「まだまだ治るのに時間はかかりそうだな。様子見のために、一週間後にまた来なさい。」
「ありがとうございます…。」
包帯の巻かれた腕を担当医にてきぱきと診てもらいながら、僕はため息をついた。
数週間前、自転車で盛大に転んだ僕は腕を折ってしまった。
水球部のエースとして活躍していた僕だったが、腕が折れてしまっては何の役にも立たない。
早く治して、エースに復帰しなきゃいけないのに…。僕はもどかしさのあまり、折れた腕を忌々しげに見つめた。
受付で会計を済ませ、力なく僕は病院を出た。
後ろの看護婦達が、怪しい目でこちらを見ていることも知らずに…。
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一週間後。僕はまたもや病院に来ていた。
しかし…いつもとどこか様子が違う。病院全体が薄暗く、看護婦達も患者達もどこか目が虚ろだ。
少し不安になっていると僕の名が呼ばれ、診察室に案内された。
「…ふむ、素晴らしい。」
…担当医も、一週間前に比べてどこかおかしい。
なんというか目に光が灯ってない感じがするし、おまけに…僕の腕以外の場所も執拗に触ってくる。
「あ、あの…」
「流石は育ち盛りの高校生で、水球部のエース。筋肉もほどよく付いてるし、身体もしなやかでかなりの運動神経もありそうだ。なるほど、コンピュータが弾き出した通り、私の患者の中で一番『素体』に相応しい。」
「素体って何言って…ひゃあっ!?」
何やらおかしなことを言い出す医者に疑問を口にした瞬間、なんと彼は僕の股間を揉んできた。
すると僕の情けない叫び声を合図にするように、後ろにいた看護婦二人が僕を凄まじい力で羽交い締めにする。
こんな…こんなの絶対におかしい!!!
「ククク…君も私のように怪人になるのだ。見せてやろう、私の正体を!!!」
すると彼は目の前で手をクロスさせ…
「フラ〜イ!!!俺様は怪人テレビバエ!!!偉大なるデストロンにより改造されたのだ!!!」
二つのテレビが顔についた、不気味な蠅の怪物に姿を変えた。
「「「ギーッ!!!」」」
すると同時に、僕を羽交い締めにしてきた看護婦達も奇声を上げてサソリが象られた黒い全身タイツ姿に変わっていく。
「ば、化け物…」
「フラ〜イ。心外だな、貴様も俺様と同じ上位存在である怪人に改造されるのだぞ。誇りに思い、デストロンに忠誠を誓うのだ。」
「だ、誰が忠誠なんか!!!」
「じきに貴様にも分かる。この身体の素晴らしさがな。よく見ろ。フラァァァイ…」
そう言うと、テレビバエの目の液晶がチカチカと光る。
絶対に見たらまずいものだ。
そう思っても、何故か目を逸らすことはできない。
いや寧ろ、自分から僕は彼の身体を眺めていた。
「コイツの服を脱がしてやれ。」
「ギーッ!」
テレビバエが命令すると、女戦闘員達は僕のズボンを下げてきた。そこには…
「フラ〜イ。貴様、何勃起しているのだ?」
「えっ…。」
ビンッ!と僕のペニスがそそり勃っていた。
僕は…目の前の怪人に興奮しているのか!?
「まぁいい。今から貴様に、コイツの遺伝子を組み込んでやる。」
そうテレビバエが言うと、戦闘員達が何やら巨大な水槽を運んできた。
その中で泳いでいるのは…大きなイカだ。
「喜べ!貴様は今からコンピュータの計算により、イカと火炎放射器を合成させた改造人間『イカファイア』に改造されるのだ!!!」
『イカファイア』…。頭の中で何度もその単語が響く。
目の前にはぬらりと妖しく光りながら泳ぐ、僕と合成される予定のイカ。
嫌なはずなのに。僕はいつの間にか興奮で息を荒げ、先走りを滝のように流していた。
「さぁ、デストロンの為、そこの手術台に横になるのだ。」
駄目だ。駄目なのに。
「承知致しましたテレビバエ様!全ては偉大なるデストロンの為に!!!」
僕は忠誠の言葉を口にして手術台に横になる。
そんな僕に、テレビバエ様は楽しそうに機材を取り付けていった…。
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「さぁ目覚めよイカファイア!!!」
テレビバエに、俺様の名前が呼ばれる。
俺様は立ち上がり…
「イカー!!!俺様は怪人イカファイア!!!偉大なるデストロンに忠誠を誓います!!!」
右手を水平に上げて敬礼し、産声を上げた。
イカのような胴体に吸盤のついた触手、身体中に取り付けられた無数のチューブ、折れた腕に取り付けられた火炎放射器…。ふむ、なんと素晴らしい、俺様ぴったりの身体だ。
『誕生おめでとう、改造人間イカファイアよ。』
「イカーッ!!!」
病院に飾られたサソリのレリーフから大首領様の声が響く。
俺様やテレビバエ達は、再度敬礼し頭を下げるのだった。
『早速作戦実行に移ってもらう。憎きV3を殺すのだ!』
「はっ!!!」
首領様からのご命令に俺様は絶頂してしまいそうになる。
これからの残虐な行為を想像し、俺様は興奮で息を荒げてしまうのだった。
「フラァ〜イ。良い身体に改造されたではないか、我が同胞イカファイアよ。」
テレビバエが俺様の股間をスリスリと弄ってくる。それだけで、俺様は甘い喘ぎ声を漏らしてしまう。
「イカァ…❤️せっ、先生のおかげですっ❤️」
「『先生』ではない。俺と貴様は同じデストロンの機械改造人間どうしなのだ。『テレビバエ』と呼べ。敬語も不要だ。」
「イッ…❤️そうだったな、テレビバエ❤️」
そう言うと俺様は、イカの噴射口のような口でテレビバエの蝿のような口に口付けをする。
ネットリとした非常に粘度が高い粘液どうしが混じり合い、ネチョネチョとした奇怪な音がアジト内にこだました。
『早速テレビバエとお楽しみなようだな、イカファイア。貴様はテレビバエとコンビを組み、作戦の実行に尽力するのだ。』
「ははっ‼︎」
大首領様からお声がかかる。
俺様を映えあるデストロンの改造人間にしてくれたこんなに魅力的なテレビバエとコンビが組めるのか。
その喜びで、俺様は肉棒からネットリと粘液を垂らした。
『貴様を洗脳・改造するに至って、貴様の脳内にはテレビバエが撮影したライダーV3の戦闘データが入っておる。コンピュータでは奴の倒し方を解析できなかったが、上手く活用するといい。』
「イカーッ!!!」
ライダーV3…。偉大なるデストロンに逆らう愚か者だということは洗脳時俺様の脳内にハッキリと刻まれている。
こんな奴を許しておくわけにはいかない。
そんな闘志が、俺様の中でメラメラと湧き上がった。
「ではイカファイアよ。早速お互いの親睦を深めるため、互いに愛し合おうではないか。」
「イカァ…❤️いいだろう。お前に改造された俺様のテク、とくと味合わせてやろう。」
そう言って俺達は抱き合い大きくなった股間を擦り付け合いながら、テレビバエの個室へと向かうのだった。
こうしてすっかり普通の男子高校生から醜悪な悪の怪人へと生まれ変わってしまった俺だったが、ライダーによる必殺技でテレビバエと共に仲良く地獄に葬られるのだった。