ラグビー部の虎獣人と牛獣人と恋仲になって、ヒトの俺たち兄弟が雄妊娠させられる話。

  ☆

  「おかえり、兄貴」

  それは10日間の夏季休暇が始まる前の夜だった。

  このところうんざりするほど溜まっていた仕事を休暇前になんとか片付けて、ようやく終電で帰ってこれた俺を、わざわざ大学生の弟が飯を作って待っていてくれたのだ。

  「哲也。……お前、また俺に頼みたいことがあるのかよ」

  俺の言葉に、弟の哲也が色白の顔を真っ赤にする。

  「な、なんでだよ!」

  心外だとばかりに怒ってみせるが、歳のわりに小柄で可愛らしい顔でそんな態度を取られても、全然怖くないんだよなぁ。

  「お前がわざわざ飯まで作って俺を待っている時は、大抵おねだりしたいことがあるだろう?」

  普段は勝手に自分だけで飯を喰って、俺の帰りなんて待たずにさっさと寝ちまうのに。

  「そ、そんなことねえよ。俺はただ、兄貴が疲れてるだろうなと思って……」

  「じゃあ、今回はおねだりはないんだな?」

  「うっ……」

  大仰に胸を抑えて、顔をしかめて見せる哲也。

  「……やっぱりな」

  俺は苦笑いをしてみせる。

  こういうところがちゃっかりしてるというか、かわいいというか。

  早くに両親が亡くなってから、ずっと一人で面倒を見てきた俺にとっては、弟というよりも自分の子供みたいに思えることがあるのだ。

  「で、お願いはなんだ?」

  「あのさ……夏休みの間、部活の先輩2人をうちに泊めちゃいけないかなって……」

  「部活の先輩ねぇ」

  哲也はラグビー部に所属している。

  といっても、獣人もいるような部活で、哲也のような小柄なヒトが活躍できるわけもない。

  こいつはマネージャーとして参加しているようだ。

  「うん。先輩たち、学生マンションで暮らしてたみたいなんだけど、大家に家を追い出されたみたいで……。新しい部屋を見つけるまで泊めてもらえないかなって」

  「……。なんで追い出されたんだ?」

  「そこの大家がお堅い年寄りでさぁ。部屋に男を連れ込んでヤッてたのがばれちゃって……」

  「不純異性……いや、不順同性交遊って奴か」

  昔に比べて同性愛も市民権を得てきたが、まだ拒否感を抱く人も多い。

  それに場所が学生マンションだ。

  大家さんが怒っても仕方ないだろう。

  「……ひょっとして、連れ込まれた男って……お前だったんじゃないのか?」

  「あ、わかる?」

  ペロッと舌を出す哲也。

  ……まったく。

  こいつがビッチなのは、実はとっくの昔から知っていたりする。

  ……一体誰に似たんだか。

  まあ、俺も結構男遊びしてるから、人の事は言えないんだが……。

  「やれやれ」

  俺はため息をつく。

  我が弟がしでかした不始末なら、断るわけにはいかないじゃないか。

  「……しょうがない。夏の間だけだぞ」

  「よっしゃ!」

  「それと寝泊りはお前の部屋だけでやれよ」

  「えー! そりゃ狭いよ。先輩は牛と虎のごつい先輩だぜ。しかも2人ともラグビー部だし……」

  「どうせお前ら、止めたってうちで乱交するつもりだろうが。お前の部屋がどうなってもかまわんが、他の部屋をぐちゃぐちゃにされたら困るからな。あと、ちゃんとゴムはつけてやるように」

  「はーい」

  ☆

  「急にこんなことをお願いして申し訳ありません」

  明くる日。

  昼過ぎに哲也に連れられうちに来たのは、2人の獣人だった。

  さすがラグビー部だというか、見上げるほど大きな背丈の虎獣人と牛獣人。

  もちろんその身体は巌のようにごつい。

  それにしても運動部だけあって、教育がしっかりしているのだろう。

  虎獣人が丁寧な口調で頭を下げると、隣の牛獣人もぺこりと頭を下げる。

  「いや……。哲也も迷惑かけてしまったみたいだし。夏の間ぐらいはうちに泊ればいい」

  「「ありがとうございます!」」

  「先輩、よかったな。これで心置きなく乱交できるぜ!」

  「ば、馬鹿!」

  哲也の言葉を慌てたように止めようとする虎獣人。

  「大丈夫だよ。兄貴はそういうのに理解あるから」

  「そ、そうなんですか?」

  虎獣人が目を丸くして尋ねてくる。

  「まあ、俺だって男だからな。遊ぶこともあるし……」

  「へぇ。……お兄さんだったらモテるでしょ。格好いいというか、きれいな顔立ちしてるし」

  「ほ、褒めたって何も出ないぞ。それに、お兄さんじゃなくて、俺の名前は真哉だ。山際真哉」

  「お、俺は大河です! 虎川大河」

  「大河先輩、なんか兄貴口説いてるみたいに見えますよ」

  「そ、そんなつもりじゃねえよ!」

  哲也の言葉に、虎獣人は照れたように笑う。

  ……ごつい顔してるのに、意外とかわいいとこあるんだな。

  「ちなみにこっちで黙ってるのが、ラグビー部部長の牛島吾郎先輩。ごつく見えるけど、こう見えて成績優秀なんだぜ。2人は部長副部長のコンビなんだ」

  「……よろしくお願いします」

  「ああ、よろしく。家の中を壊したり汚したりしなかったら、好きに過ごしてくれたらいいよ。……それと、乱交するなら哲也の部屋だけにしてくれよ。あそこなら多少ボロボロにしてくれてもかまわない」

  「兄貴、ひでぇよ!」

  ★

  ……きれいな人だったな。

  俺はぼんやりと真哉さんの事を考える。

  さっき紹介してもらった哲也のお兄さんだ。

  黒い髪に黒い目、色白なのは一緒だが、それ以外はまるで違う。

  ヒトにしちゃ背も高いし、子犬みたいに人懐っこい顔をした哲也と違って、見惚れちまうような整った容姿をしている。

  まるで人形みたいだ。

  ……確か28歳とか言ってたっけ。

  哲也にとっては自慢の兄貴らしい。

  とても優秀な人みたいで、早くに亡くなった両親の代わりに8歳下の弟の面倒を見ながら、自分は有名大学を卒業して一流商社に入社したんだとか。

  学校でも、事あるごとに兄貴の事を自慢しているのだ。

  ……ああいう人が俺の雌だったらどんなにいいだろう。

  ……でも、しょせん高嶺の花だよなぁ。

  「大河先輩、何考えてるんすか? 早くヤリましょうよ」

  哲也の言葉に、俺は我に返る。

  「お、おう」

  ここは哲也の部屋だ。

  恐縮したように狭い狭いと言っていたが、言うほど狭いわけでもない。

  ベッドだってキングサイズだし。

  物思いに耽っていた俺と違い、吾郎と哲也はやる気満々だ。

  吾郎はベッド上に哲也の体を押さえ付けると、すでに愛撫を開始している。

  びちゃびちゃとその幅広の舌で哲也の体を味わいながら、ブラシのような毛が生えた指先で、その乳首を嬲るのだ。

  ぴちゃ、ぴちゃ、じゅる、じゅる。

  「あっ♡、あっ♡!」

  途端に喘ぎ声をあげる哲也。

  「気持ちいいか?」

  顔をあげると、普段寡黙な吾郎が優しくその耳元で囁きかけている。

  部員たちと乱交するときも、傍若無人に逸物を突っ込み、乱暴に自らの欲望を満たすだけなのに。

  そんな優しい吾郎の声を聞いたことのある部員が何人いるだろう。

  ……やっぱり。

  その身体からは、甘い匂いのフェロモンが流れ出していた。

  雄の獣人は、気に入った雌を見つけると、相手を発情させる媚薬のようなフェロモンを出す。

  普段のセックスではそんなものを出さないのに、相手が哲也一人だと我慢できなくなるのだろう。

  ……こりゃ、お呼びじゃねえよな。

  前からそんな気はしていたんだが、吾郎の奴、本気で哲也の事好きになっちまってるらしい。

  このまま俺が参加してもあいつは何も言わないだろうが、親友として恋路の邪魔をするわけにはいかねえじゃないか。

  俺はポリポリと頭を掻く。

  2人がくっついちまったら、この部屋に一緒に住むのはさすがに具合が悪い。

  ……夏の間に住むとこ、また探さなきゃな。

  まあ、ラグビー部は全員セフレみたいなもんだから、お願いすれば誰か一人ぐらい泊めてくれるだろう。

  俺はそんなことを考えると、2人に気づかれないように身支度を整え、荷物を持ってこっそり部屋を出た。

  ……そうだ。出ていくにしても、一応真哉さんに挨拶しておかないと。

  ☆

  ……哲也の奴、エロい声をあげやがって。

  2階から聞こえる弟の喘ぎ声を聞いて、俺はため息をついた。

  ……それにしても来て早々乱交するなんて、あいつらよっぽど溜まってたのかよ。

  まあ、大学生なんて猿みたいなもんだからな。いくらでもやりたいお年頃だ。

  今頃哲也は牛獣人と虎獣人とに攻められているのだろう。

  「くそ、いいよな」

  こっちは仕事でろくに抜く暇もなかったというのに。

  ……あの2人、ガタイもデカかったから、ちんぽもデカいだろうなぁ。

  そんなことを考えているとムラムラが収まらなくなってしまう。

  「一発抜いて、すっきりしてしまうか」

  弟の喘ぎ声をおかずにするってのも癪にさわるが。

  俺はベッドに腰掛けたままズボンを下ろすと、小振りな逸物はがちがちに硬くなっていた。

  目を閉じた俺は、攻められている哲也の声を聞きながら、指を動かす。

  くちゅ、くちゅ。

  「ああ……」

  牛獣人の長い舌でケツをいじくられ、虎獣人の太い指で体を弄ばれ……。

  ……大河君だったか。かわいかったよなぁ。

  虎獣人特有の野性味あふれる無骨な顔と、ニコッと笑った時のギャップのある顔。

  ……どうせならあの子に攻められてみたい。

  くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ。

  「はぁ、はぁ」

  いつの間にか、俺の頭の中には、大河君に攻められる自分の姿が浮かんでいた。

  ごつい体にふさわしい強直を、俺の肉穴に押し込まれて……。

  「はぁ……はぁ……」

  きっと虎獣人の逸物は、俺の気持ちいいところに届くぐらいに長いはずだ。

  それを何度も何度も執拗に抜き差しされて……。

  「ああ……大河君!」

  俺は思わず叫んでしまう。

  「……なんですか、お兄さん?」

  その瞬間、妄想の中の虎獣人の声が、現実になって俺の耳に届いた。

  

  「へっ?」

  慌てて目を開けると、そこには扉を開けてこちらを見る、嫌らしい笑みを浮かべた虎獣人の姿があった。

  「なんで……」

  「中から荒い息が聞こえたんで、心配になって開けちゃいましたけど……」

  にやりと笑う虎獣人。

  「お楽しみの最中だったみたいですね」

  「……あ」

  「俺の名前を呼んでくれてたってことは、俺をおかずにしてくれてたんですか?」

  「そ、そんなこと……」

  年下の、しかも弟の先輩の事を妄想しながら扱いていたなんて言えるはずがない。

  俺は否定をしようとするが。

  「奇遇ですね。俺もお兄さんのこと考えてムラムラしてたんすよ」

  するり、と猫のようにしなやかに部屋の中へ滑り込むと、虎獣人は俺の目の前に立つ。

  ……ああ。

  興奮しているのか、ズボンの下の逸物はくっきりと勃起した姿を見せていた。

  ……すごい。

  獣人とは何度もやってきているが、ここまでデカいのは見たことがない。

  長さもすごいが、凶悪なまでに太いのだ。

  これが俺の雌穴をえぐることを考えるだけで、じゅん、と濡れてしまうのがわかった。

  「真哉さん」

  ふいに、大河君が俺の名前を呼ぶ。

  「雌の顔になってますよ」

  そう言う目の前の獣人は、ケダモノの顔をしていた。

  「くそ、たまんねぇ……」

  その身体から蜂蜜のように甘い体臭が溢れだしてくる。

  ……なんだこれ。

  その匂いを嗅ぐと、身体が発情してくるのがわかる。

  顔が火照り、身体が疼いて、目の前の雄にむちゃくちゃにされたくなってしまう。

  ……駄目だ。相手は弟の先輩……学生なんだぞ。こんな歳下の子に……。

  俺が必死に理性を保とうとしている間に、虎獣人はその場にしゃがみ込むと、俺の顔にそのマズルを近づける。

  そして、そっと伸ばした指先を俺の唇に触れさせると、こう囁いた。

  「真哉さんのこと、喰っちゃってもいいですかね?」

  もう、抗うことなどできるはずもなかった。

  「……ああ」

  次の瞬間、貪るような激しいキスが、俺の口を蹂躙した。

  ぬちゅっ、ぐちゅっ、じゅるるるるっ!

  まるで自分のものだと教え込むように、舌先は傍若無人に俺の口を占領する。

  猫科特有のざらついた舌は痛みすら感じるほどに口の中で強く動く。

  俺の舌を絡めとり、歯列を舐め、粘膜を味わうように掻き回すのだ。

  ……すごい。

  その激しい舌の動きに、俺は快感と喜びだけを感じ取る。

  俺の体は、壊れてしまったかのように、虎獣人からの刺激をすべて快楽に変換してしまうのだ。

  「真哉さん、いい顔してるぜ」

  遊び慣れているのだろう。

  気がつけば、俺のシャツは大河君によってはだけさせられていた。

  「感じやすそうないい乳首だ」

  「……そんな」

  まるで品定めをしているようなその言葉に、俺の顔は赤くなってしまう。

  「かわいい顔しやがって」

  ざらりっ!

  「ひぃっ♡!」

  発情したこの体に、ざらついた舌は刺激が強すぎた。

  ……普段はここまで感じることはないのに。

  きっと大河君が放つ、この甘い体臭のせいだ。

  まるでフェロモンのように作用して、俺の体を狂わせるのだ。

  ざりっ、ざりっ!

  肉をこそげとるようなその動きは、俺の乳首を性器に変えてしまうのだ。

  「んんんんっ♡!!」

  どく、どく。

  「なんだ? ちんこからザーメン漏らしてるぞ。……真哉さん、乳首イキしちまったのか?」

  「……い、言わないでくれ」

  弱弱しく呟く俺を見る虎獣人の顔は、優越感に満ちていた。

  まるで己の雌を完全に手中に収めた雄のように。

  「真哉さん、もっと気持ちよくしてやるからな」

  大河君はそう言うと、剥ぎ取るように服を脱ぐ。

  ……すごい。

  鎧のような筋肉質の体。その股間でいきり勃つ逸物を見て、俺は息を呑む。

  ズボンの上から見るよりも、その逸物はもう一回りはデカかったのだ。

  俺の拳ほどある亀頭は、我慢できないとばかりに赤黒く膨れ上がっていた。

  歳のわりに使い込んで飴色になった太竿には、びっしりと棘が張り巡らされている。

  野生の虎はこの棘で雌穴を刺激して排卵を促すのだとか。

  俺の腕ほどの長さがあるそれを自らに押し込まれることを想像するだけで、イッてしまいそうになる。

  「大河君……舐めてもいいか?」

  「いいっすよ」

  我慢できずにおねだりをしてしまう俺に、不敵に笑って見せる虎獣人。

  仁王立ちする彼の足元にひざまずくと、俺は逸物に舌を這わせた。

  ぴちゃ、ぴちゃ。

  ……ああ。

  甘いフェロモンの中に感じられる確かな雄の匂い。

  思わず股間に顔を埋めたくなる気持ちを抑えて、俺は必死にその亀頭にしゃぶりつく。

  ちゅぱっ、じゅるっ、ちゅるんっ!

  「うう……」

  呻く虎獣人の顔を見上げながら、塩辛い我慢汁を舐めとっていく。

  濃い先走りを呑み込むたびに俺の体が雌になっていくのがわかる。

  「真哉さん、こいつが欲しいんだろ?」

  もう我慢できないのだろう。

  大河君は俺の肩を押さえてフェラをやめさせると、鋭い視線で俺を見つめながらそう囁いた。

  「……」

  欲しい。でも……。

  まだ理性が素直に頷くことを留めてしまう。

  ……こんな歳下の子に雌にされるなんて。

  だが、入れて欲しいという俺の本心などばればれなのだろう。

  それでも、返事をしない俺を見て、勘違いしたのか。

  虎獣人は安心させるように笑ってみせた。

  「真哉さん、心配するなよ。ちゃんとゴムつけるからさ。……俺、無責任なことしたくねえから」

  そう、雄の獣人の濃い子種汁は、時として簡単に相手を孕ましてしまう事がある。

  それがニンゲンの男であっても。

  ……こんな時でもちゃんと気遣ってくれる奴なんだ。

  コンドームを取り出してつけるその姿に、俺は胸がきゅんとしてしまう。

  「じゃあ、入れるからな」

  ゴムの上からたっぷりとローションをつけると、大河君は再び俺の体を押さえ付ける。

  ベッドに沈む感触を味わいながら、俺は頷いた。

  「大河君……入れてくれ……」

  思わず雌の声をあげた俺に、 たまらないとばかりにその凶悪な逸物を叩きつけた。

  ずごんっ!

  「あああああああああっ♡♡!!」

  経験したことがないほどに太い肉杭が、俺の肉穴をこじ開けていく。

  ずりっ、ずりっ、ずりっ、ずりっ!

  「んぎぃぃぃぃぃっ♡♡♡!!」

  ゴム越しにその棘が肉襞を擦り上げるのがたまらなく気持ちいい。

  未知の快感に、俺は阿呆のような顔を晒してしまっているのだろう。

  「なんだこれ……すっげぇ締まる……」

  苦しそうな顔をして虎獣人が呟く。

  「俺の竿に真哉さんの雌穴が絡みついて……突っ込んだだけでイッちまいそうになるなんて。俺、こんな名器初めてだ」

  「大河君……」

  うわ言のように呟く俺に、虎獣人は真剣な顔で言う。

  「真哉さん……大河って呼んでくれよ」

  「大河……。俺のことも……」

  「ああ。……真哉」

  俺の名前を呼び捨てにすると、大河はそのマズルを唇に押し付けた。

  俺はそれを受け入れ、舌を絡ませる。

  ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ。

  流し込まれる唾液を呑み込みながら、お互いの粘膜が1つになるほどぐちゅぐちゅと動かすのだ。

  ……ああ。

  繋がった口と舌がとてつもない幸福感を与えてくれる。

  セックスの最中にこんな幸せを感じたことはなかった。

  それはこれまで相当遊んできたであろう大河も同じようだった。

  「……真哉と俺、相当相性いいみたいだな。まだ入れたばっかりなのに、種付けしたくてザーメンが金玉からせり上がってくるのがわかるぜ」

  それでもイクのを堪えているのだろう。

  血が出るほど唇を噛みながら、大河は呻く。

  ゆっくりと腰を振りながら。

  ぐちゅんっ、ぐちゅんっ!

  せめて先に雌をイカさないと、雄の威厳が保てないとばかりに。

  そんな大河が愛おしくて……。

  「大河……イッていいよ……」

  俺はその大きな体を抱きしめる。

  「うるせぇ! 真哉のイク顔見ながら、俺はイキてぇんだよ!」

  そう言うと、ざらついた舌先を俺の乳首の上で踊らせた。

  「ひぃぃぃぃぃっっ♡♡!!」

  「真哉こそ、年上ぶってねぇで先にイッちまえよ。こっちは乳首でメスイキすること、知ってるんだぜ」

  舌先だけではない、もう一方の乳首をその黄色い指先で嬲りながら、探るように腰を動かすのだ。

  少しでも俺の気持ちいいところに当ててやろうと。

  ぎゅっ、ざりざりっ、ぐちゅんっ、がつがつがつ、どちゅんっ、じゅるっじゅるっ、がちゅんがちゅんがちゅんっ、ざらりっ、ぱんぱんぱんぱんっ!

  「いやぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡!!!」

  3種類の異なる刺激が、俺の頭を真っ白にする。

  その快楽に堪えかねて、俺は家中に響き渡るように叫んでしまう。

  「いいのか? 哲也に聞かれちまうぜ」

  胸に顔を押し付け、くぐもった声を出す大河。

  その言葉に俺は両手で口をふさぎ、必死の声を抑えようとする。

  だが……。

  「見つけた。真哉の気持いいとこ、ここだな」

  獲物を狙う獣人は容赦なかった。

  俺の一番感じる前立腺をその棘だらけの太竿で圧し潰すようにえぐり抜いたのだ。

  ぐちゅりっ!

  「イッ、イッちゃうぅぅぅぅぅぅっ♡♡!!!」

  突然絶頂に押し上げられた俺は、与えられた快楽を貪りながら、何度も精を吐き出す。

  びゅるっ、びゅるっ、びゅるるっ!

  「くそ、締め付けが……俺も、イクぞぉぉぉぉぉっ!!」

  けたたましい咆哮とともに、俺の中に大河の雄汁が解き放たれるのがわかる。

  びゅるるるるるるるっ!

  「……見ろよ」

  じゅぽんっ。

  「こんなに出ちまったぜ」

  引き抜かれた逸物。

  その先端は、白濁液で水風船のように膨らんでいた。

  その根元を器用に縛ると、大河はベッドの上に放り投げた。

  「なあ、こんなもんじゃたらねえよ。もっとやってもいいだろ?」

  その言葉に、俺は汗を拭いながらにやりと笑う。

  「……当たり前だ。もっと楽しませてくれよ」

  ☆

  さすが肉食獣人というべきか。

  大河は遊び慣れている俺が驚くほど絶倫だった。

  俺の中で何度もイッて、その度にゴムを替えて襲ってくる。

  部屋のあちこちに無数のゴム風船が転がることになるほど。

  それは俺と大河の体の相性がいいこともあるのだろう。

  「真哉の泣く顔を見たら、いつまで経っても萎えねえんだ」

  そんなこっぱずかしい事を言いながら、その太竿で俺を責め抜くのだ。

  相変わらず発情したままの体はまるで大河専用になってしまったようで、どこを触られても感じてしまう。

  首筋も、胸も頬も腕も腹も腰も足もそして、雌のように小さく縮こまった逸物も。

  「あっ♡、あっ♡、あっ♡、あっ♡!」

  俺はただ、嬌声をあげながらその快感を受け入れることしか出来ない。

  きっとその声は哲也達の耳にも届いているはずだ。

  だが、快楽地獄に突き落とされてしまった俺は、そんなことを気にする余裕など、すでになくなっていた。

  「……」

  愛おしそうに、汗を掻いた俺の肌をねぶっていた虎獣人が、不意に顔を離した。

  その顔は真剣で……。

  ずるんっ!

  「ひぃっ♡!」

  その凶悪なトゲチンが、俺の爛れた雌穴から引き抜かれる。

  ……なに。

  「……真哉」

  大河は俺の顔をじっと見つめる。

  「俺、わかっちまったんだ。あんたみたいに相性のいい奴、きっと他にはいねえ」

  「……」

  「なあ、俺と付き合ってくれねえか? 俺、真哉から離れられそうもねぇ」

  「え……」

  「なあ、頼む」

  大河は俺の両肩を掴む。

  「俺と……俺と付き合ってくれ!」

  「……」

  「そりゃ俺は年下だし、まだ大学生だから頼りなく見えるかもしれねぇ。でも、ちゃんと真哉を大事にするから!」

  その真面目な顔に俺は吹き出してしまう。

  「おい、笑うなよ! 唐突かもしれねえけど、俺は真剣に言ってるんだぜ! 俺はあんたが好きになっちまったんだ!」

  俺は必死に言い募る大河の頭をくしゃりと撫でる。

  ……考えてることは一緒だったんだな。

  「馬鹿……それはこっちの台詞だよ」

  俺の言葉に、大河の顔がパッと明るくなる。

  「それじゃ……」

  「ああ、俺も大河が好きになっちまった。……俺なんかでよかったら、恋人にしてくれ」

  「よっしゃっっ!!」

  感極まったように俺を抱き寄せる虎獣人。

  その素直な愛情表現がついかわいらしいと思えてしまう。

  「じゃあさ、じゃあさ」

  照れくさそうな顔をして、虎獣人は言う。

  「生で入れちまってもいいかな?」

  「……なんだ、まだやりたいのかよ」

  「だって……」

  大河は顔に似合わず少し甘えたような声を出す。

  「生まれて初めて出来た恋人なんだ。やっぱり生でエッチしたいだろ?」

  その言葉に俺は驚く。

  「なんだ、大河。それだけ遊び慣れといて、誰とも付き合ったことなかったのかよ」

  「本当に好きになった奴としか付き合いたくなかったんだよ。だから、生で入れたこともなかったし……」

  頬をポリポリと掻く虎獣人。

  ……こいつ、変なところで真面目だよな。

  よっぽど育ちがいいのかもしれない。

  だが、そんな性格が好ましくないわけはなく。

  「いいぜ」

  俺は頷いて見せる。

  「生で入れて、お前を感じさせてくれよ」

  「おっしゃ!」

  大河は頷くと、逸物にかぶさる、窮屈そうなコンドームを取り払った。

  「じゃあ、いくぞ!」

  散々嬲られた肉穴の入り口に興奮で今までよりも膨れ上がった亀頭が押し付けられる。

  ゴム越しではない、生の逸物の熱は、火傷してしまうんじゃないかと錯覚するほど、熱かった。

  「これで真哉は……俺の……俺だけの雌だからな!」

  ぐじゅりっ、ぐちゅ、ずりゅ、ずりゅ、ずりゅ……。

  

  「ああ……ああああああああああああっ♡♡!!!」

  俺はあられもない嬌声を響かせた。

  ……すごい。

  ゴム越しとはまるで違う。

  その太さも、熱も、そして棘の鋭さも。

  大河は俺の雌穴を味わうようにゆっくりとしか動いていないのに、その圧迫感は今まで以上で。

  「イ、イッちまうぅぅぅぅぅっ♡♡!!!」

  びしゃぁぁぁぁっ!!

  鯨のように潮を噴きだしてしまう。

  「真哉、気持ちいいか?」

  「ぎもっ♡、ぎもじいいいいいい♡♡!!」

  竿がぎちぎちと肉壁を押し広げ、鋭い棘が快感を待ち構える肉襞の1つ1つを丁寧になぞるのだ。

  ずりっ、ずりっ、ずりっ、ずりっ。

  「んああああああああああああああっ♡♡!!!」

  ごちゅんっ!

  「うぎぃぃぃぃぃぃっ♡♡!!」

  生々しほどに強い刺激が前立腺を襲うと、それだけで俺の体は痙攣しだすのだ。

  「真哉、真哉……」

  熱に浮かされたように呟く大河の腰の動きが、少しずつ早くなっていく。

  ごちゅんっ、ばちゅんっ、がちゅんっ、がちゅんっ!

  「大河ぁ♡、大河ぁ♡!」

  俺はもう甘えるようにその身体にしがみつくことしか出いない。

  「真哉……お前は俺のもんだからな! 絶対離さねえからな! くそ……出すぞ! 俺の子種、受け取ってくれぇぇぇぇっ!」

  獣の咆哮を響かせた瞬間、俺の中で大河の子種が弾けたのがわかった。

  どりゅりゅりゅりゅりゅりゅっ!!

  まるで固体のように重たい白濁液が、俺の雌穴を染め抜こうと、凄い勢いで流れ込んでくる。

  ……ああ。

  火傷しそうなそれは俺の胎を膨らませながら、俺の心と体を満たしていく。

  「大河……」

  「真哉……好きだぞ」

  年下の虎獣人は、俺の体を抱きしめると、甘い甘いくちづけを繰り返した。

  ☆

  朝起きると、俺と大河は繋がったままだった。

  というよりも、先に起きた大河が、勝手に俺の雌穴に挿入していたようだ。

  「あのなぁ、まだ出来るのかよ」

  「しょうがねえだろ。真哉の寝顔が……かわいいんだからよ」

  そんな言葉に、俺は思わず顔を赤らめてしまう。

  「馬鹿、年上に向かってしょうもない事言うんじゃない」

  俺は照れたようにその体を押しのけると、体を起こす。

  「いてて……」

  「真哉、大丈夫かよ」

  さすがにあれだけ攻めらたのだ。

  俺の体は筋肉痛になっていた。

  体をギシギシ言わせながらベッドから起き上がると、大河は不安そうな顔で俺を見ている。

  「ちょっと筋肉痛になっただけだ。大丈夫だよ」

  俺は笑ってみせると服を着る。

  俺の新しい彼氏は、随分と心配性なようだ。

  「大河も服を着ろよ。……それより、朝飯作らないとな」

  哲也も牛島君も腹を空かせているだろう。

  俺が台所へ向かおうとすると。

  「よっ、と」

  俺の体が宙に浮く。

  「えっ?」

  気がつくと、大河に抱きあげられた俺は横抱きにされていた。

  俗に言う、お姫様抱っこという奴だ。

  「お、おい……こっぱずかしいだろうが!」

  「いいだろ?真哉は俺の恋人なんだからよ」

  

  俺の抵抗を無視して、大河は抱きかかえたまま軽い足取りで台所へと歩いて行った。

  ☆

  「あっ♡、あっ♡!」

  「哲也っ、哲也ぁっ!」

  リビングへ顔を出すと、朝から見たくない光景が広がっていた。

  雌穴を穿たれながら甘い声をあげる弟と、愛しい雌の名前を呼びながら必死に腰を振る牛獣人。

  哲也はご丁寧に裸エプロンなんかつけている。

  ……新婚さんかよ。

  「はぁ」

  俺は横抱きにされたままため息をつく。

  「2人とも、朝からお楽しみだな」

  その言葉に、硬直したように固まる2人の男。

  「哲也、牛島君。……俺は哲也の部屋でしかセックスするなって言ったよな?」

  「す、すみません!」

  慌てて逸物を引っこ抜くと、頭を下げる牛獣人。

  しかしはたから見たら珍妙な光景だろう。

  お姫様抱っこをされている俺に、ぺこぺこと牛獣人が頭を下げているのだから。

  「いいじゃねえか、兄貴だって大河先輩と楽しんでたんだろ?」

  横から、口を尖らせた哲也が不満そうに言う。

  「あんあん泣き声が聞こえてたぜ」

  「う、うるさい!」

  その指摘に、俺は悪態をつくことしかできなくなってしまう。

  「ちゃんと朝飯も作ったし、今回は勘弁してくれよ」

  言われてテーブルを見ると、ちゃんと4人分の朝食が用意されていた。

  品数豊富な内容を見れば、きっと牛島君が作ったのだろう。

  ……哲也に出来るのはパンを焼くことぐらいだからな。

  「しょうがないか」

  俺が苦笑いしてそう言うと、牛島君はホッとしたような顔をする。

  「それじゃあ、せっかく作ってくれたんだ。4人で朝飯食うか。……とりあえず、2人は服を着てくれ」

  ☆

  「なあ。兄貴と大河先輩、付き合うことにしたのかよ?」

  旺盛な食欲で朝飯を平らげると、哲也はそんなことを言い出した。

  「な、なんでだ?」

  思わず動揺で口籠ってしまう俺に、哲也は当たり前のように答える。

  「だって、兄貴はいつも通りだけど、大河先輩の兄貴を見る目が普通じゃないからさ……」

  言われて隣を見ると、血走った目で俺を見る大河の姿があった。

  ……まだやりたらねえのかよ。

  昨日出したの、30発じゃきかねえぞ。

  「そ、そういうお前たちはどうなんだ?」

  俺の言葉に、牛島君は姿勢を正して言う。

  「俺達も、付き合うことにしました!」

  その真剣な表情には好感が持てる。

  ……この子もきっちりとしているみたいだな。

  哲也を預けても大丈夫そうだ。

  「吾郎さん、誰よりも俺の事大事にしてくれるって」

  にやにやと笑いながら、俺に惚気てくる哲也。

  はいはいと苦笑いをする俺だったが、なぜかその言葉に過剰反応したのは大河だった。

  「お、俺の方が、真哉を大事にするぞ!」

  ……張り合わなくてもいいんだよ。

  意外と子供みたいなとこもあるんだなぁ。

  呆れ顔の俺とは違い、牛島君はにやりと笑ってみせる。

  「じゃあ、勝負しようぜ」

  「勝負?」

  「お互い相手をどれだけ大事にしてるかをな!」

  ☆

  「お、おい。恥ずかしいじゃないか!」

  同意もなしに、リビングで俺の体を押し倒す大河。

  弟の前だというのに……。

  俺は抵抗しようとするが、大河は虎獣人の膂力で、たやすく俺の服を脱がしてしまう。

  「こんなところで……」

  しかし俺とは違い、残りの3人はさして抵抗がないようだった。

  「何言ってるんだよ。昨日あれだけ喘ぎ声聞かせといてよ」

  哲也の言葉に、俺は赤面してしまう。

  「大丈夫だ。余計なこと気にならないぐらいに、気持ちよくしてやるから」

  その言葉とともに、自ら服を脱ぐ愛しの虎獣人の体から、甘いフェロモンが溢れだしてくる。

  ……駄目だ。その匂いを嗅いじゃうと俺……。

  身体が芯から疼いて、大河が欲しくなっちまう。

  「なあ、真哉。俺達の仲のいいとこ、見せつけてやろうぜ」

  「だ、だめぇ♡……」

  俺のその声には、すでに甘えが混じっていた。

  

  「俺達も負けてられねえな」

  そう言うと、牛島君も隣にいる哲也を絨毯の上に押し倒した。

  その身体からは、大河とは違う、ミルクのような匂いの甘いフェロモンが流れ出している。

  「吾郎さん♡……」

  こいつも恋人のフェロモンにやられてしまったのか。

  とろけた表情の哲也は牛獣人にキスをねだる。

  ぐちゅ、ぬちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ。

  濡れた音を立てながら舌を絡めていたが、やがて口を離すと、牛獣人は哲也の両足をその太い腕で持ち上げ、俺達に見せつけるように陰部に舌を這わせた。

  ……すごい。

  牛の舌は長いと聞いたことがある。

  なんでも50cmはあるとか。

  きっと先祖がそうなのだから、牛獣人の舌も長いのだろう。

  それが自由自在に動きながら、逸物や金玉の上をずるずるとなめくじのように這い回るのだ。

  「あっ♡、あっ♡!」

  その感触に体を震わせる哲也。

  「……こんなもんじゃねえぞ」

  くぐもった声で言うと、その長い舌が哲也の中に潜り込む。

  じゅるんっ!

  「んひぃぃぃぃぃっ♡♡!!」

  蛇のような舌が、じゅるじゅると音を立てて肉穴を掻き回すのがわかる。

  「んああああああああああああああっ♡♡!」

  快楽に体を暴れさせる哲也を押さえつけて、牛島君は舌を蠢かせる。

  「んぎぃっ♡! んぎぃぃっ♡♡!!」

  白目を剥いて悶絶している哲也を見ていると……。

  ずごんっ!

  「あああああああああっ♡♡!!」

  不意の大河のトゲチンが、俺の雌穴をえぐった。

  「おい、何うらやましそうな顔してるんだよ! 真哉は俺だけ見てりゃいいんだ!」

  嫉妬と興奮とで膨れ上がった逸物が、肉襞に棘をこれでもかと押し付けてくる。

  傷つくんじゃないかと思うほどの刺激は、逆に甘い快感を俺に与えてしまうのだ。

  「すごいぃぃぃぃっ♡♡!!」

  「すげぇだろ! だから真哉は俺だけ見てりゃいいんだ。いくらでも気持ちよくしてやるからな!」

  がつん、がつっ、がつっ、ばちゅっ、がつんっ、どちゅんっ、どちゅどちゅっ、ばちゅんっ、ごちゅんっ、がつがつがつがつっ!

  「大河ぁぁっ♡! 大河ぁぁっ♡♡!!」

  ぐちゅんっ、ずちゅっ、ずちゅっ、ぐにゅんっ、ぐちゅんっ、ぐちゅんっ、ばちゅんっ、ぱんぱんぱんぱんっ!

  「吾郎さんっ♡! 吾郎さんんんっ♡♡!!」

  2人の兄弟の喘ぎ声が、リビングからあふれ出る。

  「「ああっ♡! ああっ♡♡!!」」

  無意識に伸ばした手が、哲也の指に触れる。

  途端にぎゅっと握りしめられてしまう。

  ……兄弟で……イカされちまう。

  その感情が俺の快感を絶頂へと押し上げた。

  「兄貴ぃっ♡、俺、もう♡……」

  「哲也ぁっ♡、俺も♡……!」

  「「2人とも、イッちまえぇぇぇぇっ!!!」」

  ずごんっ!

  がちゅんっ!

  2人のケダモノが、腰を強く叩きつけた瞬間だった。

  「「イ、イグぅぅぅぅぅっ♡♡!!!!!」」

  びゅるっ、びゅるっ!

  びしゃっ、びしゃっ!

  俺たち兄弟は強く手を握り合いながら、共に頂へと導かれる。

  「くそ、中出しするぞぉぉぉっ!」

  「種付けしてやるからな!」

  

  2人の獣人の叫び声。

  びゅるるるるるるるるるるっ!!

  まるでシンクロしたかのように、俺たち兄弟の腹は、同時に子種で膨らんでいく。

  「……仲良く兄弟でイキやがったな」

  はぁはぁと肩で息をしながら大河が言う。

  「1回戦は引き分けってとこか」

  同じく息を荒げる牛獣人が呟いた。

  「ああ。こっからはどっちが回数種付けできるかで勝負だ」

  「ぜってぇ、負けねぇからな!」

  ☆

  俺の10日間の夏季休暇は、大河と淫らに過ぎていった。

  寝室でも台所でも風呂場でも、大河はムラムラすると俺を犯してしまう。

  だが、俺もただやられるわけじゃない。

  年の功とでも言うのか、数えきれないほどセックスを繰り返すうちに、攻守が逆転してしまう事があるのだ。

  特に哲也たちがいない、2人っきりの時は。

  といっても、俺が入れるわけじゃない。

  入れられた俺が、年下の虎獣人の主導権を握るのだ。

  それは、主に俺が騎乗位になった時。

  「大河、気持ちいいか?」

  ぬちゅんっ!

  「あ、くそ……」

  俺は体を上下に動かしながら、雌穴を優しく締め付ける。

  包み込むようなその感触に、大河は小さく呻いた。

  「大河……かわいい顔してるぜ」

  「言うなよ、そんなこと。恥ずかしいじゃねえか」

  くちゅ、くちゅ。

  すっかりその形を覚えてしまった肉襞を、柔らかくうねらせながら、棘だらけの太竿にしゃぶりつく。

  「うう……」

  「気持ちいいだろ?」

  「……」

  雄の矜持があるのだろう。

  ぐっと歯を食いしばってひたすら耐える虎獣人。

  そんな姿が愛おしくて、俺はとどめを刺すことにする。

  その身体に抱きつくと、小さく突起した胸の強張りに舌を這わせたのだ。

  べろんっ。

  「ひゃうっ!」

  子猫のように泣く大河。

  俺がその逸物の形を覚えさせられたように、大河もまた俺の愛撫で、乳首の快感を覚えてしまったのだ。

  連日続いている荒淫で、慎ましやかだった大河の乳首が、少しだけ敏感に大きくなってしまっている。

  「駄目だ、そこは……」

  息も絶え絶えの大河を無視して、俺はかりりと乳首を噛んだ。

  「イグぅぅぅぅっ!!」

  びゅるっ、びゅるっと、雌穴に打ち出される子種汁。

  快感のあまり呆けたような顔をする虎獣人に、俺はキスをする。

  「まだだ。もっと俺の中に出してくれよ」

  ☆

  そんな爛れた日にも、やはり終わりが訪れる。

  夏季休暇最終日の夜。

  俺と哲也は客室にある2つのキングベッドにそれぞれ寝かされていた。

  今夜はここで、朝まで泣かされるのだろう。

  ……今日で終わりなのか。

  俺の心にふと浮かぶ寂寥の想い。

  別にこれで会えなくなるわけじゃない。

  大河と俺とは恋人同士なのだから。

  それでも、俺は社会人として仕事に、大河は学生として勉学に部活に励む日々が始まってしまう。

  この宴のような毎日が終わってしまうのは寂しかった。

  「……」

  当たり前のように甘いフェロモンを出しながら、それぞれ相手のいるベッドの前に立つ2人の獣人。

  だが、なぜかいつものように手を出してはこない。

  ……なんだ?

  火照る身体を起こして大河を見ると、なぜか牛島君と顔を見合わせながらもじもじとしている。

  「お、おい、吾郎……」

  「……」

  「卑怯だぞ。こんな時もだんまりかよ」

  「……」

  「俺から言わなきゃダメなのかよ」

  「じゃんけんで負けただろうが」

  「くそっ……」

  「大河、どうかしたのか?」

  その態度を不思議に思った俺が口を開くと、大河はやけになったように大声を上げた。

  「ああ、もう!」

  ぶっきらぼうに、俺の目の前に腕を突き出す。

  「これ……」

  パッと開かれた掌には、銀色に光る小さなリングが乗せられていた。

  よく見ると、サイズは違うが同じデザインのリングを大河も着けている。

  「し、真哉さんっ!」

  「は、はいっ!」

  突然の大声、しかも唐突な『さん』付けに、俺の大きく返事をしてしまう。

  「お、俺とツガイになってください!」

  「えっ?」

  困惑する俺の顔を見て、隣から牛島君が言葉を足す。

  「結婚してくれってことです」

  ……結婚。

  「あんたはぜってぇ、俺のツガイにふさわしい雌なんだ!」

  ……ツガイ。

  確かその言葉は、獣人にとっては何よりも大事な言葉だったはず。

  獣人は一度ツガイを見つけたら、絶対に離さない、執着する生き物だと。

  「そりゃ、今は年下で頼りねえかもしれないけど、卒業後の仕事の内定ももらってるし、ちゃんと真哉を喰わせてやれる。それに一生お前を大事にする。だから……頼むから、俺のツガイになってくれぇぇっ!」

  「あ……」

  大河はこんなにも俺の事を真剣に考えていてくれたんだ。

  そのことに思い至ると同時に、俺は無意識に頷いてしまっていた。

  「俺なんかでよかったら……大河のツガイにしてください」

  「……」

  その言葉に、感極まったように無言のまま、俺に抱きつく虎獣人。

  「兄貴、よかったなぁ」

  にやにやと笑いながら言う弟に、そっと手を差し出す牛島君。

  「なに、他人事みたいな顔してるんだ」

  その手にも指輪が1つ。

  「あの……吾郎さん……」

  「何も言わねえでも、俺の気持ちわかるだろ? ……受け取ってくれるよな?」

  寡黙な牛島君のプロポーズに、哲也こくりと小さく頷いた。

  「……はい」

  俺たち兄弟は、お互いのツガイの手によって、その指に指輪を嵌められた。

  俺は大河に、哲也は牛島君に。

  「これで真哉は、俺だけのもんだからな」

  そのまま俺の体をベッドに押し倒す虎獣人。

  隣を見れば、同じように哲也も牛獣人に覆いかぶさられている。

  「入れちまってもいいよな」

  「はい……」

  しおらしく答える俺の態度が新鮮だったのか、昂る股間の逸物が、虎獣人の腹をびたんと叩く。

  「今日は奥の奥まで突っ込んで、ぜってぇ、孕ませてやるからな」

  雌穴に押し当てられた凶悪なサイズの逸物。

  それは今までにないほどの熱を内包していた。

  火傷しそうなほどの熱を帯びたその内部には、今か今かと放出を待ちわびる子種汁が、とば口までせり上がっているのだろう。

  普通だったら触れただけで漏らしてしまいそうな興奮の中、大河はぐっと歯を食いしばって、肉杭を押し込んでくる。

  ぐちゅんっ、ずる、ずるずるずるっ!

  「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡!!!」

  それは、この休みの間に感じたことがないほど激しい快感だった。

  なんとしても孕ませたいという雄のケダモノの意志が、逸物から感じられるのだ。

  雌の身体がそれに敏感に反応してしまう。

  ずりゅんっ、ずりゅんっ、ずりゅんっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ、ずりゅんっ!

  「ひぎゃぁぁぁぁぁぁっっ♡♡!!!」

  太竿が肉壁を突き進めるだけで、俺は何度も絶頂に達してしまう。

  雷で打たれるような衝撃が俺の体を躍らせるが、大河はそれを押さえつけ、ゆっくりと肉棒を進めていく。

  ずちゃ、ずちゃ、ずちゃ、ずちゃ……。

  「んああああああああああああああっ♡♡!!」

  前立腺を押し潰しながらも通り過ぎ、肉襞を無理やり押し広げながら進む逸物。

  そこには気が狂いそうになるほどの快楽が潜んでいた。

  「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡!!!!」

  もう何もわからない。

  わかるのは気持ちいいという事実だけ。

  がちゅっ!

  そしてついには、今まで誰も到達したことのない未開の処女地にまで、その雄杭は足を踏み入れようとするのだ。

  「だ、だめぇぇぇ♡♡!!」

  俺の本能がそれを拒む。

  そこを犯されたら……。

  恐ろしいほどの快楽が待ちかまえているはずだ。

  きっともう、戻れない。

  完全に雌になってしまう。

  ……怖い。

  涙目で大河を見上げると、無骨な顔の虎獣人は。男臭い笑みを浮かべる。

  「心配すんな。おかしくなってもちゃんと俺が責任取るから」

  その言葉と同時に、猛々しい雄の肉杭が壁を突き破った。

  ごちゅんっっっ!!!

  「……っ♡♡!!!」

  もう、声すら出せなかった。

  目の前に火花が散って、やがて真っ黒に染まる。

  わかるのは大河の匂いと触れている体温と、与えられる莫大な快感だけ。

  「……奥まで……入っちまったぞ」

  阻む肉壁をこじ開けて、その肉棒はついに最奥にまで到達してしまったのだ。

  恐ろしいほどの快感と、この人のものになってしまったという幸福感で、俺はボロボロと涙を流す。

  それを舌で舐めとりながら、大河は笑った。

  「お前の奥の奥に、種汁を注いでやるからな」

  ☆

  どちゅんっ、ごちゅんっ、どちゅんっ、どちゅんっ、ばちゅんっ、ぐじゅりっ、ごちゅりっごじゅんっ、じゅちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ごりごりごりごりごりっ、ぐじゅりっ、ずるりっ、ずるずるずるずるっ!

  「んああああああああああああっ♡♡♡!!!」

  それは情け容赦ない腰の動きだった。

  ただ雌を孕ませるためだけの勇ましい雄の動き。

  身体がへしゃげてしまいそうな、がむしゃらな抽挿に、俺の肉襞は媚びるようにすがりつくことしか出来ないのだ。

  「しゅごいぃぃぃぃぃぃっ♡♡!!」

  「……もっとだ。もっと気持ちよくしてやるからな!」

  余裕なんて欠片もない表情で、ひたすら抜き差しする虎獣人。

  その隣では……。

  ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゃんっ、どちゅんっ、どすっ、どすっ、ぐちゅっ、ぐちゅんっ!

  「うぎぃぃぃぃぃぃっっ♡♡!!」

  哲也もあられもない声をあげていた。

  きっと俺と同じように、己の雄に犯されているのだ。

  だが、その姿を見ようと顔を横に向ける余裕すらなかった。

  俺に出来るのはただ、目の前にいる俺だけの雄に抱かれ、その子種で孕むことだけ。

  がちゅん、ぐちゅり、ごちゅん、ぐちゅん、ぐじゅり、ぐじゅっ、ぐじゅっ、ばちゅん、ばちゅん、がつんっ、ぐじゅりっ、ぐじゅぐじゅぐちゅぐちゅ、がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつっ、がつんっ、がつんっ、がつんっ、じゅちゅじゅちゅじゅちゅじゅちゅっ、じゅるり、ずるり、ずるり、がつんっ、がつんっ、がつんがつんがつんがつんっ、がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ!

  「あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ♡♡!! ぐるっ♡、ぎじゃうぅぅぅぅぅぅぅっ♡♡!!」

  これまで経験したことのないほどの快感の荒波が、俺の全身に覆いかぶさってくる。

  大河が与えてくれる快感が、その細胞一つ一つに染み渡り、爆発していくのだ。

  脳味噌が吹き飛んでしまいそうな感覚に、俺はもう叫ぶことしか出来なかった。

  「大河ぁぁっ♡♡! 大河ぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡!!」

  「真哉っ、いっちまうぞぉぉぉ! くそ、孕みやがれぇぇぇっ!!」

  どりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅっっ!!!

  俺の体内で、何かが破裂した。

  それはとけた鉄のような質量を持ったまま、俺の腸壁を遡り、胎を膨らませていく。

  ……ああ、孕んじまった。

  俺にはわかってしまった。

  大河の子を宿してしまったことが。

  そこにはただ、充足感しか存在しなかった。

  ☆

  その後、俺達兄弟は当たり前のように妊娠した。

  俺と同じように、哲也も牛島君によって孕まされていたのだ。

  結局、しばらくして俺達2人は再び長期休暇を取る羽目になった。

  哲也は大学を休学に、俺は産休で仕事を休まなけれなならなくなったのだ。

  だが、後悔などなかった。

  自分を大事に想ってくれる雄の子を育むことは、雌になった俺にとっては幸せでしかなかったから。

  『ツガイになってくれ』

  その言葉通り、大河も牛島君も、きちんと籍を入れて俺たちの旦那になった。

  2人が大学を卒業する頃、俺達も無事出産を終え、今では4人と子供たちとでこの家に住みながら、幸せな日々を過ごしている。

  2人は慣れない社会人生活をしながら、甲斐甲斐しく子供たちの面倒を見てくれていた。

  

  ☆

  「なあ、寝なくて大丈夫か?」

  「大丈夫だって」

  出産してしばらく経って。

  次の日が仕事だというのに、夜泣きがおさまるまで、息子をあやしてくれていた大河。

  その顔はすっかり父親のものだった。

  自分にそっくりな息子をベビーベッドに寝かせると、俺の隣に潜り込んでくる。

  「大丈夫なわけあるか。明日は大事な会議があるんだろうが」

  「まあ……」

  「早く寝てしまえよ」

  「わかったよ」

  頷きながら、その大きな手を俺の頭の下に差し込んでくる。

  腕枕をしようとしてくれているのだ。

  俺はその大きな体に抱きつき、その黄色い毛に顔を埋める。

  その男らしさに、また惚れ直してしまいそうだった。

  ……ああ。

  俺はつくづく思う。

  ……本当にこいつに会えてよかった。