記憶を失った元捕虜と敵国の虎獣人が濃厚に愛を育めない話1.doc

  此処は、何処だ。

  識が覚醒すると、何処かも知り得ない場所に居た。

  蝋燭の先端に灯された朱色が唯一の光源といえるが、いかんせんそれだけではどうにも薄暗く、視界の確保もままならない。

  仰向けから起き上がろうとすると、ガシャンという金属の喧しい衝突音がして、不自然な位置で腕が止まってしまう。違和感を覚えた先には、右手首が寝台に括り付けられていた。力任せにがしがし動かしてみても、無駄に体力を浪費するし耳障りでイライラしてくるしで、意味のないことだと考えを改めすぐに諦めた。

  狭いとばかり思っていた室内の割に、意外と打撃音が反響していたことから、狭い部屋ではなくある程度奥行きがあるか、もしくはこの部屋に繋がる廊下のようなものがある場所なのだろうと推察することができた。灯火のおかげで見ることのできる室内の情報からするに、身に纏っている服は腰布のようなものが一枚きりと簡素極まりない。

  なぜこの状況になっているのかは思い出せないのだけれど、常日頃から手を拘束して眠るような趣味に身に覚えは微塵もないから、何者かが作為的に施したとみて間違いないだろう。そしてわざわざこのような状況に持ち込んでいるのだから、友好的な相手とは言い難い。幸いだったのはこの場所が寒くも暑くもなかったから、野ざらしでなく温度管理が施された場所なのだろうと思った。

  どうしても目に入る蝋燭を仕方なしに観察してみると、不定期的に炎が踊らないことから隙間風の類も無い。となると窓と言った設備もないと考えていい。机上に予備の蝋も転がっていないことから、誰かがご丁寧に交換を行いに来て下さっているのだろう。難儀だ。

  拘束がある所為で、完全な自由と言えないながらもなんとか上半身を起こす。今が日中か夜中なのかすらも判別がつかない。だから、幾分か時間か経過したところで、この景色に変化が訪れることは無いだろう。唯一手がかりになりそうな腹時計に調子を聞いてみようとも思ったが、意識が醒めたばかりではいまいち要領を得ることが出来ず、彼は非協力的だった。

  ため息混じりに身を捩ると、カサ……と音がしたことに気づいて目線が下がる。自身の下に敷いてある藁によるものだろう。何分何時間と意識を失っていたかは定かでないが、少なくとも地べたに転がされるより腰に負担がかからずに済んだ。おかげで、とは極力思いたくないが腰が痛いということもない。

  ベッドに寝かせてくれるでもなく、湯浴みをさせてくれるでもなく、手錠で逃げられぬように固定はしておきながら、要らぬ負担を強いてしまわないためか知らないが、必要最低限だけの補助は行う。これではまるで家畜ではないか。と、観察と推察を重ねていくたび徐々に怒りの感情が込み上げてくる。

  せめて何か記憶の系を辿れる手がかりのようなものでもあれば良かったのに。歯軋りとともに、唸り声が喉奥からこみ上げてきたことに気づき慌てて抑え込む。敵意を剥き出しにしても良いことはないだろう。そう自制しながらも沸々と湧き上がる怒りを、左手で握り締めた藁で一掴み程度犠牲にすることで沈静化を図っていった。

  身体を目をやると、すっかり毛並みが固まってしまっており、控えめに言っても小汚らしいことに気づく。太陽のように輝かしい褐色のオレンジと、対照的に漆黒ともいえる色彩の組み合わせからなる縞模様は、屈強な虎獣人と直接的に表現して間違いないというのに。今やいくら自分のものとは言っても、できれば他人に極力見せたくはない様相をしていた。

  雄として手を抜かず虐め抜いてきた肉体は、娼夫にも惚れられるほどの風貌だというのに。我ながら見事に割り切ったシックスパックを指の腹でなぞる。利き手が使えないのだから、暇潰しに身体を動かすことさえ出来やしないと溜息を吐く。こんな能天気なことを考え始めるくらいしか平静を保つ手段が思いつかなかった。脱出することばかりを考えていても、良いことは起きないような気がしていたというのもある。

  それにしても、先ほどから温度以外でどことなく感じる違和感、いや異物感は一体何なのだろう。身体の中か、もしくは奥のほうにこびり付くような、この粘っこい感覚は一体。

  コツ、コツ、コツ、コツ。

  「ッ……!」

  石畳を一歩ずつ歩いている音が響く。音の強弱から察するにこちらへ少しずつ、確実に近づいてきているようだった。

  「何者だ!」

  グルルルと牙を剥き出しにして唸る。敵意ではない。囚われの分際で紳士的になる者などいるだろうか。脳裏では無意味な行動だということは分かっている。無抵抗で何かされるのは沽券に関わるというプライドからなる無意識的な行動だった。自身を知る者ならば足早に向かってくるだろうし、名を呼んだり応答を求める声をあげるはずだから。故にこの後姿を見せる人物は、少なからず仲間たり得るような者ではない。そしておそらく、友好的な者でもない。

  「目が覚めたか」

  暗がりの奥から現れたのは自らと同じ種族である虎獣人の男。見てくれで年齢を当てるのは得意でないが、堀が深い厳つい顔付きで高圧的な目つき。おそらく四十代かそこらだろうと思った。足音だけ聞こえていた時点では分からなかったが、大振りなマントを身に纏い、正面から見て甲冑を身に纏い、一歩進めるたびにガシャリと金属同士の擦れる音がする。男の態度が、まるで俺が目覚めることは分かり切っていたかのような口ぶりだったから、この拘束もコイツの仕業に違いないと考えが繋がるまで時間を要さなかった。色合いや紋章の類は目視出来ずにいたものの、パッと見た装備からしてそこらの一般兵のような、いわゆるその他大勢に分類されるタイプの人物ではなさそうだと思って少し身構えた。

  蝋燭の灯りが鎧に跳ね返り、目障りな光が瞳孔に流れ込んでくる。舌打ちしながら反射光を避けるように目を背けると、男はそれを察したのか軽く鼻で笑ってきた。目が覚めたかどうかだなんて、こちらの様子を見れば一発で分かるのだから、わざわざ聞く必要性のない言葉を語らないで欲しかった。

  「質問に答えろ、何者だと聞いている」

  「……あんなにも愛し合った仲だというのに、忘れられてしまうのは悲しいな」

  「……は?」

  言葉を失った。コイツは一体何をほざいている?愛し合う?俺がこの虎獣人のオッサンと?しかもさっきまで?この地域特有の冗談か何かか、そんなに尻軽な覚えはない。思い出せないことへ苛立ちが募る。同時に、僅かながらに体温の上昇を感じた。手のひらの汗腺から染み出た水分が毛皮に吸い込まれていく。これは喜怒哀楽のうちいずれかの感情によるものか、理解もはたまた許容も認めるわけにはいかなかった。

  「それも仕様がないことなのは、オレも分かっているつもりだが」

  「…………何を言っている」

  俺の頭上に浮かんでいるであろう無数のクエスチョンマークを無視して、蝋燭だけが置かれていた木製の質素な机にゴトッ、ゴトッとひとつひとつ重そうな甲冑のパーツを脱いでは置いていく。甲冑の体積が大きいせいで、俺の視界から見える蝋燭の灯りが覆われてしまい空間が暗くなってしまう。

  さも当然のように、いわば事務的なまでに淡々と繰り返される動作に疑問を抱きながらも、オッサンは甲冑の下に着込んでいたであろう服にまで、躊躇無くノンストップで手をかける。襲い来る情報量の多さに戸惑いを隠せないでいた俺は、何も言葉を発することが出来ず物理的にも間接的にも届かないオッサンが、此方に目もくれず上着のボタンを一つずつ外していく挙動を呆然と眺める事しか出来ないでいた。

  正確な色調が判断出来ずとも、背中にデカデカと縫い付けられた所属国のものと思われる紋章と、大小異なるバッジやら勲章やらが、威厳をひけらかしたくて金にしか目がないナンセンスな貴族の服飾のように、ゴチャゴチャと繊維の集合体の上で燦然と喧しく輝いている。奴が動くたびに上下左右と揺れるそれらの貴金属は無機物であるにも関わらず、さながら指揮系統の行き届いた軍隊が歩行するように統率が取れているように思えた。その模様にも勲章にも身に覚えはない。祖国からはだいぶ離れた地のようだった。

  正直なところ俺にも雄としてのプライドというものがあるので、"それ"が目についたところで上層の者だと考えたくはなかったのだけど。服に携えた勲章類の数からして、こうして目前で行われる非日常的なストリップショーが上級軍人と思われる身分のモノであるということ。それと、その手の上部にありがちな「指示するだけで絶対現地に行かないタイプのカス」ではないことを、軍服をはだけさせた上から見える胸筋の仕上がり方が"それ"を示唆していた。

  「そのままの意味だ」

  「そのまま……?」

  鸚鵡返ししか会話が成立させられない俺を嘲笑するかのように、オッサンは衣服を脱ぎ去っていく。上半身裸になったオッサンの肉体は無駄な脂肪の無い、鍛え上げられた鋼のような筋肉質の身体で、金属の装飾品とは異なる光を帯びているように思えた。正面から見える体躯は傷一つない完成したばかりの彫象のように美しく、美術に秀でていない者でも芸術性を受けるほどに。横に並んで張り合ったところで到底太刀打ちできないとすら感じるほど肉体が洗練されているのに、獣人にありがちな喧嘩っ早い殺気と闘争心に類する気概は不思議と少しも感じられなかった。

  「オレ達は、恋人たちの初夜よりも強く抱き締め合い、婚約当夜の夫婦よりも深く繋がり合い、果てに雄々しく大量の子種を吐き出しあった」

  「……!」

  先程まで何があったのかなど知らないが、少しずつ奴の話を聞きだしたいという思いとともに、ここまで全く無関係なはずの下腹部へ血液が集まり出していることが、内心謎めいていて仕方がなかった。この虎獣人は敵だ。そう断言できるはずなのに、特別な何かを感じていなければ成し得ない身体の変化という矛盾に違和感を覚える。

  一方でまさに今、ほぼ生まれたままの姿を堂々と晒し、事実か虚言か分からぬ色めいた事を語り続ける相手に対して、警戒心を抱き切れない自分がいることもまた自覚するしかなかった。敵意や殺意などといった負の感情とは違う、もっと別の何かが、心の奥底か、もっと見えない箇所に根を張っているような。

  「……貴様のような者など知らん!その上俺を抱いただとッ、ふざけた事を抜かすのも大概にしろ!」

  「……そうか」

  下穿き一枚になったオッサンが机の上に腰掛け一息ついたオッサンが、右手の人差し指で自身の顎を触っている。しばし何かを考えているようだったが、その表情は分からなかった。

  俺は微動だにせず、ただ黙って睨みつけるように視線だけを向ける。奴の下半身を覆う布の面積は広くなく膝の辺りまでしかない。その奥に見える脚は俺と同じくらいに毛深く、負けず劣らず太くて逞しい。太腿から脹脛にかけて特に発達しているようで、鎧を着こなしていた時には目視できなかった部分が露わになっている。俺と違って体毛の色が薄く、頭髪と同じ色合いをした濃い黄土色と、加齢から発生したものであろう白色の毛が頭髪から脚先に至るまで、そこかしこに散見された。

  「……ならば、致し方ない」

  立ち上がったオッサンが、ゆっくりとこちらに近づいてきたかと思えば、俺の肩にそっと手を回し抱き寄せようとしてくる。鼻腔に男の匂いが充満してくる。冗談じゃなく本当に抱く気か、と警戒心を強め振り払おうと腕を動かすが、こちらの意図に気付いたようで力を強めてきた。力比べが拮抗したのもわずかな間で、コンディションもろくな状態でない俺はすぐさま敗れてしまう。

  「うッ……!」

  「力でオレに敵うと思うな」

  虎は圧倒的なまでに強大で、それでいて確実にゆっくりと、寝転がっていた藁の上に俺を押し倒し、仰向けになった俺を見下すようにマウントポジションを取った。暗闇でも異彩を放つ奴の瞳は、哀しみと憂いが濁ったように混ざり、二度と元に戻らなくなってしまったような、そんな重苦しい気持ちが映し出されているように見えた。まるで想いが伝わらないことを分かっているかのような、歯痒さにも似た一種の諦めの感情が感じ取れた。それを見せたのはほん数秒かそこらで、オッサンは振り払うように目を閉じて自身の頭を左右にブンブンと揺さぶる。再び見開いたその瞳には、野望に満ちた欲望を決意したかのようにギラギラと色めきたっている。

  「オレが、何度でも思い出させてやる……」

  耳元でそう囁くと、ギロリと金色の瞳が決意の意志を抱いて鈍く輝いた。支配しようと地に押し付けてくる両腕に込められた力は対抗しようとしても思うように動くことが出来ず、仰向けのまま、これからお前を捕食するのだと言わんばかりの気迫で両肩を押しつけられているのだから、自力で起き上がることは到底叶わない。虎獣人のオッサンの腹を蹴り上げれば或いは行けるのかもしれないが、右手が繋がれてしまっている以上ろくに逃げることも出来ないであろうから、まさに焼石に水といった考えだった。横目に逸れた俺の視線を察知したか、虎のオッサンは捕まえた俺の身体に更なる力を込めた。

  「が、ッッあァあ……!」

  「暴れるな……オレも手荒な真似をするつもりはない」

  ほんの一言凄まれ、グルルと轟く重低音を耳にするだけで、恐怖が勝り強者たる虎に従わざるを得ないと本能的に萎縮してしまう。たった今こうして手荒に物事を進めているじゃねぇかと、抗議する意味を込め必死になって数度身を捩った。目の前の虎男に生殺与奪を握られているということを考えただけで、逆らう意思が根こそぎ奪われる感覚に陥ってしまう。このまま喉元に牙を突き立てられ脅されようもんなら、無様に命乞いをすることしか出来なくなるに違いなかった。

  「俺をッ、奴隷にでもする気か……!」

  「奴隷……?いや……」

  もっとイイモンだ、とノータイムに平然と言ってのける虎獣人に身の毛がよだつ。何をする気だ、娼夫の代わりに慰み者にでもする気か。危機感だけが脳内を埋め尽くしていく。殺されるかもしれないという焦燥感もあったが、奴が俺に対し抱く感情の正体を突き止めたいと思うようになっていた。

  暴力を振るうつもりだったのなら、つい先程がそのタイミングであったはずだから、奴自身手荒にするつもりはないことが本心だというのはなんとなしに理解した。もし奴の手の位置が肩ではなく首元にあれば、俺は数分と持たず気を失っていただろうから。

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  闘争心を砕かれ脱力してしまった俺を見て、オッサンはふっと笑みを浮かべ腕に込める力を緩めた。先ほどまで俺に見せていた獰猛な肉食獣が如く眼差しとは、打って変わって慈愛に満ちた視線を向けるも、対照的に舌舐めずりをするという相反する不可思議なアクション。鼻を鳴らしながら俺の首筋へと顔を近づけ、すぅーっと息を吸い込み始めたと思いきや、うっとりと蕩けた表情を見せてきた。

  「嗚呼、良い匂いだ、堪らん……」

  先に見せた表情と行動に矛盾しない気持ちとなれば、色欲しかないことに気づいたときには既に遅かった。

  「ク、ソが……!」

  この距離で嗅がれてしまえば、当然のように俺もオッサンの体臭を感じ取ってしまうわけだが、汗臭いとかそういった類のものはなく、寧ろ甘美な香りが漂っていた。俺の匂いを堪能しながらオッサンの手が俺の頭を優しく撫ぜ、されるがままになってしまう。湯浴みもロクにしていないであろう俺の肉体を直に嗅いで良い匂いだなどと言い放つ虎のオッサンの獣人に複雑な心境を抱いてしまう。

  堀が深く雄臭い顔立ちという形容した虎を間近で改めて直視して、よくよく見てみると男前だな、と思い直情的に見惚れそうになり、慌てて虚勢を張り睨み返すと鼻で笑われてしまう。俺のアクションを見て楽しみが増えたと捉えたかは定かでないが、対峙してすぐに抱いていたはずの嫌悪感と、身体に込められていた力による痛みは時間とともに消えかかっており、首筋から横に逸れて脇、胸元からまた首筋と周期的に廻って鼻を鳴らす行動の中、衝動的に暴れてくれるような事はしないでくれと、受け身になって祈るしかできなかった。

  着実に縮まりつつ二匹の距離の中で、互いの吐息がかかるくらいまで鈍く接近した時。不意に視界いっぱいに黒い影が現れ目の前を覆い隠し、俺の口内に何かが入り込んできて舌の上を這った。

  「ッッ………ううッ、ンッッ!」」

  「ン、ッはン……」

  それはぬちゃりと音が聞こえてきそうなほどの粘度があり、自身の唾液よりもずっと粘着質だった。

  「んっ……んんン、ン……」

  唇を奪われ、侵入した舌によって口腔を犯されているのだと同時に、再び芳しい匂いが鼻腔を強く刺激し、今度は身体の奥底から熱がこみ上げてくる。羞恥など一瞬にして消し飛ぶほどの快楽が全身を支配した。少なからず嫌悪していたはずの虎獣人に対して、全身が真逆の挙動をとりだすことへの矛盾に関する疑問は、未だ生まれ続けていることに変わりないものの次第に小さく、そして少なくなっていき、どうでもいいという怠惰なる感情が上塗りしていく。

  「……すっかりギンギンだな」

  「ンな、訳…ッ、!」

  事実だった。俺の生理現象を察知してか口を蹂躙する奴の動きがより激しくなり、歯茎や上顎、下顎に至るまで隅々まで舐り尽くされる。俺の両頬を内側から吸い尽くしては、肉欲的に持ち上がる俺の両脚を掌でガッシリと掴み取り、筋肉の一つ一つを確かめながら揉み込んでくる。自分の腰が浮いて、仰向けの上からのしかかっているオッサンの身体を押し上げてしまっていることに気づき慌てて戻そうとするも、気を良くした虎は口元をペロリと舐め回して隙を晒すことなく再度舌先を突っ込んでくる。

  「そら…………!」

  「ぐッ、うぅぅう!ッは、ンンん!!」

  口内の猛攻と同時に、腿やら脇腹やらを触れるか触れないかギリギリのところでなぞってくるものだから、こそばゆくなってしまい電気が走ったように身体を震わせてしまう。悔しくて堪らないがそれ以上に気持ち良いことは事実で、この虎獣人に勃起していることを悟られるのは、最早取り返しがつかないから仕方がなくどうしようもなかったのだけど、体躯が跳ね上がってしまうたび、セックスのように虎のオッサン目掛けて腰を繰り返し上下しているかのように思えてしまい、小っ恥ずかしくなった。勃起していることは愉しげに聞いてきたクセに、わざわざ言及してくることはなくいまいち何を考えているのかは分からなかった。虎は相変わらず舌を絡めさせては蕩けた表情を見せつけてくる。

  「はぁ、ッは、んぅ、んぐっ、ン、ッは」

  「そうだ、もっと吸え……、喉の奥まで突っ込んでやる……!」

  「あッ…あ、ガぁァ……!ッぐ、んむ、うぅ!」

  オッサンの極太な舌が口の中で角度を変えて動き回る様を、押さえつけるようにかち合わせると、芳しい雄の匂いが際立って強く感じられた。問答無用に口内をめちゃくちゃにしあうことで、圧力に押し出されて涎が垂れてきている。

  舌を絡ませあいながら、どちらからとも分からぬうちに腕を回す。俺自身も、虎が脚に施していたように体毛を撫で、肉付きの良い逞しい背中の感触を確かめ、密着する肉体の間に込み上げてくる雄の濃いフェロモンに思考を溶かされ始めていた。完全なる零距離となった密閉された肌の間と肉の狭間に、次第に汗ばんで強くなる汗の匂いを感じとったとき、何者か分からぬこの虎獣人のオッサンのことが、徐々に愛おしく思えてならなかった。

  「ンふッ、んッ、んんんッ!んむ!」

  「ッは…!ッじゅる……!ッうン!!」

  背中から肩、骨太で隆々とした山並みを肌で感じ、胸元に鼻を近づけて鼻から息を吸い込んだら、もっと味わってくれと言わんばかりに俺の背中に回された腕が内へ内へと強く引き付けられる。首元を回ってオッサンのうなじに鼻が触れたとき、今度は俺が抱き締めている体躯がビクリと大きく跳ね、耳元で小さく唸り声をあげた。

  「おォッ……ん、んむッ、ッく、ッハァッ、ンンおぉ……!」

  その顔つきは先に見せた雄々しい虎らしからぬほどに性的で、俺の加虐心を少なからず刺激した。下腹部は布越しといっても、熱り勃った熱を絶えず押し当て撫で付けるように腰を上下しているオッサンもまた、心地良さそうに嬌声を漏らしている。強く抱き締めて離そうとしない虎は、俺が全身を痙攣するが如く震わせるたびに強く強く捕まえ直しては、お前はオレの物だと言わんばかりに肌を触れ合わせて己の匂いをこれでもかというくらいに擦り付けてくる。

  「ッは、ッんぶ、ふッ、ふン…!」

  「ッッ……!あァ……、相変わらず……ッ、良いチンポしてやがる…ンンッ、ちゅ……!」

  突き入れた舌を縦横無尽に暴れさせ、グチュグチュと淫猥な音を立てて唾液を奪い取っては、俺のチンポがオッサンのケツにちょうど重なる位置で上下運動を促進させるようにゆっくりと腰を持ち上げて、どすん、どすんと壮年の体重を感じさせるように重力に任せて真下へ落下させてきた。同じ虎といえど、俺よりも立派な体格のオッサンが何度も尻を押し付けてきても、体重で苦しくなるということはなく、肉同士が密着して身体同士の重ね合わせがより感じられる悦楽のほうが心地良かったから苦痛ではなかった。

  この半ば憎たらしくも愛らしく思えてきた虎が受け手ができるというように誘惑してくることから、一思いにオッサンの中へ肉棒を雄膣へ突き込んだとき、どのような快楽へ誘ってくれるのかと好奇心を抱くようになってしまい、俺自身も負けず腰を揺らして布越しに陰茎同士を接触させていった。

  「んぐッ……ンッ、フゥッ、んぁッ!」

  「ッは、ッはァ、良いぞ……、もっとだ……もっと声出せ……」

  口内で体液を濃厚に混ぜ合いながら虎の背に爪を立て、激しく唸りながら自らの肉体を擦り付けた。声を漏らさないように堪えていると、次第に苦しさが増していき意識が呆然としてしまう。本能的に酸素を求めて大きく開いた獣の口。俺が空気を取り込んだと見るや、すかさずオッサンは野太い舌を無理矢理に捩じ込ませて、いつ終わるかも分からない粘着質な蹂躙を心から楽しんでいた。オッサンの舌はまるで別の生き物のように動き回り、俺の口腔で好き勝手に暴れ回る。歯茎の裏や頬の内側、果てには喉の奥にまで侵入してきて、呼吸困難に陥るまで続けられ、俺の視界は涙でじんわりと暖かく潤んでしまう。

  「ッ!?ッッ……!!ッぐ……!!」

  「ンッ、んんっ……!あッ、アぁ……!イぃぜェ……」

  息継ぎの合間さえ惜しいと言わんばかりに、荒々しく貪られる。いつの間にか自分からも虎のオッサンに合わせて舌を動かしている始末で、よもや発情しきった浅ましいケモノのようだった。けれどもっと欲しい、もっと味わいたいといった欲が際限無く溢れ出てくるせいで思考のコントロールもままならない。お返しと言わんばかりに、肉を傷つけぬよう気を払いながら相手の舌を軽く噛んでやる。

  「……ッ!……ふぅ、んむッ、……」

  「……ッ!ん、むウッ……!ンン、んんッ…!」

  意外だとばかりに呻くような反応を示してきた所為で、もっと声が聞きたいとばかりに何度か繰り返した。そうしていくうちに、どちらからともなく自然に抱き合い始める俺たち虎獣人らは、互いに求めるようにして深く繋がるために密着していき、優しく味わうようにねっとりとした刺激が断続的に与えあった。

  虎が初めに告げていたように、この時点で「交際を始めたばかりのカップル」よりも濃密な交わりがその通りだと痛感したのは、金属に繋がれ不自由になった俺の左手を、負担にならぬ程度に位置を合わせ、どちらからとも分からないうちに両手を深く握り込んだだけでなく、俺の股下を通って数秒ごとに震え出す尻尾が、オッサンも持つ同等のそれと強く何重にもぐるぐると交わり、絡み合っていたからである。

  「ッぷぁ……おいおい、キスだけでイキそうじゃねぇか」

  「ッうる、せェ……!」

  「ッは!めちゃくちゃにしたくなるぜ」

  腹筋に伝わる下腹部の熱は布越しの上でも分かるほど怒張し、これ以上ないほど血液が集まってビクビクと脈動しており、暗がりであることと重なり合う身体のせいで目視することは叶わずとも、度重なる物理的な刺激によって淫らに体液を何滴か漏らし、布の繊維として持つ本来の色合いを、湿ったものへと変貌させてしまっていた。それは俺だけでなく真上に跨るオッサンの一物も同様で、下着の中で滾る一物の亀頭部分を悪戯心に撫でつけてやると、俺がくすぐられて跳ねるのとさほど変わらない勢いで、オッサンもまたびくりと身体を痙攣させて喘いだ。

  「おッッ、おォォ……!」

  「ハァッ、クソ…堪らねえ……!」

  我慢ならないと本能を判断したのか、俺の上に跨ったままオッサンは一旦身を起こす。俺が身に纏っているボロ切れ当然の腰布に手をかけながら視線を合わせてくると、言葉を発さずニヤリと口角を上げながら腰布を剥ぎ取り、雄として完全に臨戦体制となった俺の恥部を露わにさせられてしまう。興奮しきって腹筋にビタンと貼り付くほど勃起したチンポを、まじまじと見てオッサンはゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえた。

  「……良い景色だな」

  痴態を見られ恥ずかしくなり口を伏せていると、それすらも纏めて下から舐め回すように視線を上下に往復させながら、オッサンも同様に全裸へとなるべく、インナーを脱いでは遠くへ投げ捨てた。絶えず分泌され続ける先走りが、数滴ほど集まって水溜まりとなっている鈴口。

  ヌチャッ……ヌチャ、ヌチュッ、ぬちょッ……。

  オッサンは肉棒の根本から掴み上げてから数回、アピールするように扱くと雫の塊が運動に耐えきれずに溢れた。鈍い水音を繰り広げたあとで、ギンギンと鼓動する一物から手を離すと反動でブルンと大きくしなった。オッサンが近づけてくるごつごつした手の内から、あえて人差し指と親指をくっ付けてからゆっくりと広げていく様を見せつけてくる。先走りの粘液が糸を引いて、重力に従って下方に垂れ落ちていく様を見るや、俺の心臓も奥底から悲鳴を上げるように煩いほど強烈な脈動を示した。

  「どうだ……、お前に興奮してオレのチンポもこうなってンだ…」

  今度は自らの手で弄ぶようにして、肉竿全体に満遍なく粘液を広げていく。糸を引く粘ついた液体が垂れ落ちる様子を眺めつつ、再び俺の下腹部に腰を下ろすと、潤滑油代わりとなる自身のカウパーをたっぷりと塗りつけ、それを俺のチンポにまで擦り付けるために性器を近付けてくる。

  グチ、グヂュ、グッジュ、ニチュッ……!

  「ぐッ、おォォォ……!」

  右手の親指と中指で輪っかを作るようにして、俺のモノの先端を包むようにして握り込む。根元まで引っ掛け下げていき手を離し、確実に浮き上がる血管へ絡ませるため、手全体で包み込んでいき、尿道口から溢れる我慢汁ごと搾り取るかのように全体を強く締め付けては緩めを不定期にこなしては確実に責め立ててくる。裏筋に添えられた二本の指が、カリ首辺りの段差部分に引っかかるよう小刻みに動かされ、単調ではない淫らな動きに声をあげてしまう。

  「うッ、あぁ……!」

  ズリュ、ズリュッ…!

  「ここがッ、良いんだろ……ふッン!」

  ずりゅっ、ずちゅッ!

  自慰とは比べ物にならぬ快感が、下半身から全身に駆け巡っていく。亀頭全体を揉みこむような手付きに加えて、左手では陰茎の付け根部分を握られ、下方向へと押し込まれる。圧迫感が増したことでより一層血流の流れが良くなり、ドクンドクンと脈打つ音が聞こえてきそうな程だった。鈴口付近に溜まっていた透明な液までもが絞り出されてしまい、それすらもローション代わりになって滑りが良くする。一糸纏わぬ姿と成り果てた淫乱な獣が、俺の体躯にのしかかってきているという現実と合わせ、改めて鼻腔を広げて吸い込んだ空気の大部分を、オッサンの芳しい匂いが占めていることを再認識すると、愛情にも似た感情が込み上げてくるのを沸々と感じてきてしまっている。

  「オレも今すぐコイツが欲しいとこだが、まだ始まったばかりだからな……!」

  ゆっくりと互いの股座を擦り合わせるようにして肉棒を重ね合わせると、空いた反対側の逞しくゴツゴツとしたオッサンの掌を下に向けたかと思えば、精液溜まり目掛けて手首を回転させながら小さく円を描くように回し始めた。吐き出される液体に少しずつではあるが白濁としたものが混ぜ合わされていく。

  俺だけでなく、虎のオッサンも興奮がピークに達していたようで、粘着質な水分が互いに熱を伝え合い、何往復も肉同士を伝っていくうち、虎獣人同士の透明な汁が二匹、二本の間でくどく纏わり付き、グチャグチャという音を立て始めるまで呼吸五回ほどの時間もかからなかった。

  「うっ、あっ……はぁっ!」

  「ぐッ、うぅ……!気持ちッ、良いか…!は、ン…!」

  俺の口から漏れ出る喘ぎ声に、優越感に浸っているのか、愉悦の表情を浮かべ執拗に同じ箇所を責め立ててくる。気持ちいいか否かと問われれば、死ぬほど気持ちいいのが正直なところだった。亀頭だけを弄られているだけで電流が走る感覚が襲い、気を抜けばすぐにでも果ててしまいそうになる。それは相手も同じようで、先端や裏筋部分を中心に擦り付ける度、ビクビクと震える様子が伝わってきた。

  「まだッ…、イクんじゃねェぞ…ッ……!」

  耳元で囁かれた悪魔のように思える一言に、明確な返事をせず右手で奴の太腿を掴む。それを了承と解釈したオッサンは、口元から溢れた涎を隠す事なくベロリと舐めとって、重なり合った肉棒らをまたゆっくりと、次第にリズムを早めて扱き出した。先程よりも強くなった刺激により思わず腰を引いてしまいそうになったものの、オッサンはそれを嘲笑うかの如く、更に激しく攻め立てて来る。

  「ぐッ、おォォ……!ああァァッ!!」

  「あッ、んッ、あァァッ……!」

  肉欲に溺れる二匹の虎同士、恥ずかしげもなく上げる嬌声が空間を汚す。快感を得ようとして、無意識のうちに腰を上下に動かしてしまうと虎は握る力を強めてきた。雁首の溝に沿うように爪先でなぞられれば、堪え性のない俺の身体は簡単に根を上げそうになり、連動して無様におっ広げた両脚をピンと硬直させてしまう。反射して反り上がった脚を見て、このままだと吐精すると判断してもそれを良しとせず、ピタリと動きを止め小休止と言わんばかりに唇に食らいついてくる。

  「んッ、ンンく!ッお、お!」

  「ッハァ、ハァッ……、ッふ、ふン…!」

  押し寄せる快楽の波が絶妙なタイミングで引いていくことを理解している虎は、ひたすらに歳下の同種族である雄の象徴を存分に痛ぶり続けた。俺は息継ぎをする暇さえ与えられず、ただ貪られるだけだった。酸欠状態の脳みそでも下半身だけは素直すぎるくらいオッサンの手技に対して過敏に反応しており、虎の手の中で己の分身が脈動しているのを肌越しに感じ取っていた。射精まで一直線に連れ出しておきながら、いざ目前まで迫ろうかというときになって寸止めしてくるものだから、依然ビンビンに雄を際立たせ主張し続ける肉棒からはベトベトになるほど大量の先走り汁が分泌されていた。

  「ふーッ、ンゥ……」

  「フッ、ハァ……」

  互いの唾液が混じり合い、舌先が絡み合う淫靡な音が響き渡る。どちらともつかない口の端からはどちらのものかも分からない銀糸が垂れ下がり顎にまで滴り落ちる頃には、すっかり互いの顔は汗だくの状態となっていた。虎のオッサンの手中で二匹の粘液がこれ以上ないほど混じり合い上下運動も重なって白く濁った泡がこびり付いており、合谷のあたりに舌を這わせてジュルリと下品に吸い上げると、口の中で味わうように転がしては飲み込んでみせた。

  「美味い……いつまでもこうしていたいもんだ」

  「ッはあ…、ッハァ…!」

  胸元へと顔を近づけたオッサンはここぞとばかりに顔を近づけて、何度繰り返したかも分からぬ濃密な口付けを求めてくる。こっちは酸素を取り込もうと喘いでいるというのに、根こそぎ掻っ攫うように吸い込んでは雄の匂いと一緒に返してくる。俺も俺でそんなに焦らしをするくらいならば早くこの疼きを解消してくれと、願いを込めながら自ら舌を差し出す始末だった。

  「んッ……、ンンぅ……」

  「ンむ……ッ、ンッ……!」

  容赦なく口腔内を犯され、歯列をなぞられたかと思えば上顎の窪みをツツツ…と撫ぜられる。逃さまいとして頭の後ろに手を当てて固定してくるために、体躯を退くこともままならなかった。

  「随分と可愛らしい反応をしてくれるな……、もっと、虐めたくなる」

  今まで散々焦らすような真似をしていた癖に、急に力強く握りしめてきて思わず目を見開く。突然の刺激に驚き腰を浮かせてしまった隙に、奴は膝立ちになるとそのまま俺の上半身を持ち上げ跨ってきた。眼前に聳え立つ肉棒を見せつけるように目の前に掲げると、俺の頭を引っ掴んで口の中へ押し込んできた。

  「ほらッ、…………しゃぶれよ」

  「んぶッ!?んぐゥ!!?」

  先程までとは比にならない質量が喉奥にまで突き刺さり、息苦しさに汚く喘いだ。窒息してしまうのではないかと思うほどに大きくて太くて長いオッサンのチンポは、兜合わせの要領で扱き上げられた粘液で雄臭く、舌に付着するたび塩辛さと僅かな苦さが組み合った味が何重にも覆いかぶさってくる。口内の許容量ギリギリか、はたまた上回る体積を持つ肉棒に屈さぬよう必死に舌先を裏筋から鈴口へと這わせていくと、頭上から雄々しくも甘美なケモノがビクビクとチンポを脈立たせ、同時に先端から一滴、二滴と分泌液を吐き出した。

  「ふっ……!ん、ンむううッ!!」

  オッサンの太腿を掴みながら懸命に奉仕を続けた。とはいえ果てる様子は一向になく、むしろ奴の肉棒はより一層膨張し血管までも浮き立ってしまう始末だった。

  じゅぷ……じゅるるるッ!っぐぽッ、ぐぽッ!ぐぽ!

  「んぐッ、んぶっ!おごォ!!」

  「あぁ、お前の口はッ、堪らん……」

  根元まで一気に突き刺さったチンポは喉奥まで達し、気道を塞がれ呼吸困難に陥る。息苦しさに悶えるこちらとは対照的に、オッサンは愉悦に浸るような表情を浮かべていた。その男らしい面構えが愛おしくて、口内で肥大する肉棒の脈打ちに併せるように体液でぬめった俺の肉棒を握りしめる。舐め回しながらゆっくりと扱くと、しゃぶらせている男と快楽を同調させたような錯覚に陥り、えもいわれぬほどの悦に浸され自分が自分でなくなるような感覚になる。

  ちゅぶっ!!! じゅるるるるるッ!!!

  「あぁァァ……!舌、絡ませやがって…、ッッぐ、ぉぉお!」

  強引にしゃぶらせるでもなく、あくまで主導権をこちらに握らせてきたオッサンに何か一矢報いたくて、猛々しくも垂れた液体で鈍く輝く睾丸を柔く摩る。裏筋に這わせた舌と玉袋を刺激する間隔が同時に押し寄せたとき、口内に頬張った時と同じか、あわやその量をも凌駕する味わいが口に流れ込んだ。

  竿を擦り上げるたびに快感が駆け巡り、それがそのまま口腔内へ還元される。唾液の滑りを借りて往復させ、しゃぶらせている側の虎が身悶えするのを感じるたび、肌に触れていないはずなのに、己の肉棒からも透明な汁が溢れ出ていく感触があった。

  ずりゅぅッ!!! ぐっぽ!!ぐっぽ!ぐぽッ!

  ぐりュッ!! ずぞっ!ずぞぞぞっ!!

  「ッお、ッおォ!ッお、ぐッ、ッあ!ッあぁァ!」

  淫猥な水音が部屋中に響き渡り肉棒から発せられる刺激的な香りが鼻腔を満たしていった。雄臭さと汗臭さが絡み合う空間の中で、俺は夢中になって目の前のチンポに吸い付き、オッサンのチンポが自分の持ち物であるかのように扱いて、もっと欲しいとばかりに自ら唇を押し付ける。 美味そうに舐る俺を見てオッサンも欲情し、腰を突き上げてくるために咽そうになったが、それでも口を離すまいと健気に喉奥を開き、受け入れ続けた。口の端からは唾液なのか先走り汁なのか分からないものが零れ落ち、顎下から首筋にかけて幾つもの雫となって伝っていく。全身の毛穴という毛穴が全て開ききっているのではないかと思うほどに熱くなり、息苦しさよりも気持ち良さの方が上回っていた。

  ちゅぽッ………!

  口からオッサンの分身を外へ逃したとき、鈴口から伸びる糸が勿体無いと感じてしまい、無意識に舌を伸ばして拭いとる。荒い鼻息を耳にしつつ離れていくオッサンのチンポを見ると、空気に晒されながらビクビクと痙攣して今にも白濁を吐き出しそうだった。

  小休止と言わんばかりに、オッサンは優しい声色で俺に話しかけてきた。情愛も何もあったとは言えぬ、半ば強姦に近しい交わりであったといえども、俺自身に不快感の類は無く面前の虎の表情も柔らかく朗らかなものだった。仁王立ちから共に横になって肌を突き合わせると、興奮して顔を紅潮させたケモノが語りかけてきた。

  「……ちっとは思い出してくれたか」

  「……正直、分かんねェよ…、けど……」

  「けど、なんだ」

  身体がオッサンを強く求めている、だなんて告白じみたこと、恥ずかしくて口から火が出そうな思いがして言えなかった。事実今すぐにでもセックスの続きに突入して欲しかった。頭ではずっと見知らぬ虎獣人に抱かれているだけだと思っていても、いくら肉欲的なものしかなくとも、抜け落ちたパズルのピースを埋めるようにぴったりと合わさる虎の暖かな抱擁が、俺が心の底から望んでいる重大な願いだったから。

  「俺も、もっとこうしてぇ…」

  「……やはり最高だ…ッ、お前は…」

  俺から抱き寄せた身体をオッサンからもやり返して、てこでも動かぬと言わんばかりに身体を密着し合わせる。抱き合って、毛を撫でて、肌を拭って、数分としない間にまた唇を奪い合って。箇所と動作を何通りも変えながら、初めて味わうように感じるローテーションにより互いの肉棒は衰える気配を見せなかった。

  「ご褒美にッさっきのお返しだ……一発、イカせてやる」

  「……ッ!?」

  言うが早いか乳首をチロリとひと舐めすると、虎はそのまま口に含んで転がし始めた。

  「ンあぁァッ!?あッ、あぁ、ッ、」

  突然訪れた刺激に耐えきれず、思わず俺は甲高い声を漏らした。一方のオッサンは、してやったりと助平な笑みを浮かべると、次いで赤ん坊が乳母に甘えるように、チュウチュウと音を立てて吸い付いてきた。それだけに飽き足らず、口を思い切り犯し尽くしたように舌を尖らせて、嬲るように乳首を痛めつけた。そんなところを吸われても何も出ないはずなのに、甘い痺れが全身を襲う。

  「おォ、ッ美味ェ乳首だ……、おら……ッ!」

  「ああァァあッ!ッう、ッぐぅうぅう!!」

  その間もオッサンは手を止めることはなく、むしろ先程よりも力強さを増していた。時折緩急をつけるように速度を落とし、まるで俺の弱い部分を知っているかのような巧みな手振りで。合間に呼吸を整えようとするが、それすらも叶うことはなく、一向に改善の余地を見せないまま悪化の一途を辿るばかりだった。

  「やッ、ガぁア、アァあアッ!……ッはあッ、あン……!」

  「へッ、すっかり雌みてェな声出しやがってよォ……!」

  乳首を吸いながらもチンポへの激しい扱き上げに休みなど勿論ありはせず、ただ負担と快楽の入り口だけ増した俺からすれば叫ぶ声量を一層大きく上げることしかできなかった。

  羞恥心を煽るような言葉を浴びせてくるオッサンだったが、快楽に耐えることに必死で、理性的に反論などできる余裕などなくて、情けない声を上げて身悶えしている今の俺はさぞかし滑稽に見えるに違いなかった。とかく何か言い返そうと喉元まで出かかったとき、尿道にせり上がってくるような感覚、絶頂が近い感覚が強まり思考のリソースをことごとく奪われてしまう。

  「ッ、うぅ……ッ、あァ……!もッ……もうッ、、駄目、だ……ッ!」

  「イキそうか……いいぜ……ほらッ…、上澄み出しちまえ…ッ!……!」

  射精を促すように告げるとともに、さらに扱き出す手が早まった。

  オッサンの口が乳首から離れていったと思った矢先、再び唇が覆い被さった。

  「ぢゅるるっ!! じゅぱッ、ずちゅッ!!!! 」

  「んんンンンンッ!!ふぐッ!んんんうぅぅぅう!!」

  唾液の音を立てながら激しく吸引された直後、奥底から一気に快感波が押し寄せた。待ち望んでいた快楽のさらにもう一歩踏み込んだ先を易々と踏み躙る虎獣人の愛撫に成す術はなく、俺はあられもなく吼え股を開き身体を跳ねさせた。精液が尿道を駆け上がる感覚と共に視界がバチバチと明暗していく。オッサンが俺を抱き留める腕に込められた力が、より強くなって筋肉が太く隆起した。

  「オラァァああぁ!!……派手にッ、イッちまえッ!!」

  「―――ッ!!!ぐッッ、ぉォおォォおおおおぉォッ!!」

  びくッ、びくんッ…どぴゅっ!ビュルルルルルッッ!!

  どぷどぷどぷっ!どくどくどくっ……! どくん!ッどく!

  迫り来る快感の連鎖に抗えず、散々焦らされ続けた俺の肉棒からは、白濁が待ち望んだかのように勢い良く穿たれた。数回に分けて吐き出された精液は、己の顔にまで飛び散るほどの量だった。終始それを凝視していた虎は相変わらずニヤついた表情のまま指先に付着した粘液をペロリと舐める。それだけに留まらず、勿体無いと言わんばかりに胸、肩、頬に至るまで一口、また一口と極上の果実に舌鼓を打つように舌の上で転がし、ゴクリといやらしい音を立てて飲み込んでいく。

  「ご馳走さん……。どうだ、散々焦らされたオレの手コキは」

  「……うるせぇ……」

  「……可愛いくねェな……、なら次はオレの番だ」

  --------------------------------------------------

  そう言って虎は、未だ手にこびりついた残滓を見つめると、間髪入れず俺の胸元に両手を押し当ててきた。今まで俺の手番だったことはなかったはずだが、反論する時間も与えぬままに虎は好き勝手に動き出す。しかもオッサンが次に獲物として狙い澄ました箇所は、肉棒同士がぶつかる腰同士の位置とは異なり、もっと下だった。

  「……ッ?!待……お前ッ、」

  「うるせェ…ッ!ッ……行くぞ……」

  意図を察して止めようと足掻くも、圧倒的な力の前には無力だった。

  ヌチュッ…………ぐッ、ぐぷッ……!!

  「がッ、あぁぁァあ!ッ、あッが………!」

  ずちゅうぅぅうッ……!!

  「おおぉぉぉおッ………くうぅッうぅ…!チンポ、キた……!」

  雄汁を全力で吐き出したばかりの俺の肉棒は、拭いきれていない白濁をローション代わりにしてオッサンの中へと埋没していった。静止を求める俺の意見なんざ微塵も聞き入れず、オッサン自身が楽しみたいがだけの性処理道具のように扱われてしまう。交わる前と打って変わって舌を恥ずかしげもなくダラリと垂れ下げた様は、娼夫でもそうそう見ぬほど色を好んでいるだろうと言っても誇張した表現ではない。半狂乱の如く責め立ててくる虎のオッサンはすっかり雌のように逆堕ちしているかと思いきや実のところそうでもなく、ヒートアップしていくにつれこちらを挑戦的に煽り散らかしてくるもんだから、導火線に片っ端から火をつけていくが如く熱情が燃え上がってしまう。

  射精したばかりとは言っても、肉壁に揉み込まれたら息を吹き返すのも致し方なく、待ち望んでいたと言わんばかりに脈動に合わせて蠢くオッサンの肉壁が、雁首を四方八方から羽交い締めにしてくる。身勝手なまでに俺の肉棒を飲み込んでいったのは虚勢ではなかったようで、こちらから動かずともオッサンの呼吸だけで、数センチ、また数センチと少しずつ確実にケツの中へと消えていく。見えなくなっていく箇所が増えるに比例して、オッサンが不規則に締め付けてくる圧力が強まっていくものだから、堪らず雄膣の中で先走りをドクドクと噴き出してしまう。

  「く、そ……!一発ヌいたクセにッ、もうオレん中で、ギンギンじゃねェか……!」

  「クソッ……抜けッ……!こんなッ…………ッ!」

  「アアァッ…!……お前のチンポがッ……奥までキててッ、クッソ、……気持ちいいぜェッ……!」

  ヌップッ……! ズプズプッ……! ズッ、ズッ……!ズプッ……!

  「てめっ……ッ、俺、は、イッたばっかなんだ、ぞッ……!!」

  「まだまだァ、ッ……もっと……、イケるだろッ……!」

  熱気を帯びた吐息混じりの声色でそう言うと、オッサンは一気に腰を落とす。尻たぶと腰が激しくぶつかり合う音が響き渡り、結合部からは泡立った白濁液が流れ落ちる。オッサンの太腿を伝って床にまで滴り落ちている様子から、俺から穿たれた精子も相当量だったことが窺えた。強制的に続行させられるセックスで足腰は抑え切れぬほど痙攣し出しているものの、性欲の権化の前では行為を中断する理由にはならなかった。

  ズプゥウウッ……グジュッ、グヂュンッ……

  ぬるッ、ヌリュ……!ぐぢょッ………!じゅぶッ……!

  俺の亀頭が腸壁の奥深くまで到達し、強烈な刺激に襲われ堪らず顔を仰け反らせた。休む暇を与えないと言わんばかりに、今度は腰を持ち上げてギリギリまで引き抜いたあと、再度落としながら上下運動を始めた。パンッ、パンッとリズミカルに打ち付けられるたびに卑猥な水音が響き渡り、互いの陰毛が擦れる感覚までもが生々しく伝わってくる。自らの体重を利用して肉棒を根元まで飲み込み、俺の下腹部に尻を叩きつけるようにして何度もピストンを繰り返した。その度に俺の腹筋にオッサンの陰嚢が当たり、透明な粘液がヌルヌルと塗り広げられていく。一連の動作によって強制的に押し付けられる快楽に比例して、唇の端からだらだらと唾液が流れ出ていく。

  「オ"ッ、おッ……!いいぞッ……!もっと突けッ……!オレをッ、満足させてみせろッ……!」

  「ッ……、言われなくてもッ……!」

  パンッ、パンッ、パンッ、パンッ……!

  グヂュッ、グヂュッ、グッ、ニュチャッ……!

  ヌチッ、ニチュッ、ヌヂャッ……! グリッグリッ……ヌブッ……!

  「おごッ、お"ッ……!!ォォおおぉおおッ……!!!」

  まるで何か別の生き物みたいに激しく動き回るオッサンのケツ穴は、俺のモノの形を確かめるようにぎゅうっと収縮を繰り返している。時折思い立ったかのように前立腺目掛けて突いてきたり、俺の顔を見つめたままわざと焦らすような緩慢な動きを見せたりと、絶妙な緩急をつけながら攻め立ててくる。不意にオッサンが俺の両肩をガッチリ掴んで上体を倒す。必然的に顔が近づき、何事かと思えば力強く唸りだした。

  「ッぐゥゥうゥ!あァーッ……!イクッ、イグゥううッ……!あァァあァアアーーッ……!ッあぁあァァ!!」

  ビュルルッ……!ビュッ、ビュルルルッ!!

  ッビュク……ビュルル!ドピュッ、ドビュッ!!

  オッサンは身体を大きく反らせながらビクビクと痙攣させた。恐らくこの様子だと達してしまったのだろう。ほぼ同時に、目の前で淫靡に踊り狂う肉棒から大量の精液が降り注がれ、俺の顔から首筋、次いで肩から腹の上までボタッボタッと大きな塊になった水滴を派手に噴きこぼしていく。

  突っ込んだままの俺のチンポはオッサンの絶頂に合わせてギチギチと力任せに締まり、先ほどイッてしまったのと無関係に、もう一度快楽まで追い詰められてしまう。

  「くぅうッ……!搾りッ、取られるッ……!!」

  「んッ……ッ、あーッッ、イイッ……!たまんねぇッ……!……ッ、そのままッ、オレのケツ、突けッ……!」

  休む間もなくオッサンは何度も腰を振り下ろし、上下運動を繰り返す。オッサン自身の体重がかかる所為で、これ以上ないほど深いところへ突き刺さる。ガチムチ野郎を突っ込んで前後左右に揺さぶられる度に、頭上から汗ばんだ喘ぎ声が降ってくる。ひたすらに快楽を貪ろうとするただの獣の狂乱じみた叫びだった。

  派手に精液をぶち撒けておきながら、小休止を挟む間もなく抜かずの連戦を強情む虎のケツ穴に距離を取ることは許されず、俺も挑み続ける他なかった。射精による衝撃でギュウギュウに締め付けてくる後孔は、イキながらも限界を感じさせぬほど懲りず淫乱に俺のチンポを飲み込んでいく。

  「おォぉおおッ……!たまんねぇッ……!イイッ……!最高だぜぇえェエエッ!!ッああァ……!」

  「んんッ……!やめッ……ろッ……!クソ……!」

  「もっとッ、……欲しがれよ……!オレのケツマンコにッ……チンポ、ぶち込みてェんだろッ……!」

  「ッ、ざけんッ……なッ……!」

  「強情なッ、ヤツだ……!……お前のザーメン、根こそぎ搾り取ってやるッ……!覚悟しろッ……!」

  オッサンはそう言い残すと、俺の両太腿の付け根辺りに手を置き、一旦腰を上げ始めた。そしてすぐに勢いをつけて再び腰を落とす。

  「ッあ、あッ!ああぁぁッ!!」

  ヌブッ……!バチュンッ!パンッ、パンッ……!

  「ッあッ……!ハアッ、ハアァッ……!ッ、ふッ……うぅ…ッ!」

  「……はッ、……ッ……、……ッ!」

  「どうだ?!イイッ……だろォ!?」

  パンパンッ……! パンッ、パンッ……!パンパンッ……!

  「ふぅッ、んむッ……!ちゅぱッ、んッ……!」

  「がッ、あッ……?!ぐ、あぁッ!」

  「あ"あ"あァッ……!おォォお、すげ、えッ……!」

  リズミカルに肉同士が激しくぶつかり合う音が室内に響く。それと同時に虎のオッサンの尻穴からは卑猥な水音までもが漏れ出し始め、それが余計に興奮を高めてしまう。オッサン自身、自分の好きなように動けているからなのか、今まで以上に激しく乱れていた。時折舌を出して犬みたいに呼吸を荒げたりしている様を見ていると、厳つい顔立ちとのギャップが凄まじくて、より一層エロく思えて仕方がない。オッサンの動きはくね回すように激しさを増していき、面前の虎の汗だくになった腰回りを強く掴んだまま、歯を食い縛るしかなくなっていた。

  が。

  パンッパチュッ……!パァンッ……!グヂュンッ……!

  ズブゥウウッ……ヌプッ、ゴポッ……!

  「どうしたッ?ンッ、もう終わりか……!」

  「黙れ……!この変態野郎がッ……!!」

  オッサンの挑発に乗せられるまま、悔し紛れに突き上げた。

  ドチュンッ……!

  「おおぉぉッ!?」

  パンッ……!バチンッ……!ゴッ、ゴッ……!ボチュッ、ゴッ……! ジュブンッ……!ズプンッ、グッポンッ……!

  大きく肥大化したペニスの先端はオッサンの腸壁を擦り上げていく。亀頭が奥まで当たる度にビクビクと痙攣して、生き物のように脈打つ感覚が伝わってきた。オッサンの穴の中は既に愛液で溢れ返っていて、抽挿を繰り返す度に淫らな音を奏で続ける。腰を穿つたびに肉膣が絡みついてくるせいで、この肉の味をもっと味わいたいとどす黒い欲求が精神を蝕んでいった。

  ゴリュッ……!ズブッ……!ゴリリッ……! ズッ……!ズンッ……!ヌブッ……! ヌチャヌッチャッ……! ヌッポォッ……!

  「ア"ァッ、あァッ……!イイッ……!!たまんねぇッ、いいぞォッ、チンポッ、もっとだァッ……!」

  「ッ……ざ、けんなッ……!」

  ズブッ……!ズッ、ズッ……! ズブズブッ……!

  「ッ………?!ッッうおぉおおォッ!!?」

  「んおォぉおおッ……!くそッ……!おォおッ、何だ…、このケツはッ………!!」

  オッサンは俺の腰に手を当てて自らも尻を振りながら激しく求めてくる。こんなに激しく求められたのは生まれて初めてかもしれない。雄叫びを上げ続けながら更に動きを速めていき、俺も負けじとひたすらにピストン運動を繰り返した。

  「あぁッ、良いぞォッ……!もっとだッ、オラァッ!」

  耳障りな音を出しながら、オッサンのケツ穴は俺の一物を完全に飲み込む。遠慮など微塵もなく腰を前へ前へと、無理やり突き出していくのだけれど、尻は余裕じみた様子で肉棒を受け入れていく。

  バチュンッ、バチュッ……!パンパンパンッ……! パンッ、パンッ……!グヂュッ、ヌチャッ……! ドチュッ、ヌプッ……!

  「……畜、生ッ……!!」

  パンッパァンッと肌を打ち鳴らす音だけが響く室内で、俺とオッサンの喘ぎ声も混じる。

  「イイッ……!最高だぜッ……!このままッ……オレん中にッ、全部寄越せッ……!」

  「ふざけんじゃねえッ、誰がッ……!」

  「それならッ……こうするまでだッ……!」

  そう言うなり、今度はオッサンの方からこちらへ体重をかけて、勢いよく肉棒を押し込んできた。当然、その分だけ深々と突き刺さることになり、オッサンの結腸の入り口まで届いてしまう。

  「うぐぅっ……!」

  「うおぉっ、凄えッ……!すげェ、……このッ、角度……イイッ……!チンポッ、オレのケツマンコん中にあるって感じだァ……!」

  ヌポッ、ヌププッ……!ヌプンッ……! ヌププププッ……!

  オッサンの肛門括約筋が肉棒を締め付けるようにして圧迫する。オッサンはニヤリとした笑みを浮かべて、こちらを見つめてくる。

  「うぅっ、ぐうゥっ……!」

  グリグリと亀頭を押し付けてくるオッサンのせいで、思わず歯噛みする。ただでさえ苦しいというのに、更に強く刺激されたせいで

  「お"っ、ぉっ、うぅっ……!」と変な声を出してしまう。

  「ハハッ……いいザマだなァッ……!ほらッ、もっと鳴けよッ、盛った雌猫みてェにッ……」

  「ッ雌は……テメェだろうが……ッ!!」

  肉棒全体を包み込む腸壁の感触に加えて、肉同士がぶつかる際に生じる鈍い衝撃が、下半身全体に伝わる。オッサンが動くたびに、結合部から空気が抜けるような音が響き渡るのだが、それすらも今はもう耳に入ってこないくらいだった。

  「オ"ォォッ……!!」

  「んおぉッ、おぉおおッ!!」

  ヌプッ、ヌボォッ……!ジュブッ、ニュプンッ……!

  グッ、パッ、パンッ……!パァンッ……!グヂュンッ……!

  絶え間なく激しい動きをしているせいで、虎が腰を上げる際にはカリ首が引っかかったまま抜けてしまいそうになる。それをなんとか阻止しようとしてか、オッサンの方からも下腹部に力を入れてくるものだから、その度にまるで引き止められるように根元まで飲み込まれていく。オッサンは自分で動いているからこそ、良いところに擦れるようで、快感が包み込まれる雄膣と連動して伝わってくる。

  「ああッ、そうだッ……オレはお前の雌だッ……!だからッ、こうしてッ、雄のチンポを、喜ばせてるんだッ、ろうがッ……!」

  「ぐっ……!」

  「そらッ、……どうしたッ……こんなモンか……ッ!」

  「くっ、うっ……んっ、んっ、ふっ……んんっ!」

  次第に視界がチカチカとし始めて、意識が飛びかける寸前で、突然オッサンが身体を倒してきたことで、唇を重ねられてしまった。舌先で口内を掻き回されるだけでなく、唾液を流し込まれる。オッサンの汗と混じって、しょっぱさが広がった。キスをしながらオッサンは腰を動かし続けるため、息苦しさを感じる一方で、身体中を巡る血液の温度が上昇していく感覚に陥る。部屋中に肌がぶつかり合う音が絶えず鳴り響き、オッサンは相変わらず獣のような声を発しながら、ひたすらに己の快楽だけを求めて腰を打ち付けていた。

  ヌップッ……ズブッ……!ズブッ、ヌポンッ……!

  ズブブッ……! ズブッ……!ズブッ……!ズブッ……!

  「ッ、ふっ……!オラっ、あァッ!」

  「オオ"ッ……!イイッ……!イイぞォッ……!中々ッ、やるじゃねぇかッ……!」

  「ッ……調子乗ってんじゃねえッ……!」

  「お……ッッ、オ、ごッおお……!?」

  ズプッ……! ヌップッ……! ヌッ、ズプッ……! ヌッ、ズプッ……! ヌッ、ズプッ……! ヌッ、ズプッ……!

  「ハハッ、どうしたよオッサンッ……?もうへばったのか?」

  「ぐッ、お"ぉおおッ……!こ、の……クソ、がぁッ……!」

  「まだッ、こんなもんじゃ……ねえぜッ……!」

  バシッ、ドチュッ……!グリグリッ……!

  ヌッ、ズプッ……! ズッ、ズッ……!ヌップッ……!

  「あ"ぁッ、あ"ぁああぁあッ……!イイぃいィッ……!!」

  「あ"ッ、あ"ぁああッ……!くそッ、気持ちッイイ……ぐッ……!」

  ヌッ、ズプッ……! ズッ……!ズブブッ……! ヌッ、ズプッ……!

  ズッ、ズッ……!ヌプッ、ヌッ……! ズッ、ズッ……!ヌッ……!

  「……どうしたッ、さっきまでのッ……威勢の良さはどこ行ったッ……!」

  「うるッ、せぇッ……!こッの、……雑魚、チンポがッ……!おおッぐうぅ!!ンぎ、ッあッ……ガァああッ………!?」

  ヌッ、ズプッ……! ズッ、ズッ……!ヌップッ……! ズッ、ズッ……!ヌッ、ズッ……!ヌッ……!

  「おらッ、このッ、変態がッ……」

  「ウゥウッ、あ"ぁああッ……!お"ぉおおッ……!」

  俺は思い切り体重をかけてオッサンの奥深くまでペニスを突き刺す。先端で腸壁を押し潰しながら一気に最奥まで到達すると、その衝撃でオッサンは白目を剥きかけてビクビクと痙攣する。それでも構わずピストンを続けるとオッサンは声にならない悲鳴を上げて悶え苦しんだ。その尻穴はむしろ感度を増してきており、突けば包み込みながら柔らかく受け入れ、退こうとすれば逃さぬとばかりに力強く締めつけて極上の性器と形容する他なかった。

  ズププッ……! ズブブブッ……! ヌッ、ズプッ……!

  ズッ、ズッ……!ヌッ、ズプッ……! ズッ、ズッ……!

  ヌッ……! ズッ、ズッ……!ヌプッ、ズブブッ……!

  「あ"ぁあッ、ッイイィッ……!イイぃいィッ……!」

  「ッ、おぉおおおおおッ……!」

  俺はさらに体重をかけながらピストンを激しくしていく。

  ズププッ……! ヌップッ……! ヌッ、ズプッ……! ヌッ、ズプッ……! ヌッ、ズプッ……! ヌッ、ズプッ……! ヌッ、ズプッ……!

  「お"ッ、お"ぉおおおォッ……!!ヤベェエエッ……!ぎもちイイィッ……!!」

  ヌププッ、グヂュグッ、パンッパンズプッ、パンッ、ズチュゥッ……!!

  ヌッポ、ヌポッ、ドッチュ、ヌプッ、ズプッ、ヌポッ、パンッ、パンッ、パチュンッ……!!

  オッサンの尻穴が再びキュウッと締まると同時に、俺自身もまた限界を迎えようとしていた。オッサンの下腹辺りに手を添えると、その瞬間にオッサンが更に強く抱きついてきて、全身を密着させる形で覆い被さってきた。徐々に間隔が短くなりスパートをかけ始める。

  「あ"あ"ァッ……!イ、グぅッ……!気持ちイイィッ……!!やべぇえぇええッ!!イグッ、イグゥウウッ……!!!またッ、チンポでイっちまうッ……!」

  虎のオッサンがそう叫んだ途端、菊穴が一層強く引き締まる。散々耕し尽くした肉壁がこれまで以上に強く絡みつき、雁首から竿に裏筋に至るまで同時に快楽という名の電流を走らせてきた。挑発に挑発で返すという押し問答でまぐわってきた二匹であったが、絶頂の前には耐えられもしない。

  「ッぐ、ちく、しょッ……うッ…!イくッ……!中、出すぞッッ……!おォォおおォおッッ……!!」

  「くッ、くれッッ……寄越せ……ッ!!お前の種……ッオレん、中にッ……!!あッぁあぁァァ、ああぁぁあァァあ!!」

  「おおっ、おっ、おッ、いいッあっ、あッ、アアアアッ……!!!」

  ビクンッと全身を震わせたかと思えば、オッサンは俺の上に覆い被さるようにして倒れ込んだ。

  「あ"ぁあッ、イクッ、イグぅううッ……!!あ"ぁああぁああぁあああッ!!!」

  「んおぉおォォォッ!!ぐッ、おォォオおおおおっ……!!!」

  ビュルルルルーーッ……!!ビュッ、ビューッ……!

  ビュビュルッ、ビュルル……!!

  荒い息遣いと共に上下する胸板から鼓動が伝わってくる。刺激が肉棒へと染み渡っていくのを感じつつ、俺も身体から熱い液体がドクッドクッと初発よりも勢い良く脈打ちながら流し込まれていく。

  「ぐあぁああぁッッ!あぁああぁあああッ……!!!」

  ドピュッ、ドクッドクンッ……!ドクッ、ドクッ……!

  ビュルルッ……ビュッ、ビュクンッ……!!

  オッサンの雄叫びと共に、腸壁が痙攣するようにビクビクと震える。オッサンの亀頭からも精液が噴出していた。それは、互いの腹部や胸元などに飛び散りながらも、重力に従って下へ下へと流れ落ちていく。

  絶頂を迎えた後でも、しばらくの間は互いに繋がったままの状態でいた。これだけヤっても尚、まだオッサンが小刻みに腰を動かすせいで、甘い吐息が漏らしてしまう。けれどチンポは精も根も尽きたといった具合で、しばらく使い物にはならなそうだった。

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  「はーッ、ッはァ…………なァ」

  「…ふッ、ッふぅー、ッはあ……何だ」

  完全に体力を使い果たし、もはや起き上がる気力もないままに口を開いた。

  「最高にッ、気持ち良かっただろ……」

  「……」

  「ああ………気持ち、良かった」

  あれだけ昂っておきながら嘘はつけなかった。その証拠に、いくら種を汗を吐き出したかも分からない虎のオッサンの身体に抱き締められたいとすら思っている。気付けば、俺とオッサンはそれぞれ天井に顔を向けて肩を動かしながら呼吸を整えている。抜かずの連戦を平気でやってきたこの虎獣人に対して、変に誤魔化そうとしようもんなら、お仕置きと称してまた激しい交尾が始まってしまうと考えただけで自ら作り出した無言を自分で押し潰していた。

  「俺たち、付き合っていたのか」

  「………」

  「あれだけヤりゃ分かるぜ、オッサンと初対面じゃないってことくらい」

  初めて口にしたオッサンという言葉に、虎は幾許かショックを受けたようだった。

  「………オレとそんなに歳は離れていないんだがな」

  「ッえ……」

  「鏡を見ていないだろうから、仕方ない話だが……」

  「……、そうか……」

  「……ああ、……お前は、……記憶を失っている」

  いつか告げられると思っていた言葉だったから自然と納得がいった。目が醒めてからというもの身に覚えのない場所にいたり、急に襲い掛かってきたかと思えば強姦じみたことをされるしで、正直散々だったと告げると、申し訳ないと思う気持ちが奴にもあったのか、粘液で鈍く光る手のひらを逆側の腕で拭うと何も言わずに俺の頭を優しく、ゆっくりと何度も撫ぜた。彼の尾っぽは安らかに落ち着いていて、安堵しきった猫のようだった。

  俺の記憶が欠落していたとすると、記憶を失う前であれば、此処が何処がということも、オッサンが俺とどういった関係性なのかも分かる可能性が高いということなのだけれど。

  一見俺にとって希望の光に見えそうなこの話題にオッサンが抵触するとやはり哀しげな目をしていて、出来るならば今すぐにでも話題を断ち切りたいとさえ思っていそうだった。信じられるかと反論することも出来ただろうが、オッサンの瞳に込められた想いは、俺が思っている現実否定のものよりも強く、激情的だったと思う。身体を何度も交わらせたから思えることとすると買い被りすぎなんだろうけど、俺よりオッサンのほうが信じたくないと思っていそうなくらい、辛そうな面持ちだった。

  「それも、ただの記憶喪失じゃあ無い」

  「……話せるなら、聞いてやる」

  「…そうだな……、少し、昔の話でもしてやろう」

  俺への直接的な解答を避けるように、すっかり雄臭くなってしまった身体の関節をバキボキと鳴らして伸びをする。手を組んで、脚を組んで、腰を回して、指先から足先、はたまた首から背中まで至る所の関節から、気持ちよさそうに空気が潰された音が響いた。

  俺も見習ってやろうと思ったのだけど、先のセックスでは邪魔に思えなかった手枷がそれの邪魔をした。

  濃厚に交わっていたときとはまるで別人のように、紳士的に話しかけてくれる虎へ、無意識に引いたような目つきをしていることを悟られてしまった。時間が経って消えかけるほど短くなってしまった蝋燭の、近くに脱ぎ捨てていた軍服をオッサンはゴソゴソと漁ると、チャリンと小銭のような、小さくも小気味良い音を聴覚が捉える。寝床から見えるオッサンの背中は、やはり逞しくも大きかった。あれだけ何度も尻穴目がけ吐精したというのに、部屋を歩くオッサンの足元は白濁が垂れていなかった。

  「話す前に…、付き合ってくれた例だ」

  わざわざ言わずとも、俺の横に持ってきてくれたそれが、右手の拘束を解く鍵だと確信した。

  意識が戻ってから数時間ほどしか経っていないだろうに、数日くらいこのままだったのではないかと思うくらい、その気持ちを解放させるように。

  オッサンが右手の拘束具を解くと、何十キロもする重荷の負担が消え去ったように清々しい気持ちになった。まずは手始めに一番最初に思い切り背筋を反らせて伸びをした。その後に今度は凝り固まった筋肉をほぐす様に開脚をして、柔軟運動をして、もう一度同じポーズで伸びをして、それから、

  自分から虎のオッサンに、腕を回し込んで抱きついた。

  雄汁と汗に塗れていたけれど、不快な匂いではなかった。

  「ッおい……」

  「……外してくれた礼だ」

  「ッたく…………」

  その意図には欲情を現すような気持ちなんかなくて、動物同士が戯れあうくらいの軽い気持ちで行ったものにすぎなかった。オッサンも一瞬動揺したのか、尻尾を立たせて少し戸惑っていたのだけど恥ずかしがりながらも受け入れてくれて、背中に置いた逞しい腕をぽんぽんと軽く叩いた。

  そうした経緯があってから口を開いて話してくれたのは、俺とオッサンの馴れ初め。というか、出会った頃の話だった。

  続