王都から遠く離れた辺境の地。
薄暗い森の中、月明かりだけを頼りに全身を鎧で包んだ女騎士サーシャが、豪華なドレスを身に纏った少女エミリーを庇うように前を進んていた。
「姫、私の側から決して離れずに」
「はい。 サーシャ」
迂闊だった。
この森にこれほどの数の猛獣が潜んでいるとは。
サーシャは騎士として、いや、王女であるエミリー姫の専属近衛騎士として彼女を命をかけてでも守る義務がある。
猛獣ごときに後れを取るつもりはないが、彼女を庇いながらというのは些か厳しいものがあるだろう。
だからといってここで立ち往生しているわけにもいかない。
サーシャはエミリーの歩幅に合わせて、周囲を警戒しながら前を進む。
「まさか馬車が猛獣の群れに襲われるとは…… 怪我はないですか、サーシャ」
「身に余るお心遣い感謝いたします。 この命に代えてでも、必ずや姫を王都までお連れいたします」
サーシャは一瞬立ち止まってエミリーに振り返ると、胸に左手を当て頭を深く下げて感謝と忠誠を示す。
「貴方の言葉を信じます。 王都に戻ったらサーシャの好きな肉汁溢れるステーキを囲んで、二人で食事をいたしましょう」
そう言って微笑むエミリーの姿はとても美しいものだった。
女であるサーシャでさえ見惚れてしまうほどに……。
だが、そんな一瞬でも気を緩めてしまったのが仇となった。
再び歩き出そうとしたその時───
ガサッ 近くの茂みから物音が聞こえた。
サーシャは反射的にエミリーを背後に庇い、腰に差していた剣を抜いて構える。
(囲まれた!)
狼の群れ。
それもかなり大きい。
強行突破…… いや、それは危険だ。
かといって、このままではいずれ追い詰められて襲われる。
どうするべきか迷っていると、頭上から狼のような遠吠えが響き──
ドスンッ! 頭上から人影が降ってきた。
まるで地面が揺れたかのように、サーシャの目の前に着地したのはガッシリとした体格の男。
二人に背を向けたその広い背中は、まるで熊のように大きく感じた。
「剣を収めろ。 月明かりに照らされた剣があいつらを刺激する」
男は低い声で言った。
その声だけでサーシャは、目の前の人物に底知れない凄みを感じた。
「安心しろ。 必ずこの場を切り抜けさせてやる」
彼に言われた通り、サーシャは剣を収める。
男は剣の収まる音を耳にすると、正面で唸りを上げている一匹の狼に対して鋭い眼光を向けた。
「散れっ!」
腹に響くような低い声が男から発せられると、狼たちは一斉にその場から離れていく。
一体何が起きたのか?
理解できない表情をしているサーシャに男が振り返る。
「王国騎士か。 しかも女の王室近衛聖騎士とは珍しい」
彼女の纏う鎧を一目見ただけで素性を言い当てる。
この暗がりの中で鎧に入った王室紋を見抜いたその洞察力に驚きつつも、全身から放たれている威圧感から只者でないことはすぐに分かった。
サーシャはエミリーを後ろに下がらせながら男に問いかけた。
「助けて頂き感謝する。 だが貴殿は何者だ、なぜこのような森の中にいる?」
サーシャの問いに男はニヤリと笑い、その後ろのエミリーに視線を移した。
その視線を不審に思ったサーシャが剣の柄に手を置きながら男を睨む。
「警戒するな。 こう見えても以前は騎士として戦っていた身だ。 今は訳あってこんな所で暮らしているがな」
そう言うと男は頭をすっぽりと覆っていたフードを脱いで片膝を付けて礼をした。
「元・王国第十騎士団のオルガ。 お初にお目に掛かる、第一王女」
その言葉を聞いた途端、サーシャとエミリーの目が大きく見開かれた。
「元・王国騎士? しかも第十騎士団だと!?」
それは過去に存在した、特殊戦闘専門の騎士団。
その実力は歴代最強と謳われ、国王直属であったにも関わらず表舞台には殆ど姿を見せななかった謎の存在。
特殊任務のため戦地に赴き、そのまま消息を絶ってしまったという事だけは聞いた事がある。
そんな人物がどうしてこのような場所で暮らしているのか不思議でならない。
「なるほど。 我が国の騎士でしたか。 それで私の素性を知っているのですね」
エミリーが納得したように呟くが、サーシャは慌ててエミリーの口を塞いだ。
彼女は王族の中でも極めて特殊な存在。
聖女として洗礼を受け、第一王女でありながら対外的には王位継承の序列からは外されているが、この混乱の世でいざというときには女王として国を治める立場にならなければならないのだ。
そのためエミリーの正体を知る者はごく僅かしかいない。
「助けて頂いた事には感謝する。 だが、今の私達は見ての通り旅の途中の身。 申し訳ないが余計な詮索は無用に願いたい」
エミリーを護る者としてこれ以上の正体を知られる事は避けたかった。
オルガは「フッ」と笑い立ち上がると脱ぎ捨てたフードを拾い上げて歩き始めた。
「付いてこい、この森の夜は危険だ。 命が惜しいなら一晩泊めてやる」
[newpage]
◇◇◇
驚いた。
人里離れた森の奥にこんな屋敷があるとは。
サーシャは、エミリーと共に通された客間で出された紅茶を口に運びながら部屋を見渡した。
かなりの年代物ではあるが、家具や調度品も一級品のもので揃えられている。
「失礼を承知で伺うが、オルガ殿はどうしてこのような森の中に屋敷を?」
サーシャは率直に疑問をぶつけた。
いくら武勲を上げた元王国騎士とはいえど、ここまで立派な屋敷を建てられるほどの財力など得られるはずがない。
「ここは第十騎士団の砦だった場所だ。 その前はどこかの貴族が別荘として使っていたようだがな」
確かにこの森は、格好の避暑地として貴族たちの間で使われていたと聞く。
だが、いつの間にか猛獣の巣窟になってしまい、今では誰も寄り付かなくなった場所となってしまった。
「なぜ王国騎士を辞められたのです? その立派な体と若さならばまだ十分に活躍できるでしょうに」
エミリーが興味深そうに訊ねた。
確かに彼の体は、服の上からでも分かる程に鍛え上げられている。
いや、それどころかここまで逞しい肉体を持つ人間は王都でも見たことがない。
オルガは一瞬考える素振りを見せた後、ゆっくりと口を開いた。
それはまるで自分の罪を語るかのように……。
「激しい戦闘でな。 他の団員は命を落としたが俺一人だけがこの場所で生き残った。 それ以来、俺はここから離れられなくなっちまった」
オルガはそう言って窓の外に見える月を眺めた。
伝説とまで言われた騎士団が壊滅するほどの戦い、よほどの激戦だったのだろう。
サーシャはエミリーに視線を移すと、彼女は両手を組んで目を閉じながら祈りを捧げていた。
「第十騎士団が全滅とは…… 相手は?」
サーシャの言葉にオルガの眉がピクリと動いた。
そして静かに答えた。
“獣人”と。
「獣人だと!?」
書物にしか出てこないほどの伝説的な種族。
それが実在する!?
サーシャは驚きの声を上げると、オルガは小さく笑った。
信じていないと思ったのだろう。
しかしサーシャはオルガの目を見て確信した。
彼の瞳は嘘偽りなく真実を語った者の目をしていたからだ。
「あれは人間の敵う相手ではない。 腕を一振りしただけで人の体など簡単に真っ二つだ」
想像を絶する話だった。
獣人とはそこまでの存在なのか。
もしそのような者が現れたら国は一瞬で終わる。
サーシャは背筋が凍るような感覚を覚えた。
それは獣人への恐怖と言うより、そんな相手と渡り合ってきたオルガに対する畏怖のようなものかもしれない。
サーシャは彼の次元の違う強さの一端に触れた気がした。
「オルガ。 その力、もう一度王国のために使うことは出来ませんか?」
エミリーが真剣な眼差しを向けながら彼に問いかける。
だが、オルガはその質問に答えることなく視線をエミリーへと戻すと、脈略のない質問をしてきた。
「姫様には欲しいものがありますか?」
「欲しいもの?」
唐突に聞かれてエミリーはキョトンと首を傾げる。
サーシャが質問の意味を図りかねて思わず眉を寄せる。
会話を終わらせるため席を立とうと肘掛けに手を掛けたその時、それを制するかのようにエミリーの手がサーシャの胸元へと伸びた。
「姫?」
突然の行動にサーシャは戸惑いの表情を浮かべるが、エミリーは微笑みながらサーシャの瞳を真っ直ぐに見つめる。
そして、その視線をオルガへ戻すと、彼女は言った。
その口から出てきたのは意外な言葉だった。
「力…… でしょうか。 何者にも負けない、それこそ獣人にも負けないような圧倒的な力」
まさか、エミリーがそんな物を欲しているとは思ってもいなかったサーシャは驚愕した。
聖女であり、第一王女であるエミリーが望むのは、力とは真逆の物だとばかり思っていたからだ。
「姫、冗談でもそのような事を申されては……」
サーシャは苦言を呈したが、エミリーは首を横に振りサーシャへと真っ直ぐに顔を向ける。
その瞳からは強い意志を感じた。
「サーシャ、あなたは私と同じ女であり、将来を約束された良家出身であるにもかかわらず、どうして騎士になって力を得たのですか?」
エミリーの問いにサーシャは言葉に詰まった。
弱き人の盾となり剣を振るうその姿に憧れ、騎士になる事こそが自分の生きる道だと信じてきた。
だから女でありながら男に混じって剣の稽古に励んだ。
しかし、それを後悔したことは一度もない。
女に生まれたからこそ得られた力もある。
その事はエミリーも知っているはずだ。
「力を欲した、からではないのですか? 愛だの慈悲だのはただの綺麗事です。 それを得るためには力が絶対に必要なのです」
エミリーの言っていることは正しい。
だが、それはエミリーが王族として必要な力とは違う気がする。
彼女は私達のような者とは違い、国を治める立場なのだ。
サーシャは戸惑いながらも反論しようとしたが、それよりも早くエミリーが話を続けた。
「でも、安心なさい。 私にはそのような力を得ることなど出来ませんから」
エミリーは微笑みながらそう言った。
その笑顔はどこか寂し気で悲しそうに見え、サーシャはそれ以上何も言うことが出来なかった。
ただ苦笑いを浮かべ、その視線を窓へと向けると、こちらを背にしながら外を眺めるオルガの背中が目に映る。
「圧倒的な力を王国に…… か」
オルガが外を眺めながらボソッと呟いた。
はっきりとは見えなかったが、窓ガラスに一瞬映ったその顔は不気味さを漂わせるような笑みを浮かべているようにも見えた。
[newpage]
◇◇◇
猛獣に襲われ、森を歩き通して疲労が蓄積されたのだろう。
エミリーはベッドに入ると、すぐに深い眠りについた。
サーシャは彼女の就寝を確認すると、そっと廊下に出ると部屋の前に腰を下ろす。
姫を護衛のため、鎧を纏ったままで一晩中ここで見張りをするつもりだ。
オルガの話では、猛獣はこの敷地には寄ってこないとの事であったが、それでも万が一のことを考えれば寝ることなど出来ない。
サーシャはオルガから受け取った渋茶入りの瓶を取り出すと、蓋を開けて中の液体を口に含む。
屋敷の中は静まり返り、窓から射す月明かりが幻想的な雰囲気を作り出している。
このまま、何事もなく朝を迎える事が出来れば良いのだが……。
サーシャはそんなことを思いながら夜空を見上げ、自分の意思ではあがらう事の出来ない程に重い瞼をゆっくりと閉じていった。
◇
ギシッ ギシッ
エミリーの眠る部屋の中で床の軋む音が聞こえる。
その音は段々と大きくなり、やがてエミリーの耳元へと近づき止まった。
エミリーはゆっくりと目を覚ますと、目の前にそびえ立つ屈強の男を見上げながら口を開いた。
「オルガ…… どうして貴方がここに…… サーシャは?」
まだ眠気が抜けていないのか、少しふらつきながら起き上がるエミリー。
オルガはそんな彼女をじっと見つめながら答えた。
「あの騎士なら疲れが溜まっているようで眠ってしまった。 代わりに俺が護衛をしているが、こういうのは勝手が分からないものでな。 起こしてしまってすまない」
その言葉を聞いてエミリーは安堵の息を漏らした。
オルガなら安心して護衛を任せる事が出来るだろう。
「感謝します。 サーシャは一人で全てを背負い込んでしまう所があるので、無理にでも休ませなければと思っていました」
そう言って彼女はオルガに椅子に座るように促すと、彼は素直に従い静かに腰を下ろした。
エミリーは机の上に置いてあった水差しを手に取ると、それをコップに注ぎオルガに渡す。
「王女の部屋に勝手に入った罰として、眠気が戻るまで話し相手をしてください」
「構わんが、何を話すのだ」
エミリーはしばらく考え込むと小さく笑った。
そして、オルガの目を見ながら答える。
「先程の話ですが、私が力を欲する事はどう思いますか?」
エミリーの言葉にオルガは無言で答えるも、彼女は真剣な眼差しを向けた。
嘘偽りのない本心を聞きたい、と言わんばかりの視線にオルガは苦笑いを浮かべる。
「私の考えは間違っているでしょうか?」
「いいや、間違っていない。 この世界は弱肉強食、力が全てであり人間だろうが獣だろうが弱ければ喰われて死ぬだけだ」
それを聞いたエミリーは嬉しそうな表情を浮かべる。
王家の人間として、そのような考えや行動は全て否定され続けてきたからだ。
少なくとも自分の身は自分で守れるだけの力は必要だ、と彼女は常日頃から考えていたのだ。
「私はエミリーやオルガのような力などは望んでいません。 それは血の滲むような鍛練を積んできた貴方たちへの侮辱になりますから」
エミリーは真っ直ぐな瞳でそう語る。
そんな彼女にオルガは真剣な表情を向けた。
「でも本心では欲しいんだな? 他を圧倒できる程の力を。 その力があれば、いざという時に自分を、いや国を獣人の脅威から守れると思っているのだろう?」
エミリーは答えない。
しかし、その表情が全てを物語っていた。
「お前は力を持つための素質がある。 獣人を相手にしても負ける事のない強さを、その身に宿すことが出来る」
「ほ、本当ですか!? どうすればそんな強大な力を手に入れる事が出来るのでしょうか!?」
エミリーは身を乗り出すようにしてオルガへ顔を近づける。
その瞳には期待の色が浮かんでいた。
「その身を犠牲にし、痛みや苦しみを乗り越える覚悟があるか?」
「もちろんです。 貴方はあのサーシャが一目置く存在。 オルガを王都に招聘し私専属の、いえ王家直属の指南番として最高位の勲位で迎え入れましょう」
エミリーは満面の笑みを浮かべながらオルガの手を取る。
その言葉はエミリーの本心だった。
きっとサーシャや王国の士官達が反対を示すだろうが、王女特権を使ってでも認めさせるつもりだ。
それくらいに彼女の意志は強かった。
しかし、オルガは首を横に振りその提案を断るそぶりを見せた。
予想外の返答にエミリーは戸惑いを見せる。
「そんな事をしなくても力を手に入れる事が出来る。 それこそ今夜中にでもな」
エミリーは、その言葉の意味を理解することが出来なかった。
そんな簡単に自分の求める力が得られるはずがない。
何年も苦しく辛い修行を積み重ね、ようやく得られる物なのだ。
「オルガ? 貴方は一体何を言って……」
「簡単な事さ、お前が獣人になれば一瞬にして片手で人間をひねり潰す事が出来る圧倒的な力を手にする事ができる! そう、俺のようにな!!」
「え?」
オルガの瞳が真っ赤に光り、エミリーの首根っこを掴んでベッドへと押し倒した。
その衝撃でベッドのスプリングが大きく軋みを上げる。
エミリーは必死に抵抗するも、屈強なオルガの力には敵わず逃れられない。
オルガは抵抗を続ける彼女の両手を左手で掴むと、右手でエミリーの着ていたドレスを一気に引き裂いた。
「サーシャ! サーシャ!!」
「呼んでも無駄だ。 あの女騎士なら、しばらくは目を覚ます事はない。 たっぷりと時間をかけてお前の中に獣人の精を注いでやる! こいつを使ってな」
そう言って、オルガは自らのズボンに手を掛け引き千切ると下半身を露出させた。
そこには人間ではありえないほど大きく、禍々しい男根がそそり立っていた。
太い血管が浮き上がり、先端からは透明な液体が漏れている。
そのあまりの大きさにエミリーは恐怖で震え、涙を流した。
しかし、オルガは気にすることなくその巨大なペニスの先端をエミリーの秘部へと押し付ける。
「嫌! いやー!!」
「力が欲しいんだろ? ほらっ! くれてやるよ獣人の力を!! これでお前は屈強な獣人のメスになって力を得る事が出来るんだからな!!」
オルガは一気に腰を突き出し、エミリーの膣内へと挿入した。
処女膜が破られ、激痛が走る。
しかし、そんな事はお構いなしとばかりにオルガは激しくピストン運動を開始した。
その動きは人間では考えられない程の力強さであり、エミリーの子宮を突き破りそうな勢いで責め立てる。
オルガが動く度に結合部から鮮血が流れ、シーツを赤く染めていった。
「痛い! いだいぃぃいいい! ぐぎぃいい!!」
何度も何度も打ち付けられる肉棒によって、エミリーの膣内が痙攣を起こし肉壁を締め付け始める。
それに反応するようにオルガは絶頂を迎え、彼女の一番奥深くで大量の白濁液を吐き出した。
「ぎゃー!! あがッ!! ぐッぎャァアア!」
奇声にも似た悲鳴を上げ続けるエミリーの体が、凄まじい痙攣を起こす。
一瞬にしてオルガの精液がエミリーの子宮を満たし、入りきらなかった分が逆流して隙間から吹き出してくる。
「ようこそ、獣人の世界へ。 クククッ」
オルガはエミリーの耳元でそう囁き、今だいきり立つ肉棒を引き抜くと、栓を失ったエミリーの割れ目からゴボっと音を立ててねっとりと粘ついた白濁の液体が大量に流れ出てきた。
それは愛液と鮮血が混ざって白いシーツをピンク色に染め上げていく。
激しい痙攣を起こしながら虚空を見つめるエミリーは、そのまま気を失ない……
[newpage]
◇◇◇
どのくらいの時間が経ったのだろうか。
サーシャはぼんやりとした意識の中で、自分が今どこにいるのかを確認しようと視線を彷徨わせた。
そして、身に纏っている鎧の重みを感じながらゆっくりと身体を起こす。
「くそっ、何だこの感覚は……」
サーシャはよろけながら体を壁に預けると、ふぅっと息を吐いて呼吸を整える。
目線の先には扉の開いた部屋があり、重い体を引き摺って中に入ると、目の前に広がる光景に思わず絶句してしまう。
「なんだ… これは…」
先程まで寝ていたはずのエミリーのベッドの上に、大量の鮮血と白濁…… いや、鮮血と交じったピンク色の液体が飛び散っていたのだ。
それだけではない、部屋の中から凄まじく生臭い臭気が漂っており、サーシャは思わず鼻を手で覆う。
その匂いはシーツの上に撒かれたかのように広がった大量の液体から発せられているものだった。
辺りを見渡すも部屋の中にはエミリーの姿はない。
「姫! 姫っ!!」
サーシャは廊下に出て大声で呼びかけるが返事はどこからも返ってこない。
最悪の事態が脳裏に浮かび、サーシャの顔色が悪くなる。
騎士として数え切れないほどの護衛をしてきたが、眠ってしまう事など一度もなかった。
どれだけ激しい戦闘を行った後での護衛であっても、こんな失態など今まで一度たりとも犯した事がなかったのだ。
サーシャは、廊下の床下にこぼれ落ちた渋茶の入っていた瓶を歯ぎしりを鳴らしながら睨み付ける。
「おのれぇ…… オルガァァアア!」
サーシャは怒りの表情を浮かべながら、剣を抜いて走り出した。
その足取りは重く、まるで鉛の鎧を纏っているかのように感じる。
それでも、サーシャは決して諦める事無くエミリーを探し続けた。
◇
入り組んだ構造を持った屋敷の最北の部屋。
『ウギッ! ギャーッ!』
部屋の中からエミリーの苦痛な悲鳴が聞こえてくる。
サーシャは勢いよくその部屋に踏み込むと、そこには信じられない光景が広がっていた。
エミリーが床に這いつくばり、バタバタとのたうち回っている。
そんな彼女の腰をオルガが両手で掴み、背後から抱き着くようにして密着していた。
「貴様ぁ! 姫に何をしている!!」
怒りの頂点に達したサーシャが剣を振り上げると、オルガはニヤリと不敵な笑みを上げてエミリーから手を離した。
クチャッ、と音を上げてエミリーから引き抜かれたのは、人間のものとは思えない程の大きさを誇る凶悪な形状をした男性器。
その先端からヌラッと糸を引いた白い粘液がエミリーの秘所と繋がっていた。
エミリーはビクンと身体を跳ね上げさせ、力なく倒れ込む。
ドレスの下腹部が引き裂かれて露わとなっている彼女の股間からは、止め処なく白濁色の液体が溢れ出し、床に水たまりを作っていく。
「おのれ…… おのれェ! オルガァァアアア!!」
サーシャは怒声を上げながらオルガに斬りかかった。
しかし、その攻撃を軽々とかわされ、サーシャの腹に拳を叩き込み吹き飛ばす。
「ぐはっ!」
強靱な鎧の腹部が拳の跡を残し、大きく陥没する。
鎧を纏った状態で、たった一撃を受けただけのはずなのに、サーシャは口から血を吐き出して床に倒れたまま動けなくなってしまった。
「騎士さまがお前を助けに来てくれたようだぞ? 別れの挨拶でもしたらどうだ?」
オルガはエミリーの耳元でそう呟くも、彼女は聞こえていないかのようにビクビクと痙攣を起こしている。
それどころか、仰向けになって両足を開き秘所を見せつけるかのように腰を突き上げて愛液を噴き出し続けていた。
「その発情したメスの体を、聖騎士さまにも見せてやれや!」
そう言ってオルガはエミリーを蹴り上げると、宙を舞った体がサーシャの目の前にドサッと落下した。
立ち上がる事が出来ないサーシャは、鬼のような形相でオルガを睨む。
「安心しろ。 そいつの体はもうこの程度の衝撃じゃ虫に刺された程度の痛みしか感じねぇよ。 ビクビクしてんのは交尾の余韻に浸ってるだけだ」
その言葉の通り、あんな凄まじい蹴りを受けたはずのエミリーはピクリと体を震わせて起き上がった。
「ひ、姫…… うぐっ! お、お体の方は……」
「サーシャ…… お願い、私を置いて早くここから逃げてください……」
エミリーは弱々しい口調でそう言うと、よろよろとサーシャの元へ歩み寄り両肩へ手を添える。
サーシャの目の前にエミリーの股間が迫る形になり、強烈な匂いを放ちながら生き物のようにビクビクと蠢く秘所からコプッと白濁とした液体が垂れ落ちてきた。
そのあまりの衝撃的な光景にサーシャは涙を流して目を背けてしまう。
「姫っ…… 申し訳ありません……」
サーシャはボロボロと涙を流して呟くと、エミリーはその返事をサーシャを力強く抱きしめる形で返す。
「私はもう戻れません。 これは自分の欲に負けた私の罪…… 手遅れになる前に速く逃げてください」
エミリーはそう言いながらサーシャを抱き締める力を更に強くする。
鎧越しだというのに、サーシャにはそれが温かく優しいものに感じられた。
「ごめんなさい……」
エミリーはサーシャから離れて、涙を流しながら精一杯の笑顔を見せた。
そんな彼女の悲しそうな顔を見て、サーシャが口を開こうとした瞬間。
「がはっ!」
突然エミリーが激しい痙攣を起こし、両膝を地面に付き倒れ込んだ。
体を小刻みに震わせ、顔を上に向け口を大きく開き、声にならない悲鳴を上げている。
「姫! どうしたのですか!?」
サーシャが体を引きずりながらもエミリーに駆け寄り、体を抱き上げる。
エミリーの目は焦点があっておらず、瞳孔が開ききり時折白目を剥くような異常な眼球の動きを見せていた。
口から唾液と泡を吹き出し、鼻水や涙で顔を汚すその姿は明らかに異常だった。
「姫! 姫!! オルガ! 貴様、姫に何をした!!」
怒りで充血した目でオルガを睨み付けるも、彼はそんな視線など気にも留めず、不気味な笑みを見せながらサーシャへと向き直った。
「力をくれてやったのだ。 その女が欲した最強の力をな。 クククッ」
下品な笑い声を上げながらオルガの体が徐々に変化していく。
屈強の筋肉がボコボコと更に膨らみを増し、その体を黒い体毛が覆い始めた。
「!? まさか、お前…… 獣人……」
「獣人を見るのは初めてだろう? しっかりその目に焼き付けておけ!! グガァアア!」
オルガは両手を広げ天を仰ぐように叫ぶと、体の形が一気に変化を加速させた。
着ていた服が内側から盛り上がりビリビリと裂け落ちると、あり得ないほどの体毛に覆われたどす黒い体が現れる。
ボンッ! ボコンッ! と音を立て、なおも筋肉が肥大化していく。
「グフッ! ガァ…… ガァァアアアアア!!」
口元がメキメキと前方へ突き出し、鋭い牙が姿を現す。
ガタガタと震える両手の先から鋭い鉤爪が姿を見せ、それは足先からも同様に現れた。
「グアァァアアア!!」
巨大な口を上下に開き、オルガは獣のような咆哮を上げながら天井を仰ぐ。
その姿は巨大な狼… いや、人間と狼を掛け合わせた紛れもない獣人であった。
「グルルルッ…… どうだ、獣人の姿は。これが俺の真の姿だ!」
獣人と化したオルガは口から涎を垂らしニヤリと笑うと、胸を張り、丸太のように太い両腕を大きく広げて、その姿を誇示するようにサーシャに見せつけた。
生まれて初めて見る獣人にサーシャは言葉を失う。
騎士として多くの戦を経験してきた彼女だが、ここまで恐ろしい恐怖を感じた事は無かった。
身長2メートルを超える筋骨隆々の巨体と禍々しい姿。
伝説の中でしか出てこない、獣人なる存在が目の前にいるというだけで、足がすくむ思いだった。
「この森で戦闘中に偶然獣人の死体を見つけてな、腹減ってたからその肉を食ったらこんな体になっちまった。 いやぁ、いつ見てもスゲー体だな」
オルガは自分の身体を舐める様に見ながら、ニヤついた笑みを浮かべる。
その姿を見て、サーシャは確信した。
「第十騎士団を殲滅させたのはお前か……」
「初めての獣化だったもんでな、興奮して全員殺して喰っちまった。 最強とまで言われた強さを誇る仲間が簡単に肉片になっていく様は最高に面白かったぜ!」
そう言ってオルガは豪快に笑って見せる。
その表情はどこまでも邪悪で、醜く歪んでいた。
「でもよぉ、獣人になって抑えきれねぇくらいに溢れ出す破壊衝動と食欲を満たすために町へ行って暴れ回りたいんだが、俺の喰った獣人が死体だったせいでこの森から出られねぇんだよ。 食いもんはどうにでもなるが性欲だけはどうしようもなくてな。 だから、分かるだろ?」
「ふざけるな! それが姫にこんな惨たらしい事をした理由になどなるものか!」
サーシャは精一杯の声を張り上げながらエミリーを抱きしめる。
その体は、先程よりも激しい痙攣を起こしていた。
「獣人とは言え一人は寂しいしだろ? ずっとこの辺りを通る馬車を襲って女を攫っては俺のツガイとなるに相応しいメスを選別していたんだが、今回は王女が乗っていた馬車だったとは驚いた。 獣人のツガイが王女様ってのは悪くないと思わないか?」
そう言って舌なめずりをするオルガは、獲物を狙うようなギラつく目つきでエミリーを見据える。
「猛獣を使って馬車を襲ったはお前か! 許さない…… 絶対に許さない! 必ず私がお前を殺してやる!!」
「その前に、もっと姫様と交尾させてくれよ。 そいつの穴は最高に気持ちが良くてよぉ~ 見ろよ俺の股間。 姫様にもっと種付けしたくて抑えきれねぇって言ってんだ」
オルガはそう言って凶悪な肉棒からビュルッっと白濁とした精液を噴き出し、強烈な匂いを撒き散らした。
サーシャは、怒りに体を震わせ片手で床に転がり落ちた剣を握りしめる。
しかし。
「うぐッ! かはッ!!」
オルガの噴いた精液の匂いに呼応でもしたかのように、エミリーが苦しそうな表情を浮かべながら両肩を腕で抱きしめるように悶え苦しみ始める。
それを見たサーシャがハッとした様子で剣を放り、エミリーを再び抱きかかようとするも彼女はそれを拒んでサーシャを押し退ける。
「姫!気をしっかり!!」
まるで、彼女の中に何かがいるかのように膨れ上がる背中を見て、サーシャの顔色が変わる。
(まさか……)
サーシャは獣人へと鋭い視線を向けると、オルガが大きな口を広げて笑い出した。
その様子にサーシャの眉間にシワが寄る。
「貴様、何がおかしい! 姫の体に一体何をした!」
「何度も言わすな。 さっき言っただろう? 姫様には力を与えてやったと。 そいつは俺の、獣人である俺のツガイとなるメスだ。 ここまで言えばこの意味がどういう事か分かるよなぁ? 」
オルガの言葉にサーシャは唇を噛み締め無言で睨み返す。
その言葉の意味を理解したくなかった。
いや、考える事すらしたくない。
「サ…… サーシャ…… 」
エミリーは痙攣を起こしながら弱々しく顔を上げると、かすれた声でサーシャの名を呼んだ。
顔から大量の汗を流し、口からは泡立つ唾液が垂れ流れ続けている。
「姫! 必ずやお助けいたしますので、気をしっかり」
サーシャの言葉にエミリーは弱々しく首を横に振った。
そして、まるで最後の力を振り絞るかのように、苦痛に満ちた表情で言葉を紡ぐ。
「逃げ… わ、私から離れ…… お願い、もう抑えきれな── ぐはッ!」
それがエミリーが人として発した最期の言葉となった。
「さぁ始まるぞ、獣人への進化が。 クククッ、フハハハハッ!」
オルガは楽しそうに、サーシャが最も聞きたくはない残酷な言葉を笑い声を上げながら言い放った。
そして──
[newpage]
エミリーの体がガクンと大きく跳ね上がる。
顔や首の皮下で内側から蛇が這っているような不気味な蠢きが見え隠れし、凄まじい早さで眼球が動き回ると口からは血の混じった泡を噴き上げた。
その姿にサーシャは思わず目を背けてしまう。
「さぁ解き放て! その身を本能の赴くままに喰らい尽くせ! そして醜悪で残虐なる獣人へと生まれ変わるのだ!」
その言葉を合図にしたかのように、エミリーがゴキッと音を上げて大きく体を仰け反らせた。
体の奥から骨の砕けるような鈍い音を響かせ、至る所がボコボコと盛り上がりを見せながら血管のような太い筋が浮かび上がっていく。
「ギャー! グギャァァアア!!」
今まで聞いた事も無い、エミリーの…… 王族の口から発しているとは思えないような絶叫を上げ、異常な膨らみを増す体にドレスが耐えきれず次々と裂け落ちていく。
そこに現れた姿は……
内側から何かが飛び出そうとでもしているかのようにボコボコと異様な動きをみせながら膨らみを続ける肉塊。
皮膚が裂け落ち、赤黒い筋繊維がエミリーの体を覆っていた。
全身に浮き上がった太い血管がミミズのようにウネウネと脈打ち、ドクンドクンと鼓動するように激しく収縮を繰り返している。
「ガァーーッ!!」
涎を撒き散らし、声帯の構造が変わってしまったのか、最早人とは思えない低い叫び声を上げるエミリーの体が人成らざる者へと姿を変えていく。
細くしなやかだった白く美しい腕は、何倍にも太く膨れ上がり、両手指の先端を吹き飛ばし鋭利な爪が現れる。
脚の骨が不快な音を鳴らし骨格の構造を変え、その変化に合せるように筋肉が肥大化していく。
そして、両足も人のものではない形状に変わり、太く鋭い鉤爪が突き出した巨大な足へと変化した。
「なんだ…… これは……」
あまりの衝撃に思考が追いつかない。
先程まで一緒に話していたエミリーが、目の前で異形の化け物に変わってしまった。
そんな現実を受け入れられず、ただ呆然と変わり果てたエミリーの姿を眺める事しか出来なかった。
「グフッ… グフッ!」
肉体の変化が収まり、エミリーだったモノが低いうなり声を上げながらゆらりと立ち上がる。
鍛え抜かれた戦士でも比較にならないほど膨れ上がった体は、皮膚が完全に消失し赤黒く変色した筋肉と、無数に張り巡らせた太い血管が剥き出しになりミチミチと音を上げていた。
顔も所々皮膚が破れ、口から泡立つ涎を垂れ流し、瞳が消え白く濁った目がサーシャを見下ろすように見つめる。
その顔が、エミリーの面影を残しておりサーシャの目から自然と涙が流れ落ちた。
「うそだ…… 姫……」
醜悪な姿に変貌したエミリーを見て、サーシャの心が絶望に染まる。
「お前、まさかこの程度で絶望しているのか? その女はまだ獣化していないぞ」
「!?」
オルガの言葉にサーシャが目を見開いた。
ここまでエミリーの姿が変貌しているのに、まだ獣化していないとはどういう意味なのか理解できないでいた。
「お姫様の体は人間の弱っちい筋肉や骨が獣人としてこれから始まる獣化に耐えうる構造に組み変わっただけだ。 本当の絶望はこれからだぞ?」
オルガは楽しそうに言うと、エミリーに視線を向けた。
エミリーは天を仰ぐかのように目を全開に見開いて、再びガクガクと全身を震わせ始めていた。
直後──
[newpage]
ゴキゴキ! ボキッ! バキッ!
彼女の体から今まで以上の異音が響き渡る。
「グアァアアアアア!!」
今までとは比較にならないほどの変化が彼女を襲い始めた。
両手で頭を掻きむしるように振り乱し、金色の美しい髪の毛がブチブチと抜け落ちていく。
涎を撒き散らしながら激痛に耐えるような絶叫を上げ、皮膚を失った全身を覆う不気味な筋肉が更に隆起を繰り返す。
ボコンッ! と胸が前に迫り出し分厚い胸板に変わると、下腹部も筋肉が幾重にも重なり、あり得ないほどの膨らみと厚みを持った腹筋が形成される。
両肩も同様に肩幅を大きく広げながら盛り上がり、一気に腰まで筋肉がボコボコと膨れ上がっていった。
首から臀部にかけて、背中を左右に割るような深い溝が出来上がると、槍先のような鋭利な突起を持つ脊柱が上から下へと一直線に飛び出してくる。
剥き出しとなった凶器のような脊柱は、そのまま臀部を突き破ってズルッと、後方へ長く伸ると地面をバチンッ!と叩きつけた。
「嫌ー! 止めてーー!!」
サーシャは両手で頭を庇いながら絶叫する。
しかし、その願いは届く事無く、彼女の変化は顔にも及んでいく。
「グガッァァァ! グギャァァアアア!!」
かろうじて人としての形状を残していたその顔は、ボロボロと歯が抜け落ち口元が肉を裂きながら押し出されるようにゆっくりと前方へ伸びていく。
頬を突き破って鋭い牙が生え、マズルを思わせる長く突き出た口の周囲に鋭利な牙が無数に生え揃う。
そして、生気を失っていた眼球が瞼を押し退けるようにして盛り上がり、ポンッと飛び出すと奥から真っ黄色に光る血走った新たな目が出現する。
全身を覆っていた赤黒い筋組織はどす黒く変色し、血管をより一層浮き上がらせながら高質化し全身を包み込んでいった。
「ガァッァアアア!!!」
空気が震えるほどの雄叫びを上げ、エミリーは異形の獣人の姿へと獣化を完了してしまった。
そこに立っていたのは、もはやエミリーの…… いや、人としての面影など微塵も残さない存在だった。
体長3mを越えそうな巨躯は、獣化したオルガよりも大きく、全身がまるで鋼のように堅い表皮で覆われている。
全身の至る所から棘のように鋭く尖った骨が突き出し、長い尻尾が地面を何度も打ち付け床に亀裂を走らせていた。
その姿はまさしく──
獣人。
「あぁ…… 姫が…… 姫がこんな……」
サーシャは騎士としての誇りや使命も忘れ、腰を抜かし恐怖に引き攣った顔で震えながら後ずさりをする。
目の前の獣人は、人間など一瞬で肉片に変えるほどの力を持った存在で、どれだけの騎士が相手であろうと勝ち目はないことが本能で分かる。
「グルルルッ」
獣人と化したエミリーは、低い唸り声を漏らしながらその大きな足でゆっくりと歩み寄ってきた。
凶暴な牙を見せつけ大量の唾液を垂れ流し、サーシャへ向けられるその目は肉食獣が獲物を捕らる時のそれであり、死を覚悟させるものであった。
しかし、突然吐き気を催すほどの獣臭と生臭さが混じった不快な臭いが鼻をついた。
エミリーもその臭いを感じたのか、歩みが止まりその顔ががサーシャからオルガの方へと向けられる。
その視線の先には、ゲスな笑みを浮かべた獣人が巨大な肉棒を股間から突き上げながら獣化した彼女を見ていた。
鼻がもげるような悪臭を放つオルガの肉棒を、涎を垂らし獣の唸りを喉から上げて凝視するエミリー。
そして───
「グアァアア!」
エミリーが凄まじい跳躍でオルガに飛びかかると一瞬で押し倒す。
オルガに跨がって激しく暴れ回るエミリーの姿にサーシャは一瞬の希望を見いだした。
(まさか、姫の自我が戻って!)
しかし、サーシャの淡い期待はすぐに打ち砕かれてしまう。
エミリーの秘所から白く濁った液体が噴き出している。
その姿はオルガのモノを突き入れようと必死に腰を動かしているようだった。
「さすが王国の秘蔵っ子である聖女だ。 いや、とんだ淫乱なメスの性女、性獣か。フハハハハ!」
オルガはエミリーの浅ましい姿を見て高笑いを上げる。
巨大な肉棒を自分の秘所に突き入れようと、腰を振り乱しながら愛液を撒き散らすエミリーの姿に、サーシャの心は絶望に染められていった。
「そんなに欲しけりゃくれてやるぞ! 受け取れ! 淫乱なメスの獣よ!!」
オルガはそう言うと、エミリーの腰を両手で掴んでガッチリと固定すると一気に腰を突き上げた。
その暴力的なまでの衝撃に、エミリーはビクンッと体を震わせると獣人の上で激しく跳ね上がる。
「グガァァアアア! グガァァアアア!」
エミリーは歓喜の声を上げ、獣人オルガの巨大なイチモツを膣全体で締め上げながら前後に腰を動かし、無心で快楽を貪る。
両手を地面に付け、両足で踏ん張りながら体を上下に揺さぶり一心不乱に腰を振り続ける。
その度に人間の構造からかけ離れた秘所からジュブッという音をあげ、強烈な臭いを放った白濁液を噴き出す。
彼女の本能は悦楽に浸りきっており、その瞳には理性の欠片すら残っていない。
その行為は愛を確かめあう男女のそれとは全く違い、ただひたすらに本能のままオスの精液を貪るために動いているようであった。
「そんな…… あぁ…… 姫……」
あまりにも絶望的な光景。
サーシャは目の前の現実を受け入れられず、涙を流しながら力無く首を横に振る事しか出来なかった。
エミリーがオルガの上で腰を振る度に、サーシャの耳に ジュブ ズチュ という卑猥な音と腰を打ち付ける音が響いてくる。
力強い交尾により発せられる獣臭は更に強烈さを増していき、サーシャの口から吐瀉物が溢れ出した。
サーシャは涙と嘔吐物に塗れながら、少しでも早くこの悪夢が終わることを願うしかなかった。
「こいつの交尾は最高だ! ここまで淫乱なメスだとはな。 いいだろう、お前を俺のツガイにしてやる。 今以上に淫乱なメスの獣に変えてやろう!」
オルガはエミリーの腰を掴みながら激しく腰を動し、子宮の奥まで突き入れるように何度も腰を突き上げた。
エミリーも全身を痙攣させながら腰の動きを止めようとせず、むしろ激しさを増していく一方だ。
絶頂を迎えているのか秘所から大量の愛液を吹き出し、周囲に白濁の水たまりが広がっていく。
これが私の主君であるエミリー姫?
一国を統べる、王家の中でも最も美しいと言われた姫が、あんなおぞましい姿に……
洗礼を受け、聖女として清い体を守り抜いてきた姫が、あんなおぞましい行為を……
サーシャの頭にエミリーと過ごした日々が走馬灯のように駆け巡る。
それは、どれも笑顔のエミリーとの思い出ばかりだった。
姫を助けたい。
まだ間に合う。
いや、絶対に助けてみせる!! 私は、私だけは姫を信じなくてどうする!?
そう思うとサーシャは無意識のうちに剣を手に取り、ふらつきながら立ち上がると、オルガに向け構えた。
「ふ、ふざけるな! 今すぐ姫を返せ!! 姫は獣人の力に操られているだけだ!!」
サーシャは怒りの形相を浮かべながら、オルガに向かって叫ぶ。
その顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
彼は、そんなサーシャの顔をニヤリと笑みを浮かべながら見ると、ズドンッ! と一気に腰を突き上げた。
その衝撃でエミリーの体は一瞬浮き上がり、金属のように堅い筋肉で覆われた腹部が内側からボコン! ボコッ! と音を立てながら膨れ上がる。
同時に結合部からゴポッと泡立つような音をたて、大量の精液が噴き出し周囲に撒き散らされた。
「確かに我が妻にするには、このメスに自我を保ってもらわねば困るな。 王女である事を忘れてしまうのは惜しい」
膨れ上がったエミリーの腹部に手を添えたオルガは、サーシャに見せつけるかのように子宮を何度もグイグイと押し込んでいく。
全身をガクガクと震わせながら、オルガの動きに合せ腹部を突き出し、より一層の刺激を得ようとするエミリー。
「貴様ぁぁああああ!! その手を姫から放せぇぇええええ!」
サーシャは手から血が出るほど力強く剣を握りしめ、オルガへと向かって走り出した。
しかし───
「サーシャ……?」
突如、獣人と化したエミリーの口からサーシャの名前を呼ぶ言葉が漏れた。
サーシャは思わず足を止め、悍ましく変わり果てたエミリーの顔を見つめる。
獣人と化しているはずのエミリーの目は、サーシャの姿をハッキリと捉えていた。
その目を見てサーシャは涙が溢れ出てくる。
「ひ、姫! 正気に戻ったのですね!?」
エミリーの声帯が変わって、腹に響く太い声となってしまっているが、声を聞けたことでサーシャは安堵の表情を見せた。
しかし、自我を取り戻したと言っても体は異形の姿。
どす黒い鋼のような筋肉で盛り上がる肉体へと変わり果てた体からは強烈な獣臭を放ち、その顔は肉食獣を思わせる鋭い牙と黄色い瞳を持つ獣人そのもの。
エミリーの姿は最早人間と呼べるものではなくなっている。
おまけにオスの獣人の上に跨がり、凶暴なイチモツをその身に突き刺して白濁とした液体を秘所から大量に吐き出した状態だ。
「これは……」
獣人へと変わり果てた自分の姿を、エミリーが不思議そうに眺めている。
両手で顔を触れ、前方に突き出た口から溢れ出る白く泡立った涎がべっとりと付着した異形と化した手に目を落とす。
その先には獣人の上に跨がり凶暴なイチモツをその身に突き刺し、白濁とした液体を結合部からゴポッと溢れ出す姿があった。
エミリーは状況を理解出来ていないのか、ただ呆然としながらその光景を眺めている。
「ひ、姫! まずはそこから離れてください! どんな手を使ってでも必ずやお姿は元に戻して差し上げますのでご安心を!」
ヒクヒクと蠢き、白濁液を垂れ流しながら獣人のイチモツを受け入れ、獣人の吐き出した精液で膨れ上がった腹部を見つめるエミリーに対して、サーシャはどのような説明をすればいいのか考えあぐねていたが……
エミリーは凶暴な爪の生えた手で溢れ出した獣人の精液をなぞると、指に付いた体液を太く長いざらついた舌で舐め取り口角をつり上げた。
「姫?」
サーシャはその行動の意味が理解出来ず、困惑の色を見せる。
しかし、彼女の口から放たれた言葉はサーシャの予想だにしないものだった。
「私とツガイとの交尾を邪魔するとは、いくら私の専属騎士であるあなたでも許しませんよ」
エミリーの口調はいつもと変わない話し方ではあったが、とても冷酷で強い怒りが込められているのが分かった。
次の瞬間、エミリーの尾が凄まじい速さで動きだし、サーシャの体を貫いた。
「え?」
サーシャは何が起きたのか分からなかった。
ただ分かることは、自分の体に何かが刺さっているという事だけ。
サーシャの体から突き刺さっていたモノが引き抜かれ、体から大量の血液が噴き出す。
突然の出来事に、ただ呆然とするしかなかった。
サーシャはエミリーに視線を向けると、そこには恐ろしい形相をしたエミリー…… いや、心まで獣人と化した怪物の姿が映っていた。
尻からゴツゴツした尾を天に向かい伸ばし、その先からサーシャの血を滴らせ振り子のように左右に揺らしている。
「交尾が終わるまでそこで待っていなさい。 後で私が直接相手をしてあげます」
エミリーはそれだけ言うと、再び腰を動かし始めた。
サーシャの片肺に穴が空き、息を吐く度にヒュー ヒュー と掠れた呼吸音が聞こえてくる。
「騎士様はお前を人間に戻したいようだが?」
先程よりも激しく腰を打ち付け快楽を貪るエミリーに対し、オルガはサーシャを見ながら言った。
エミリーは腰を振りながら、口を大きく開け舌を伸ばしてオルガの顔をベロリと舐めながら答える。
「冗談じゃありません。 こんな素敵な姿と力を頂いて、どうして人間になど戻れましょうか? それに、これは私が望んだ事。 今更非力な人間などに戻る気は毛頭有りません」
エミリーはそう言いながらサーシャを一睨みし、見せつけるかのように大きな口を開けてオルガの口の中に舌を伸ばしていく。
オルガもエミリーの口に自らの舌を突き入れ、お互いの唾液を泡が立つほど混ぜ合わせながら力強く子宮を突き上げる。
「だ、そうだ。 こいつは自らの意思で獣人の姿と力を受け入れた。 冷酷で人間を餌としか思っていない凶悪な獣人になったのだ」
エミリーの子宮に精液を流し込みながら、オルガは言い放つ。
「それだけではありませんよ? 私は屈強なオスと激しい交尾をする快楽に溺れる淫乱なメスの獣人。 あぁ、もっと私の淫乱な子宮が壊れる位、思いっきり突いて精液を注いで欲しいですわぁぁぁ!! グワァァアアア!!」
エミリーは自ら膣に力を入れてイチモツを強く締め上げると、獣の声を上げて絶頂を迎えた。
それと同時に子宮の奥へと再び大量の精液が注ぎ込まれる。
その勢いは衰えることなく、エミリーの腹部がボコォッ! と音を立てながら更に膨れ上がっていく。
しかし、エミリーはそんな事はお構いなしといった様子で、更に強く自ら腰を動かし、より一層の刺激と子種汁を得ようとしていた。
「ひ…… め……」
その様子を見ていたサーシャの視界が徐々にぼやけていく。
意識が遠退いているのか、それとも出血量が多すぎたのか、サーシャの体はゆっくりと地面に倒れていった。
「おい、お前の騎士様がそろそろおねんねしちまうぞ?」
エミリーはサーシャの方へと顔を向ける。
その目はまるで虫を見るかのような冷たい目をしていた。
その表情からは、もはや慈悲の心は感じられない。
彼女は、名残惜しそうにオルガからイチモツを引き抜くと、大きく広がりヒクついた秘所からドバッと音を立てて大量の白濁液が流れ落ちる。
ボタボタと精液を垂れ落とし、倒れ込んでいるサーシャの元へと歩み寄っていく。
「エ…… エミ…… リー姫……」
意識朦朧の弱々しいサーシャの声を聞き、エミリーは片手で彼女の首を掴んで持ち上げた。
「人間風情の単なる食料のくせに、私をエミリーなどと下等な生物だった時の名で呼ぶとは何たる不敬」
ギリギリと首を絞められ、サーシャの顔色がみるみると青ざめ口元から涎が流れ落る。
サーシャは死を覚悟し、最後の願いをエミリーへ告げた。
「お、お願いです。 わ、私に姫様のお姿を見せてください。 最後の願いでござ…… います」
口から泡を吹き、サーシャは必死に言葉を絞り出した。
エミリーは少し考える素振りを見せた後、ニタリと不気味な顔を見せながらサーシャに答えた。
「良いでしょう。 獣化を解いてあげます」
エミリーの体がメキメキと音を立て骨格を変えていく。
人の姿に戻るとはいってもその過程はおぞましく、とても直視できるようなものではなかった。
「さぁ、これで満足ですか? 人というのは、ここまで力の弱いものでしたでしょうか? 先程まで私がこんな姿だったとは…… 吐き気がします」
しかし、その姿は最早エミリー…… いや、人間と呼べるものではなかった。
美しかった金色の髪は黒く堅い獣毛で覆われ、人間に近い顔つきではあるが、血走った目の中心には縦に割れた黄色い瞳がギョロりと光を放っている。
口に収まりきらないほどの牙が突き出し、手と足は獣のままの形状を保ち鉤爪が突き出ていた。
女性のラインなど微塵も残さないまでに筋肉で盛り上がった体と、獣人の肉棒を受け入れる程に広がった秘所からは相変わらず白濁とした液体を垂れ落としている。
強烈な獣臭と、生臭さを放つその姿は、美しいエミリーの面影などどこにも無かった。
サーシャは目の前の獣人・エミリーの姿を呆然と眺めることしか出来なかった。
すると、エミリーはサーシャの顔を自分の眼前へと持って行き、そのおぞましい目をサーシャに向け囁くように話し始めた。
「お前は私の騎士になる時に誓ったな? 一生私に忠誠を誓い、私の為だけに生き、そして死ぬと」
サーシャは恐怖で体を震わせながらも、主君の問いに対してコクと無言で首を振る。
牙を剥き出しにして満足そうな笑みを浮かべるエミリーは、サーシャの首を締め上げていた手を放し地面に落とした。
力無く床に膝をついた状態で、その場に座り込むサーシャの目の前に、人の腕ほどにまで広がったエミリーの秘所が迫る。
「舐めよ。 我が命令である」
王家に仕える騎士として、主君からの命は絶対。
死ねと言われれば迷わず自害し、殺せと言われば例え肉親であっても殺してみせる。
それが、サーシャにとっての忠誠の証であった。
例えエミリーが獣人に変わってしまったとしても、それは変わらない。
サーシャはエミリーの秘所に口を付け、舌を這わせ溢れ出る愛液を口に含んだ。
とても耐えきれない臭いを放つ愛液への驚きよりも、エミリーが本当に体の中から獣人へ変わってしまったという悲しみに涙が止まらなかった。
「もっと舌を動かせ。 貴様の忠誠心を見せてみよ」
サーシャは両腕をエミリーの腰に回し顔を秘所へと押し付ける。
あんなに華奢で柔らかかったエミリーの腰回りは、今ではサーシャが腕を回しても届かないほど太く固くなっていた。
両頬に当たるエミリーの太股も、まるで鋼のように固く引き締まり、その肌はまるで岩のような質感だ。
彼女の秘所からは、絶えず白濁した粘液が溢れ出し、サーシャはそれを一心不乱に吸い上げ飲み込んでいく。
「流石は私の騎士。 お前は、私から離れる事など出来ぬ定め」
サーシャにはその言葉の意味が分からなかった。
いや、すでに意識が薄れかけているせいか、理解する気すら起きないのかもしれない。
エミリーはサーシャの後頭部を掴んで、更に自らの秘所に強く押し付ける。
とても陰毛とは呼べないほどの剛毛の中に鼻が埋もれ、否応なしに秘所から放つ獣の匂いが嗅覚を刺激する。
ドプトプと溢れ出す愛液が、吸い上げずとも勝手に喉を通り胃の中へ流れ込んでくる。
サーシャはもう何も考えないようにしていた。
ただひたすら、命令通りにエミリーの膣内を舌で冒し、溢れ出る愛液を夢中で飲み続ける。
今の私が自分の意思で出来ることと言えば、ただ呼吸をするのみ。
そう、呼吸を……
[newpage]
……おかしい。
どうして、私はまだ死んでいないのか。
エミリーの凶暴な尾によって肺を潰され貫通し、大量の出血をしているはずなのに。
激痛により切れかけていた意識がどうしてまだ繋がっているのか。
なぜそんな状態で呼吸が出来ているのか。
いや、それよりも、なぜ自分の舌がエミリーの最奥の子宮の中にまで入り込んでいるのか……
サーシャは、獣人と化したエミリーが押しつけていた力に逆らい秘所を舐めながらもゆっくりと顔を上げた。
「いい目になったな。 獰猛で野性味溢れる猛獣の眼孔、それでこそ私の求める騎士である」
エミリーが牙を剥き出しにて耳まで裂けた口角を吊り上げながら、サーシャを見下ろしていた。
傍から見ていたオルガもその光景をクククッと笑い見ている。
サーシャは自分が今どんな状況に置かれているのかを理解し、絶望に打ちひしがれそうになる。
(私の体が獣人に変化しつつある!?)
サーシャは自分の体に起きている変化を本能的に感じ取り、エミリーから離れようと試みるが、彼女の体が逃がすまいとその身を獣化させる。
完全に獣人の姿となったエミリーの圧倒的な力により、サーシャの顔は再び秘所に押さえつけられた。
「さぁ仕上げです。 私の精を受け取り獣化なさい」
エミリーの秘所から勢い良く大量の体液が放出される。
今までとは比べものにならないほどの臭気を放つドロッとした粘液が、サーシャの口内へ一気に注がれた。
彼女はその量に耐え切れず、ゴボッと音を立てて口からエミリーの放った体液を吹き出し周囲に撒き散らす。
「ゴホッ! グエェエッ!!」
ようやく解放されたサーシャは、咳き込みながら口から大量の白濁液を口から垂れ流す。
そして…… 始まった。
絶望の表情を浮かべたまま、サーシャの全身が激しく痙攣を起こし、纏っている金属の鎧がガチャガチャと音を立て始める。
やがて、バキバキッと骨が軋む音が鳴り響き、鎧が内側から押し出されるように変形を始めた。
「アガッ! グググッ! ガハッ!」
サーシャの体は見る見るうちに膨れ上がり、着ていた甲冑が割れ飛び出してきた肉に食い込みながら押し上げられていく。
獣人特有の筋肉質な肉体へと変わっていくサーシャの体。
真っ黒に染まった目と、黄色い瞳孔を持つ目がギョロギョロと忙しなく動き回り、両手両足から甲冑を突き破って鋭い鉤爪が伸びてきた。
「い、嫌だ…… 獣人なんがに… なりだぐない゛……」
口から突き出した牙と、長く伸びた舌のせいで上手く喋れないサーシャは、必死に言葉を絞り出した。
しかし、そんなサーシャの姿を見てもエミリーは一切の同情の顔を見せなかった。
むしろ、その姿は興奮しているようにさえ見える。
自分の意思とは関係なく体の獣化が加速する。
ボコンッと筋肉が膨張する度に、人ではあり得ない凶暴な力が沸き上がってくる。
変化に伴う激痛に声を上げる度に、獣のような叫びが口から漏れ出る。
サーシャは抵抗しようと暴れまわったが、もはや獣化の暴走を止める事など出来なかった。
鎧の砕ける金属音と、肉が潰れ骨格が変わる生々しい鈍い音を響かせながらサーシャの体は徐々に獣人へと変わっていく。
「グアァアアアッ!」
前方に突き出た人間の頭部を簡単に食い千切れるほど大きく開いた口から、涎を撒き散らしサーシャは雄叫びを上げる。
獣化を終えたサーシャの姿は、騎士として鍛え抜かれた肉体を反映してか、エミリーやオルガの姿をも超える程の屈強な巨躯を誇る獣人に成り果てていた。
頭部も完全に肉食獣のそれへと変化し、人間だった頃の面影は微塵も残っていない。
「こいつは凄い!! 一気に獣化まで進むとは何とおぞましき獣人、いや獣騎士か! フハハハハッ!」
オルガはサーシャの変わり果てた姿を見ると笑い転げた。
獣騎士……
その表現は獣化を遂げたサーシャの姿にぴったりの言葉であった。
鎧を取り込み獣化を起こした肉体は、その形状に合わせて筋肉が盛り上がり、生物的にはあり得ない形状を持った異形の姿へと変貌している。
元が人間であったとは思えないような醜悪さであり、獣人とも呼べないおぞましい姿をした化け物だ。
「獣人のツガイは何人のメスでも構わない。 お前にも俺の子種を注いでメスの喜びをたっぷり教えてやる」
オルガは下半身に力を込めると、再び巨大なペニスを鋼のように硬化させ先端から大量の先走りを溢れさせた。
それを目にしたサーシャは、彼に向かって涎を垂らしながらノシリと歩を進めていく。
しかし、完全に獣人として獣化を果たしたサーシャには、本能として刻まれたエミリーに対する忠誠心が残っていた。
命を賭してもエミリーを守り抜くという絶対の誓い。
絶対的な主君を前にして、サーシャの体が獣化によってねじ曲げられた思考と交わり、信じられない変化を引き起こしていた。
彼女の秘所から、あり得ないほどの愛液がブシャーと、まるで全て吐き出すかのように吹き出した次の瞬間──
ズリュ!
秘所の奥から何かが飛び出してくる。
「なに!?」
オルガが信じられない物を見た表情で驚愕の声を上げた。
それは、紛れもない巨大なオスのペニス。
オルガのイチモツを超える太さと長さ、そして、ささくれだった形状を持つ凶暴な凶器。
胸にまで届きそうなほど高くそびえ立つ凶悪なそれは、張り巡らされた浮き立つ血管をビクンッと脈打たせて白濁とした粘液を噴き出した。
「グルルルッ……」
サーシャの頭の中はオルガからエミリーを奪い取り、自分だけのメスにする事で頭がいっぱいになっていた。
それが、自分が主君を守るための最善の方法だと本能が理解し、体の構造をオスへと作り変えたのだ。
「グガァァアアッ!」
エミリーが大量の涎を撒き散らして叫びながら、一気にオルガに向かって駆け出す。
獣化した巨体からは考えられないスピードで距離を詰めると、凶暴な爪が突き出した右手を一気に振り下ろした。
オルガの肉棒が切り落とされ、大量の血が噴出する。
そして、今度は左手がオルガの首を跳ね飛ばして宙を舞った。
一瞬の出来事。
騎士として数多の戦を潜り抜けてきた歴戦の猛者が誇る裏付けされたサーシャの力は、獣化によって飛躍的に強化されていた。
そして、獣化による凶暴性と、女として屈強な男を凌駕するために血のにじむような努力を重ね鍛え上げてきたその肉体は、オスへと転じた事で爆発的な力がその身に宿っていた。
もはやサーシャに敵う生物などこの世には存在しないだろう。
「グフッ…… グルルルッ」
ドサリと頭部を失ったオルガの体が地面に落ちる様を、サーシャは返り血を浴びながら完全に変貌してしまった体で見つめていた。
ダラリと下がる腕の先から、10センチは超えるであろう凶暴な鉤爪を伝い真っ赤な鮮血が滴り落ちている。
そして、足元に転がった生首と目が合うとサーシャは狂気に満ちた笑みを浮かべた。
この体はエミリーを守る騎士のものではない。
獣化したこの体は、エミリーを孕ませるためだけに存在するオスの獣だ。
股間から突き上がる凶器が更に熱を帯び膨れ上がっていく。
サーシャは長く伸びた尾を振り上げ、横たわるオルガの体に叩きつけた。
エミリーに見せつけるかのように、何度も何度も尾を叩きつけ続ける。
やがて、原型すら分からなくなる程グチャグチャになった死体を踏み潰して、エミリーに向き直ると自分を誇示するかのようにその姿を見せつけた。
股間の凶器をいきり立たせ、メスを発情させる臭いを撒き散らしながらその足を進め、エミリーの目の前で立ち止まる。
「グフッ…… グルルルッ」
エミリーはサーシャの放つ臭いと圧倒的な力を持ったオスの強さに自我を忘れるほど興奮し、涎と愛液を噴き出しながらその身を震わせた。
メスは強いオスの精子を欲する。
獣化の影響で本能的に植え付けられたその欲望は、獣人とて例外ではない。
「さぁ来い! 淫乱なメスよ!! 好きなだけ種付けをしてやる!!」
サーシャ…… いや獣人のオスはそう叫ぶと、メスの獣人は狂ったように襲い掛かっていった……
◇◇◇
[newpage]
── 数ヶ月後
サーシャは森の端にある崖の上に立っていた。
眼下に広がるのは、かつてエミリーが第一王女として暮らし、サーシャが騎士として仕えていた王国。
あの後、サーシャは獣化したままエミリーを犯し続け、捜索のために派遣されてきた王国の兵士達を皆殺しにした。
人間の肉の味を覚えてしまった二人は、近隣の村を次々と襲い、さらに多くの犠牲者を出した後、遂に国そのものに牙を向けた。
「見ろ、上手そうな人間がうじゃうじゃいるぞ」
もはやオスの獣人と化したサーシャは、完全に獣の本能に染まりきっていた。
そこには国に忠誠を誓った騎士の面影など微塵も残っていない。
「なんて美味しそうな匂いなのでしょうか。 さすが王都の人間は良いものを食べているようですね」
エミリーも完全に獣としての本性を現していた。
数ヶ月前までは王女として献身に国を愛し、守ってきた国民の命を奪う事に何の躊躇もなかった。
それどころか、その顔には涎を垂らしながら歪んだ笑顔さえ浮かべている。
「我らが獣人と化した事を知ったら、国王がどんな顔をするのか楽しみだな」
「そうですね。 国王と王妃はじっくりといたぶってから食い殺してあげましょう」
おぞましい姿をした獣人の二匹は、これから起こる惨劇に胸を高鳴らせながら、遥か遠くに見える城を目指して歩き始めた。
彼らには、もう人への慈悲はない。
あるのは人間を食料としてしか認識しない獣人としての殺戮本能と、ツガイで結ばれた強烈な性欲。
そして、エミリーの腹の中に宿った新たな命を育むための食欲のみ。
「参りましょう、獣王」
「あぁ、腹一杯になるまで食い荒らそう。 獣王妃」
二匹の獣の影が夜の王都へと消えていく。
後には、月明かりに照らされ赤く染まった大地だけが残されていた──
END