調教日誌

  1

  鈍色に光るドアノブが、かちゃり、と回された。

  ……今日も俺は陵辱されるのか。

  裸のままうずくまっていた俺は、虚ろな瞳のままゆっくりと顔を上げた。

  1ヶ月か、2ヶ月か。

  どれだけの時間が経ってしまったのだろう。

  おもちゃのようにもてあそばれることだけで毎日を過ごしていた俺の頭は、すでに思考することを放棄していた。

  助けが来ることもないのだろう。

  ここから救出されるという希望を俺はすでに持っていなかった。

  身近にいる人間は、みな俺のことを嫌っていた。

  高校の教師も、クラスメイトたちも。

  両親でさえも、今頃俺がいなくなってせいせいしているはずだ。

  警察にも、捜索願は出されていないのかもしれない。

  ……銀太。

  ただ一人、俺のことを慕ってくれていた犬獣人の後輩のことが頭をよぎる。

  ……あいつも俺のことを軽蔑しているのだろうか。

  自分の惨めさに耐えられなくて、舌を噛み切ろうと思ったこともあった。だが、どうしても死ぬことは出来なかった。

  死なないことが俺の最後の抵抗だと思ったからだ。

  たとえ刹那的な快楽に狂わされたとしても、体は従わされても、心まではあいつに屈服したくない。

  その意地だけで俺はこの地獄を耐え忍んできたのだ。

  ぎしぎしと、きしんだ音を立てながら鉄製の扉は開かれた。

  せめてもの意思を示そうと、俺は扉の向こうにいるはずのあいつを睨みつける。

  しかし。

  しかし、そこにいるのはいつものあの白い巨躯ではなかった。

  もう、何年も会っていないかのように思える、小柄な後輩。

  グレーがかった体毛を持つ、俺より非力で、でも俺よりずっと賢い犬獣人。

  銀太だ。

  そこに、銀太がいた。

  「先輩っ!」

  涙目になりながら、はち切れんばかりに尻尾を振って、銀太は部屋の中に飛び込んできた。

  「お前……どうして……」

  「ずっと、ずっと探してたんですよ。先輩が急にいなくなるはずなんて、俺に黙っていなくなるはずなんてないから」

  首輪を鎖で繋がれた俺に、銀太はしがみついた。

  あれだけ毎日陵辱されて、羞恥心なんてものはもう俺の心には残っていないと思っていたのに、この裸の体を銀太に抱きしめられると、恥ずかしさを感じてしまう。

  でも、これが本当なんだ。

  俺は、当たり前に恥ずかしさを感じることが出来る、まっとうな世界に戻ることが出来るんだ。

  「今、鎖をはずしますから」

  涙をぬぐった銀太は、何気に男気を見せて、自分の羽織っていた小さな学ランを脱いで、俺の体にかけてくれた。

  そして、用意周到にも抱えてきた工具箱を開くと、金属用の鋸を取り出す。

  俺はたよれる後輩を見ながら、これまでの日々を思い返していた。

  2

  俺が初めてあの男に遭遇したのは、夏の暑い日だった。

  その日、俺はいつものように、他校の不良連中に近所の川原まで呼び出されていた。

  獰猛といわれる虎獣人、しかも高校生にしちゃ人並みはずれて体格のいい俺は、周りの奴らから目を付けられることが多かった。

  俺も相手にしなければよかったんだろう。

  だが、生来の性分で、突っかかってくる連中を叩きのめしていたら、いつの間にか俺自身も不良のレッテルを貼られ、番長と呼ばれるようになってしまったのだ。

  「この人数相手に、どうにかなると思ってるのかよ」

  「土下座して謝るなら許してやらねえ事もないんだぞ」

  周りを取り囲む8人の不良を見て、俺はため息をつく。

  どうしてこんなことになったんだろう。

  俺は普通の学生生活が送れたらそれでよかったのに。

  教師にも嫌われ、クラスメイトは怖がって近寄らないし、おまけに最近は両親まで腫れ物に触るように扱ってきやがる。

  それでも。

  「数集めて何とかなるなんて思ってる卑怯な連中に、負けるわけにはいかないだろうが」

  

  お決まりのやり取りの後、殴りかかってくる輩をひたすらちぎっては投げ、ちぎっては投げ。

  十数分の乱闘の後、結局その場に立っているのは俺一人だった。

  それでも、さすがに多勢に無勢で、体のあちらこちらに痛みを感じる。

  学生服の内側は、痣だらけになっているに違いない。

  「やれやれ」

  俺は土にまみれた白い学生帽を地面から取り上げると、軽くはたいて頭の上に乗せる。

  いつまでこんなことが続くんだろう。

  そんなことを考えながら、視線を感じた俺はふと顔を上げる。

  土手上から、こちらを眺めている男。

  それは、見覚えのない白熊獣人の姿だった。

  仕事帰りなのか、土方の作業着を身に着けたその男は、見ているこちらが眉をひそめるほど、異形の容姿でたたずんでいる。

  2メートルはあるだろう、まるで巌のような体。元は真っ白だったのだろうが、薄汚れて黄ばんだ体毛。服の間から見える赤黒いひきつれ。無数の傷跡が、体中を走っているのだ。

  その傷跡は顔にまで及んでいた。頬には刃物で切られたような跡があり、ところどころ毛がなく地肌が現れている。

  堅気ではないと思わせる風貌だった。

  事実、その容貌に彼の周辺を通る人たちはみな、薄気味悪そうに男を避けて歩いていた。

  だが、本当に尋常でないのは、その眼差し。

  瞳の奥には、隠すことなく狂気じみた光があった。

  その瞳が、まっすぐにこちらに向いている。

  ……関わり合いを持つべきじゃない。

  普段の俺なら、きっとそう判断しただろう。すぐにでも目をそらしたに違いない。しかし、喧嘩のあとの高揚感が腹の中に燻っていたせいか、俺は虚勢を張ってその目を睨みつけてしまった。

  引くに引けないままの無言の対峙。

  視線を交わしたのはほんの数秒だろうが、俺にとっては何十倍もの長さに感じられる威圧感だった。

  と、

  「先輩っ!」

  そんな、いつまで続くか分からない対峙を中断させてくれた、聞きなれた声。

  それは、こちらにむかってしゃにむに駆けて来る後輩のものだった。

  「……おお、銀太か」

  俺は幾分ほっとしながら男から眼を離すと、後輩に向き直る。

  「ひどいじゃないですか、黙って行くなんて」

  俺の目の前まで来ると、かがみこんで、はぁはぁと大きく息を吐く。

  少年といってもいいほどの体躯の犬獣人。

  こいつは、俺の一つ下の後輩である、坂上銀太だ。

  別に不良でもない、むしろ学校では優等生で通っている彼は、周りが誰も俺のことを煙たがっている中、なぜかただ一人、俺を慕っていてくれている。

  「馬鹿、お前が来たって足手まといだろうが」

  「そんなことないですよ」

  俺の言葉に、ふくれっ面を見せる。

  いつもそっけない態度を取るが、本当は心の底から銀太に感謝をしているのだ。

  こいつだけが、こいつだけが本当の俺を見ていてくれるから。

  「俺だって、先輩の役に立てるんですから」

  「心配しなくても、この程度の連中にどうかされるほど弱くねぇよ」

  ガキにするように銀太の頭の上に手をぽんぽんと置いてやる。

  「また、子ども扱いして」

  「まあ、そう言うな。帰りにアイスでもおごってやるからよ」

  「そんな言葉でごまかさないでくださいよ」

  そういいながらも、知らず知らずのうちに尻尾がぴょこぴょこ動いていることに、銀太は気づいてないのだろう。

  「わかったわかった。ジュースもつけてやるからよ」

  ガキのように頭を撫でてやりながら、俺達は土手を上がった。

  途中、土手の上からこちらを見つめる白熊獣人と再び視線が重なる。

  その瞬間、にやり、と男が笑った気がした。

  数日後、不良だなんて偏見を受けながらも平和だった俺の日常は、唐突に終わりを告げることになる。

  2

  「目が覚めたか」

  野太い声が、俺の耳に刺さった。

  薄暗い暗闇。

  俺は目を凝らす。

  唯一の光源は小さな格子窓からわずかに差し込む夕日だが、虎獣人である俺の目には、その部屋の様子が真昼のようにはっきり見えた。

  コンクリートだけで作られた、寒々するような小さな部屋あるのは、設置されている金属製の洋式便所と、使い古された毛布だけ。

  壁には、何かを固定するような金具が、あちこちに打ち付けられていた。

  まるで、刑務所のような部屋。

  そして……

  じゃらり。

  身を起こした俺の体を冷たく拘束する鎖。

  まるで奴隷のように首にはめられた首輪には、太い鎖が繋がれていた。

  絶望的なほどに太いその鎖は、部屋の隅にある鉄杭に溶接されている。

  「なんだ、ここは。どうして、俺はこんなところに……」

  立ち上がろうとするものの、バランスを崩して倒れてしまう。拘束されているのは首だけではない。両腕もだ。手錠のようなものに縛られている。

  ……そうだ。夕方、学校の帰り道。銀太と別れて、ひと気のない裏通りを一人で歩いていたんだ。不意に後ろに人の気配を感じて、振り返ろうとした途端、体に電気が走って……。

  「スタンガンを押し付けて、身動きの出来なくなったおめぇを拉致したんだよ」

  ……拉致?

  淡々と口にする男の声に、誠一郎は聞き覚えがなかった。

  だが、顔を上げてその顔を見た瞬間、思い出す。

  数日前、土手の上から自分を眺めていた狂気じみた白熊獣人のことを。

  そんな男が、なぜ俺を……。

  「あんた、誰だ」

  「俺の名前など、どうでもいいだろう。誠一郎君よぉ」

  自分の名前を呼ばれたことに気づき、俺は眉をひそめる。

  「中村誠一郎。17歳。虎獣人。身長180センチ。体重85キロ。塞翁高校2年。父親と母親との3人家族、か。仲は悪いみたいだな。両親とも、おめぇを不良と思って毛嫌いしている。学校でもそうか。番長なんて呼ばれてるぐらいだからな。教師も同級生もおめぇのことをよくは思っていないようだ。友人と呼べるのは、後輩の犬獣人である坂上銀太ぐらいのものか」

  まるで調査書を読み上げるような言葉の内容は、すべて正しかった。

  ……しかし、そこまで調べているなら、なぜ俺を誘拐するようなことをするんだ。

  俺の家は裕福な家庭でもないし、第一身代金など要求したところで、あの親が支払ってくれるかどうか。

  「何が、目的なんだ」

  俺は、その男を睨みつける。

  だが、熊獣人はうっすらと笑みを浮かべるだけだった。

  「そう、その目だ」

  「?」

  「そういう目をする男を俺は求めているんだ」

  「……?」

  「おめぇみたいにガタイがよくて、いきがってるかわいい奴を、素直になるように教育してやるのが、俺の趣味なんだよ」

  「何を……言ってるんだ」

  俺には、男の考えがまったく理解できなかった。

  「わからねえのか。俺はおめぇが好きだと言ってるんだ」

  「……!」

  「だから俺好みに調教してやる。牙を抜いて、淫らに尻を振る女に堕としてやると言ってるんだ」

  首輪を掴んだ熊獣人は、俺を無理やりに立ち上がらせる。

  「ば、馬鹿なこと言うな! 誰がお前なんかに……」

  白熊は、俺にみなまで言わせなかった。叫ぶ俺の口に、自らの唇を押し付けたのだ。

  「っ!」

  生まれて初めて唇に感じる温かさ。驚いて身動きが取れない俺をいいことに、ぬめぬめと蠢く熊の舌は、唇をこじ開け、口腔内を舐めまわす。

  煙草の匂いのする唾液が、俺の口に広がっていく。

  「ん、んんっ……」

  好きでもない、しかも男にキスをされているという現実。

  背筋に氷を突っ込まれたような寒気を感じながら、なんとか抗おうと俺は体をよじる。しかし、それを意にも介さず、男の舌は俺の口を蹂躙していく。

  「んんっ!」

  男の行為に耐えられなくなった俺は、奴の舌に噛み付いてやろうと、歯に力を入れる。

  その時だった。

  「っが!」

  まるでグローブのような太い掌が、俺の顎を握り締める。

  「あっ、ががっ」

  強い力で押さえつけられた顎は、ピクリとも動かすことが出来ない。むしろ、俺の思いとは裏腹に、重ね合わせるはずの歯は、指の力でゆっくりと開かれてしまった。

  男は、苦痛でうめく姿に目もやらず、ゆっくりと俺の口を味わう。怯えたように縮こまった舌を無理やり引きずり出すと、もてあそぶようにぬちゃぬちゃと舌を絡め、大量の唾液を流し込む。

  身動きすることも出来ず、ただそれを飲み込むしかない俺の姿を、一度口を離して満足そうに見つめると、また飽きずに唇を重ねる。

  舌先で歯の一本一本を確かめるように探索すると、鋭い牙にたっぷりと唾液をなすりつける。その征服感に満足することなく、今度は俺の舌を自らの口の中まで引っ張り込むと、口の粘膜全体でその舌を味わう。

  痛みから手向かうことが出来ない俺は、熊獣人の為すがままになることしか出来なかった。

  男にとっては至福の、そして俺にとっては地獄の責め苦のような時間は、たっぷり10分も続いただろうか。

  満足した男が、顎から手を離すと、俺はへたり込むようにその場にしゃがみこむことしかできなかった。

  「うめぇキスだったぜ」

  「……」

  奴の言葉に、俺は、言葉を返すこともできない。

  「うぶな感じがたまらねぇな。おめぇ、キスすんの初めてだったんじゃねぇのか」

  その言葉に、俺の顔が赤く染まる。

  「う、うるせぇっ!」

  それでは男の言葉を認めているようなものなのだが、俺には、そんなことを考える余裕もなかった。

  「そんないいガタイして、ネンネとはな。こら、いい拾い物したぜ」

  白熊は笑いながらそう言うと、俺の拘束された両腕を掴む。そして、軽々と俺の体を持ち上げると、その腕を壁に打ちつけられていた金具に固定した。

  まるで、荷物を壁にかけるように、俺の体は吊るされてしまう。

  「な、何をすんだ!」

  「ご褒美をくれてやろうじゃねえか。気持ちよくしてやるよ」

  奴は笑いながら俺の学ランに手をかける。

  「や、やめろっ!」

  その言葉の意図を完全に理解できないまま、俺は唯一自由な脚をばたつかせて抗った。

  しかし男は、俺の蹴りを蚊に刺されたほどにも気にしない。

  そのまま腕に力を入れる。

  ばりっ。

  いったい、どれだけの力を持っているのか、その腕は分厚い制服をまるで新聞紙のように引き裂いていた。

  さして抵抗らしい抵抗が出来ないまま、俺の上半身は丸裸にされてしまう。

  「やっぱりいいガタイしてやがるな」

  まるで値踏みするように俺の体に手を触れた。

  豆だらけの指先は、この粗暴な男に似つかわしくないほど優しく動いていく。

  「よく鍛えられてるな。張りのある筋肉だ」

  裸にされた胸や腹の筋肉を、じっくり手で触り確認すると、それに満足したのか、今度はベルトに手をかける。

  「さて、次は下半身を拝ませてもらうか」

  「……!」

  その言葉に、俺ははじかれたように体を動かし抗った。

  今まで以上に暴れて、熊を突き放そうとあがく。

  「何だ、急に。いいだろうが」

  「嫌だっ! 絶対に嫌だっ!」

  「そんなに暴れなくとも、痛い目に遭わせたりしねぇよ」

  急に激しく暴れ出した俺に首をかしげながらも、熊は動きを止めない。

  「やめろっ、やめろぉっ!」

  「男同士なんだ、そんなに恥ずかしがることはねぇだろう」

  大きく体を揺らし、必死で抗おうとする俺をよしよしと子供のようになだめながら、ベルトを緩めた熊は、ズボンとトランクスとを同時に引きずりおろした。

  「見るな、見るなぁっ!」

  「……」

  悲痛な叫びに耳も貸さず、男はまじまじと俺の股間を眺める。

  そこにあるのは、皮に覆われ、小さく縮こまったままの逸物。

  それは、誰にも知られたくない、俺のコンプレックスだった。

  「おいおい、体はデカイってのに、こっちは成長不全かよ」

  からかうような熊獣人の言葉に、俺は何も言い返せない。

  ……誰にも、見られたことなかったのに。

  恥ずかしさで、いつも以上に縮んでいるのがわかる。

  「包茎だし、小せぇし。小学生のチンコだって、もう少しましじゃねえか」

  「うぅ……」

  そんな嬲るような熊の言葉に、俺はうめくだけ。

  「もうちょっといいもんが見れると思ったのによ。高校生にもなってこんなんじゃ女にだって見せられねぇだろうよ」

  悔しいが、その通りだった。

  体格がいいだけに、余計にアンバランスで小さく見えてしまうのだ。

  「……」

  俺は俯くことしかできない。

  そんな俺の股間に手を伸ばした熊は、小さな逸物をつまむ。その巨大な掌と比較すると、あまりにも小さく見える。

  「俺の小指ほどもねぇじゃねか」

  「……」

  奴はしゃがみこむとまじまじと俺のチンポを見つめる。

  「おい。これ、皮は剥けるのか」

  男は指先でつまみあげると、軽く皮を根元に押しやった。

  つるん、とたいした抵抗もないまま、桃色の亀頭が姿を現す。

  「ふぅん、剥けるのは剥けるんだな」

  「あぁっ」

  普段皮に埋もれている亀頭は、刺激に弱いせいか、剥き出しにされるだけでひりひりするように感じてしまう。

  「ちゃんと綺麗には洗ってるみたいだな」

  「うぅっ」

  白熊の生温かい息が、敏感な亀頭に吐きかけられるだけで、チンポがむずむずとしてしまう。

  「おい、お前。感じてんじゃないのか」

  俺の変化を感じ取ったのか、熊獣人は俺の顔をいやらしい顔つきで見上げた。

  「そんなっ」

  「ほら、少しずつ勃ってきやがった」

  熊が俺のチンポを上下に擦る。

  「あぁっ」

  例え相手が男だとしても、人に触られる感触は初めての俺は、快感にうめいてしまう。

  「男相手に勃起するなんざ、おめぇも相当な変態だな」

  「ちがっ、違うっ! 俺は……」

  慌てて否定するが、初々しい色をした俺のチンポは、男の言うとおり、ほんの少しの刺激ですでにいきり勃たせていた。

  「しょうがねえなあ」

  熊はぼやくように言うと、吊るされた俺の股間に顔を寄せる。

  「何を……んんっ!」

  男は、いきり勃った俺のそれを咥え込んだのだ。

  「あぁっ」

  まるで電気が走ったかのように、俺は体を仰け反らせる。

  もちろん、女も抱いたことがなければ、尺八もされたことがない。

  そんな俺にとって、この熊獣人の舌は、刺激が強すぎた。

  「はぁっ!」

  俺の亀頭に男の舌がねっとりと絡まる。口の中の熱が、溶け込むように俺のチンポに伝わっていく。

  男の口に出すまいと俺は我慢するが、すぐに限界が訪れる。

  「ああっ、でるぅっ!」

  男の口の中で、俺のチンポが勢いよくしゃくりあげるのが分かった。

  びしゃっ、びしゃっと、激しく何度もザーメンを吐き出し続ける。

  白熊はそれを当然のように喉の奥に流し込んだ。

  「くそぅっ、くそぅっ……」

  荒い息を吐きながら呆然とする俺を見て、男は笑みを浮かべる。

  「初物はやっぱりいいもんだな」

  奴は笑いながらそう言うと立ち上がり、壁に固定された俺の体をどさりと地面に下ろす。

  「これから長い付き合いになるんだ、仲良くしようぜ」

  そう言うと、男は俺の手錠を外した。

  ……何のつもりだ。

  急に自由になった両手を見つめて、俺は一瞬呆然とする。

  「調教のとき以外は、手錠は外してやるよ。窮屈だろうからな」

  余裕のつもりか。それとも、俺が大人しく従うとでも思っているのだろうか。

  ……舐められている。

  しかし、相手にどういう意図があろうと、これはチャンスだ。

  ガキでも舐めたら痛い目にあうということを思い知らせてやる!

  「ほら、いつまでもへたりこんでんじゃねぇよ」

  俺は男の言葉に従うように、何も言わずゆっくりと立ち上がる。

  そして、次の瞬間、拳を握り締めると、目の前の熊獣人に殴りかかった。

  渾身の力で拳を男の腹に叩き込む。

  ばちっ!

  分厚いタイヤを殴りつけたような音が、部屋中に響く。

  「……痛ぅ」

  確かに、その拳は男の腹にめり込んだ。

  しかし、痛みに声を上げたのは、熊獣人ではなく、俺のほうだった。

  奴は何もしていない。ただ、俺の拳を腹で受けただけだ。

  それでも、鍛えられた肉体は、一切の痛痒を感じるどころか、殴りかかった俺の方に痛みを感じさせてしまったのだ。

  「かわいいやつだなぁ」

  男は、呆然とした俺の顔を見ると狂的な笑顔を見せる。

  「いいよ、そういう鼻っ柱が強い奴が大好きなんだよ、俺ぁ」

  「……」

  「でもなぁ、おめぇみたいなガキに何されたって毛ほども感じねぇんだ。残念ながら」

  熊は俺の胸倉を掴むと、思いっきり壁に叩きつける。

  「ぐぅっ!」

  内臓が歪むような衝撃。

  俺は痛みに耐えかねて、その場にうずくまる。そんな姿を見て、男はせせら笑う。

  「どうもおしおきが必要なようだな」

  息が出来ないままの俺を地面に押し倒すと、男は身に着けた作業着を脱いでいった。

  「今日は勘弁してやろうと思ったが」

  服を一枚ずつ脱いでいくごとに、薄汚れた白い体毛に覆われた巨躯からは、むっとするような男の匂いがあふれだす。

  「ちぃとばかり、痛い目にあってもらおうか」

  全ての服を取り払うと、それに巌のような体にふさわしい、狂気のようなサイズのチンポが、よだれをたらしながらそそり勃っていた。

  「ほれ、こいつをお前のケツ穴にぶちこんでやるよ」

  ……あんなものがケツに入るわけない。

  俺は、自分のチンポとのあまりの違いに、言葉も出せなかった。

  俺のとは違ってちゃんと剥けている亀頭は、使い込まれているせいか赤黒くてかてか光っていた。褐色の竿にはツタのような血管がグロテスクなほどはりめぐらされている。

  俺は、初めて見る大人の勃起したチンポに息を呑む。

  太さも長さも、俺のとは段違いだ。

  「抵抗したきゃ、いくらしてもいいんだぞ。その方が調教する楽しみが増えるってもんだ」

  そう言うなり、男は俺の体を仰向けにし、両足を担ぎ上げる。

  「そんなの、入るわけ……」

  そして、ぶっといチンポを俺のケツに押し付ける。

  先走りのぬるぬるした感触、鋼鉄のような堅さと、火傷しそうに熱い熱がケツから伝わってきて、俺は怯えた。

  俺は胸の痛みをこらえてその場から逃れようとするが、押さえつけられた俺の体は、身動きが取れないままだ。

  じたばたすることしかできない。

  「うれしいだろう。童貞喪失より先に、処女喪失出来るなんてよぉ」

  容赦なくケツに押し付けられたチンポの圧力がだんだん強くなってくる。

  「ぐぁぁあっ!」

  引き裂かれるような痛みが、俺の体を走った。

  ついに、俺のケツに亀頭の先端が潜り込んだのだ。

  「観念して力抜かねぇと、ケツぶっ壊れちまうぞ」

  もう、選択肢はなかった。

  俺は、熊獣人の言うとおり、ひたすら意識をそらし、ケツから力を抜こうと努力する。

  自分から男を受け入れる行動を取っているという羞恥心に、身を焼かれながら。

  「おお、うまいうまい。いい具合だぞ」

  俺が素直になったのに気が付いたのか、男はうれしそうに笑いながら、ゆっくりと腰を入れてくる。

  徐々に男が俺の中に侵入してくるのが、目にしなくても分かった。

  「あっ、がっ……」

  まるで体の中央を杭で貫かれているような痛みに、俺は目をきつく瞑り、掌に爪を立てて握り締めた。

  「かわいい顔だ」

  熊は、体を傾けると、俺の唇に舌を這わした。俺は痛みから気をそらすためにその舌を受け入れる。

  先ほどよりも濃厚なキス。

  俺は積極的に男と舌を絡める。何も考えられないまま、流し込まれた唾液をまるで甘露でも与えられているかのようにひたすら啜る。

  その間も、男の腰は少しずつ進んでいく。

  じゃり。

  やがて、俺のケツに、熊獣人の股間の体毛が押し付けられたとき、俺の体が男のすべてを呑みこんだことを悟った。

  「ほら、根元までずっぷり入っちまったぞ」

  男はゆっくりとチンポを抜き差しする。

  くちゅり、くちゅり。

  「くぅっ!」

  男のチンポに絡みついたケツの襞がこすられるたび、痛みを生み出す。

  男はそれを知ってか知らず抜き差しのスピードをゆるめようとはしない。

  「おお、しまりがいいぜぇ。喰い千切られそうだ」

  それどころか、顔をほころばせる男の腰使いが徐々に早くなる。

  歯を食いしばって耐える俺。

  「もっとこのケツマンコを堪能したいところだが、今日はこのぐらいで勘弁してやるよ」

  俺の体がずりあがっていくほど激しいピストン運動を繰り返していた男が、荒い息を吐きながら言い放つ。

  男のチンポは今まで以上に膨れ上がっているようだった。

  ……まさか。

  「おめぇに種付けしてやるよ」

  その言葉に、俺ははっ、と気づかされる。

  ……俺は今、何をされているのだ。

  痛みに耐えるだけで精一杯だったが、俺がされているのは……

  ……男の俺が、男に犯されている。

  「……い、いやだぁっ!」

  ……それだけは。

  俺は思い出したように必死に暴れた。ひたすら男から逃れようと身をよじった。

  しかし、その行為は何の効果もない。むしろ、男を喜ばせるだけだった。

  興奮した熊獣人は俺を押さえつけながら、より腰の動きを激しく動かす。

  「よし、おめぇのケツマンコにぶっ放してやるよ。おめぇが孕むぐれぇ濃い種汁をよぉ」

  「たのむ、たのむ、やめてくれぇっ!」

  俺が叫んだと同時だった。

  どくっ、どくっ。

  ケツの中に男の汁が吐き出されたのは。

  激しく撃ち出されたそれが、俺のケツの奥にまで広がっていくのが感じられた。

  ……男に、犯された。

  心の中の大事なものが打ち砕かれてしまったような気がした。

  「あ、あぁ……」

  呆然と脱力する俺。

  そんな俺の体を離すと、満足そうな笑みを浮かべ、熊獣人は手早く身支度を整えた。

  「なかなか、よかったぜ。続きはまた明日だ。しっかり抵抗して、なるべく俺を楽しませてくれよ」

  ばたん、と鉄製のドアが閉じられる。

  すっかり暗くなった部屋に、俺は一人取り残される。

  ……俺は、俺は女にされちまった。

  ケツに手をやると、赤い血とともに、逆流した白濁液が黄色い毛にべったりとついている。

  「ちくしょう、ちくしょう」

  歯を食いしばり、俺は涙をこらえながら、コンクリートの床を殴り続けた。

  3

  それ以降、熊獣人の陵辱は毎日続いた。

  俺は力の限り抵抗したが、それは何の意味も持たなかった。むしろ、あいつの嗜虐性に拍車をかけただけだった。

  それでも、俺は抗うことをやめることが出来なかった。

  なぜなら、自分の体が変わっていくのが怖かったから。

  あいつにもてあそばれるうちに、俺の体は少しずつ感じやすくなっていた。

  執拗に愛撫を繰り返されるうちに、あのごつごつした指が体に触れられるだけで快感が体を走るようになったのだ。

  それだけじゃない。ケツが痛みに慣れ始めた頃から、少しずつケツの奥から気持ちよさが滲み出してくることを理解してしまった。

  それはほんのわずかな快感でしかなかったが、そのことに気づいた俺は唖然とした。

  まるで、自分が自分でなくなってしまったようで。

  殴られようが蹴られようが、今まで怖いなんて思ったことは、ただの一度もなかったのに、自分の体が女に変わっていくようなこの変化だけは恐ろしかった。

  手向かう俺を鎖で縛り付け、両手を手錠で拘束すると、その日も熊獣人は俺をもてあそぶ。

  優しく乳首をつまみ、体中に舌を這わした。

  「ああっ」

  まるで恋人同士のような愛撫に、開発されてしまった俺の体は我慢できないのだ。

  「どうだ、気持ちいいんだろう」

  ケツにチンポを突っ込まれたまま、なんとか声を殺そうとする俺を見て、奴は見透かしたように言う。

  そんな男は、俺は睨みつける。

  体は抵抗できなくても、せめて心だけは。

  その手向かう気持ちが、熊を喜ばすだけだとわかっていても、俺にはやめることが出来なかった。

  きっと、そのうち助けが来るに違いない。

  それまでの辛抱だ。こんな男に屈してたまるもんか。

  そんな俺の意気込みを、知ってか知らずか、男は鼻で笑う。

  「今日は趣向を変えてみようか」

  男はそう言うと、俺のケツからぶっといチンポを引き抜いた。

  「うぐっ」

  思わず声を漏らす俺を見向きもせず、熊獣人は脱ぎ捨てた作業着の中から、液体の入った小瓶を取り出す。

  「な、なんだそれは」

  「おめぇを気持ちよくしてくれる薬さ」

  熊男はうっすらと笑うと、小瓶のふたを開け、人差し指をビンの液に浸した。

  そしてその指先を俺のケツにあてがう。

  「しかしおめぇのケツもすっかりガバガバになっちまったな。あんなにきつかったってのに、指ぐれぇならすぐにでも呑み込じまう」

  俺を赤面させるように言うと、男は人差し指を俺のケツに押し込む。そして、液体をなじませるように、丹念にケツ襞にこすり付けていく。

  「んくっ」

  いつもと違う感覚に、俺はうめいた。

  「ケツが……熱い」

  粘膜から吸収してしまったのか。浸み込んだ液体が、まるでケツの中で熱を放っているように感じる。

  その熱さに歯を食いしばって耐えていると、徐々にケツの奥がじんじんと疼いてくるのだ。

  「あっ」

  頭がぼんやりとしてくる。というよりも、ケツに意識が集中して、何も考えられなくなっていくようだ。

  「感じるのはケツだけじゃないんだぜ」

  そう言うと、男は指先を俺の体に這わせる。

  「ひぐぅっ」

  男の言うとおりだった。今までとは違う、尋常でないほどの気持ちよさが、俺の体を襲ってくる。

  「やめて……くれぇっ」

  頭が……おかしくなってしまう。

  「気持ちいいんだろ。我慢しなくてもいい。大きな声で泣きな。遅かれ早かれ、そうなっちまうんだから」

  そう言うと、男はもう一度俺のケツにチンポを押し当てる。

  「おお、おめぇのケツマンコが喜んでやがるぜ」

  ……くそう。俺のケツが……チンポを迎え入れようと……ひくついている。

  「ほれっ」

  ずぶり、と奴のチンポを突き立てられた瞬間だった。

  「あ、あああぁっ」

  思わず、女のような声を上げてしまう。

  ……気持ちがいい。

  体全体に、とろけるような快感が走ったのだ。

  さっきまでとはまったく異なる強い刺激。

  「気持ちいいのはケツだけじゃねぇんだぜ」

  熊は俺の乳首に舌先で触れた。

  「ひっ」

  俺は思わず声を上げる。蛭のように吸い付く唇。そこから、ちろちろと舌が踊る。

  普段どおりの愛撫のはずなのに。

  「ほら、体は正直だな。こっちも固くなっていやがる」

  男は嬉しそうに言うと、俺の股間に手を伸ばす。

  そこには、勃起してしまった俺のチンポがあった。

  ……そんな。

  ケツを掘られながら勃起するなんて。

  俺は、もう自分の体が信じられなかった。

  白熊はいつもより強いストロークでケツ穴を穿ちながら、10本の指を俺の肌の上で蠢かせる。

  「どうだ、気持ちいいだろうが」

  ……もう、辛抱できない。

  限界だった。

  俺は、口を開く。

  「ああ……いい。気持ち、いいっ!」

  どれだけ攻められても、口をつぐんで我慢していたその言葉が、ついに口から出たのだ。

  「ああっ、ああっ……すげぇ、すげぇよ。ケツがとろけちまうっ!」

  一度せきを切ってしまった言葉は、とめどなく俺の口からあふれ出した。

  「ああ、感じちまう。ケツも乳首も、体中が気持ちいいよぉっ!」

  声を出せば出すほど、開放されるように快感が増していく。

  俺は口からよだれをこぼしながら、呆けたように体中で快楽をむさぼる。

  「堕ちたな」

  熊獣人は、満足そうに一人頷くと、腰を振りながら、携帯電話を取り出し、カメラのレンズをこちらに向けた。

  ぱしゃり、ぱしゃり。

  その音がどういう意味を持つかわかるはずなのに、俺には頓着する余裕すらなかった。

  浅ましい姿をさらけ出して、もっともっとと熊獣人に懇願するのみ。

  「どうだ、もうイキそうだろうが」

  俺の一番感じるところが分かるのだろう。ぶっといチンポで俺の金玉の裏当たりをゴリゴリと掘りぬいていく。

  いつもならかすかな快感を感じるだけですむそこが、爆発的な刺激を俺に与えてくれる。

  「ああ、もう、イ、イクゥっ」

  そう叫んだ瞬間だった。

  不意に、奴は、俺のケツからチンポを引き抜いた。

  「な、なんで……」

  突然の喪失感に、俺は身悶えしてしまう。

  「馬鹿野郎が。自分ばかり楽しんでるんじゃねぇよ」

  「ああ、……ください」

  もう、自分が何を言っているのかわからない。

  「チンポ、ください」

  「嫌だね」

  奴はそう言うと、俺に見せ付けるようにそのチンポをさらす。

  「俺にください。ぶっといチンポ、ください」

  俺は縛り付けられた体を少しでも前のめりにし、そのチンポに近づこうともがく。

  「嫌だね。気持ちよくなりたきゃ、自分でやりな」

  そう言うと、男は俺を拘束していた鎖と手錠を解き放つ。

  両手が自由になったのだ。普段なら、敵わないと分かっていても俺は熊獣人に殴りかかっていたはずだろう。

  だが、その時の俺はその拳を開くと、震える指先をケツに触れさせてしまう。

  ぐちゅり。

  その蕩けそうに熱い感触は、自分の体とは思えないほど容易に俺の指先を受け入れた。

  もう、自分が何をしているのか分からない。ただ、気持ちよさだけを追い求めて自分の指が動く。

  「ああ、すげぇ、気持ちいい」

  ……ちょっとでも奥へ。

  ……気持ちいいところまで。

  俺はもう一方の手で乳首をつねりながら、一心不乱にケツをいじる。

  男はそんな俺を見つめながら、自らのチンポをしごき始める。

  「くっ、イクぞ。おめぇにぶっかっけてやるからなっ!」

  男がそう言った途端、俺の目の前で、ザーメンが弾けた。

  ばしゃっばしゃっ、と弾けるように吐き出される白濁液は、俺の体にシャワーのように降りかかる。

  大量の精液は、まるで薄汚れた白熊の体毛のように黄ばんでいた。

  俺は無意識のまま、唇についたザーメンを舐め取る。

  それは、濃い男の味がした。

  「ふぅ」

  男は小さく息をつくと、白く染まった俺の体を、もう一度携帯電話で撮影し始める。

  ……撮られている。

  数日前、あれだけ裸を見られることですら拒んだというのに、今の俺は、写真に撮られていることに、まったく抵抗しなかった。

  皮かむりの小さなチンポをおっ勃てたまま、ケツと乳首をいじっている浅ましい姿を写真にとられながら、俺はただただイクことしか考えられなかったのだ。

  ひたすらケツを掻き回し、ついに絶頂にたどり着く。

  「ああっ、もうっ、イクゥゥゥゥゥゥっ!」

  俺は雄叫びを上げながら、その小さなホースから考えられないほど大量の精液を発射した。

  自分の黄色い毛皮を真っ白に染め抜く勢いで、何度も何度も射精を続けた。

  そして、力尽きて、その場に崩れ落ちた。

  「はぁ、はぁ」

  指一本動かすことが辛いほどの疲労感が俺を襲う。

  それと共に、極端なほど冷静な思考が俺の頭に戻ってくる。

  ……なんていうことを。

  いくら薬を使われたとはいえ、自分からケツまでいじって、イッてしまうなんて。

  こらえ切れないほどの後悔の念が俺を襲う。

  ……俺は、くずだ。

  「うぅ……」

  ただ、うめくのみの俺に向かって、奴は言う。

  「なかなかいい写真を撮らせてもらった」

  その言葉に、俺は重たい頭を上げる。

  ……写真?

  「これはプリントアウトして、お前の高校にばらまいてやるよ」

  「なっ……」

  教師が、同級生が。

  この痴態を見て嘲笑う。

  俺はその様を想像するだけで、目の前が真っ暗になる。

  「別にいいだろうが」

  男は片頬を歪めてみせる。

  「元々、学校にも家にも、おめぇの居場所はなかったんだからな。踏ん切りがつくんじゃねぇか」

  「そ……、やめ……」

  「そうだ。おめぇのかわいい後輩にも見てもらわねぇとな」

  ……銀太。

  「慕っていたおめぇがザーメンにまみれてケツをいじっている姿なんか見たらさぞかし幻滅するだろうな」

  あいつにだけは、あいつにだけは。

  「た、のむから……」

  「明日にでもばらまいてきてやるよ」

  男はそれだけ言うと、力なく手を伸ばす俺の腕を振り払い、扉の外へ出て行った。

  「うぅぅ……」

  ……俺はどうすればいいのだろう。

  うつむく俺の膝に、温かい雫がぽつりぽつりと零れ落ちる。

  それが涙だと気づいたとき、こらえようにもこらえ切れない嗚咽交じりの声が、俺の口から漏れた。

  4

  奴は宣言通り、俺の写真を高校付近の道路にばら撒いたと言った。

  そして同級生や教師がその写真を眺めている様子をしっかり確認して帰ってきたと、そのときの様子を面白おかしく語った。

  俺は必死に耳をふさいで、奴の言葉を聞かないようにしたが、そんなことをしても無意味だった。

  目をつぶれば、写真を見て俺を蔑む奴らの顔が自然と目に浮かんだ。

  ……きっと銀太も。

  嫌悪感で顔をしかめている銀太の顔は容易に想像できた。

  ……もう、駄目なんだろう。

  昔のように二人で語り合うことは出来ないのだろう。

  自暴自棄になった俺はそれでも、男に対して従順になるのは嫌だった。

  それからも、男は薬を使い、俺の体を淫らに変えていったが、俺は体は無理でも、心だけは抵抗を続けた。

  敵わないと分かっていても隙を見て掴みかかり、手も足も出なくなってもひたすら睨みつけた。

  それはもう、最後に残された俺の意地だった。

  鈍色に光るドアノブが、かちゃり、と回された。

  ……今日も俺の陵辱されるのか。

  裸のままうずくまっていた俺は、虚ろな瞳のままゆっくりと顔を上げた。

  1ヶ月か、2ヶ月か。

  どれだけの日数が経ってしまったのだろう。

  おもちゃのようにもてあそばれることだけで毎日を過ごしていた俺の頭は、すでに思考することを放棄していた。

  助けが来ることもないのだろう。

  ここから救出されるという希望を俺はすでに持っていなかった。

  身近にいる人間は、みな俺のことを嫌っていた。

  高校の教師も、クラスメイトたちも。

  両親でさえも、今頃俺がいなくなってせいせいしているはずだ。

  警察にも、捜索願は出されていないのかもしれない。

  ……銀太。

  ただ一人、俺のことを慕ってくれていた犬獣人の後輩のことが頭をよぎる。

  ……あいつも俺のことを軽蔑しているのだろう。

  自分の惨めさに耐えられなくて、舌を噛み切ろうと思ったこともあった。だが、どうしても死ぬことは出来なかった。

  死なないことが俺の最後の抵抗だと思ったからだ。

  たとえ刹那的な快楽に狂わされたとしても、体は従わされても、心まではあいつに屈服したくない。

  その意地だけで俺はこの地獄を耐え忍んできたのだ。

  ぎしぎしと、きしんだ音を立てながら鉄製の扉は開かれる。

  せめてもの意思を示そうと、俺は扉の向こうにいるはずのあいつを睨みつける。

  しかし。

  しかし、そこにいるのはいつものあの白い巨躯ではなかった。

  もう、何年も会っていないかのように思える、小柄な後輩。

  グレーがかった体毛を持つ、俺より非力で、でも俺よりずっと賢い犬獣人。

  銀太だ。

  そこに、銀太がいた。

  「先輩っ!」

  涙目になりながら、はち切れんばかりに尻尾を振って、銀太は部屋の中に飛び込んできた。

  「よかった、よかった……」

  ……助けに来て……くれたのか。

  俺は呆然とすることしか出来なかった。

  「お前……どうして……」

  「ずっと、ずっと探してたんですよ。先輩が急にいなくなるはずなんて、俺に黙っていなくなるはずなんてないから」

  首輪を鎖で繋がれた俺に、銀太は痛いほどの力でしがみついた。

  あれだけ毎日陵辱されて、羞恥心なんてものはもう俺の心には残っていないと思っていたのに、この裸の体を銀太に抱きしめられると、恥ずかしさを感じてしまう。

  でも、これが本当なんだ。

  俺は、当たり前に恥ずかしさを感じることが出来る、まっとうな世界に戻ることが出来るんだ。

  「今、鎖をはずしますから」

  涙をぬぐった銀太は、何気に男気を見せて、自分の羽織っていた小さな学ランを脱いで、俺の体にかけてくれた。

  そして、用意周到にも抱えてきた工具箱を開くと、金属用の鋸を取り出す。

  「なんで、ここがわかったんだ」

  「ほんと、苦労しましたよ」

  銀太は晴れ晴れとした顔で笑う。

  「先輩の写真がばらまかれた日に、高校近くに見知らぬ車が止まってたんですよ。俺、怪しいと思って、その車のナンバー、控えてたんです。それを調べて、持ち主からこの場所を探って」

  だから、すごく時間掛かっちゃって、と言う。

  「それ、誰かに相談したのか」

  「いいえ」

  銀太は首を振る。

  「誰も、信じてくれなかったんです。先生も、警察も、先輩の親も。だから、俺一人で……」

  俺は鎖を切ろうとする銀太の手を止めた。

  「銀太。鎖はいいから、先に外に出て、このことを誰か大人に、教師でも警察でもいい。誰かに伝えてくれ」

  「え?」

  「あいつが帰ってきたら、お前一人じゃどうにもならない」

  俺の焦りはこいつには伝わらなかった。

  「駄目ですよ。こんな先輩一人残していけない」

  銀太は、納得しなかった。

  「それに白熊が外に出たのを見計らって侵入したから大丈夫」

  「そんなこと言ったって……」

  いつ帰ってくるか分からないじゃないか。

  「馬鹿、お前が見つかっちまったら……」

  「見つかっちまったら、どうなるって?」

  不意に、部屋の外から聞こえた声に、俺の体は総毛立つ。

  扉の向こうから姿を現したのは、白熊獣人。

  奴だ。

  「なんで……」

  銀太は小さく呟く。

  「外に出ていったはずじゃ。車に乗ったとこまで、確認したのに」

  「家に侵入者があれば、わかるようにしてるんだよ。そのぐらいのセキュリティは当然だろうが」

  男はにやりと笑った。

  「に、逃げろ、早く」

  俺は銀太をせかした。

  ……こいつだけでも。

  小柄な銀太なら、奴の側をすり抜けて外に逃げ出せるかもしれない。

  「嫌だ」

  しかし、銀太は承知しなかった。

  「よくも、先輩を……」

  手に持った鋸を強く握り締め、奴に近づいていく。

  「馬鹿、お前じゃ駄目だ。逃げるんだ。俺のことなんてどうでもいいから、逃げてくれっ!」

  俺の絶叫と、銀太が鋸を振り上げたのは同時だった。

  白熊の太い腕目掛けて、振り下ろされる鋸。

  ばしっ。

  それは、いとも簡単に奴の腕にはじかれて、部屋の片隅に転がった。

  「うそ……」

  鋸とはいえ、刃物を叩きつけて何の感触も得られなかった銀太は、驚いた様子で動きが止まった。

  どんっ!

  そして、一瞬遅れて、その小柄な体が吹き飛ばされる。

  太い腕に殴られて、意識をなくした銀太の体は、まるで人形のように無抵抗のままコンクリートに叩きつけられたのだ。

  「まさか、この場所を探し当てる奴がいるとはな」

  奴は、にやりと笑みを浮かべて俺を見た。

  「おめぇも、いい後輩持ってるじゃねぇか」

  そのまま奴は銀太の元まで歩いていく。

  「くそ、銀太をどうするつもりだ」

  「そうだな」

  その言葉に、奴は少し考える。

  「……とりあえず殺しとくか」

  何でもないことのように言うと、熊は銀太の首を片手で掴み、高々と持ち上げた。

  意識のないはずの銀太の体がびくびくと痙攣している。

  絞殺するつもりか、それとも首の骨を折るつもりか。

  どちらにしても、この男なら簡単にやってのけるはずだ。

  「や、やめろっ!」

  俺は熊獣人に殴りかかる。何度も何度も、渾身の力をこめて殴りかかる。

  「放せ、銀太を放せっ!」

  しかし、男はびくともしない。

  奴はただ、銀太の体を掴みあげたままじわじわと指に力を入れていく。

  「かはっ」

  銀太が小さく息を吐いた。

  痙攣が少しずつ小さくなっていく。

  ……もう、駄目だ。

  諦めろ。

  俺の力では、こいつを救うことは出来ない。

  自分自身に言い聞かせていることに気づいた俺は握っていた拳を開いてしまう。

  苦しそうな銀太の顔。

  そして、何の感情もないまま、虫けらを殺すように銀太の首をしめる熊男。

  俺は、力なくその場に座り込んだ。

  そして、額をコンクリートにこすりつけた。

  「お願いです。銀太を殺さないでください。お願いします」

  もう、それしかなかった。

  俺は額を擦り切れるまで床に押し付けながら、泣き声をあげた。

  「何でもします。言われたとおり、何でもします。あなたの言うなりになります。だから、銀太を殺さないでください。お願いします。そいつだけは殺さないでください。お願いします、お願いします」

  俺は、血の滲んだ顔を上げ、奴の足にすがりついた。

  男はそんな俺の顔を見てしばらく黙っていたが、やがて腕の力を抜いた。

  「……いいだろう」

  男は、銀太から手を離した。

  床に落ちる銀太を俺はあわてて受け止める。

  「殺すのだけは勘弁してやる」

  「ありがとうございます。ありがとうございます」

  俺は銀太を抱きしめた。

  温もりが感じられる。

  「かはっ」

  息を吹き返した。

  まだ生きてる。

  まだ生きてる。

  俺はぼろぼろ涙を流しながら、奴に礼を言った。

  「助けてくれてありがとうございます」

  「半日やろう」

  「え?」

  男の突然の提案に、俺は顔を上げる。

  「夜までに、そいつをケツが使える雌犬にしろ。自分から喜んでケツを差し出すような、な。そうすれば、殺さねぇですませてやる」

  「俺が、ですか」

  「ああ。俺が調教してやってもいいんだが、そういう小さい奴は俺好みじゃねえんだ」

  「それさえすれば、銀太を殺さないでいてくれるんですね」

  「ああ」

  言葉少なに頷く男に、俺はまた礼を言う。

  「自分からケツをふる雌犬に、しっかり調教するんだぞ」

  男は、銀太の着ている服を剥ぎ取ると、工具箱と一まとめにして持ち、部屋を後にした。

  

  銀太の意識が戻ったのは、奴が立ち去ってしばらくしてからだった。

  「先輩?」

  俺の膝の上に頭を乗せていた銀太が、ゆっくりと目を開ける。

  「よかった。銀太、よかった……」

  俺は涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃに濡らしながら、銀太を抱きしめる。

  「先輩……」

  「よかった。お前が目を覚ましてくれて。俺、お前がこのまま死んじゃうんじゃないかと思って。怖くて、怖くて……」

  「……」

  銀太は俺を抱きとめるように両腕を俺の背中に回す。

  いつも嗅いでいた銀太の日向のような匂いと、柔らかくふさふさした毛、そして体温を感じる。

  ……ああ、ちゃんと生きてるんだ。

  ひたすらぎゅっと抱きつく俺の背中を子供をあやすようにぽんぽんと叩きながら、銀太は笑顔を見せて言う。

  「先輩、しばらく見ないうちに泣き虫になっちゃったんですね」

  「う、うるせぇ!」

  俺は慌てて銀太から離れると、荒っぽく手の甲で涙を拭う。

  「悪い。俺のせいで、無関係なお前をこんなことに巻き込んじまった」

  俺の言葉に、銀太は首を振る。

  「気にしないでください。俺が勝手にやったことなんだから。それより、ちゃんと先輩の言う通り、あの時逃げ出していればよかった。そうすれば、警察に通報できて、ここから先輩を解放することが出来たのに……」

  悔しそうに呟く銀太に、俺は笑って見せる。

  「いいんだ。それはもういいんだ。俺はお前が生きていてさえくれれば」

  ……生きてさえいてくれれば。

  そのためには、言いにくいことを言わなければならない。

  俺は覚悟を決めて、銀太から体を離すと、その場に正座し、銀太に頭を下げた。

  「先に謝らせてくれ。すまない」

  「な、なんなんですか、急に」

  かしこまった俺の様子に驚いてみせる。

  「あとで俺を殴ってくれていい。変態だと罵ってくれてもいい。だから、今だけでいい。今だけ、俺に身を任せてくれないか」

  身を任せる。

  遠まわしな言い方だが、共に裸の自分達の姿を見て、聡い銀太は理解したのだろう。顔を赤く染める。

  「あいつに、何か言われたんでですか」

  「……」

  「黙っていても分かりますよ。先輩、そんな人じゃないから」

  「……そう、だ」

  こんなこと、口にしたくなかった。それでも言わずに済ませるわけにはいかないのだろう。

  「すまん。俺がお前を抱けば、あいつはお前の命を助けると言ったんだ」

  「……」

  俺は、奴に言われたことを、言葉少なにオブラートに包んで知らせる。

  ケツを使えるようにしろとか、雌犬に変えろなんてこと、本人に伝えられるわけがない。

  とにかく、一度でもこいつを抱けば、殺されずにすむんだ。

  「あいつはお前に興味がないと言っていたし、言うことを聞いてさえいれば、きっと帰してもらえるはずだ」

  もう、一縷の望みにすがるしかないんだ。

  「先輩は?」

  「……」

  「先輩はどうなるんですか」

  「俺はもう……いいんだ。だから、お前だけでも」

  「嫌です!」

  銀太は首を振る。

  「先輩と一緒じゃなきゃ嫌なんです。俺は先輩と一緒にいられたらどこでもいいんです。俺は先輩と一緒にいたいんです」

  「……ありがとう」

  俺は涙が出そうになるのを、歯を食いしばってこらえる。

  銀太の言う通り、俺はいつの間にか泣き虫になっちまってた。

  こんなにも、俺のことを思っていてくれたなんて。

  でも、だからこそ、こいつだけはなんとか帰してやりたいんだ。

  「すまん、本当に不甲斐ない先輩ですまない」

  「……そんなこと」

  銀太は俺の顔を見ながら、しばらく沈黙した後、ゆっくりと口を開く。

  「わかりました」

  「い、いいのか」

  「はい」

  銀太は小さく呟く。

  「すまん。男のお前にこんなことを強要して」

  「いいんです」

  銀太は、俺に笑ってみせた。

  「俺、他の奴なら死ぬ気で抵抗すると思うけど、先輩だったら……大丈夫です」

  その言葉に、俺はかぁっ、と顔が赤くなっちまう。

  「ば、馬鹿。変なこと言うんじゃない」

  俺は照れたように言うと、真顔に戻ってもう一度尋ねる。

  「本当に、いいんだな」

  「はい」

  頷く銀太を俺は抱きしめた。

  「ありがとう。俺が全部やってやるから、なるたけ痛くないようにやってやるから。お前はただ寝ているだけでいいから」

  「……はい」

  俺は抱きしめていた銀太の背中に、改めて手を回すと、唇を重ねた。

  「ん、んんっ……」

  こいつも、こういうことをするのは初めてなんだろう。銀太の体が震えていることが指先から伝わってくる。

  「緊張、しなくていいんだぞ」

  一度口を離してそう言うと、俺はゆっくりと舌で唇をこじ開け、銀太の口の中へ潜り込む。

  煙草臭い白熊とは違う、どこか甘い銀太の唾液をむさぼるように舐めつくす。

  銀太は怖いのだろう。目をつぶり、必死になって俺の体にしがみついている。

  そんな銀太が、たまらなく愛おしい。

  俺はどうしていいかと戸惑うように硬直している銀太の舌に、自分の舌先を触れさせる。

  びくん、と怯えたように縮こませる銀太。俺はそんな銀太に優しく舌を絡ませていく。

  やがて安心したように舌の硬直を解く銀太を見て、俺は唇を離した。

  二人の間を、意図のように唾液が繋ぐ。

  「キスも、気持ちいいもんだろ」

  照れくさくて、そんなことを俺が言うと、銀太も照れくさそうにこくんと頷いた。

  俺は銀太の体をゆっくりと床に横たえると、銀太の股間に目をやる。

  キスで感じてくれたのか、その小さい体に似合わず大ぶりなチンポをびんびんに勃たせている。

  ……ちくしょう、俺よりでけぇじゃねえか。

  嫉妬交じりの気持ちもあって、俺はいきなり銀太のチンポを喉元まで飲み込んだ。

  「あぁっ、先輩!」

  初めて咥えたチンポは、先走りで塩辛かった。俺は口に含んだまま顔を上下する。

  俺自身は、尺八は初めてだが、散々熊獣人にやられて、やり方は覚えている。一度口を離すと、舌先でもてあそぶように雁や裏筋を舐めていく。

  「先輩、気持ちいいです」

  あえぐ銀太の声が、俺の興奮に火をつける。俺は少しでもよくしてやりたいと思い、片手で銀太の金玉をもみほぐし、もう一方の手をその体に這わせた。

  「あ、ああっ……」

  泣きそうな顔の銀太は、目をつぶってしまう。

  ……かわいい奴だ。

  俺はもう一度銀太のそれを咥えると、舌を使って、亀頭をざらざらと強くこする。

  「ひゃぅっ」

  虎獣人のやすりのような舌先だと刺激が強すぎたのか、何も言う暇すらなく、どくどくと俺の口の中に白濁液を吐き出した。

  青臭い匂いが、口一杯に広がる。

  「はぁ、はぁ。……すみません。先輩」

  口内発射したことを申し訳なさそうに謝る銀太に向かって、俺は首を振っって、呑みこんでみせた。

  そのまま、俺は両腕で銀太の太股を掴んで持ち上げると、顔を下に沈めていく。

  そこには、銀太の菊門が射精の名残を残しているのか、びくびくとひくついていた。

  俺はためらわずに、そこに舌を伸ばす。

  「だ、駄目です。先輩、そこは汚いから」

  俺は躊躇する銀太の言葉を無視して、ぺちゃぺちゃと音を立てながら銀太のケツを舐める。

  少しでも、痛みを感じないように、丹念にほぐしながら、ゆっくりと舌をもぐりこませていく。

  銀太も気持ちいいのだろう。はあはあと息を荒げるだけで、抵抗しようとしない。

  「ちょっと痛いかもしれないけど、我慢しろよ」

  俺の唾液でべとべとになったケツを見ると、俺は人差し指を口に入れて濡らし、銀太の菊門に押し付ける。

  「大丈夫だ。少しずつ入れていくから」

  俺は銀太の顔をうかがいながら、優しく指を一本押し込んでいく。そして、二本、三本と指を増やす。

  初めは顔をしかめていた銀太だったが、徐々に馴染んできたのか、体から力が抜けていく。いや、むしろ気持ちいいのか、少しずつ表情が柔らかくなっていく。

  「よかったな。だいぶ、緩んできた」

  「先輩、そんなこと言わないでください」

  恥ずかしそうに言葉を返す。

  「でも、気持ちいいんじゃないのか」

  俺は、自分がやられて気持ちよかった場所を思い出し、指先で優しく刺激してみる。

  「あっ、先輩っ」

  びくん、と急に体をこわばらせる銀太。

  「気持ちいいのか」

  「……はい」

  その言葉に嘘はないのだろう。

  現に、さっき放出したばかりのチンポが再び勃ちあがっている。

  口ごもる銀太の顔を見て、俺はたまらなくなってしまう。

  ……かわいいじゃねぇか。

  気が付けば、俺のチンポも完全にいきり勃っていた。

  銀太の悶える姿を見て勃起させてしまうことに、一瞬、俺は自己嫌悪を覚える。

  あれだけもてあそばれて、俺の体はきっと変わってしまったのだろう。

  ……もう、戻れないのかもしれない。

  それが、言いようもなく悔しかった。

  だが、今はそんなことを考えていられない。

  俺は気を取り直して、銀太に声をかけた。

  「もう、入れちまっていいか」

  黙って首を振る銀太。

  それを見て、俺は掌に唾を吐き、それを自分のチンポに塗りたくると、銀太のケツに押し込んだ。

  「んんっ」

  一瞬顔をしかめたが、それだけだ。銀太は何も言わず、俺に頷いて見せた。

  俺はゆっくりと腰を動かし始める。

  ……気持ちいい。

  銀太のケツ襞が、柔らかく俺にチンポを包み込み、締め上げる。

  ……男のケツはこんなに気持ちよかったのか。

  ぬちゃ、ぬちゃ。

  俺は今にも発射してしまいそうな気持ちを抑えて、銀太のケツの感触を味わう。

  「銀太、すげぇ、気持ちいい」

  「先輩、俺もなんか……。ケツの奥が熱くて……」

  俺は思わず、いきり勃つ銀太のチンポを掴む。

  「あっ」

  そして腰を動かしながらそのチンポもしごいていく。

  「あっ、先輩……駄目です。このままだと、おかしくなりそう。俺、イっちゃいそうです」

  うわごとのように呟く銀太のチンポが、破裂しそうなほど膨張している。

  「いいぞ。イっちまえっ」

  「ああ、ぐぅぅっ、イクぅっ!」

  銀太のケツが、今までにないほどぎゅっと締まる。と同時に、俺の顔めがけて白濁液が撃ち出された。

  ばしゃ、ばしゃっ。

  視界が白く染まるのと同時に、俺の我慢が限界に達する。

  ……これ以上は、無理だ。

  「俺も……イクぅっ」

  俺は銀太のケツの奥に、ザーメンを発射する。きつく締め付けるケツの穴を押し広げて、俺のチンポが脈打ち、そのたびに俺のザーメンが銀太の中を満たしていく。

  「すげぇ、気持ちよかったぞ」

  俺は力を使い果たし、崩れるように銀太の体に覆いかぶさる。

  ……一人じゃないんだ。

  銀太がそばにいてくれる。

  この数ヶ月ずっと続いていた緊張感、孤独感から開放されたせいだろう。疲れとあいまって、俺のまぶたはだんだん重くなっていった。

  「俺もです」

  銀太は、そんな俺を抱きしめてくれる。

  「俺、初めての相手が先輩で、すごく幸せです。本当は俺、昔から先輩のことが……」

  眠りに落ちていく俺には、その言葉の先を聞くことは出来なかった。

  5

  「おい、起きろ」

  荒っぽく蹴り飛ばされて、俺は目を覚ます。

  いつもの、コンクリートに囲まれた部屋。

  そこには、白熊と俺しかいなかった。

  「……銀太?」

  銀太がいない。

  「ああ、あれは今使っている最中だ」

  「使ってる?」

  「ああ、そうだ。あいつは雌犬だからな」

  「何を……」

  何を言っているのだろう。

  呆然としている俺の顔を見て、奴は平然と言う。

  「言っただろうが。ケツを使えるようにしろと」

  「……」

  そうだ。だからこそ、後輩である銀太に、あんなことまでさせたのだ。

  「使えるようになったら、せいぜい有効活用しなきゃならんだろう。ただでさえ、お前みたいなただ飯喰らいを飼ってるんだ。少しぐらい稼がないとな」

  「稼ぐ?」

  その言葉に、俺は猛烈に嫌な予感を感じる。

  「それって……」

  俺がすべてを言い終わる前に、白熊は口を挟む。

  「そうだ、ちょうどいい。お前にもあいつの初仕事を見せてやろう」

  服を着せられると、俺は手錠と首輪を付けられたまま、ひと気のない公園に連れて行かれる。

  ……こんなところで何を。

  俺が口を開こうと瞬間だった。

  「!」

  小さな悲鳴が公園の奥から聞こえたような気がしたのだ。

  「あっちか」

  白熊は首輪の鎖を引きながら、声のする方へと歩いていく。

  そこには、10人近くの男が集まっていた。

  猪や虎、狐など、様々な種類の獣人。ある男は、全裸に、そしてある男は半裸になり、何かを取り囲んでいた。

  「おい、こっちも咥えろよ」

  「くぅっ、このケツなかなか具合がいいぜ」

  「ほら、右手があいてるじゃねぇか。さっさとしごけよ」

  「何やってんだ。咥えるだけじゃなくて、舌も動かせよ」

  「乳首ひねったら、急にケツの締りがよくなったぜ」

  「こいつ、変態だな」

  俺は男達が何をしているのか気になり、一歩前に進んだ。

  と、何かに遮られてくぐもったような声が聞こえてくる。

  それは聞きなれた……。

  「うぐっ、嫌だ。痛いっ。やめて、ぐぐっ、やめてください。お願い、です……」

  銀太だ。

  泣き喚きながらも、ケツと口にチンポをぶちこまれ、いたぶられている銀太の姿がそこにあった。

  「な……んで」

  「ああやって、レンタルさせるんだよ。一人一万で、朝までやり放題。なかなかいい商売だろ」

  平然と笑みを浮かべる白熊の向こう側に、押さえつけられて泣き叫ぶ銀太がいる。

  「銀太!」

  俺は耐えられなくなって叫び、思わず駆け寄ろうと走り出す。が、首輪につけられた鎖が、その動きを止めてしまう。

  「おっと、商売の邪魔をしちゃいけねぇなあ」

  鎖の端を握った男は、俺の切実な顔を見て嬉しそうに笑う。

  「放せ、放せっ!」

  俺は何とか男の手を振りほどこうとするが、奴はかまわず俺を押さえつける。

  「黙ってみてろ。お楽しみの最中なんだからな」

  「嫌だ! 銀太、銀太ぁ!」

  俺の叫びが耳に届いたのか、顔中を精液でべたべたにした銀太が、こちらに顔を向けた。

  「せん、ぱい」

  「銀太ぁ!」

  俺の叫びに、しかし銀太は拒絶するような表情を浮かべた。

  「なんで……こんなところに」

  「え?」

  俺はその表情に体の動きを止めた。

  「嫌だ」

  「……」

  「嫌だ、先輩。嫌だ、見ないでぇっ!」

  銀太は今まで聞いたことがないような絶叫を上げた。

  「おら、何わめいてるんだよ。さっさと咥えろよ」

  「うぐっ」

  そのまま男達の波に飲まれ、銀太の姿は見えなくなってしまう。

  「なんで」

  ……なんで俺に助けを求めてくれないんだ。

  ……なんで俺を拒絶するんだ。

  「馬鹿だなぁ、おめぇ」

  白熊はそんな俺を見て、鼻で笑った。

  「なんで俺がわざわざおめぇを遠くから見せたと思ってんだ」

  「……」

  「あの後輩が、輪姦されるのを、おめぇに見られたくないと思ってるからだろうが」

  「……」

  「初めての仕事にあんまり強い刺激を与えたくなかったからってわざわざ気を使ってやったのによ、それを台無しにしやがって」

  そうだ。

  こんな生活を続けていたせいで、羞恥心が薄れてしまったのか、そんな当たり前のことに気が付かなかった。

  自分が犯されるところを見て欲しいなんて思う奴が、どこにいるんだ。

  「……」

  「それにしてもおめぇ……」

  男は、そう言うと、ズボンの上から俺の股間をまさぐった。

  「勃たせてるじゃねえか。大事な後輩が輪姦されてるっていうのによ」

  「えっ」

  男の、言う通りだった。

  俺のチンポは熱くみなぎり、鎌首をもたげていた。

  「後輩がおめぇに見られたくないって泣き叫んでんのに、それを見て、勃起してるなんざ」

  男は軽蔑したように薄ら笑いを俺に向ける。

  「畜生以下だな」

  「違うっ、違うっ!」

  俺は必死で首を振る。

  そんなわけない。大事な後輩が、俺の一番大事な銀太が輪姦されている姿を見て、欲情なんてするはずがない。

  しかし、現に俺は勃起してしまっている。

  「どうだ、おめぇも気持ちよくなりたいんだろうが」

  混乱している俺の耳元で、奴はまるで悪魔のように優しくささやく。そしてズボンを脱がし、抗う俺のケツを突き出させると、奴はバックからチンポを突きたてた。

  「ああっ!」

  「濡らさなくても、俺の太竿をずっぽり咥え込めるようになるとは、もう、立派な女だよ、おめぇは」

  「ち、ちが……」

  「ほら、いい声で鳴けよ。ちゃんと後輩に聞こえるようにな。ほれ、ほれ」

  「ああっ、ああっ」

  俺たちの陵辱は、朝になるまで続いた。

  太陽が昇り始める頃、男達は満足げな表情で、一人、また一人とその場を立ち去っていった。

  後に残るのは死んだように横たわる、銀太の姿だけ。

  「銀太ぁっ! 銀太ぁっ!」

  ようやく男から解放された俺は、転がるような勢いで、銀太の元へ駆け寄る。

  体中を白く染め抜かれた銀太は、抱き上げても何も言わない。

  「銀太、しっかりしてくれ。銀太」

  気絶しているわけでもない。目もちゃんと開いている。

  しかし、俺の言葉に一向に答えようとはしない。それどころか、虚ろな視線は、定まらないまま。

  その目はもう何も見ていなかった。

  「あーあ、壊れちまったか」

  俺に追いついてきた熊獣人は残念そうにため息をつく。

  「壊れ、た?」

  「頭だよ、頭。ちっ、せっかくこいつで一儲けしようと思ったのにな。たまにいるんだよ。ちょっと手荒く輪姦されるだけで心がいかれちまうのが」

  俺には熊の言葉も耳に入らない。

  「そ、そんなことないよな。平気だよな、銀太」

  俺は必死で銀太の体を揺さぶる。だが、まるで人形のようにされるがままだった。

  「なぁ、銀太、しっかりしてくれ。返事してくれよ。なぁ、こっち見てくれよ、なぁ、銀太。先輩って、呼んでくれよ」

  「もう諦めろよ。こうなっちまったら素人じゃ治せねぇよ。ほら、とっとと帰るぞ。俺は眠たいんだ」

  ああぁ、とあくびをして熊は俺の鎖を引こうとする。

  俺はその手を振り払った。

  「……そんなっ!」

  俺はぐしゃぐしゃに濡れた顔を上げ、熊を睨みつける。

  「よくもそんなことを……。銀太が、銀太がこんなことになっちまったのに。お前の、お前のせいで……」

  噛み付くような口調で怒鳴った俺を、白熊はきょとんとした顔で見つめていた。

  「何言ってやがる。こいつをこんなにしちまったのは、おめぇじゃねぇか」

  「俺が、だと」

  「ちゃんと言っただろうが。自分からケツをふる雌犬に調教しろって。その時間も与えてやった」

  「それは……」

  「ちゃんと調教できてたら少なくともこんなことにはならなかっただろうよ。それとも、あの後輩のケツを一回掘ったら、俺が素直にシャバに戻してやるなんて、甘っちょろいことを考えてたんじゃないだろうな」

  「……」

  俺は何も言い返せない。

  「そもそも、お前に関わったからこそ、こいつはこんなことになっちまったんだろうが」

  ……俺の、せいなのか。

  呆れたような顔をした熊獣人を俺はただただ見上げることしか出来ない。

  「ほら、帰るぞ」

  じゃらり、と鎖を引き、熊は無理やり俺を立たせる。

  「こ、こいつを。銀太を連れて帰らないと」

  俺の言葉を、熊は吐き捨てるようにして否定する。

  「何言ってやがる。こんな奴、連れて帰ったって、糞の役にもたたないだろうが」

  「でも……」

  置き去りになんて、出来るわけがない。

  「こんなのはここに捨てときゃいいんだ」

  「でも、銀太が、銀太が……」

  俺は幼児のように後輩の名前を繰り返すことしか出来ない。

  うんざりした表情の熊は言う。

  「こんな奴、連れて帰ったって、面倒見きれないだろうが」

  「……」

  「いいんだよ。そのうち、だれかが見つけて病院なり何なりに連れて行くだろうよ。まあ、ホームレスの玩具にされちまうかもしれねぇがな。……ほら、行くぞ」

  「嫌だ。……嫌だっ! 銀太っ、銀太ぁっ!」

  俺は抵抗することも出来ず、引きずられながらその場を後にした。

  見捨ててしまった銀太の名を呼び続けながら。

  6

  涙が枯れるまで泣きはらしてしまった後。

  銀太が壊れてしまったように、俺の心もどこか壊れてしまった。

  いや、吹っ切れてしまったのだろうか。

  それからの俺は、白熊の言葉に従順になった。一切歯向かわず、要求されたことすべてに大人しく従うようになった。

  体を傷つけられようと、どんな痴態をさらされようと、抵抗しなかった。それどころか、自分から奴の要求を望むように変わっていった。

  俺は、男に従って快楽に溺れることで、何もかも忘れてしまいたかったのだ。

  ……俺が銀太を。

  ……俺が銀太をあんな風に。

  一人でいると、ただそれだけが俺の心を締め付ける。

  気を紛らわす方法は、それしかなかったのだ。

  そんな俺の様子を熊獣人は喜んで受け入れた。

  だが、従順すぎる俺の姿に、徐々に疎ましさを感じているようだった。

  それでも、俺がすがるものはもう、あの男しかいなかったのだ。

  「おい、外に出ていいぞ」

  服を着せられ、車に乗せられた俺は、いつかの公園まで連れてこられていた。

  白熊に言われ、俺は車の外へ出る。

  今日はここで、犯されるのだろうか。

  俺は期待に股間を膨らませていた。そして、その体の反応に、違和感を感じる事すらなくなっていた。

  しかし、熊獣人はいつまで経っても車から出ようとしない。

  「あのう……」

  いぶかしげに思い、俺は尋ねようとしたその時、車の中の白熊が口を開いた。

  「終りだ」

  「え?」

  「おめぇで遊ぶのはこれで終わりだ」

  「終わり?」

  終わりって、なんだ?

  「俺は、いきがってる奴を、素直になるように教育してやるのが好きなんだ。調教されきったお前は、もう要らねぇんだ」

  「……」

  突然の出来事に、言葉も出ない。

  「よかったな。シャバに帰れるんだ。もっとも、家族や学校がおめぇを受け入れてくれるかはわからねぇけどな」

  「……」

  「じゃあな」

  男はそれだけ言うと、車を走らせて消えていった。

  俺はただ、立ち尽くすしかなかった。

  いつまでも立ち尽くしている俺を不審に思った人が通報し、俺は警察に連れて行かれた。

  親からの捜索願は出されていたようで、俺は家に戻ることになった。

  俺が誘拐されて、実に3ヶ月も経っていた。

  写真をばら撒かれたこともあって、両親や警察、教師からも、今までどこにいたのか、何をしていたのか執拗に尋ねられたが、俺は答えることが出来なかった。

  いくらあの写真を見られた後だとしても、自らの痴態をこと細かく説明できるわけがない。

  それももう、何もかもどうでもよくなっていた。

  銀太を失った俺が、救われていいはずなどないのだから。

  あの後、結局銀太の姿を見た者はいなかった。

  男に言われたように、ホームレスどもの慰み者になっているのか。

  誰かに拾われ、保護されているのか。

  捜索願は出されていても、その行方はようとして知れないままだった。

  

  そして、俺は日常に戻った。

  7

  「おい、番長よぉ」

  嬲るような口調で、俺の体は壁に押し付けられた。

  いつものように体育館の裏に俺を呼び出したのは、同級生の男達だった。

  俺は胸元を掴まれながらも、無気力な視線を彼らに送る。

  「こんなにガタイがいいのに、抵抗しないのかよ。あんたが本気出せば、俺らなんかすぐにボッコボコに出来るんじゃねぇの」

  「出来るわけねぇじゃん。こんな体格よくったって、心は女なんだからよ」

  「自分でケツいじってる写真撮らせるような変態だしな」

  自分より小柄な彼らに嘲るように言われても、俺は何も言うことができない。

  こいつらは、俺が何も出来ないことを分かっているのだ。

  「ほら、ズボン脱げよ。そのケツ弄られたいんだろうが」

  「……はい」

  俺はその言葉に、素直に従い、ズボンをずり下ろして、ケツをさらけ出す。

  「何だよそれ、小っちぇえチンコだなぁ」

  「見ろよ、俺たちに見られたまま、勃起してやがる」

  「やっぱ変態だな、こいつ」

  「知ってるか、お前今、公衆便所って呼ばれてるんだぞ」

  どれだけ蔑まれようとも、俺は何も言えない。

  「どら、そのケツの具合を確かめてやろうじゃねぇか」

  学生達は、ズボンの中から、いきり勃ったチンポを取り出す。

  「ああ……」

  俺の口から言葉が漏れた。

  「ほら、四つんばいになれよ。入れてやるからさ」

  俺は抵抗も見せずに、言われたとおりに姿勢をとる。

  「いくぞ」

  ぐちゅり。

  一人の男子学生が、勃起したチンポを俺のケツにぶちこんだ。

  「どうだ、番長のケツは」

  「ああ、最高だな。柔らかいし、締まりもいいし」

  乱暴に腰を動かし、俺のケツを堪能していく。

  「おい、どうだ。番長さんよ。ケツ掘られてどんな気分だ。ええ、何か言ってみろよ」

  「……さい」

  「ああ、聞こえねぇぞ」

  「……ください。もっと激しくしてください。気が狂うぐらい、気持ちよくしてくださいっ!」

  俺は淫らに叫ぶことしか出来なかった。

  「うっせぇよ、この変態が」

  学生の一人が、俺の口の中にチンポをぶち込む。俺はケツを突き上げられながら、それをひたすらしゃぶりぬく。

  「よし、一発目、出しちまうぞ。何発でも抜いてやる」

  「馬鹿、次は俺だろうが。順番守れよ」

  「慌てんなって。気の済むまで輪姦しゃあいいんだ。どうせこいつもその方が嬉しいんだからな」

  「ああ、チンポ、チンポくださいっ!」

  それが、俺の新しい日常だった。

  同級生に輪姦された後、 精液の匂いを漂わせながら、俺は一人帰途に着く。

  街灯の明かりのみが輝く夜道には、他に誰もいない。

  「よお、元気そうじゃねぇか」

  後ろからかけられた言葉に、俺は立ち止まる。

  そして、振り返った。

  そこにいるのはあの白熊獣人だった。

  俺をここまで変えてしまった男。

  「あれから一ヶ月か。ひさしぶりにおめぇの様子が気になってな。様子を見にきたんだ」

  どの口がそんなことを言わせるのか。

  そう怒鳴りつけて、殴りかかっていただろう。

  今までの俺だったら。

  「……」

  「どうした、何か言いたいことがあるだろう。あれだけ人生めちゃめちゃにされたんだからな」

  俺はその言葉に引き寄せられれるように、ふらふらと男の側に近づいていく。

  「どうした」

  笑みを浮かべたまま男。俺はその足元に膝をついた。

  「お願いします。俺をもっと、めちゃくちゃにしてください」

  白熊の足元にすがりつく。

  俺はもう、現状に満足できなかった。

  もっと強い刺激を。

  もっと強い刺激が欲しい。

  同級生にやられていたような、あんな生やさしいのでは物足りない。

  銀太がやられたように。

  銀太と同じように、俺を壊して欲しい。

  「俺をあなたの側においてください。あのぶっといチンポで、何度も犯してください。俺、もうあれがなきゃ生きていけないんです。お願いします、お願いします」

  「ちっ」

  俺の変わり果てた様子に、熊は舌打ちをすると、俺の体を蹴り飛ばした。

  「なんだ、完全に雌猫になりさがっちまってるじゃねぇか」

  男は吐き捨てる。

  「俺はなぁ、抵抗する獣を女にするのが好きなんだ。純情な雌猫に興味はないんだよ」

  「そんなこと言わないで、お願いします。お願いします。俺、むちゃくちゃにされないともう……」

  それでも俺は、泣いて熊獣人にすがることしかできない。

  男は俺を突き飛ばそうとして、ふと考え込んだ。

  そして 何を思いついたのか、薄い笑いを唇に浮かべる。

  「……そんなに言うんだったら、お前の満足するところに連れて行ってやろうか」

  「満足、するとこ?」

  「ああ」

  男は頷いた。

  「特上のサド野郎どもが集まるサロンを知っている。そこでおめぇを競りにかけてやる。おめぇみたいに若い奴なら、いい値で売れるだろう」

  「……」

  「そのサロンで買われた奴隷は、もう獣人じゃねぇ。ただの物だ。使って壊されるだけのただの物だ。それでもいいんなら、連れてってやるよ」

  俺は躊躇しなかった。

  「はい、お願いします」

  「もう、二度と戻れないぞ」

  「はい」

  「そうか」

  白熊は心底嬉しそうな笑みを浮かべる。

  「そこに行けば、俺なんかよりもっと強い痛みと快楽を与えてもらえるはずだ。よかったな」

  その言葉に、俺ははじけるような笑顔を見せた。