[chapter:前世の記憶がとどまらない!]
「マフさ~ん!」
ある日のこと。僕、[[rb:天馬 > てんま]] [[rb:今吉 > いまきち]]はマフさんこと[[rb:真船 > まふね]] [[rb:来夢 > らいむ]]の家にやってきていた。
来夢「何?今さん」
僕の声を聞いて、マフさんが扉を開けて出てくる。
天馬「ちょっと話したいことがあるんだけど…」
僕はそう応え、マフさんの家に上がっていった。
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マフさんの部屋で、僕はマフさんに尋ねてみた。
天馬「マフさんはさ…前世って知ってる?」
来夢「前世?生まれる前何だったか、ってこと?」
天馬「うん…何か催眠術でそれを知る方法があるらしくてさ、一度は知ってみたいと思って…」
来夢「へー、面白そう!探してみようよ!」
マフさんはそう言い、催眠術で前世を知る方法…いわゆる退行催眠を行っている場所をネット検索で調べ始めた…。
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来夢「…で、今さんは何で前世を知りたいの?」
ネットで調べた場所へ向かう最中、マフさんが僕に訊いた。
天馬「まあ、言ってみれば僕の個人的興味なんだけど…僕、小さい頃に寒い時でも水の中に平気で飛び込んでたみたいなんだ…」
来夢「ええっ!?…確かに、動物っぽいかも…」
僕の答えに、マフさんが小さく驚いた。
天馬「まあ昔聞いた話だし、ほとんど覚えてないけど…もしかしたら前世に関係あるんじゃないかって思ってさ」
来夢「なるほど~…」
僕の答えに、マフさんがうなずいた。
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催眠術師「…なるほど、前世を知りたいというわけですね…わかりました、私の退行催眠は特別ですよ」
天馬「…特別?」
ネット検索で探し当てた場所…そこにいた催眠術師の先生の言葉に、僕は訊き返した。
催眠術師「まあ、かかってみてのお楽しみです…さあ、この振り子をじっと見て…」
天馬「はい…」
先生の言葉通り、僕は先生が持つ振り子をじっと見た…。左右にゆっくり揺れる振り子を見ているうちに、だんだん頭がぼんやりして、考えるのが面倒になってきた…。
催眠術師「…さあ、あなたはこれから生まれる前に生きていた場所に戻りますよ…何が見えますか?」
先生の言葉が、ぼんやりした僕の頭にすっと流れてくる…。僕は先生の言葉に答えた。
天馬「…海です…海が見えます…」
催眠術師「海ですか…よし、さっそく行きましょうか」
頭がぼんやりしていて僕にはわからないが、先生は立ち上がったようだ。
来夢「…え!?行くってどこに!?」
マフさんが驚いて先生に訊いているようだ。
催眠術師「聞いていたでしょう、海ですよ。言ったでしょう?私の退行催眠は特別だって」
先生がマフさんにそう答えているようだ。ほどなくして、僕とマフさんは先生に連れられて車に乗せられたらしい。
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しばらくして、僕とマフさんを乗せた車がある場所へたどり着いたようだ。どこか懐かしい匂いがする気がする。
来夢「…ほんとに海に来ちゃった…」
マフさんが車の窓から外を見て、驚いたように言っているようだ。
催眠術師「前世で見た場所に近いほうが、前世の姿をありのまま見られますからね…」
来夢「…前世の姿?」
先生の言葉に、マフさんが訊き返しているようだ。
催眠術師「私の退行催眠は特別だと言ったでしょう?私の退行催眠はね…その人の前世の姿をも見ることができるのですよ…さあ、行きましょうか」
先生はそう言い、車のドアを開けたようだ。先生とマフさんは車から降りたらしい。僕も後から降りる。
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僕は懐かしい匂いのする砂浜に立ち、海を見ていた…立ち?いや、おかしい。僕の姿勢はこうじゃなかったはずだ…僕は砂浜に腰を下ろして地面に手をつき、しゃがんだ姿勢になる。
来夢「え…今さん、何してるの!?」
僕と一緒に来たらしい男の子が、後ろで叫んでいる。今さん…それが僕の名前なのか?
催眠術師「彼の前世の記憶が戻っているのですよ」
僕をここへ連れてきてくれたらしい男の人が言っている。
来夢「やっぱり今さんの前世って動物だったのかな…でもあの姿勢…猫?犬?まさか蛙??でも、どれも海にはいないしなぁ…」
男の子が僕の後ろ姿を見て言っている。
催眠術師「どうやら全部違うようですよ…ほら」
男の人が僕を指さして続けた。僕はその先で、足をよじっている。身体の形がおかしい。自分の身体なのに体勢が違う。それに、この身体の上に被っているものが邪魔だ。しばらくして、僕は腰から下に被っているものを何とか取り、足で蹴飛ばした。でもその下にあるもう一枚は取れなかった。[newpage]
来夢「今さん、パンツ一丁になっちゃった…あっ!」
男の子が僕の姿を見て叫ぶ。僕がお尻につけているものがぐぐっと盛り上がり…それを突き破って、僕が本来持っているべきものが飛び出したのだ。
来夢「し…尻尾が生えた!短いけど…」
催眠術師「さあ、いよいよ彼の前世の姿が見られますよ…!」
後ろで男の子と男の人の声が聞こえる。
天馬「あ…あ…」
僕は声を漏らす。やはり何か違和感がある。
来夢「…あっ!今さん、足が…!」
男の子が言う通り、僕の足が形を変え…いや、元々の形に戻り始めた。不自然に長かった脚がだんだん短くなり、代わりにつま先の部分が長く大きくなっていき…、ヒレのような形になる。とはいえ後ろに伸びるわけではなく、ちゃんと前を向いている。同時にお尻が大きくなり、そこに被っていたものが破れ落ちる。
来夢「…パンツが破れちゃった…!」
続いて、ぼくの身体も元々の形に戻り始めた。小さく、肉付きも足りなかったぼくの身体が次第に大きくなり、肉付きも良くなっていった。それに応じて、上半身にかぶっていた邪魔なものもビリビリと音を立て、破れて落ちた。
天馬「!」
その途端に、足が元に戻ったことでぼくはバランスを崩して横向きに倒れた。
来夢「うわぁ、今さんのお腹、柔らかくて気持ちいい~♪」
男の子が駆け寄り、ぼくのお腹を触り始めた。
催眠術師「ちょっと、危ないですよ、離れててください」
すかさず男の人が駆け寄り、男の子を引き離す。[newpage]
天馬「あ…あが…」
ぼくは再び声をもらした。こちらも少し戻ってきたようだ。
次はぼくの手…いや、前足の番だ。これも後ろ足と同様に長かった部分が短くなっていき、後ろ足のつま先に当たる部分が長く伸びてヒレのような形になった。
ぼくは倒れていた状態から体勢を戻した。それにより、腹ばいのような姿勢に…いや、ぼく本来の姿勢になる。
来夢「今さん…何になるの?」
男の子が心配そうに言っている。
天馬「あが…あがが…」
ぼくはまた声をもらした。また少しもどってきた。
次はぼくの首だ。首がどんどん太くなり、どう体とのさかい目がなくなるとどんどん伸びていき、あるていどの長さで止まると、顔が変わり始めた。上あごと下あごが前につき出していき、下あごに肉がつき、鼻がつぶれて黒くそまり、口の中にあった平たいきみょうな歯がぬけてそれをはき出すともとのするどい歯が生えてきた。目もだんだん黒目がちになり、つぶらな目になった。耳も小さくなり、頭のよこにぷらんとたれた。からだはもとにもどったけど、まだ足りない…。[newpage]
天馬「あが…が…ガ…グゥッ…!」
ぼくはまた声を出した。首や顔がもどったからか、低いもとの声にもどりつつある。
催眠術師「さあ、いよいよ最後ですよ…!」
男の人のことばがきこえる。まるはだかだったぼくのからだに、うっすらとちゃいろいけが生え、それはだんだんとこくなってからだをおおいつくした…どうじに、あたまの上にあったくろいけもぬけおち、ちゃいろいけでおおいつくされた…そして、はなの下からは白いヒゲがふくすう本、ピンとのびた。
天馬「ガオォォォォォー!!!」
もとのすがたにもどったぼくはこえをあげた。
来夢「今さん、トドになっちゃった…あ!」
ぼくをみていたおとこのこがいっている。ぼくはまわりのすなはまとはいろのちがういしのだいにのぼるとそこからうみにとびこんだ。みずしぶきがとびちる。
来夢「うわ~、今さん、ナイス飛び込み!」
おとこのこがうれしそうにさけんでいる。ぼくはしばらくしてうみからもどってきた。
催眠術師「さあ、もうこんなところで良いでしょう…彼の前世もわかったことですし、術を解いてあげますかね」
おとこのひとがそういってゆびをならす。ぼくはねむくなってねてしまった…。
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天馬「…ん?」
気がつくと、僕は毛布をかけられて車の中で寝ていた。催眠術師の先生のところへ行った後のことは何も覚えていない。
来夢「あ、気がついた?今さん」
天馬「マフさん…え!?何で僕、裸に!!?」
隣にいるマフさんに声をかけられた僕は、毛布の下の自分が裸なのに気がついた。
来夢「今さんの前世、凄かったよ~♪」
天馬「え、僕の前世?見たの?催眠術なのに?」
来夢「うん、凄かったよ~♪先生が一部始終録画してたから♪」
天馬「えー、ほんとに!?」
そんな話をする僕とマフさんを乗せて、車は帰路へと走って行った…。