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シートン大友の百獣画録 第1話「トラの行水」
ネコを飼っている方はご存じだと思いますが、ネコは基本的に水に濡れるのが嫌いです。お風呂に入れようとしたら全力で抵抗された経験がある方も多いでしょう。あの断固たる拒否っぷりは見事なものですが、実はただのワガママではありません。ネコの毛は水を弾かず浸み込ませてしまう上に乾きにくいという弱点があるため、濡れたままでいると体を冷やして健康を損なうことに繋がりかねないのです。つまりあの必死の抵抗は、れっきとした生存戦略。・・・まあ、ネコにそう説明しても「知ってるけど?」という顔をされるだけですが。
しかし同じネコ科でもその例外であるトラは、水に濡れるのが平気です。暑いときは自ら水辺に身体を浸けて涼むことも、獲物が水中に逃げ込んでも構わず追っていくことも知られています。狩りの前に水浴びをすることもあり、これは自分のニオイを極力消して獲物に気付かれにくくするための行動だと言われています。狩りの前にシャワーを浴びて身だしなみを整える。なんとも紳士的な振る舞いですが、その直後にやることは待ち伏せからの全力タックルなので、紳士かどうかは意見が分かれるところです。
ちなみにサファリパークで聞いた話ですが、トラとライオンの見た目を比較したとき、トラの毛並みが綺麗に整えられているのは水浴びをすることが一因しているとのこと。水浴びをする習慣がないライオンは反対に毛並みが汚れやすいのだとか。百獣の王としてはなかなか不名誉な比較ですが、ライオンに言わせれば「俺はワイルドで良いんだ」ということなのかもしれません。
というわけで、「カラスの行水」は短過ぎる入浴の代名詞ですが、トラの行水はむしろ戦略的かつ美容効果もある、実に合理的な入浴。見習いたいものです。・・・流石に野生のトラと並んで水辺に浸かる勇気はありませんが。
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