腐った世界の勇者様

  おう、こんな夜も遅くに訪れるとは……

  まぁゆっくりして行きな。

  

  ……ところでお前さん、旅の者かい?

  こんな所まで来るって事は余程の物好きか、腕に覚えのある馬鹿野郎くらいだからよぉ?

  

  

  ほぅ…なんだアンタ神父さんかい?

  旅しながら教えを広めていると……?なるほどねぇ。

  どっちかってぇと傭兵みたいな体つきしてっからよぉ。いや、悪かったな、馬鹿野郎扱いしちまって。

  

  

  まぁ何にもねえ所だが、酒と料理には自信あるんだ、休んでいくといい。

  

  アンタの部屋は二階だ。そこ上がって三番目、これが鍵。腹が減ったら俺に言え、酒が欲しい時もな。

  

  …………何だ?お前さん呑めねぇのかい?

  ……あぁ、戒律な。御苦労様なこって……。

  せっかく旅の話を肴にして呑み交わしてえと思ったんだが、まぁ仕方無いわな。

  

  

  ………………ところで神父さんよぉ。

  アンタ、神に仕える身なんだろ?ならよ……

  俺の相談に乗ってやくれねぇか?

  なぁに、相談っても魔物退治してくれって訳じゃねえ。ただ話聞いて欲しいだけなんだ。

  疲れてるとこ悪ぃけどよ。

  

  

  …………本当か?

  有難え!さすが神父さんだぜ!

  じゃあ何か腹の足しに作っていくから部屋で待っててくれ、直ぐに行くからよ!

  

  

  

  

  

  ***

  

  

  

  

  …………待たせたな。ほら、これ。俺からのサービスだ、遠慮なく食ってくれ。

  

  よし、……じゃあ先ずは乾杯と行こうか。

  ん?あぁ心配すんな、俺のは酒だが、そりゃあ酒じゃねえ。ただの果実を搾った物に蜂蜜を混ぜただけだ。今朝俺が採ってきたばかりだから味は保証するぜ!

  

  じゃあ改めて……乾杯!

  

  ……っぐ……っぐ……ぷはーッ!やっぱ酒は止めらんねぇな!

  ほら!遠慮してねえで食え食え!自分で言うのも何だが美味えからよ!冷めねえ内に食っちまいな。

  

  

  …………んでよ、食いながらでいいから聞いてくれっか?……あぁ助かる。

  

  お前さんに俺はどう見える?

  いや、変な意味じゃねえ。ただ純粋にどう見えるかって事だ。

  ……あぁ、そうだ。

  

  

  …………………………

  ……っくっくっ……あーっはっはっは!!

  いや悪い悪い!正直にって言ったのはこっちだが、まさか本当に正直に答えるとは思わなくてよ!……っくっくっ。

  アンタ神父にしては面白えな、気に入ったぜ。

  

  そう、アンタの言う通りだ。俺はただのオヤジ。おんぼろ宿の主人だ。

  ……あぁ別に怒ってねえし無理に否定しなくていいぞ?事実だからな。気にしなさんな。

  

  

  …………十年程前、この世界に魔王が現れたのは知ってるな?

  今はもう魔王は討伐されたが、未だに魔物共がその辺彷徨いてやがるし、その爪跡も残ってる。お前さんも旅してきたなら見てきただろ?

  

  ……で、その魔王討伐の際に王国が出した御触れを知ってるか?

  ……そうだ、『成人した雄全員、勇者となり魔王を討伐せよ』ってふざけた御触れだ。

  

  騎士や戦士、傭兵といった戦闘職に就いた者だけじゃねえ、農民や町人、果ては罪人まで王国の令で魔王討伐に駆り出された。どこに勇者となる者がいるか分からねえという理由だけで全員だ。

  ホント狂ってると思うぜ、この世界はよ。

  

  

  ……当事、俺は監獄にいた。恥ずかしい話だがな。

  昔は荒れててよ、山賊や盗賊紛いの事ばっかやって……国から手配される程にな。そんである時ヘマして捕まって監獄に入れられた。おっと、言っとくが今はしてねえぞ?ちゃんと真っ当に生きてんだ。……もう過去の話だ。

  

  

  そんでまぁ、俺が監獄に入った後で魔王が現れた。

  そして強制的に監獄から出され、最低限の必要資金を渡され国を出た。だが、折角監獄から出れたというのに俺の気持ちは晴れなかった。

  俺が知ってる生き方なんてろくでもないもんだ、だから、監獄から出れたとしても同じようにしか生きれない。

  渡された旅の資金なんてその日の内に酒代に消え、また盗賊に身を堕とした……。

  

  

  そんなある時、俺はある雄に出会った。俺と同じ、罪人。同じ、盗賊の熊人。

  

  そいつは言った、組まねえか?とな。

  俺はそれまで独りで行動していた。その方が楽だし、身軽だったからな。

  ……だが魔王が現れた事によって魔物も増えた。そこら中に勇者候補がいる中、盗賊稼業なんてしていたら格好の的だ。戦力は多い方がいい。いざというときの身代わりになるかも知れねえ、……何てな。

  …………おいおい、そんな顔すんなよ。言ったろ?昔の話だって。

  

  で、それから俺達は世界中を旅しながら盗賊稼業を続けた。同じ場所にいた方が地の利があるのは分かっていたが、それだと目立ち過ぎるからな。

  ただ、以前と違う所があるとすれば、盗む相手が人から魔物になったくらいだ。人を相手にすれば足がつく可能性もあるからな。まぁ同業者が襲ってきたら容赦しなかったが、魔物共も中々珍しい物持ってたりしてな。

  

  他人の家に忍び込んで、家の中を漁るなんて日常茶飯事。

  財宝があると聞けば、墓荒らしも遺跡荒らしもした。

  魔物に呪いをかけられた村があれば、呪いの元凶を倒す代わりに財宝と船を強奪した。

  

  旅は快適だった。襲ってくる魔物共は増えていったが、そこは二人旅。戦闘経験なんて皆無だったが次第に慣れちまった。

  時に指名手配された魔物の討伐もしたな。……あ?あれは成り行きだったか?……まぁいい。

  

  

  そんで、世界中を旅してるとな?不思議な体験もすんだよ。

  変な場所にたどり着いたと思ったら、どっから聴こえてくんのかわかんねえけど、頭ん中に直接声が聴こえてきたり、目の前に天使っつーのか?お伽噺の女神みてえなやつ……あれがいきなり見えたりよ。……あん時は自分の頭がイカれちまったのかと不安だったぜ……。

  

  目の前が真っ白になったと思ったら雲の上に居たり、いつの間にか変な物が荷物に入ってたりよお……ホント訳わかんねえ事ばっかり起こりやがった。

  

  

  

  んでな?そうやって旅続けてた俺達二人がその後どうなったと思う?ん?

  

  

  ……違う違う!んな事ぁしてねえよ!

  

  …………何とな?俺達二人は魔王の住む城に迷い混んじまったんだ!…………ん?あんま驚かねえな?まぁいいけどよ。

  

  で、流石にな……俺らは盗賊だろ?魔王なんかと渡り合っておっ死んじまうなんてのは真っ平御免だ。そりゃあ魔王の城ってんだから珍しいお宝もあるだろうし、それを売り飛ばしゃあ一生食うに困らないだろうってのは魅力的ではあったんだが…………やっぱよ、命あっての物種だろ?結局二人で相談して何とか逃げようという結論に至った。

  

  だが入口は魔力か何かで塞がれてな……出口探したんだが見付からねえ、魔物共は次から次へと涌いてくる。そいつらから逃げようとしてどんどん奥へ奥へ迷い混んでいった……最悪だったな……ありゃ……。

  そんで行き着いた先に待っていたのは魔王だった。

  

  ……あ?……何で魔王かわかったかって?

  ……おめえさんにはわかんねえだろうけどな、俺達盗賊っつーのは危険な事には敏感なんだよ。一歩間違えりゃ捕まって人生積み、んな中で生きてりゃあ自然にそうなっちまうもんさ。

  

  だから、そいつがヤベえヤツだってのも直ぐにわかったさ。けどよ、はいそうですかって見逃してくれるもんでもねぇ。

  殺られる前に殺る、結局はそれしかなかった。

  

  笑っちまうんだけどよ?覚悟を決めた人ってのは自分が思ってる以上の力を発揮出来るらしくてな?俺達ケチな盗賊でしかねえのに、精一杯頑張っちまった。

  そしたらよ?先に降参したのは俺達じゃなくて魔王の方だったんだ。

  ……な?笑っちまうだろ?

  

  

  

  だが、聞いて欲しい話はここからだ。

  

  

  それから俺達の生活は一転した。

  王国からは望むままの褒美を与えられ、そして人々は俺達を勇者様と呼ぶようになった。

  笑うしかなかったな……騙されてんのかとも思った。

  

  一生食うのに困らない程の財を約束され、しばらくは王国内で暮らしてたんだが……俺達はまた旅に出た。本当は旅に出る必要なんてない、生活全ては国が保証してくれるからな。だが……居心地が悪くてな。

  

  ほら、俺達は盗賊だったろ?だから、人々からの羨望の眼差しも、畏まった態度も慣れなくてな……恥ずかしい話だが逃げるように旅に出たんだ。

  

  

  ……そしたらよ、本当に怖いのは魔王なんかじゃないって気付いたんだ。

  

  旅に出て直ぐに俺達は襲われた。

  ……魔物になんかじゃない、人だ。

  何人もの雄共に囲まれて、俺達は命を狙われた。

  

  世界は平和になった筈なのに何故命を狙われなければならないのか?疑問は直ぐに解決した。

  その雄共はな……俺達と同じ、王国の命で旅に出た『元』勇者候補達だった。

  何年も、それまでの生活を変えられ、強制的に旅に出された勇者候補。俺達が魔王を倒してしまったことで行き場を失った雄共だ。

  

  勿論、元の暮らしに戻ったヤツらもいただろう。だがな、世界が平和になった事で職を失った傭兵、元の牢暮らしに戻る事になる罪人、ただ単に力試ししたいヤツもいたし、俺達を倒して名を上げたいヤツもいた。そんなヤツらのやり場の無い怒りや、持て余した力が俺達を襲ったんだ。……結局、平和になった、なんてのは上っ面だけなんだよ。

  

  ……この宿はな?そんなヤツらから逃げる為に建てた俺達の家なんだ。盗賊も勇者も、もう御免だ。真っ当な職に就いて普通の暮らしがしたい、俺達だって平和に暮らしてみたい、そう思って建てた。

  

  俺は今幸せだ。……ま、たまに今でも襲ってくるヤツは居るけどな。それでも真っ当に生きるってのに憧れてたからな。こうして客と話すんのも酒飲むのも悪くねえ。それに……。……まぁいいか。

  

  

  これじゃあ相談じゃなくて愚痴だな。悪かったな、付き合わせちまってよ?まぁ狂ったオヤジの独り言だと思って忘れてくれ。

  さて……そんじゃそろそろおいとましますかね。ゆっくりしてくんな。

  

  

  [newpage]

  

  

  「ひぎい゛い゛イ゛いィィぃいッ!!!」

  

  五月蝿い喘ぎだ、色気もない。何だろうな、もうちょっと可愛げがあってもいいと思うのは俺だけか?諦めの溜め息と共に腰を振る。被毛と同じ縞模様の尻尾を無造作に掴み、尻穴にチンポを突き入れる。引き裂かれた聖職者の法衣が辺りに散乱し、元々黒いそれは持ち主の体液で白く卑猥に染められた。あしらわれた十字架の白は精液の白で歪に輪郭を変えたが、当の本人はそれどころではないらしい。初めは逃げようとしていたというのに、今では自ら腰を振る有り様。神はさぞ嘆いているだろうが、俺の知るところではない。

  

  黄と黒の縞模様の被毛は、もはやどちらの、何のかすら分からない体液でしっとりと濡れ、部屋の明かりを艶やかに写している。先程までの自分の姿と今の自分の姿、その二つを見比べた時、この虎人は何を思うのだろうか。……まぁどうでもいいがな。

  

  「……ほら、正直に言わねえとチンポ抜いちまうぞ?」

  

  打ち付けた腰を引き、一度チンポを尻穴から抜く。何度も中で出した結果、虎人の尻穴はぱっくりと開き、引き抜くと同時に精液と腸液が溢れた。尻穴と呼べるものでは無くなり、女性器の様に蠢き雄を誘う。大柄な体格に相まったその尻とのギャップが滑稽とさえ思える。が、そうしたのが自分だから笑うに笑えねえ。

  

  虎人はというと、チンポを引き抜かれた喪失感から我を忘れてしまったようで、自身の尻肉を自身の手で割り開き、最早ケツマンコと呼んでもおかしくない秘部をさらけ出した。

  

  「ほ、本当ですううぅぅぅ!!!仲間なんていませんッ!!だから!だからああぁぁぁああ!!!」

  

  言っておくがこれは強姦じゃない。まぁ和姦と聞かれればそうではないが……、言うならば正当防衛だ。

  残念ながらこの宿は客が少ない。それは旅人自体が中々訪れない場所に建てたから。先に述べた通り、ここは逃げ場所であり、家なのだ。静かな場所でのんびり余生を過ごしたかった。……そんな老け込む年でもないんだがな。

  宿というのも、……まぁ趣味というか何というか、退屈しのぎにやっているに過ぎない。たまに訪れる客相手に酒でも振る舞って、旅の話でも聞ければそれで良かった。

  

  だが、そんな俺の願いとは裏腹に客は大勢やって来た。そしてその殆どが、招かざる客。現勇者を狙う元勇者共だった。そんな自覚は無いが、どうやら世間は認めてくれないらしい。

  

  そして、それは今、この瞬間もだ。

  俺に犯されている虎人もその一人。神父の格好をしていたが、化けの皮が剥がれればこの通り。部屋から出ていこうと背中を見せたら襲ってきた。返り討ちにしてやったけどな。犯しながら持ち物を確認してみると、持っていた聖書は角は鋼で出来ているし、十字架のアミュレットは細工がしてあり、恐らく毒でも仕込んであるだろう針が飛び出す仕組み。引き裂かれた服の内側は小型の投げナイフが無数に仕込まれていた。……ったく、とんだ神父もいたもんだ。

  

  「………………はぁ……」

  

  一先ず虎人を望みを放置し椅子に座る。流石に疲れた。昔は何発犯っても疲れなんて翌日には残らなかったのに近頃と来たら……。全く歳は取りたくねえな。

  ふとテーブルに置いた左手を見る。その薬指、そこには天使の羽が彫られた白銀の指輪があった。全くもって俺には似合わない代物だ。だが、俺にはコイツを外すことは出来ない。外す事が出来ない、というよりは外せないの方が正しいか。外せるもんならとっくに外している。何せコイツのせいで俺はこんな目に逢っているんだからな。

  

  この指輪は魔王を倒す少し前の話、女神の姿をしたクソ女が寄越したもんだ。貴方に力を授けます、とかなんとか偉そうな事言いやがって、金銀財宝でもくれんのかと思ったらちんけな指輪をつけられた。

  そのクソ女が言っていた、勇者に必要なのは人を惹き付ける力、人々を導く力、それが魔王を倒す力となるってな。そんなもんに興味無ぇし路銀の足しにと売り捌こうとしたんだが、どうにも外せねぇ。街の道具屋に見せたら、特別な法術が施してあるって言ってたが…………法術ってえより呪いだ呪い。どこの世界に外せねえもん無理矢理押し付けるヤツがいるんだよ。

  んで、その呪いの指輪。効力だけは本物でよ……確かに力をくれた。

  《俺のカラダに》人を惹き付ける力、《肉便器として第二の人生に》人々を導く力…………物は言い様だよな。どんな解釈したらそうなるんだって……本当にこの世界は狂ってると思う。

  

  魔王を倒した時だって、物理的に倒した訳じゃねえ。魔王の攻撃で装備がボロボロになって、露出が増えた事により指輪の効力が発揮されただけの事。後はまぁ……成り行きだな。攻撃してくるたびに魔王の鼻息は荒げ視線は俺達の股間に。いつからか攻撃も完全に装備だけを狙ってきてよ、完全にチンポが見えてからはもう理性なんて物は残ってなかった。もう魔王の目にはチンポにしか写って無かったんだろうな。目の前でチンポをねだってよ、雌犬みたいにな。俺達には何がどうなってるかわかんなかったが、俺達を見逃す事を条件に犯してやったら後はトントン拍子だ。魔王は魔王でなくなり、俺達は盗賊から勇者様になってた。襲ってくるやつらに対してもただ脱ぐだけでいい、それだけで勝手に発情してチンポを求めるようになる。だから実感なんてもんは無えし、俺達の力でも無い。

  こんな指輪を寄越されたせいで俺の人生メチャクチャだ。…………まぁ今では諦めもついたがな。勇者様って呼ばれんのも襲われんのも。俺だけじゃないと諦める事が出来た。この虎人も、今まで襲ってきた連中も、俺も、皆人生を狂わされたんだ。クソ女に出会わなければ、魔王がこの世に現れなければ、国王が御触れを出さなければ、皆普通に暮らしてた筈だ。タラレバを言ってたらキリが無いのも、俺は普通では無かったのも分かってる。分かってるが、それでも……な。

  

  「んひ……っうぁ、あぁ……」

  

  虎人はというと、チンポを抜かれた穴に指を突っ込んでアナニーしてた。俺が物思いに耽っていた間に何度も達したらしい、床は精液でグショグショだ。……絶対後で掃除させよう。もう俺を襲いに来たことも忘れてしまったらしく、自身の尻尾まで器用に突っ込んでしまっている。便利な尻尾だなと思う半面、それじゃあもどかしい刺激しか無いだろうと席を立つ。

  他に仲間が居ないならコイツにもう用は無いが、コイツも被害者だと思うと哀れみを感じてしまう。

  

  「ほら、チンポ欲しいんだろ?こっちに来い」

  

  俺はベットに身を移した。端に座り、床でアナニーに耽っていた虎人を誘う。別に同情した訳じゃねえ。ただ、俺もコイツも、人生を狂わされた被害者だ。こんな世界のこんな時代に生まれなければ……なんてな、らしくねぇけど、少しくらい優しくしてやってもいいかと思っただけだ。

  

  「う……あぁ……んあ…?…」

  

  四つん這いで犬のように近寄ってくる。チンポにマズルを押し当て、その特有のざらついた舌で奉仕される。それがまた絶妙な刺激となって萎えていたそれは天を向き始める。尽くされるのは嫌いじゃないし、この独特な舌はなかなかに良いもんだ。今度猫科の獣人が襲ってきたらペットとして飼うのもアリかも知れないなと思うが、見つかったらヤバいかもしれないな。まぁ仕方ない、せいぜい行きずりの相手を楽しむ事にしよう。

  

  「ほら、下の口でも奉仕しろよ」

  

  名残惜しそうにマズルを離す虎人に、跨がるよう指示する。騎乗姦というか、座ったまんま犯るのもたまには……なんて思ったところで部屋のドアが開いた。

  

  開いたドアから見えたのはよく見知った姿で、最近下っ腹が出てきた熊人。名はベルグ。焦茶色の被毛と胸元に三日月型の白い被毛、身体中傷跡がついて、特に目元に古傷が残ったのが特徴的なヤツ。一緒に旅して世界を救った、もう一人の勇者様で俺の相棒だ。ちったぁダイエットさせねぇと色々マズイんじゃねえかと思うくらいの太鼓っ腹。本人は種族柄だと言い張るが絶対んな事はねぇ。実際旅してた時には腹筋割れてたし、もっとこうガッチリ!ってーか…………まぁいいか……俺も人の事言えねえしな。

  

  「お?おかえり、遅かったな?」

  「おう、……ってオイ、堂々と浮気してんじゃねえよ」

  

  今日ベルグには街へ買い出しを頼んでいた。何せ辺鄙な場所にあるからな。行商人だけじゃあ賄いきれない物もある。俺は食事や客の世話があるからここを離れられねえし、薪割りくらいしかしねえ暇人に白羽の矢が立ったのは必然だ。だが帰りが余りに遅いからてっきり街で一泊してくるか、もしくは酒場で酔いつぶれているかのどっちかと思っていた。

  

  「あ゛?……あぁ、違う違う、コイツはあれだ、いつものヤツ。俺は被害者だっての」

  「…………どうだかな」

  

  怪訝そうに眉をひそめるベルグに弁解してみたが、今現在俺のチンポはこの虎人に喰われている。俺達が話をしている間も虎人は腰を動かし続け、卑猥な音を部屋に響かせる。……うん、客観的に見て説得力に欠けるかもしれんな。襲われるのは今に始まった事ではないし、そのままなし崩し的に犯るのも今日に限った事ではない。浮気のつもりはないし問題は無いと思ったが、思ってた以上に機嫌は良くないらしい。

  

  「信用ねえなぁ」

  「ふん。…………飯はあるか?」

  「あぁ、今用意する。下で待っててくれ」

  

  俺がそう言うなり、デカイ体に似つかわしくない可愛い尻尾を揺らしベルグは部屋を出ていった。残されたのは俺と虎人。流石の俺でもベルグが帰って来てる状態でヤろうとは思わない。この虎人の相手は終わりだ。すっかり萎えてしまった自身のモノを適当に拭い、服を着る。本当は水浴びでもしてえところだが……どうせ後で洗うしな、部屋も掃除しねえと。そこら中に精液が飛び散って臭いが取れなくなりそうだ。ったく……ここは普通の宿屋だってのに。

  忌々しく虎人を見るがコイツに何を言っても無駄だろうな。何せ今この瞬間も、俺達が話をしている間も乳首を弄ったりチンポを弄ったり尻を弄り倒したりと大忙しだ。布団とシーツもオマケに替えねえと……溜め息しか出ねえ。

  とりあえず虎人をどうにかしよう。ひとりでは無理だろうから両腕を持って引っ張る。無駄に重い、こんにゃろう。小屋までの道のりを考える、泣きたい。廊下に虎人の尻から漏れた液が通った痕跡を残す、ここも掃除かよ泣きたい。階段で一段一段尻に受ける衝撃で先走りまで飛び散らす、泣きたい。……あ、衝撃だけでイきやがった、泣きたい泣く泣かせろむしろ。

  

  

  ****

  

  

  

  「うまかったか?」

  「…………ん」

  

  虎人を一先ず小屋に運び、ベルグの食事を用意した。買い出しを頼んだ礼も兼ねて、ベルグの好物ばかりを作ってみた。思いの外作り過ぎてしまい、てっきり余るもんだと思っていたが、用意していた物は全て平らげられた。助かるが食い過ぎじゃねえのか?いっつも全部残さず食うから足りねえのかと思って4、5人前は用意してんだけどな。それを毎食毎食繰り返してんだからそりゃあ太りもするわな……ん?俺のせいか?いやいやまさかな。

  それにたまには感想くらい聞きたいんだが、適当な相づちしか返って来ねえから作りがいが無え。せいぜい返ってきたとしても、まぁまぁだなって。もうちょっとこう……なんつーかな……?言葉に出してくれりゃあいいんだけどな……、別にいいけどよ。

  

  「よし、じゃあ湯沸かしてあっから浴びてこいよ、疲れたろ?」

  「……お前は?」

  「俺か?俺は先にここ片付けてからだな、上も片付けなきゃなんねえし」

  

  本当は一緒にゆっくりしてえところだが、そうも言ってられず。先程の部屋や廊下の掃除もあるし、食器も洗わねえと……やることはやっとかねえと時間は待ってくれねえからな。シーツも染みになる前に洗って、干すのは夜が明けてからにしよう。井戸から水も汲んでおかねえと。入る次いでに風呂は洗うとして……こう見えてキレイ好きなんだよ俺は。

  誰かさんと違ってな。

  

  「ん?」

  

  ……と、これからの事を思案し席を立とうとした所をベルグに制される。テーブルについた腕を掴まれ、中途半端な体勢を強いられた。

  そして、今度はそのままベルグの側へと引き寄せられる。テーブルを挟んで座っていたせいで、引き寄せられる時に椅子やテーブルの角にぶつかった。痛えじゃねえかこの野郎。

  何なんだ、とベルグを見れば、その顔が近くにあった。

  

  「………………」

  

  近くにあった、じゃないな。近付けられたのだ。それはもう、お互いのマズルがぶつかる寸前まで。

  

  「むぐっ!!」

  

  そしてぶつかる。唐突過ぎて変な声が出た。微妙に恥ずい。お互いの鼻先がぶつからないよう顔を少し傾けられ、その先でベルグと視線がぶつかり合う。その目は真っ直ぐ俺を視線で居抜き、若かりしき頃の鋭さがあった。

  欲しい物は奪い盗っていた昔。その目が今俺を見ていた。

  

  「んっ、…………ふ……、ぅ……んぅ……」

  

  たぶんベルグが欲しいモノは俺なんだろうな。ベルグは狩人で、俺は獲物、そんな事をぼんやり思う。

  入って来ようとする舌を受け入れた後は考える事なんてない。互いの舌が絡み絡ませ、その水音を部屋に響かせる。存在を確かめるように、口内を蹂躙し、その柔肉を、牙をなぞる。

  

  「ん……ぁ、……っ…は………ふ、……ん……」

  

  唾液が零れそうになるがベルグは離してくれない。呼吸が苦しくなってきて、ようやく離してくれたかと思ってもまた来る。終わらない。終わらない。

  一方で終わって欲しくないと思う自分もいる。出かける時にもしたが、こんなに荒々しい口付けをされるのは久しぶりだ。

  

  ……何だか若返ったみたいで興奮する。

  

  

  「………………何だ?唐突に」

  

  ようやく離してくれた時には酸欠でフラフラだった。何とかそれだけ言うが、いつもの調子が出ねえ。顔が熱い。顔どころか身体中熱を帯びていた。全く……初な生娘じゃあるめえし。

  

  「一応な?お前は俺のもんだってマーキングしとかねえとと思ってな」

  

  どうかしてる。本当にどうかしてる。

  コイツのどこが良くて一緒に居るんだ?俺は。我が儘でよ、だらしねえし、俺が居なくちゃ飯だってろくに作れねえし。けど……

  

  「何だ?さっきの、妬いてんのか?」

  

  けど、時々……本当に時々だけどよ、すげえ格好いいんだよな。ベルグの古傷の殆どは、俺を庇ってついた傷だ。俺がどんなにドジ踏んでもコイツは見捨てなかった。それどころか自分が傷付くのも構わないとばかりに俺を守ってくれた。

  

  「…………だったら、どうする?」

  

  ホントコイツは盗賊らしくねぇヤツだよ……。ちったあその時の俺の気持ちってのも考えて欲しいぜ……ったく。

  

  ……なんてな、俺もらしくねえな。

  誰かの為、なんて、コイツに出会うまでは考えもしなかったしな。

  

  

  「…………ば~か、んな心配しなくてもよ?」

  

  

  

  ホント俺の人生めちゃくちゃだな。

  

  まぁ…………

  

  

  「……こっちはお前専用の穴だぜ?」

  

  

  それでもよ?

  ……自分より大切に思えるヤツに出会えただけ、幸せってもんかな?

  

  

  「………………いいのか?そんなに煽って。手加減しねえぞ?」

  

  

  ……ぜってえ言わねえけどな。

  

  

  「あぁ」

  

  

  らしくねえなぁ……俺も。