「ママ~、どこいくの~?」
「とっても楽しい所よ、まぁくん。」
そう言いながら歩く母と一人の男の子、しかし二人が歩いているのは山の中でありどう考えても向かう先に楽しい所があるとは思えない。
そんな山の中を手を繋ぎ歩く母子、
すると、
ガサガサ
という茂みが動く音ともに何かが現れた。
丸いオレンジボディで鏡餅みたいな黄褐色の顔をした一頭身生物・・・ゲーム『星のカービィ』に出てくるキャラクターのワドルディだ。
「わぁ、ワドルディだぁ!」
男の子はワドルディに駆け寄るとムニムニとその柔らかい身体を抱きしめ、
(この子は一体・・・ロボットとかじゃないの・・・?)
母はそう思いながらワドルディをジッと見つめる。
[newpage]
するとその時、
「ひうっ!?」
男の子がそんな声を上げたかと思うと手に持っていたワドルディを落とした。
わにゃ
声を上げ軽く跳ねるワドルディ、
「どうしたのまぁくん、大丈・・・!?」
一方で母親はそう言いながら男の子に声をかけると次の瞬間には顔をギョッとさせる。
「マ、ママ・・・ぼく・・・なんかへん・・・。」
そう言い母親を見る男の子、その目が縦に伸びていくと同時に口や鼻などがが顔から消えて無くなっていく。
それだけではない。
男の子の手の指、それが全てくっつき合い一体化すると顔以外の男の子の肌がオレンジ色へと染色、頭の髪はパラパラと抜け落ちていき顔は黄褐色に変色していく。
「やだぁ・・・ママァ・・・まにゃぁ・・・わにゃあ・・・。」
どこから聞こえているのか分からない男の子の声、その声に合わせるようにプルンプルンと身体が柔らかく波打つと男の子の身体はシュンシュンと縮んでいって服の中へと消えていく。
そして男の子の姿が服の中に完全に消えると男の子がいた所には男の子が着ていた服が小さな山を作っており、その山が少し震えたかと思うと・・・
わにゃ~
そんな声をさせながら一人のワドルディが出てきた。
[newpage]
「ま、まぁくん・・・?」
信じられないという表情をしながら我が子の名を呼ぶ母親、だが・・・
わにゃ?
我が子の服から出てきたワドルディはキョトンと首を傾げる。
目の前で我が子がワドルディとなってしまった、母親は我が子であったワドルディを持ち上げるとその柔らかい身体を揉みながら変わり果てた我が子を悲しむ。
だがモチモチ柔らかな我が子ワドルディを触り続けていると悲しい気持ちが何故だか柔らかいでいき、顔が自然とほころんでいく。
(なんなのこれ・・・心が・・・頭の中が・・・軽く・・・。)
そう思いながら我が子ワドルディを触り続ける母親、すると突然・・・
ピシッ
と未体験の感覚が母親の体内を巡った。
「あっ!?」
その感覚に思わず声を上げ我が子ワドルディを落とす母親、
わにゃっ
そんな声を上げ地面に落下した男の子だったワドルディが母親を見つめると母親の目が縦に長くなっていき目や口、耳などが一つまた一つと消えていく。
また頭に生える髪がパラリパラリと抜け落ちていくと顔以外の肌はオレンジ色、顔は黄褐色へと染まっていき身体の形が波打ちながら人間のそれでは無くなっていくとともに母親の身体は縮んでいって服の中へと潜り込んでいく。
「あ・・・あにゃ・・・わにゃ・・・。」
どこからか聞こえる声、その声も人間のそれでは無くなっていく。
そして少しすると母親がいた所には母親が着ていた服で作られた山が存在しており、その山が震えると・・・
わにゃ~
と一人のワドルディが出てきた。
[newpage]
わにゃわにゃ
自身の母親であったワドルディに近づく男の子だったワドルディ、
わにゃ~わにゃ~
母親であったワドルディは我が子ワドルディに近づくと柔らかいその身を軽く当て合って笑顔を見せる。
その様子は母子ではなく友達のようであり、
わにゃ~!
そんな様子を見ていたワドルディは母子であったワドルディたちをトンネルの中へと誘導していく。
そして暗く長いトンネルをくぐり抜けていくとその先にはいくつもの建物が並びワドルディたちが行き交う不思議な場所であり、
わにゃ~!
わにゃわにゃ~!
母子であったワドルディ二人はそんなワドルディたちに手を振ると駆けて近づいていったのであった。