福の神

  新年まで残り数時間と迫った大晦日の晩…

  一人の竜人が人通りの少ない路地をとぼとぼとと歩いていた。

  上背は高く2mを優に超える巨体ではあるものの、その身なりは見窄らしくぼろぼろの着物から覗く胸板はあばら骨が浮いて見えるほど痩せこけていた。かつては光輝いていたであろう全身を覆う金の鱗は今では見る影もなくくすんでいて、目には生気がなく、背中の翼を折り畳んで体を小さく屈めて歩く姿は罪人か亡者のようだった。

  彼を見ることができる者がいたとすれば、きっと今夜の寝床を求めてさまよう浮浪者だと思うに違いない。

  遠くから、ゴーンという鐘の音が聞こえてきた。どこかの寺で除夜の鐘をついているのだろう。

  竜人は空を見上げて、ふぅっとため息を吐いた。

  「ああ、私の時間も残り僅か…

  多くのヒトの笑顔を見守ってきたが、私自身の最期はこんなものか。少し寂しいものだな。」

  このままねぐらである社に帰って静かに祈りながら最後の時を過ごそうかと思った矢先、一軒の家から楽しそうな笑い声が聞きこえてきた。父親と母親と何人かに子供たちか、きっと今年の出来事を振り返って思い出話に花を咲かせているのだろう。

  どこにでもある何気ない光景、竜人が何度も見てきたヒトビトの営みの一コマであり、この幸せを遠くから見守っているだけで彼は満足だった。だが自分に残された時間が少ないことを知る彼は産まれて初めてほんの少し羨ましいという感情を持った。

  「次の世代を産み育てる…今思えばなんと尊いことか。それに引き換え、お役目を終えた私はただ一人消えゆくだけなのか。」

  しゃがれた声で一人呟いた時、はっと気づいた。

  そうだ、自分には役目があったはずだ。この体にはもうそれを果たす力も時間もないが、ならば次の者にそれを託さなければならない。

  たとえどんな手を使おうとも…

  「それが私の最後の務めだ。」

  竜人は小さく折り畳んでいた翼を広げてしばらくぶりに空に飛び立った。骨と皮の軽い体では師走の冷たい北風に吹き飛ばされてしまいそうになるが、ぼろぼろの翼で必死に羽ばたき街の上空に飛び上がる。

  大小の街の明かりを眼下に見下ろしながら、竜人は目を閉じて嗅覚に神経を集中させた。自分の中に微かに残る金色のオーラと同じ匂いを何百回、何千という家々の中から嗅ぎ分け、さらにその中で最も濃く芳醇な香りを探り出す。

  瞑想するように沈黙していた竜人であったが、しばらくして彼の鼻がピクリと動いた。

  「見つけた。」

  竜人は目を開けると、その匂いを辿って夜空を飛んでいった。

  [newpage]

  屋敷と呼んで差し支えないほどの大邸宅、その寝室で一人の虎獣人が仕事を終えて一息つき寛いでいた。彼はとあるベンチャー企業の経営者なのだが、ここ数年で手掛ける事業が急成長し、各種メディアも今最も勢いのある社長としてこぞって取り上げるほどだった。若くして巨万の富を築きこうして豪勢な居宅も手に入れたのはいいが、この1年は新規に立ち上げた事業が休む間もないほど忙しく、結局仕事納めは大晦日となってしまった。妻と幼い息子は先に義実家に帰らせていたが、明日からの三が日は自分も合流してのんびり過ごすつもりだった。

  虎獣人…マキオはこの1年を振り返る。今年は忙しすぎてあまり家族にかまってやれなかったが、新規事業もようやく軌道に乗ってきたし、来年はちゃんと休暇をとって家族サービスをしてやろう。

  それに最近、妻との夜の営みはすっかりご無沙汰で、寂しい思いをさせてしまっているという自覚があった。夫婦二人ともまだ若いし妻もそろそろ二人目が欲しいとそれとなくせがんでくるようになってきたし、来年こそは妻をたっぷり可愛いがってやろう。

  そんな来年の抱負を考えつつ、なんとなく妻とのセックスを頭の中で反芻するうちにマキオはムラムラとしてきてしまった。

  せっかく妻もいないことだし今日は存分に一人で楽しもうと、マキオはクローゼットを開けて衣装ケースから妻のランジェリーを取り出した。虎の毛皮に映えそうなワインレッドのいわゆる勝負下着だ。

  マキオは服を脱いで素っ裸になってベッドに横たわると、スマホに妻の写真を引っ張り出して自分のチンポをしごき始めた。

  「はぁはぁ…ツバサ…愛してるよ…はぁはぁ…たっぷり種付けして…また俺の子孕ませてやるから…」

  手に持っていたブラをマズルにあてがい、クンクンと思い切り香りを嗅ぎながら乳首の当たるあたりをベロベロと舐め回す。

  彼のチンポはムクムクと勃起していき、やがて反り返ってへそのあたりにまで届いた。妻を虜にした自慢のイチモツである。妻が上目遣いで必死にしゃぶりながらもネコ科のザラついた舌で刺激してきたことを思い出すだけでどんどん興奮が高まっていく。

  「はぁはぁ…ツバサ…可愛いよ…愛してるよ…」

  妻の名前を呟きながら、興奮した彼は手に持った妻の下着を自分で身に付け始めた。妻はもともとぽっちゃりした体型だったが長男を出産してからさらに肉付きがよくなり、ますますマキオ好みの身体になっていった。おかげで下着も大柄で筋肉質のマキオにも身に付けられるサイズだった。空いた手でブラ越しに乳首をいじるのも悪くない。

  パンティからごっそりはみ出した太い巨根をしごくうちに、鈴口からトロトロと粘液が溢れ出し始める。

  「はぁ…い、挿れるぞ…」

  手でチンポをしごきながら腰を振り、妄想の中で妻を犯し始める。膣圧の締め付け具合を思い出し、ゆさゆさ揺れる腰周りの贅肉の柔らかさを思い出し、ズンズン突かれて蕩けそうになる妻の表情を思い出し、マキオはどんどん絶頂に近づいていく。

  「グルルル…もう…い、イぎぞう…」

  妄想の中で子宮にまで達した彼のチンポが子種を撒き散らそうと鈴口をガポッっと開いたその時…

  「じゃまをするよ。」

  「うわぁっ」

  いきなり声をかけられて心臓が飛び出しそうになり、せっかくイきかけていたのに一気に萎える。

  驚いて声の方を見るが誰もいないし部屋の扉が開いた様子もない。

  「お、おい誰かいるのか?」

  「ああ、すまない。これで見えるかな?」

  すると部屋の一角がぼんやりと霞み人の形が浮かびあがり始め、やがて一人の竜人が姿を現した。

  「な…何者だ、どこから入った!?」

  「ふむ、何者か…私に名はなくてな。なんと説明したものか…まあ、怪しい者ではないから安心してくれたまえ。」

  「どこからどう見ても怪しいだろ。」

  長身だがガリガリに痩せてぼろぼろの着物のに身を包んだ竜人の姿は物乞いにしか見えなかった。

  「私のことはどうでもいいだろう。それより…」

  竜人は目を凝らして目の前の虎獣人を見た。ヒトの目には見えないが虎の体を金色のオーラが包み込んでいる。

  「お、おお、何という凄まじい運気。まさしく国一の福男に違いない。」

  「何をわけのわからないことを…」

  「ジュルリ…辛抱できない。その運気いただくとしよう。」

  竜人は突然口をガバッと大きく開けたかと思うと、掃除機のように空気を吸い込み始めた。するとマキオの体を覆っているオーラが凄まじい勢いで竜人の口の中に吸い込まれていった。当然、オーラの見えていないマキオの目には竜人が派手に深呼吸をしているようにしか映っていない。

  「な、何だよ突然…うわっ!」

  マキオは驚いて声を上げる。痩せこけてぺちゃんこだった竜人の腹がどんどん膨らんでいくのだ。単に空気で膨らませているのとは明らかに違い、ものの数十秒でまん丸になった腹は、ブカブカの着物を内側から押し上げ、帯をギチギチと引き伸ばしていく。

  食いすぎたように腹が見事な球体になっても竜人は吸い込むのを止めようとせず、なおも腹は膨らんでいった。そして…

  ブチブチブチブチッブチンっ!

  膨らみ続ける腹の圧力に耐えきれずついに帯がちぎれて着物がはだけた。解放された腹は一気にブクンっとさらに一回り膨れ上がるが、竜人の吸い込みは止まらずまん丸の腹はさらに大きさを増していく。

  マキオはただその様子を呆然と眺めていたが、どこまでも膨れ続ける竜人がだんだん恐ろしくなってきた。彼には認識できないことだが、あらわになった大きな腹は中に蓄積されたオーラによって蛍のように淡く輝いていた。

  「お、おい、腹が…腹が爆発しちまうぞ。」

  マキオの心配をよそに竜人はオーラを吸い込み続けながらも時折自分の腹を愛おしそうな手つきで撫でさすった。竜人は長身で腕も長いが、その腹は自分の腕で抱えきれないほどの大きさになっていて、胴体に大玉がくっついているようだった。

  「もう止めろ!」

  腹の皮が伸びるミチミチという音が破裂へのカウントダウンのように聞こえ、マキオは耳を塞いだ。

  竜人が一際大きく口を開けてぐわっとオーラを吸い込み、本当に腹が破裂してしまうと思ったその時、ようやく竜人が口を閉じた。

  痩せ細った足では巨大な腹の重さを支えきれず、どしんと床についてしまった。

  「ごええええええっぷ!!」

  盛大に金色のゲップを吐き、抱えきれなくなったお腹を優しく撫でる。

  「ふぅ、食べた食べた。実に美味な運気だったよ。腹に余裕があればまだまだ吸い取っていたかったんだが、さすがにこれ以上は腹が持たない。ゲプゥ」

  竜人は関心したようにマキオを見つめながら、口から溢れた涎を長い舌でベロリと舐めとった。マキオは絶句し今にもはち切れそうな巨大腹をただ見つめていた。竜人の腹をここまで巨大化させたにも関わらず、その体はいまだに金色のオーラが覆っている。

  「これだけ私に吸われてなお湧き上がる運気…まさしく私の分体の母体にふさわしい。」

  竜人は両の腕を高く掲げると、膨れ上がった腹に振り下ろした。ボウンっと大太鼓のような音が響く。

  そして、中からゴボゴボゴボゴボっ!ドクンドクン!という激しい消化音が聞こえてきたかと思うと、膨れ上がっていたお腹が急激に萎み始めた。

  「お、おおおお、力が漲ってくる!」

  竜人の体がビクンと震えたかと思うと、腹に蓄えられた養分が体中に行き渡るように、痩せ細った体がどんどん膨らみ、大きくなっていった。

  枯れ枝のようだった手足に筋肉が付き太くなっていき、肋骨が浮いて見えた胸は長い間鍛錬を繰り返したように分厚く逞しくなっていく。もともと長身だったが、頭が天井に付きそうなほど体が大きくなり、ボロ切れ同然だった着物は紙のように破れて散った。

  さらに腹が萎んでいくと、今度は全身に脂肪が乗って丸みを帯びていき、同時にくすんでいた鱗が眩いばかりの金色に輝き始める。

  頬がこけていた顔も肉づいて福々しくなり、髭や角にも張りと光沢が戻ってきていた。

  やがてお腹は大ぶりのビーチボール大に収まり、元の貧相な竜とは似ても似つかない太鼓腹の相撲取り体型の巨漢竜がそこに立っていた。

  [newpage]

  竜人はマキオが寝そべっているベッドにズンズン近づいてきた。竜人の体の激しい変化にあっけに取られていたマキオだったがドスドスという足音に我に返った。

  「く、来るなバケモノ!」

  目の前まで迫った得体の知れない竜人は壁のような圧迫感を放っており、マキオは恐怖に体をすくめた。そんな彼を安心させるように竜人はニッコリ笑った。

  「恐れることはないよ。私は君に言い尽くせぬほど感謝しているんだ。君のおかげで私は以前の力を取り戻すことができたのだよ。」

  竜人は腕と翼を大きく広げてベッドに倒れ込むようにしてマキオに覆いかぶさると巨体で包み込むようにマキオを抱きしめる。

  ともに100kg超えの虎獣人夫婦が羽目を外して暴れ回ってもビクともしない特注ベッドでも竜人の巨体にはさすがにミシミシと音を立てた。

  「一度でよいからこうして生ある者を抱きしめてみたかったのだ。ああ、獣人の毛皮とはなんと温かく心地よいのだろう。」

  竜人は押し潰してしまわないよう気をつけてながらも、マキオをガッチリと抱きしめ、その感触を楽しむように顔に頬ずりする。

  「た、頼むからもう勘弁してくれ。金なら好きなだけ持っていっていいから。」

  「金?ふむ、なるほど…君は私を物乞いだと思って金品の恵与を申し出てくれているのだね。」

  「いや強盗…」

  「(貧しい者を憐れみ施そうとは、なんと徳高きことか。)うむうむ、関心なことだ。私はますます君が気に入ったよ。」

  「何がだよ。いいから金持って出てってくれ!」

  ズレたやり取りにマキオは頭を抱える。

  竜人はこれまで一度もヒト前に姿を現すことはしなかったため、他者と会話をするのはこの時が初めてだった。

  彼はヒトビトの生活を長い間見守ってきたのだが、それは雲の上から見渡すようなもので、よく言えば普遍的、大局的は視野を持っているのだが、一方で個々人の事情や感情に着目するということがなく、常識と共感能力にはいまいち欠けていた。その上、ヒトは皆親切で善良なものだと信じているので、よほど浮世離れした野伏のような者でないかぎり会話が噛み合わない事態が生じるのである。

  マキオは力の限り暴れたが、自分をすっぽりと覆い隠してしまうほどの巨体となった竜人の力と体重の前にはなす術もなくされるがままだった。

  微笑みを湛えながら竜人がマキオの顔を覗き込む。

  「こんな間近で獣人の顔を観察するのも初めてのことだが、見れば見るほどなんと愛くるしいのだろう。」

  竜人は暴れるマキオの口を自分の口で塞ぐようにキスをすると、長い舌を無理矢理ねじ込んできた。舌を絡めてジュルジュルと音をさせながら、マキオの体内から湧き上がる金色のオーラを直接吸収する。

  マキオの口を通して竜人の腹に再びエネルギーが流れ込んでいき、太鼓腹がぐぐっと大きく膨れて下に敷かれているマキオを圧迫した。

  竜人は初めてのキスに興奮したように夢中で舌を動しながらもゴクゴクと喉を鳴らして金色のオーラ貪った。

  「ん…んん…」

  竜人は目を閉じ気持ちよさそうに吸収とキスの快感に酔いしれた。そうしている間に腹がどんどん大きく膨れていき、二周りほど大きくなったあたりで、口を塞がれて潰されているマキオがウンウンと苦しそうな唸り声を上げ始めた。竜人はようやく口を離した。

  「ぷはっ…すまない、つい夢中になってしまった。大丈夫かね?」

  「はぁはぁ…し、死ぬかと…思った…」

  竜人は体を起こして膝立ちになりマキオを体重と腹の圧力から解放した。大きなお腹の丸みに隠れてお互い顔を見ることができない。

  「それにこれ以上腹が大きくなったら子作りに支障が出てしまうね。」

  竜人がポコンっとお腹を叩くと、ゴボゴボっという水音とともにお腹がすーっとへこんでいき、ちょうど二人の目が合う。

  (こ、子作り?)

  マキオはその意味を理解し顔から血の気が引く。再び目に映った竜人の顔は紅潮し息遣いが荒くなり、マキオを見下ろす目から穏やかさが失せて獣性が宿っていた。

  マキオの目の前で竜人の股間の縦割れがガバッと開き、中から粘液に塗れぬらぬら光る竜チンポが姿を現した。それはみるみる体積と硬度を増して、ムクムクと反りたっていく。

  完全に勃起したそれは太さも長さもマキオの巨根の倍はある赤黒いバケモノだった。

  「ふぅふぅ…新鮮な運気をたっぷり吸わせてもらったおかげでこんなに元気になってしまったよ。養分が有り余って、こうしている今も精巣では子種がどんどん製造されている。

  は、早く放出しないと今にもはち切れてしまいそうだ。」

  巻きついた血管がビクビクと蠢めき、鈴口からはドロドロと粘液が溢れて竜チンポとベッドを濡らしていく。

  竜人はものすごい力でマキオの体を持ち上げると反転させ、尻を突き出させて四つん這いにさせた。

  「よ、よせ、俺はオスだ。いくら子種なんか出されても子どもなんかできない。」

  「心配はいらない。私はオスでもメスでも孕ませることができる。」

  「そんな馬鹿な…

  お、俺には女房も子供もいるんだ。家族を悲しませたくないんだ。頼むからやめてくれ。」

  「はは、おかしなことをいうのだね。家族が増えるのだから、君の妻や子もきっと喜ぶことだろう。」

  「そんなわけねえだろ。なんでわかんねえんだよ…

  そ、そうだ、俺なんかより可愛い女の子いくらでも紹介してやるから。蜥蜴でもワニでも、デカい子が良ければ象でもシロナガスでも、こんなゴツいオス虎よりいいだろ?」

  「ああ、君はなんて親切で奥床しいのだ。君は自分では私を満足させられないと考えて、よりふさわしい者を推薦してくれるというのだね。しかし自信を持ちたまえ。君は誰よりも魅力的だ。」

  竜人のストレートな言葉にマキオは一瞬ドキッとしてしまう。

  「う、嬉しくねえよ…

  いやいや、そうじゃない。俺はホモじゃねえしオスにケツ掘られたことなんてないんだ。だから…」

  「うむ、それは貞淑なことだ。だが気負うことはない、私も子作りは初めてだ。」

  不毛な問答にマキオは眩暈がしてきた。

  そして、どうすればこの場を切り抜けられるか落ち着いて考えたときに、あまりにシンプルな答えを完全に見落としていたことに気づく。

  「助けてくれえええええ!警備員、今すぐ来てくれえええええええええ!」

  なぜさっさと助けを呼ばなかったか自分でも疑問なくらいだったが、竜人が現れてからの状況の変化が目まぐるしくて思考が追いつかなかったせいだろう。

  マキオは今ので竜人が逃げ出してくれるのではないかと少し期待したが、竜人はきょとんとした声で尋ねてきた。

  「どうしたんだ突然叫んでヒトなど呼んで?何か困ったことでもあったのかい?」

  「おまえだよ、おまえ。おまえに襲われてることが困りごとだよ。」

  「襲われる?ははは、それは誤解だ。私は君を傷つけたり殺したりしない。ただ君と子作りがしたいだけだ。」

  「…もう限界だ。警察に突き出してやる。」

  「無理だと思うが…まあ、好きにするといい。

  それより限界なのは私の方だ。そろそろ種付けさせてもらうとするよ。」

  竜人はマキオを押さえつけながら、彼の妻のパンティをずらし、尻穴にすでに粘液でぬるぬるになった巨根を当てがった。

  マキオは歯を食いしばった。竜の巨根は大きさだけでなく硬度も並外れており、竜人がその巨体で体重を乗せて押しつけてくると、ズブズブズブっと鈍い粘着音とともに熱く太いものが一気にケツ穴に侵入してきた。

  「がああああああああああ!」

  竜人が奥まで突き立てると、マキオの尻穴は裂けることもなく根本まで受け入れてしまった。だが、想像したような痛みや不快感がない。

  「ふぅ、言ったろう、傷つけないと。私の体液には治癒と痛みや苦痛を和らげる力があるのだよ。」

  竜人は目を閉じてゆっくり腰を動かし始める。

  「お、おお、じゅ、獣人の腹の中とは…こ、こんなにも…す、吸い付いて締めつけてくる…なんという心地だ。」

  竜人がたまらずドスンドスンとベッドを軋ませて腰を振るたび、マキオは野生の獣の叫び声を上げた。ケツ穴が解れて広がっていき、中を熱く逞しい肉棒で刺激される感覚がだんだんと気持ちよく感じてしまうことが恐ろしくもあったが…

  竜人本人は苦痛を和らげるものだと思っているのだが、実のところ彼の体液は多量の快楽物質を含んでおり、マキオの腸の粘膜からそれが吸収され始めていたのだった。

  (太くて熱い…ツバサも、俺に突かれてこんな感じなのか?ヤバい、だんだん、良くなってきちまった。こ、このまま中に出されたら、どんな感覚なんだ?)

  そんな期待をするような考えに必死で争い、「やめろ」と口で言ってみるものの、体はもう抵抗をやめてしまっていた。さらに無意識のうちにブラの上から自分で乳首を弄ってさらに快感を求めてしまう。

  さっきオナニーを中断させられたのもあってか、マキオのチンポもギンギンに勃っていた。

  腹の中で竜の巨根がさらに膨張したのを感じ、「はぁん」とメスのような声が出てしまった。

  「はぁはぁ、で、出るぞ。私の子種を受け止めてくれ。」

  「う、お、俺もイっちまう…」

  ドビュッドビュッドビュッ、ビュルビュルビュルビュルビュル!!

  ドビュッ、ビュルビュル!

  二人はほぼ同時の果てた。マキオはベッドの上に出したが、竜人の精液が腸内に激しく叩きつけられ、その刺激で体がビクンと震え、さらに一発、ドピュっと出た。腹の中では竜人の射精の第一波が終わっても、精液はドクドクと大量に放出され続け、竜人の長い射精が終わる頃には、マキオの腹がぽってりと膨れていた。

  「はぁはぁ、子作りとはこんなにも素晴らしく甘美なものだったのだね。しかし、より確実に孕んでもらう必要があるのだ。」

  竜人は半分萎えたチンポを挿入したまま長い首を伸ばして、マキオの唇に吸い付いた。体内から湧き出る金色のオーラを吸い取って竜人の腹がまた膨らみ始める。

  「ゲプっ!子種の材料を補充させてもらったよ。さあ、もう一度やらせてもらおうか。」

  「おい、いい加減にしろ。」

  射精して頭が冷えて理性の戻ったマキオが怒鳴りつけるが、竜人は子種を製造したことでまた興奮し始めたようでマキオの中で竜チンポが再び太く硬くなってきた。

  [newpage]

  そのとき、部屋の扉が開き、警備員姿の牛獣人が部屋に入ってきた。

  「何かあったんですか、旦那さん!?」

  天の助けとばかりにマキオは、四つん這いのまま振り向いて警備員に向かって叫ぶ。

  「おお、よく来てくれた。早くこの変質者を警察に突き出してくれ!」

  声をかけられた牛獣人は一瞬その場固まった。そして困ったようにおずおずとマキオに問いかける。

  「あの、変質者って?旦那さんを警察に突き出すんですかい?」

  「俺じゃねえ。俺の後ろの…俺のケツを掘ってるデカブツだよ。」

  「デカブツ?何のことです?」

  「は?おまえの目はフシ穴か?よく見ろベッドの上を。」

  「私には旦那さんがブラジャー付けてケツ穴おっ広げてマスかいてるようにしか見えんのですが。」

  「な、何だと?どういうことだ?」

  狼狽するマキオに、竜人はため息をついた。

  「私の姿は君にしか見えないよ。私の声も彼には聞こえないし、触れることができるのも君だけだ。」

  マキオの顔が絶望に染まる。

  「は?そんな馬鹿な…

  お、おい、本当に見えてないのか?」

  「ですから、旦那さんが変態みたいな格好でセンズリしてるのがちゃんと見えてますよ。まさかそれをヒトに見られるのが趣味なんですか?…失礼しますよ。」

  「ち、違う!俺は本当に襲われたんだ。待ってくれ!」

  慌てふためくマキオを置いて呆れて部屋を出ていこうとする牛獣人に向かって、竜人はふーっと金色の吐息を吹きかけた。

  すると、牛獣人は目をとろんとさせながら催眠術にかかったようにふらふらとマキオの方に向かってきた。

  「お、おい、この牛に何をした?」

  「なに、君が彼を引き止めたがっていたようだったので、彼の性欲を高め意識を君に向けた。せっかくだ、一緒に楽しもうじゃないか。」

  「い、意識を向けるって?」

  牛獣人はマキオの側まで近づくと、かちゃかちゃと制服を脱ぎ始めた。警護のプロとして鍛え上げてきた逞しい肉体が露わになり、下着を脱ぐと、マキオに勝とも劣らぬ立派なイチモツがすでにそそり立っていた。

  「だ、旦那…奥さんの留守だからってそんなエロい格好で誘って、俺とヤリたいならはっきりいってくれりゃいいのに。」

  「うわあああああああああ!!!違う違う違う違う違う違う違う、違うううううう!!!!!」

  「へへへ、口ではそういいながら、ケツ穴はもう受け入れ準備万端じゃないですか。遠慮なくいただきますよ。」

  泣きそうになりながら叫ぶマキオを無視して、牛獣人はベッドの上に上がるとマキオのケツ穴にチンポを挿入しようとした。

  「ん?ありゃ?どういうことだ?ケツ穴が広がりきって直腸の肉ヒダまで見えてるのに、なんかに弾かれるみてえに挿入ができねえ。」

  「すまないが、そこは私が使用中だ。(警備員の彼には聞こえてないだろうが。)」

  「しかたねえ。旦那、口でしゃぶってもらいますよ。」

  牛獣人は前方に移動し、マキオの顔面にピタピタと勃起チンポを押し付けてきた。

  「ほら、旦那から誘ったんでしょ、早くしゃぶってくださいよ。」

  「おまえら、後で覚えとけよ…」

  「なに、謝礼には及ばないよ。私は君たちに甘いひと時を過ごしてもらいたいだけだ。」

  マキオは恨めしそうに牛獣人を見上げたが、涙目の上目遣いが牛獣人の興奮を誘ったようで、鼻息をあらくしてマキオの頭部をがしっと掴むと、口に無理矢理チンポをねじ込んできた。

  マキオはチンポなど口に入れたこともなく、口に広がる雄獣人の生臭さに吐き気がこみ上げてきていた。

  「ほら、ご自慢の舌使って。もっと気持ちよくしてくださいよ。」

  牛獣人がズンっと腰を突き出すと、喉までチンポが当たり、ぐえっとえずいた。

  竜人はその様子を見て満足そうに微笑み、自分も腰を振り始めた。竜人のチンポからマキオのケツの中に再び快楽物質を含んだ体液が注ぎ込まれる。

  「さあ、君の秘めた本心を見せてごらん。」

  「んぐ、んぐぅ…あぁん…」

  その効果はすぐに現れ、マキオの体が快感にブルンと震えた。最初は不快で仕方なかった牛チンポが舐めるほどにだんだん愛しく感じるようになり、牛に言われたとおり舌を使ってその形や熱を感じ取った。しゃぶっていくほどにその味や匂いと力強さに脳内が幸福感で満たされていく。

  さらに、竜人が後ろからドスンドスンと突き立てるたびマキオの体も大きく前後に揺れ、それが牛獣人の腰の動きと絶妙に噛み合っていた。

  「んふぅーっんふぅーっ、旦那もやっとノってきたみたいですね。んぁあ、舌がざらついてすっげえ気持ちいいですよ。」

  普段偉そうにしている雇用主の口を犯しているという意識が牛を興奮させ、思い切り腰を突き出して喉の奥まで押し当ててくると、マキオは唾液をグチュグチュと絡めつつ喉で締め上げ刺激した。一方で竜人もますます興奮して後ろから突き上げる動きを速めるが、溢れ出す快楽物質を搾り取るように肛門括約筋が竜チンポを激しく締めつる。竜人はその快感に威厳も理性もなくただの獣のように嘶く。

  「グルルルルル…ギャアアアアアン!」

  「あっああああ、すげえよ旦那…」

  口も尻穴も初体験だったマキオが屈強なオス2人を同時に相手できているのも竜人の力なのだが、マキオ本人もメスのように犯されたいという願望が心の奥にあったのだろう。ギンギンに勃起したチンポから垂れ流される我慢汁でベッドの上に水溜まりができていた。

  「んあぁ、もっほ…もっほぉ…」

  巨根に口を塞がれながらも、呂律の回らない口でどちらにともなく刺激をねだるマキオに、竜人も牛獣人も興奮が最高に高まっていた。

  「もうイッちまう、口で全部受け止めろよ!」

  「わ、私も、イく…」

  「ん、んんん…いっはいらして…」

  ドビュッドビュッドビュッ、ビュルビュルビュルビュルビュル!!

  ドビュッドビュッドビュッ、ビュルビュル!

  ドビュッ、ビュルビュル!

  マキオの口と尻穴に大量の精液が流しこまれ、ぽっこり出ていた腹がさらに丸く膨れていった。

  マキオは牛の濃くて粘っこい喉に当てられて咳き込みそうになりながらも必死に飲み込み、同時に四つん這いのままベッドの上に射精する。

  射精を終えて牛獣人の萎えかけたチンポが口からベロンと引き抜かれる。

  「ぶふぅ、旦那のお口、なかなか良かったぜ。」

  「ぶはっ、はぁはぁ…

  は、腹が、腹が、破裂しちまう。」

  「ありゃ、その腹どうしたんです?

  まるで妊婦じゃないですか?」

  竜人もようやく満足したのか尻穴からチンポを引き抜くとどろりと精液が溢れた。萎えた竜チンポは蛇のように縦割れのなかにズルッと収納される。

  解放されたマキオはベッドに仰向けにどさっと倒れこんだ。苦しむマキオに竜人は顔を近づけて唇を重ねた。

  今度はオーラの吸収を伴わない純粋なキスだった。竜人は優しく穏やかに微笑みかける。

  「ありがとう。

  私の子をどうか大事にしてほしい。」

  「だから、いくら腹いっぱいに種付けされても、オスは子供なんかできないんだよ。」

  その時、窓の外で花火が打ち上がった。どうやら0時を過ぎ、新年になったようだ。

  竜人の体が端から少しずつ消え始める。

  「おまえ、体が…」

  「ふふふ、疲れただろう。ゆっくりお休み。」

  竜人がふぅっと吐息吹きかけると、マキオと牛獣人は電池が切れたようにパタっと意識を失い、そのまま寝息を立て始めた。

  竜人はパンパンに膨れたマキオの腹を愛しそうに撫でながら、晴れやかな微笑みを残して消えていった。

  ぐっすり眠るマキオの腹の中では、トクントクンと何かが蠢めき始めていた。

  [newpage]

  バシャ

  「ぎゃっ、冷てえ!」

  顔に冷や水をぶっかけられてマキオは飛び起きた。

  目の前には鬼の形相の妻が仁王立ちしている。

  「つ、ツバサ?なんでここに?先に実家に帰ってたんじゃ?」

  「アンタが丸3日間も連絡寄越さないから、心配になって帰ってきたのよ。」

  「3日?今日は何日だ?」

  「1月3日よ。それよりこれはどういうことなの?」

  「え?」

  マキオは寝室の惨状を見て絶句する。当然、意識を失う前と同じ状態なのだが…

  乱れに乱れたベッドの上は大量に撒き散らされた精液が乾いて黄ばみ、部屋じゅうに雄の匂いが漂っていた。隣では素っ裸にの牛獣人がいまだにいびきをかいて眠っていた。股間がナメクジが這ったあよのようにカピカピと光っている。

  「それ、アタシのランジェリーじゃないの…」

  「はっ!こ、これは…」

  マキオは妻のブラとパンティを身に付けたまま眠りこけていたので当然そのままの変質者みたいな格好である。おまけに体も顔も下着も乾いた精液まみれでカピカピになっている。

  「ち、違うんだ!これには事情があるんだ。

  昨日…いや三日前の夜にこの部屋に強盗が入ったんだ。そいつが突然巨大化したかと思ったら無理矢理俺のケツを犯してきたんだ。でも警備員にはそいつの姿が見えなくて…

  そうだ、おい、君、起きてくれ!」

  マキオは隣でぐうぐういびきをかいている牛獣人揺り起こした。

  「おい君、昨日…いや三日前の夜のこと覚えてるだろ?姿は見えなかったかもしれないが、デカい竜の強盗が入ったんだよ。君も催眠術にかけられて、仕方なく俺を襲ったんだよな?な?」

  マキオが牛獣人の肩を揺すって必死に訴えたが、牛獣人は半分寝ぼけた様子で

  「ぶへへへ、旦那さんの舌使いすっげえ気持ちよかったなあ。それに俺のザーメンたっぷり飲んでくれて、ぶふふ、可愛かったなあ。」

  とヨダレを垂らしながらうわ言のように呟いた。

  「しっかりしろおおおおおおおおお!!!」

  マキオは牛獣人の肩をぶんぶん揺すったが、その態度にイラついた妻が床をドスンと蹴った。

  「アンタ!見苦しいわよ!そんな荒唐無稽なホラ話まで作って。せめてもう少し上手い嘘考えたらどうなの。」

  「信じてくれ、本当のことなんだ。俺が愛しているのはおまえだけなんだよ、ツバサ!」

  バコーンッ

  100kg超え虎獣人妻の右ストレートが鼻っ面に見事ヒットし、マキオ鼻血を吹いて倒れた。

  「最っっっ低ね。もうアンタとはこれっきりだから。」

  「待ってくれ、ツバサ、ツバサーーーーー!」

  鼻血をぼたぼた垂らした裸同然のマキオを残して妻は部屋から出て行ってしまった。去っていく後ろ姿に縋るように伸ばした手を牛獣人が握った。

  「へへへ、鬼嫁もいなくなったことだし、今からもう一発ヤりませんか?」

  「出て行け!!クビだああああああああああ!」

  牛獣人を部屋から叩き出し、1人になった部屋でマキオは呆然としていた。一体どうしてこうなったのか、自分は愛するぽっちゃり嫁をオカズに嫁ニーしてただけなのに…

  [newpage]

  マキオはベッドに座り込んで項垂れた。彼の腹は3日間の間にすっかりへこんでいたが、その時、腹が大きく、ぐうううううううっと唸り声を上げた。そして、今まで感じたことのない強烈なな空腹感は襲いかかってきた。それは命に関わるレベルのもはや飢餓とも言える感覚だった。

  「なんだ、急に腹が、腹が減って…」

  ギュルルルっとやかましく鳴り続ける腹を抱えながら、マキオはスマホを手に取ると思いつくままにデリバリーを注文しまくった。

  それなりに食通を気取っているマキオは普段なら時間をかけてでも美味いものを食べたいと考えるのだが、今日に限ってはなぜかジャンクフードを思い切り頬張りたくて仕方なかった。ピザ、ハンバーガー、チキン、寿司、パンケーキ、パスタなどなど、とても1人で食べきれない量を注文していった。

  待っている間もひもじくて我慢できず冷蔵庫を開けるが正月前に食材をほとんど使い切っていたため、残っていたハムやバターやチーズをそのまま齧った。空腹感は紛れるどころか、どんどん強くなっていき、このままでは家の中で餓死してしまうのではないかと本気で考えるほどだった。

  ようやく届いたLサイズのピザ3枚をマキオは天からの恵みのような気持ちで受け取ると、虎獣人特有の大きな口に3切れまとめて放り込んだ。

  「う、うまい、うますぎる。」

  マキオはあまりの感動に涙を流して喜び、次々とピザを口に運んでいった。あっという間にLサイズ3枚が腹に収まり多少空腹感が収まったところで、腹の中に違和感を感じマキオは腹を抑えた。

  「な、何だこれ?うぐっ…」

  膨れた腹の中で何かがグルグルと蠢いた気がしたかと思うと、中からゴボゴボゴボっと音がして何かを吸い取られるような感覚に陥った。

  「う、また腹が減ってきた、どうなってんだ?」

  気にはなったが、その時ちょうど注文していたハンバーガーやチキンなどが届いたため、食事を再開することにした。

  マキオは何かに操られるように届いたジャンクフードを食いまくった。通常ならとっくに満腹になっているはずの量を腹に収めても食い足りず、次から次に箱を開けてガツガツと貪っていった。

  「な、なんで?腹はもうパンパンなのに、食いたくて食いたくて止まらねえよぉ。」

  やがて、数十人前は注文した品を全部胃袋に納めマキオはドサっと仰向けにベッドに倒れ込んだ。

  寝転んだ腹は山のように膨れあがり、服の裾が捲れ上がっているために腹の皮が引き伸ばされ自慢の虎模様まで変形しているのが見える。胃袋に限界まで詰め込まれて圧迫された内臓がズキズキと痛む。

  マキオはしばらくウンウン唸りながら腹をさすっていたが、そのうち眠ってしまった。

  眠っているマキオの腹がギュルギュルと音を立てて通常よりずっと早く食ったものを消化していく。一方で腹の中で何かがドクンドクンと心臓のように活発に動きながら栄養と金色のオーラを母体から吸い取っていた…

  ***

  翌日からマキオの会社は仕事初めなのだが、彼は会社を休んだ。経営者のマキオは新年1日目からやることが山積みなのだが、とても仕事のできる状態ではなかった。すまないと思いつつ電話で部下に仕事を引き継ぐ。

  昨日あれだけ食った食べ物はたった1日ですっかり消化され、また激しい空腹感に襲われていた。

  朝はコンビニで4袋分くらいの食料を買い込んで、食いながらデリバリーができる時間帯まで凌ぎ、開店時間になると昨日と同じように数十人前のジャンクフードを取り寄せた。

  また、缶詰やインスタント食品などすぐに食べられるものを大量に買い込んだ。マキオにとって今一番恐ろしいものは食べ物がなくなることだった。手元に食い物がないだけでもはや遭難とも思えるほど、飢えへの恐怖が強くなっていた。

  明らかに異常なことだが、取り寄せた食品を食っている間は幸福感でその他のことがどうでもよくなり、食い尽くせば苦しくなって寝転んでいるうちに眠ってしまう。

  こんな日が一週間も続き、総合病院で検査を受けたが異常は見られなかった。腹に感じる違和感についても医師に相談したが原因は分からなかった。

  マキオなりにいろいろ調べてみたものの、何も分からないまま、時間だけが過ぎ次第にどうでもよいことだと感じるようになり、会社も長期間休んで食べ物を詰め込んではひたすら寝るという生活が続いていた。

  病院では異常なしと言われたものの、この異常な食欲のせいでたった1週間で15kgも体重が増え、腹回りに余計な肉が付いてきてしまっていた。ほんの少し前まで腹の肉なんて摘めるほどもなかったのに、腹肉がベルトに乗っかりはじめていた。

  「うぅ、すっかり中年体型になっちまった。まるで食ったものが全部肉になるみたいだ。」

  マキオは鏡を見ながらブヨブヨになった腹肉を忌々しげに掴んだが、すぐに腹の中から食事を要求するぐうううううううという音が聞こえてきて、結局食べるのを止めることができず、食ったらすぐ眠くなってしまうため運動もできなくなっていた。

  それに、腹の中で何かが確実に大きくなってきていて、マキオから養分と金色のオーラをグングン吸い上げてさらに成長しているようだった。

  それから1月ほどして、妻の弁護士から離婚調停についての知らせが届いた。

  マキオは復縁を望んで弁護士を立てたが、浮気と不貞の証拠が揃っており勝ち目はなく、離婚はスムーズにすすみ、結果、財産の半分以上と子どもの親権に加え、多額の慰謝料と養育費もふんだくられ、マキオは家を手放す羽目になった。

  それからしばらく後、マキオが療養を理由に長期間会社を留守にしている間に業績が急激に悪化し、会社は倒産寸前にまで追い込まれていた。マキオはもう働くことをほとんど諦めていたし、金儲けにも興味がなくなっていたため、会社を人手に売り渡し、安いアパートに引っ越すことになった。

  わずか半年ほどで家族も仕事も財産の大部分も失ったが、もはや彼は食べてさえいられれば幸せだった。幸い貯金を切り崩しながらでも数年はこの生活を続けられるくらいの見通しはあり、腹いっぱい食べて寝転んでそれ以外のことは考えない生活がけっこう気に入っていた。

  こんな生活を続けているため、マキオはみるみる太っていった。仕事をしていた頃は忙しい合間を縫ってジムに通い引き締まった筋肉質の体を作り上げていたが、わざわざ腹の減る行動をするなんて今のマキオには考えることもできず、食ったものが脂肪として体に蓄えられ放題だった。

  腹だけでなく胸も尻も手足も贅肉がついて太くブヨブヨになっているのだが、腹の成長は他の部位と比べても突出していて、日ごとにウエストのサイズがどんどん大きくなっていった。掴める腹肉が分厚くなっているのは明らかだが、まるで大きなボールを飲み込んだように腹が内側からデンと迫り出していて、自分の足元はとっくに見えなくなっていた。

  また、マキオに不思議な心境の変化が現れていた。以前なら忌々しく思っていたであろう腹の膨らみになぜか愛着のような感情を持ち始めていた。食後に何かを吸い取られる感覚は未だにあるが、それすら楽しんでいるようにさえ見えた。

  特盛弁当30個を食い終えて膨れた腹を撫でながら、マキオは自分の腹に語りかける。

  「げえええっぷ。どうだ、美味かったか?」

  返事をするように腹の中で大きく育った何かがグルグルと蠢き、時折腹の中で微かに光っているように見えたが、マキオは疑問にも思わず満足そうに目を細めて眠りに就くのだった。

  [newpage]

  マキオが竜人に犯されてからちょうど1年が経った。急激に太り続けたマキオの体はとうとう300kgに達してしまい、丸く巨大に膨れ上がった腹はまるで大きな玉をくっつけているようで、まともに立とうとすると太ももを覆い隠すほどになっていた。腹が邪魔をして歩くのにも支障が出るようになり、ほとんど外出しなくなってたため、この日が大晦日だということも忘れていた。

  いつものようにデリバリーを食い散らして満腹になった巨腹を撫でていると、窓の外からゴーンという鐘の音が聞こえてきた。

  「除夜の鐘…そうか、今日は大晦日だっけ。」

  マキオは一年前の今頃の出来事を思い出す。竜人に犯された感覚は未だに忘れられなかった。

  「あいつのチンポ、デカかったなぁ…」

  遠い昔のことのように思い出しながら、除夜の鐘に耳を傾けていると…

  「うぐっ…」

  突然の腹の激痛にマキオは呻き声を上げた。腹の内側でギリギリと内臓が締め付けられるような痛みに顔が歪み、額に脂汗が滲んでくる。食い過ぎや傷んだ物を食べたときの腹痛とは明らかに違っていた。

  「はぁはぁ、な、何だこれ。ぐがあぁ…」

  その痛みは強くなったり弱くなったりしながら、だんだんと間隔が短くなっていった。

  オス虎にマキオもこれには堪らずぼろぼろと涙を流しシーツを噛んで痛みが去るのを耐えるが、すぐに鋭い牙でシーツがぼろぼろになってしまった。

  「うっ…」

  痛みが緩んだ瞬間、腹の中で何かが破れた。

  嫌な予感がしてパンツを脱ぐと、尻穴から風呂桶の栓を抜いたようにドバドバと大量の水が溢れだした。わずかに血が混じっているようで少し赤い。

  床が水浸しになり、あまりの量の水が抜けたため、パンパンに膨れていたマキオの腹が少し萎んだ。

  「下痢…じゃないな。どうなってんだ。うぐ…なんだ、何かが、出てこようとしてる…」

  はっとマキオは1年前の竜人の言葉を思い出す。あの時はただ自分を犯したいだけで適当なことを言ってるのだと思ったが…

  「陣痛、破水、まさか、赤ちゃん…?」

  自分の腹の中が一体どうなっているのか、どういう仕組みでオスの体に子供ができるのかサッパリ分からないが、腹の中で蠢く感覚に、自分の体内に赤ちゃんがいることを確信する。

  その事実を受け止めて心構えをする間もなく、大きな塊が蠢きながら腹の中を出口に向かって迫り上がってくる。内臓を内側から押しつぶされるような圧迫感と痛みにマキオぼろぼろになったシーツに再び縋りついた。

  「ぐがあ、で、出てくる、あ、赤ちゃんが、出てくる…」

  マキオは妊婦が出産するように仰向けに寝転んで股を開こうとしたが、だぶついた太ももの肉が邪魔になるので、大きな腹が床に付いてしまうことも気にせず四つん這いになってケツ穴を大きく開いた。捲れ上がったピンク色の肉壁が露わになり、その中をズズズっとゆっくり大きな塊が進んできている。

  「ひーひーふー、ひーひーふー、くそダメだ全然楽になりゃしない!」

  元妻が長男を出産したときの呼吸法を見よう見まねでしてみるが、痛みも苦しみも少しも軽くならなかった。

  涙を流し痛み耐えながらも腹に力を込めていくと、どうやら頭が出始めたようで、肛門がググッと広がる。

  「があああ、裂ける、ケツが裂ける!」

  ケツ穴からボーリングの球を取り出すようなものだと考えれば絶対に無理だと結論づけるだろう。マキオも何度救急車を呼ぼうかと思ったが、オスだけど押し入り強姦魔に妊娠させられたなんてどう説明してよいかわからず、思い止まった。

  「ふんぐぐぐぐ、がああああああ」

  もうケツが裂けても構わないとヤケクソになって力んだ瞬間、穴が限界を超えて広がり、ズルズルズルズルっと一気に中身が飛び出し、ぼとっと床に落ちた。

  「はぁはぁ、はぁはぁ、で、出た…」

  体力を使い果たしたマキオはケツから出た羊水で水浸しの床に大の字で寝転んだ。窓の外を見ると、新年を祝う花火が打ち上がってた。

  「年、明けたんだな。」

  [newpage]

  マキオは重い体を揺すって起こした。腹の中身が出たことで巨大な腹が一回り小さくなりいつもより体を起こしやすくなっていた。

  足元の方をみると、臍の緒が繋がったままの小さな虎獣人の赤ちゃんがマキオのほうに向かって這ってきていた。マキオはそれが得体の知れない化け物に思えて、つい怒鳴りつけてしまった。

  「お、おい、来るな!近寄るな!」

  虎の子はその声に驚いたようで、赤ん坊らしく「おんぎゃああああああああ」と泣き出した。

  その泣き顔を見た時、マキオは初めて虎の子が自分の子なんだと実感することができた。

  「ああ、ごめんごめんよ。そんなに泣かないでくれよ。よしよし。」

  マキオは床に座ったまま虎の子を抱き上げ、あやすように抱きしめた。虎の子はピタリと泣き止んだかと思うと、頭より大きなマキオの大きな巨胸に顔を近づけて乳首に吸い付き始める。

  「いくらメスよりデカいおっぱいだからって、吸っても何も…はぁん…」

  生まれたばかりの子に乳首を吸われて不覚にも情けない声が出てしまう。もともと乳首が感じるほうで一人で弄ったりすることもあったのだが、牙も生えない赤ちゃんにちゅうちゅう吸われるのは声が出るほど気持ちよかった。

  不思議なことに虎の子が乳首を吸い始めると、マキオの乳首はどんどん肥大化し、やがて先っぽから白い母乳が吹き出してきた。虎の子はそれを喉を鳴らしてうまそうに飲み始めた。

  「あっ、な、なんで母乳なんか?あっ、ああ、あぁん、き、気持ちいい…」

  虎の子が乳首吸う刺激に加え、母乳がビュッビュッと吹き出すたびに震えるほどの快感が走った。

  たまらずマキオの股間が反応する。普段は土手肉に完全に埋もれているが、もともとがかなりの巨根であるため勃てば大きく露出する。

  マキオは片手で虎の子を抱き抱え、もう片方の手で反対のおっぱいを揉み乳首を扱き始めた。指の間で乳首がぷっくりと膨れぴゅぴゅっと母乳を撒き散らしマキオの体を白く濡らしていく。

  「はぁはぁ、おっぱいがこんなに気持ちいいなんて…あ、あぁあん。」

  マキオはだぶだぶの太ももの肉と土手肉でチンポを挟んで腰を振り刺激しようとしたが、いまいち刺激が足りなかった。

  「もどかしい…そうだ、この子にしゃぶってもらおう。」

  マキオはおっぱいから虎の子を引き離すと、顔をガチガチに勃起したチンポに近づけさせた。虎の子はキャッキャと喜ぶように笑って、おっぱいに吸い付くように小さな口いっぱいに亀頭を頬張った。

  「あぁ、す、すげえ、気持ち良すぎる…」

  亀頭を牙のない口で甘噛みされ未熟な舌で愛撫され、鈴口から溢れる先走りをおっぱいを吸うようにちゅうちゅうと吸われ、マキオは快感に喘いだ。

  空いた両手で自分の両のおっぱいを揉みしだき、乳首をコリコリと刺激してやれば、母乳がダラダラ流れ出た。

  「い、イク…があああああああ!!」

  ドビュッ、ビュルビュル!

  マキオは虎の子の口内に思い切り射精した。同時に乳首から大量の母乳がビュルビュルと吹き出し、まるで両胸からも射精しているような感覚に陥る。

  虎の子は小さな口に大量に発射された精液をこぼすことなく全て飲み込んだ。

  「はぁはぁ、最高だ…」

  長い射精が終わって、萎えて土手肉の中に引っ込みかけているチンポを一生懸命吸おうとしている我が子にマキオはだんだん愛着が湧いてきた。よしよしと言って頭を撫でてやる。

  突然、マキオの見ている前で虎の子の体がむくりと一回り大きく膨らんだ。手足も背も少し伸びたようで1歳分歳を取ったように体が一回り大きくなった。

  完全に贅肉の中に埋没したチンポを諦めたように、虎の子はマキオの身体をよじ登り、再びおっぱいを吸い始めた。

  「ふふふ、食いしん坊さんだな。誰に似たんだか。あ、あぅん…」

  さっきとは少し違った刺激にマキオはブルンと身震いした。どうやら虎の子に小さな牙が生えてきたらしく、甘噛みの刺激が強くなっていた。舌もわずかにざらつき始めベロベロと舐められるのが快感で、母乳がどんどん溢れ出してきた。マキオは際限なく母乳を吸い続ける虎の子が腕の中で少しずつ重たくなっていくのを感じる。

  お乳を吸われるうちに、萎えていたマキオのチンポが大きさを取り戻しまた射精がしたくなる。

  「パパのザーメン、また飲むか?」

  虎の子を床に下ろすと、今度は自分からチンポを吸いに来るようになった。さっきより口が大きくなり、生えたての牙の刺激も加わってマキオはあっという間に絶頂を迎えた。

  精液を飲んだ虎の子はまた少し成長して、自分で立ち上がるようになった。異常な成長の早さだが、マキオはそれが嬉しいと感じていた。

  そうして、母乳と精液を交互に飲み続けるうち、虎の子はどんどん大きく成長していき、夜明けが近づく頃には小学生くらいの体格になっていた。おまけに肥満児と呼べるくらいに肉付きがよく、ミルクをたっぷり飲んだお腹はポッコリと膨れていた。

  一晩中、快楽に溺れながら虎の子に栄養を搾り取られ続けたマキオはさすがに疲れてぐったりとした様子だった。顔はやつれ、ブクブクに太っていた体が少し痩せてきていた。

  虎の子は母乳を求めておっぱいを吸おうとしたが、真っ赤に腫れ上がった乳首からはもう一滴の母乳も出なかった。

  「ごめんよ、もうお乳も精液も出ないみたいなんだ。後で粉ミルク買ってくるから、少し我慢してくれ。」

  母乳も精液ももらえないと理解した虎の子は、マキオにぎゅっと抱きついてきた。

  マキオはその頭を優しく撫でてやっていたが、不意に強い空腹感に襲われ、腹がぐうぐう鳴り始めた。それだけでなく、虎の子がお腹の中にいた時に感じた何かを吸い取られる感覚を強く感じる。

  「な、なんだ、急に腹が減って…うっ。」

  腕の中で虎の子が急激に重たくなっていく。身体中からミシミシと骨が伸びる音が聞こえ、手足も身長もぐんぐん伸びていった。

  虎の子が大きくなっていくのに伴ってマキオの体は急激に痩せ始めていた。巨大なお腹が中身を吸い取られるようにみるみる萎んでいき、頭より大きかった巨乳も徐々にその大きさを失っていった。

  「何が起こってるんだ?」

  マキオは虎の子を引き離し、虎の子を見た。するといまだに臍から伸びている臍の緒がドクドクと脈打っていることに気づいた。処置の仕方もわからなかったのでそのままになっていたが、マキオの尻の穴と虎の子のへそは臍の緒で繋がったままになっていた。

  「まさか、俺の体から直接栄養を吸い取ってるのか?」

  虎の子はまたマキオに抱きついてきた。身長は中学生くらいだが、体重はすでに100kg近くありそうで、力もだいぶ強くなっていた。

  「よせ、もうやめてくれ。」

  マキオは抵抗しようとするが、体に力が入らず押し倒されてしまう。虎の子はマキオの口を自分の口を重ねて舌を入れてきた。マキオは認識できないことだが、虎の子のもう一人の親である竜人がやったように体内から口を通じて金色のオーラを吸い取っていく。以前は竜人がいくら吸っても尽きることがなかったが、吸い取られるたびにマキオの体を覆うオーラはどんどん弱くなっていった。

  虎の子の体が急激にブクンブクンと膨れ出し、一気にマキオを上回る体格になる。身長はすでに2mを超え、マキオから吸収した脂肪や筋肉がそのまま体に付いていくように胸も腹もどんどん大きく膨れていった。手足も太く逞しくなり、かつての竜人を彷彿とさせる相撲取りのような巨漢に成長していた。

  さらに背中からは一対の巨大な翼が生えてきていた。

  虎の子は立ち上がり、干からびた臍の緒をぷちっと引きちぎった。アパートの天井に頭が付いてしまいそうになり、大きな翼も窮屈そうだった。

  養分を吸い尽くされすっかり痩せ細ったマキオは仰向けのまま虎の子を見上げた。その顔は大福餅を詰め込んだように福々しく肉付き、大きくどっしりとした太鼓腹はさまざまな幸福を詰め込んだ袋のようだった。その体を金色のオーラが包み込んでいるのがマキオの目にもはっきり見えた。

  虎の子は窓を開けて白み始めた空を見つめた。

  そしてマキオの方へ振り向くと、

  「パパ、ありがとう。」

  とたった一言言い残し、大きな翼を広げて空へ飛び立っていった。

  マキオはその姿を窓から身を乗り出して見つめた。彼方へ飛んでいく虎の子を覆う光が一際大きく輝いたかと思うとその姿はふっと消え、日の出の光が差し込んできた。

  翼を持つ虎は昇ってきた朝日に向かってと大きく吠えた。

  「がおおおおおおおおおおおおん!」

  大きな翼が力強く羽ばたくたび、金色の光の粒が街中に降り注いでいく。

  その姿は誰にも見ることはできないが、虎は人知れず雨のように光の粒を撒き散らしながら街から街へ飛び立っていくのだった。

  ***

  その年、国中の老若雄雌誰もがギラギラとした謎の活力と性欲に満ち溢れた。

  経済成長率と出生率と性犯罪率が大幅に増加し、さらに国家レベルでの様々な幸運な偶然が重なり、経済学ではとても説明のつかない未曾有の好景気に国中が沸いたのだった。

  終わり