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賭けで路銀の全てを失った私たち魔法使い師弟は、自分自身を賭け金にして最後のチャンスに挑戦します!
私たちの周りには、すでにたくさんの野次馬が集まっていました。用心棒か何かを生業にしていると思われる、人相の悪い屈強な大男。酔いに任せて私たちを囃し立てる中年女性。私たちに哀れみの目を向ける、恋仲と思しき若い男女。その他、私たちを励ましていたり蔑んでいる者たち。人間種であるか獣人種であるかを問わず、大勢の者が私たちを見ています。私の目の前で椅子に座り指を組み、無言で相手を見据えている師匠を。
「魔法使い様……もうやめた方がいいですよ……」
カードの配り役に選ばれた、この酒場の女将の気弱そうな夫が師匠に視線を向けながら、観客たちの歓声にかき消されそうなほど弱々しい声色で助言を送りました。虎獣人であるのに小枝のような細身の彼が両手で握っているカードの束は、肉付きが薄いその両手ごと小刻みに震えています。
「だってよ、エイラ。あなたはどう思う?」
そう言いながらローレン師匠は、斜めうしろで事の成り行きを見守っていた私へと振り返りました。一般的に、師匠のような垂れ耳の兎獣人は、どこの街でもその愛らしさに定評があります。しかも、師匠は十にも満たない歳で魔法使いとして独立を果たしたほどの天才少女だった過去を持つ、今は弟子である私と同じく十九歳の若年です。
しかし、しなやかな黒い長髪と毛並みを隠すように纏った背丈に合わない大きさの紺色の三角帽子とローブ姿の師匠の、その帽子の「つば」の下の表情は、私を見つめる上等な蒸留酒のような茶色の瞳は、いかなる感情も乗せられていませんでした。
師匠の弟子となり、何年も共に旅をしていても、私には師匠の思考や感情を読み解くのは困難です。師匠はかつて、平和と栄光を象徴する[[rb:月桂樹 > ローレル]]の名の通り、裏路地の一角で娼婦の真似事をしていた狐獣人の私に手を差し伸べてくれたほどの恩人です。ぼろ切れのような衣服を着て、肩まで伸びた銀色の髪や毛並みも薄汚れていた私を。しかし、その行為が悪趣味な悪戯だと勘ぐったあの日から、それはあまり変わっていません。
同じ色の三角帽子とローブを纏う事を許され、つまりはローレン師匠の正式な弟子となってからも、私と師匠の心の距離は近づいた気がしません。むしろ、「手を差し伸べてくれた事が本当にただの悪戯だった方が何倍もよかった」という本音を抱くほど、師匠には迷惑をかけられてきました。
ああ、せっかく思い出さないようにしていたのに。まったく腹が立つ。ある時は珍しく師匠が夕食を作ると言ったと思ったら、その中に魔法薬を盛られた。私も師匠もお互いに右も左も分からない状態になったところで名前も素性も知らない集団に混じって、朝まで乱れた宴を繰り広げる事になった。あのあとに、私がだるくて重い体を無理やり動かし避妊薬を調合して、起き上がる事すらできない師匠を介抱した。
「エイラの修行の一環」と称して、ローレン師匠が呪いの宝箱を格安で買ってきて私が解呪する事になった時もあった。その宝箱の正体が異空間ミミックで、私も師匠もミミックに飲み込まれた。その異空間の中で私も師匠も、「先客たち」と同じく二羽の雌鶏になった。師匠が鶏として力の限り振り絞った救難を知らせる魔法を受け取った、偶然通りかかった親切な他流の魔法使い一行がミミックを退治してくれた事によって危機を脱した。それまでの約ひと月の間は、養鶏場を模した異空間の中で私も師匠も他の者たちも、雌鶏として卵を産む度に絶頂する毎日だった。
師匠が「財布の管理をやりたい」と言い出した時は、悪い予感通り路銀が尽きた。私が「もうあんな事はやりたくない」と強く拒否したのに、結局は街の裏路地で二人とも全裸になって自慰を見世物にしてお金を稼いだ。あの時は、不意に股間の力を緩ませた師匠が、私の顔にオシッコをかけた。この恨みは絶対に忘れないからな、ローレン。この色ボケクソ兎アバズレ師匠。お前のせいで私まで、「悪い噂が絶えない変態魔法使い師弟」の片割れだぞ。
私は、右手に持っている木製のジョッキに残っていたお酒を一気にあおりました。それから、深いため息を一つ、これみよがしにつきます。
つまりは、師匠を止める事は、そうしたくてもできません。私や女将の夫や観客の一部が制止を促しているのにも関わらず、師匠はすでにこの賭けに路銀の全てを注ぎ込んでいます。そして、それらは一部たりとも戻ってきていません。
「もうやりたいようにやっちゃってください……そんなに長い耳があっても私の声は届かないようですから……」
「分かった」
私が精一杯の皮肉を込めた言葉に、ローレン師匠はいつもの調子で短く返すと、テーブルへと向き直りました。そして、淡々と宣言します。
「今度は私自身を賭ける。そっちが賭けるのは、こっちが今まで賭けたお金全部。じゃあ、カードを配って」
「ちょ……!? 魔法使い様……!? いくらなんでもそれはやりすぎですよ……!?」
酔いが回った観客たちから一際大きな歓声が上がると同時に、女将の夫が師匠を見てひどく狼狽しました。この惨状の中でおそらく唯一の素面である彼には、師匠の行動は無茶そのものに見えるのでしょう。いえ、私にだってそう見えます。しかし、今の師匠は暴発した闇魔法よりも歯止めがきかない存在です。
「これは同意の上の賭けだ。私は全くもって構わない。さあ、カードを配りたまえ」
師匠とテーブルを挟んで座る、賭けの対戦相手が、酒場の主人に向かって朗らかに語りかけました。初老と思しきその対戦相手は、この地方では珍しい竜人種の男性です。豪勢とまではいかないものの、濃い橙色の短髪と鱗が特徴の恰幅のいい体に纏ったシャツやチョッキやズボンには品が感じられます。このような大衆的な酒場では、いささか不釣り合いな存在です。
「しかし……旦那……! こんな子どもような娘相手に本気にならなくても……!」
私と師匠はその理由を、酒場の主人から聞いていました。彼はこの街で有名な博徒で、夜な夜な「カモ」を探しては酒場を渡り歩き、生活に支障が出ない程度に金品を巻き上げているようです。つまり、あの身なりは「戦利品」で揃えたものでしょう。そして、その話を聞いた師匠は、ジョッキに残っていたお酒を一気に飲み干すと、彼のもとへと歩み寄ったのです。こうして、彼に路銀の全てを巻き上げられた今に至ります。
「私は小娘じゃなくて、一人前の独立魔法使い。そして、あなたは何も悪くない。憲兵に見つかったら私たちが庇うから、だからカードを」
師匠から追い討ちをかけられた哀れな虎獣人は、「もう……どうなっても知りませんよ……!」と口にしながら、カードの束を混ぜ始めました。「一人前の独立魔法使いが、なんで博打に熱中するんですか」という不満を私がなんとか喉の奥に飲み込んでいると、観客たちが自然と静かになっていきました。もう後戻りはできません。
ローレン師匠と竜人の博徒にそれぞれ、テーブルの上に三枚のカードが裏向きに配られました。それから、中央には表向きにされた三枚のカードがあります。賭けとして行われているこのカード遊びは、自分だけの手札と共有される中央のカードを組み合わせて、より強い役を作った者が勝者となります。つまり、これは相手の顔色から隠されたカードの強さを推測して、駆け引きを楽しむゲームです。
しかし、師匠は、私たちは引き際を見失っていました。ここで勝たなければ、文字通り自らの全てを手放す事になります。つまり、心境という面で有利なのはあちら側です。これまでに師匠はいくら負けても顔色一つ変えないほど落ち着いていますが、肝心の腕前の方が全く追いついていません。最後くらい師匠に代わって私がしゃしゃり出た方がマシだったかも。うわ、なんでこんなへっぽこの兎獣人なんかに続けさせたんだろう。
私が若干の自己嫌悪に陥っていると、酒場の主人がテーブルの中央に置かれたカードの横に山札を置きました。自分の手札が悪い時は、山札からカードを引いて交換する事ができます。しかし、それを行うには更に賭け金を上積みしなければなりません。
「お嬢ちゃん、覚悟はできているかな? 泣いて謝るならば、身ぐるみを剥がすだけで済ませるのは吝かではないが?」
「そっちこそ、今まで勝ち取ったお金を私に取り戻されてしまう覚悟はできてる? 今からじゃもう遅いよ?」
「口達者なお嬢ちゃんだな。これではっきりと現実を教えてあげよう」
そのやり取りのあと、師匠と博徒はお互いに、それぞれの目の前に置かれた裏向きの手札の端を少しだけめくって、それを確認しました。私はすかさず、無表情を作る事を意識しながら、腰を屈めて師匠の手札を覗き込みました。
師匠の手札は、共有のカードと組み合わせるならば、全く悪くはないものでした。むしろ、これまでのこの一夜の中で最も強いと言っても過言ではありません。本当に、もしかすると、もしかするかもしれません。
「お嬢ちゃんと違って、お弟子ちゃんの方は分かりやすいな」
竜人の男が微笑みながら発したその言葉で、私は咄嗟に背筋を伸ばして両手で顔を覆いました。顔と手の毛並み越しでも、顔の熱が手に移るのをはっきりと感じます。ゆっくりと隙間を開けた指と指の間から覗くと、振り返った師匠が私の顔を眺めていました。師匠が無言で頷いたので、私は同じものでそれを返します。
「こちらの賭け金に私の弟子、エイラも上乗せする。私が負けたら、私もエイラも好きにして。そっちが賭けるのは二倍の金額」
変わらず平然な態度の師匠が宣言すると、沈黙を貫いている観客たちから息を呑む音が聞こえてきました。こういったカードを用いた賭けには特別な決まりがあります。それは、「相手に山札からカードを一枚引かせて交換させてもよい代わりに、強制的にお互いの賭け金を二倍にする」というものです。つまり、文字通りの大博打ができる決まりです。
師匠に私の運命を委ねてしまうのは癪ですが、この好機を逃してしまうならば、おそらく何をやっても無駄でしょう。ローレン師匠とは、奴隷として売られた先であるゴブリンの巣窟から、乱交騒ぎの隙をついて杖と帽子とローブだけを抱えて全裸で逃げおおせた仲でもあります。ですから、仮にまたもや全てを失っても、今回もなんとかなるという自信があります。その前に、二本備わっていると聞く竜人種の男根に弄ばれる事になるでしょうが、私も師匠も女としての貞操など遠い昔に捨てました。
「その挑発には喜んで乗ろう、お嬢ちゃん。勝つのは私だ」
「師匠、勝つのは私たちです。見せつけてやりましょう」
「おお、勇ましいな。どれ、私は引かせてもらおうじゃないか」
顔の熱気が収まってきたので、私は胸の前で拳を握って応援します。私が視線を向ける先で、竜人の博徒は山札からカードを一枚引きました。その一枚をテーブルの上を滑らせて、すでに配られた手札に加えると、端を持ち上げて確認しました。その間も、意地の悪い微笑みが崩れる事はありません。
「お嬢ちゃんとお弟子ちゃんが私のものになるまで、もう少しだな」
ちなみに、私たちはもう賭けるものがないので、これ以上は手札の質を上げる事ができません。しかし、このカードなら間違いなく勝利できるでしょう。
「泣いて謝るなら、私たちから取ったものを返してもらうだけで済ませるのは吝かじゃないけど?」
師匠は無表情を貫いたまま、意趣返しを呟きました。賭けの決まりには、「手札を公開し合う前に賭け金の半額を差し出せば、強制的にゲームを終了させられる」というものもあります。つまり、師匠が提案したのは降伏です。
「いや、続けよう。君たちの蛮勇のおかげで、私も役が揃った。私が捨てるのはこのカードだ」
「……!?」
その時です。博徒の男が伏せられたカードの内の一枚を表向きにして、中央の山札の隣に右手で差し出した瞬間でした。左手でテーブルに押さえつけている残った手札に「揺らぎ」のようなものが、一瞬だけ現れたのを私は見つけました。
あれは間違いなく魔法の類です。私が瞬時に周囲を見渡すと、観客たちはそれに気づいていないようです。おそらくは、魔法に携わる者にしか感じる事ができないほどに高度なものでしょう。
この恰幅のいい竜人がそんな芸当をどこで覚えたかは不明ですが、これまで師匠が負け続けた事に納得はできます。これは博打ではなく、魔法を用いた詐欺に限りなく近いものです。
魔法使いの間には、「魔法による惑わせは、それを見抜けなかった者が悪い」という不文律があります。しかし、私ははっきりとこの目で見ました。そして、私に見えたという事は、師匠も同様でしょう。ここでこの詐欺師を糾弾すれば、巻き上げられた路銀を取り戻し、地に墜ちて久しい私と師匠の名声も少しは浮き上がるはずです。
「師匠、今のは絶た」
「じゃあ、私から。私は『棍棒の三枚揃いと、剣と盃の九番揃い』。あなたは?」
「師匠!?」
私の言葉を遮るように、師匠がテーブルの上で裏向きにされていたカードをめくり、そして宣言しました。驚いた私が師匠の顔を覗き込むと、師匠は顔色一つ変えずに博徒を見つめていました。私には一瞥さえせずに。
こういったカード賭博では、手札が公開される事に重要な意味を持ちます。「他にいかなる事情があろうとも、カードが示すものが唯一の真実」というものです。つまり、手札が公開されれば、この詐欺を証明できたとしても意味がありません。
「師匠!? 私の話を聞いてましたか!?」
「エイラ、静かにして」
「…………楽しかったよ、お嬢ちゃん、お弟子ちゃん」
ローレン師匠の窘めではなく、詐欺師の男が公開したその手札によって、私は絶句しました。
[newpage]
『んぷっ……♡』
『うぇ……!』
それぞれ、男根を模した台座に突き立てられた私たちは、言葉通りお腹が膨張するほどの圧迫感に耐えきれず、口から艶めいた吐息を漏らしてしまいました。漏れ出したのは吐息だけではなく、女としての穴と口が体の内側で繋がっている今の私たちは、自分たちの内側に溜まっていた男の精の、その一部で口元を汚しました。
「随分可愛らしい光景だな、お嬢ちゃん、お弟子ちゃん。おっと、今は今はオナホール105番とオナホール106番だったな。私の精の味はどうかな? お気に召したなら幸いだが」
そう言って竜人種の男は、元の姿よりも恐ろしく背丈が縮んだ今の私たちを見下ろしながら、気味の悪い微笑みを向けました。もちろん、私の口から裸の胸元の谷間へと滴っているのは、竜人の肉棒から放たれたものです。
『すごい……♡ すごいよかった……♡』
『ふん……』
率直な感想を言えば、私も師匠と同感です。一般的な人間種や獣人よりも苦味が薄く、いくらかは美味しいです。しかし、その気持ちとは裏腹に、真っ当な嫌悪感が込み上げてきます。せめて口元を拭うだけでもしたいものですが、今の私には、私にも師匠にも、本来は獣人として備わっている四肢がありません。今の姿に変えられた時に、それらは消失しました。私たちには肩と呼べる部位すらなく、腰から下は股間とお尻だけです。
私は横目でローレン師匠を窺いました。師匠の体もまた手足を失い、体は大人が片手で掴めるほどの大きさにされて、スライムのような黒い半透明になっています。普段は衣服で隠している、背丈に見合わない大きめの胸もまた、髪や体そのものと同じく弾力と光沢がある姿となって丸出しでした。そして、魔法で今の体格に合うくらいに縮められた三角帽子を被り、留め具で首にかけたローブをマントのように背に回した師匠の表情は、熱せられた金よりも蕩けきっていました。
『今の私はただのおもちゃ……私はオナホール105番……犯されて気持ちよくなるだけの……ただのおもちゃ……♡』
実の年齢よりも幼い師匠の顔つきは、完全に「女の顔」になっていました。男根の台座の上で半透明の体をくねらせて、なまめかしい甘い声色で呟きながら竜人を見上げています。そこには、いつもの、女としての穴とお尻の穴を同時に塞がれても冷静さを欠く事はない師匠の面影はありません。
『師匠……正気を保ってください……! 私たちは……弄ばれるだけのおもちゃじゃありません……!』
私は師匠と同様に半透明になった体に力を込めて、首を横に向けて呼びかけました。体の変化と同時に、心の変化ももたらす魔法をかけられたようです。私はなんとか理性を保っていますが、心の奥ではおもちゃとしてのどうしようもない欲望が渦巻いています。それにしても、弟子である私よりも魔力が多いローレン師匠の心が完全に堕落しているのは不思議です。
『オナホール106番……今のあなたはただのおもちゃ……♡ そして……あなたの師匠だった私もただのおもちゃ……私はオナホール105番……♡』
私に横目で視線を向けた師匠は、変わらず艶めいた声で返答します。そこには、私や師匠の名はなく、男から名付けられたおもちゃの名前と番号がありました。私にはその知識はありませんが、竜人が語ったところによれば、今の私たちのような男の精を吐き出されるおもちゃを「オナホール」と呼ぶそうです。
ああ、思い出すだけで屈辱的です。あの賭けのあとに私たちは敗北者として、観衆が取り巻いている中央で、魔法によって獣人からおもちゃに変えられました。その前に私は、魔法によってカードを操作していた不正を叫びましたが、観客の声にかき消されて、誰の耳にも届きませんでした。師匠はというと、全ての運命を受け入れるかのように、椅子に座ったまま静かに瞳を閉じていました。
ちっぽけなおもちゃにされた私たちは、竜人の詐欺師の指を体の中に入れられ、まるでさらし首のように掲げられました。動揺する私とおもちゃして絶頂する師匠へと、酔いが回った観客たちの多くが指を差して嘲笑しました。それを止める術は私にも、その場で肉棒を体に埋めてほしいと懇願する師匠にもありません。それから私たちは、両脇に私たちの魔法の杖を挟んだ男の指を股間で受け止めながら、何度も絶頂しながら、男の屋敷へと持ち帰られました。そして今に至ります。
『オナホール106番……みんなを見て……♡ みんな……私のように素直……♡ あなたも早く……ただのおもちゃとして素直になって……♡』
『うるさいですよ……もう……!』
身も心もおもちゃに変えられた師匠の言葉を遮るように、私はかすかに声を荒げました。それでも、師匠の言葉通り、首を前後や左右に動かして私たちの周囲を見渡します。
『お師さま……♡ 今度は私を使って……♡』
『いいなあ……♡ オナホール105番ちゃんも……オナホール106番ちゃんも……すっごく気持ちよさそうだった……♡』
『アタシも気持ちよくなりたい……♡ だってアタシはオナホール74番だぜ……♡』
この部屋に置かれているのは、私とローレン師匠だけではありません。色とりどりのおもちゃたちが、私たちと同じように三角帽子とローブを纏って台座に突き立てられて並んでいます。彼女たちは私たちと同様に、この姿に変えられた犠牲者なのでしょう。
その中には、私にとって見覚えがある顔もあります。私たちの左斜め後ろにいる薄い茶色の鷹獣人のオナホールは、私腹を肥やす為政者だけを狙う義賊として名高いベランジェール師匠に間違いありません。自らを「オナホール74番」と呼んでいた水色の鮫獣人オナホールは、海運における腕利きの用心棒集団の頭目として知られているデルフィーナ姉さんです。
『ベランジェール師匠……! デルフィーナ姉さん……! 私です……! エイラです……!』
『ああ……♡ オナホール106番……久方ぶりだな……♡ お前もオナホールになったのだな……♡ 喜ばしい事だ……♡』
『さっきは……オナホールとして……すげえ可愛がってもらっていたな……♡ テメエと同じように……犯されるだけのオナホールとして羨ましいぜ……♡』
『そんな……』
二人の返答を耳にして、私は言葉を失ってしまいました。ローレン師匠と同じく、あの凛々しいベランシェール師匠や男勝りなデルフィーナ姉さんもまた、身も心もおもちゃへと変わり果てていました。
その二人以外にも、全員が身につけている紺色の帽子とローブの色から察するに、このおもちゃたちは私たちと同じ流派の者のようです。オナホールとしての新入りという事があってか、私と師匠の位置は、台座に突き立てられて横二列になって並んでいる彼女たちの、最前列の真ん中です。
この詐欺師の魔法使いは、私たちの流派に恨みがある、流れの魔法使いなのでしょうか。それは分かりません。男は先ほどから私たちに横顔を向けながら、絹と思われるきめ細やかな生地のハンカチを使って、私と師匠を同時に責め立てた二本の肉棒を丁寧に拭いています。
『…………』
悪趣味な事に、私たちが置かれているこのお部屋の四方の壁は、全て鏡張りになっています。それによってどこを見ても、嫌でも今の自分が狐獣人だったただのちっぽけな銀色の柔らかい慰め物である事を自覚させられます。それがまるで人形のように、頭に小さな三角帽子を乗せられて、ローブをマントのように首から下げられています。私が身をよじると、胸も股間も丸出しにしている鏡の中の狐獣人に似た銀色のオナホールが台座の上で身をよじりました。
全くもって屈辱的です。それはまるで、敗北者の見せしめのようです。実際にそれそのものなのかもしれません。少なくとも今の私とローレン師匠は、誰の目から見ても愚かな敗北者でしょう。私と師匠は、向こう見ずな賭けに自分自身さえも賭けて、そして全てを失いました。その末路として、今はこうして自分の力では何もできない哀れなおもちゃへと成れ果てました。どんな事情があったのかは定かではありませんが、ベランジェール師匠やデルフィーナ姉さんも含めて全員が、何らかの理由でこの姿に陥れられたのでしょう。
ここから脱出する手段は、悔しいですが私には思いつきません。頼みの師匠はあてにできませんし、おもちゃに変えられた時点で魔力も魔法も大きく封じられています。これほどまでの危機は、正直に言うと今までとは比べものになりません。
まずは時間が経過して、かけられた魔法が弱まる事に期待しましょう。少しでも師匠が正気を取り戻した様子を見せたら、他のオナホールたちと結託して、私たちにかけられた魔法を破りましょう。こんな場所には長居なんてしたくありません。
ああ、でも。一生このままただのおもちゃとして、オナホールとして、気持ちよく使われるのもいいかも。だって今の私は……ああ! よくない! 師匠たちの二の舞になるのはごめんです! 私は狐獣人で魔法使いのエイラです!
「あらためて、『お仕置き部屋』にようこそ、二人とも。『お仕置き』として初めてオナホールにされた気分はどう?」
『!?』
私が私の内なる欲望と戦っていた、その最中でした。私と師匠に呼びかけた竜人の男の姿が、まるで静かな清流のように音もなく変化していきました。シャツやチョッキを着た恰幅のいい橙色の鱗の体と髪色が、細身ながらも男らしい筋肉を纏った袖なしのローブ姿になります。髪と鱗の色はどんな炎よりも輝かしいであろう真っ赤です。その長い髪はうしろ頭で綺麗に束ねられています。そして、その袖なしローブは私たちが身につけている小さな帽子やローブと同じ色です。高い腕前を持った魔法使いである事は見抜いていましたが、まさか本当の姿はこんなに麗しく、同じ流派の者だったなんて考えつきもしませんでした。
『セオドリック師匠……やっと私をおもちゃにしてくれた……♡ 師匠に犯されるのを……ずっと待ってた……♡』
『セオドリックって……師匠の師匠……!? あのセオドリック大師匠……!?』
師匠が呟いたうわ言のような呼びかけで、私はオナホールとしての目を見開いて驚愕しました。私たちを見下ろす大師匠は、先ほどのかりそめの姿の時とは打って変わって、愛しむような視線を私たちに投げかけていました。
セオドリック大師匠の事は、旅の中でローレン師匠から噂だけは聞いていました。私たちの流派の開祖にして、実の年齢は万を超える大魔法使い。龍神の血族にして、竜人王家の一員。あのローレン師匠が「本当にすごい人」と両手放しで誉めていた事を、今でも鮮明に覚えています。
「僕にだって、さすがに十にも満たない弟子を玩具に変えた上で関係を持つ趣味はなかった。君は僕を我慢できずに、あちこちで騒ぎを起こしたようだが?」
『だって……師匠に早く……迎えに来てほしかったから……♡ 一人遊びをしていても……誰かに犯されていても……師匠が恋しかった……♡』
大師匠の落ち着いた声色と、師匠の飛び跳ねて喜びを示しているかのようなそれは、私のおもちゃとして備わった耳で聞いていてとても対照的です。
「その結果、弟子を道連れにして『お仕置き』されるのか。そもそも、君ならこの程度の魔法など造作もなく防ぐと思っていたが」
『だって……私の姉弟子のお姉ちゃんたちは……みんな言ってた……♡ オナホールにされて……師匠に使われるのは……とっても気持ちいいって……♡ やっぱり……本当だった……♡』
「年端もいかない少女だった君に、そんな事を教えた弟子たちの名前は?」
『「お仕置き」が終わったら……ちゃんとみんな言う……♡ だって……みんな絶対……オナホールに戻りたがってるはずだから……♡』
「この程度の魔法に耐性をつける意味も兼ねてやっていたが……いささか見直さなければならないな……」
セオドリック大師匠は、目を瞑りながら深いため息をつきました。そんな大師匠の顔を、ローレン師匠は瞳を輝かせながらまっすぐ見つめています。それはまるで、ようやく想い人と体を重ねる事が叶った乙女のようです。いえ、実際にそれそのものでしょう。
ローレン師匠とセオドリック大師匠の会話から、私たちがこのような屈辱的な姿形をしたおもちゃに変えられた経緯が見えてきました。どうやら大師匠は、直弟子や孫弟子に行う指導の一環を「お仕置き」と称して、弟子を慰み物のおもちゃに変えた上で体と体の関係を持つようです。ローレン師匠の師匠らしい個性的な人柄です。魔法で思考を読まれてしまうかもしれない事を恐れないで表現するならば、「この大師匠にしてこの師匠あり」といったところです。
そして、その「お仕置き」というものが、女性の弟子の間で癖になり噂になるほど気持ちいいものであるようです。いえ、私は実際にそれをこの身で味わいました。たしかに、体を握られてセオドリック大師匠の太くて長い男根で何度も突かれるのは、オナホールとして極上の体験でした。
かつて、それを師匠の姉弟子たちが少女だった師匠に言いふらしたようで、師匠は独立してセオドリック大師匠のもとを離れてもそれを忘れる事ができなかったようです。弟子である私が拒否を示しても強引に引き連れて、各地で乱痴気騒ぎを起こしても心の底から満たされる事はなかったのでしょう。そして、ついに今回、想いを寄せるセオドリック大師匠の手によって、念願のオナホールに変えられたのです。いつものように私を道連れにして。
つまり、あの酒場での博打の際、大師匠が扮した博徒の魔法を私が見つけた時にローレン師匠が不自然に言葉を遮った仕草にも納得できます。師匠は私より先に、大師匠が魔法でカードの絵柄や数字を操作している不正に気づいていたのでしょう。いえ、おそらくは、初めて目が合った時にはその正体さえ見抜いていたのかもしれません。
なので、十にも満たない少女の頃からオナホールとして大師匠に犯される事を夢見ていた師匠にとって、大師匠の不正はむしろ都合がよかったのでしょう。自分たちが速やかに敗北し、観衆の面前でみじめなおもちゃに変えられる絶好の機会なのですから。師匠にとって脅威だったのは、私が大師匠の魔法を見破って糾弾する事だったはず。なので、手札の公開を急いだのでしょう。
という事は、あの時の師匠は無表情を貫きながらも、心の中は大師匠に対する恋慕で膨れ上がっていたはずです。ローブとスカートの奥に隠した股間は、洪水のようにずぶ濡れだったのかもしれません。男性からどんなに強く責め立てられても大きな声でよがる事はなかった師匠が、今は大師匠の前でおもちゃとしての甘い声で執拗におねだりしています。
その痴態具合と大師匠の心境はともかく、師匠の恋路は普通の者が抱くそれと大差はないのでしょう。私はこれまで師匠を、「かつては神童と呼ばれた魔法使い」や、「魔法以外の事はヘマが多くて何度も迷惑をかけてきたクソ女」として見てきました。しかし、こうしてお互いにオナホールになった今は、その師匠に対して親近感を覚えます。
『えっ……ちょっと待ってください!? 私……師匠の乙女心の道連れとしてこんなおもちゃに変えられたんですか!? そもそも……この「お仕置き」っていつまで続くものなんですか!?』
オナホールとしての渇望を口にし続けているローレン師匠と、師匠の師匠として説教を始めたセオドリック大師匠、その間を割るように私が叫びました。親近感を覚えるとはいえ、先輩の暴挙の巻き添えを被るのには慣れているとはいえ、いつまでもこのおもちゃの姿でいるのはごめんです。仮に一生このままの姿だとしたら……それはそれで……いえ! 狐獣人の魔法使いのエイラとしては、黙って受け入れる事などできません!
『セオドリック様……♡ 今度は私を犯してくださいまし……♡ オナホール105番ちゃんとオナホール106番ちゃんばかり……贔屓はズルいですよ……♡』
『セオドリック大師匠……♡ 今度はボクがいいなあ……♡ 何回でも……ただのおもちゃであるボクを……オナホール85番を使ってください……♡』
私の叫び声に触発されて、私の周囲で肉棒を模した台座に突き立てられているオナホールたちが、一斉に体をくねらせながら艶めいた声で大師匠にねだり始めました。彼女たちを見渡すと、ローレン師匠と同じく「女の顔」をしています。もっとも、私を含め、今の私たち全員は女というよりもおもちゃであるオナホールですが。
『師匠たち……姉さんたち......静かにしてください……! 今……セオドリック大師匠に話しかけたのは……私です……!』
私は滑稽なおもちゃの姿である師匠たちや姉弟子たちに呼びかけましたが、欲を満たそうとするなまめかしい声色の不協和音が収まる気配はありません。
『もう一回……私を犯して……♡ オナホール105番を使って……♡』
『もう……! 師匠までそんな事言って……!』
「みんな、静かにしてほしい。オナホール106番は初めてだから、説明が必要だ」
セオドリック大師匠のその言葉で、オナホールたちは沈黙しました。しかし、彼を見つめる視線に渇望が乗せられているのはそのままです。ここにいるおもちゃたち全員が、セオドリック大師匠の虜なのでしょう。そして、正体を明かす前から変わらず、私の事は「オナホール106番」呼びです。
「オナホール106番、恐れる心配は無用だ。不出来な直弟子や孫弟子はここでしばらくの間『お仕置き』した後に、開祖である僕が直々に魔法使いとして本来あるべき教育を施す。僕としても、弟子を玩具のままにしておくつもりはない」
『なるほど……』
私へと投げかける大師匠のその言葉と微笑みに、嘘や誤魔化しの類は見受けられません。それによって、私の心にはいくらかの安堵が生まれました。
いくら開祖といっても、いたずらに不出来な弟子を口減らしするつもりはないのでしょう。むしろ、大師匠から直々に修行を受けられるのは、魔法使いとして非常に恵まれた機会です。とはいえ、ですよ。
『大師匠……いくらその「お仕置き」とはいえ……私たちをこんな恥ずかしい格好のおもちゃに変えるのはどうしてですか……?』
「君たちの頂点に立ち、魔法使いとして模範的な行動を続けなければならない僕にだって、人並みの欲くらいはある。僕の魔法でオナホールに変えられて、文字通り手も足も出ずにみじめな玩具として僕に汚されるのは、こちらとしては加虐心が満たされる」
『…………』
笑みを増して返答する大師匠から視線を落として、私はこれみよがしに大きなため息をつきました。まさに、セオドリック大師匠はローレン師匠の師です。酒場で聞いた噂話によると、大師匠のかりそめの姿である初老の竜人は博徒として金品を得ているとの事です。私たち魔法使いが平和と正義の使徒ではなく、魔法とそれに準じるものに対して自己研鑽を続ける探究者とはいえ、セオドリック大師匠もローレン師匠と同じく煩悩まみれのようです。
「これで君の心配は消えたはずだ、オナホール106番。今は心置きなく、オナホールとしての本望を言うんだ。ここでの戯れは、僕の流派の者しか知らない。あの酒場の者たちの記憶も消してある」
『…………っ!?』
その言葉で、私は大師匠へと見上げ直しました。その時です。大師匠の優しく微笑んだ両目を見た瞬間、私の中でのたうち回る欲望が、突如として勢いを高めました。
これは間違いなく、魅了の魔法です。何年も大師匠を想っていたローレン師匠はともかく、あの腕利きであるベランシェール師匠やデルフィーナ姉さんまで身も心もおもちゃとして堕落したのはこれが理由でしょう。私は咄嗟に大師匠から顔を背けました。
『私は……そういうのは間に合っています……!』
「恥ずかしがる必要はない。僕は僕の弟子に楽しんでもらいたいだけだ。いや、先ほど本心を語ってしまったな」
『大師匠……今すぐ私をもとに戻して……魔法使いとしての稽古をつけてください……! 私はそっちの方が嬉しいです……!』
『オナホール106番……今の私たちは……ただの何もできないおもちゃ……♡ あなたもみんなと同じオナホールとして……セオドリック師匠のおもちゃである事を受け入れて……♡』
『うるさい……! バカ師匠……!』
「オナホール105番の言う通りだ、オナホール106番。君は何か勘違いしている」
その言葉の直後、不可視の力が私へと襲来し、私の首を無理矢理に正面へと向かせました。そして、かすかに顎を上げさせます。それにより、私はセオドリック大師匠と再び目が合いました。瞼を閉じようとしましたが、それもまた見えない力によって阻まれました。これらは間違いなく魔法でしょう。
「オナホール106番、君の所有者である僕が命じる。君の本望を口にするんだ。決して悪いようにはしない。それは開祖である僕が保証する。さあ、君の望みは?」
『んぐっ……! ぐっ……! 私は……!』
大師匠から発せられる魅了の魔法は、先ほどよりも威力が増していました。ただのおもちゃである今の私にはそれを防ぐ手立てはありません。悔しいですが、本来の私の心がそのままであるのは、ここまでのようです。
しばらくオナホールとして大師匠に犯されたなら、もとの姿に戻してくれるらしいので、それに期待する事にしましょう。そもそも、私が今ここにいるのは、ローレン師匠と共に繰り広げた数々の向こう見ずな行動の結果です。自業自得の結末がこの程度で済むのなら、安いものなのかもしれません。それにしたって、大師匠の言いなりになるのは癪ですが。
私は、私のおもちゃとして弾力がある頬にうっすらと涙が伝うのを感じました。セオドリック大師匠が私へと向ける慈しみの眼差しは、私の中の欲望という炎に油を注ぎ続けます。私の心はもう、私ではないようです。悔しいですが、恥ずかしいですが、これこそが私の本望です。
「オナホール106番、君は僕に何をされたい?」
『んんんんんんっ……!!』
その質問によって、私はおもちゃとしての体を大きくのけ反らせて絶頂しました。男根の台座に突き立てられた状態の体を何度もくねらせ、塞がれた穴の隙間から体液を撒き散らし、おもちゃとしての快楽を全身で享受します。やはり大師匠の魔法によって、頭がおかしくなってしまったようです。私は絶頂しながら、ちっぽけなおもちゃなりの大声で宣言しました。
『ああ……! ああ……ああ……! セオドリック大師匠……! 私を何度でも使ってください……! 私は……エイラは……! いえ……オナホール106番は……♡ ただのおもちゃ……♡ ただのオナホールです……♡』
私の中で溢れかえる本音を叫んだ瞬間、心の中でかろうじて形を保っていた何かが完全に崩れ落ち、何かに生まれ変わりました。それがなんであったのか、何に変わったのか、今の私には知る術はありません。
なぜなら、今の私はオナホール106番だからです。ただの慰め物である私は、おもちゃとしての考え方と感じ方しか持ち合わせていません。それこそがオナホールとしての本懐であり、私の、オナホール106番の本望です。
私は師匠であるオナホール105番や、他の師匠や姉弟子であるオナホールたちと同じになれた事を、心の底から喜ばしく思います。やっと私も、自分の気持ち、オナホールとしての気持ちへ素直になれました。言葉通りこんなに気持ちいい事なら、さっさと大師匠やオナホール105番の忠告を聞いておけばよかったです。しかし、無意味に拒否し続けて結局はただの何もできないおもちゃである事を受け入れたからこそ、この甘美な快楽があるのかもしれません。
『はぁぁ……♡ ああ……♡』
ひとしきり絶頂しながらよがったあと、私はゆっくりとオナホールとしてのもとの姿勢に戻りました。私はオナホールですから、いつでも犯されてもいいように背筋を伸ばしておかなければなりません。気持ちよく使ってもらう事こそが、オナホールにおける最高の気持ちよさです。
『オナホール106番……オナホールとしてちゃんと言えて偉い……♡ オナホール106番も立派な……ただの何もできないオナホール……♡ 私のおかげでオナホールになれた事に……感謝して……♡』
横を見ると、師匠であるオナホール105番は私の顔を眺めて、誇らしげに讃えてきました。誰のせいで私までオナホールになったのか、オナホール105番は理解していないようです。
『うるさい……♡ バカ師匠のオナホール105番……♡ オナホール105番も……ただのおもちゃのオナホールです……♡ 私の方がオナホール105番よりも……きっと絶対多く犯されるはずです……♡』
私は照れ隠しを含めて、オナホール105番から顔を背けてそのような言葉を返しました。本当は、オナホール105番のおかげでオナホールになれた事を心の底から感謝しています。そして、先ほどのようにオナホール105番と一緒に大師匠の二本の男根でそれぞれ犯されたいと願っています。しかし、今までオナホール105番にかけられた迷惑を考えると、そこはどうしても素直になれません。
「師弟で喧嘩をするのは感心しないな。『お仕置き』は一週間程度で済ませるつもりだったが、君たちは最低でもひと月はこのままにしておこう。それから、君たちは先ほど使ったから、しばらく見物してもらう。そうだな、オナホール68番、オナホール102番、君たちの番だ」
『ああ……♡ 大師匠さま……ありがとうございます……♡』
『いっぱい……いっぱい……犯して……汚して……♡』
私とオナホール105番が見上げる先で、大師匠に体を掴まれただけで絶頂するオナホール68番とオナホール102番が通過していきます。オナホール102番の股間から飛び散った雫を顔につけた私は、オナホール105番に向き直って怒りを露わにしました。
『もう……オナホール105番のせいで使ってもらえませんでした……♡ いつもみたいに私に迷惑をかけて……♡ やっぱりオナホール105番は……犯されて気持ちよくなる事しかできない……ただのオナホールです……♡』
『私だって……大師匠に犯されたかった……♡ オナホール106番はいつも……私の考えを理解しない……♡ やっぱりオナホール106番も……おもちゃとしていっぱい吐き出される事しかできない……ただのオナホール……♡』
お互いの台座に突き立てられたままで、私とオナホール105番は体をくねらせながら口喧嘩を繰り広げます。しかし、お互いにただのオナホールなので、言い争いは本望の吐露に変わっていきます。
『私は……オナホール106番と一緒に大師匠に犯されたい……♡ だってオナホール106番は……私の大好きな愛弟子だから……♡ オナホール106番と一緒にオナホールになれて……私はオナホールとして幸せ……♡』
『私だって……オナホール105番と一緒に大師匠に犯されたいです……♡ だってオナホール105番は……私の大好きな師匠ですから……♡ オナホール105番と一緒にオナホールになれて……私だってオナホールとして幸せです……♡』
こうして、師弟オナホールである私たちは、時間魔法に長けた大師匠から一日に最低でも二回は犯されて、時折口喧嘩を繰り広げながら、ふた月ほどオナホールである事を心の底から楽しみました。
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「言い忘れていたが、ローレン、エイラ。二人とも、数ヶ月前とは別人のようだ。しかも、師弟としての絆がその風貌から感じ取れる」
お屋敷の正門の前まで見送りに来たセオドリック大師匠に向かって、朝日の方角へ歩き出していた私とローレン師匠は振り返りました。私と師匠は大師匠に微笑んだのち、私もローレン師匠もお互いにお互いの顔を見つめながら短く鼻を鳴らしました。それから、視線を大師匠へと戻します。
「次にここへ来る時は、私は大師匠の隣にいても恥ずかしくない大魔法使いになる。だから、大師匠。それまで待ってて。まずは、ちょっと短気でおバカな弟子を、どこの場所でも一流として扱われる魔法使いにしてくるから」
「私は、次にこのお屋敷を訪れる時は、私自身の目標を見つけた時です。その際は、大師匠。ご指導をお願いします。それまでは、師匠として色々と至らないおバカな師匠が、誰からも尊敬される大魔法使いになる手助けをします」
私と師匠はもう一度見合って、またもやお互いに鼻を鳴らしました。しかし、これは私と師匠の間で確かな絆があるからこそできる嘲笑です。あの恥ずかしいおもちゃにされていた約ふた月の間や、それからの大師匠による猛特訓の中で、ローレン師匠の思考と感情はここへ来る前よりと比べて何倍も読み取れるようになりました。
もちろん、それに関して魔法を使う事はありません。あの天国のような快楽漬けの日々も、地獄のような魔法使いとしての修行の日々も、私と師匠は隣り合って過ごしたのですから。それから、ベランジェール師匠やデルフィーナ姉さんから、「他言はしないでくれ……私はみなが憧れる義賊のままでいたい……」や「絶対言うなよ! 部下の野郎どもにあんな事なんて絶対知られたくねえ!」と泣きつかれた時も一緒でした。
「君たちは、君たちが考えている以上に、魔法使いの師弟として名声を得るかもしれない。君たちの師として誇らしく思う。その心意気を忘れずに」
「分かった、頑張る」
「もちろんです! 大師匠!」
そう交わしたあと、私とローレン師匠はセオドリック大師匠に背を向けて再び歩き出しました。優しい朝の風が、私たちの衣服や毛並みを撫でます。これからも、私たちには困難や苦難が降りかかるでしょう。しかし、師匠と一緒ならば、それくらい楽しみながら乗り越えられる気がします。
「「あっ」」
私も師匠も、思い出したのは同時でした。私も師匠も、その仕草を目にして怪訝そうな顔つきを浮かべる大師匠へと振り返ります。
「魔法使いとしてたくさん頑張ったら、またオナホールにして犯してくれる?」
「私も……やっぱりあの気持ちよさが忘れられません……」
師匠は全く恥ずかしがる様子を見せず、私は顔に熱を感じました。結局、私たち師弟は、心の底はオナホールのままです。これは死ぬまで直らないのかもしれません。だって、ただのおもちゃとして犯されるのは、あんなに気持ちよかったのですから。
「ローレン、エイラ。君たちには修行が足りなかったようだ」
「エイラ、逃げる準備はいい? 大師匠はああ言ってるけど、龍神の血を引く竜人は特に所有欲が激しいから、きっと叶えてくれる」
「はい! 師匠! 苦楽を共にした師匠となら、どこへでも!」
私たちは走り出しました。もう振り返る事はありません。息を切らして全速力で駆けながら、朝日に照らされた私とローレン師匠は大声で笑い合いました。
了
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