど、人によって練習量も何もかも違うって事に何時気づくのかな??

  

  「タイガーの手、おっきいよね」

  「そか?」

  「ボク、大好きなんだぁ」

  「…手だけ、か?」

  「ん?んん??全部好きだけど、一番好きなのは頭を撫でられること!」

  「ぜ、全部?」

  「うん、もっともっとタイガーの事を知りたいなぁってネイサンに聞いたら『まだ早いわよ』って言われちゃった」

  「・・・・・・・・・・・」

  

  うん、やっぱり。

  頭を撫でられるの大好き、で、ね。

  

  「あのね」

  「ん?」

  「ボクね、最近、思ったの」

  「何を?」

  「こうやって手を伸ばして、相手が掴んでくれるって凄く嬉しい事なんだって」

  

  そう。

  こういう気持ちを、幸せって言うのかな?

  嬉しすぎて泣いてしまいそうになるんだけど、タイガーの前では我慢我慢。

  前に一回嬉し泣きでもしてしまったら、皆にタイガーが怒られて誤解を解くのが大変だったんだ。

  

  振り払われたり、拒否されたり。

  そういう事を、一切しない。

  するときもあるかもしれない、けど。

  少なくともボクはタイガーから拒絶された事は無い、されても突進するんだけど。

  

  「そっか。そうだなぁ」

  

  うんうんと頷くタイガーの背後に、バーナビーさんが怖い顔をして近づいてくる。

  もう時間なのかな?

  それとも、また何か文句なのかも。

  迷ったのは一瞬、でも簡単に口から零れた。

  

  「ねぇタイガー、ボクのお嫁さんになって」

  「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

  「!!!!!」

  「あれ、間違えた?ボクのお婿さん?」

  「・・・・・・・・・・・・パオリン・・・・・・・??」

  

  間違ってないはずなんだけどなぁと首を捻っていたら、真っ赤になったタイガーがとっても可愛くて。

  可愛い~って抱きついたら、わたわたされて。

  

  どこかを突き抜ける音がしたと思ったら、バーナビーさんが壁を壊して飛んでいった後だった。

  

  

  

  

  「タイガー、返事すぐじゃなくても待ってるから」

  

  じゃ、ボク仕事入ってるから行くね。

  う~ん、もっともっと身長も腕力も欲しいなぁ。

  何かいい方法無いかなぁと楽しそうに考えながら、パオリンはロッカールームへ消えてった。

  

  何を言われたのか、理解できずに固まった虎徹を残して。

  

  

  

  

  

  「『ハンサムエスケープ』の頻度、上がっているわよね」

  「それと共に器物損壊もな、バーナビーではなく愚痴は虎徹に行くらしいぞ」

  「理不尽よねぇ、それは。だってタイガーはキッドの相手をしているだけなのに」

  「本当にそれだけか?」

  「あらやだ、バイソンちゃんはタイガーにロリコン疑惑をかけるの?一寸タイガー、固まってないでよ」

  「…俺、オデュッセウスコミュニケーションに訴えられるのか?」

  「どうしてだ?」

  「パオリンが、嫁になれと言ってきた・・・・・」

  「まぁっ」

  「は??」

  

  

  「…聞き間違いでなければ、キッド君がワイルド君に告白したんじゃないか??」

  「そうみたいですね…」

  「何か知ってるの、折紙」

  「ぇっと、実は、かなり日本の文化というか風習を聞きたがってて最近特に凄かったんで…」

  「なにそれ…最近気付けば組み手してると思ってたけど…って、何!告白ってぇっ??」

  

  

  

  

  その場が大騒ぎになったのは、言うまでも無い。

  

  

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  後日。

  丁寧に虎徹がパオリンにお断りを入れたら、会社にオデュッセウスコミュニケーションの社長代理が逢いに来た。

  将来有望な我が社のヒーローをふるなんて何を考えているのか、と。

  慌ててロイズさんに呼び出しを食らう羽目になった、何故かバニー付きで。

  

  

  「…あのですね、俺は37のおっさんですよ」

  「そうなんですか?とてもそうは見えませんが」

  「で、キッドに関して言えば・・・親子ほどに離れているんですよ」

  「そうなりますが、何か問題でも?」

  「未成年から申し込まれても、将来有望な彼女にはおじさんはつりあわないと思うんですが」

  「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・では、一欠けらも好いて無いと?」

  「思うことに関しても人それぞれに色んな形があると思いますし、愛情にも・・・・」

  「わかりました」

  「ご理解いただけて「彼女が成人と認められる年になるまではお認めにならないということですね」…は?」

  「それでは婚約という形か許婚という形で進められると報告させていただきます」

  「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は??」

  

  では、お時間を有難うございました。

  きっちり頭を下げて出て行った社長代理の言葉が実感としてのしかかるのは、翌日の午後。

  無論、トレーニングルームで、だ。

  

  

  

  「タイガー、ボク決めたからね。タイガーの許婚になるって!!」

  「・・・・・・・・・・・・・・・」

  

  

  

  「おじさん、何時の間に・・・・・・・・・・」

  「バニーちゃん、一応言っておくけど、おじさんは断ったんだよ」

  

  

  なんて会話が交わされるなんて、知らないのである。

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  終わってしまえ。

  

  

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  後書き

  

  お読みいただき有難うございました。

  何故か、龍→虎が読みたくて自家生産してみたら龍が…オデュッセウスコミュニケーションが…。

  暴走しすぎた…。

  虎さんガンバレ、多分、未来は明るい…。