くもり、のち、晴れ 3

  

  春実の遺品を整理していた時、義父から渡された封筒

  茶色の、病院の名前の印刷された

  病院のベットの下に挟まれていたらしい

  

  宛名は無く、封は切ってあった

  中には手紙が入っていた

  

  手紙を読むと、歯を食いしばり、手を強く握った

  書かれた文字は、涙で滲んだ

  

  

  

  

  巌は変わった

  

  会社を辞め、わずかながらの退職金や保険金やらを

  

  春実の両親に全て渡した

  

  両親は断ったが、それでもと押し付け

  

  アパートを引き払い、逃げるように街を彷徨った

  

  元同僚や友人は、巌を気遣ったが、それを拒んだ

  

  誰かに優しくされればされる程、辛かった

  

  以来、人と関わるのを、やめた

  

  そして、巌に寄ってくる者は居なくなった

  

  二人を守れなかった、悔しかった、そんな自分を責め続けた

  

  

  

  当ても無く街をぶらつき、慰めるように酒を浴び

  

  酔って絡まれ、喧嘩で暴れ、また酒、そんな毎日

  

  ある日、酒を呑んでいた巌はヤクザに絡まれ

  

  路地裏で袋叩きにされていた

  

  流石に1対5では厳しかった

  

  ボコボコにされ、その場から動けなかった

  

  このまま死ぬのもいいか、と思っていた

  

  そこへ近寄ってくる影

  

  立派なキバを持ち、体格のよい猪獣人の中年の男

  

  薄汚れたつなぎを着て、少し腹が出ていた

  

  タバコを咥え、汗と酒の臭いがした

  

  「おーおー、派手にやられたなぁ~」

  

  ニヤリと笑い、巌に肩を貸そうと腕を伸ばす

  

  その腕を払い、俺に構うな、と目を逸らす

  

  そんな巌に、ニッコリ笑い、

  

  腹に重い拳をめり込ませた

  

  身構えていなかった為、まともに喰らった巌は

  

  勢い良く嘔吐した

  

  「酒は飲んでも呑まれるな、ってな」

  

  未だ胃の中のものを戻している巌にニヤリと笑う

  

  「俺は宍蔵ってんだ、おめぇは?」

  

  落ち着いてきた頃にまた腕を伸ばし肩を貸す

  

  観念し、・・巌だ、短く名乗ると、半分体重を預け、痛む身体を立ち上がらせた

  

  月明かりと街の明かりが2人と照らす

  

  おめぇ、ゲロくせぇなぁ

  ・・・・誰かさんのおかげでな

  それに、重ぇんだよ

  ・・・悪かったな

  どんだけ呑んだんだよ、酒くせぇ

  ・・・それはアンタも一緒だ

  

  そりゃ違いねぇ!と豪快に笑う

  

  ゆっくりと歩きだした

  

  

  やがて見えてきた木造2階建てのアパート

  

  肩を寄せ合い、ふらつきながら近寄る2人

  

  「おう、ここだここだ」

  

  大家と表札が並べてかけられている部屋

  

  中からは光が漏れている

  

  「今帰ったぞー」

  

  ドアを開けながら明らかに近所迷惑な大声で宍蔵が言う

  

  中には猪獣人の女性が、玄関で仁王立ちで待ち構えていた

  

  あ・・とバツが悪そうな宍蔵の顔を横目で見た、直後

  

  「いったい何時だと思ってんだい!!!!!」

  

  宍蔵の何倍もの凄まじい大声が響く

  

  2人の男は、思わず組んでいた肩を離し

  

  体の痛さも忘れ、軍隊のような直立不動の体勢になる

  

  体中の毛が逆立ち、尻尾は天に真っ直ぐ伸ばしていた

  

  酔いも醒めた

  

  「悪ィ悪ィ、ちょっと呑みすぎちまってよ~」

  

  片手で頭を押さえ、片手で平謝っていると

  

  女性が、巌に気がついた

  

  「おや、見ない顔だね」

  

  女性と目が合うと、ペコリと頭を下げる

  

  「コイツは街で拾ったんだ、面倒みてやってくれぃ」

  

  巌を指でさすと、まるで犬猫を拾ってきたみたいに宍蔵が言う

  

  女性は慣れたように、はいはいと呆れながら2人を部屋の中に招く

  

  

  うがいをさせた後、部屋の隅に座る巌を手当てをしながら、

  

  2人は夫婦であること、宍蔵は大工の棟梁であること、このアパートは大工達が住み込みで働くために貸し出していること、そして、そのほとんどが、巌のように宍蔵が拾ってきたヤツらだということを話した

  

  「上の部屋、空いてたよな?」

  

  一升瓶を抱えた宍蔵が女性に尋ねる

  

  「あぁ、空いてるよ」

  

  手当てを終えた女性が台所から答える

  

  「よし!じゃあおめぇはそこに住め。んで明日から仕事だ」

  

  何のことなのか頭がついていかない巌は目を丸くする

  

  「冷蔵庫や布団やらは部屋にあるから、そのまま使っておくれ」

  

  女性が台所から言う

  

  「食いもんは、・・・しばらくここで一緒に食うかぁ?」

  

  「ちょ、ちょっと待て!俺は、ここに残るなんて一言も___」

  

  ようやく思考が追いついた巌が口を開くが

  

  「ん?なんだ?おめぇ、帰るとこがあんのか?」

  

  言われて口篭り、下を向く

  

  俺の、帰る場所なんてない___

  

  「ならいいじゃねぇか」

  

  コップに注いだ酒を飲み干し

  

  宍蔵がニヤリと笑う

  

  「おめぇに、何があったかは知らねぇ、聞く気もねぇ。だが、おめぇはまだ若ぇ。何があってもやり直せるんだ。こんなとこで腐ってどーする?お天道様に顔向け出来んのか?

  誰でも独りでなんて生きていけねぇんだ、誰だってな。そんな事はねぇってヤツは、ただ気づいていねーだけなんだ。そんなの寂しいじゃねーか。人生一度きり、生きたくても生きれなかったヤツも世の中大勢いる。そんな中、おめぇは生きている、生きていかなきゃならねぇんだ、そいつらの分までな。なら、胸張って__楽しく生きてこーや」

  

  ふいに春実の手紙を思い出した

  『___私の、私達の分まで、生きてください』

  

  目頭が熱くなる、声が漏れる

  

  「今日からここがおめぇの帰る場所だ」

  

  そう言って宍蔵は牙を見せ、笑った

  

  声にならない声が部屋に響く

  押さえていたものが溢れ出す

  

  大きな体を丸め、人目を気にすることなく、巌は泣いていた

  

  「さ、メシが出来たよ、簡単なもので悪いけどね、ほら!食べな!」

  

  在り合わせで作られた料理が、どんな豪華な食事より、美味しく感じた

  

  

  次の日からは、それはもう毎日が目まぐるしかった

  

  まず、大工仕事などしたことが無い巌は

  見習いとして毎日のように宍蔵から叫ばれることとなった

  力は元々あったが、仕事となるとまた違う

  毎日毎日クタクタになるまでしごかれた

  

  仕事が終わってからも大変だった

  決まって宍蔵が声をかけ、ほとんど毎日のように酒盛りが開かれた

  宍蔵の部屋で行われたり、街へ繰り出した日もある

  奥さんを除いた、アパート全員が集まり、宍蔵が寝るまで続くのが恒例となっていた

  巌も酒はかなり飲む方だったが、相手が違った

  最初の内は、慣れない仕事の事もあり、集まったヤツらの中で1番先にダウンしていた

  慣れてくるとそんなことはなくなったが、宍蔵にだけは敵わなかった

  

  

  仕事仲間でもあるアパートの住民達も、とてもよくしてくれた

  聞けば、巌と同じような境遇だったが、宍蔵に拾われ、救われた、だからこそ今の自分がいると、皆口々に話した

  気のいいヤツらだった

  

  宍蔵から怒鳴られるのも嫌ではなかった

  むしろ嬉しかった

  余計なことを考える暇もない

  忙しさに追われ、大変だったが、毎日が充実していた

  

  

  

  そんなある日

  

  その日は仕事が早く終わり、14時くらいに現場で解散となった

  夜はまた宍蔵の部屋で飲み会がある為、それまで自分の部屋でゆっくりしようと、アパートに戻った

  

  部屋の前まで来ると、中から声が聞こえた

  不審に思いながらもドアを開けた

  鍵は開いていた

  

  巌が中を見ると

  

  「よぉ、遅かったじゃねーか」

  と声をかけられる

  宍蔵だった

  

  他にも、3人ほど、見知った顔がいた

  

  一組の布団が敷かれた室内には

  むせかえるような、汗と雄の匂い

  そして、そこにいる全員が、何も身に付けていなかった

  呆れ顔の巌を除いて

  

  「オヤカタぁ~・・・は、早く・・続、きしてくれよぉ~・・」

  

  行為を中断されたらしい若い犬獣人は、宍蔵に見せるように、股を拡げ、秘部をさらけ出す

  隣の部屋のヤツだった

  奥で休憩中と言わんばかりに、タバコを吸い、行為を見ているのも同じアパートに住む仕事仲間で、巌と同年代の牛獣人と熊獣人

  2人共、巌よりも体格がよかった為、ただでさえ狭い室内は、さらに圧迫されていた

  

  「おっと。今よくしてやるからよ~、巌、おめぇも混ざるか?」

  

  言いながら、自身の肉棒を、誘う秘部に押し当て、埋め込んでいく

  

  「・・何で俺の部屋でサカってんだよ、隣でやりゃあいいだろ?」

  

  「コイツの部屋、西日がモロだからあちーんだよ」

  

  奥の二人に指をさすと

  

  「コイツらの部屋は汚いからなぁ~、雰囲気出ねぇだろ?」

  

  そんな事気にするようには見えないがと思ったが、口には出さず、ため息を吐きながら中に入った

  

  宍蔵が、こういう情事に及んでいる事を巌は知っていた

  以前も、部屋に帰ろうとすると、隣の部屋から声が聞こえたからだ

  また別の日には違う部屋からも

  

  最初は驚きもしたが、毎日のようにどこかしらの部屋から聞こえてくるので次第に慣れた

  だが、まさか目の前で行われるとは思ってもみなかった

  

  聴こえてくる卑猥な音を背に、巌は服を脱ぎ始めた

  

  「おっ?ヤる気になったかぁ?」

  

  相手を揺さぶりながら、ピストン運動を止める事なく、宍蔵が話かける

  

  「着替えるだけだ。…俺は…いい」

  

  何だよ、連れねぇなぁ~と言いながら宍蔵は、その動きを速めた

  

  「あッ!…ふぅ、ん!ん、スゲ…ぇ!!…ッ!!!そこ!!イイ!!…はぁぁ!!ふ、ぁああ!!!!」

  

  ここかぁ~?

  と、探るように角度をかえ、相手の反応をみる

  何度か突き上げると

  ビクン!!と体を跳ねらせ、目の前の肉棒からは先走りを撒き散らした

  宍蔵はニヤリと笑うと、遠慮する事なく、その最奥へと自身をねじ込み突き上げた

  

  「ッ!!!!ん~!!////ふぁ//!!ァんあッあァァ!!!ん…くッ!!あぁ!!…もう!!イク!!イクッ!!!!/////~ッ!!!」

  

  叫びと共に飛び出したそれは、自身の腹や胸元に新たな白い模様を描く

  吐き出された雄の匂いが、巌の鼻をくすぐった

  

  「おいおい、1人でイキやがって・・おれぁまだ出してねぇぞー?」

  

  射精後でぐったりしている若者に、反動で抜け落ちた自身をあてがい、またゆっくり挿入すると

  

  「ちょ、お、親方!今無理ッス!休まして下さ~い!!」

  

  再び突こうとした宍蔵を制し、首を激しく横に振った

  

  「んだぁ~?おめぇ自分だけイキやがって!俺にゃあイカせねぇ気か?」

  「いやいや、親方の激しすぎるんスもん、持たないですって」

  そうそう、と残りの2人も同意する

  

  チッ、わかったよ、と名残惜しそうに自身のモノを引き抜くと、チラっと横目で巌を見る

  すると、何かを思いつき不敵な笑みを浮かべ、巌に話しかける

  

  「おい巌、ちょっとこっちこいや」

  

  面倒くさそうに振り返ると、満面の笑みで手招きしていた

  嫌な予感しかしなかった

  

  「・・・何だ?」

  

  着替えの途中で、ボクサーパンツ1枚の姿のまま宍蔵に近づくと

  そのまま股間を鷲摑みにされ、驚いてその場から動けなくなった

  

  「///////~ッ!?!?お、おい!!?」

  

  嫌がる巌を無視し、宍蔵は、手で柔らかく揉みしだいていく

  

  「いや、前から思ってたんだけどよぉ~・・おめぇデカそうなんだよなぁ~、いいからちょっと見してみろ」

  その手を振りほどこうとすると、後ろで休んでいた2人が、いつの間にか背後から巌の両腕をがっちり掴む

  

  「!!?ッお前らッ!!」

  

  「へへっ、おとなしく観念しな」「そうそう、それに気持ちよくなるだけだから大丈夫大丈夫」

  牛と熊が言う

  

  優しく、激しく、宍蔵は巌の股間を休むことなく愛撫していく

  「~~~////////~ッ!!!」

  何とか平静を装おうとするが、巌の意思とは真逆に、体積を増していった

  呼吸が荒くなる、声を抑えることが出来ない

  

  その先端部からは、欲望が溢れ、灰色の布を濡らし黒く変色させていた

  宍蔵が布越しに浮かび上がったモノを握り

  湿った部分を指で強く、こねくり回した

  

  「!!!んぁ!?ぅぐッ!!!」

  

  堪らず巌が声を漏らす

  

  次第に全貌が明らかになっていく

  

  

  

  やがて宍蔵が手を止め

  

  「へっへっへ、やっぱりな!こりゃあ大物だ」

  

  完全に勃起し布からはみ出した巌のモノを見ながら、満足そうにつぶやいた