チンポがなくても雄であり続けたい黒豹が一度凹まされてから復活する話

  ギッ……ギッ……ギッ……

  トレーニング用の器具の軋みの音が僅かに響く。

  一人っきりの早朝の鍛錬室で黒豹の獣人が黙々と体を追い込んでいた。

  いつも以上の負荷をかけている。

  しかし、仕上がらない。

  力が身につかない。衰える一方。

  理由はわかっていた。

  心当たりしかない。

  ただそれを認め難く、

  彼は日常を継続しようとしていた。

  「くそっ!」

  半ば投げ出されるように手放され、

  トレーニング器具が音を立てて落ちた。

  ベンチにドスッと腰を下ろし

  黒豹は頭を抱えた。

  焦りを隠すこともできない様子だ。

  もう早朝という時間帯も過ぎ、

  人が増えてきた。

  「ようブラックパンサー。

  あまり仕上がっていないな。」

  話しかけると同時に、

  肩をガッと掴んで揉んだのは狼獣人。

  彼の宿敵であるグレイウルフである。

  彼にはライバルと言える相手もいるが、

  この狼に関しては純粋に仲が悪い。

  だから宿敵だとかつて本人がコメントしている。

  「おまえか、何の用だ。」

  「用も何も鍛えるために来たに決まっているだろう。」

  言葉の応酬も最低限で、静かに睨み合った。

  立っている狼の方が自然と見下す形になっている。

  視線を動かし、黒豹の履いているパンツに注目した。

  「おかしいな。おまえは割とタイトなパンツを好んでいたはず。

  何か履けなくなった理由でもあるのだろうか?」

  トランクスタイプのゆったりしたパンツを見て

  わざとらしく狼は煽った。

  現代において種族による先入観はハラスメントだと言われているが、

  この狼の中身は狐だ、黒豹はそう考えている。

  舌打ちをした黒豹は踵を返し、去った。

  「うおおお!!!

  やめてくれ!やめてくれぇ!

  もう10年前のことだろ!

  もういいだろ!

  なんでいまさら!

  しかもこんな!」

  みっともなく泣きわめく黒豹の男。

  「刑の執行を開始する。」

  厳粛に淡々と準備を整えていく執行官達。

  10年前の暴行事件が確たる証拠によって刑が確定した。

  被告は最後まで認めなかったため、

  同系統の刑の中では最も重い追加罰がついてしまった。

  公開執行である。

  全裸にされた黒豹が厳重に固定される。

  四肢を、胴を、顔を。何箇所も。

  自由になるのは口だけ。そして僅かな蠢き程度。

  黒豹というだけあり、毛皮はほとんど真っ黒。

  黒と濃い灰色でヒョウ柄模様がなんとかわかる。

  背が高く、骨格そのものは細いと言えるが、

  それを上回る筋肉によって、見事な逆三角の体になっている。

  豹というのは一般的には華奢な種族ではあるが、

  この上なく鍛えられていて美しささえある。

  そんな肉体美の前に細いギロチンが組み立てられた。

  彼はこれからこのギロチンにかけられる。

  ギロチンの下に入るのは彼の首ではない。

  彼のチンポだ。

  「やだよぉ、やだよぉ!」

  裏返った声で嗚咽混じりに懇願している。

  しかし容赦なく固定用の穴にチンポが押し込まれる。

  泣こうが喚こうが粛々と準備を続けられた。

  老若男女、多くの人の視線がその性器へと注がれる。

  彼のものは小さくはなく平均的であるはずだが、

  すっかり縮み上がってしまい、ひどく小さく見える。

  カラカラと刃が引き上げられる歯車の音がする。

  今どきの技術ならば自動化など簡単だが、

  儀礼的かつ伝統的な刑罰でもあるため

  非常にアナログな古臭い仕組みになっている。

  一番高くまで引き上がった刃を固定する縄が結ばれた。

  あとは執行官の手斧で縄を切るだけで完了する。

  後方には医療班が待機しているから事後処理も完璧で、

  近代において死者がでたことは1件すらもない。

  執行官が念仏のように刑の内容や条文を読み上げていく。

  「ヒィーイッヒィーッヒ!」

  黒豹は半ば過呼吸を起こしたかのようになっている。

  執行官の念仏が終わるとすぐ、手斧が振り上げられた。

  溜めも何もなく機会的に手斧が振り下ろされた!

  「あああああああああああ!」

  悪夢を見て目覚めが悪かった。

  それでも朝は来るし、日が暮れて、夜の仕事が来る。

  仕事と言ってもあまり大っぴらには言えない裏側の仕事である。

  だが裏側の中では割とクリーンで輝かしい方だ。

  彼自身はそう思っている。

  地下闘技場、そこが彼の舞台だった。

  豹の靭やかさに鍛え上げた筋力による力強さが加わり、無敵!

  最上位の一人である。

  ブラックパンサーvsグレイウルフ

  ついに今夜最終決着!

  デカデカと広告が貼られている。

  いつでも『今夜決着』という決り文句なのだが、

  今回の広告には『最終』とついてしまっている。

  黒豹は忌々しく視線を背けた。

  地下闘技場ではあるが、一般人でも入れる程度の地下である。

  今夜は特に大勢の人が見に来ている。

  理由はブラックパンサーの方にあるのは間違いないだろう。

  眩しいぐらいのスポットライトに照らされた金網の中、

  二人の男が向かい合った。

  膨れ上がった筋肉と細い腰つきの逆三角体型が特徴の黒豹、ブラックパンサー。

  上から下まで調和の取れたバランスの狼、グレイウルフ。

  ゴングが鳴り、速攻で仕掛けたのはブラックパンサーだった。

  しなやかな動きからフェイントをかけつつ繰り出された裏拳!

  グレイウルフはなんと守りもせずに顔面で受けた!

  スパーンと大きな音がした……。

  音の割にリアクションはない。

  体勢を崩せてもいない。

  「弱いな。」

  ブラックパンサーにだけ聞こえるように呟き、

  ニヤリと笑った。

  効いていなかった。

  打っても突いても効かない。

  締めに行っても弾かれる。

  なぜか効かない。一方的な展開だった。

  ブラックパンサーは地に伏していた。

  スタミナがある限りは被弾しなかった、

  しかしいずれは疲弊する。

  それも攻撃しっぱなしでは時間もかからなかった。

  動きが鈍ったところで軽く殴って蹴ってですぐに倒れた。

  ブラックパンサーは明らかに弱かった。

  誰が見ても明らかだった。

  グレイウルフはマイクを要求した。

  「もうこんなやつは俺の宿敵ではない!

  俺とこいつの戦いはこれにて最終決着とする!

  ブラックパンサーは弱い!

  弱くなった!圧倒的にだ!

  勝手に弱くなったのは許せない!

  お仕置きが必要だ!そうだな!」

  歓声が上がった。

  "お仕置き"で問題ない。

  倒れたままのブラックパンサーのパンツへと手がかけられた。

  これから何をされるかを悟ったブラックパンサーは抵抗するも、

  もはや無力としか言いようのない力しか出せず、

  あっさりと脱がされてしまった。

  彼はうつ伏せのままだ。

  タ・テ!タ・テ!タ・テ!

  立てとコールすら起こる。

  「弱くなったには理由がある!

  いまからお披露目といこう!」

  煽るように言うグレイウルフグレイウルフによって

  ブラックパンサーは床から引きずりあげられた。

  何度か抵抗して股を手で隠そうとするも、

  数発殴られると、大人しくなりされるがままとなった。

  ブラックパンサーはもう雄ではなくなっていた。

  黒豹は色黒の地肌ではあるが、毛皮と比べたら桃色に近い、

  その地肌が透けている程度の毛しか生えていないからひどく目立つ。

  股間に荒く縫い合わされた痕だけがあり、

  小便用の穴があるだけである。

  彼は雄を失わされ、

  雄としての力を失いつつあった。

  だから弱かったのだ。

  「公開執行を見た人もいるだろうが、見逃した人もいるだろう!

  上のモニターでループ再生してるからじっくり見てくれ!」

  グレイウルフの調子のいい声がスピーカー越しに響く。

  リングにいる二人からは見えないが、動画が再生されているようだ。

  「さぁ待たせたな!お仕置きタイムだ!」

  ブラックパンサーを放り投げ、

  いつの間にやら全裸になっていたグレイウルフが

  己のパンツを宙へと投げた。

  リングに打ち付けられたブラックパンサーが呻く、

  なんとか顔をあげてまず見たものは、

  グレイウルフの怒張した陰茎だった。

  地下闘技場におけるお仕置きとは

  明らかに弱くつまらない試合をした劣った雄を、

  勝った方の強い雄が蹂躙することである。

  要するに観衆の目の前で犯す。

  ブラックパンサーとグレイウルフは

  最終的な勝敗はその時々によるが、常に互角であった。

  だからお仕置きに至ったのは初めてのことだ。

  「くっ、ぐぅう。」

  なんとか這ってでも逃げようとするブラックパンサーを

  後ろから覆うようにグレイウルフが重なった。

  「お前には失望したよ。

  気が合わないがお前の強さについては認めていた。

  全くもってつまらない決着だ。」

  もがくブラックパンサーの尻穴に

  グレイウルフのモノが押し付けられた。

  闘技場の真っ只中だ。

  前戯なんてあるわけがない。

  「おぉ、おおお!や、やめてくれえ!」

  大敗などしたことがない、

  よって全くの未経験だった。

  一度もそういったことにつかったことのない新品の穴へ

  強引に捻じ込まれた。

  「あっ!アアッ……。うぅ。」

  歓声が上がる。

  ズッズッとピストンするたびに歓声が上がり、

  ブラックパンサーは痛みと屈辱に震えた。

  「お前に与えるお仕置きは

  こんなことだけじゃ足りない。」

  グレイウルフは素早く動き、

  ブラックパンサーの右腕右足を自身の右腕だけで一抱えに、

  左腕左足も同じように一抱えに。

  そして挿れたまま立ち上がった。

  「うおおお!ひゃ、ひゃめろお!」

  ブラックパンサーは泣き言のように叫んだ。

  彼は背面から挿入されたまま大股開きとなり、

  挿入されている様子も、

  雄の痕しかない股間も、

  すべてが余すことなく観客に見えるようにさせられている。

  「あぁああぁぁ……。」

  グレイウルフはそのままノッシノッシと歩き周り、

  ブラックパンサーの無様な姿をすべての観客見せるべく練り歩いた。

  「呻いてないでもっと観客にアピールしろ。

  お前に注目してるんだぞ。」

  強い雄に心身共に屈服された獣人は

  その強き者に従うという習性があると言われている。

  ブラックパンサーはふにゃふにゃとした虚ろな様子で

  両手それぞれでピースサインを作った。

  「あへぇ……。」

  みっともない締まりのない顔、

  よだれを垂らし無様そのものである。

  ぱしゃぱしゃと携帯端末の内蔵カメラのフラッシュが綺羅綺羅と光る。

  再びリングへと戻った時、

  本格的にピストンが始まった。

  雄々しい膂力でによって立ったままそのままの体勢でズンズンと突く。

  「おっおっおっ!」

  あろうことか気持ち良くなってしまっている。

  体液を垂れ流すひどい顔のまま、口角がいくらか上がる。

  ブラックパンサーの雄としての命がもう尽きようとしている。

  「これで終わりだ!」

  「うっ、あっがぁ。うぅ……。」

  最後の一突き。

  そしてドクドクとその体にグレイウルフの精液が注がれた。

  雄を失った体は本能的にその精液をありがたく吸収することだろう。

  ブラックパンサーの方はと言うと

  雄がないのだから出せる精液がない。

  代わりに失禁した。

  かつて雄があった場所は

  元々そういう形ではない縫い目の凹凸のある跡地である、

  尿が真っすぐに出ず、飛び散ることもある。

  その様子がまるで潮吹きのように見えたとのことだ。

  観客は最高に沸いている。

  ブラックパンサーは薄黄色い水溜まりに沈んだ。

  こうして彼の雄として人生はここに幕を閉じた。

  あの戦いから黒豹は引きこもっていた。

  すっかり凹んでしまったようだ。

  そんな彼の元に顔なじみの背の低い犬獣人が訪ねてきた。

  前まで専属マネージャーのようなことをしていたが、

  本来は地下闘技場の職員である。

  「おいおい、ブラックパンサーよぉ元気出せよ。

  それよりお前にマッチングのオファーを持ってきたぞ。」

  もうどこにも出まいと思っていたが、

  いまさら誰が相手になるのかと

  わずかに興味が惹かれて目を向けてしまった。

  100戦100敗、完全無勝のダルマファイターのピッグちゃん

  彼は"諸事情"で四肢を落とされダルマになった挙げ句、

  "諸事情"で地下闘技場でダルマにも関わらず戦わされているという

  底辺中の底辺の豚獣人だ。

  ダルマなのだから当然戦いにもならず、

  一方的に転がされた挙げ句犯されるという雑な前座だ。

  「俺はこんなのと同等だというのか……。」

  ピッグちゃんは見たことがある。

  頭が半分壊れたエロダルマおじさんだ。

  「いいや、おまえにはまずそれ以下になってもらう。

  適当にピッグちゃんに勝ったあと、

  お前はピッグちゃんのチンポを自分のケツに入れて逆レをする。

  つまり戦いに勝って勝負に負けるという独自路線を打ち出す!」

  地下闘技場でのお仕置きは珍しくはない。

  ただ不文律として、

  圧勝/完敗の時のみとされ、

  勝ったほうが挿れる方であり、

  負けたほうが挿れられる方とされている。

  これだけは覆されたことがない。

  要するに犬の言い分通りならば

  負けたら犯される。勝っても犯させる。

  どっちにしろ挿れられる方になってしまう。

  そんなの必ず負けるようなものじゃないか。

  黒豹はそう感じた。

  「今回はピッグちゃんをつかって実質出来レースでいくが、

  それ以降は真面目に戦うって予定だ。

  交渉したら報酬は前よりも良くなったぞ。」

  

  「お前の再登場を願うファンが結構いるんだぜ。

  勝ったらすごい、負けても仕方ないで済むんだ。

  結構いい立場だと思わないか?

  ここで逃げたら負けっぱなしの負け犬

  雄でも雌でもないナニかで終わりだぞ。

  雄じゃなくてもリングに上がり続けて勝てばいいんだ。

  勝ちさえすればお前は雄として認めてもらえる。」

  

  「そ・ん・な・わ・け・で、ブラックパンサー改め、

  ブラックパンティーの初戦としてどうだ?」

  犬は畳み掛けるように矢継ぎ早に話を続けた。

  「お、俺は……。」

  まだ迷いがある。

  それを感じ取った犬はもっと攻めることにした。

  「これは俺の得だけじゃない。

  お互いの得になる話だ。

  俺はお前のために言っているんだぞ。

  そうだな、おまえはいまムラムラしてる。そうだろ?

  自慰もできなくて結構苦しい。違うか?」

  「はっ!?いや、ちがっ。」

  「いやいやわかってるって。

  今のお前みたいなやつを知ってるんだ。

  まず、獣人の強さの源は知っているか?

  雄ホルモン、あるいは雌ホルモン

  って言われるモノの働きで強くなっている。

  だから去勢されて雄ホルモンがなくなったお前は弱くなった。」

  黒豹は口をあんぐりさせたまま動かない。

  何を言っているのかわからないと言った様子だ。

  「それをケツから精液を取り込むことで雄ホルモンを吸収する、

  そして擬似的に雄であり続けることができる。」

  「思い出せ。

  この前グレイウルフに中だしされただろ?

  お前は雄でも雌でもない最弱の状態から、

  中だしされることで一時的に雄の力強さを取り戻している。

  今なら鍛えれば前のように強くなれる。

  だが一時的だ。

  一発程度じゃもう何日も持たないだろうな。」

  値踏みするように改めて上目遣いで黒豹を見た。

  「さて、俺のオファーに乗るなら

  効率的に雄ホルモンを取り込み続けられ、

  おまえは雄であり続けることができる。

  それとも……、このまま逃げ出すか?

  なぁ、もう一度雄になろうぜ。」

  当たり前のことだが、

  股間なんて他人に見せるような場所じゃない。

  知り合いなんて誰もいない外国へと逃げてしまえば

  雄ではないことを誰にも知られることはないだろう。

  チンポを失い、雄としての強さも衰えてしまうだろうが、

  それでも穏やかな普通の暮らしが送れたかもしれない。

  彼は他の生き方を知らないからかもしれない、

  或いは雄を失ったゆえの臆病さかもしれない。

  それとも擬似的にでも雄を取り戻したかったのか?

  彼は了承し、地下闘技場の新たな底辺ファイターが誕生した。

  黒いレースの女性もののパンティーを履いた黒豹が

  今日も地下闘技場で前座をしている。

  戦いに勝っても負けても彼が挿れられる方である。

  「うおおおおお!」

  勝鬨かのような雄叫び。

  相手にまたがり、雄を失った股間を隠すこともなく激しいピストン。

  相手の負けチンポを尻で吸い尽くす。

  ブラックパンティーはブラックパンサーだった頃よりも強くなった!

  近々グレイウルフにリベンジマッチを申し込むという噂だ。