けいどろ

  1

  「ここは……」

  気が付くと、俺は後ろ手に縛られて床に転がされていた。

  殴られたのか、後頭部が脈打つようにガンガンと痛む。

  「どこだ?」

  頬にざらつくコンクリート。薄暗い中を目を凝らして見ると、広い空間に整然と並べられた大きな機械群が飛び込んできた。埃をかぶり錆が浮いているのを見れば、しばらく使用されていないのは明白だった。

  ……廃棄された工場か。

  砂と機械油にまみれたコンクリートは、俺の背広をさぞかし汚していることだろう。

  それにしても、俺はなぜこんなところにいるのか。

  痛む頭をかすかに振り、はっきりしない頭で覚えていることをぼんやりと羅列する。

  俺の名前は……そう、俺の名前は三浦功。虎獣人の二四歳。独身。職業は……警察官、捜査一課所属の刑事だ。今は相棒の“やまさん”とともに、強盗を追っていて……。

  「そうだ」

  舌打ちしながら、俺は身を起こす。

  俺たちは二件の宝石店強盗の犯人として指名手配されている男を追っていた。そしてこの廃棄された工場に潜んでいることを突き止め、一人乗り込んだのだ。応援を呼ぼうというやまさんを振り切って。

  『俺が一人で突っ込みますんで、やまさんは外で見張っててください』

  そう言いながら工場に飛び込もうとする俺の後頭部を、熊獣人の岩のようにごつごつした拳で殴りつけるやまさん。

  『痛てっ! な、なんすかっ!』

  『なんすかじゃねぇ!』

  今年四十になる“やまさん”こと山本省吾は、低い声で俺を叱り付けた。

  『はやる気持ちは分かる。だが、ここは万全を期すべきだ』

  刃物で切り付けられたような傷が残る頭に、ぶっとい眉。眉間にはいつも不機嫌そうな深いしわが刻み込まれている。ギョロついた眼にへの字に曲げた唇。

  ひと目でやくざと見まがうようないかつい顔立ちに、背広の両腕とYシャツの胸元が張り裂けそうな分厚いガタイ。そう、分厚いと表現するほうが正しい。何せパッと見、縦幅より横幅の方が大きいと錯覚してしまうほど。と言っても、やまさんがデブなわけじゃない。ただ、平均身長より少々小柄なだけだ。その坊主頭が俺の胸元ぐらいまでしかないのだから。

  だが、小柄でもその威圧感は、長年の刑事稼業と不機嫌そうな相乗効果で恐ろしいほどだ。

  一度、『不機嫌な顔してたら女にモテないっすよ』と、親切心から忠告したことがある。笑えば多少なりとも愛嬌のある顔なのにもったいない。

  そんな俺の心からの優しさに、やまさんは『ほっとけ』というそっけない言葉と、本気の拳をお見舞いしてくれた。あの時俺は、人間、目から火花が飛ぶ事が現実にあるという、人体の不思議を経験してしまったのだった。

  そんな俺たちだが、決して仲が悪いわけではない。俺はすぐに頭に血が上って失敗をやらかすが、冷静なやまさんはいつも俺をフォローしてくれる。新人の頃から、なぜか俺を気に入ってくれて、随分とかわいがってもらっているのだ。

  『すんません。でも、俺にやらしてください』

  やまさんに俺は頼み込んだ。

  自分の手でなんとしてもけりをつけたかったのだ。この事件は、俺がはじめて踏んだでかいヤマだ。そして、この隠れ家を見つけたのも俺だ。そうなれば、俺の手できちんと逮捕したいじゃないか。

  『そりゃ、お前の気持ちも分かるが……』

  『それに、応援なんて呼んでる暇はないっすよ。そんなことをしている間に逃げられたら元も子もないじゃないですか』

  『じゃあ、二人で乗り込む……』

  『それこそ逃げられる可能性があるでしょう』

  『だが、一人で乗り込んで失敗でもした日にゃあ』

  『逃がしたりはしませんよ』

  『そうじゃない。俺はお前のことを心配してるんだ!』

  『……やまさん』

  『なんだ?』

  『見た目に似合わず、優しいんすね』

  『な、な、何だと!』

  俺の言い草に目を剥くやまさん。

  『大丈夫ですよ、じゃ行ってきます』

  『ま、待てっ!』

  そのまま俺は一人潜入して……。

  「ざまあねえや」

  自嘲的に呟く。

  強盗犯を追って、逆に捕まっちまったら話にならねえ。

  やまさんの言う通り、慎重に動いていればこんな事にはならなかったのだ。

  後ろ手に縛られたまま立ち上がろうとした俺は足をつんのめらせて、ひっくり返る。見ると俺の左足は、手錠で機械の足に固定されていた。

  ジャリ。

  コンクリートのこすれる音。

  「目が覚めたのか」

  そちらに目をやると、工場の高い窓から差し込む西日に、一人の猪獣人の姿が照らし出されていた。

  つや消しされた黒い皮ジャンに、白いTシャツ。黒のジーンズは洗い立てのようにごわついている。その太短い体毛と同じように。

  「坂田……坂田和成か」

  「ああ」

  男は頷いた。

  坂田和成。この男こそが、俺たちの追っていた男だ。

  「ご苦労なことだ。こんなところまでわざわざ追いかけてくるとは」

  指名手配されているというのに、口元に不敵な笑みを浮かべる。その余裕はどこから来るのか。

  「……」

  それにしても……でかい男だ。近づいてくると、その大きさがいっそう分かる。

  なんというか、体のつくりが規格外なのだ。顔や胸、手足それぞれのパーツが俺より一回りずつぐらいでかい。俺との年齢差は四つだというのに、体格差はまるで子供と大人だ。

  こいつがその気になれば、いとも簡単に俺をくびり殺すことが出来るだろう。

  「刑事が強盗に逆に拘束されるなんて、いいざまだな」

  子供の頭ぐらいならひと呑みにしてしまえそうなでかい口を歪めて、笑う。ヤニで黄ばんだ太い牙が、鈍く光った。

  「くっ」

  言い返す言葉もない。

  「おまけに、こんなものまで奪われる始末だ」

  「あ、それは!」

  皮ジャンのポケットから取り出したのは、俺の拳銃だった。

  「これがばれたら懲戒免職ものだな」

  その粗野な顔立ちを俺は睨みつける。

  「……いい加減にするんだ。これ以上罪を重ねてどうするんだ」

  「うるさい奴だな。お前、自分の立場が分かっているのか」

  坂田は銃口を俺に向ける。

  「くっ……」

  「それにしても警察というのは、どいつもこいつも能無しばかりなのか」

  「何だと!」

  「ほれ、見てみろ」

  奴が指差す方向を見て、俺は完全に血の気が引いた。そこには、頭から血を流して倒れている男が一人。それは、やまさんだった。

  「や、やまさん!」

  「……」

  俺の呼びかけにぴくりとも反応を見せない。ただ、横たわっているだけ。

  「お前を殴り飛ばしたところに、のこのこやってきたんだよ。馬鹿な奴だ。大方お前のことを心配したんだろうが、ミイラ取りがミイラになってどうする」

  「こ、殺したのか?」

  「心配するな。まだ死んじゃいない」

  しばらくはおねんねだがな、と言う坂田。

  「俺たちを、どうするつもりだ」

  「さあ、どうしようかな」

  余裕を見せつける坂田を見て、俺は歯噛みする。

  俺の独断専行のせいで……。

  「俺たちを……殺すつもりか」

  「そうだな」

  「……」

  こちらを向いたままの銃口。

  「嘘だよ」

  しばらくの沈黙の後、坂田は口を開く。

  「殺しはしない。ただ……」

  「ただ?」

  いやらしい笑みを浮かべる坂田。

  「俺の気晴らしに付き合ってもらおうか」

  

  2

  皮ジャンと拳銃を傍らに置くと、坂田は俺のそばまでやってくる。

  ……俺を痛めつけるつもりか。

  そのぐらいは覚悟の上だ。俺は身を縮めて身構える。そんな俺に坂田は太い腕を伸ばし、顎を掴み上げた。

  「なかなかかわいらしい顔をしてるじゃねぇか」

  そう言いながらもう一方の手で俺の頬をゆっくりと撫でる。痛めつけるというよりも、品定めするような気色の悪い感触に、俺は首を振って逃れようと足掻く。

  「ど、どういうつもりだ」

  「さあ、どういうつもりなんだろうな」

  奴は手を胸元まで下ろすと、俺の着ていたYシャツを力任せに引きちぎった。

  「何しやがるっ!」

  唇を歪めたまま、坂田は答えない。そのままあらわになった俺の胸元に、手を伸ばした。太い指先が、俺の体を這い回る。

  俺は愛撫されるような指の感触に、鳥肌が立つのを感じた。

  「肌が赤くなってきた。興奮してきたみたいだな」

  こ、興奮だと……。

  俺が顔をしかめると同時に、カチャカチャと音がする。坂田は俺のベルトを外しにかかっているのだ。

  「わ、ば、馬鹿。何を……」

  すばやくベルトを外した奴は、俺のスラックスをトランクスごとずり下げる。

  「ふうん、えらく初々しい色をしてやがる。あんまり経験はないみたいだな」

  その言葉を聞いて、俺は顔が上気するのを感じた。

  確かに、俺は素人童貞だが、……いや、そんなことはどうでもいい。

  「くそ、俺を辱めるつもりか」

  「辱める?」

  俺の言葉を鼻で笑い飛ばす。

  「俺はただ、お前を楽しませてやりたいだけだよ」

  「楽しませて……まさか」

  嫌な予感が頭をよぎる。その表情を見て取ったのだろう。坂田は大きく頷いてみせる。

  「ああそうだ。刑事さんよ。俺はなぁ、年下の男が好きなんだよ。しかも筋肉質で、反抗的な男を犯すのが大好きでな」

  俺の尻を、生暖かい感触が這い回る。

  「や、やめろ!」

  「筋肉質でいいケツしてやがる。これなら締まりもいいだろうよ」

  「俺は、そんな趣味は……」

  「心配しなくてもすぐに病みつきになるさ」

  暴れようとする俺の胸元をその大きな左手で押さえつけた。それだけで、俺は身動きが取れなくなる。

  「さあて、初々しいこれを味見させてもらおうか」

  右手で俺の金玉をくすぐるように持ち上げると、縮み上がったチンポに舌を伸ばした。

  「あっ」

  「うまい逸物だ」

  「うっ、ううぅっ」

  奴はそのまま俺のチンポをぱくりと咥え込んだ。柔らかな粘膜に包まれて、俺はうめき声をあげてしまった。うねうねと動く口は、まるで何か別の生き物のようだった。

  「ちくしょうっ!」

  こんな異常な事態だというのに、俺はその感触に敏感に反応し、勃起してしまう。

  「ふうん、勃てばけっこう大きくなるじゃねえか」

  根元を掴んで口から引っこ抜いた坂田は、俺のチンポをしげしげと眺める。

  「み、見るんじゃねぇ」

  「先走り垂らしながら、生意気な口を利くんじゃねぇよ」

  せせら笑いながら奴は、俺の亀頭をざらざらと掃くような舌の動きで刺激する。特に雁の部分を念入りに、だ。

  「ぐぐぐっ」

  俺は快感にうめいてしまう。そりゃ、ここ最近忙しくて一発抜く暇もなかったのもあるが、それを除いても坂田のテクニックは尋常じゃなかった。おざなりな風俗の尺八とは全然違う。

  器用に動く舌でぐりぐり、と鈴口に侵入したかと思うと、急に口全体を使って俺の亀頭を柔らかく締め付ける。奴の口の熱が、俺のチンポに伝わっていく。そのまま密着した状態で、顔を前後に動かす。ジュポジュポと濡れた音が、俺を辱めるようだ。

  こんな丁寧な尺八なんて、今までされたことがない。

  「はぁ、はぁ」

  俺は声を抑えることが出来なかった。そんな俺を見上げてにやりと笑うと、坂田の舌は裏筋を舐め下がりながら、標的を俺の金玉へと変える。舌を伸ばして丹念に唾をまぶしつけたかと思うと、掃除機のように二つの玉を吸引し、口の中でころころとと転がす。とろけるような柔らかい舌と、鈍い痛みを与える歯との感触が、交互に俺を襲う。

  「……っぐぅ」

  「この程度のことで、これだけ反応するなんて、お前童貞か」

  その言葉とともに、奴の指先が俺の乳首を優しく摘み上げた。

  「ひうっ!」

  馬鹿な。ただ触られただけで、、思わず声を上げてしまうなんて。

  ……俺は女じゃないんだぞ。

  俺の戸惑いをあざ笑うように、快感は増大していく。

  金玉まで伝わる先走りを、今度は逆に舐めあがると、、もう一度坂田は俺のいきり勃つチンポを咥える。そのまま、丸呑みするように吸い付き、舌を絡めながら摩擦する。

  「あ、もう……」

  これ以上されると、我慢できない。

  捕まえるべき強盗に、尺八されてイクなんて……。

  「やめろ、やめてくれぇ!」

  俺の意志に反して、竿が膨れ上がるのが分かったのだろう。先ほどにも増して激しく顔を上下させる。

  「あぁ、うぅっ……イ、イッちまうぅっ!」

  俺は坂田の喉を打ち抜くように白濁液を打ち出した。

  3

  「はぁ、はぁ……」

  肩で息する俺を見下ろしながら、坂田は俺のザーメンをどろりと、自分の左掌に吐き出す。

  「どうだ、気持ちよかったか」

  「……」

  頭が真っ白になっている俺は、答えることが出来ない。

  「分かっているだろうな」

  「……何がだ」

  「これで終わりじゃないってことだ」

  「……!」

  「お楽しみはこれからだ」

  そう言うなり、ザーメンに濡れた指先を俺のケツに触れさせる。

  「まさか……」

  「お前のケツに俺の逸物をぶちこんでやる」

  「!」

  ……ケツを、ケツを掘られるのか?

  俺が息を飲む間に、尻たぶにある濡れた感触は、ぬるぬるとケツの穴まで移動する。そこで、ぴたりと指が止まった。

  「頼むっ、頼むからやめてくれぇ」

  未知の恐怖で、俺は体をよじりながら思わず奴に懇願してしまう。

  「心配するな。じきに気持ちよくなる」

  不意に、ケツの穴に鋭い痛みを感じた。何か太いものをねじ込まれたような……。

  「うぐっ、うぐぐ……」

  指だ。坂田の指が俺のケツに潜り込んでいるのだ。その感触にぞっとした俺は、なおも体をよじる。お構いなしの指先は、ケツの中で蠢く。

  「きついな。ここを触られるのは初めてか」

  当たり前だっ、と怒鳴りつけたやりたいが、ケツの異物感と痛みで、うめく事しか出来ない。

  「大丈夫だ。俺の逸物を突っ込んでもケツが裂けないようにちゃんと広げてやるからな」

  ザーメンに濡れた指先が、俺のケツの中でぐちょぐちょ、と音を立てる。

  「いやらしい音を立てやがって。ちょっとはゆるんできてるみたいだな」

  容赦なく指を二本、三本と増やしていく坂田。その度に痛みが走るが、さっきほどじゃない。それどころか……。

  「……」

  必死に表情を押し隠そうとする俺を見て、奴は笑う。

  「どうやら、気持ちよくなってきたみたいだな」

  「……ち、違う!」

  俺は必死に首を振った。

  「隠さなくてもいい。そんなに前立腺を触られるのが気持ちいいのか」

  坂田は太い指先をぐい、と曲げ、俺の感じるところを集中的に刺激した。

  「うぉぉぉぉっ!」

  今まで感じたことのない快感が俺の体を襲う。まるで下半身が痺れるようだ。

  「見てみろ、お前の逸物が、嬉しそうに勃ちあがったぞ」

  坂田の言う通りだった。俺のチンポは、ケツを弄られているというのに、恥ずかしげもなく勃起していたのだ。

  「ぼちぼちいいだろう」

  奴はじゅぽり、と音をたてて指を引き抜くと、濡れていない右手だけで器用にベルトを外し、自分のズボンをずり下げた。

  そこには、その体つきにふさわしい大きさのチンポが、いきり勃っていた。血管が浮き出たチンポはゴツゴツしていて、まうでぶっとい木の幹のようだった。

  ……あれを俺のケツにねじ込もうというのか。

  「これが、お前を女に堕とす、逸物だ。よく見とけ」

  坂田は俺に見せつけるように、左手で自分のチンポを二、三度しごく。俺のザーメンがついたどす黒いチンポは、夕日を反射してぬれぬれと光っていた。

  「や、やめてくれぇっ!」

  「往生際が悪いぞ」

  バタバタと足を動かす俺の右足を持ち上げ、もう片方の足を折りたたんだ右足で押さえつける。必然的に右半身が半分浮いた状態になった俺のケツに狙いを定め、そのでかいチンポを俺のケツ穴にあてる。そして、そのまま押し込んできた。

  「や、やめてく……ふぐぅっ、うぐぅっ!」

  初めに感じたのは、痛みより熱さだった。焼け付くような熱が、俺の体に侵入してくる。それは俺に、男と体で一つに繋がってしまったということを嫌というほど認識させた。

  「うぐぁぁあっ!」

  その熱は、徐々に痛みに取って代わられる。

  「痛いか。心配するな。すぐに気持ちよくなる。自分から入れて欲しいとねだるぐらいにな」

  奴はゆっくりと根元までチンポを入れてしまうと、動きを止めた。ドクドク、と脈打つ感触をケツで確かめていると、自分が犯されているという現実が否応なしに俺を襲ってくる。

  そして、痛みとともに快感を感じているという現実も。

  そう、俺は小さな快感の火種がケツに灯ったのを感じてしまったのだ。

  坂田はそれを分かっているのだろうか。

  「感じるのはケツだけじゃないんだぜ」

  奴は俺の体に手を伸ばす。太い指先が俺の体を這い回る。

  「あっ……、あぁっ……」

  「気持ちいいんだろ。我慢しなくてもいい。大きな声で泣きな。遅かれ早かれそうなるんだ」

  そう言うと、坂田は乳首に唇を押し当てた。

  「ひっ」

  俺は思わず声を上げる。蛭のように吸い付く唇。そこから、ちろちろと舌が踊る。

  「ほら、だんだん乳首が固くなってきた。体は正直だな。こっちも固くなってやがる」

  奴は嬉しそうに言うと、すでに完全勃起していた俺のチンポを掌でこねくり回した。

  俺は、俺はケツにチンポを突っ込まれて勃起しているのか。

  「そら、突いてやるよ」

  坂田はゆっくりと、しかし体が跳ねるほどの強烈な突きを俺のケツに加え始めた。

  「あぅっ!……あぅぅっ!」

  抜き差しされる度に、ぬちゅり、ぬちゅりと恥ずかしい音が鳴り響く。

  「おお、やっぱり初物はいいな。締まりもいいし、この肉襞の感触なんて、最高だ。名器だな、お前のケツは」

  言葉で、俺を辱めようというのか。奴は、抜き差しを続けながら俺のケツ具合のよさをいちいち説明する。確かに、その試みは当たっていた。俺は絶望感に打ちのめされ、抵抗する気持ちすらなくしてしまう。

  「うわぁっ!、うわぁっ!」

  叫ぶ俺を見て、奴は口を開く。

  「そんな大声出していいのか。そこに転がってる仲間が目を覚ますぞ」

  ……声を上げると、やまさんに見られちまう。

  俺が、男に犯されている姿を。

  「ぐぅっ」

  歯を食いしばる俺を見て、坂田は笑う。

  「急に締まりがきつくなってきたな。何だ、お前。見られると思って興奮してきたのか」

  俺は否定しようと必死に首を振るが、ぐちゅぐちゅといやらしい音はよりいっそう俺のケツから聞こえてくる。と、同時に、勃起したチンポを激しくしごかれた。

  「ぐぐっ、んぐぅっ」

  「もう限界みたいだな。俺もそろそろイキそうだ。よし、このまま種付けしてやる。いいか、いいな、……うぅ、イ、イクぞぉっ」

  「んぐぅぅぅぅぅぅっ。……イ、イグぅっ!」

  ケツの中に熱い汁が吐き出されるのを感じると、俺のチンポも白濁液を発射させた。

  工場内に、響き渡るような絶叫を上げて。

  

  じゅるり、という音とともに、ケツから坂田のチンポが引き抜かれる。

  ……やっと、終わったのか。

  4

  脱力して荒い息を吐く俺を見て、坂田は口端を引き上げた。

  「まだ、終わっちゃいねぇぜ」

  そう言うと、傍らにあった拳銃を掴んで、転がっているやまさんに向けた。

  「おい、何をするんだ」

  話が違うといきり立つ俺を無視して、奴は声を上げる。

  「意識が戻っているのは分かっているんだぜ」

  「え?」

  ……やまさん?

  「両手を上げて立つんだ。撃たれたくはないだろう」

  「……分かった」

  その言葉に、やまさんは目を開け、ゆっくりと立ち上がる。

  「い、いつから……」

  ひょっとしたら、俺は犯されているところを、一部始終見られていたということか。

  俺の疑惑の視線を、やまさんは目をそらして受け止めようとはしない。

  「なん……で」

  俺がヤラれている最中なら、たやすく坂田を取り押さえることが出来たんじゃないのか。それを、なんで……。

  「教えてやろうか」

  坂田はやまさんの代わりに、俺の疑問に答えた。

  「こいつはな、俺と同じ性癖の持ち主なんだろうよ。男好きなんだ。だから、かわいい同僚のお前が俺に犯されているのを見ても興奮しても止めることが出来なかったんだ。見てみろ、あいつの股間を。完全に勃起してるじゃねぇか」

  奴に指摘されるまでもなく、両手を挙げたやまさんの股間は、スラックスにシミを付け、大きく盛り上がっていた。

  「やまさん……」

  そんな……。

  「すまん」

  目を伏せたまま、やまさんは小さく呟いた。

  「おい、お前」

  奴は、拳銃を突き出したまま、やまさんに向かって顎をしゃくる。

  「お前、この若いのことが好きなんだろう」

  「……」

  「見りゃわかるぜ」

  「……」

  「自分の大事に思っていた男が無理やり犯られちまう。どうだ、むちゃくちゃ興奮しただろう」

  「……」

  「俺に感謝しろよ。ノンケが犯される姿なんて、そうそうお目にかかれないぜ」

  「……」

  「お前も自分の気持ちに素直になるんだな。……じゃあな」

  そう言い捨てるなり、坂田はその巨体に似合わず俊敏な動きできびすを返し、工場から走り去る。

  「やまさん、奴を追いかけてください!」

  俺は、やまさんに向かって怒鳴りつける。しかし、やまさんは動こうとはしなかった。

  「やまさん、何してるんですかっ!」

  俺の言葉に、やまさんはふらふらと夢遊病者のように足を動かした。だが、それは坂田の逃げ出した方向ではなく、拘束されている俺の方だった。

  「やまさん!」

  俺の叫びを無視したまま、やまさんは俺の体の前にひざまずく。

  「俺のことはいいから、早く……」

  そんな俺の口を封じるように、やまさんは俺に……キスをした。

  え?

  キス……された。

  その行為に、俺は呆然となる。

  恥ずかしながら素人童貞の俺は、キスなんてした事がなかったのだ。風俗じゃ、キスなんかより、下半身の火照りを何とかするほうが先だったから。

  初めてのキスが……やまさんとのキス。

  やまさんは俺の後頭部を抱え込み、俺の口の中にその分厚い舌を侵入させる。戸惑う俺の歯をこじ開けて、俺の舌と絡ませる。

  煙草の匂いが、唾液とともに流れ込んでくる。

  「う……く、くく……」

  やまさんの舌は俺の口の中を優しく掻き回し、おずおずと怯える俺の舌を引っ張り出し、自分の口に吸い込む。

  これが……キスなのか。

  やまさんは、やわやわと口の中で俺の舌を嬲った後、口を離して俺の体を痛いほど抱きしめた。そして、耳元で囁いた。

  「すまない。お前が署に来たときから、俺は……俺はお前が好きだったんだ」

  「や、やまさん」

  「こんなことが許されないのは分かっている。だが、お前があいつに犯されているのを見て、我慢できなくなったんだ。俺は鬼畜だ。ケダモノだ。罵ってくれてもいい。でも、俺はお前とヤリたいんだ」

  「やまさん、目を覚ましてくれ」

  「……俺はもう破滅だ。お前に……好きだったお前に俺の気持ちがばれちまった。もうおしまいだ。なら、せめて、せめてお前の体を……」

  「……」

  普段と違うやまさんの姿に、俺は何も言えなくなった。

  やまさんは抱きついていた体を離し、俺の乳首に舌を伸ばす。

  「あうぅっ」

  その分厚い舌で、俺の乳首を覆い尽くす。その動きは、まるで慈しむように優しかった。短くがさついた指先が、もう一方の乳首を触れるか触れないかのタッチでつまみあげる。そして、小刻みに振動を与える。同時に甘噛みされる乳首。

  「うぐっ」

  「三浦、感じやすいんだな」

  「やまさん、そんな……」

  こんなことしている場合じゃ……。

  しかし、俺はやまさんのなすがままだった。

  乳首から舌を離したやまさんは、両手で乳首を刺激しながら、体中を舐めていく。胸元から脇の下をべったりと舐め尽くすと、脇腹を味わうように舐め下がり、先走りとザーメンにまみれた俺のチンポに標的にすえる。

  「や……めてくれ。やまさん、汚ぇから……」

  「お前の体に、汚ぇとこなんてねぇよ」

  まるで動物が自分の子供の体を舐めてきれいにするように、やまさんは自分の舌で俺の股間を清めていく。

  「うっ……、ううっ……」

  「うめぇよぉ、お前の雄汁、うめぇよぉ」

  ぴちゃぴちゃと子猫がミルクを舐めるような音を聞くと、俺は懲りずに三度チンポをおっ勃ててしまう。

  「おい、お前も勃たせてるじゃねえか」

  この異常な状況に俺も興奮しちまってるのか。

  俺が勃起しているのを見て、やまさんは立ち上がって、もどかしげにスラックスをトランクスごと脱ぎ捨てる。そこには、先走りにまみれたチンポが、びくっ、びくっとしゃくりあげていた。

  ぶっといチンポだ。長さは標準サイズなんだろうが、太さは坂田よりもなお太い。そんなチンポが、天を睨むように反り返っている。

  「三浦……、しゃぶってくれるか」

  俺もどうかしちまったのだろう。

  いつの間にか、俺は何も考えられなくなっていた。

  やまさんの言う通り、俺はおずおずと舌を伸ばし、そのチンポをべろり、と舐める。

  ……塩辛い。これが、やまさんの味なのか。

  「なあ、舐めてばかりいないで咥えてくれよ」

  その言葉に俺は盲目的に従う。口をこれ以上ないほど広げ、コーヒーの缶ほどもあるチンポをなんとか咥え込む。

  「あがぁ、うががぁ……」

  「ああ……気持ちいいぞ」

  やまさんは俺の後頭部を掴み、腰を前後に揺する。ぶっといもので喉の奥を突かれ、俺は思わず咳き込む。

  「ああ、すまねえ」

  慌ててチンポを引っこ抜くやまさん。俺の唾液でテカテカ光るチンポは、なんかいやらしい。

  「おい、三浦。……お前の中に、入れるぞ」

  やまさんはどっかりと腰を下ろすと、俺の体の下に両足を潜り込ませる。仰向けになった俺のケツに、やまさんのチンポが当たっている。

  「いいな」

  そう呟くと、やまさんは俺の腰を掴み、自分の方へ引き寄せる。と、同時に自らの腰を俺のケツに押し付けていく。

  「うぅ、入って……くる」

  坂田に散々ケツを掘られた後なので、さほど痛みがなかった。それでも、その圧迫感はすごい。やまさんのぶっといチンポが俺のケツをめりめりと押し広げ、蹂躙しているのだ。

  まるでケツの穴に杭を打ち込まれているようだ。俺は身動き一つすることが出来ない。ただ、息を呑むだけだ。

  「痛くねぇか」

  やまさんの言葉に、頷くことしか出来ない。

  「そうか。じゃ、奥まで入れるぞ」

  朦朧とした頭に、やまさんの声が響いてくる。

  「え?」

  これで全部じゃないのか?

  聞き返す暇もなく、ぐいっ、と強烈な突きが俺を攻める。まるで内臓をえぐられるような衝撃に俺は思わず悲鳴をあげる。

  「うぐぁぁっ!」

  「おいおい。三浦、お前もう漏らしてるじゃねえか」

  その言葉に、俺は自分の股間を見やる。さっきやまさんが清めてくれたチンポから、じゅくじゅくと、ザーメンがあふれ出ていた。

  「突っ込まれただけで、トコロテンかよ」

  「ところ……てん?」

  俺の疑問に、やまさんは答えない。体を起こし俺を抱きかかえると、黙ったまま、抜き差しを開始する。

  ぐちゅり、ぐちゅり。

  「うわぁっ、うぐぅっ」

  初め様子を窺うようだった腰の動きは、徐々に荒々しさを増していく。それは、野獣のような激しさだった。その勢いに、俺のケツのザーメンが掻き出され、結合部が泡立つのが分かる。俺のケツがぐじゅぐじゅと濡れた音とやまさんの金玉がパンパンと尻たぶに当たる音とが、交互に鳴り響いた。

  やまさんの動きは、ただ激しいだけではなかった。腰を前後左右に回しながら、俺のケツの中を味わうように探索する。いろんな角度でケツの粘膜をこすられると、俺は女のように身悶えしてしまう。

  「そうか、そこが感じるんだな」

  俺が一番感じるところを探り当てると、反り返ったチンポでぐいぐい刺激する。

  「ああ、駄目だ。やまさん、駄目だ!」

  このままだと、自分がどうなっちまうか分からない。

  「心配するな。このまま俺に身を任せりゃいいんだ」

  額の汗をぬぐいながら、やまさんは囁きかける。

  「うぁぁぁっ!」

  気の遠くなるような快感の限界が、俺を襲う。それはやまさんも同じなのだろう。ぶっといチンポが、俺のケツの中で膨れ上がるのを感じる。

  「ああ、これでお前は俺のもんだ。誰にも、渡しゃしねぇ!」

  そう言うと、俺の体を貫き通せとばかり、太いチンポをずんっ、と押し込むやまさん。

  「イクぞぉ! いいかぁ。三浦、お前の中で、おぉぉぉぉ、イ、イクぞぉぉぉっ!」

  びしゃっ、びしゃっ!

  熱い汁は激しく撃ち出され、俺のケツを満たしていく。

  「あぁっ、うぅぅぅっ……」

  まるでその感触に押し出されるように、俺もチンポからもザーメンが吐き出されていた。

  俺は……俺はこれからどうすりゃいいんだろう。

  もう、何も考えることが出来ない。

  「やまさん……」

  俺はやまさんと唇を重ねた。