異種との交わり

  [chapter:あっけない最期]

  たった一人になろうとも、戦うしかない。

  守りたい物が、そこにあるから。

  守りたかった者が、守ろうとしていたから。

  刀を構え、敵を見つめる。

  一人で敵う相手ではない。

  けれど、戦う他ない。

  逃げる事は、立ち止まる事と同義になっていた。

  せめて、相打ちに持ち込む。

  命を投げ出したって構わない、もう自分しかいないのだから。

  「……っ……ぁ……」

  僕の決意をあざ笑うかのように、猛攻が走る。

  回復が間に合わない、回避も難しくなってくる。

  相打ちには持ち込めそうにない……なら。

  自爆でもなんでも覚悟して……。

  「……あれ」

  胸に突き刺さるこれは、一体何だろう。

  痛みも感じない、徐々に視界が霞んで力が入らなくなる。

  ここで、終わり。

  どれだけの覚悟をしようと。

  過程がどれだけ苦労を重ねようと。

  終わるのは、一瞬だった。

  「……? 夢……?」

  壊れてなんかない、自分の部屋。

  やけにはっきりとした夢、だった。

  正夢、何てことはないよな。

  刀を構えて戦う、なんてゲームでもあるまいし。

  ……寝汗が酷い、着替えよう。

  「おう、おはようさん……大丈夫か?」

  「おはようございます。少し夢見が悪くて」

  叔父に挨拶をし、表情で勘づかれそうになる。

  大丈夫だと伝えれば、無理はすんなよと持っていた新聞に視線を落とした。

  夢、だよな。夢の筈。

  出てきた敵を切った感覚が残っている、不思議な夢。

  準備を整え、学校へと向かう事にした。

  「おはよう、直哉くん」

  「あぁ……おはよう」

  通学途中、亀人の友人である甲と会った。

  顔色がまだ青かったのか、叔父にされたように質問をくらう。

  「顔色ちょっと悪いけど、大丈夫?」

  「平気だよ、叔父にも同じ事を言われた」

  「無理はしないでね。それじゃ、行こっか」

  心配性だなと僕は友人の存在を有難く思った。

  学校につき、ホームルームが始まり通常授業が始まる。

  やがて放課後になり、本屋に寄って行きたいからと甲とは一緒に帰らず歩き出す。

  「……目ぼしい収穫はなかったな」

  運命の出会いは訪れなかった。

  帰るかと本屋を後にし、暫く歩いて僕は異変に気が付く。

  同じところをぐるぐると回っている。

  迷子にでもなったかと携帯を見れば、圏外の文字。

  そして、景色が変わった。

  春だというのに、一面銀世界。

  雪が積もった平原、ぼこっと地面が膨らみ球体が現れる。

  「…………」

  黄色い瞳でこちらを見やり、近づいてくる。

  どうするべきかと、逃げるか戦うかを迷う。

  ここは逃げた方がいいだろう、出口はどっちだと足を一歩前に出す。

  それが失敗だった。

  「うわっ……しまった、雪……」

  雪に足を取られ、転んでしまう。

  これを好機と、球体は僕に覆いかぶさりそうになった。

  覆われる直前、何かが球体を二つに切った。

  球体が地面に落ちた衝撃で、雪が舞う。

  雪が全て地面に落ちる頃、僕以外の誰かは何処にも見当たらなかった。

  「今のは……! まだ来るか」

  「…………」

  何か武器でもあればいいんだがと考えると、携帯が光りだす。

  こんな時に通知……でもあれ、圏外ではなかったか。

  不思議に思い確かめると、携帯から刀が出現した。

  何処に仕舞われていたんだと突っ込みたくなったが、武器は手に入った。

  夢で見た刀とは違い、シンプルなデザイン。

  ともあれ、やるしかない。

  「何処までやれるかは知らないが、黙ってやられる訳にも行かないのでね」

  一閃、球体を斬る。

  二つに割け、動かなくなった。

  終わった、のだろうか。ここを離れよう。

  「出口は……あっちか」

  不自然な境界を見つけ、急いで向かう。

  境界に辿り着くと、景色は元に戻っていた。

  「今のは……一体」

  何だったんだろうかと呟く声に答える者はいなかった。

  「おう、お帰り……雪でも何処か降ったのか?」

  雪を被ったまま帰ってしまい、ちょっと残っててと口にする。

  起きた事をそのまま伝えてどうにかなるとも思えない。

  取りあえずは黙っておこう。

  「…………」

  部屋に入り、ベッドへ転がる。

  さっきのは一体、何だったのか。

  分からない事だらけな事も、慣れない事をしてしまったからか。

  少し疲れた、寝よう。

  「……ん……ぅ……?」

  口の中に何かが入っている。

  神経を体全体に這わせれば、全身を覆うような熱を感じた。

  閉じていた目を開け、現状を確認する。

  僕よりも大きい、鮫人。

  口の中で動いているのは、舌だった。

  現状が分からなくとも、舌は僕の口内を貪る。

  「んぅうあっ……んぅうっ……」

  訳が分からないが、抵抗しようにも力が入らない。

  力を籠めようとはするが、力が入らなかった。

  なんでだと疑問を抱くも、鮫人の接吻は続く。

  「ん……あ」

  「……もう、挿れていい……よな」

  ……は?

  率直な感想はこれだった。

  何を言ってるんだ、こいつ。

  見た所、雄だよな。僕だって男だ。

  何を一体どうするのか、わからないままに準備が進む。

  敏感な部分に這う滑る冷たい心地。

  「ひゃ……冷た……ぁ!」

  「……キスしたのもそうだけど、大分解れやすくなったよな」

  その言葉に、僕はなぜか顔を赤らめる。

  遠回しに言っているが、つまりは。

  淫乱な体になってる、という事だろうか。

  「……ゃ……ちがっ……ぅあっ……」

  「違くない、違くない。……ここだな」

  「うみゃ……!」

  多分、一番敏感な部分。

  指を当てられ、体が跳ねる。

  性器から、先走りが溢れ出てきた。

  計略に嵌まった相手を嘲るような顔をする鮫人。

  僕の反応を楽しんでいるのは間違いないだろう。

  「やっ……ぁ……も……う」

  「我慢できない……か。そうだな、俺も限界だ」

  物が二本、挿入部で擦られる。

  それだけで、僕の頭は白く染まりどうにかなりそうだった。

  早く、早くと体が懇願する。

  「も……いれてくれ……よ」

  「……っ……あ、あぁ……」

  「……ぅあ」

  待ち望んだ衝撃、他者の熱。

  体が満ちていく、欠けていた何かが満たされていく。

  中は広がり、形を変える。

  入り込む熱い液体、僕の体は変になっていた。

  「うぁっ……ぁっ……もっと……ゆっくり……いぃ!」

  「すまん……俺、限界……」

  体が跳ね、僕は絶頂を迎える。

  精液を吐き出すが、鮫人は動きを止めない。

  絶頂を迎えながら、中を掻きまわされ。

  僕の脳は処理限界を超え、力なく崩れ落ちた。

  鮫人に甘えるように、体にしがみつく。

  「……ん……ぅ」

  「……直哉」

  最後に鮫人は、熱っぽく僕の名前を呼んだ。

  [newpage][chapter:銃と拳のぶつかり合い]

  「……見つけた反応は、この辺り」

  携帯を翳しながら歩く竜人の学生。

  背負っている鞄から、学校帰りである事が分かる。

  時間帯は放課後、そろそろ夕日も落ち暗くなってくる頃。

  帰宅しなければ補導され、翌日諸々の説教を食らうだろう。

  それを気にも留めず、竜人は反応を辿る。

  「誰か他にも、居る」

  一番手ではなかったが、相手が手練れとも限らない。

  ここは侵入し、排除を試みよう。

  竜人は何処からか銃を構え、消えていった。

  「……んぅ……う?」

  昨日よりは目覚め、よかったと思うけれど。

  また、おかしな夢を見ていたような気がする。

  内容、殆ど覚えてないけど。

  安心感みたいなのを得られた気がする。

  体を起こし、一階へと降りる。

  叔父は今日どうやら仕事らしい、居間に居なかった。

  準備を整え、僕も学校へと歩き出す。

  「おはよう、直哉くん!」

  「あぁ、おはよう」

  昨日も一緒に登校した甲と共に、学校への道を進む。

  彼と一緒の時、昨日みたいな事は起こらなかった。

  何か条件があるのか、夢でもみていたのか。

  少し考えている内に時間は過ぎ去り、放課後を迎えてしまう。

  「直哉くん、一緒に帰らない?」

  「いいよ、何処かへ寄っていくのかい」

  「うーん……用事はないから、まっすぐ帰っちゃおっか」

  分かったと頷き、甲と行動を共にする。

  昔からの付き合い、と言っても中学からだが。

  時折、行動を共にする機会がある。

  明るく素直で友達思い、彼とは友達になってよかったと思う。

  「そうだ、聞いて。昨日の話なんだけどね……」

  他愛のない話で、時間は過ぎていく。

  なんてことのない日常だけれど。

  変な夢や場所を見つけた僕にとっては、安穏へと導いてくれた。

  気のせいだったのかなと思うと、携帯が反応する。

  どうも普通の通知ではなさそうだ。

  (これは一体、何なのだろうか)

  「携帯、光ってるけど……」

  「関係のない広告だったよ、気にしないでくれ」

  「そっか」

  その後、僕は家に帰って寝た。

  怪しい場所を調べに行ってもよかったけれど。

  変に動きを取って心配されたくない。

  今日は大人しく寝ておこう。

  「以外にしぶといな、キミ」

  「優等生にはそろそろ辛いんじゃねぇの?」

  日常では考えられない空間。

  竜人の銃と、虎人の拳が戦いを広げる。

  狙いを定め、正確に弾丸を打ち込む竜人。

  それを受け流し、虎人は竜人の背後を取った。

  「そら、くらいな!」

  「……っ」

  「やっと捕まえたぜ、手間かかったな」

  「やるなら早くすればいい」

  「そう急かすなって。お前も同業者ならわかってんだろ。強くなる簡単な方法」

  卑しい瞳で竜人の股を虎人は見つめる。

  狙いはどうやら強さ、力に関係する事のようだ。

  虎人は乱暴に竜人の服を剥ぎ、露出と共に出てきた性器へ口を広げる。

  生暖かい心地が竜人を襲った。

  「うぐっ……うっ……」

  「ほはほは、ほうひた……」

  竜人はあっさりと性を漏らした。

  虎人が満足するまで、時間が掛かりそうだ。

  [newpage][chapter:きみのため]

  「どうしても、行っちゃうんだね……」

  「あぁ、それが……僕の役目だから」

  甲が道を塞ぐ。刀で攻撃すれば引いてくれる、と思うが。

  大事な友達を刀で傷つけたくはなかった。

  だが、行かないと。

  たとえ一人であろうと、立ち止まる訳にはいかない。

  どれだけの孤独を感じようと、未来を描いて見せる。

  「じゃあさ、一個。お願いしても、いいかな」

  「なんだい?」

  余り時間を取らないでくれよと言う前。

  一瞬だった、一瞬で……僕の意識は刈り取られてしまった。

  「うぁっ……あぅ……!」

  中で巨大な逸物が胎動し、体に強い刺激を与える。

  強い雄の臭いに、僕は支配されていた。

  種族の特徴でもある、巨大な肉棒で肉壁を抉られる。

  「ぁっ……うぅ……うぁっ……」

  呻くような声を出し、身をゆだねてしまう。

  自分の目的が、どうでもよくなっていた。

  快楽に浸っていたい、そう思ってしまったんだ。

  「……うぁ……や……」

  「どう、かな。気持ちいい……?」

  「ひぁっ……」

  極太の肉棒で体を揺さぶられる。

  一瞬、僕は自分の尊厳を投げ捨てそうになった。

  もう手遅れかもだが、これでも知的生命の端くれ。

  簡単に性に溺れる訳にはいかないのだが。

  「う……かっ……ぐっ……うぅっ……」

  「我慢はよくないよ……直哉」

  「っづ……それや……ひぅあ!」

  放物線上に、液が飛び散った。

  [newpage][chapter:何時かの平穏]

  「そっちだ!」

  「おう、分かってる!」

  斧で敵の動きを牽制し、刀で止めを刺す。

  大分連携も形になって来た、これならやれるかも知れない。

  「今日はこの変にしておこう」

  「ふー、疲れたな……消費は少ないみたいだが」

  ……分かっていると、僕はこれからする事を少し憂鬱に思う。

  寝ただけで全て回復すればいいのだがそうも行かないらしい。

  「うぁああ! うひぅっ……にゃ……」

  「耳、舐められるの好きだよなお前」

  「ゃ…ちがっ……ひにゃ!」

  耳を舌で舐められ、思わず嬌声を漏らす。

  抑えようとしても出してしまう声に、僕の体は熱くなった。

  興奮しているらしい、早く出したいと主張がされる。

  「最近素直になりやすくなったよな……」

  「なんのこと……だ……ぁあ!」

  一方的に体を愛撫され、熱が湧き上がってくる。

  生理的な現象、だけでは説明がつけられない程の熱。

  少なくとも、好意を持っている相手なのだ。

  劣情、仕方なしに付き合ってくれているとは言え。

  僕の体は素直に、鮫人の太い指を受け入れる。

  「ひゃにっ……んっ……」

  体格差もあり、僕は涙を垂らしながら上を向く。

  その時、体に鈍い衝撃が走った。

  伝わってきたのは、挿入部。

  場所を理解し、送られてきた快楽が齎したのは。

  僕の喜悦の声と薄っすらとした精液だった。

  「やにゃ……ぁ……」

  「出しちまったか、そんなに気持ちよかったか?」

  「気持ちいいに……決まってるだろ……」

  何度もやってるんだ、体はとっくになれ快楽しか生み出さない。

  こうなっては、僕はもう前だけの刺激で絶頂を迎えられないだろう。

  彼が僕に飽きたらどうするか、機械でも使ってやろうか。

  「あんまり煽ると……抑えないぞ」

  「それでいいさ、好きなようにし……ひにゃ!」

  言い終わる前に、出し入れが繰り返される。

  これまでの性交ではなかったピストン運動。

  口からは涎と喘ぎが漏れ、肉棒から精液を吐き出す。

  雄の臭いが、思考を鈍らせる。

  「ぅあっ……ぅ……んにゃあ!」

  「猫みたいだな……」

  煩い、放っておけと悪態をつくが。

  掘られながら快楽に浸っているので何も言えない。

  やがて熱が送られる、繋がった証拠が体に残る。

  また一歩、道を外した。

  [newpage][chapter:新しい未来]

  「君が、あの時助けてくれた鮫人なのだろう」

  「…………」

  僕は一つの答えに辿り着いた。

  きっと誰でも、この答えには行きつく筈だ。

  彼がどういった目的で動いているのはさっぱりだが。

  助けてくれたのは事実である。

  「改めて礼を言わせてくれ」

  「別に、気が向いたから助けただけだ」

  「それでも有難う、お陰で助かったよ」

  気難しい表情を最後まで鮫人はしていた。

  「はぁ……はぁ……う……」

  「大丈夫かい?」

  鮫人の息遣いの荒さが心配になり、声を掛ける。

  曲りなりにもパートナーだ、何かできる事はと考え。

  視線をふと、下に降ろす。

  平常時でも凶悪だが、興奮すると更に大きくなるのか。

  その事に気を取られるべきではなかった。

  一瞬の隙をハンターは見逃さない。

  僕の体を押し倒し、首に痛みが走る。

  どうやら、噛まれたようだ。それもかなりの力で。

  「いつっ……」

  「ふー……ふー……」

  「自暴自棄ではないが、暴走状態か……ぐっ」

  痛みに耐えようと、体に力を籠める。

  だが、うまくいかない。

  体に力を籠めようとするが、逆にどんどん抜けていく。

  どういう事だと、原因を調べる暇はなかった。

  ズボンが裂かれ下着は破られ、物が宛がわれる。

  それだけでも厄介だというのに、体を持ち上げられ。

  この体勢で挿入されたら、重力や諸々の関係で。

  深く、肉棒が体を突くだろう。

  「あ……ちょっと待っ……うぁ!」

  「ぐぅっ……う……う!」

  理性の欠片も残っていなかった。

  繁殖だけを目的とした獣。

  性別の区別がついていないのかと、必死に呼びかける。

  「……っ……僕は男だぞ……ひぁっ……」

  「ぐぅああ……」

  「あ……や……ぁ……そこダメ……ひぁっ」

  乱暴に突かれている筈なのに、情けない声を漏らす。

  噛みつかれたとき、何かされたのか。

  体を突く衝撃が心地よい、ずっと浸っていたいとすら思う。

  いけない、正気を保たなければと食いしばるが。

  それもすぐに、荒々しい突きで無為となる。

  「ひぁっ……ひぅっ……あ!」

  体が仰け反り、白濁の汁を漏らす。

  部屋が雄の臭いで満たされ、僕の体が精液を出し尽くすころ。

  漸く、行為は終わりを告げた。

  END