弟の記録簿

  やぁ、こんにちは。いきなり挨拶されて、びっくりしたかな。それとも、こういうのには慣れてるタイプ? 丸で誰かにこの文章を読まれるみたいな風に書いてるんだけど。そんなのはあり得ないから。もし、今何となくこの文章を見ているのなら。引き返した方がいいよ。

  よし、忠告はしたね。ここから先は自己責任。何を見ても、閲覧して気分が悪くなっても自己責任って事で。それじゃあ早速、僕の兄について説明しよう。弟の記録簿、だからね。兄が居なければ話が始まらない。僕という人質を取られた兄は、毎晩出かけて虎獣人のいいなりになっていたんだ。行われた事は毛の汚れ具合から相当な事をされたみたい、僕まだ子供だからフェラの強要と本番間近の擦り付けが行われた事しか分かんないや。一つ気になるのは、性格が悪い奴って悪事を一つして終わりで済まないと思うんだ。もっと確実な証拠、獣人生が終わっちゃうような決定的な物が欲しい。

  だから僕は、兄と協力して。一人の虎獣人を陥れる事にした。

  場所はリビング、寛ぐ為のソファとか食事をする為のテーブルとか。分かりやすく言うと、日常生活を送れる物が揃ってる。近くで見ても遠くで見ても分かる目が釘付けになる肉体を持ってる兄はソファに腰を下ろし、僕に聞いてくる。

  「それで、どうするんだ。あいつには仲間が居る、とてもじゃないが……」

  「それじゃあこのまま、言われた事をやる奴隷になっちゃうの? いやいや、ないでしょ。僕の兄さんを汚したんだから、もう悪い事なんて出来ない体にしてあげないと」

  (……何か、作戦があるのか? というか、言葉の端々に危ない単語が混じっているような……)

  僕の腹黒さが露呈しそうだけど。元々清らかな心なんてあってないような物だし別にいいよね。それじゃあ、作戦を始めよう。相手は優位に立ってると思ってる、僕が居る限り兄は手を出せない。じゃあ、僕の方から手を出そう。下半身に血液が集中してるような奴だから……。

  「僕に考えがあるんだ……あのね」

  善良な市民ならそんなに近づかない、桃色の光が目立つ場所。有体に言えば休憩する場所であり、兄も何回か連行された事もあるようだ。つまりは、一般人はまず寄り付かない。隠れる藪にはちょうどいいって事。兄さんには絶対にやめろと言われたけど、そこで止めたら兄さんは虎獣人の性奴隷になっちゃうだろうし。

  「まずは相手の下半身を相手にしてる被害者が他にもいないか、確かめないとね……出て来た」

  立派なスーツを着た熊獣人と、柄の悪い虎獣人が一緒に出て来た。熊獣人が着ているスーツは立派ではあったが、何処となく皺が目立つ。顔も何だか疲れているように思えるし、腰を頻りに触っている。にやにやと、虎獣人は熊獣人を見ている。

  「これで、息子には手を出さないで居てくれるんだな?」

  「おう、約束は守るぜ。可愛い可愛い義理息子なんだろ、大事にしないとな……」

  今なら怒りであの虎獣人殺せるかも知れない。首の神経をお手軽に断つ方法ってないかなと物騒な事を考えながら。僕はそこで漸く、熊獣人の既視感に気が付いた。あれ、何処かで見たような。記憶に引っかかりを覚えたまま、様子を見守る。連絡が入ったのか、虎獣人は携帯を取り出し。一定の操作をした後熊獣人から離れた。安堵の息を零す熊獣人、いそいそと素早い身のこなしでその場所を離れた。

  「……後を少し追ってみよう」

  今の会話、少し気になるし。何て言うか、嫌な予感がする。外れて欲しい憶測を胸に抱きながら、熊獣人の後ろへついていく。くたびれた印象を受けながらも、正面から見た顔は優しかった気がする。その優しい顔に、何処か覚えがあった。

  「……パパ、遅いな」

  玄関の先で待っている子供、自分なりの全速力……という割にはそんなにスピードが出てない熊獣人。子供を心配させまいと、必死に笑顔を取り繕う熊獣人。見ていて痛々しい感情を抱きつつ、会話を盗み聞く。

  「お帰り、パパ。今日も仕事、大変?」

  「あぁ、ちょっとね……。でも、もう終わったから……」

  「……変な匂いする……何の匂い?」

  「え、えっとね……」

  精液、他の雄に付けられた爪痕。とは、堪えられないだろう。見た所、待っているのは男の子の低学年。おじいちゃんもおばあちゃんも、何なら近所の誰にだって愛される年齢だろう。個人差はあるのだろうが、性知識もそんなにない筈。……の割には僕と同じ雰囲気がするんだけど。

  「……ボク、ちょっと友達に返さなきゃいけない物があるんだ。先に帰ってて、パパ」

  「なるべく早く帰ってくるんだよ、いいね?」

  とことこと可愛い歩き方だが、視線が僕を射抜いている。あ、これ見つかってる。草食動物の気持ちを理解出来た頃には、子供は僕の真正面に立っていた。

  「お兄ちゃん、何してるの?」

  「……危ない店帰りの大人から情報収集。ちょっと兄がね、厄介なネコにマーキングされちゃって」

  「ふーん……ぼくもね。大事なパパがネコにやられて大変なんだ。協力してね?」

  有無を言わせない物言いだったが、黙って頷くしかなかった。末恐ろしいな、この子。ぐいっと子供は僕の腕を引っ張り、そのまま家に連れ込もうとする。

  「え、ちょ……僕そろそろ帰らなきゃいけないんだけど」

  「いいから、来て。あいつ、来てるんだ。多分今、寝室。……ねぇ、あいつの携帯のパスワード知らない?」

  直球に聞いてくるな、この子。でも、知ってる。さっき遠くからパスコード打つの見えたし、不正アクセスなら出来そうだ。何時もやっている通りのように家に邪魔した後、僕は覚えていたパスワードを入力した。

  「……これなら、何とかなりそうだ。ふーん、兄の事を玩具呼ばわりねぇ……部下のアドレスっぽいのもある。あ、面白いの見つけた。利用出来そうな書き込みは……」

  「……ぼく、子供だからよく分かんない」

  すっと、子供は録画機器を持って何処かへ行ってしまった。何処へ行ったのかは気になるけど、今は不正利用に集中しよう。犯罪だけど、相手が先にこっちの領域を犯したんだから。償ってもらわないとね。

  [newpage]「きょ、今日はもう三回も中に出しただろ……。息子は帰ってきている、帰ってくれないか」

  「いいのか、そんな事言って?大事な大事な義理息子……壊されたくないだろ?」

  「ぐっ……う……」

  尻に指を這わされ、気持ち悪さと同時に。逃れる事の出来ない、ほんのりとした快楽に嫌気がさす。始めは痛みでどうにかなりそうだった。それが今や、右手では満足出来ないまでに至ってしまっている。この虎の言いなりにならなければならない事情があった。息子だ、大事な一人息子。血は繋がっていないが、それでも大事な家族。自分を犠牲にして、助かるのならと……。

  「もう商品には使えないが、個人的な処理穴としては十分だ。お? さっきやった時の液が残ってるな……」

  「うぐっ……や、やめ……ひぁん……」

  虎の指使いに、思わず声を出してしまう。自分よりも体格がデカく、漢らしい虎獣人。最初は嫌だった男の臭いも、今は体を興奮させてしまう。男に落ちてしまった、雄。これでは息子に顔向けできない。そんな心情を一切悟らず、虎は思うままに体を犯す。

  「随分淫乱になったなぁ。オレ様好みだ、ほら。ここが一番、感じる所だろ?」

  「はぅひぃ……や、やめっ……」

  欲しい、挿れてくれ。その言葉を、何とか飲み込む。息子はもう帰って来てしまっているし、鍵は掛かっていない。万が一にでもこんな所を見られたら、終わるだろう。

  「ほぉら、広がった。見てみろよ、挿れて欲しいですって疼いてるぞ。ここまでの名器も中々ないな」

  「ち、違う……そこは……う……ぅう……」

  「大好きだろ、ここ弄られるの。変態なパパを持って、息子も不幸だな」

  お尻で感じるパパ何て、知られたらどうなるだろうな? 悪魔の囁きだった。思わず虎の体を弾こうとするも。息子の顔が頭を過り、動けずにそのまま。そのまま、虎の勃起した肉棒を受け入れてしまう。

  「うひゃ……あっ……はひっ……うぅ……」

  「おぉ、いいぜ。中々の締め付けだ。やっぱ一からやるっつうのはいいもんだな。どうだ、店で働くっていうのは。雄にご奉仕するのが大好きなパパだって、子供に自慢出来るぞ」

  「い、いやだ……そんなのはぁ……」

  言葉とは裏腹に、熱い液体がせり上がってくるのが分かった。だが、どうする事も出来ない。息子一人守る力もなく、このまま虎の言いなりになるのか。虎は的確に、いい所を刺激する。しかし、ある言葉を待っているようだった。

  「あぁ、なんか今日はあれだな。ソソる言葉の一つでも言ってもらいたい気分だ。別に言わなくてもいいが……」

  口元を歪め、虎は様子を窺う。あぁ、言わなければ。屈辱の台詞。台本を読むだけだったとしても、雄の矜持を奪う言葉。

  「……中に出して、おれを……雌にして、ください……」

  「よく言えたな! ほら、ご褒美だ。もう雌なんて抱けない体になってんだよ、お前はな!」

  どくどくと、体に液が零れ落ちる。それと同時に、身体から熱が放出された。ベッドを汚し、一気に部屋は雄臭くなる。あぁ、もう……戻れない。このまま、ずっと……この負の連鎖に閉じ込められ続ける。不甲斐ない私をどうか、許してくれ……。

  「あぁ……すっきりした……」

  「……滑稽な物だね。証拠を撮られてるっていうのに、まさか最後までやるなんて」

  「……誰だ、お前は?」

  私のでも、虎の低い声でもない。息子よりも少しだけ大きい男の子の声が、部屋に響いた。

  「証拠はここにある、追いかけた方が身のためだよ。僕を捕まえないと、お前は逮捕される。はい、よーいドン!」

  そういって、証拠となるデータを虎獣人に見せた後。脱兎が如く外へ駆け出す。相手が見失わないように、距離を保って。追いかけたら追い付けると思わせる。

  「餓鬼が調子に乗るなよ、子供の足で逃げ切れる訳ないだろ!」

  「そうだね、逃げようとは思ってないよ。勝負って言うのは、始まる前に終わる物だからね」

  僕の挑発に、虎獣人はスピードを速める。……よし、狙いの場所についた。そっと物陰に隠れ、様子を窺う。勿論、隠れる姿は見せた訳だから。覗き込むように、虎獣人は僕を見つめ。狭い所に入ったから、途中で虎は突っかかったようだ。

  「おい、出て来いよ。今なら半殺しで済ませてやるぜ?」

  「……ふふ」

  何笑ってやがる。そう言いたそうな面は、保たれなかった。そりゃあ、そうだろう、いきなり自分が履いてるズボンを下ろされ。ついでとばかりにパンツも下げられたんだから。

  「おい、これはどういう事だ。何が起こってやが……うがっ!」

  「鬼ごっこは楽しかったかな? 僕は二度と御免だけど。あんたを犯したい奴を集めたんだよ、バリタチ募集です、尻を突かれるの大好きです。路地裏の狭い場所で挟まった振りしてますって書き込んでね。あぁ、後ろ振り返らない方がいいよ」

  僕でもちょっと直視するの辛いから。そうは言っても、目前……この場合目後かな。振り返る先には、屈強な獣人が何人も居た。性に飢えすぎだろと思ったが、今は有難い。それから数時間、虎は侵され続けた。最後にはお尻で絶頂を迎えられるようになったみたいだ。

  「もっ……許してぇ……謝る、謝るから……ちんぽ挿すのやめてぇ……」

  大の男が出すとは思えない、情けない言葉だった。その言葉に一切反応せず、男達は虎を犯し続ける。ついでに僕は虎獣人の携帯で勝手に契約を結んどいた。壁尻になってくれる雄獣人募集っていうアレな募集要項だったけど。自業自得って事で、ここはひとつ。

  「さてと、家に帰りますか。今日の夕飯は何にしようかな……」

  「ただいまー」

  「あっ……もう止め……これ以上出ない……! 出ないからぁ……!」

  「空っぽになっても、やれるだろ。ほら、もう一回中に出してやるから……」

  兄は雄獣人に中だしされたその後も、ごりごりに中を抉られた後マーキングされていた。今度はちゃんと、合意を取った上での性行為のようだ。色々意識とか飛んで情けないというか、獣人ってここまでいけるんだなと自分の可能性も見出されたけど。幸せそうだし、いいよね。僕は冷蔵庫で冷やしていたジュースに口をつけ、兄の寝室から聞こえる野太い喘ぎ声を無視する事にした。

  「……君。最近調子がいいじゃないか、どうだいこの後一杯」

  「はぁ、一杯だけなら……」

  そういわれパパは、新しいセックスフレンド略すと性行為愛好家の仲間入りしたみたい。折角雄の味から逃れられたのに、病みつきになっちゃったのかな。でも、パパの可愛い姿が撮影できるからぼくとしてはどっちでもいい。大人の玩具の開発にも手をつけたみたい、パパの体がどうなってるのか、後で聞いてみよう。

  ……何も解決してない気がするけど、兄は新しい大事な人が見つかったし。熊の大人も性欲を発散する相手を見つけたし。虎は性奴隷として社会に奉仕を始めたし。ハッピーエンド、だよね。

  END