虎獣人の俺が、大嫌いな熊獣人の同級生とAV撮影に誘われる話

  ☆

  「虎沢! なんで、お前がこんなところにいるんだよ!」

  「うるせぇ、熊倉! これはこっちの台詞だ!」

  それは部活帰り。

  校門でばったり出くわした虎獣人の俺と、仲の悪い熊獣人の熊倉とが、当たり前のようにお互いの胸ぐらを掴みあっている時だった。

  「……ちょっとそこの2人。自分らええガタイしとるが、AV撮影に興味なんかないか?」

  この辺りでは見かけたことのない大柄な猪親父が、にやにやと笑いながら俺達に声をかけてきたのだ。

  「「ああ?」」

  機嫌の悪い俺達が睨みつけるが、猪親父は怯みもせずに言葉を続ける。

  「AVや、AV。わし、AVの監督をしとるんやけど、エロの撮影に出演してくれる若い子を探しとるんや。ほれ、これ名刺」

  ずうずうしくも、ずい、と名刺を差し出してくるので、俺はその勢いについ受け取ってしまう。

  『猪村権三郎』という文字の上には、俺の知らないAVメーカーの名前が書かれていた。

  「『A Factoty』……。熊倉、知ってるか?」

  「いや、知らん」

  後ろから覗き込む熊獣人に聞くと、ぶんぶんと首を振る。

  「なんや、2人とも知らんのか。アニマルファクトリー言うたら、この手の業界ではけっこう大手なんやで」

  大仰に天を仰いで見せる猪親父。

  「2人ともエロ動画とかは見ぃひんのかいな。最近の高校生はウブやなぁ」

  「い、いや、そんなことはねえけどよ。なあ、虎沢」

  「ああ」

  喧嘩をしていたというのに、いつの間にかこのおっさんのペースに乗せられて、俺達は普通に会話をしてしまう。

  「自分ら、ちょうどわしのイメージにぴったりでな。厳つくてガタイがええ。どうや、エロ動画に出演してみんか? ちゃんと目には線を入れて、学校にはばれんようにしたるさかい」

  「「……」」

  俺達は思わず顔を見合わせる。

  「そうそう、バイト代ははずむでぇ」

  そう言って猪親父が提示したのは、有名な新型スマホが簡単に買えるほどの金額だった。

  「……」

  俺は胡散臭いと顔をしかめておっさんを見るが、熊倉はそうは思わなかったようだ。

  「まじかよ!」

  弾んだ声で、おっさんの言葉に食いついたのだ。

  ……こいつ、やっぱり単細胞だな。

  前から頭を使うことを知らない、阿呆な奴だとは思ってたんだ。

  「俺、ちょうどスマホが壊れかけて困ってたんだ。助かったぜ!」

  「そうかそうか。ちょうどええやないか。……そっちの虎の坊主はどうや?」

  「俺はそんなの……」

  きっぱりと断ろうとする俺に、猪親父はいやらしい笑みを浮かべる。

  「わしについてきたら、気持ちええことたんまり出来るでぇ。なにせエロ動画の撮影やからな」

  「……あ」

  ごくり。

  俺は思わず唾を飲み込んでしまう。

  ……そうか。AVということは。

  ……ひょっとして、女とセックスできるんじゃね?

  そこに思い至っただけで、俺の鼓動がバクバクと早くなる。

  ……これは、脱童貞のチャンスかもしれねえ。

  悔しいけど、俺は童貞なのだ。

  俺は虎獣人らしく、ガタイもデカいし、ごつくて荒々しい顔をしているから、学校の女子も怖がってあんまり近づいてこない。

  だからといって、風俗に行くほどの小遣いも貰ってねぇ。

  もっぱら右手が俺の恋人だ。

  エロ動画を見て、女のアソコに突っ込むことを考えながら、毎日しごく日々。

  だから、エッチできるかもと考えただけで、俺のちんぽが反応しちまった。

  「なんや、2人ともOKみたいやな」

  「「へっ?」」

  2人とも顔を見合わせて首を傾げると。

  「自分らの息子が嬉しそうに反応しとるやないか」

  「「あ……」」

  猪親父が指差すのは2人の股間。

  俺と熊倉の逸物は、ズボンの上から見ても明らかに勃起していた。

  「そうと決まれば、善は急げや。このまま、わしについてきてな。近くに撮影向きのちょうどええホテルがあるんや」

  ☆

  結局、俺は促されるまま、猪親父の後をついていった。

  熊倉と一緒に。

  実のところ、俺はこいつが嫌いだ。

  理由なんてあるわけじゃない。

  単に相性が悪いんだろう。

  あいつも俺に対して同じように感じているらしくて、学校でも顔を合わせると、ついいがみ合いになってしまう。

  殴り合いの喧嘩をしたことも、数えきれない。

  うちの学生で、俺達の不仲を知らない奴はモグリだ、なんて言われるぐらい。

  だから、普段はなるべく近づかないようにしているのだ。

  さいわいクラスは違うし、部活動だって俺はラグビー部で、あいつは柔道部。

  そうそう顔を見ることもないんだが、今日はたまたま部活帰りにかち合ってしまって。

  口論していたところに、このおっさんに声をかけられたというわけだ。

  ……熊倉は女とやったことがあんのかな。

  俺はウキウキした様子で隣を歩く熊獣人の様子をうかがい見た。

  こいつも俺と同じように岩の塊みたいないかつい体をしているし、顔だって芋っぽくて決して格好いいとは言えないはずだ。

  決して女受けがいい方じゃない。

  ……きっとこいつも童貞に違いない。

  じゃないと……なんか悔しいじゃねぇか。

  ☆

  「おう、ここやここ」

  猪親父はがちゃりと扉を開け、ホテルの一室へと俺達を誘う。

  その部屋には男4人が並んで寝ても大丈夫なほどに広いベッドが置かれ、その周囲にはビデオカメラや照明器具が配置されていた。

  すでに撮影の準備は出来ているのだ。

  「ほんまは別の撮影に使う予定やったんやが、急にモデルがキャンセルになってな。どうしようかと悩んどったら、自分らを見かけてな。ほんま、わしは運がええわ」

  ホクホク顔で話す猪親父に、熊倉がせっつくように言う。

  「おっさん、そんなことより先に金くれよ!」

  「おお、そうやったな」

  おっさんは懐から封筒を取り出すと、俺達に渡してくれる。

  「うわっ、まじで万札いっぱい入ってるじゃん!」

  はしゃいだ声をあげる熊獣人。

  「これで文句ないやろ。ほな、2人ともパンイチになってベッドへ上がってくれや」

  「おうっ!」

  熊倉はあっさり学ランを脱ぐと、さっさとベッドの上に上がった。

  部活帰りだからか、制汗剤の中から漂う雄の匂い。

  俺は顔をしかめて服を脱ぐと、ベッドに座る。

  

  「熊倉、お前裸になったらデブいの丸わかりだな」

  筋肉の上にうっすら脂肪が覆っているから、ぱっと見、デブに見えるのだ。

  もちろん、それは見かけだけで、その奥に隠された筋肉の層が恐ろしいほど分厚い事は、何度も喧嘩をした俺が一番知っている。

  「馬鹿、同じような筋肉デブのお前に言われたくねえよ。それにもう少し匂いに気を使えよ。お前、むちゃくちゃ汗臭ぇんだよ」

  「なんだと!」

  ……しょうがねえだろ、運動した後なんだからよ!

  「まあまあ」

  言い合いになりそうなところを止めに入る猪親父。

  「汗かいて雄臭さが増すのは悪い事やないと思うで。わしは嫌いやないけどなぁ」

  「別におっさんに好かれたって嬉しくねえよ」

  俺が吐き捨てると、おっさんは苦笑する。

  「随分な言われようやな。ほな、カメラ回そうか」

  そう言うと、おっさんは据え置かれたカメラのスイッチを入れる。

  「まずはインタビューからやな。……2人の名前を教えてくれるか?」

  撮影モードに入ったのか、少し大きな声になる猪親父。

  「お、俺は剣吾です」

  撮影に緊張しているのか、珍しく丁寧な言葉遣いの熊倉。

  「剣吾君か。ほな、虎獣人の君は?」

  「……雅樹です」

  ……あ。

  別に偽名でもよかったのか。

  今更気づいても遅いけど。

  猪親父は俺の戸惑いなど無視して、インタビューを続けていく。

  「2人は高校の同級生なんやな」

  「そうです」

  「現役高校生にしては、いかついガタイしとるなぁ。タッパもあるし。なかなか格好ええで」

  「いやぁ」

  熊倉は照れくさそうな顔をする。

  「何かスポーツでもやってるんか?」

  「俺は柔道で、こいつはラグビー」

  「お、おい……」

  ……何でも正直に言う必要はないだろうが。

  そう言いたいのだが、撮影中だと思うと、止めることも出来なかった。

  「こういう撮影は初めてなんやな」

  「は、はい……」

  猪親父の問いかけに、俺は渋々頷いてしまう。

  「2人ともガタイも良くて性欲強そうやけど、誰かと遊んだ経験はあるんか?」

  「「……」」

  突然の質問に、2人とも言葉に詰まってしまう。

  それを見てにやりと笑う猪親父。

  「その反応は、2人とも童貞なわけやな」

  「「……」」

  「けっこう、けっこう。高校生の童貞ちんぽなんて、見たいと思っとるお客さん、たくさんいてるからなぁ」

  ……ん?

  俺はその言葉に違和感を覚える。

  ……AVでちんぽなんか見たがる男、いるか?

  俺なんか、AV見てても喘ぐ女の子しか見てないってのに。

  それにこのインタビュー。

  よくエロ動画の初めに、女の子がされる奴みたいじゃねぇか。

  竿役の男にする動画なんて、見たことない。

  ……ひょっとして。

  俺の顔が強張った。

  「あの……」

  「なんや?」

  「この後、……俺達、女の子とセックスできるんですよね」

  俺の言葉に、おっさんは呆れたように笑ってみせる。

  「そんなわけないやないか。これはゲイ向けの動画なんやで」

  「えっ!」

  驚いたような顔をする熊倉。

  ……やっぱり。

  「は、話が違う!」

  「違うも何も、わしは女とセックスできるなんて一言も言うてないで」

  「……」

  おっさんの説明に、呆然とする熊獣人。

  「大体、そうでもないと、こんな高い出演料を素人に出さへんわ。ノンケの高校生が絡むところを撮影するから、奮発したんやないか」

  「……そうか、そうだよな」

  その言葉に熊倉は考え込んでしまう。

  素直と言えば聞こえはいいが、丸め込まれてどうするんだよ!

  「馬鹿、何悩んでるんだよ。やめだ、やめ!」

  俺は熊倉に言う。

  「多分このまんまだと、俺達2人で色々させられちまうぞ」

  「げぇっ」

  その言葉にのけ反る熊獣人。

  「嫌だよ、こんな汗臭い奴と」

  「汗臭くて悪かったな。俺だって嫌だ!」

  ……くそっ、人のコンプレックス刺激しやがって。

  「まあそう言わんと、頼むわぁ」

  雲行きが怪しくなってきたと分かると、猪親父は急に揉み手で低姿勢になった。

  「なんやったら謝礼もっと奮発してもええで。2倍や2倍!」

  「2倍!」

  その言葉に熊倉は目を丸くする。

  そりゃ、スマホが2台買える金額なんて、バイトしたってそうそう稼げないからな。

  でも、男同士の絡みなんか、絶対嫌だ。

  百歩譲って女の子みたいにかわいい奴ならまだしも、こんなごつい奴なんかと。

  「あのなぁ、そうは言っても……」

  俺が熊倉を説得しようとするが、そうはさせじと猪親父は執拗に言い募る。

  「なあ、頼むわ! 大体、剣吾君はスマホが欲しいんやろ。今やめてもうたら、さっきの金も返してもらわなあかんで」

  「うう……」

  「何も男同士でがっつり交尾をせえってわけじゃないんやで。そりゃやってくれたらうれしいけど……」

  「……」

  ……誰がするか、そんなこと。

  「ちょっとキスして、フェラの一つでもして相手をイカしてくれたら、それでええんや! それだけで謝礼倍なんやで! なあ、わしを助けると思って!」

  この通り、と両手を合わせて熱心に俺達を拝みだす猪おっさん。

  ……いやいや、こんなところで仏心なんて出すわけねえだろ。

  大体、なんで大嫌いな熊倉としなきゃいけねえんだ。

  俺は渋い顔をしたまま、その場に立ち上がる。

  「俺はごめんだね。……行こうぜ、熊倉」

  だが。

  がしっ!

  そのまま服を着ようとする俺の腕が急に掴まれる。

  それは熊獣人の掌だった。

  「おい、熊倉。何してんだよ」

  呆れたような俺の顔を見つめる熊獣人の目は真剣だった。

  「頼む! 俺どうしてもスマホを買い替えたいんだ! もう画面もバキバキだし、いつ壊れるかわかんねんだよ!」

  「はぁ?」

  ……お前、馬鹿かよ。

  「だから、少しでいいから付き合ってくれ! 頼む、虎沢!」

  そう言って頭を下げる熊倉。

  「……」

  俺はこいつのこんな一生懸命な顔を見たことがなかった。

  ……そりゃ、柔道部なんか入っていたら、バイトする暇もねえのはわかるけどよぉ。

  「……あのなぁ。自分が何を言ってるか……」

  「頼む!」

  ついにはその場にベッド上にしゃがみ込んで、頭を布団に擦り付け始めたのだ。

  ……こいつ、土下座までするなんて。

  俺の事を天敵みたいに忌み嫌ってるはずなのに。

  「……お、お前、何言ってるのかわかってんのかよ! こいつは俺らにキスとフェラをしろって言ってるんだぞ。俺はやだよ」

  「俺だって嫌だ!」

  土下座をしたまま断言する熊獣人。

  「だったら……」

  「でも、どうしてもスマホが欲しいんだよ! 頼む、虎沢、頼むから……」

  「……」

  馬鹿げているとはわかっていた。

  だが、ほだされてしまったとでもいうのだろうか。

  正直、こいつの事は大嫌いだが、その実力だけは認めていた。

  俺と互角に喧嘩できるぐらいの腕っぷし。

  どれだけ殴られても食らいついてくるタフな男。

  そんな熊倉が、こんなしょうもない事で土下座なんてみじめな姿を見せているところを、俺はこれ以上見たくなかったのだ。

  「……しょうがねえ。……貸し1つだからな!」

  ☆

  「ほな、とりあえず2人でちゅーしてもらおうか」

  「……」

  諦めた俺の顔を見て、おっさんは嬉々として撮影を再開させた。

  インタビューの続きが終わると、猪親父はそう言い、俺は嫌々ながらベッドに上がる。

  あぐらを掻いている熊倉の正面に近づくと、むわっとした雄の匂いが俺の鼻を刺した。

  ……うげ。

  口には出さないが、知らず知らずのうちに俺は顔をしかめてしまう。

  熊倉も同じような顔をしているのは、汗臭い俺の匂いに辟易しているんだろう。

  ……しょうがねえだろうが。俺だって好きで汗っかきになってるわけじゃねえんだよ。

  「おいおい、虎沢君。もうちょいカメラを意識してくれへんか? 自分が真正面におったら、キスしてるところが映らへんやないか」

  「……」

  監督らしいおっさんの言葉に、俺は仕方なく従う。

  カメラの正面を開け、俺達は向かい合った。

  「……おい、虎沢。お前キスしたことあんのかよ」

  小声で話しかけてくる熊獣人。

  「ねえよ。……熊倉は?」

  「俺はあるぜ」

  小生意気にも、へへっと笑ってみせるその姿に俺は思わずカチンと来てしまう。

  「だ、誰とだよ!」

  思わず聞き返すと。

  「近所のみーちゃんだよ」

  「誰だよ、それ……」

  「隣の家の飼い猫だよ」

  「ぷっ」

  ……やっぱり、こいつ馬鹿じゃねえか。

  「な、何がおかしいんだよ!」

  突然噴き出した俺の様子に、熊倉はむきになったように怒り出した。

  「当たり前じゃねえか。そんなの、キスのうちに入んねえよ」

  「……あのなぁ」

  カメラの向こうでため息をつく猪親父。

  「漫才してるんとちゃうんやで。いい加減キスしてくれや……」

  「……わ、わかった」

  そう詰められて、緊張した顔で俺の体をがっしりと掴む熊獣人。

  「……すまん。目を閉じといてくれたら俺が勝手にやるから」

  一応、単細胞なこいつでも、巻き込んだことは悪いとは思っているらしい。

  ……案外、気が回るんだな。

  俺は言われたとおりに目をつぶると、唇にかさついた感触が感じられた。

  ……うぇ。

  目を閉じていても、自分の顔が強張るのがわかる。

  濃い雄の匂いで、相手が熊倉だと嫌でもわからされるのだ。

  ……俺のファーストキスはこいつかよ。

  正直、嫌悪感を押さえつけるので精一杯だった。

  この撮影が終われば、すべてを忘却の彼方に葬ることを俺は必死に誓う。

  「唇をくっつけてるだけじゃあかんで。舌を差し入れんかい!」

  にゅるんっ。

  「んんっ!」

  おっさんの厳しい演技指導に、熊倉が俺の口に舌を捻じ込んだ。

  生まれて初めて口に感じる生温かく濡れた感触。

  ガムでも噛んでいたのか、ミントの味をかすかに感じた。

  「そうそう。口の中で舌を動かすんや。優しく搔き回したり、舌と舌を絡めたり……」

  熊倉は、逐一おっさんの言う通りに舌を動かす。

  荒々しいその動きを目をつぶったまま受け止めていると、なぜか自分が雌になったような気さえした。

  ……気持ち悪ぃ。

  なんか悔しくなった俺は、目を開ける。

  そこにはじっと俺の様子をうかがっている熊獣人の姿があった。

  ……こいつ、ずっと俺の顔を見ていたのかよ。

  こっぱずかしくなった俺は、そのごつい体を掴むと、ベッドの上に押し倒す。

  「な、何すんだよ!」

  「なんでお前ばっかりリードしているんだよ! 今度は俺にもやらせろよ!」

  こいつとキスするなんて、気持ち悪くてしょうがねえけど、やられっぱなしは気に喰わねえ。

  俺は熊倉を押さえつけたまま、マズルをその唇に押しつけ、舌を潜り込ませた。

  ぬちゅん、ぬちゅん。

  内心、げぇっと思いながら、負けたくない一心で俺は熊倉にやられたような舌での愛撫を始める。

  歯列を撫で、口の粘膜を掻き回す。

  荒々しく攻めていたのが嘘のように、おずおずと引っ込もうとする熊獣人の舌を俺は無理やり絡みつかせて引っ張り出す。

  そして、俺の口に連れ込むと、歯で甘噛みをしながらかわいがってやる。

  ……どうだ、俺の方がうまいだろう!

  「ええやないか! ばっちりやで。……次はフェラやな」

  おっさんの言葉に、俺は思わず口を離す。

  俺と熊倉の口を、銀色に光る唾液の橋がわたっているのに気付いて、慌てて口を拭った。

  ……最悪だ。

  勢いでやっちまったけど、俺、熊倉とキスしちまったんだ。

  げんなりした顔の俺に、指示を出す猪監督。

  「じゃあ、虎沢君が熊倉君のちんぽをフェラしてな」

  「お、俺からかよ?」

  戸惑いの声をあげる俺に、にやにやと笑って言い聞かせる猪親父。

  「そりゃあ、熊倉君はスマホが欲しいから最後まで付き合ってくれるやろうけど、自分は抜いてすっきりしたら、そのまま逃げだすかもしれんからなぁ」

  「……」

  ……よくわかってるじゃねえか。

  「ほな、撮影再開な。虎沢君が、熊倉君のパンツをずらして、ちんぽをしゃぶってくれ」

  「……」

  ……くそっ!

  多分人生で一番の後悔をしながら、俺は体を起こそうとした熊倉を、もう一度乱暴にベッドに押し倒した。

  

  「なにすんだよ!」

  「うっせぇっ、じっとしてろ!」

  ……体を起こしたら、俺がフェラするところを見られちまうじゃねえか!

  俺はよれよれでどこか湿ったトランクスを掴むと、無理矢理引き下げた。

  ぶるんっ。

  その勢いに、すでに完勃ちしたちんぽがバチンと腹を打つ。

  「……しっかし、お前のちんぽ、バケモンだよな」

  「すげぇだろ」

  俺は誇らしげな顔をする熊倉のちんぽを、しげしげと眺めた。

  馬鹿デカい童貞ちんぽは、生まれて初めてフェラされることに興奮して、男の俺が相手だというのにピンク色の亀頭からだらだらと先走りを流していた。

  子供の腕ぐらいの長さはあるそれは、俺のとは違ってずるむけで雁が張り出している。

  しかもかなりぶっとい。

  俺のとは段違いだ。

  いや、別の俺のちんぽが粗チンってわけじゃねえぞ。

  そりゃ、ちょっと皮かぶって短いかもしれねえが、けっこうぶっとい方だと思うし。

  多分俺がこいつに勝っているのは太さぐらいだが、その太さだってほとんど変わらない。

  ……くそっ。

  「確かに、たいした逸物やなぁ」

  猪親父も感心したように股間を覗き込んだ。

  「せやけど、こんなにデカかったら、女の中にはなかなか入らへんのと違うか? 小柄な子相手やったら、股が裂けてしまうでぇ」

  「えっ! ……そんなぁ」

  情けない声をあげる熊倉を見て、俺は笑ってしまう。

  「な、なに笑ってんだよ! いいからさっさとしゃぶってくれよ!」

  「……」

  俺は仕方なく、恐る恐る顔を近づけると、亀頭に舌をつけた。

  ……うへぇ。

  舌先に広がる塩辛い味に、俺はえずきそうになる。

  ぎゅっと目をつぶって、湧き上がってくる吐き気を必死にこらえていると、後ろから猪親父が再び演技指導を始めるのだ。

  「そうや、次はソフトクリームを舐めるようにペロペロ舌を動かして」

  ……ええい、もうっ!

  べろんっ、ぬちゅんっ、べろんっ。

  俺は自棄になったように無茶苦茶に舌を動かす。

  こうなったら、さっさと射精させた方が俺も楽になれるんだ。

  猫科特有のざらついた舌でこすっているというのに、熊倉は気持ちよさそうに気色の悪い声をあげた。

  「……すっげぇ。むっちゃ気持ちいい」

  ……こっちは気持ち悪ぃんだよ!

  悪態をつくことも出来ず、俺は必死に奉仕する。

  「今度はマズルでちんぽを咥え込むんや。いや、その前に竿を舐めとこか。長い竿を下から上に舐め上がったら、いい絵が撮れるからなぁ。そうそう、その調子や」

  俺は言われる通り、長い竿を舐め上がると、パクリと亀頭を咥え込んだ。

  「んんんっ! 虎沢の口、むっちゃ気持ちいい……」

  馬鹿の一つ覚えのように、気持ちいいとしか言わない熊獣人。

  「虎沢君、今度は口をゆっくり上下させて、口の粘膜で逸物を包み込むんや。一緒に手で竿をしごきながら……」

  「あっ、駄目だっ!」

  熊倉は急に叫び声をあげる。

  口の中で、ただでさえデカい亀頭が膨れ上がるのがわかる。

  ……まずい!

  俺は慌てて口を離す。

  「イグぅっ!」

  びゅるっ、びゅるっ、びゅるっ、びゅるっ!!

  口の中で出されることは何とか回避したが、その黄ばんで粘っこい大量のザーメンは、俺の顔をドロドロに汚してしまう。

  ……顔射されちまったじゃねえか!

  「気持ちよかった……」

  俺は汚れた顔のまま熊倉を睨みつけるが、熊獣人はとろけ切った顔で上を見上げるだけ。

  「おお、いい絵が撮れたで! 次は熊倉君の番やな。……とりあえず虎沢君はシャワー浴びておいで」

  ☆

  上半身をボディーソープで10回ぐらい洗うと、俺はタオルで拭きながら、全裸のまま浴室から出ていった。

  「虎沢、長ぇんだよ。女の風呂じゃねえんだぜ」

  熊倉は呆れたようにそんな言葉を投げかけてくる。

  「うるせぇ! お前のザーメンが粘っこくて、なかなか取れなかったんだよ!」

  ぶりぶり怒りながら、俺はベッドの上に座ると、足を投げ出した。

  猪監督は、そんな俺を見ながら言う。

  「そうやなぁ。今度は寝んと、座った姿勢のままでフェラしようか」

  「げっ! そしたら俺がしゃぶってるとこ虎沢に見られちまうじゃねえか!」

  熊倉はおっさんの言葉に顔をしかめて抗議する。

  「そこがええんやないか。恥ずかしがっとるところがあった方が、うぶな感じでええやろ」

  「……おっさん。なんか、俺の方が虎沢より扱い悪くないか?」

  「そりゃ、熊倉君はスマホ買わなあかんからなぁ。断れんのはわかっとるんや」

  「……」

  いやらしい大人の笑みを浮かべる猪親父に納得のいかないような顔をすると、熊倉は俺の股間に陣取った。

  男にまじまじとちんこを見られるのは、なんか照れくさい。

  「……へえ。虎沢のはけっこう太いんだな」

  熊倉はしげしげと萎えたままの俺の逸物を見つめる。

  「でも、長さはだいぶ俺の勝ちだな。皮だって剝けてるし」

  「うるせぇ、どうせ俺は包茎だよ」

  吐き捨てるように言う俺の股間に顔を近づけると、熊倉はうっ、と表情を歪ませた。

  「おい、虎沢。お前の股座、汗臭いままじゃねえか。風呂に入ったんだから、ちゃんと洗っておいてくれよ」

  「し、仕方ねえだろ。ザーメン取るので精一杯だったんだよ」

  一応下半身はざっと洗い流したんだが、汗の匂いは完全に取れていないようだった。

  「ちっ」

  熊倉は舌打ちすると、俺の太竿をむんずと掴む。

  「そろそろ始めよか。熊倉君はちんぽの皮を剥いて、亀頭を舐めてくれるか?」

  「……」

  おっさんの言葉に従い、熊獣人はにゅるり、と皮を剥いて先っぽを露出させる。

  ……うっ。

  濃い汗の匂いと雄の匂い、そしてかすかなアンモニア臭までが俺の鼻に届いた。

  「虎沢よぉ……」

  熊獣人は情けない顔をする。

  「せめてちんぽの皮ぐらい剝いて洗ってくれよぉ。これを咥えろって言うのかよ……」

  「……すまん」

  さすがに俺も謝ってしまう。

  だが、猪親父は嬉しそうな声をあげた。

  「いや、そのままでええ。そういうのが好きな客はいっぱいおるんや! ガチムチ高校生の臭そうな童貞包茎ちんぽやなんて、煽り文句に使えるしなぁ」

  「「……」」

  俺達は黙り込むが、おっさんは熊倉を促す。

  「ほら、さっさと舐めて。スマホ買い替えるんやろ?」

  「……」

  仕方なしに舌を出すと、熊倉は目をつぶったまま、いやいやに俺の亀頭を舐めた。

  べろりっ。

  「うっ!」

  その感覚に、俺は身震いする。

  ……すげぇ。

  その生温かく柔らかい感触は、いつも使ってるオナホなんかとは全然違ったのだから。

  

  ぬちゅ、じゅる、ぬちゅ。

  諦めたように熊倉は舌を動かし、俺の亀頭を舐め続けた。

  「んっ、んんっ……」

  その快感に、俺は堪えきれずに声を漏らしてしまう。

  ……フェラってこんなに気持ちいいのかよ。

  その舌の動きに連動するように、俺の身体がびくびくと震えてしまう。

  「そうそう、ええ感じやぞ。熊倉君、目を開けて、上目遣いに虎沢君の顔を見るんや」

  恥ずかしそうな顔でこちらを見上げる熊獣人の姿に、俺はなぜか興奮を覚えてしまう。

  それまでは半勃ちだった逸物が、一瞬でギャン勃ちになる。

  勃起しても完全に亀頭が露出しない俺のちんぽを見て、監督は再び指示を出した。

  「そのまま、唇で皮を引っ張って伸ばしてみようか」

  「お、おい……」

  ぬちゃっ、ずるうぅっ。

  熊倉はその芋臭い顔を泣きそうに歪めて、唇で柔らかく皮を噛み、ゆっくりと引っ張ってみせた。

  「ええで、ええで。そしたら、その短いちんぽを一気に咥えこんで、がっつりフェラするんや」

  おっさんの指示に従い、その大きな口があんぐりと開くと、俺のちんぽは根元まで温もりに包まれる。

  「ひゃあっ!」

  その快感に、俺は快感を訴える喘ぎ声を抑えることなんて出来なかった。

  生温かい肉の筒が、柔らかく包み込みながら俺のちんぽを刺激するのだ。

  ぐちゅっ、ぐちゅんっ、ぬちゅっ、じゅるっ、くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ……。

  「あっ! んぐっ! ああああっ!」

  自分のちんぽを咥えているのが大嫌いな熊倉だという事など、俺は完全に失念してしまっていた。

  俺は目を閉じたまま、その快感に身を委ねることしか出来ない。

  子種を搾り取ろうと竿に絡みつく粘膜に、抵抗することなどできるはずがない。

  雌を孕ますための雄汁が、熊倉の口を真っ白に染め抜こうとせり上がってくるのがわかった。

  俺は少しでもその快感を味わうために、唇を噛みしめて必死にこらえようとする。

  だが、そんな俺の我慢が気に入らなかったのか。

  少しでも早くイカそうと、熊倉は新たな刺激を俺に与えるのだ。

  ちゅるりっ。

  「ひっ!」

  口の中で皮を剥かれて露わになった敏感な亀頭。

  ピンク色のそこはきっと興奮で膨れ上がり、真っ赤になっているはずだ。

  そこを苛め抜くように、熊倉は舌と口の粘膜で何度も何度もこね回す。

  それは雌が雄に子種をねだる様な、執拗な動きだった。

  じゅるんっ、じゅるじゅるじゅるじゅるじゅる、ちゅぱ、ちゅぱ、ぬちゅんっ、じゅるじゅるじゅる……。

  「ぐぅぅぅぅぅぅっ!」

  目を閉じているというのに、チカチカと星が光っているようにさえ感じられた。

  今までの人生で体験したことないほどの快感に、俺の体はぶるぶると震えだしてしまう。

  こんなの、童貞の俺に我慢などできるはずがないじゃないか。

  金玉が、ぎゅっと締まるのがわかる。

  俺にはもう、熊倉に口を離すように言う余裕さえなかった。

  「イ、イグぅぅぅぅぅっ!!」

  びゅるるるるるるるるっ!!

  俺は熊獣人の口に、したたかにザーメンを吐き出してしまう。

  「んぐっ!」

  突然の射精に目を白黒させる熊倉。

  その喉がごくりと動くのが見えた。

  ……飲んじまったのかよ。

  「うげぇぇぇぇっ!」

  俺のちんぽから口を離すと、頭を抱える熊獣人。

  「こんな汗臭野郎のザーメンなんか、飲んじまったぁぁぁぁっ!」

  「わりぃ。あんまり気持ちよかったから、我慢できなかった」

  「勘弁してくれよぉぉぉぉぉっ!」

  ☆

  「いやぁ、なかなかええ作品に仕上がりそうや」

  おっさんはホテルを出ると、未だにフェラの余韻に浸る俺と、涙目の熊倉に追加の封筒を手渡した。

  「ありがとな。DVD完成したら、また渡しに来るわ」

  「「そんなもんいらねえよ!」」

  俺達はそっぽを向く。

  「つれないなぁ。これ絶対ヒットするから、また次の作品作るかもしれんで」

  「……そんなもん、誰が出るかよ」

  機嫌よく手を振りながら去っていく猪親父を見ながら、俺達はため息をついた。

  「……まあ、なんにせよ金は貰えたんだからよかったな」

  俺は封筒の中身を見ながら熊倉に話しかける。

  中にはきっちり倍の万札が突っ込まれていた。

  「ああ。気持ち悪いの我慢した甲斐があったぜ。虎沢にキスしたりフェラしたりなんて、途中で吐きそうになったからな」

  「それはお前だけじゃねえよ!」

  顔をしかめて俺は言う。

  「誰のために手伝ってやったと思ってるんだ! これは貸しだからな!」

  「ああ、わかってる。……でもよぉ」

  「なんだ?」

  「気持ち悪かったけど……フェラされるのは悪くなかったよな」

  「そりゃ、まあ……」

  悔しいけど、それだけは事実だった。

  

  「くそっ、世のリア獣どもは、彼女にこんな気持ちいい事してもらってるのかよ」

  「本当だよな」

  お互いにため息をつく2人。

  モテない俺達じゃ、羨むだけ無駄だというのに。

  「……帰るか」

  「ああ、そうだな」

  むなしい気持ちになりながら。俺達はそれぞれ家路についた。

  ☆

  『なあ、最近あの2人、おかしいよな』

  『ああ、昔は顔つき合わせただけで、殴り合いしてたってのに。最近はばったり出くわしても、お互いに気まずそうな顔してるし』

  教室の片隅から、またそんな噂話が聞こえてくる。

  じろり。

  つい、きつい目線でそちらを見ると、こそこそとこちらを見ていたクラスメイト達が決まり悪そうに下を向いた。

  「……はぁ」

  わかっては、いるのだ。

  あの日、AV撮影をした日から、俺達が喧嘩をすることはなくなっていた。

  かといって、仲良くなったわけではない。

  校内で会っても、無言のまますれ違うだけ。

  そりゃそうだろう。

  いくら多額のバイト代がもらえるからといって、冷静に考えればありえない話なのだ。

  大嫌いな熊倉相手に、キスをして、くっさいちんぽをしゃぶってしゃぶられて。

  そんな相手と学校で出会ったとしても、どうやって今までのように顔をつき合せたらいいと言うのか。

  熊倉だって、同じ気持ちなのだろう。

  ……どう考えたって変態だもんな。

  それでも。

  「……気持ちよかったよなぁ」

  思わず口から漏れた言葉。

  そう、大嫌いな熊倉とあんな変態行為をしたにも関わらず、俺にはあのフェラが忘れられないほど気持ちよかったのだ。

  あいつの顔を見るだけで、柔らかいフェラの感触を思いだして、おっ勃っちまうのだ。

  ……あんなの、忘れられるわけねえよな。

  「くそっ」

  俺は小さく吐き捨てると、椅子から立ち上がる。

  思い出すだけで、ムラムラしてきちまう。

  ……しょうがねえ。トイレにでも行って、一発抜いてくるか。

  ☆

  トイレでマスを掻くにしても、さすがに生徒のたくさんいる場所はまずいだろう。

  そう考えた俺の足は、自然と体育館に向かう。

  ……今日は授業で使ってねえし、あそこなら誰もいないだろう。

  俺は誰も来ないことを確認して、こっそりと体育館に忍び込む。

  そのままトイレを目指すと……。

  「おい」

  聞き覚えのある、聞きたくない声が耳に入り、俺は振り返った。

  「……熊倉か」

  そこにいるのは俺と同じぐらいデカい体格の、芋臭い顔の熊獣人。

  「虎沢。お前、なんでこんなとこにいるんだ?」

  「えっ、あっ、それは……」

  自分の顔が赤らんでいるのがわかる。

  まさか熊倉の事を思い出してマスを掻きに来たなんて、言えるはずがないじゃないか。

  「お前、そこテント張ってるぜ」

  「……」

  熊倉が指差した俺の股間は、大きく盛り上がってしまっていた。

  「お、お前だって勃ってるじゃねえか!」

  「ああ。なんかムラムラして抜きに来たんだ」

  同じように勃起していることに気づいて俺が言い返すと、あっけらかんとした顔で、熊倉は言った。

  ……こいつ、あんまりこういうこと口にするの、気にしないんだな。

  単細胞というか、男らしいというか。

  「お、俺もそうだ」

  張り合うように俺も言う。

  ……そうだ。

  こいつの顔を見て、1つ思い出したことがある。

  『貸し1つだからな』

  AV撮影の時に、俺が熊倉に言った台詞。

  ……こいつには、貸しがあるんだ。

  それを思い出すと、俺は矢も盾もたまらなかった。

  「な、なあ、熊倉。お前、スマホ買い替えたのか?」

  「ああ、おかげさんでな。あの時はありがとよ」

  「じゃ、じゃあ、さ」

  「ん?」

  「あの時の事、貸し1つだって言ったの、覚えてるか?」

  「ああ」

  俺の言葉に、大きく頷く熊獣人。

  「それだったらさ……」

  俺の理性が、そんな馬鹿なことは言うなと囁きかける。

  だが、もう限界を超えた獣欲は、それを振り切ってしまったのだ。

  「あ、あの……また、お、俺のちんぽ……しゃぶってくれねえかな」

  だんだん声が小さくなっていくのは仕方ない。

  胸が張り裂けそうなほど、バクバクと鳴っているのがわかった。

  なんつう、はしたない事を俺は頼んでいるのか。

  いくら一度やったとはいえ、いつも喧嘩をしているこんなごつい相手に、そんな事を頼んでしまうなんて。

  「……」

  じろっ、と見つめる熊倉の目が冷たく光ったような気がした。

  ……しまった。

  俺は言うべきではなかったと、後悔してしまう。

  

  「あ、ち、違うんだ。やっぱり……」

  だが、俺がごまかしの言葉を口にしようとした時だった。

  「いいぜ」

  男臭い笑みを浮かべて、熊倉は笑う。

  「えっ、でも……」

  「男に二言はねえよ。ちゃんと借りは返さねえとな」

  そう言うと、ちょっとだけ顔を赤くして、熊倉はこう付け加えた。

  「ついでと言っちゃなんなんだけど……俺のもしゃぶってくれねえかな。俺、あの時お前にしゃぶられた気持ちよさ、忘れられねえんだ」

  ☆

  「ほら、しゃぶってやるからさっさと脱げよ」

  ここは体育館の奥にある用具室。

  体操用のマットを床に敷くと、熊倉は当たり前のように服を脱ぎ捨てて全裸になる。

  「あ、ああ……」

  ズボンだけ脱げばいいかと思っていた俺は、戸惑いながらも同じように服を脱ぎ捨てた。

  「なあ、フェラだけすりゃあいいんだから、69の体勢でやろうぜ」

  マットの上にゴロンと仰向けになる熊倉。

  「わかった」

  俺は熊倉の股間に顔を向けて、そのデカい体に覆いかぶさった。

  「なあ、重くねえか?」

  「心配すんなよ。お前と同じで俺だって鍛えてるんだからよ。……それにしても、お前の体、相変わらず汗臭いよな」

  「臭くてすまん」

  興奮しちまったせいか、運動した後のように俺の身体から汗が噴いているのだ。

  「気にすんなよ。確かに臭えけど、なんか癖になる匂いなんだよな」

  そう言うと、熊倉はすでに勃起している俺のちんぽを掴んで、ずるりと皮を剥いた。

  ぬちゅんっ。

  「うぅっ!」

  突然襲う甘い感触に、俺は呻いた。

  ……こいつ、いきなり舐めてきやがった。

  腰の奥から蕩けてしまいそうな快感が溢れだすのがわかる。

  柔らかい粘膜がまとわりついた唾液とともに俺の敏感な亀頭をくすぐるのだ。

  ……くそっ。

  俺も負けじと、目の前の馬鹿デカいちんぽを飲み込んだ。

  「んぐっ!」

  火傷しそうなほど熱くなったちんぽを、おれはえずきそうになりながら、喉の奥まで咥えこむ。

  ぐちゅっ、ぐちゅっ。

  「んっ、んっ!」

  俺のちんぽを咥えたまま、うめき声をあげる熊獣人。

  こいつも気持ちいいのだろう。

  俺はつい、にやりと笑ってしまう。

  まるで喧嘩している時と同じで、どちらが強いか勝負しているみたいだ。

  ……先にイカせてやる。

  俺は舌を無茶苦茶に動かしながら、口を前後に動かした。

  くちゅんっ、じゅぽっ、、じゅるるっ、じゅぽっ、じゅぽっ、じゅぽっ!

  「んっ、てめぇ……」

  たいそうな口をきくが、その先走りの量から、熊倉が感じているのは丸わかりだ。

  ……デカチンだからって、大したことないじゃねえか。

  俺がそう、ほくそ笑んだ瞬間だった。

  じゅるんっ。

  「あっ!」

  亀頭を舐め上げる快感に、俺は甘い声を漏らした。

  「……なんっ」

  腰砕けになってしまいそうなほど、気持ちいいのだ。

  俺みたいにがむしゃらに舌を使うんじゃなく、まるで感じるポイントを優しく撫でさするような舌の動き。

  俺はその甘い刺激に、背筋が強張るのがわかる。

  腰から下が、まるで快楽の底なし沼にはまってしまったような気持ちよさに包まれてしまっていた。

  

  くちゅっ、くちゅっ、ぬちゅっ、ちゅるんっ。

  撮影の時よりも快感が増しているのはなぜだろう。

  ちんぽを咥えられているだけだというのに、その気持ちよさに体全部がとけて流れ落ちてしまいそうだった。

  こんな快感を俺は知らない。

  ……嫌いな熊倉に、咥えられているってのに。

  「んんっ!」

  あまりの快感に、俺はつい身を捩ってしまいそうになるが、そのぶっとい腕は俺の体を捉えて離さない。

  熊倉も俺が快感を堪えているのがわかるのだろう。

  もっといじめてやるとばかりに、ひたすら優しく舌先で俺のちんぽをかわいがろうとする。

  いつも皮に覆われている敏感な俺のちんぽには、激しい動きよりもそんな愛撫の方がよっぽど快感を感じてしまうようだった。

  「んんっ♡!」

  「虎沢よぉ。かわいい声出すじゃねえか」

  くぐもった声でしゃべりながらも、熊獣人は舌の動きを止めない。

  「やっ♡!」

  じゅちゅっ、ぬちゃっ、じゅるじゅるじゅる、ぬちゅり、ぴちゃんっ、ぬちゅっぬちゅっ。

  金玉からザーメンがせり上がってくるのがわかる。

  ……くそ、イカされちまう。

  俺は快感を堪えるために、掌を痛いほど握りしめる。

  そして、やられてばかりじゃ駄目だと、俺は必死に喉まで刺さったちんぽに口の粘膜を絡ませて、ぐちゅぐちゅと口を動かしたのだ。

  苦しさを堪えて、喉ちんこに当たるほど深く咥えこむと、必死に顔を上下させて、少しでも快感を与えられるように。

  がちゅっ、じゅるっ、ちゅぽっちゅぽっ、ぐちゅんっ、じゅるんっ!

  「ぐぐぐっ……」

  

  その尋常でない巨根のすべてを粘膜に包まれて、息を殺してうめく熊倉。

  そんな経験、オナホでもしたことがないのだろう。

  思わず身体が快感を求めて、熊倉はぶっとい腰を振り出した。

  ずんっ、ずんっ!

  喉を突かれる衝撃に、俺は涙目になる。

  だが。

  ……溢れ出る我慢汁が、濃くなってきやがった。

  もうすぐだ。

  「俺の勝ち……」

  勝利宣言をしようとしたその時、熊獣人の分厚い掌が、俺の金玉を優しく包み込む。

  「えっ?」

  くにゅんっ、くにゅくにゅ。

  それは、まさに愛撫というのがふさわしいような優しい感触。

  「ん”ん”ん”ん”ん”んっ♡!」

  新たな快感を与えられた俺は、思わず口で肉棒を締め付けた。

  その瞬間、お互いに絶頂に達してしまう。

  「「イグぅぅぅぅぅっ!!」」

  びゅるっ、びゅるっ!

  びゅるるるるるるるるっ!

  俺が吐精するのと同時に、口に撃ち出される青臭い白濁液。

  ごくり、ごくり……。

  そのあまりの勢いに、俺は飲み込むことしかできなかった。

  ……気持ちよかった。

  その余韻に、俺は大嫌いな男のザーメンを飲み込んでしまったという事実すら気にならなくなってしまっていたのだ。

  「くそっ、相打ちかよ……」

  同じように飲み込んでしまったのか、口の端についたザーメンを腕で拭う熊獣人。

  「もういっぺん勝負だ! 今度は俺が先にイカせてやる!」

  「いいや、俺が先に熊倉をイカせてやるからな!」

  そんなことを言いながらも、2人とも本音はもっと気持ちよくなりたいのだ。

  俺達は最上級のオナホを見つけたとでもいうように、再びお互いのちんぽを咥え込み、刺激を与え始める。

  結局、俺達は授業をさぼって、夕方までしゃぶりあっていた。

  ☆

  それ以来、俺達は毎日のようにフェラをしあった。

  やればやるほど、その気持ちよさに魅了されてしまっていたのだ。

  熊倉は喉の奥まで咥えちまう俺のしゃぶり方に、俺はあいつのとろけるような舌遣いに。

  しかし、いつまでも学校で盛っていれば、誰かに見られちまうかもしれねぇ。

  『……なあ、うちに来ねえか?』

  いつだったか俺がそう言うと、熊倉は嫌そうな顔もせず頷いた。

  俺の両親は共働きで夜中まで帰ってこないから、盛りあうには好都合だったのだ。

  そうして、部活帰りにうちに来ると、種が枯れるまでお互いにしゃぶりあい、熊倉は帰っていく。

  それが日常になってしまっていた。

  それでも、初めのうちは正直自分が気持ちよくなるためにやっていたのだ。

  熊倉の事は、都合のいい極上オナホぐらいにしか思っていなかった。

  きっとあいつもそうだろう。

  だが、昔からの喧嘩相手だ。

  やってる最中に相手を先にイカせてやろうなんてことを思ったせいで、俺達はお互いがどうすれば感じてくれるかを考えながらフェラをするようになっちまった。

  こうすれば、先にイッてくれるんじゃないのか。

  ああすれば、気持ちよくなってくれるんじゃないのか。

  そんな風に繰り返していくうちに、自分がイクよりも、相手がよがってくれることに興奮するようになってしまった。

  そう、あれだけ大嫌いだったとは思えないほどに、俺は熊倉の事しか考えられなくなってしまっていたのだ。

  喧嘩している頃から知っていた、あのごついガタイ。

  仏頂面しか知らなかったのに、時折見せるようになった男臭い笑み。

  ちょっと抜けているけど、男気のある性格。

  知れば知るほど、俺の心はあの熊獣人に傾いていった。

  そう、俺はきっと、熊倉の事が好きになってしまっていたのだ。

  ……フェラだけじゃねえ。

  ……もっとちゃんと、あいつと繋がりてぇんだ。

  ☆

  その日も、部活帰りに熊倉が俺のうちに顔を出した。

  「なあ、今日もいいか?」

  「ああ。俺の部屋に来いよ」

  そう2階から声をかけると、熊獣人はデカいガタイのわりにトントンと軽快な音を立てて階段を上がってくる。

  そうして、ベッドの上に座っている俺を見ると、にこりと笑って隣に座る。

  「虎沢。お前、相変わらず汗臭ぇよな」

  「仕方ねえだろ。帰ってきたばっかりで、風呂に入る暇がなかったんだから」

  「そうか……まあ、いいんだけどよ」

  その言葉に、俺はポリポリと頭を掻いた。

  「あのよぉ……」

  「ん?」

  このところ、毎日のように見ている顔だというのに、俺はなぜか緊張してしまう。

  「なんだよ、怖い顔しやがって」

  そんな俺を見て笑う熊倉。

  ……やっぱり俺は熊倉が好きだ。

  こいつに好きだと言って、フェラ以上のことを一緒にしてぇんだ。

  だから今日、俺はこいつに告白をするつもりだった。

  以前とは違って、言葉の端々や態度から、俺の事はそんなに嫌ってないことはわかる。

  今なら付き合いたいと言っても、断られない気がするんだ。

  でも……。

  ……俺ってこんなにヘタレだったのか。

  なかなかその気持ちを伝る勇気が湧いてこないのだ。

  

  「あの……」

  「なんだ?」

  「いや……」

  「変な奴だなぁ」

  俺に気も知らないで、熊倉は笑う。

  「それよりな、虎沢。最近お前さ……」

  「な、なんだよ」

  「俺と顔合わせても喧嘩吹っかけてこなくなったけどよ。俺の事、前ほど嫌いじゃなくなったのか?」

  「……そりゃ、まあ」

  「そうか」

  俺の返事に、熊倉はごつごつした芋っぽい顔をほころばせる。

  「そりゃよかった」

  「何がいいんだよ」

  俺の問いかけに、熊獣人は平然と答える。

  「いや、俺さ。お前の事が好きになっちまったみたいだ。お前が嫌じゃなければ、付き合ってくんねえかな?」

  「へっ?」

  俺の頭が真っ白になる。

  俺があれだけ言いあぐねていた言葉を、あっさりとこいつは口にしたのだ。

  「嫌か?」

  「い、嫌じゃない!」

  首を傾げた熊倉に、俺は否定するように叫んだ。

  「そうか、よかった。虎沢……いや、雅樹」

  ずいと、顔を寄せてくる熊倉。

  「じゃあ、今日から俺達恋人同士ってことだ」

  さすがにちょっとは照れくさいのか、その顔は赤くなっていた。

  「う、うん……。よろしくお願いします……」

  ついつい丁寧語になってしまう俺。

  「じゃあよ」

  にんまりと笑う熊倉……いや、剣吾は、俺の耳元で呟いた。

  「キスしようぜ」

  「え?」

  「いいだろ?」

  「う、うん……」

  戸惑う俺の頭に優しく手を回すと、熊獣人のはマズルを近づけてくる。

  「な、なんか手慣れてるじゃねえか。この間の時よりも」

  俺が照れ隠しに悪態をつくと、剣吾は笑う。

  「そりゃ練習したんだぜ。お前とキスしてるとこ想像しながら」

  「お、俺だって……」

  俯きながら俺は言う。

  「剣吾に入れてもらうかもしれねえって思ったから……1人でディルドを使う練習してた」

  「えっろいなぁ」

  「わ、わりいかよ!」

  恥ずかしくなった俺の顔を、剣吾は覗き込んだ。

  「違えよ。雅樹が、俺のためにケツを拡げる練習してくれてたと思ったら、たまんなくなっちまったんだ」

  「……」

  「じゃあさ、今日は入れちまってもいいのか?」

  「ああ……ケツは洗ったから」

  こいつが来る前にと、急いでケツだけ洗っておいたのだ。

  「お前……いかつい顔して、かわいいとこあるよな」

  「なっ!」

  顔が熱くなるのがわかる。

  「雅樹のそういうところ、俺、好きなんだぜ」

  「……」

  何も答えられない俺の唇に、剣吾はゆっくりと唇を重ねてくる。

  ぴちゅっ。

  ……ああ。

  すっげぇ、うれしい。

  撮影で初めてキスをした時よりも、俺は緊張しちまってた。

  そんな気持ちが伝わったのか、剣吾はにんまり表情を崩すと、俺の口の中に舌を入れてくる。

  ちゅるんっ。

  我が物顔で口の中を掻き回すその舌に、俺はそっと自分の舌を絡ませた。

  ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ。

  絡みあう2人の舌が、濡れた音を響かせる。

  ……気持ちいい。

  同じことをやっているはずなのに、撮影の時とは全然違う。

  俺はたまらなくなって、そのぶっとい体にしがみつくと、強く舌を吸った。

  ぬちゅりっ。

  口を離すと、剣吾は笑う。

  「お前……キスだけでとろけた顔してるぞ」

  「……しょうがねえだろ。気持ちいいんだから」

  拗ねたように口を尖らせると。

  「そうか。……俺もだ」

  にやりと口を歪めてみせる熊獣人。

  「じゃあ、そろそろ初交尾といこうぜ」

  剣吾は立ち上がり、服を脱ぎ捨てる。

  その股間の逸物は、今までにないほどに膨れ上がっていた。

  ……すげぇ。

  「こいつが雅樹を雌に変えちまうんだぜ」

  そう言うと、服を脱ぎ終わった俺を抱きしめ、ベッドに押し倒す。

  「あっ」

  その指が、俺の身体をまさぐる。

  毛皮の奥まで入ってきたその指先が、まるでマッサージでもしているように筋肉を揉み込みながら、感じるところを探るのだ。

  腹を撫で、腕を触り、そして指先が胸にたどり着く。

  「なんだ、こんなところまでおっ勃てているじゃねえか」

  つん、と尖った乳首を、その太い指先が摘まみ上げる。

  「んんっ!」

  どこかくすぐったいような、でも気持ちいい感覚に俺は声を震わせる。

  「こんなとこが感じるのかよ」

  「そんなこと……」

  「別にごまかさなくたっていいじゃねえか。俺はお前の事、ちゃんと知りてぇんだよ」

  なぜかその言葉に、俺は泣きそうになる。

  「……気持ち……いいかも」

  「そうか、そうか」

  剣吾は満足そうに頷くと、その顔を俺の股間へとずりおろした。

  「もっと気持ちよくしてやるよ」

  その口が目指すのは、すでに興奮していきり勃つ太短い逸物。

  「あっ」

  「たっぷり出してくれよ」

  そう言うなり、マズルを開いた熊獣人は、ばくり、とちんぽを咥え込んだ。

  「んんんんんんっ♡!!」

  とろけるようなその感触は、今までと同じようなフェラのはずなのに、比べ物にならないほどに気持ちよかった。

  それは乳首への刺激もあわさっているせいか。

  ぐちゅぐちゅとちんぽをしゃぶりながら、指先を器用に動かす剣吾。

  慈しむように乳首を撫でたかと思うと、急に爪を立てていじめようとするのだ。

  緩急織り交ぜた乳首への刺激と共に、子種をねだるように動く口の粘膜に俺はすぐに絶頂へと導かれてしまう。

  「イ、イっちまうぅぅぅっ!」

  びゅるるっ、びゅるっ!

  我慢できずに漏れ出した雄汁を、剣吾は当たり前のようにごくごくと飲み下していく。

  

  「気持ちよかったか?」

  「……」

  剣吾は黙ったまま、頷く俺の頭を撫でた。

  「今度は俺の番だ。そのまま入れたらぶっ壊しちまうかもしれないから、尺って濡らしてくれよ」

  「あ、ああ」

  俺は仁王立ちした剣吾の足元にひざまずくと、両手をケツに回し、その馬鹿デカいちんぽを飲み込んでいく。

  じゅるっ、じゅるっ、じゅるっ、じゅるっ……。

  いつも以上に膨らんだ亀頭は、息苦しいほどに喉を圧迫する。

  それでも、つらさなど一切感じなかった。

  むしろその苦しさに幸福感さえ覚えてしまうほど。

  ……それだけ、俺は剣吾の事が好きになっちまったんだ。

  その事実を確認してしまえるのだ。

  ぬちゅっ、じゅちゅっ、くちゅっ、くちゅっ。

  俺は口の粘膜を絡みつかせながら、ゆっくりと顔を動かした。

  口の中は大量の唾液と先走りとで、湖のようになっている。

  舌先に雄の塩辛さを感じながら、ここしばらくの間に覚え込んだ、剣吾の感じるところを何度も舐めるのだ。

  雁首、裏筋。

  我慢汁が漏れ出す鈴口まで。

  竿を引き抜きながら舌先を使い、喉に押し込むときは粘膜で刺激する。

  ざらっ、じゅるっ、ぐりっ、ずぼずぼずぼ……、ぬちゅんっ、じゅるっ、ざりざりざり……。

  そして、喉で亀頭を締め付ける。

  少しでも気持ちよくなって欲しいと、上目遣いに見上げると、そこには快感と興奮で真っ赤な顔をしたケダモノが、俺を見下ろしていた。

  「もう、我慢できねぇ……」

  女子供が聞いたら震え上がるような低い声でそう呟くと、俺の後頭部をがっしりとその大きな掌で掴む。

  そして、情け容赦ない一撃を俺の喉に叩き込むのだ。

  ずんっ!

  「んぐぅっ!」

  思わず呻き声をあげてしまうほどの衝撃。

  喉に穴が開いてしまうのではと思うほどだった。

  がちゅんっ、がちゅんっ、がちゅんっ、がちゅんっ!

  それでも、獣欲にまみれた剣吾の動きは止まらない。

  目を血走らせたまま、ひたすら俺の口を破壊する勢いで腰を動かす。

  イラマチオだ。

  「んんっ! んんんんんんっ!」

  苦痛の声をあげる俺の目には涙が溢れ、えずきそうになってしまう。

  でも、嫌じゃなかった。

  これまで何度もフェラを繰り返すうちに、俺は剣吾に、まるでオナホのように荒々しく口を使われることを幸せだと感じるようになってしまっていたのだ。

  それは剣吾にもわかるのだろう。

  「なんだ、雅樹、勃起してるじゃねえか。興奮してんのか?」

  そう言って、再び勃起した俺のちんぽを、その足先でぐりぐりと嬲る。

  「んんっ!」

  「そんなに俺のちんぽ咥えるの、嬉しいのかよ」

  剣吾は鼻息荒くそう言うと、俺の後頭部に手を伸ばし、逃がさないようにがっしりと押さえ込む。

  そして、今まで以上に激しく腰を振るのだ。

  がつんっ、がつんっ、がつんっ、ずごんっ!

  「ぐぅっ、ぐぅぅぅっ!」

  俺は涙を流しながらも、少しでも剣吾に快感を与えたいと、その長大な竿に肉を絡みつかせる。

  そして亀頭を喉で締め付け、ぐりぐりと刺激するのだ。

  ただ、雄の子種をねだるために。

  「くそっ、まずは口に種付けするからな!」

  荒々しい息遣いのままそう宣言すると、熊獣人は俺の頭を掴み、思い切り精汁をぶっ放した。

  「イグぞぉぉぉっ!」

  どりゅりゅりゅりゅりゅっ!

  蛇口を思い切り回したような、勢いのあるザーメンの奔流。

  ごくり、ごくり。

  俺は必死に喉にまとわりつく雄汁を飲み下そうとするが、とても追いつかず、口から溢れそうになる。

  ……そうだ。

  不意に思いついた俺は、逸物を引っこ抜くと、口の中にある白濁液を掌に吐き出した。

  そして、それをケツに持っていくと、剣吾に見えるように仰向けで股を開き、ザーメンをケツにたらたらと垂らすのだ。

  入り口を白く濡らすと、くちゅくちゅと指を突っ込み、ローション代わりになるように肉襞に馴染ませた。

  目の前の雄を挑発するように。

  「……」

  剣吾はもう、何も言葉を発さなかった。

  ただ、そのギンギンに見開いた眼と、萎えるどころかさらに膨張した逸物とを見れば、興奮の極致に達しているのは一目瞭然だった。

  「い、入れちまうからな……」

  喧嘩の時でさえ聞いたことないほどに恐ろしい声で唸ると、俺の体を抱え上げてベッドの上に下ろす。

  そのまま、仰向けのままの俺のケツに逸物を押し付けた。

  そして……。

  ずごんっ! めりめりめりっ!

  欲望に呑み込まれた、容赦ない一撃。

  「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!!」

  その逸物の圧迫感に、俺は絶叫する。

  俺の体が壊れてしまうんじゃないかと思うほどの衝撃が、叩きつけられたのだ。

  「はあ、はあ……」

  荒く息を吐く熊獣人は、意思の疎通も出来ない獣同然だった。

  ただ己の快楽のために、俺を壊そうとするのだ。

  がちゅんっ、がちゅんっ、がちゅんっ、がちゅんっ!

  「んぎぃぃぃぃっ!!」

  あまりの衝撃に恐怖を感じた肉壁が、縮こまろうとするのがわかる。

  それを無理やりに押しのけて、貫いていく逸物。

  痛みは確かにあった。

  だが、そこには同じだけ剣吾と交わってるという幸福感と、肉襞をえぐられる快感も存在したのだ。

  それが、俺に痛みを堪えさせた。

  ばちゅんっ、ぐちゅんっ、ぐちゅりっ、どちゅんっ、ずりゅりゅりゅりゅっ!

  「あっ、あっ、あっ、ああああああああっ♡♡!!」

  そして抜き差しを重ねるたびに、天秤が傾くかのように快感が痛みを上回っていくのだ。

  ついには、快感しか感じないほどに。

  がつんっがつんがつんがつんがつん!

  「あっ♡! あっ♡! あっ♡! あっ♡!」

  「なんだ、気持ちいいのかよ」

  俺の喘ぎ声を聞いて、我に返ったように呟く剣吾。

  「気持ち……いい……」

  息も絶え絶えになりながらも、俺は快感を伝えようとする。

  「たまんねぇなぁ……」

  剣吾は舌なめずりをしながらそう言うと、俺を抱きしめ、汗臭い毛皮に顔を埋める。

  そして、逆上したように激しく俺の肉穴をえぐるのだ。

  「ひゃぁぁぁっ♡! ……だ、だめだっ! 俺、臭ぇから……」

  「馬鹿野郎、これがいいんだよ」

  剣吾は大きく息を吸い込みながら、にやりと笑って見せる。

  「お前の汗の匂いを嗅いだだけで、俺はビンビンになっちまうんだ。こいつを思う存分嗅ぎながら、掘らせてくれよ!」

  ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ!

  言葉通り、俺の中をえぐる逸物は、さらに容量を増し、俺の肉襞を押し広げていた。

  「んんんっ♡! でもぉ……恥ずかしいからぁっ!」

  「何が恥ずかしいんだ。お前はもう、俺のもんなんだ! 余計なこと考えずに俺に身を任せてりゃいいんだ!」

  心の底から喜びが湧いてくるのを感じる。

  俺の事をそこまで好きになってくれているなんて。

  「……はいぃ」

  「よしよし、それでいい」

  子供のように素直に頷く俺を見て満足そうに頷くと、剣吾はその掌を俺の手に重ねて、ぎゅっと握る。

  ……ああ。

  俺も必死に握り返すと、剣吾に向かって唇を尖らせ、キスをねだる。

  「かわいい顔しやがって……」

  マズルを重ねてくれる熊獣人。

  今度は俺が舌先を伸ばすと、待ちかまえていたかのようにちゅるんっ、と剣吾の口へと吸いこまれた。

  むちゅ、むちゅ……。

  今までにないほどに優しく絡ませてくる舌の感触に、俺は陶然とする。

  ちゅぽんっ。

  やがて口を離すと、剣吾は真面目な顔で俺を見つめた。

  「雅樹。俺はお前が好きだ。むちゃくちゃ好きになっちまった」

  「俺も……俺も剣吾が好きだぁ♡。……なあ」

  「なんだ?」

  「剣吾の子種、欲しい……」

  「……」

  「俺に種付けして欲しいんだ」

  その瞬間、俺の中にある野太い逸物がぐぐぐと反り返るのがわかった。

  ……剣吾も興奮しているのだ。

  「……言われなくてもそのつもりだ! 嫌がったって、雅樹の雌穴にたっぷり中出ししてやるからな!」

  そう言うと、俺の体を押さえ付けて、剣吾は腰を叩き付け始める。

  その鼻先を俺の体に埋めたまま。

  俺の匂いを嗅ぎながら、雌穴を堪能するのだ。

  がつんっ、がつんっ、がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつっ!

  それはまるで掘削機のように、俺の雌穴を穿つ。

  「んああああああああああああああっ♡!」

  反り返った逸物が、ダイレクトに前立腺を刺激する。

  その衝撃に、俺は潮を噴いてしまう。

  「ああっ♡! ああああああああっ♡♡!!」

  「まだまだこんなもんじゃねえぞ! 柔道で鍛えた腰遣いを見せてやるよ!」

  ごりごりごりごりごりごりごりごりっ!

  「んぎぃぃぃぃぃっ♡!!」

  おおよそ交尾をしているとは思われない破壊音が、俺の体から聞こえてくる。

  まさに文字通り、俺の肉襞がえぐれているのだ。

  張り出した雁が、細かな肉襞をすりつぶしていく快感。

  それは脳が焼けただれてしまうほどに気持ちよかった。

  もう、剣吾以外の事は考えることが出来ないほどに。

  ぐちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、じゅるじゅるじゅるじゅる、ぬちゅんっ!

  その逸物は、すりつぶすだけでは飽き足らないと、何度も何度も肉壁を歪ませた。

  己の形に合致するように変形させ、他の雄になど使わせないようにするために。

  快楽を伴う矯正作業に、俺は涙を流しながら喘ぐことしか出来なかった。

  「しゅごいぃぃぃぃっ♡♡!!」

  「すげぇだろうが! これからはいつだって雅樹が欲しい時にかわいがってやるからよ!」

  「はぃぃぃぃっ♡!!」

  すでにお互いの上下関係は決まってしまっていた。

  もう交尾で、俺は剣吾に敵うことはないのだろう。

  でも、それでよかった。

  この快楽を享受できるのならば。

  「出してくれよぉ♡……剣吾の子種♡……俺にください♡……」

  俺は涙目で、己の雄に乞い願う。

  「たっぷりくれてやる! お前はもう、俺の雌なんだからな! ……イクぞぉぉぉっ!!」

  俺の中に、熊獣人の子種がゆっくりと注ぎ込まれていく。

  どぷりっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷりっ、どぷりっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ、どぷりっ、どぷりっ、どぷりっ……。

  今までとは違う、まったく勢いのない吐精は、本気の孕ませ汁なのだろう。

  その雄汁の、あまりにも濃く粘っこさのせいで、押し出されるようにしか鈴口から飛び出すことが出来ないのだ。

  そしてそれは確実に雌を妊娠させるために、熱を帯びたトリモチのような粘度で肉襞にまとわりつくのだった。

  一度くっつけば二度と離れないようにするために。

  「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ♡♡!!」

  液体とはとても思えないほどに重たいザーメンが、ゆっくりと俺の腹を膨らませていく。

  まるで熱いスライムが侵入してくるような圧迫感に、俺の体は何度も痙攣を繰り返した。

  メスイキをしているのだ。

  じゅぽんっ!

  「ひぃっ♡!」

  ちんぽを引き抜かれても、俺の体はがくがくと震え続けた。

  ……止まらない。

  メスイキが止まらないのだ。

  「ひぃぃぃぃぃぃっ♡!!」

  快楽に喘ぎ狂う俺を、野獣のような顔で抱きしめる熊獣人。

  その力強い体に、俺は身を任せるしかなかった。

  「剣吾ぉ♡……剣吾ぉ♡……」

  ……俺のすがる相手は、こいつしかいないんだ。

  メスイキで混乱する頭に刷り込みのように繰り返されるその言葉。

  そんな俺を見下ろして、満足そうに剣吾は笑った。

  「雅樹、大好きだぞ。お前はもう俺の雌なんだ。ぜってぇ、離さねぇからな!」