Ad
【けもケット6】黒毛和牛一頭四千万【KMOSSN2】
「お願いします! どうか内密に! 減給も受け入れます! サービス残業も休日出勤も致します! 必要とあらば私をお使いください! ですがどうか警察だけは……妻も、子供もいるんです!!」
ネイビースーツの黒牛は額を床に擦りつけ、喚くように土下座していた。肩幅の広い体躯に太い首は巨体というに相応しいが、今は縮こまって怯えきっている。
取り乱したように許しを請う黒牛の首には社員証が掛けられており、「経理部係長 [[rb:秋山信繁 > あきやまのぶしげ]]」と役職と名前が記されていた。
彼の頭部の角は真っ白に磨かれ、先端も丸まっていた。それに筆状の尻尾は毛先が整っており、清潔な装いだ。
それもそのはず。彼は、上司に頭を下げているのだ。それも、本来なら滅多に会わない人物に。
「秋山君。顔を上げなさい。もう1度聞くよ。君はわが社の金を4千万、横領した。間違いないね?」
「はい……社長の言う通りです」
額を床から離したものの、黒牛の秋山は視線を下に向けたままだった。そんな彼を見つめるのは、煙草をくゆらせ、木目調の重厚なデスクに座るふくよかな中年の虎だ。
彼のデスクの上には「代表取締役 [[rb:甲斐沼玄武 > かいぬまげんぶ]]」と書かれたアクリル製の役職プレートが置かれている。
小豆色のスーツの首から上は黄と黒の縞模様の被毛に覆われており、薄目の上にフチが大きめの黒メガネを掛けている男。色あせた毛皮に覆われているため注視しなければ目立たないが、顔は頬肉と下まぶたがややたるみ、年輪を重ねていることが窺えた。また上着の前を開けて、その下のワイシャツはしわが伸びるほど膨らんでおり、中年太りが立派だが人目を引くほどの巨躯だ。
それ故、メタボ体型の一言では済まず、堂々たる体躯を持て余す巨漢というのが相応しい。穏やかな表情と口調をしているが、社長という役職故かどこか近寄りがたい雰囲気だ。
その会社のトップである甲斐沼に、秋山は平伏していた。そして、罪を問われていたのだ。
秋山が招かれたのは社長室。部屋は広々としており、応接室としても機能している。
デスクの前にはガラステーブル。それを挟んで革張りのソファが二台、対面式に置かれていた。
そんな場所へ秋山が呼び出されたのは出社時のことだ。彼はいつもの通り自分のデスクへ向かうと甲斐沼に肩を叩かれた。そのとき彼はぼそっと秋山に耳打ちしたのだ。
「朝礼が終わり次第、社長室に来てくれ。大事な話がある。会社の口座のことでね」と。
そのときの秋山は凍りつき、何も返事が出来なかった。自分の悪事が知られたに違いないと察して、胃が重くなり気分はどん底に落ちる。
しかし社長の命令を反故に出来るはずがない。秋山は、朝礼が済むとすぐに社長室へ向かい、そして今に至る。
「ここまで証拠品を出されたら白状するしかないよねぇ。まぁ私もポケットマネーで探偵事務所に依頼したし、現場を押さえたんだから、これで自白してもらわないとね」
甲斐沼のデスクの上には書類と彼のスマートフォンが置かれている。それはどちらとも、秋山の横領の証拠だった。
書類は秋山の身辺調査をまとめたもので、甲斐沼の言葉通り探偵事務所からの報告だ。
その書類を見ながら甲斐沼は質問する。
「大学時代にギャンブルにハマって借金かぁ。でも借金は1千万程度じゃないか。返済後の金は何に使ったんだい」
「その新車と、マンション購入に……それから子供の、私立小学校の入学費用に……。分かってはいたんです。けど……」
「家庭は大事だからねぇ、生憎わたしは独身だけども。それと動画を見せてなかったね。君が横領しているときの。最近のカメラって凄いね、君のデスクの後ろに小型のカメラを仕掛けたんだけど気づかないし、映像もくっきり。それに動画をスマホに移しても全然劣化しないんだよ。確認してみようか」
「い、いえ……大丈夫です……。失礼ですが、いつ頃お気づきになられたのでしょうか……?」
「常々、怪しい社員には目を光らせてね。特に秋山君の場合は分かりやすかったよ。急に金回りが良くなったって噂になってたからね」
「は、はい……。金銭感覚がマヒして、つい……」
饒舌に話す甲斐沼だが、秋山は絶望的だった。まだまだ男盛りの活気に満ち溢れている顔つきなのだが、憂鬱な陰が差しこんでいる。
彼には妻も子供もいる。武骨な左手の薬指には指輪が、社員証を入れているケースには家族写真を忍ばせていた。
恩情に訴えるしかない。家族が路頭に迷う、そんな末路を迎えるわけにはいかなかった。交渉の余地がないのはもとより、藁にも縋る思いだ。
「どうかお願いします! 左遷でも海外赴任でもご命令を! しかし、公表だけは……家族のためにも!」
再び額をごつ、と頭突きするかのような勢いで叩きつける。誠意を見せなければ、もう後がないのだ。彼は必死になって甲斐沼をなだめる。自業自得だが、家族を見捨てられるわけがない。
そんな彼のへりくだり過ぎた態度を見ながら、甲斐沼は煙草を吸ってふぅと煙を吐いた。無言のまま、彼は書類を引き出しに仕舞い、スマートフォンをポケットに戻す。
そして甲斐沼は吸い終わった煙草をデスクの上の灰皿にすり潰すと、意外な返答をした。
「そこまで謝られると私が悪者みたいじゃないか。なに、君には家族がいる。父親が犯罪者なんて知ったら、お子さんは捻くれるだろう。私も鬼じゃない」
「しゃ、社長……!」
恩を仇で返したと言うのに、許してくれる。一筋の光明が秋山に差し込む。
表情が緩み、瞳が潤んでいた。心の底から喜びを噛みしめ、胸の重みがすっと取れていく。
「ただ、それ相応のことを受けてもらおう。覚悟は出来ているかい?」
「もちろんです! 何なりと!!」
勢いよく返事をして、秋山は浮足立って今にも甲斐沼に抱きつきそうだった。最悪の事態を免れたのだ。涼風が吹き抜けたかのように、爽快な気分だった。
まるで飼い犬のように忠誠を誓う秋山。実際、彼は甲斐沼の命令ならばどんなものだろうと従うだろう。──それが失言であったことなど思いもしない。
*
「それじゃあ、いただこうか」
「ひっんっ!?」
ぞわ、と秋山の肩がつり上がり腰が抜けそうになる。L字型の姿勢が、くの字状にたわんでいく。生温かく、ねっとりとした感触に上ずった声を上げる。
甲斐沼は躊躇なく秋山の肛門へとマズルを突っ込んでいく。突起の付いた舌を伸ばし、恥丘の谷間を埋めるように密着させるとべろべろと秋山の肉穴を責めたてる。
「あっぁ……ああっ……!!」
秋山は切迫した掠れ声をあげ、膝も屈折しかけていた。
今までそこは排泄にしか使われなかったのだ。痛みがなければ心地よさともほど遠い、妙な感覚に襲われる。
出すための器官だというのに異物が挿入され、秋山は鼻を大きく膨らませて眉をひそめていた。覚悟はしていたが、その感触にまだ身体と脳が追いついていない。
下剤を飲み腹の中を空っぽにしていた。その間、彼の肛門は開閉をずっと繰り返していたのだから、刺激に弱くなっている。
秋山の過保護な亀頭以上に敏感になっている肉壁は、あっという間に花開く。
ねっとりとした唾液にまみれた肉厚の舌が、ほんの僅かな隙間をこじ開けようとする。秋山の恥丘は既に甲斐沼の粘液にコーティングされ、毛皮がじっとりと濡れていた。
容赦のない前戯に秋山はぐっと歯を食いしばる。こめかみに血管を浮き立たせ、鼻息を荒くしていた。
「スポーツしているだけあって、いい汗の香りだ。金玉も臭くて、このままむしゃぶりつきたいよ。ただ、そろそろ君のお尻を使えるようにしないと」
甲斐沼が名残惜しそうにそう言うと、彼は秋山の臀部から手を離す。しかし秋山は気が抜けなかった。これで終わりではない。まだ下半身は丸出しのまま、次の段階へと進むのだ。
尻穴が外気に触れてひんやりとするも、秋山は動けない。命令は続行中で、姿勢を保ったままだ。
背後で甲斐沼がごそごそと音を立てているが、秋山は臍を固めて彼を待つしかなかった。すると、甲斐沼が秋山の傍に近づくと彼のネクタイを掴んだ。
「これ、噛んでたほうがいい」
「それはっ……んっ!?」
と、甲斐沼はネクタイを秋山の口に突っ込ませた。突然のことに混乱するが、彼はその理由をすぐに理解することになる。
尻に、ひどく冷たい感触。堪らず秋山はハッと目を見開いた。甲斐沼が何かを塗りたくっている。
ぐっと首を回すと、甲斐沼は液体の入った容器を持っていた。ジェルかローションのようなものを大量に手に取り、濡れた手を、そしてその指先を秋山の肉穴につぷ、と差し込んだ。
「ふんっぐぅうっ!?」
その刺激は今までにないものだった。太い指が、肛門へと侵入してくる。弾力ある舌とは比べ物にならず、ごつごつとした骨ばった指は石のようにも感じられた。
途端に秋山の額から汗が噴き出す。狭い個室に男二人、荒い呼吸で熱気が充満しつつある。加えて耐え難い痛みと違和感に襲われて緊張感が一気に昂ぶり、背中にシャツが密着するのを感じた。
Ad