鯱人の憂鬱な一日

  落ち着いて、息を吐いた。それは、自分の体の変化を異常だと感じた脳が取った。頭を冷やす行動。幾ら、頭を冷やしても。自分の体に起きた変化は…紛れもない現実。そうっと、体に出来上がった。不自然な部位に手を当てて…感触を確かめる。僕は、雄だった筈だ。スリット…収納器に性器が入ってるけど一応は雄。なのに、何で…昨日まではなかった器官が体に出来上がっていた。スリットの真下に…熱く湧き出る感覚がある。

  

  「へ……ぁ………?……何……これ?」

  困惑するしか、なかった。スリットは確かに存在し、中にはちゃんと自分の物が仕舞われていた。けれど、その下には……中が液で溢れている不自然な器官が出来上がっていた。これが、何なのか…理解するには…全てが足りなかった。

  

  「スリット……は、ある。じゃあ……これ…………」

  なくなった感覚はない、むしろ増えている。スリットの真下に、不自然な器官が。そうっと、周囲を手で弄れば。中から液が漏れだし。これが自分の物だと証明するかのように、口からは声が漏れ出て僅かにスリットの中に熱が生じる。

  

  「ひっ……ぁっ………ぁっ………っ………びょ、病気……?」

  こんな症状、聞いた事がない。増えた器官…それが何なのか、見当は一応…何となくは分かった気がした。受け入れられるかと聞かれれば、別だけれど。新しく出来た自分の器官は、触れる度に脳を刺激し…熱を体に集める。不安になり、中がどうなってるのか確認するのが怖くて。そっと、指を入れてどうなってるのか調べる事にした。

  

  「んっ………ぁっ……何……これぇ………っ……ひっ……ぁ……っ……へぁああ!」

  中がどうなってるのか気になってしまい。中を調べてしまった。指で、ほんのちょっと弄っただけ。けれど、身が焦げるような快感が脳に襲う。声が出たと思った瞬間、スリットから性器が飛び出し先端から雄の匂いが漂う先走りを垂らす。器官は指に吸い付き、離してくれない。

  

  「やっ……やっ……っつ………ぁ……ぁ……ひぁ………!」

  脈を打ち、その場に精液をまき散らす。性器は精液を放出するが、満足していないのか萎える様子はない。指を入れた器官も、物足りなさそうに内壁を晒しひくついていた。堪らず、顔に熱が集まる。僕の体、どうなっちゃったんだろう。不幸にも、今日は講義がある日。休む訳には…行かない。

  

  「……ふっ……ぅ……あ……休む訳には……行かない……よねっ……っ…」

  時間に、未だ余裕はあった。熱を冷ますように、頑張って体に風を当て冷ましながら。服を着て、じっと我慢を続ける事になった。

  

  「ふ……ぅ……はぁ………そろそろ、行かなきゃ…」

  時間になっても、体の熱は冷める事がなく。むしろ逆…高まってきている気がした。でも、行かないという選択肢は外れていて。講義を受ける為、駆け足気味に僕は大学へと足を運んだ。

  

  

  「……お、終わった………ぁ…………」

  何とか、午前の講義を乗り切り。後は、帰って休むだけ…。体の事を相談出来る友人は、居なかった。今の状態を誰かに悟られでもしたら、大変な事になる。僕は急いで出した物を片づけ、大学から立ち去ろうとするけど。不幸にも、掴まってしまう。悪意は感じられないけど、今の状況だと非常に困る相手に。

  

  「おっす!大丈夫か、顔が赤いぞ何か変な事でも考えたか?」

  特に、親しい間柄でもない筈の虎人。虎構威狩が僕に話しかけて来た。非常に、困る。今話しかけるのは勿論の事、体を触られるのも。僕は話しかけて来た相手を頑張って避けようとして、身支度をして急いで足を運ぼうとする。

  

  「あ、おい待てったら!」

  相手の制止の声に耳も傾けず、僕はただ只管歩き続けた。今日だけは、勘弁して欲しい。足が速いって訳じゃないけど、人が込み合うここなら波に乗れさえすれば後は平気だろう。目論んだ通り、僕は虎人を撒く事に成功した。

  

  「急いで……っ……帰らない……と」

  足早に、立ち去る事にした。急ぎ足で、一刻も早く家に帰って。どうにか出来るか分からないけど、熱くなる体をどうにかしたくて。無我夢中で、足を帰路に立たせた。

  

  

  「………はぁ………はぁ…………」

  無事、家には着く事が出来た。服を急いで脱ぎ捨て、体を冷まそうとする。下半身を見れば、スリットの下にあるのは今朝見たのと同じ穴のような器官。液が漏れ出、溢れ出している。体の熱は、高まり過ぎていた。熱を自然に冷ませそうに…なかった。

  

  「どうし……よ……………………………」

  周りには、誰も居ない。部屋は静かで、僕以外には居ない。朝起きた事がちょっと怖いけど、しょうがないと結論を付けて。僕は…熱を持った、スリットの下の器官を弄り始めた。触れるだけで、痺れるような痛みと快楽が脳を襲う。触れただけで、スリットから性器が飛び出し先走りを垂らす。量が多く、先走りの匂いが鼻に辿り着く。興奮は、最高潮に達していた。

  

  「はぁ…はぁ……ふ……っ……ぅ……はひっ……ぁ……ぁ………」

  指一本では、物足りない。二本、三本と増やしていく。指の本数を増やす度に、体は跳ね快感を覚える。未知の感覚だった。指で中をちょっとでも動かせば、溢れ出るのは自身の精液。指には、粘り気のある液が纏わりついて来る。癖のある匂いで、精液に似ている…と言うよりは、精液そのものな気がした。白く濁ってはいないが、透明で粘り気がある液体。

  

  「うっ……ぁっ……はっ……ひぁ……はっ………ぁ……っ……!」

  中を自分で侵し、治めようとする。精液が溢れ、止まらない。部屋には自身の体液がこびり付き、匂いを発している。大きく、脈を打って。叫ぶように声を出しながら、絶頂を迎えた。

  

  「ひぁ……あっ……っぁ……うぁああああああ!」

  性器の先端から溢れ出るのは、大量の精液。我慢していたのもあってか、量はとてつもなく多かった。一回の射精で、満足出来なかったのか。萎える事なく、性器はそそり立っている。同時に、指を入れている器官も…指に吸い付いて来て離れそうにない。

  

  「やっ……ぁ……ひぁ……ひっ……ぁ……うぁ……ひや……あぁ……!」

  体が、満足するまで…指を動かし続けた。何回も達し、何回も吹き出す。快楽に溺れそうになるのを、必死に堪えて。部屋を精液で満たしながら、治まるのを…待った。

  

  「は……ぁ………は……………………」

  漸く、溢れ出る体液が治まって来た。だらだらと未だ垂れているが、熱さは少しだけ弱くなっていた。でも……先に見えた不安は、大きすぎた。地に足を付けて、不安を零す。

  

  「ねぇ……僕の体……どうなっちゃった……の?」

  指で触った途端、再び体が熱を持ち始め。羞恥を覚えながら、治める為に、体を慰め続けた。

  

  「う……ぁ………ぁ…………」

  もう、朝になっていたらしい。気怠さが残った体は、昨日の事が夢じゃないのを示していた。軽く、現実に絶望を覚えながら。立ち上がり、身支度をする。今日も、講義はある。憂鬱になりながら、サボる訳には行かないと思い。気力を振り絞って、体を動かした。

  [newpage] 厄介事は、突然舞い込んで来るんだって最近分かった。何事もなく、講義は終わり。急いで支度をして帰ろうとしていたら。有無を言わさず連れ去られ、近くのトイレへと連れ込まれた。僕を連れ込んだのは、昨日絡んで来た虎人の虎構。警戒しながら、二人で入るのは狭すぎるトイレの個室で。異議を唱えようとした。

  

  「何の……よう………………………っ………?」

  体の火照りは、高まって来ていた。息をするだけで苦しく、じんわりとだけど衣服に体液が付着し始めている。今の体を誰かに悟られる訳には行かないと思いを固めていると。無言のまま僕をここに連れてきて。こちらの体を睨むように見た後。悪戯を思いついたような、笑みを顔に浮かべて。懐から、携帯を取り出し。ある映像を見せて来た。

  

  「……これが、何なのか…お前だったら分かるよな?」

  見せられた、携帯の映像に映っていたのは…僕だった。体に迫る身の脅威。それは、二つの意味を含んでいたと思う。一つは、プライバシーの侵害。そして、もう一つは…今の状況。映像の問題は、そこじゃなかった。僕が映っていて、内容は…昨日の自慰の映像。僕の部屋で、体の異変も全部映っていて。羞恥が、僕を襲った。頬が熱くなる…でも、目を離す事は出来なかった。

  

  「………え………ぁ…………何で…………」

  「…………………バラされたくなかったら、言う事を聞け……ってな。で、どうする?」

  どうするも、何も…。拒否権は、僕にはなかった。大人しく、従う事しか出来なかったと思う。何も出来ないと感じ、僕は無言で首を縦に振った。

  

  ズボンを脱ぎ、虎人は性器を僕の前に出して来た。狭い個室の中に居るせいか、匂いはキツク直ぐに鼻に伝って来た。嫌悪の感情を表に出す。けれど、体は違う反応も見せていた。目の前に出された物が、欲しいと感じてしまう。首を振って掻き消そうにも、狭い為か出来ない。性器を口元に当てられ、無理やり…口を開かされ突っ込まれる。

  

  「んっ……がっ………っ…………!」

  「は……噛むなよ?抵抗する素振りを少しでも見せたら…分かるよな?」

  「っ……んぅ……んっ………」

  口の中で、入れられた物を舌で転がす。ねっとりと、舌全体で入れられた物を舐める。濡れた性器は、段々と大きくなっていき。歯を当てないように舐めていると、口に収まりきらない程大きくなっていた。

  

  「っ……っ……がっ………入らない……よ……っ……!」

  「入れるんだよ、言う事を聞け。な?」

  手で顔を掴まれ、離れかけていた距離が一気に縮まる。むせかえるような匂いと、味が広がっていた。口内は侵され、不快さを感じている。入れられた性器の先端から、先走りが漏れ始めた。液が口内に満ち溢れるように、中を浸す。

  

  「んっ………んっぐ……んっ……………っ……!」

  「はぁ………よし、口を離せ」

  これで、終わるのかと淡い期待を僕は抱いてしまった。性器は口から抜け、後味を残すように先走りは残る。鍵を掛けられ、未だ終わらないと悟り気分が落ちる。服を脱ぐ事を強要され、抵抗出来る訳もなく。肌を虎構に晒した。

  

  「……も、いいでしょ………帰して……よ」

  「未だだ。折角手に入れた物をそう易々と離すかよ。……弄ったら気持ちいいのかここ」

  手を伸ばされたのは、スリットの真下の器官。もう、そこは濡れてしまっていた。穴の近くはじっとりと粘着性のある液が垂れてしまっている。それを見た虎構は、液を手に付着させた後。品定めをするかのように、指を穴へと入れて来た。同時に、口からは声が漏れ出て自身の性器から体液が溢れ出してしまう。

  

  「……っ……ぁ……だ……めっ………っ……う……ぁ………!」

  「へぇ…本当に、感じるんだな。……さて、相談がある」

  相談があると言われた後。中に入れられた指が一度引き抜かれた。こんな事で終わるとは、到底思えなかった。何を要求されるのか、恐怖を感じながら。じっと、言葉を待った。

  

  「……入れて下さいって言ったら、お前の体を慰めてやる。撮った映像も消してやる。さぁ、どうする?」

  「……それ……は…………っ…………」

  話が、旨い方向に傾き過ぎている気がした。それで終わるようにも思えなかったし、何か裏があるんじゃないかって思えた。それでも、他に出来る事はない。断ったら…全てが終わる。僕は…口にする。口にした後、体に火が付くような感覚がするのを覚悟して。

  

  「……………入れ……て……下さい」

  「………何をだ」

  「………性器を……ここに…入れて…下さい」

  指で、広げていた。穴は広がり、求めている。スリットから性器は飛び出し、液を先端からどろどろと垂らしていた。欲しくて、堪らない。穴の中も、濡れていて欲している。抗う事は、出来なかった。

  

  「……っ!……そうだ、それでいい。……入れるぞ」

  「あっ………あっ………あっ……あ……………」

  初めての、感覚だった。痺れるような快感に、痙攣する体。無理やり、押し込まれるように太い虎構の性器が中へと侵入して来た。未知の快楽。物を入れられただけで、絶頂へと達してしまいそうな位に、強い刺激。スリットから出た性器は、先走りを垂らし我慢の限界を迎えそうだった。濡れ、漏れ出す液体。快楽で、埋め尽くされそうだった。

  

  「うぁ……あっ……あっ……ひぃ……っぁ……あ…………」

  「ふ……んっ………ちょっと……きつ………なっ………」

  ……快楽で、埋め尽くされた。物は中で暴れまわり、僕の体を侵す。少しでも中の肉壁と擦れば、身が焦げる快楽が脳を襲い。体は電気を浴びるように、声を漏らし痙攣を起こす。おかしくなりそうで、既に…おかしくなっていた。感覚の麻痺。後には、退けない。

  

  「ひっ……ひっ………ぁ………っ………!」

  「うっ………がっ…………………………!」

  体は、絶頂を迎えようとした。痙攣を起こして、最大限まで……理性は、保っていた。体は、理性を否定するように。精液を、溢れんばかりに放出する。穴の中にも、勢いよく…満たすように液が注がれる。

  

  「いひっ……あつっ………っ………うぁああ………!」

  「ふっ……がっ…………あああああ!」

  周囲を、自身の液で汚す。中を、虎人の液で侵される。吸い付きは、収まり。中に入っていた虎構の性器は抜き出され。後に残ったのは、倦怠感と疲労だった。

  

  「………ひっ……は……ぁ……消して……くれる……よね」

  「あぁ……約束通り……。でも、未だ満足してないだろ?」

  言葉で、否定が出来なかった。萎える事なく、自身の性器は勃っている。未だ、満足していない。けれど、頷くわけにもいかない。携帯を取り出し、しっかりと…削除したのは見届けた。

  

  「夜になったら、指定する場所に来い…もっと、気持ちよくなりたかったらな」

  耳元で囁かれ、虎構は勝ち誇ったように…足を大きく動かし何処かへと去って行った。僕は、体に残った出された液を全て拭き取り。疲労が残る体で、誰にもばれないように…その場を後にした。

  

  

  最悪だって思った。今日は、一番運が悪い日。溜息を吐きながらも、やる事はしっかりやらなくちゃと思って手は止めていない。…さっき起こった事を、気持ちいいって思ってる僕が居て。それが…何だか、変な気分にさせる。

  

  「おーい、手が止まってるぞ鯱藻。何かあったか?」

  「ふふぇあ!な、何でもないよ。心配してくれてありがと、でも…大丈夫…だから……」

  手が止まってると言われ、取り繕うとしてミスを犯しそうになる。やや、危なかったけど一応は何とかなった。ほっと息を零し、注意をしてくれたのは。バイト先で知り合い…意外と馬があってそれなりの交流をしている竜守くんだった。僕よりも少し大きく、竜人の特徴でもある翼が生えている。結構、体も鍛えているらしい。

  

  「大丈夫、には見えないな…よし、終わったら食事でもどうだ?奢るからよ」

  「……………ありがと、考えておくね」

  今は、目先の事に集中しよう。…相談するか、一瞬迷った。でも、竜守くんになら大丈夫…かな。いざって時は、頼れる存在ではあると思って。僕は、帰り際に食事の誘いに乗り…体の事を相談する事にした。

  

  訪れたのは、お洒落とは言えないけれど落ち着いた雰囲気のカフェだった。なるべく奥に座り、飲み物と軽食を注文した後。周囲に、人が居ないか…カフェだけど。幸いなのかは分からないけど、周りにはあんまり人が居る気配はなかった。きょろきょろ辺りを見回す僕を不思議に思ったのか。口から息を吹き出し、竜守は安心させるように優しい声色で言ってくれた。

  

  「大丈夫だって、ここ結構穴場なんだよな。ちょっと変なメニューもあるけど…。ま、それ以外は良い場所だぜ?」

  「店の人に聞かれたら、渋い顔されそうだね……うん……その……ね」

  言ってもいいのか、僕は逡巡した。でも、相談に乗ってくれそうな友人は彼しかいない。僕は、重く口を開いて。小さな声で、怯えたように口にした。

  

  「…………落ち着いて……さ。聞いて欲しいんだけど…」

  「…………結構、深刻な悩みっぽいな。……恋か?」

  「………………茶化さないでよ……」

  「悪い、悪い。……ちゃんと聞く。何があったんだ?」

  声が、震えるのが嫌な位に分かった。僕の様子を見て、竜守くんは深刻だと判断したのか。生唾を飲み込み、聞く姿勢を取ってくれた。今度こそ、言うぞと決意して。声に出す。

  

  「…………体に………さ。その………………………」

  「…………落ち着けって。大丈夫だからな?カフェっつっても…実はここ俺達以外居ないし。さ、存分に悩みを相談したまえ!」

  手を大きく広げ、大らかさをアピールしていた。最後まで、迷ってるけど。相談しても、いいよね。…手遅れになってるけど、それでも……。

  

  「……………………出来たんだ、よく分かんない物が」

  「……………………………?」

  これは、僕に非があった。よく分からない物と言われた竜守くんは、首を傾げて不思議そうにしている。けど、問い詰めて来ない辺りに優しさを感じて。続きを、僕は話す事にした。

  

  「えっと……何て………言うか」

  「安心しろ。お前が何を告白しても受け入れる準備は出来てる。だからほら、吐き出してスッキリしろ。楽になるぜ?」

  「………出来たんだ……穴が………その……変なのが……」

  顔が、赤く染まったと思う。熱が集まるのを感じる。正直に告白出来たかどうかは分からない。下を向き、僕は竜守くんの反応を待つ事にした。息を吸い、吐き出した後。竜守くんは、僕に言ってくれた。

  

  「あ~……俺、医者じゃないからよく分かんないんだけど。取り敢えず、どんな感じか知りたい。店の人にちょっと頼んで…誰も来ないように手配するから。奥に来てくれないか?」

  こくりと頷いて、僕は…竜守くんの誘いに乗って。店の奥へと一緒に行く事にした。

  

  

  店の奥は、店内の地味さとは真逆だった。視界に入る物全てが、派手で存在感を放っている。壊すのが怖かったから、手では触れなかったけれど…。椅子二つと、柔らかそうな大き目なベッドが一つある部屋に…僕は竜守くんに案内された。

  

  「…………で、だ。変なのって一体何なんだ?」

  「えっと………脱いだ方が、分かり易いんだけど……」

  火が、体に付きそうだった。見せるのは、恥ずかしい。けれど、口で説明する訳にもいかない。均衡に見えて、あっさりと崩れそうな葛藤。どうしようか迷っていると、竜守くんは後ろを向き、普段の穏やかな口調で言ってくれた。

  

  「ほら、後ろで目瞑るから。早く脱いで何処が異常か言ってくれ。…安心しろ、何が来ても大丈夫なよう覚悟してっからさ!」

  親指を立て、頼もしくそう言ってくれた。恥ずかしい……けど。僕は決意を固め、下半身の服を全て脱いだ。見せるのに、戸惑いはあった。でも、戸惑い以上に…分かってくれるかもという期待が上回り。声を掛けて、竜守くんに合図を出した。

  

  「えっと……いい……よ」

  「ほんじゃ、いくぞ……それっ……!…………見た限り、変わった所は………ん……ん………ん!?」

  「あ……あんまり、見ないで欲しい……かな」

  凝視され、一気に恥ずかしさが舞い込んで来た。まじまじと見られるのは、予想していたけれど…やっぱり恥ずかしい。目を見開いて、何度か竜守くんは目を擦った後。僕に、確かめるように聞いて来た。

  

  「………何だ、こういう事を言うのはおかしな事だと思う。何があった」

  「僕にも、分かんない……突然、体に出来ちゃって…」

  「だよな……。怖かっただろ。……安心はさせられないけどさ、それでも頼ろうとしてくれてサンキューな。力になるぜ」

  力になるぜ……その言葉は、頼もしかった。解決策があるって事じゃないのに放たれた言葉。それでも、十分に……僕の力に…なってくれた。

  

  「………ありがと………ね」

  「任せろって……。さて………と」

  穏やかな目が、獲物を前にした獣のような瞳に変わるのを…僕は見逃さなかった。…大丈夫……だよね?不安になりながら……竜守くんが、僕に近づいて来る。近づかれたと思ったら、竜守くんの手が…凝視した穴じゃなくて、違う場所…お尻の近くを撫でるように触られる。

  

  「えっ………ぁ……………?」

  「……油断し過ぎ……なぁんちゃってな。お前な、無警戒過ぎるぞ?俺だからいいとして、これがもし煩悩に塗れた奴だったらどうするんだよ……ま、お前なら多分大丈夫だろうけどさ」

  「………う……ん……っ………ぁ…………」

  体が、熱を持ってしまった。もう、どうする事も……出来ない。物が勃ち、竜守くんの体に当たる。堪らずに、恥ずかしさで顔に熱が集まって…頬が赤で染まったと思う。

  

  「ごめ………んっ……………っぁ……竜守……く………ん……?」

  僕は、直ぐに竜守くんから離れようとした。けれど、竜守くんに手を後ろに回され抱きしめられる。何が起こったのか、一瞬理解が出来なかった。でも、直ぐに…熱された頭を冷やして。慌てて、離れようとする。

  

  「ごめっ……ごめっ………ん………離れるから……離して……っ……」

  「……俺、どんだけ信用ないんだよ………辛いのか…?」

  「…………う……………んっ………はっ………ぁ………」

  物を見せて、当てて…相談に乗ってくれたのに…酷い事しちゃったなって思った。直ぐに離れて、服を着ようとしたんだけれど。辛いという質問に、僕は肯定した。頷いた僕を見て、竜守くんは…僕の性器を、躊躇なく…舌で舐めた。

  

  「えっ………ぁ……ひぁ!」

  声を漏らし、一瞬抵抗するのを止めてしまう。直ぐに、僕は我に返り。口で言葉を発し、竜守くんを止めようと思った。舌の生暖かい感覚が、僕の性器を包む。歯が当たる、痛みは感じない。舌で性器の全身を撫でられ、吸われる。声が漏れ、達しそうになるけど…僕は…耐えようとした。

  

  「やっ……ひぁ……!……っひっ…………う………っ……」

  「……………抵抗、しない……のか?」

  「出来……ないんだ……っ……よっ………気持ちよすぎて……っ……!」

  思考が、真っ白で埋め尽くされて。考えが、纏まらなくて。舐められる刺激が、強すぎて。僕は、何も出来ずに居た。それを、耳に…してしまった竜守くんは。顔を赤くして、一旦性器から口を離して…僕の耳元まで近づいて囁いて来た。

  

  「……ベッド、近くにあるだろ。あそこまで行くぞ…」

  「……………う………んっ……………」

  断る事が、出来た筈だった。ここで首を横に振れば、なかった事になる筈。それなのに、僕はしなかった。僕は…僕達は…柔らかなベッドへと近づく。無言のまま、ぎこちなく。

  

  「………横に、なってくれ」

  「………分かった……よ」

  竜守くんに言われた通り、僕はベッドに横になった。予想以上に、ベッドは柔らかく。体を包み込んでくれた。安心を覚えたのも束の間。竜守くんが、直ぐ迫って来て。後、少し近づけば…頬に口が当たる距離まで近づかれる。

  

  「あっ……近い……よっ……………」

  「………近い……か。なら、もっと……近づく」

  ベッドの横には、潤滑剤が入った容器があったらしい。竜守くんは、潤滑剤を手に盛れるだけ盛り込み。僕の体、全身に塗って来た。肌と手が…ごつごつとした、男らしい手が肌に触れる度に…緊張が高まっていく。

  

  「……っ………ぁ………っ…………ん…………!」

  「………声、漏れてるぞ」

  口にされる言葉、弄っている手。容赦は、してくれそうになかった。荒々しくも、傷つけない様にと…全身に塗られた後。竜守くんは…スリットの下に出来た穴よりも下にある…そこに、指で…塗られる。

  

  「……っ……あっ……ひぅ……っ………ぁ…………!」

  「敏感……っ………だな。………初めて……だよな………」

  「……っ………う………ぁ……そうだ……よ……っ……………」

  じんわりと、液が中に満ち溢れる。初めてなのに、既に中は広がっていて物を欲しているのか。肉を蠢かせている。指で更に、中を広げられ。見られているという事に羞恥を感じる。先走りと、液が…性器と、穴から洩れ…ベッドを汚して匂いを放つ。

  

  「………………そ………だよな」

  「…っ…………本気……ぁ……だよね」

  「……………あ………ぁ……………」

  欲しくない……とは、思ってない。心の準備は、出来ていないけど。体は、熱を持ち…受け入れようとしている。

  

  「…………………っ…………ぁ………」

  「………入れる……ぞ」

  大きい、物だった。裂けるのではないかと思う位に、竜守の物は脈を打ち胎動している。それが…ゆっくりと…濡らされた僕の体内へと侵入して来る。痛みで、声が漏れ出る。痛みの中に、僅かながらも…快楽を含んでいた。

  

  「はっ………ひぁ……っ………ひぅ……うっ……ぁ……」

  「っ……ぁ……流石に…厳しい……っ………か………?」

  中で、更に大きさを増す物。溢れ出て、匂いをまき散らす自身の精液。ゆっくりと、物は中へと入り…。全てを、僕の体は呑み込んだ。少しでも動かれれば、自身からは声が漏れ…達しそうになる。それを、僕は…必死に堪える。

  

  「っ……ひっ……ぁ……あっ…………あぁ……あ………」

  「辛い………なら………っふ………我慢……しなく……ても……いい……ぞ……?」

  口を噛むようにして、恥ずかしさを必死に抑えながら。堪えようとして、力を入れる。中で暴れまわられ、達しそうになるも。寸前で、堪えていた。しかし…がっしりと、僕の性器を…竜守の手に掴まれる。

  

  「え………ぁ………ひぁ……まっ……だ……めっ……りょうほ……弄った……ら……!」

  掴まれた性器を、上下に扱くように手でしごかれる。我慢は、出来そうになかった。他人に弄られる快感に、中を侵される感覚が同時に襲う。刺激が、強すぎた。先走りが溢れ出るように、自身の体と周囲を汚し。我慢できずに、僕は…痙攣しながら…声を挙げて…。

  

  「やっ……も………だっ……………うぁぁぁあああああ!」

  「うっ……がっ………きっ…………………っ……………!」

  勢いよく、僕は性器から体液を噴出した。留まる事など、考えて居る訳もなく。吹き出すように精液は漏れ出、竜守くんの体に掛かる。果てた後の、僅かな時間。未だ、体は…満足してくれそうになかった。脈を打ちながら、萎える事なく…立っている。それが…堪らなく…恥ずかしい。

  

  「………ひっ…………ぁ………も……いい……よ。………だいじょ……うぁ!」

  「………未だ、満足……してないだろ………」

  「………う……ん…………………」

  体は、再び熱を持った。僕の体の熱が治まるまで…竜守くんは…協力してくれた。

  [newpage]「ふ………ぅ………はぁ………………」

  呆然とした意識で、外へと出た。肌を撫でる空気が、嫌な位に寒く突きさすように感じられる。とぼとぼと帰路に立とうとしていたら、メールが一件…新着で来ていた。中を覗くと、件名は…竜守より。

  

  「………夜、俺の家に来てくれ……か………」

  マップも添付されている。問題なく、向かう事は出来そうだ…。さっきまでの情事を思い出しそうになり、顔から火を吹き出しそうになるが。それを耐え、平静を取り繕うように。僕は携帯をバッグに仕舞い。家に帰る事にした。日は、もう少しで沈みそうだ。

  

  「も………今日は……早く帰ろう……」

  重くなった体を、何とか動かして。僕は、帰る為に道を歩く…。そして…今日は、かなりの厄介事に巻き込まれるらしい。普段なら、絶対に通らない場所。アパートに早く帰りたいと言う思いが裏目に出てしまったらしい。通ろうとしていた道に、誰かが倒れている。第一印象は、僕的にはあんまり関わりたくない。厳つい感じの獣人…種は熊獣人だろうか。うつ伏せに、倒れている……放っておくって事にも行かないし…。息を吐いて、僕は…倒れていた熊獣人を助ける事にした。

  

  「…………………すまない、助かった」

  「……いえ、何もないなら…よかったです」

  どうやら、助けた熊獣人は僕のマンションの近く…と言うより、最近隣の部屋に引っ越して来たらしい。道が分からずに、迷って歩き続けた結果。倒れてしまい、僕が見つけた…。部屋まで案内したら、早く立ち去ろう。僕は、熊獣人さんを何とか背負いながら。鍵を借りて、熊獣人さんの部屋へと足を運ぶ。中に入ると漂って来たのは、乱雑に置かれた荷物と家具。……最近……まぁ、いいか。そんなに気にする事でもないなと思い。横に寝かせて、そのまま…僕は立ち去ろうとする。

  

  「……………待て……助けてくれた……お礼を……」

  要りませんと、僕は直ぐに言おうとした。けれど、何処にそんな力があるのか。足を掴まれ一歩も踏み出せなくなる。何だろう、理不尽に見舞われる事が多い気がする。数分だけ話して、立ち去ろうと思い。お礼を…何が来るか分からないから不安だけど。貰う事にした。

  

  「………………あの、お礼は後日…」

  「……そんなに、怖いか……?」

  何だろう、厄介事の種を蒔かれている気がする。ここは、早く隣に…部屋に戻った方が良い気がした。僕は説得しようと、気にしていられる事を持ち出そうとした。けれど、怖いと聞かれて一瞬答えを迷ってしまう。

  

  「……そういう事じゃ、ないんですけど…」

  「……そうか」

  グイッと、何故か…熊獣人さんは近くにあった…本当に、ピンポイントで飲み物が入っているのを引き抜いたらしい。手に缶を持ち、口元へ運んでいた。…それが、お酒だという事を僕は見逃さなかった。嫌な予感が当たりませんようにと祈りながら、静かに頬に汗が伝って来る。

  

  「…………………ぷはぁ……………」

  「あの………僕、そろそろ失礼し……」

  「何だ…未だ何もしていないじゃないかぁ……」

  じりじりと、にじり寄って来られてしまった。逃げ場は、後ろにあって。直ぐに駆け出して逃げようとしたんだけれど。僕が動くよりも早く、追いつかれてしまい体を拘束される。腕を使われ、絞まる感覚。痛みが、体に走った。

  

  「イッ………タ……ッ……!」

  「おっと……すまん、何分…加減が利かなくてな…次からは気を付ける」

  「離して……イッ……ッツ!」

  絞まる力が、段々と強くなっていく。体に力が入らなくなり、気絶しそうになってしまう。このままじゃいけないけど……抵抗する手段がない。力を振り絞ったとしても、僅かに相手の腕が動くだけ。毛の触りが伝う…だけだった。

  

  「うっ……イ……ッ………!」

  「この位で根を上げるとは……根性が足りんぞ」

  思考に過る、嫌な予感。当たるなと念じても、結果は変わらない。一瞬だけ、相手は隙を見せた。僅かに出来た、相手の隙。そこを縫って脱出を試みた…けれど。それ自体が罠だった。

  

  「……うぁ……!」

  「…逃がすと…思ったのか………?」

  転ばされ、態勢を崩される。痛みが体に走り、頬に涙が伝いそうになるけれど。必死に堪えて、その場から逃れようとする。再び、手の構えが見えたから。僕は咄嗟に、目を閉じて痛みに耐えようとした。

  

  「………ッ…………え……ぁ……っ!」

  「………随分と、反応がいいんだな……」

  腕の構えは、僕に腕を振る予備動作などではなく。僕の体を弄る為に出した手のようだった。服越しにだけれど、手の感触が性器に伝わる。微弱な刺激だけれど、体に熱を集めるには十分な刺激。息が漏れ、熱を含んだ息が吐きだされる。

  

  「は……ぁ…………待っ……て……下さ……いっ………!」

  「………ここまで来て、待てというのも…残酷ではないか……?」

  手の動きを、相手は止めてくれなかった。それ所か、より一層激しさを増している。服は脱がされずに、服の上から撫でるように触られる。微弱な感触だけれど、声は漏れ出て熱は集まる。

  

  「ひっ………ぁ………うぁ…………!」

  「……何だ、男でも感じるのか……。なら、安心だな……」

  僅かな微笑みを見せられる。安心出来る要素は、こっちにはないように思えた。そんな僕の気持ちが、相手に伝わる筈もなく。されるがままに、体を弄られる。じっとりと、下着には…液が漏れ濡れ始めていた。

  

  「は……ぁ………う…………ぁ………」

  「そんなに、緊張するな……。慰めてやる」

  必要、ないですと声を大にして叫びたかったけれど。させてくれそうになかった。どうしようかと考えて、僕は…必死に体をバタバタと動かして抵抗をする。

  

  「…………っ……放して……!」

  「………む………」

  「い、今………なら!」

  一瞬だけだけれど、隙が…今度こそ出来た。いい所に当たったのか、怯む熊獣人。僕はその好機を逃さまいと必死に食らい付き、外に出て自分の部屋へと急ぎ…鍵を掛けた。

  

  「はぁ………はぁ…………」

  散々な、一日だった。今日はもう、休もうと決意を固めて。鍵が掛かっている事を、入念に調べた後。横になった。敷かれた布の感覚が、肌に伝わって来て身を包む。柔らかく、滑り気があり…べったりと肌にくっついて来る。がばりと、体を起こす。床の感触の違和に気づいて。けれど、もう…遅かった。頬に、滑り気が塗りたくられたような…触手らしき物が張り付いて来た。

  

  「え……ちょっと……やだ……っ…………」

  「…………へっへ、良い獲物見つけた!今日の食事は決まり!」

  するすると、手際が良すぎる位に服を脱がされ空気が肌を薙ぐ。僕以外の声が、耳に入って来て。音のした方を急いで確認する事にした。音のした方向に居たのは、触手を蠢かし、遊ばせている…白いイカのような…人。

  

  「だ………誰か………助け……っ!」

  「助けは来ないよ……。さぁてと、食事食事!」

  呼んでも、来ない事は分かりきっていたと思う。それでも、僅かにある希望に縋りたかった。結果は、何も来ない。絶望が残される結果。逃げ場など、ありはしなかった。服を全て脱がされた事で…見られたくない部分が露出してしまう。そこは、もう既に液を垂らし…受け入れる準備をしているようにも思える。

  

  「おぉ……珍しい。珍しい………」

  「やっ……だ……見ない……で………え……ぇあ……あぎひっ……!」

  珍しいと、奇妙な物を見つけた声を掛けられ。一本の触手を、中へとねじ込まれる。無理やりに、中へとねじ込まれ。感覚が麻痺するような錯覚に陥る。痺れるような、中を抉られる…快感。声を漏らし、僕は…痙攣を起こして舌を垂らしながら。下部にある、スリットの中にある物が…勢いよく飛び出した。既に、先走りが先端から垂れている。もう、手遅れだった。

  

  「ふ~ん……珍しいに珍しいかぁ……。ま、いいか。ほれほれ、弄っちゃうぞ……」

  「や…めっ……て……っ……がひっ……ぁ……ひっがっ………!」

  縦横無尽に、中を弄られてしまう。少しでも動かれれば、体は痙攣を起こし涎を口から漏らしながら。スリットから飛び出た性器が漏れる先走りの量を増やす。おかしくなってしまいそうな感覚。体は、受け入れようと…していた。

  

  「あひっ……がっ……ひぁ………あっ………」

  「ここだ……ここがいいんだろ…………?」

  弄られる場所に、歯止めはなかったと思う。スリットと、もう一つの場所と口も同時に弄られる。口の中は、苦く甘い液体で満ち。体の中は注がれる液で満たされるようだった。弄られ続け、自分を見失いそうになってしまう。声と。漏れ出る全てが…それを証明していた。

  

  「あっ……ごひっ………がっ………ぁ………」

  「ま~だ。イカせな~い!」

  放出口を塞がれ、達する事が出来なくなってしまう。塞がれた場所から、液が逆流し更なる刺激を与える。口を覆いたくなる程の痛みが混ざった快楽。息は、とうに出来なくなっていた。

  

  「…やっ………ぁ……うっ……ひっ…………」

  「で、何か……言う事……ない………?」

  「…………………………」

  この言葉を言ってしまえば、全てが終わるように思えた。重く、口を開く。体と、心が…ばらばらになるのを覚悟して。

  

  「イカセテ……クダサイ………」

  自分は、もう既に失っていて。快楽だけを求めていた。中を弄られ、何回も達する。何が、どうなっているのか…もう、僕には関係なかった。僕の中にある物が全て溶けて……一つになっていった。

  

  END