素晴らしき10月

  「はい。坊やの分だよ」おじさんが僕にチャリンマスカットを手渡してくれる。

  1円玉で大切に育てた貯金木のチャリンマスカット。銀色に輝く小粒が凄くキレイだ!すぐにでも入院しているお母さんに食べさせてあげよう!

  そんな僕のチャリンマスカットを見て笑う奴がいる。「1円玉で育てたチャリンマスカットなんて貧乏臭い」「500円玉で育てた大粒のチャリンマスカットこそ最高の味だ」

  おじさんがそいつの頭に拳骨を落とした。

  「馬鹿野郎!チャリンマスカットに貴賤なんてねぇ!1円も500円も金の重みに違いはねぇ!」

  そいつは意味が分からないといった顔をしている。金の重みを理解していないからだ。

  僕は1円の重みを知っている。だから1円玉で育てたチャリンマスカットでもずっしり重みを感じている。

  しかも今年は1円玉の量をいつもより100円分増やした。

  10月が旬のチャリンマスカット。きっと素晴らしい味に仕上がっているぞ。