臆病な兎と虎の先輩

  何時からだろうか、憧れが変わったのは…いや、最初からかも。放課後、空に本の少し赤が混じっている時。俺は、窓の外を眺めていた。…俺の視線の先に居るのは、憧れの先輩。…走っている、先輩の姿が…俺は……。

  

  「じゅーんっ!……何してるの……って、何時もの先輩眺めか……好きだね、虎先輩の事」

  「ち、違う……好きとかじゃなくて……あ、憧れだ憧れ!」

  近づいて来て、好きと言う事を再認識…じゃなくて!憧れを抱いていた思考を反らす。俺の事を純と呼んだのは、亀のような人。幼馴染で深い緑色の亀人である栄斗だった。マイペースな奴で、何を考えて居るのか。何時も隣に居る筈なのにさっぱり分からない…ま、それがこいつの良い所なんだろうけどな…。

  

  「え~本当に憧れ?ほらほら、正直に白状しちゃいなってば…好きなんでしょ、虎先輩の事」

  「あ……憧れだ……憧れ……」

  ……本当に憧れだろうかと、最近…訂正…かなり前から迷っていた。窓から眺めて居れば、憧れに戻るかな何て甘い事を考えたりもして。でも、結局思いは強くなるばっかりで。何でだろうな……。

  

  「で、本音は?」

  「好き……だけどさ……同性だし…俺男だし……好かれる要素0じゃん…」

  「好かれる要素0……ふむ、という事でこちらの映像を御覧下さい」

  そう言って、栄斗は携帯を取り出し映像を俺に見せて来た。そこに映っていたのは…。

  

  『わ、似合うじゃん純…様になってるよ!』

  『そ、そうか……栄斗がそう言うならまぁ…』

  『か~ら~の~……隙あり!』

  『わっ……こら、返せ俺の水着!』

  ……少しだけ前の、映像だった。修正とか、モザイクが掛かっていない。外部に漏れ出たら、一瞬で社会的に死ぬであろう映像が。バッチリと映っていた。

  

  「ちょ……どうやって撮った!?というか今すぐに消せ!」

  「やーだよ、永久保存版じゃん。あ、これ虎先輩に送っておくね」

  「マジで止めろ、止めてお願いします栄斗様!何でもするからマジで!」

  「え~……どうしよっかな…」

  考え込む素振りを見せる栄斗。……そこで出た隙を、俺は見逃さない!

  

  「隙あり!」

  「あ、ちょ……返して僕の秘蔵純のちょっと過激な映像集!」

  「お前…これ以外にもあるんだな!全部削除するから待ってろ!」

  「わー、止めてお願いします!純、奢るから!今度何か高いの奢るから何卒!」

  そんな馬鹿みたいなやり取りをしつつ。俺は委員会があるからと栄斗と別れる事にした。ちなみに、撮られていた映像は全部削除した…だが油断ならない。栄斗は転んだら相手にカウンタータックルをかまして来る奴だ、幼馴染の俺が一番知っている。…明日も確認する必要があるなと、俺は決意を固めて教室を出た。

  

  

  「遅くなっちまったな……」

  委員会で、少しだけ帰路が暗くなっていた。…灯りは、街頭だけ…ちょっと不安だな。何て思いつつ、帰らない訳にも行かないため、俺は何時も通っている道を歩き始めた。…次の瞬間、厄介事に巻き込まれる何て事を知らずに。

  

  「さぁてと、急ぎ足に…」

  「ねぇ、君…一人?」

  ……不審者って、本当に居るんだなって思った。胡散臭いような笑みを浮かべているのが、暗い道でもはっきりと分かる。狼人だろうか、しかも俺よりかなり年上で男だった。無視するのが一番か…。足早に、俺はその場から離れようとする。

  

  「待ってよ……ねぇってば…おじさんと一緒にさぁ…」

  「……ッ……放して下さい!」

  掴みかかられるも、振り払う。恐怖心が、俺を支配しようとしていた。けれど、立ち止まったら確実に捕まってしまう。それだけは嫌だ!無我夢中に逃げようとするが…俺は、追い詰められてしまう。焦り過ぎた…。逃げ場が、無くなっていた。

  

  「ひっ……止めて……来ないで……」

  「ひひっ……いいね……その表ごぁ!」

  「…………え?」

  どさりと、追って来た狼人が横に倒れる。誰かが、助けてくれた……?お礼を言おうと、俺は助けてくれた人の所へ……あ。

  

  「せ、先輩……?」

  「おい、純…どうしてここに居る…夜道は危険だぞ」

  「先輩こそ……あ、ありがとうございました。それじゃあ俺はこれで…」

  そう言って、早く家に帰ろうとしたら。先輩に手を掴まれ止められる。何か、用事でもあるのだろうかと首を傾げると。溜息を付かれた後、心配そうな声色で言われてしまう。

  

  「一人じゃ危ないだろ。…オレの家に来い。明日は…休みだったよな?」

  その問に、俺は二つ返事で了承してしまったらしい。自我が何処か遠い場所へ行っている間に、俺は先輩について行っていた。

  

  先輩は、そう言えば一人暮らしをしているんだな…な、何もやましい事がある訳じゃない!…誰に言い訳してるんだ、俺。

  

  「……………大丈夫か?」

  虎先輩の顔が異様にちか……じゃなくて、大丈夫か…?別に、何処も怪我をしていない…あ、あれ……。自分でも気が付かない内に、体が震えていた。どうしてだ…まさか、自分でも気づかない内に…怖いって…思ってたのか…。

  

  「せ、せんぱ……い………」

  さっきまでの出来事が、鮮明に脳裏に浮かぶ。恐怖が、体を支配しようとする。思わず、俺は先輩に抱き着いてしまうが…今は、頼りたかった。言い訳じゃない、先輩になら頼れる…何処か、確信を持って。

  

  「…怖かったな、安心していいぞ。オレが守る…な」

  頭を撫でられ、心地が良いと感じてしまうのは…憧れがあるからだろうか…それとも……。力強く、毛もあってごわごわしてて…でも、それでも……暖かかった。

  

  「…落ち着いたか?」

  「え、あ……すみません…」

  俺は、先輩から離れる。少し、頼り過ぎちゃったかな…嫌われたりしてないかな…と、らしくもない事を思ってしまう。だけれど、先輩に感謝を伝えたくて。…場違いな言葉を、俺は口にしていた。

  

  「先輩の…その…匂いと手…落ち着きました…」

  …これ、俺が変態みたいになるんじゃね?…もっといい言葉あっただろ…と思っても、時は待ってくれない。引かれたかな…と思い、こっそりと虎先輩の顔を覗く。気まずそうにして…いや、戸惑ってる?

  

  「ちょ、ちょっと用を足して来る…寛いでいてくれ」

  「は……はい!」

  元気よく、俺は返事をして先輩は何処かへと行ってしまった。寛いでって言われても、ここリビングだよな?…ソファと、カーペット…先輩の雄臭い匂い…未だ、不安を拭えてないみたいだ。何だろう、普段ならしない…かは断言出来ない…時点でもう駄目だな。先輩を感じて居たいって思ってる時点でダメだ…俺。これは、結実しちゃいけないんだ…先輩の為に…。

  

  「い、いい柔らかさだなぁ……」

  誤魔化す為に、誰に話しかける訳でもないのに口にしてみたりして。…でも、それで気分が紛れるかと言うとそうじゃなくて。先輩の、匂いが僅かに残ってるクッションに体が引き寄せられて。…それが、少しだけ俺を安心…。

  

  「待たせたな……どうした?」

  「な、何でもないっす!なんでも……」

  慌てて、顔に持っていこうとしたクッションを元の位置に戻す。不審に思われたが、拒絶までは行かないよな…何て、抱いた不安を拭きながら。

  

  「お腹空いてないか?…飯、食うだろ」

  そう言われると同時に、返事の変わりか俺の腹が音を上げてしまう。恥ずかしくなり、俺は下を向く。…何でなったんだよ…憧れの先輩の前で…。

  

  「ははっ、準備は出来てるってか…」

  「す、すみません…」

  その後、俺は先輩と一緒に夕飯を取った。健康管理に気を付けているのか、体によさそうな野菜…俺の好物…考え過ぎか。偶然だ、偶然…どれも好物で、俺に見境がないだけだ。口に勢いよく頬張り過ぎたせいか、咳き込んでしまう。

  

  「ごほっ……けほっ……!」

  「大丈夫か?もっと、落ち着いて食べろ…料理は逃げないぞ」

  何でだろうか、恥ずかしい所しか見せていない気がする。安心するのは確かなんだけど…な。もっと、男らしい所を…見せても引かれるだけか。止めておこう。

  

  「ごちそうさまでした」

  「おそまつさまでした…風呂、入るか?」

  先に、俺が風呂に入る事になった。何から何まですみませんと謝りそうになったのを制される。…どうしてここまでしてくれるのか、疑問に思ったが。先輩は優しいって事だよな。俺だけが特別じゃない、きっとそうだ。湧いて出た雑念を、熱い湯で洗い流す。洗い流した直後に湧き出て来るので効果は無いに等しいが。

  

  「あつっ……イカン、イカン!……無心に……」

  体を洗い流し、直ぐに俺は風呂から出る事にした。何時もは長いと言われる程なのだが、今日に限っては出来ない!急いで飛び出し、濡れた毛を拭いて借りた服を着ようと…急いで出たのが問題だった。タオルを持っている事から、うっかり忘れたんだろうな…と、考える位には思考が凍結し。氷解するまで約三秒。俺の状態は、風呂に入っていた為全裸。そこから導き出される答えは…?

  

  「ひゃ……!」

  「す、すまん!…み、見るつもりはなかっ……直ぐに出ていく!」

  …男同士だよな?ひゃって変な声出した俺も俺だけどさ!……はぁ、色々と誤解を招きそうな事ばっかり起きるな…後で謝っておこう。タオルの香りが、少しだけ…無心だ、無心。無心と思いつつ、かなり意識しながら。体を拭きパジャマを着た。

  

  「ど、どうぞ……」

  「あ、あぁ……」

  気まずい雰囲気で、虎先輩は風呂へと入って行った…。後で、しっかりと謝っておこう。

  [newpage] 周りの暗さ加減が幻想的…などと冗談を言えればよかったのだがそうも行かないらしい。リビングで寝かせて下さいと頼んだはずが、何故か先輩の部屋で寝る事になっていた。部屋の全てに、先輩の残り香…じゃなくて。思い入れがありそうな部屋だった。

  

  「なぁ、純」

  ベッドで寝ている先輩に、声を掛けられる。寝られない、緊張し過ぎて…。起きているし、無反応なのも失礼かな…と思い俺は先輩の声に反応をする。

  

  「…どうしたんですか?」

  「…大丈夫……か?」

  何故か、ベッドで寝ている虎先輩に手招きされる。…来いって事か?言われるがまま…行く方も俺だが。何もしないという訳にもいかず。なし崩し的に先輩の懐…近くに潜り込む事になった。どうしてこうなった…嬉しいと感じてる俺が居るのが嫌だ…。

  

  「せ、先輩…く、くすぐったいです…」

  入った先で、耳を撫でられたり体を触られる。嫌じゃない…って言うか、これは同性にする事なのか…?先輩に聞いても、答えを出してくれそうな雰囲気じゃない。大人しく、俺は先輩に身を委ねる事にした。

  

  「……嫌じゃないのか」

  「こ、子供扱いの事ですか?…それは…別に…」

  「そうじゃない…こういう事をされても平気かって事だ」

  ドクンと、心臓の脈が速くなる。一緒に並んで寝ていた状態から、押し倒されるような形。真上に、先輩の虎の獰猛そうだけれど凛々しい顔が視界に映る。…押し倒されてる?暗くて、あんまりよく分かんなかったけど…でもこれって、確実に…押し倒されて…る?混乱する頭、冷静になろうと思考を動かすが纏まらない。呆然とする意識の中、先輩が俺に聞いて来た。

  

  「………無防備が過ぎるぞ…」

  「せ、先輩なら…いいです」

  「……何?」

  「えっと……だか……ら。先輩になら、何をされても…俺、頑張る…」

  告白だよなこれ!…と、混乱する頭を無理に動かした結果。俺の口は先輩に告白するという意味不明な行動を取っていた。何時かはする…つもりは全くなかったが。口にした物は仕方がない…勢い任せなのがあんまり納得いかないが。頑張ると告げようとした途端、口を塞がれてしまう。

  

  「………っ………ひぁ……!」

  「ん………っ………………」

  どうなってるんだこれ…。俺の口の中に、先輩の舌が入って…暖かく、荒々しく動く先輩の舌。口内が犯される感覚。異物と感じた口は、排除しようと…しても出来る筈もなく。先輩の舌を、感じる事しか出来なかった。

  

  「へ……は……今のって……?」

  離され、息を整える。少しだけ興奮…違う、そうじゃない。俺は、先輩に何故…き、キスをしたのか…怖いけど…尋ねる事にした。

  「…こういう事だ。油断してると…今みたいになるぞ……分かったら、忘れてく」

  「……い、嫌です……!」

  「……何……」

  えぇい、こうなったら当たって砕けろ!…ごめん、出来れば砕けるな!混乱、勢いに任せて。それでも、想いはもう伝えよう。後悔は…やってからで構わない。覚悟を決めて、俺は口にする。

  

  「先輩の事が、好きです。何時も走ってる姿、見てました。…頑張る姿とか、やりきった後の顔が…好きなんです」

  拒絶されるなら、それでいい。そう思って、俺は先輩に抱き着く。頼もしいと感じてしまうのは…何でだろ?確信を持っちゃったからかな…。でも、拒絶されるなら…それで。と、自己防衛に入りかけた時。抱きしめ返される。先輩の毛が当たって、ちょっとくすぐったい。

  

  「……あぁ……オレも……だ」

  ………へ?今、何て……。虎先輩の言った意味が理解出来ず。思考が凍結する。…凍結した後、来るのは頬の紅潮。両想い…そんな馬鹿な……一方通行だった筈だ…と、自問自答を繰り返しながら…先輩の言葉を待つ事にした。

  

  「…………やっても、いいか……」

  「………は……はい!」

  元気よく、何時も通りの返事をしてしまった。雰囲気をぶち壊して、先輩の思いが壊れる…何て事はなく。そのまま…押し倒される。押し倒された後、何が来るのか分からず。目を瞑り、緊張していると。頭に、先輩の手…心強くて暖かい手が俺の頭に置かれる。

  

  「そんなに緊張するな…こっちだって、恥ずかしいんだぞ…」

  それは、こっちの台詞です…という言葉を返せる余裕は既になくなっていた。ぽりぽりと頬を掻く虎先輩。その仕草一つが、心臓の動きを速める。…本当に、俺好きなんだな…独りよがりじゃないよな…何て不安になりながら。

  

  「せ、せんぱ……い……ひゃ!……く、くすぐったい……っぁ……」

  緊張が解けて、先輩が何処を撫でているのか…少しだけ分かった。全身を優しく、包むように…荒々しかったキスとは違って。抱擁のような…撫でまわされる事は普段ないから、余計に…意識して、先輩を感じていた。

  

  「すまん……我慢、出来なくてな」

  押し倒された状態から、撫でまわしている先輩の顔を覗く。凛々しくて、恰好イイ…虎人の顔。…食われないよな…と、不安になるが直ぐに拭き払う。せ、先輩なら多分大丈夫だ…。

  

  「…そろそろ、弄るぞ」

  「…え……ひゃ……!……せ、せんぱ……はひっ……す、すとっ……ひぁ!」

  今度は、後ろに回られ…俺の性器を弄られる。性器を上下に、素早く。他人に、しかも先輩にされている…という状況。恥ずかしさもあって、直ぐにいきそうになるのを…堪える。透明色の先走りが、先端から溢れ出るのが…凄い…その…羞恥を煽って来る。先走りが出たせいで、先輩の手の動きに擦れるような音が増す。…それが、俺の恥ずかしさを助長する。

  

  「ひゃ……い、いきそ……せ、せんぱ……も……っ…………あ、あれ……」

  「す、すまん…急ぎ過ぎた……か」

  イく寸前の所で、先輩に手を止められる。寸前で止められた俺の性器は、先走りの量を増すが…絶頂には後少し足りない。寸止めされた体は、快感を求めて疼きだしてしまう。こんな事を言ったら…という不安が過ってしまう。大丈夫…だよな…。

  

  「と、途中で…止めないで下さい……」

  「わ、悪い…苦しそうだったから…」

  「…我慢、出来なくなっちゃうじゃないですか……」

  「……こっちもだ」

  どさりと、ベッドに押し倒される。殆ど、さっきと変わらない状態だ。服を全て脱がされ、肌と毛が露出する。尻に垂らされるローション。冷たくて、ドロッとしてて…何か、怖い。

  

  「冷っ……い、いれる………んですよね……」

  「そうだ……な。…その前に……痛くしないように…解さないと…な」

  「あっ……ひぁ………っ………ぁ……っ……」

  先輩の指が、体内に侵入して来る。ローションの助けもあって、すんなりと入った…かき乱される感覚。痛みと、刺激。同時に襲って来る感じ、初めて…だけど、先輩の手。ずっと欲しかった…先輩の…。

  

  「……ひゃひ!……ひ……ぅぁ………ん…………」

  解されているのは分かっているが…口に出てしまっている。未だ、本番が控えてるのに俺大丈夫かな…。弱い所しか見せてないし、もっと…何か…と考えてしまう程。不安で、仕方がなかった。十分に解れたのだろうか、分からないが…先輩の指が俺の体から抜ける。

  

  「あひっ…………ぁ………」

  当てがれる先輩の雄。四つん這いに這い、入ろうとして来る先輩の物。雄々しい、デカくて太くて…熱い。指の慣らしは確かにやったが、それでもきつい。けれど、確実に…虎先輩の物が…体内に侵入して来た。

  

  「あっ……せ、せんぱっ……ま、待ってくださ……未だ、動かない……」

  「……抑えられそうにない…全部、入れるぞ…」

  「ひぁっ…うぁ……ぁ!……ひぁ……う……あっ………」

  先輩の物全部が、中へと入り押し付けられる。熱く、太いそれは中を侵し始めていた。ごりごりと、痛い位に中を削られ…快感を貪ろうとする。最初は、痛いと感じていた筈なのに。もう、痛みは…全て快楽に変わっていた。

  

  「せ、せんぱ……変……何か……変で……ひぁぁ!」

  「感じて……ふっ……のか……っ………」

  奥を突かれ、出し入れをされる。腰を動かされ、合わせて中の虎先輩の性器が俺の体を広げる。快感を得た俺の体は、更に快楽に浸ろうとする。限界が、もう来ようとしていた。ドクンと、先輩が未だ動いている途中。…俺は、果ててしまう。

  

  「あ……ひぁ……や……うぁ……ああああぁ!」

  脈を打ち、俺の性器から白濁の液体が勢いよく漏れ出る。さっき、寸前で止められたのもあるけど…一番は先輩と一つになっている事だと思う。俺が果てても、先輩は動きを止めなかった。それが、嬉しい…って、思ってしまう。

  

  「や……せんぱ……一回……ひぁ…!…ひゃ!……だ……だ…あひゃひ……!」

  「うぁっ……だ、駄目だ純……そんなに……締め付け…腰が…止まら……!」

  「そんな事…言われ…ひゃ……て……はひぁ……うぁぁぁぁ!」

  敏感になった体に、更に先輩の雄のような荒々しい動き。脳が快感で満ちて、処理が出来ずに意識が落ちそうになる。必死に食らい付いて、先輩と一緒に……。

  

  「す……まん………もう………っ………」

  同時だった。一回イッたのに、俺が出す量は更に増えて。先輩の体液が、俺の中に放たれる。放たれた精液は、更に俺の中を侵し始める。熱い、先輩の快感の証。出されて、苦しいのに…その苦しさの中に、嬉しさがあるのも…確かだった。

  

  「あっ……せ、せんぱ………いっ………」

  口を塞がれる。繋がったまま、優しく…。抱きしめあって、先輩の入れられていた物が引き抜かれる。…中に入った精液が、外に少しだけ出るのが…恥ずかしかった。

  

  「へへ……は……………」

  疲れたのか、俺の体は…意識を黒に染めた。…先輩の体の中で眠る。…これが、夢じゃありませんようにと…願いながら……。

  [newpage]「純……ねぇ、純ってば……!……もう、起きて……よ」

  「ん………ん……んぅ………?」

  眠いんだ、もう少しだけ寝かせてくれ。栄斗の声が聞こえるけど、気のせいって事にしておこう…今は眠ろう。大丈夫、昼休みは後五分以上ある…。

  

  「…虎先輩来てるよ」

  「まじでか!……………あれ?」

  「冗談だよ……ごめん、悪かったからそんな顔しない……で」

  冗談でも、少し悲しくなったな……夢じゃない。頬を抓っても、そんな感じはしない。現実か、これ……昨日の事……も。思い出している最中、突然先輩の顔とか声とか…自分の状態を思い出し体が熱くなるのを感じる。

  

  「あれ、純…熱でも……分かった。虎先輩と何かあったんだね」

  「ち、ちが……くはないけど……」

  「お、遂に進展あり。恋が叶ってよかったね」

  墓穴を掘った気がする。というか、何で知ってんだ…まぁ、いずれ話すつもりはあったけどさ。栄斗なら今まで通り…って言うかいつも通り接してくれるって信じてるし…。

  

  「と、言う事で…純の寝顔を虎先輩に送信♪」

  「おい、こらちょっと待て……!」

  「遅いよ~……もう送っちゃった。どんな反応が返ってくるかなぁ……」

  茶化すのもいい加減に……と、言い掛けた時。携帯が鳴る、音は…先輩のだ。携帯を開き、何が来たのかを確認すると。一言、こんな事が書いてあった。

  

  『部活が終わった後、一緒に来い…用はその時に話す』

  

  短い文章だったけれど、それだけで心が満たされるようだった…もしかして俺結構ちょろい…いや、これは先輩限定だと一人納得をする。…惚れた弱みって怖い…。

  

  「あ、僕今日は用事あるから一緒には帰れないんだ。ごめんね、純!お詫びに純の無防備画像先輩に送っておくから許して!」

  「やらんでよろしいって言うか送ろうとするな……待てぇ!」

  その後、俺は栄斗と追いかけっこをする事になった。何とか、先輩に画像の送信をする事は阻止できたが油断も隙もない……。ちょ、これ何時撮った……。栄斗の携帯に保存されている画像を全力で削除する作業が、始まった。どんだけあるんだよ…というか俺無防備過ぎだな…気を付けないと…。

  

  END

  [newpage]「………チッ……また失敗か……まぁ、上手く行く訳もないか…」

  口元を尖らせ、歪んだ笑顔を作っている黒い毛並みの狼人。失敗したと口にしている割には、何処か楽しそうな表情を作っていた。…作っているのか、本当にそう思っているのか。本人以外には分かりそうにない。そんな彼に、声を掛ける亀人の姿が一人。

  

  「……みーつけた」

  確信を持ったように、緑色の狼人より一回り小さい亀人。けれど、油断はしていないようにも感じられる。ゆっくりと、忍び寄るように亀人は狼人の後ろへと足を進める。念の為…と、何度か顔を確認するようバレない程度に顔を覗かせている。

  

  「………………あはっ………うん、間違いないね」

  「……おい、何を笑って…」

  「ん?……何か言った…………?」

  突如、狼人の視界が黒に染まる。何かで頭を殴られるような鈍い痛み。意識は、沈む。

  

  

  「は………ここ…………は…………うぐっ!」

  「やぁっと起きた…まぁ、丁度いいタイミングで起きるように仕掛けたのは僕なんだけどね。どう、おじさん…拘束具、気に入ってくれた?」

  にこやかに、見た誰もが警戒を解く亀人の笑顔。けれど、その笑顔に狼人は恐怖を感じる。何をされるのか、分からない恐怖。体は、縄のような物で縛られていて身動きが取れない。一体、何をしたって言うんだ……。

  

  「僕はさ、別に怒ってる訳じゃないんだ。…たださ…僕の友達に…親友に手を出そうとしたんだから…それ相応の報いは受けて当然だよね?」

  笑顔を崩す事なく、狼人に告げる亀人。逃れようと、必死に縛っている縄を千切ろうとするが…予想以上に締りが固く解けそうにない。ゆっくりと、亀人は狼人に近づき。囁くような声で、狼人に告げる。

  

  「大丈夫、壊れちゃう程度に遊んであげるだけだから…溺れて、返ってこれなくなるかもしれないけど…別にいいよね?だって、同じ事しようとしたんだからさ」

  亀人は、そう囁いた後。一つの玩具を取り出した。玩具と言っても、子供が夢中になる物の玩具ではなく。大きい大人が使うような、もっと言えば…体の中に挿入する道具。機械の振動を相手に伝える太いバイブだった。

  

  「さーてと、一気に入れちゃっていいよね。加減とか…するつもりないから」

  「ごっ……がっ………あぁ!」

  無理矢理、亀人は狼人の中にバイブを入れる。強引に入れたせいか、多少の血は出ているようだが。それでも、問題なく、中へと押し込めた。…結構、すんなり入るんだ…もっと痛がると思ったのに…ま、これからだよね。亀人は何かのスイッチを取り出し、狼人へと見せる。

  

  「これ、なーんだ…ま、聞かれなくても教えてあげないけどね。分かるよね…スイッチだよ、今入れた機械の」

  「ま……待て……何でも……する…だから、許してく…」

  「は?何言ってんの。許すわけないじゃん…えい」

  亀人は、スイッチを切るから弱へと切り替えた。部屋に響く、バイブの音と機械に刺激され呻き声を挙げる狼人の声。そして、それをつまらなさそうな瞳で見る亀人。これじゃない、これじゃない……。

  

  「ぐひぁぁひっ…ひぐっ…うぁぁぁぁ!」

  「うーん…弱で悦びを感じてるんだ…つまんないの……もっと壊れちゃいなよ」

  つまんないのという声は、本心にも感じられた。言葉通り、亀人の少年は何でもない事のように。弱に切り替わったスイッチを強へと切り替える。

  

  「がひぐっ……がひっ………が……がぁぁぁぁぁぁぁ!」

  「……これじゃ、オシオキにならないよ…先走りも出ちゃってるし…むしろご褒美じゃん……これ以上強くすると壊しちゃうだろうしな……ん?」

  声と共に、着ている服を自分の体液で濡らす狼人。…ふと、亀人の持っている携帯に着信が入る。音を聞いた瞬間、顔に花が咲いたように明るい顔になる亀人。直ぐに携帯を開き、通話に出るには若干不必要そうな機能をONにした後。音声が、相手の声が聞こえ始める。

  

  「あ…………今、話せるか?」

  「うん、全然大丈夫…何かあった?」

  声が上ずるのを堪え、平静を亀人は繕おうとしているようだった。電話の相手は、特に用事はないとでも言いたげに。けれど、これだけは言おうと意を決する様に口にしていた。

  

  「何て言うのか分かんないけどさ…嫌な予感がしてさ……何かこう、取返しが付かないっていうか…気のせいだよな……ごめん、変な事言ったわ」

  「…うぅん…それに、気のせいじゃないと思う……」

  「………へ?」

  「あっと…気にしないで!ちょっと用事で遅くなってるとか、そんな感じだから」

  取り繕うように、亀人は言葉を繋げる。ちらりと、横目に見た狼人は、バイブに夢中になっているようだった。ほっと、何かを安心するように息を付くような声が聞こえて来た後。亀人の電話の相手が口にする。

  

  「そっか……なら、いいんだけど……あんま、無理すんなよ……って、ちょ……せんぱ……ひぁ……ちょ……止め……うぁ………!で、電話中ですってば!」

  おぉっと、これは永久保存版だ。録音しといてよかったぁ…近くに僕以外の獣人が居るのが気になるけど。ま、別にいっか。それ以外の用はないとの事だったので、話を切り上げる事になったようだった。

  

  「さぁてと……………にも言われたから、ちょっと手加減して…壊れるぎりぎりで留めてあげるね」

  狼人にとって、それは朗報と言えるのだろうか。弱と強を何度も繰り返し、絶頂を迎える直前で威力を弱め果てないように調整される。狼人にとって、限界が近くなる。先走りはだらだらと漏れ、服と周囲を汚して匂いを放つ。けれど、達しない。高められる欲、口にしようとする言葉を、必死に狼人は押さえているように感じられた。

  

  「ぐ……ひっ………ぐっ…………………」

  「………………あーあ、飽きちゃった。もういいや……」

  「……………下さい」

  「ん?何……声が小さくて聞こえないよ」

  ねだるような声が、狼人の口から放たれる。

  

  「イカセテ……クダサイ………」

  「…………やだ」

  やだと断り、亀人はスイッチを放り投げる。縄はきつく締めちゃったけれど、多分きっと誰かが見つけるだろう…見つからなかったら……まぁ、何回か様子を見に来たくはないけど来るしかないか……憂鬱そうにしながら、亀人はその場から立ち去る。

  

  「んぐっ………ぐっ………んっ…………」

  狼人の、快感を求める声だけが…木霊していた。

  

  END