元海賊のダルマオナホセイウチおじいちゃんが悪くない余生になる話
船が2隻見える。
片方は海賊船だ。
どうやら商船が拿捕されてしまっているようだ。
大柄な男がいる。
ズンズンと巨体を揺らし歩みを進めると、
その恰幅のいい腹と豊かな髭が揺れた。
立派な牙と体毛のない体。
一見肥満体にも見えるが、筋肉の詰まった重量級の腹と太い手足。
海獣族のセイウチ獣人であることは間違いない。
商船側も無防備ではなかった。
しかしあっけなく制圧されてしまったらしい、
海賊船長の歩みの横には複数の男が倒れている。
そしてその目の前に一人引きずりだされた男がいた。
薄汚れてはいるが、身なりは良い。
この商船の船長であろう。
船長と船長が並ぶ。
この無法地帯における最後の希望となる交渉の時間だ。
無条件降伏なのはもはや前提、
あとは命が残るか否か。
「降伏する!命だけは助けてほしい!」
「受け入れてやろう。
近くの港までの食料もつけておいてやる。」
「あ、ありがたい。」
商船の船長は意外そうな顔をした。
多くの海賊は手間がかかるから奪ったら殺して終わりである。
このセイウチの海賊は他とは違うのか。
そう思ったかもしれない。
「代わりに……な。」
セイウチの船長はサーベルとすぅっと動かすと、
彼のパンツはベルトごと斬られてずり落ちた。
「なにをっ!?」
続けざまにサーベルを素早く振るうと、
露出した性器はボタッと床に落ちた。
「あっああ!ああああああ!!!」
股間を抑えて蹲る商船の船長を背にして、
セイウチは去っていった。
よくあることらしい。
治療をするために布を持っていく海賊と、
わずかな食糧を投げて与えた海賊がいる。
なぜ彼は去勢をするのか。
今回襲った商船はワインを特に多く運んでいた。
当然行われるのは酒盛りである。
男どもが酔って喚く中、
セイウチの船長は女を侍らせていた。
そろそろ老年であるはずなのにずいぶんとお元気なものだ。
その雌豹は艶めかしく、擦り寄る。
体格の差で大木に擦り寄っている様にも見える。
蛇のような手が股間へと伸ばされる。
蛇に絡まれた陰茎がググっとせりあがる。
限界までせりあがった陰茎は
ビクビクと震え、臨戦態勢を整えた。
ふむ、人並だ。普通だ。
特別大きくもなく太くもない。
つまり、セイウチ獣人としては極めて短小である。
彼のコンプレックスだ。
セイウチ獣人の集落から追い出され、
海賊をやっている理由でもある。
雄として弱かったのだ。
例え仲間であっても彼の陰茎の大きさが
セイウチ獣人にしては小さすぎることについて触れてはいけない。
触れようものなら……
今日の商船の船長のように去勢されてしまう。
セイウチを睨みつけるサメの獣人がいた。
2本あるうちの1本ならいいか。
という問題ではない。
いくらコンプレックスを刺激されたからといって、
仲間の恨みを買うべきではなかっただろう。
「ね~ぇえ、船長さん。そろそろ挿れてよ。」
「ああ、いま挿れてやろう。」
「……。」
「……。」
「ねえ、まだぁ?」
おかしいな。入らない。
腰をクイックイッとしてズブリとな?
んん?
勃起した陰茎が幻覚だったかのように消え去ると、
平坦な股間があった。
無念な傷痕と穴の下で
相棒を失った玉袋だけが
腰の動きにあわせて寂しく揺れていた。
「ほら見ろよ。チンチンがないだろ?」
「ん~でもセイウチって収納されてるんじゃなかったっけ?
トーチャンが獲ってきたやつはそうだったし。」
「セイウチの獣人は普通にぶら下がってんだよ。
これが傷痕ってこと。」
夢を現実の境界がまじりあい、現実の方に焦点が合わさりだすと、
近所のクソガキどもの顔が見えた。
クソガキ達は寝ていたセイウチ獣人の服の裾を捲り上げて股間を観察していたのだ。
顔を真っ赤にさせたセイウチが叫ぶ。
「クゥラァ!何してる!」
怒鳴り散らすと素早く散ったが、
クソガキどもは手の届かない遠くから挑発的な言行をしている。
セイウチには追うことができないことをわかっているのだ。
「ガキどもがぁ!!!」
クソガキが去った後、
セイウチはモゾモゾと動き始めた。
昼寝の寝相とクソガキで着崩れた服を直そうとしていたが、
容易ではないようだ。
服の裾を両腿で挟み、胸を張るようにして服を伸ばした。
その両足は腿から先がなかった。
両腕で挟むようにして帯を拾い上げて咥えた。
その両腕は二の腕から先がなかった。
太い腹に邪魔されながらも、
短い手足で整え直し、
咥えた帯を口で引っ張って整えた。
この口からはみ出るセイウチの誇りである牙は両方とも折られていた。
「ふんっ。」
整ったらしい。整ったのか?
腰から下の分を切り詰めた浴衣に見える服はヨレヨレで、
まるで布を巻きつけただけにも見える。
帯はしているが、両手がないのに結ぶこともできず、
引っ掛けているだけだ。こんなものすぐに緩むだろう。
あと、下半身は丸出しだ。
丸出しなのは腿までしかない足の短い断端の動きを阻害しないためであり、
一人では褌も結べないからである。
彼は股間を一瞥し、再びふんと鼻を鳴らすと、
短い手足で自分の体を小屋の奥へと引きずっていった。
体を動かすたびに、地面と擦れて服は乱れるし、
尻は丸出しであった。
かつては略奪者だった男がいたそうだ。
大海原を駆け抜けたその男は
仲間によって全てを奪い去られて捨てられるという末路を辿った。
いまは辺鄙な漁村に流れ着き、
その端にある汚い小屋で暮らしている。
一人暮らしで暮らしているわけではなく、
この老いたセイウチを助ける者がいた。
汚い小屋に入ってくる者がいる、彼だ。
先ほどのクソガキではなく、大人のようだ。
「やあ、元気にしてた?」
長い耳と白い毛皮、兎の獣人だ。
長身で身なりが良く、こんな小屋には似つかわしくない。
セイウチはというと、
食料袋に顔を突っ込んで漁っていた最中だったらしい。
顔にパンくずか何かが付いている。
「この前の雨でしけった。
食えたもんじゃねえ。」
そういうと、カビの生えたパンを口で咥えて袋から出した。
確かに食べられない状態になってしまったようだ。
保存性のため硬く乾燥するように焼いたパンでも濡れたら保存性はゼロとなる。
「……今度屋根を直そうか?」
上を見上げながらウサギの獣人は呟いた。
しかしセイウチは首を振った。
「屋根はいい、俺は濡れても平気だ。
それより箱を用意してくれ。俺でも開けられる奴だ。」
「海獣系の獣人とはいえ濡れっぱなしは良くないと思うけどね。
まあそういうならいいや。わかった、箱の方は探しておくよ。」
ドサッとウサギの獣人は新しい食料の袋を置いた。
飼われているというのはこのウサギに飼われているのだ。
食料を提供されている。
セイウチはウサギの保護の提案は拒否した。
その代わりの妥協としてこの小屋暮らしである。
完全な保護は気に入らないらしい。
セイウチは水をかけられ、全身を洗われていた。
小屋の外でボテッと座り込み、
その周りでウサギが忙しく動いている。
体毛が少ない種族ゆえに、
キツイ獣臭がするわけではなかったが、
ウサギには少し洗って臭いを落とした程度がちょうどよいらしい。
ウサギがセイウチの腕の断端を掴んであげると、
腋が露出した。
ツンとした強い臭いがする。
ウサギはいくらか酔いそうになりつつ、
水をかけて、その腋を擦って洗った。
セイウチは気持ちよさそうにしつつ、
ウサギのズボンの前側では内側から押し破ろうと言わんばかりに
テントを張っているのを見ていた。
去勢されたと言っても動物の去勢とは異なる状態だ。
まず陰茎を失っている。
股間は傷痕と尿道の穴を残してその下に正常な玉袋が残る。
そのくせ玉袋の方は極めて正常だ。
もはや挿れるものすらないのに、性欲は失われていない。
性欲旺盛なウサギ獣人ゆえにセイウチの体を求めていたように、
セイウチもウサギの肉棒を必要としていた。
種族としてウサギ程の性欲はなくとも、
自慰すらできない体は常に性欲を持て余している。
セイウチはウサギの股間にしゃぶりついていた。
手足のないセイウチにできる前遊は舌を使うことのみである。
短い手足の断端で縋りつくように足にまとまり、
太った体を伸ばしてそのチンポにしゃぶりつく。
特別に上手というわけではないが、
多めの唾液量と、肉厚な唇が前遊にならちょうどよかった。
挿入するときはいつもこの体位だった。
セイウチが手足の断端を使って四つん這いになって。
ウサギが後ろから挿入する先祖に倣う最も獣らしい体位。
正獣位というらしいが、
名前を知らずとも多くの人はこれを行う。
「ちょっと低いからもっと高くできない?」
「んっ!」
セイウチはめいいっぱい尻を上げようとしたのか、
ぐっと猫が伸びをするように上半身を下げて、下半身を突き出した。
高さはほとんど変わりないのだが、兎は少しおもしろく感じた。
「うん、いいよ。フフッ。ちょうどいい。」
唾液に塗れたウサギの細長いチンポが
セイウチの中へと沈み込んでいく。
「んっ!んんんんぁ!」
根元まで入り切った時、二人は停止して、
ゆっくりと息を吐いた。
その後のウサギは性欲に任せて乱暴に腰を動かし続けた。
先祖である動物のウサギは驚異的早漏で短時間で済ませたという話だが、
獣人は早漏ではないが、腰の動きの早さだけが受け継がれている。
獣人としての体格の差や体の頑丈さの差もある。
乱暴なくらいがセイウチにはちょうどよく感じた。
「あっ、あああ。ああっ!」
尻を犯されて汚い声を上げている。
セイウチの股間はピストンの衝撃で玉袋が前後の動いた。
そしてその上の穴からはついに精液が放たれた。
「んんおおぁあ!」
びゅるびゅるとで続けた。
陰茎を失ってしまったがために股間の穴から出ている。
例え女と交わろうとも、
棒がない以上は穴の奥には届かないだろう。
もはやどこにも届くことがなくなった精液は
床に散らされて無駄になった。
性欲のためだけに出された精液だ。
「んんっ!」
腰が砕けそうであった。
セイウチはウサギが満足するまで尻を突き出した姿勢を続けた。
セイウチがモゾモゾと動いた。
「小便をしたい。
間に合いそうにないから頼んでいいか?」
ウサギの獣人はいいよというと、
セイウチを抱えて小屋の外まで運んだ。
ウサギが腹を抱えるようにして体重を支え、足の断端で立たせた。
支えがあるとはいえ、
セイウチはずいぶん久しぶりに立ったような感覚がした。
以前はもっと高い視界であったのに、
ずっと蹲ったままであった。
尿意に集中すると、
陰茎を失った痕に残った穴から尿が排出された。
「昔な、セイウチとしてはチンポが小さいって言われてな。
カッとなってそいつのチンポ切っちまったんだよ。
あの頃はどうかしてたな。怒ったからって仲間だぞ。
やり返されてこんな股間になっちまった。」
「そっか。」
排尿の音だけがした。
「ま、いまはなんかすっきりしている。
短小どころかなくなっちまったわけだ。
落ちるところまで落ちたらあとはもう落ちることはねえし、
おまえに飼われるのも悪くない。」
出し終わりの数滴が飛びきらずに肉を伝い玉袋に垂れた。
ウサギはそれを拭きながら言った。
「つまりチンポ切られて良かったってことかな?」
セイウチは何を言ってんだ?とか
そこまでは考えたことがなかったといったような顔をした。
「よっ、良かったわけはねえだろ!
せめてチンポだけで済ますか、
チンポは残して手足だけで済ますかくらいにしてほしかった
みたいな話であってだな!」
ウサギはクスクスと笑った。
「僕にとっては良かったかな、
使い勝手のいいオナホと出会えたわけだし。
いつかその人にお礼をしないといけないね。」
「こいつまだいうか。」
腕の断端でウサギを叩くとペチペチとかわいらしい音がした。
かつて拳だけで人を殺せたような剛腕も、
いまはじゃれあうくらいにしか役に立たないが、
これはこれで悪くない結末だったのかもしれない。
特別やることもないし、やれることもないセイウチがまた小屋で寝ていると、
クソガキがまたやってきたのだと気配で察した。
一度ならしも二度までも、
もしや面白がるというよりも興味があるのかもしれない。
「おいガキども。」
「うわっ!起きた!」
「そんなに気になるなら触ってみてもいいぞ。
お~らっどうした?」
腰をクイクイとさせて見せた、
毛皮のない赤みを帯びた茶色の肌に
薄い色の傷痕と、ポツンと残る穴は興味深いと言えなくもないだろうか?
しかし驚いた子供達はそのまま走って行ってしまった。
単に怒るよりも効いたのかもしれない。
なんだかおかしく思えたらしい。
「かっはっはっは。」
彼は久々に大笑いをした。