地球外の生命体に寄生され異形へと堕ちていく少女のお話【改】

  [chapter:第1話「[[rb:触融 > しょくゆう]]」]

  「あっ、見てみて! 流れ星」

  「本当だ! 綺麗だね」

  ◇◇◇

  その日、地球に一つの隕石が飛来した。

  ほとんどが大気圏で燃え尽き消滅したが、小さな欠片がとある街に落下する。

  「あ…… ぐぉぼっ!」

  人気の無い公園で、男が口から血を吹き出して倒れた。

  頭部が潰れ、大量の血と肉片が辺りに散らばる。

  不幸にも隕石の直撃を受けてしまったようだ。

  砂粒程度の小さい物体だったが、音速を超えるスピードで彼の頭に激突し、彼の頭蓋骨は粉々に砕け散った。

  彼の頭の中に埋もれた隕石の欠片が、赤く光を放っている。

  どう見ても即死のはずなのに、彼の体はビクビクと痙攣し手足をバタつかせる。

  直後、男の体に埋もれた隕石の欠片を中心にモゾモゾと何かが蠢き始め、僅かに残る彼の脳を侵食し始めた。

  それは真っ赤なアメーバのような物体。

  グチョグチュ、ミチミチッ……

  アメーバは細い触手を伸ばし、潰れたはずの男の脳を再生していく。

  そして、男は意識を取り戻した。

  「…………」

  無言のまま立ち上がると自分の手を見つめ、次に全身を見渡す。

  「あーぁ……」

  言葉にならない声を出し、彼はそのままゆらゆらと歩き出した。

  ◇◇◇

  ─── 同時刻

  私は高校の部活帰りで、友人の聡美と一緒に家に向かって歩いていた。

  「ちょっと美保、本当に着替えてないの?」

  「だって更衣室に鍵かけられてたんだもん」

  私と聡美は同じ剣道部に所属している。

  顧問に頼まれ掃除していたせいで遅くなってしまった。

  更衣室はすでに閉まっており、私はろくに着替えすら出来なかった。

  「美保、臭いから寄らないで」

  「えー? 臭くないよぉ~」

  そう言いながら私は鼻を動かし、クンクンと臭いを嗅いだ。

  自分じゃ分からないけど…… いや、ちょっとだけ汗臭いかも。

  一応、私は女の子。

  少し恥かしいので、聡美に制汗スプレーを借りようと思った矢先。

  ドォン!!

  凄まじい爆発音が響いた。

  「きゃああ!?」

  「何? 地震?」

  私達は慌てて音の鳴った方へ駆け出す。

  そして、私達が現場と思われる場所に着いた時、その目に飛び込んできたのは……

  小さな手洗い場が壊れて水が噴き出している光景と、 そこから数メートル離れた場所にある所からモクモクと上がる大量の煙だった。

  「ちょっと、どうしたのこれ!?」

  「ねぇ、あそこ。 何か光ったものが落ちてない?」

  水浸しの地面に赤く光る物が転がっていた。

  私は何故か興味を引かれ、恐る恐る近づくとソレを拾い上げた。

  「これ何?」

  「石…… かな? でも何で光ってるんだろう」

  米粒ほどの石が赤く発光している。

  まるで宝石みたいだ。

  その時、前から誰かが歩いてくる気配を感じ、私達はそちらに視線を向けた。

  「あーぁ……」

  暗くてよく見えないけど少し様子がおかしい。

  酔っぱらいかな?

  ゆっくりと近づいてくる男の人が街灯に照らされ姿が見えた。

  「えっ!?」

  頭から血を流している。

  顔色が悪く、目は虚ろで焦点があっていない。

  「あの、大丈夫ですか!?」

  「凄い血…… 救急車呼びましょうか!?」

  心配して声をかけるが、彼からの反応がない。

  ただこちらに向かってフラフラと歩いて来るだけだ。

  「あ~…… メスだぁ…… 女だぁ!」

  直後、男がこちらに向かって凄いスピードで走ってきた。

  「ちょ」

  一瞬の出来事だった。

  気付いた時には、私の隣にいた聡美が地面に押し倒され、その上に男が覆い被さっていた。

  「ギャハハ! ハァー…… アハッハッハッ!!」

  男は口元から涎を撒き散らしながら、まるで狂人のように不気味な声で笑っている。

  嫌がる聡美を押さえ付け、首筋に顔を埋め舐め回すような異常な行動を取っている。

  「きゃあああああ!!」

  悲鳴を上げる聡美を無視して、男は彼女の服を乱暴に脱がし始めた。

  制服を剥かれ露わとなった聡美の秘所を見て、男は興奮しているのか股間を大きく膨らませていた。

  「メスの臭いだぁ!」

  「やめてぇ!」

  聡美は必死に抵抗するも力で敵うはずもない。

  「うそ…… 聡美…… 誰か! 誰か来てー!!」

  恐怖と混乱の中、私は腰を抜かし大声で助けを呼ぶ事しか出来なかった。

  しかし、誰も来てくれる気配はない。

  その間にも聡美は男の手によって裸にされていく。

  男の股間からズボンを突き破って巨大なペニスが飛び出している。

  あり得ない大きさをしたそれは血管が浮き出ており、先端からは粘液のようなものが垂れていた。

  「ひぃっ…… いやぁ!」

  そのおぞましいモノを目の当たりにして、聡美は涙を流しながら首を横に振る。

  しかし、そんな聡美を気にする事もなく、男は彼女の膣内へ人間にはあり得ないサイズのモノを突き入れた。

  ズブブッ!! ミチミチ!ギチィッ!

  「痛い! 痛い痛い! 嫌ぁぁあああ!!」

  処女膜が破れ血が流れる。

  いや、そんなレベルじゃない。

  あまりにも巨大な物が突き刺さったせいで肉壁が裂け、周囲に鮮血が飛び散っている。

  「ぎぎぎぎぃ!」

  聡美は限界まで目を見開き、口からは泡を吹き白目をむいていた。

  「何…… 何なのこれ……」

  私は目の前で行われている事に頭が追いつかなかった。

  聡美が犯されている……

  どうして……

  誰なのこの男……

  それにアレは何……

  あんな大きなもの、人間じゃない……

  思考がまとまらない中、男の頭部が私の視界にった。

  「うっ! ぶぉえぇッ!」

  思わず吐いてしまった。

  男の後頭部が裂け、脳が見えている。

  その周りにはグチュグチュと動くミミズのようなものが蠢いていた。

  あれは人の体ではない。

  化け物だ……

  私は死を覚悟した。

  絶対に助からない……

  ここで殺されて死ぬ……

  『ならこの体を使っても良いか?』

  「え……?」

  謎の声が聞こえ、周囲を見渡すが誰もいない。

  幻聴だろうか……

  『助けてやっても良いぞ』

  「何? 誰!?」

  恐怖で混乱する私に謎の声は語りかけて来た。

  それは私の耳からではなく、頭の中に直接響き渡る悪魔のような囁き。

  『お前の体と引き替えに彼女を救える』

  「どういう…… 事?」

  『あれを超えるだけの力をくれてやると言っている』

  力? 私に一体何をしろというのだろう。

  しかし、今は考えている余裕はない。

  早く聡美を助けないと。

  「何でも良いから助けて!!」

  私は思わず叫んでしまった。

  その瞬間、右手に掴んでいた赤く光る石が熱くなる。

  『どんな力を欲する』

  「力って…… 分かんないよ!」

  『あれを凌駕する力を引き出す能力を得る存在を思い描け』

  凌駕? 私が思い描くのは……

  「魔法少女!」

  『……知らん。 それはどんな力を持っている』

  じゃあ聞くなよ!

  えーと……

  「人の能力を超えた力をその身に宿し、変身して敵を葬り去る事の出来る絶対的な力と姿を持った存在!!」

  そう叫んだ直後、石が強く発光し、私に体に吸い込まれていった。

  全身に熱いものが駆け巡る。

  「がはッ!」

  私の体の中で何かが暴れ回る。

  皮膚の下で得体の知れない物が這いずり回っている。

  あまりの痛みに、私は地面に倒れ込んで藻掻き苦しんだ。

  痛い。

  苦しい。

  全身から汗が吹き出し、呼吸が荒くなっていく。

  そして──

  ブシャー!!

  「ぇ……」

  私の秘所から、何かが凄い勢いで飛び出した。

  スカートの下から夥しい量の赤黒い紐のような物が噴出され、地面に広がっていく。

  それはまるで触手のような形状をした…… いや、間違いなく触手。

  ヌルリとした感触が太股に伝わってくる。

  「嫌…… いやっ── グオボッ!」

  悲鳴を遮るように、口からも大量の触手が飛び出す。

  まるで胃の中から飛び出したように大量に吐き出され、喉を塞がれ息ができない。

  苦しくて意識を失いそうになったその時、視界の端で聡美の姿が見えた。

  彼女は両手両脚を大の字にして広げ、ボロ雑巾のように犯され続けている。

  股間からは鮮血と一緒に白濁液が流れ出し、それでもなお男は腰を打ち付け続けていた。

  ズブッ! ゴポォ! ドビュッ!

  聡美のお腹が妊娠しているかのように膨れ上がっている。

  (許せない…… 殺してやる!!)

  殺意を抱いた時、私の体が一気に変化を始めた。

  ミチミチッ!

  秘所と口から這い出た無数の触手が私の体を包み込んでいく。

  全身が触手で覆い尽くされ、視界が真っ暗になる。

  体の奥で熱いものが脈打つ感じがした。

  ブシュゥウウッ!!

  体中を包み込む触手から液体が噴き出し周囲を赤黒く染め上げる。

  それは血液ではなくヌメり気のある粘液。

  ジュルルルッ…… グチョ グチュッ!

  私の肉体が触手の内側でドロリと溶け、全身が激しく疼く。

  グチョ! ベキベキ! ボコッ!

  耳を覆いたくなるような音が体中から響き渡るが、不思議と不快感はなかった。

  むしろ心地好いくらい。

  いや、気持ち良い……

  ビキッ! バリバリッ! グチャァ!

  肉が裂ける子のの砕ける音が聞こえ、血と粘液の混ざり合った体液が周囲に撒き散らされる。

  凄い…… 何これ……

  こんな刺激初めて!

  全身が性器にでもなったかのような強烈な快感が襲ってくる。

  私の体は原型を留めていないかもしれない。

  でも、どうでも良かった。

  もっと欲しい。

  もっと私を包んで。

  そう思った直後、体のあちこちから触手が生え始めた。

  そして視界が一気に広がる。

  今まで見たことのないような見え方。

  上空も地面も、全ての方向が見え認識できる。

  凄い…… 凄い! 凄いッ!!

  私の体から生え出た無数の触手から様々な感覚が伝わり、その一本一本の感触が手に取るように分かる。

  ドバァアアッ ドォンッ! ドババァン!!

  新たに生えた触手が地面を叩きつける。

  凄い威力だ。

  私はそれを見て自分の力を理解した。

  「あははぁ……あはっ♪」

  私の視界の右側で男が聡美を犯している姿を捉える。

  すでに聡美は絶命していた。

  それでも男は巨大なペニスを膣内に突き入れ犯し続けている。

  自然と笑みが溢れ、触手の先端から涎が溢れ出た。

  ズブブッ!! ブシャァァッ!!

  聡美のお腹が裂け、男のペニスが飛び出すと精液が上空に向け吹き上がる。

  「すっご♪」

  その光景を見て私は絶頂を迎えた。

  ドビュドブュッ!!

  私の体を構成している触手の先端から大量の愛液が吹き出す。

  私は我を忘れて駆け出した。

  聡美を犯し続ける男に向かって。

  ドゴォオオッ ズザザッ!

  地面にヒビが入るほどの踏み込みで跳躍し、男の顔面に飛び蹴りを喰らわせる。

  メキッ 男の首が折れる音が聞こえた。

  直後、全身に絶頂にも似た快楽が走り抜ける。

  「あ~ん♪」

  私は全身の触手を鞭のように使い何度も男の体に叩きつけた。

  男の腕が千切れ、足が砕け、胴体が潰れる度に私の体に電流が流れるような強い刺激が走る抜ける。

  それでも起き上がろうとする男を勢いよく蹴り飛ばす。

  彼は2メートルほど吹き飛ばされ地面に叩きつけられるも、仰向けになった彼のペニスはまだいきり立っている。

  それを目にした瞬間、私の中にある感情が芽生えた。

  私は触手を伸ばしペニスを掴むと、男の体ごと引き寄せる。

  そして、自分の口元へ持っていくと大きく口を開き、舌で舐め上げた。

  ジュルルルッ レロレロッ クチュクチュッ

  私は躊躇無くそれを口に含み、無数の触手と化した舌を絡めながら激しく吸引を始める。

  口の中に広がる濃厚で芳ばしい味。

  凄く美味しい。

  今まで食べたどんな食べ物よりも甘美で、濃厚な味わいだった。

  私は夢中でしゃぶり続ける。

  その刺激に男のペニスが、更に膨れ上がっていくのを感じた。

  「今度は私が相手よ♪」

  触手の拘束を解き男を地面に押し倒すと、触手が溢れ出す自分の秘所に男のものをあてがう。

  「頂きま~すッ♪」

  バックリと私の秘所が開き彼の亀頭を丸ごと包み込むと、私はそのまま一気に腰を下ろした。

  ズブブッ グボッ メリメリィイッ

  凄まじい音を立てて男のペニスが子宮を突き破って私の胃を押し潰す。

  それでもまだ足りないのか、さらに奥へと侵入してくる。

  「すっご~い♪ 私の内臓グチャグチャになってるぅ~」

  私は両手両足を男の体に巻き付け密着する。

  「もっと奥まで突き刺してぇ~♪」

  触手で男の体を持ち上げ、上下に激しく動かし始める。

  男のペニスが動きに合わせ私のお腹を突き破り、顔を出したり引っ込んだりを繰り返している。

  すぐに触手が破れたお腹を覆い包み込むと私の体を修復していく。

  凄い! 凄い! 凄い! こんなの初めて!

  私は歓喜の声を上げながら腰を振り乱す。

  ズバンッ!ズバンッ!ズバンッ!ズバンッ!ズバンッ!ズバンッ!

  激しく動く度に私の体内で内臓が破裂し、血が周囲に撒き散らされるが気にしない。

  だって一瞬で治癒してしまうから。

  これが最高に気持ちいいんだもん!

  「さぁ、私の中に全部出して~♪」

  私はラストスパートをかける。

  男の口からは大量の血液が溢れ出し呼吸が弱々しくなっていた。

  死んじゃうのかな? でも、構わない。

  私の中で果てて。

  私がちゃんと逝かせてあげる。

  私は男の背中に回した腕…… 触手に力を入れて強く抱きしめた。

  ゴキゴキッ!

  彼の骨が粉砕する音が響き渡ると同時に、膣内を限界まで締め上げて私は受け入れ態勢をとる。

  そして、男のペニスに無数の触手を突き刺して自身の体液を流し込むと射精を促した。

  「逝っちゃえ♪」

  ビュビューーッ ドピュッ! ドプゥウウッ!

  大量の精液が爆発するかのように私の体内に注ぎ込まれていく。

  私はそれらを全て受け止め、体内に吸収していった。

  グチャグチャと音をたてながら体の中で体液が混ざり合う。

  「あ~ ぎもぢいいぃ~♪ グボッ!」

  体中を満たし入りきらなかった精液が、口から勢い良く吹き出し周囲に撒き散らされる。

  「おほぉ~♪」

  こんなに気持ちの良い快感がこの世にあったなんて……

  全身を今まで感じたことがない快感が駆け巡る。

  ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!

  全身の細胞が活性化して、私の体が更に作り替えられていくのが分かる。

  もっと……

  もっと気持ち良くなりたい。

  私の体が更なる快楽を求めて疼き出す。

  しかし、男のペニスは限界を迎えてしまったようで萎え始めていた。

  もう終わりかな?

  私は残念に思いながらも男のペニスを締め付ける。

  ミチッ!

  最後の一滴まで搾り取るように更に強く締め上げ……

  グチョッ!

  男のペニスが私の膣圧に耐えきれずに潰れてしまった。

  それでも、なお残った精液を吸い出そうとするが出てこない。

  仕方ない。

  私は彼をギュッと抱きしめ触手で彼の亡骸を包み込んだ。

  ミシミシ…… ブチゴキッ!

  ゆっくりと全身を締め上げ、男を包み込んだ触手をその体に突き刺すと、最後に彼の体を貪っていく。

  「あ~ こっちも美味しい~♪」

  ジュボッ…… グジュ……

  彼はこの世から消えた。

  私は全身から溢れる力を感じながら、背後にいる聡美を異形の目で捉える。

  聡美の体には私の体から伸びた触手が秘所と口に突き刺さっていた。

  私は彼女に近づき、両手両脚を触手で拘束すると無理矢理立ち上がらせ、彼女の膣内に挿入していた触手をズルリッと引き抜く。

  「ふふっ、もう治ったかな♪」

  彼女はビクンっと痙攣を起こし、ドロドロの粘液にまみれながら地面に倒れ込んだ。

  『想像以上の働きだ』

  頭に声が響くと、私の体を構成していた触手がズルズルと秘所と口の中を通って体内に戻っていった。

  「…………」

  本来の自分の姿に戻った私は、自分の体を見渡す。

  粘液にまみれた体。

  真っ赤に染また制服。

  全身から漂う強烈な臭い。

  「私……」

  隣で聡美が秘所から白濁とした液を垂れ流して意識を失っている。

  背後に真っ赤に染まる血の海が広がっており、辺り一面に細かい肉片が散乱していた。

  その光景を目の当たりにした時、私はようやく気付いた。

  「ぶぉえっ! オゲェエエッ!」

  たった今自分がした事を思い出した途端、激しい嘔吐感が襲い胃の中のものを全て吐き出す。

  ビチャッ!ベチャッ! 口からは吐瀉物が溢れ出し、地面に飛び散っていく。

  それは白濁の液体と無数の寄生虫のような細かい触手。

  私は自分の身に起こった事を理解した。

  「あ……あぁ……」

  私、人を殺しちゃった……。

  しかも、あんな悍ましい姿に変身して。

  「私、なんてことを……」

  全身から血の気が引き目の前が暗くなっていく。

  ドサッ

  その場に倒れ込むと、私は意識を失った──

  ◇◇◇

  その後、私は警察に保護され聡美は病院に搬送された。

  通り魔。

  そういう方向で捜査は進むと最初に言われたが……

  事情聴取中に私の頭から勝手に放たれた思念で、事実が書き換えられた。

  捜査は打ち切り。

  大量の血痕と肉片は動物同士の喧嘩によるもので事件性はなし。

  私と聡美はその光景を見たショックで気を失った。

  そう処理された。

  私が家に帰りついたのは、深夜になってからだった。

  娘がこんな遅くに戻ったのに両親は何の反応もない。

  ただ「お帰り」と言っただけ。

  警察の時と同じく、私の頭から改ざんの思念が放たれたのだ。

  私は自室に戻ると、疲れた体を引き摺りベッドへ倒れ込む。

  しかし、目を閉じても眠れない。

  頭に浮かぶのは自分のしてしまったこと。

  私は……

  私はどうなってしまったのだろうか。

  『何を悩んでいる』

  「っ!?」

  頭に声が響いた。

  私は驚きながら起き上がると部屋を見渡すが人の気配は無い。

  しかし、声は鮮明に聞こえてくる。

  この部屋の中からではない。

  頭の中に直接響いている。

  「誰? あなた何者なの」

  私は震える声で問いかける。

  『私はお前だ。正確には、お前が取り込んだ情報体の一部だ』

  「ど、どういう事? さっきのは一体何!?」

  私は混乱した様子で質問を続ける。

  『声など出さずとも良い』

  「……」

  私は黙り込んだ。

  『……』

  「……」

  長い沈黙。

  『いや、そう言う意味ではなく頭の中で話せと言うことだ』

  あぁ。

  そういう事か。

  『まずは先程の件について説明してやる』

  声の主は淡々と語り始めた。

  彼は遠い星から来た生命体で、肉体は持っていないということ。

  移動手段として依代にしていた鉱石が、地球の引力に引き寄せられ大気圏に突入した際に分裂してしまったことを。

  その破片が人の体に入り込むと、先程の男性のような状態になってしまうらしい。

  それは声の主も予期していなかったという。

  (何故あの人は聡美を犯…… 襲ったの?)

  私は気になっていた疑問をぶつけてみた。

  この星の生物は繁殖本能が強く、情報体自身の自己増殖にも適している。

  その本能が暴走したのだろうと。

  そんなの信じられなかった。

  だけど、あの時の男は間違いなく人から逸脱した物に成り下がり、聡美を犯していた。

  そして、それは私も……

  私はあの時、間違いなく人間ではなかった。

  (どうして私はあんな化け物の姿に…… あなたの仲間を殺したって事でしょ)

  私の疑問に声の主が答える。

  分裂した際に、ほとんどは自我が保てないほどに小さくなってしまったが、自分はギリギリ自我を保てる状態の大きさだった。

  私をあの男性のように乗っ取ることも出来たが、自己再生をするためには、この星の生命体を使うのが最善と考えた。

  私と同化し、分裂した情報素子を集めながら力を取り戻して元の姿に戻るために。

  同化……

  (そのために私に力を与えて体を作り替えたと!?)

  私は怒りを抑えきれずに語気を荒げる。

  (あの姿は何! 何で私があんなおぞましい姿になんか!)

  『あれはお前の中にある、最も強い力が具現化した姿だ』

  嘘。

  あんな化け物に変身することを望んだ覚えはない。

  あの姿はまるで触手を纏った淫らな淫獣のような……

  触手? 淫獣?

  ……まさか!

  (何を参考に私をあんな姿に変身させたんですか?)

  『言っただろう。 お前の頭の中にあった最も強い力を持った最強の存在だ』

  やっぱり。

  私は昨日の夜に、魔法触手少女のネット小説を読んだ。

  そこに出てきた触手型淫獣……

  強かった。

  あんな魔法少女ですら堕ちるような存在に、人間が敵うわけ無い。

  そして、寝る前には私の大好きなサキュバスの出てくる同人誌を読んだ。

  あれも凄かった。

  あんなテクニックをされたら、どんな男も女も堕とされてしまう。

  まさに最強。

  納得した。

  でも…… だからって混ぜなくても。

  『“淫獣に犯されちゃう女騎士”に出てくる淫魔少女の方が良かったか?』

  (私の頭をの中を勝手に覗かないで!!)

  『お前と私はすでに融合している。 覗くなと言うのは無理な話だ』

  私は泣きたくなった。

  私の知られたくない特殊な性癖が全て筒抜けだ。

  きっと変身した時のあの淫らな性格は“サキュバス無双”の主人公だろう。

  『違う。 “淫魔王女”のアリス王女が極悪淫魔に変身した時の性格だ』

  「うるさい!!」

  私は恥ずかしさに耐えきれず怒鳴りつけた。

  もう嫌だ。

  消えてしまいたい。

  (まさか、私はあなたの目的を達成するまで、あんな姿に変身して戦わないといけないの?)

  不安になって聞いてみる。

  『当たり前だ。 そういう約束だ』

  声が冷たく言い放たれる。

  私は絶望した。

  (協力するのは約束ですから納得します。 でも、せめて変身後の姿は変えてもらえないでしょうか)

  流石にあの姿はない。

  自分で吐き気を催すほどの化物の姿なんて絶対に嫌だ。

  『無理だ。 お前の肉体はすでに遺伝子レベルで変質している。 すでに人の体ではない』

  そんな……

  『変身後は身体能力が大幅に向上する。 そして人の身では味わえぬ快感も得ることが出来るように遺伝子を組み換えてやった。 何が不満だ』

  それを聞いて私はさらに落ち込んだ。

  『性欲と食欲はお前達の星で最も強く表れる欲求だ。 私からの褒美として受け取るが良い』

  確かに凄かった。

  凄すぎて怖くなるくらい気持ち良かった。

  もう普通のセックスじゃこの体は満足できないかもしれない。

  でも、変身後の姿が問題なのだ。

  確かに私は触手が好きだ。

  サキュバスが好きだ。

  そして、この際はっきりと言う。

  陰獣も好きだ。

  だからと言ってあそこまで異形にならなくても……

  それに人を喰らうだなんて……

  そんな食欲、欲しくない。

  (あの、異形への変身はこの際許容しますが、人を食べるというのはちょっと……)

  今も思い出しただけで吐きそうになる。

  『情報素子は小さく識別できない。 全てを喰らい尽くすのが最も効率的だ。 証拠も残らない』

  効率の問題じゃないと思う。

  でも、確かにそう言われればそうなのかなとも思う。

  情報体が言っている自己増殖の話も少し分かった。

  一応は助けてもらったんだし、少し位なら我慢しよう。

  そう思い私は覚悟を決めた。

  (その分裂した情報素子というのはどのくらいの数なんですか?)

  『多い。 計算しても良いがお前の頭が焼き切れるぞ』

  前言撤回。

  私は考えるのをやめた。

  私はこれからどうなるのだろうか。

  この声の主の目的を達した後、私は元の体に戻れるのだろうか。

  『私が抜けても体は戻らない。 お前は人に戻ることは出来ない』

  私は顔を上げる。

  え? 戻らないの!?

  『死ぬ運命だったお前が生と引き換えに選んだ結果だ。 受け入れろ』

  確かに。

  私はあの時、間違いなく死んでいただろう。

  しかも人外に体を引き裂かれながら、犯され殺されていたに違い無い。

  聡美が惨い犯され方をされた光景がフラッシュバックする。

  声の主の言う通り、あの時私は生を選んだ。

  その結果がこれだ。

  受け入れるしかない。

  『この力があればこの星の支配も容易だ。私がいなくなった後にでもこの星を好きにするが良い。 まあ私が完全体になったら戻す方法も考えてやるが』

  私は呆然とした。

  この星を支配する? 私が?

  確かにこんな人外の力があれば…… 支配出来るかも。

  『保証してやる。 お前は数千億光年内に存在する生命体の中で最強だ』

  そっか。

  私はそんな化物になっちゃったんだ……

  私の心の中に今まで感じたことのない感情が生まれた。

  支配……

  いや、駄目だ。

  私はそんな事は望んでいない。

  ◇

  聞きたいことはまだまだ沢山ある。

  しかし───

  「!?」

  気配を感じた。

  私は立ち上がり窓に近づくと外を見る。

  月明かりに照らされて何かが動いている。

  人間…… いや、違う。

  この匂い、さっきの男の人と同じだ。

  情報素子に寄生されている。

  私はカーテンを閉めると振り返り、自分の手を眺めた。

  皮下でウネウネと無数の触手が蠢き波打っている。

  ……またあの快感を味わえる。

  自然と口角が上がり力が張ってくる。

  『仕事だ』

  私は服を脱ぎ捨て全裸になると姿見に自分の姿を映し出す。

  秘所から触手が顔を覗かせ、今か今かと待ちきれない様子で粘液を溢れ出し、糸を引きながら垂れ下がっていた。

  全身に力を込める。

  次の瞬間、私の秘所から夥しい数の触手が勢いよく飛び出した。

  「あはっ♪」

  全身を絶頂を超える感覚が包む。

  ニュルッ ミチミチ!

  秘所から這い出た触手が瞬く間に私の体を包み込み始める。

  ジュルルッ ゴボッ ビチャッ!

  「ぐぉぼ! ぐぅえ!」

  口からも大量の触手を吐き出しながら、私は変身していく。

  グチュッ グチャッ メキィッ ブチブチッ!

  全身の肉が張り裂けながら膨らむと、無数の触手が巻き付いた私の体は赤黒く染まった。

  触手が全身を覆い、私の体に染み込んでくる。

  私の肉体が、触手と融合を進め、その構造を組み替えながら新たな姿へと形作られていく。

  グチャッ! ビクンッ! ビクビクッ!

  私の体が激しく痙攣する。

  全身から快楽が押し寄せてくる。

  あぁ、凄い!

  さっきよりも凄い!

  全身が性感帯になってしまったみたいに敏感になり、体中を駆け巡る絶頂が止まらない。

  全身が疼く。

  大量の精液を吸収するために体内に作られた無数の子宮がキュンキュンと収縮を繰り返す。

  「あはっ! あはははっ! あひぃいいいいっ♪」

  私は狂ったように笑いながら絶頂を超えた強烈な快感に悶えた。

  ビクンッ! ビクンビクンッ!

  全身を痙攣させバックリと開いた膣穴からは大量の触手と濁った愛液が潮吹きのように噴き出している。

  私は鏡に写った自分を見つめる。

  そこには異形の姿があった。

  人の姿をしていない。

  全身はまるで水棲生物のようにヌラヌラとした光沢を放ち、全身から太い触手が何本も突き出ている。

  触手の先端が鎌首をもたげ揺れ動き、大きな口が開いて粘液を垂れ流す。

  頭には無数の触覚が生え、赤く発光した目が顔面を一周するように浮き上がっている。

  口は常に大きく開き、舌の代わりに何枚もの触手が絡み合いウネウネと動きまわっていた。

  その姿はまるで触手の化物だ。

  (これが私……)

  私は本当に化物に変身しちゃうんだ。

  凄い。

  私は化物。

  凄い。凄い。凄いっ!!

  「あははっ♪」

  『行け!』

  声が頭に響くと同時に、私の体から触手が伸び窓ガラスを割って窓から飛び出す。

  その反動で私は空高く舞い上がると標的の男の前へと降り立った。

  目の前の男の股間からズボンを突き破って、あり得ないほどの大きさのペニスが飛び出ている。

  さっきの男よりも大きくて長い。

  秘所から溢れる触手が歓喜を挙げるかのように激しく動き回る。

  「それ、私だったらぜ~んぶ入っちゃうわよ♪」

  私はニヤリと不気味な人外の笑みを浮かべ、触手で秘所を大きく開くと強烈な淫臭を撒き放つ。

  「うふっ、だからココに入れて。 おもいっきり突き刺してぇ~♪」

  男は私に飛びかかってきた。

  「いただきま~すぅ♪ うひゃ♪」

  私は人じゃない。

  化け物だ。

  快楽を貪り、人を貪る怪物。

  もう人間には戻る事が出来ない。

  だからこの体に合った生き方をしなければならない。

  意識を失いつつある男のペニスを咥え込みながらそう思った。

  それに、こんなに気持ちの良い事を知ってしまったのだから。

  もう私は人間の快楽では満足できない。

  だから、もっと快楽を得られる化物に進化していくしかない。

  私は膣を締め付け男の精液を全て吸い上げると、最後に膣圧でペニスを押し潰ぶす。

  気持ち良い……

  そして、そのまま男を触手で包んで全身で彼の体を食い散らかす。

  美味しい……

  私の体に快楽が走り、更なる力が満ちていくのを感じる。

  私はまた進化した。

  この先も自分の意思と関係なくもっと進化を進めていくのだろう。

  なんておぞましい体なんだろう。

  こんなに惨いことを楽しみながら、快楽に酔いしれている私はなんて残忍な性格なんだろう。

  でも、止まらない。

  「あはっ♪」

  私は笑う。

  だってそれが今の私の本心だから。

  こんなに凄い力を手に入れてしまったのだから。

  あと何回繰り返す事が出来るのだろうか。

  『案ずるな。 まだまだ先は長い』

  私は声の主に感謝した。

  早く次の獲物を見つけないと……

  『南南西、500メートル先だ』

  「見ぃ~つけた♪」

  私は触手を伸ばして夜の闇に消えていった。

  私達の夜はまだ始まったばかりだ。

  つづく

  [newpage]

  [chapter:第2話「[[rb:触臭 > しょくしゅ]]」]

  ─── 翌日

  昨日の夜、私は2体目の寄生体を吸収しそのまま朝を迎えた。

  全身を真っ赤な血で染め、生臭い匂いを放つ粘液まみれの体で。

  途中何人もの人にすれ違ったが、誰も私のことを気にかけている様子はなかった。

  私に寄生した情報体による認識改ざんのお陰らしい。

  私は自宅に戻ると着替えを済ませ、その足で学校へと向かった。

  この体は睡眠を取る必要がない。

  夜も活動できるように遺伝子を書き換えた、と情報体に言われた。

  随分と都合の良い体に改造してくれたもんだ……

  ◇

  私は教室に入ると、自分の席へ向かいながら室内を見渡す。

  いつも通りの教室。

  クラスメイト達が談笑し、楽しげな雰囲気に包まれていた。

  私は自分の机に鞄を置き、椅子に腰掛け窓の外をぼんやりと眺めていた。

  「おはよう美保」

  後ろから声をかけられ振り向くと、クラスメイトの佳奈が心配そうな顔をしながら立っていた。

  「ねえ、昨日大丈夫だった?」

  「なにが?」

  私は彼女の言葉に首を傾げた。

  佳奈は私の反応を見て困ったような表情をしている。

  「動物に襲われたって聞いたけど」

  ああ、そういう事か。

  私は納得すると、彼女に笑顔を向ける。

  「うん、大丈夫だよ。 ほら、この通り元気だし」

  両腕を回して元気いっぱいをアピールする。

  しかし、それでも不安なのか彼女は中々去ろうとしない。

  「聡美も今朝自宅に戻ったみたいなんだけど、今日は休むって……」

  「そうなんだ」

  私は適当に相槌を打つと再び窓の外をぼーっと眺め始める。

  「それでね、お見舞いに行こうかと思ってるんだけど一緒にどう?」

  「う~ん。 部活に顔出さないといけないし、少し遅くなると思うから終わったら一人で行くよ」

  彼女は私の返事を聞くと分かった、と言って去っていった。

  聡美は病院に搬送されたとは聞いているが、どのような状況なのか私は知らない。

  きっと、昨日自分の身に起こった事は覚えていないのだろう。

  (ねぇ、聡美にはどんな記憶の改ざんをしたの?)

  私は頭の中に住まう、寄生した情報体に話しかけた。

  『改ざんはしていない。 あの時の情報を全て消しただけだ』

  (ふ~ん……)

  私は興味なさげに答えると、窓の外から視線を外した。

  そして、自分の手のひらを眺める。

  人間の手。

  いや、皮下で触手がモゾモゾと蠢いた。

  試しに自分の意思で腹部を動かしてみる。

  ビクビクと無数の触手が私の体内で子宮を収縮させる。

  「んっ♪」

  思わず声が漏れてしまう。

  その刺激で昨日の快感が蘇ってくる。

  『お前が望むなら、変身してこの教室の生徒全員を喰らっても良いぞ』

  私はその声で我に返り触手の動きを止め、手を握った。

  (ダメ、まだ我慢する)

  『そうか』

  我慢って何よ……

  私、この姿の時でも心が人外に近づいてる気がする。

  そんな自分の体の変化に、少しだけ恐怖を覚えた。

  ◇

  普段と同じ、退屈な授業が終了し私は部活へと向かった。

  私は剣道部に所属している。

  剣士に憧れたとか、袴姿や防具に身を包んだ姿に憧れたとか、そんな理由ではない。

  [[rb:淫女 > いんにょ]]先生のマンガ “[[rb:触臭 > しょくしゅ]] ~その臭いは奴らを狂せる~” に出てくる主人公の女の子が剣道部だったから。

  あれは凄かった。

  最高傑作だ。

  臭いに敏感な触手に寄生された主人公が、部員達を次々と犯していくお話。

  触手は襲った部員の道着と防具に染み込んだ汗を吸い淫薬に変える能力を持っている。

  そして、その淫薬を主人公の体に流し込んで発情させるのだ。

  凄い発想だ。

  さすが淫女先生。

  そして、その淫薬の快感に虜となった主人公は、より熟成した臭いを求めながら次々と部員達を犯していく。

  男に跨がり腰を振り乱し、小手に染み込んだ汗を狂ったように吸い上げて絶頂に達するシーンは最高に興奮した。

  絵から臭いが伝わってくるほどの力作。

  今でも私のお気に入り。

  『知っている。 説明などしなくても良い』

  あ、そうですか。

  触手すら狂わせる臭いってどんなだろう。

  別に私は臭いフェチではないけれど、主人公の気持ちを片鱗でも味わってみたかった。

  それが私が剣道を始めたきっかけ。

  すごく最低な動機だ。

  ごめんね、真面目に剣道をやってる人達。

  まぁ実際剣道を始めて感じたことは…… 確かに臭いね。

  ちょっと想像していたものと違った。

  すぐに慣れちゃったけど。

  『それを臭いフェチというのではないか? 』

  え~ 違うよ。

  確かに、私の体はマンガと同じように触手を身に纏うけど、体は臭くないモン。

  『いや、お前の変身後は思っている以上に凄いぞ』

  え? それって姿の方だよね?

  もしかして臭い!?

  『どちらもだ。 あれだけの粘度の高い愛液を拭き出しておいて匂わないわけないだろ。 人間を喰らった後などは特に酷い』

  それは人としていかがな物かと……

  気がつかなかったけど、あの触手ってそんなに臭いんだ。

  『勘違いしているようだが、お前は触手を身に纏っているわけではない。 あれはお前の体そのものだ。つまり変身後のお前は凄まじい淫臭を自ら放っていると思っておけ』

  ショック……

  そんな最低なやり取りを頭の中でしていると剣道場の前に到着した。

  今日は顧問が出張で居ないため自主練習と聞いている。

  私は、更衣室で道着に着替えると防具を抱えて道場へ入った。

  「あれ? 今日は一人か」

  聞き慣れた声で私は振り返る。

  そこには剣道部の主将である真白先輩が立っていた。

  「……」

  私は黙ったまま彼を見つめる。

  「ん、どうかしたか?」

  「いえ、なんでもありません」

  私は目を逸らし床に座ると防具の紐を解きながら続けた。

  「聡美は体調不良みたいで、今日は学校を休んでいます」

  「そうか。 心配だな」

  先輩はそう言い残して去って行った。

  私は彼の後ろ姿を目で追いながら、先輩の体内を透視する。

  『入ってるな』

  頭の中で声が響く。

  先輩の体内に、肉眼では見ることすら出来ない小さな欠片が根を張っている。

  (でも先輩は凶暴化してない。 どうして?)

  情報素子の破片が体内に入り込むとその体を乗っ取り、自己増殖のために性欲剥き出し大魔神になる。

  私…… いや、昨日の人達のように。

  でも先輩はその片鱗どころか、どうみても普通の人間だ。

  『あれは、まだ生きているからだ』

  (どういう事?)

  『昨日の者達は死後に寄生が発現した。 だからすぐに凶暴化へ進んだんだろう』

  なるほど。

  つまり生者に寄生した場合は、凶暴化まで時間がかかるということか……

  『覚醒する前に喰らっておいた方が楽だな』

  (殺さずに情報素子だけ取り出すことは?)

  『無理だ。 お前にも見えただろ、アイツの中に入った破片は脳に入り込んでいる。 時期に乗っ取られるだろう』

  先輩はとても優しい。

  頭も良く、確か学年でも成績は上位だったはず。

  スポーツも万能、剣道は県内トップ3に入る程の腕前だ。

  周りから頼りにされ、皆から好かれ、誰もが憧れる存在。

  欠点などない絵に描いたような優等生。

  そんな人が……

  (じゃ、仕方ないね)

  私は手ぬぐいを被り、その手に小手を填めると竹刀を持って立ち上がる。

  先輩が助かる方法があるならそうするけど、ないなら仕方ない。

  『随分と素直だな』

  「約束だから。 私は私のするべき定めに従うだけ」

  私は、何故か口から垂れてしまった涎を小手を填めた手先で拭った。

  クンクンッ……

  鼻をヒクつかせ取り敢えず匂いを嗅いでみる。

  う~ん、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ臭うけど、まぁ…… 普通かな。

  (ね?)

  『……』

  何故か情報体が黙っているのが気になるが、私はいつも通り素振りを始めた。

  (あれ? 竹刀が凄く軽い。 それに全然疲れを感じない)

  私は不思議に思いながらも、ひたすらに竹刀を振り続ける。

  普段より早く、そして力強く竹刀を振ることができる。

  『昨日言っただろ、お前はもう人ではない。 全速力で素振りをしながら地球を一周しても汗すらかかないぞ』

  そうだった。

  私は人間じゃないんだった。

  この体でいると、つい自分を人間だと勘違いしてしまう。

  「おい美保、今日は凄いじゃないか」

  先輩が私に声をかけてきた。

  私の動きを見ていたのだろう。

  「私、こう見えてやる時はやる子なんです。 私の本気は凄いんですよ?」

  「ははっ、そうか。 今度手合わせ願いたいな」

  先輩が嬉しそうに笑う。

  私が真剣に素振りを頑張ってしているのだろうと勘違いしているようだ。

  お世辞にも剣の才能があるとは言えない私が一生懸命素振りをする姿が嬉しいのだろう。

  でもね、先輩。

  私、先輩が足元にも及ばないほど強いんですよ?

  「そう言えば先輩と試合ってしたことないですね。 今からでもやりましょうか」

  「流石に顧問がいなくても今は部活中だぞ。 男子と女子の対戦は禁止だ」

  先輩は困ったように笑う。

  それはそうだ。

  男子の主将が女子と試合なんかしてたら、何を言われるかわかったものじゃない。

  「だったら部活が終わった後、今日の放課後とかどうですか? 私、先輩とはいつか交えたいと思っていたので」

  「そうか。 うん、今日のお前の素振りを見て興味が湧いた。 じゃ、放課後にまた」

  私は小さくお辞儀をすると、先輩はその場から去った。

  『上手い誘いだな』

  (でしょ。 こう見えても恋い焦がれる女の子ですから)

  『雌型の戦闘生物の間違いだろ』

  (確かに。 あはっ♪)

  私は放課後に行われるであろう激しい交戦に胸躍らせ、面の下でニヤリと不敵な笑みを浮かべると再び素振りを始めた。

  素振りの動きに合わせ、袴の下から透明な液体がポタポタと垂れ落ちてくる。

  汗などかくはずのない私の体から流れ出たそれは、粘つく糸を引きながら床を塗らしていった。

  ◇◇◇

  部活終了後。

  道場には私と先輩の二人だけとなった。

  床に座り精神統一をしている先輩の姿を見ながら、私は防具を身に付けていく。

  稽古後の先輩の道着や防具はすでに汗でしっとりと濡れている。

  『お前も少し合せたらどうだ? あれだけ動いておいて汗もかかないというのは流石に不自然だろ』

  (しょうがないじゃん。 汗かかないんだし)

  直後、私の体からネバァとした液体が溢れ出た。

  それは道着を湿らせ、防具の隙間から滲み出てくる。

  (お~)

  『猛稽古後、1日寝かせた汗と同じ物をお前の道着と防具に染み込ませてやった』

  私の体からモワッと湯気が立ち上り、かなりの臭気が鼻を刺激する。

  (いやいや、ちょっと臭すぎだよ。 これ、1週間くらい洗ってない時の臭いじゃん)

  『お前の稽古後は毎日こんな感じだ』

  最悪……

  私は自分の臭いに少しだけ後悔しながらも面を被る。

  そして、小手を填めた手で竹刀を握り締め立ち上がった。

  「お待たせしました先輩」

  「準備できたか。 ん? お前、結構汗かいてたんだな。終わったらちゃんと防具干しておかないと、その匂い取れなくなるぞ」

  先輩は笑いながらそう言ってくる。

  やっぱ私って匂うんだ……

  人間の姿の時でも臭いなんて私って一体……

  「さて、まずは軽くお前の腕を見せてくれ」

  先輩はそう言いながら竹刀を構えた。

  「あの、その前に先輩にお話があるのですが良いですか?」

  「何だ?」

  私はゆっくりと歩み寄ると先輩の目の前で止まった。

  二人の面が触れそうな距離。

  「実はですね、私は人じゃないんです」

  「はあ?」

  先輩の顔に困惑の色が浮かぶ。

  当然の反応だ。

  いきなりこんなことを言われれば、誰だって戸惑うだろう。

  そんなことは私でも分かる。

  だから証拠を見せないといけない。

  私は先輩の持つ竹刀を、小手を填めた手で掴むと一気に握りつぶす。

  「え?」

  驚く先輩の顔を見ながら、私は顔を更に近づける。

  ゴツン

  先輩と私の面がぶつかり金属音が鳴り響いた。

  「先輩も凄く汗臭いですね。 でもこの臭い、私嫌いじゃないです」

  私は先輩の面の両側を小手を付けたままの手で挟み、顔を押さえつけた。

  目を見開いた先輩の顔が面越しでもよく見える。

  「お前、何しているんだ。 離れ── え!?」

  先輩が私から離れようと足を一歩後ろに下げるが、頭が固定されたように動かない。

  私はニコリと微笑むと、下腹部に力を注ぎ込みながら口を開いた。

  「急に動いたら危ないですよ。 足も固定しましょう、ふふっ」

  ヌチャ ニュルッ……

  足下から聞こえた音に先輩の視線が下がる。

  床に赤黒い紐のようなものが這い、先輩の足を絡め取ろうとしていた。

  「なんだこれ…… ひっ!」

  それを見た先輩が短い悲鳴を上げる。

  「触手って知ってますか?」

  すでに先輩の足には無数の触手が絡みつき、彼の動作を封じるように固定していた。

  先輩はなんとか抜け出そうと抵抗するが、触手はビクともしない。

  彼の目線がヌメヌメと動くその触手の出所を追い、私の袴の下へと辿り着いた。

  「この触手、私の体の一部なんです。 私のオマンコから出ているんですよ。 こ~んな風に」

  ドヴァァッ! ビチャビチャ!

  私の袴の下から一気に大量の触手が噴き出し、先輩の体を巻き付けると彼の体を更にに私の方へと引き寄せた。

  ガツンッ!

  先程よりも強く二人の面がぶつかり合う。

  「お、お前…… 何なんだよ!!」

  恐怖に震える先輩の表情を見て、思わず私は口元が緩んだ。

  あぁ、なんて素敵な表情なんだろう……

  もっと近くで見たい。

  その気持ちに私の体が反応する。

  ズルッ ズリュズリュ……

  私の首が伸び、顔面が自分の面金に当たりゆっくりと食い込んでいく。

  グチュグチョ……

  面金の隙間から私の顔が押し出されながらはみ出した。

  「あ…… うわぁああ!」

  先輩の悲鳴と驚く表情を見ながら、私の顔が“ところてん”の付き器で押し出されたかのように面金を通り越す。

  私の首はそのまま伸び続け、今度は先輩の面金に私の顔が食い込んだ。

  「せんぱ~い」

  グチュグチョ……

  ついに私の顔は先輩の面の中に入り込み、彼の顔に鼻先が触れ合うまで近づいた。

  「あはっ♪」

  「うわー! あぁああ!!」

  気が狂ったように叫び声を上げる先輩。

  私は口から触手と化した舌を出して、彼の顔面をネットリとした粘液で舐め回した。

  「先輩の汗、とっても美味しいです。 それと面の中、凄い臭い。 想像以上ですよ、あははっ♪」

  「助けて!! 誰か! うわー!!」

  先輩が助けを求めるが、誰も来る気配はない。

  私は、触手の1本を先輩の袴の中へと入れ込んだ。

  クチャッ!

  先輩のペニスを触手で巻き付け、フェラチオをするようにジュポジュポと擦り上げる。

  ビクンッ! 先輩の体が大きく震えた。

  「な、何をしてるんだ……」

  「男と女が密室で二人きりなんですよ? する事は一つしかないと思いませんか?」

  私は触手を激しく動かし、彼のペニスに刺激を与え続けていく。

  淫靡な水音と共に、先輩が悶える姿をじっと見つめ続けた。

  しかし、いくら動かしても、強制的に私の体液を流し込んでも、先輩のペニスが大きくならない。

  『これが人間のサイズの限界だ。 これ以上は大きくならないぞ』

  (うそ! 人間ってこんなに小さいの!?)

  あっ、そうか。

  昨日の人たちは情報体に寄生されていたからあのサイズだったんだ。

  こんなサイズじゃ私の体、満足できないよ。

  (寄生体の力を発現させれば大きくなるかな?)

  『たぶんな』

  だったら……

  「先輩、一回死んでください♪」

  私は先輩の眼前でそう言いながら微笑んで、口を大きく開く。

  喉の中を限界まで押し広げて、何かが這い上がってくる快感に私は白目を剥いて悶える。

  「い、嫌だ! 死にたくな───」

  グエーッ!

  私は先輩の命乞いを最後まで聞く事なく、口から触手を吐き出した。

  触手が先輩の眉間を貫く。

  後頭部から先端が尖った触手が飛び出し大量の血が噴き出した。

  『このまま覚醒させずに喰らった方が早くないか?』

  頭の中でそんな声が聞こえる。

  分かってないな、もう。

  「それじゃ私が楽しめないじゃん。 私はこの体でたっぷりと先輩を感じたいんだもん」

  『そうか…… まあ好きにしろ』

  私は先輩の顔面から触手を引き抜き、彼の面の中から自分の顔を抜く。

  「ぷはぁ~」

  『たっぷりと臭いを堪能できて良かったな。 臭いフェチめ』

  そんな失礼なことを言ってくる。

  「フェチじゃないモン! 先輩を感じただけだし!」

  『殺したいほど愛していた、と言うやつか』

  私の足元で先輩が頭から盛大に血を噴き出しながら倒れている。

  当然だ。

  頭に穴を開けられ脳みそを吹き飛ばされても生きている人間などいない。

  「来るかなぁ~」

  私はそわそわしながら先輩を覗き込む。

  自分の面から顔が突き出しているのが変な感じだ。

  『始まるぞ』

  直後、先輩の体が痙攣を始め股間が膨らみをましてくる。

  凄まじい痙攣を起こしながら、垂れと袴が大きく浮き上がって山を作る。

  「あはっ! 来た来た♪」

  私は先輩の防具を剥ぎ取って袴をずらし、中に潜んでいた巨大なペニスを露にさせた。

  長さは30センチ以上、太さも10センチはあるだろうか。

  弓なりに反り返り、太い血管が根を張るように浮き上がっている。

  私の触手が擦り上げていたお陰か、先端部分からはすでに透明な汁がにじみ出し、強烈な臭いを放っていた。

  「凄い大きい! それに臭いも凄い! あんなの入るかなぁ♪」

  激しく痙攣を起こしていた先輩の体がピクリと止まり、白目を剥いてゆらりと起き上がる。

  首が座っておらず頭が面ごとグラグラと揺れているが、その目は私をしっかりと見つめていた。

  「あぁー…… 美保。 雌の臭いだぁ」

  「私が分かるんですね先輩。 そうですよ私は美保。 雌ですよ。 子宮を持った雌ですよ♪」

  あ~ たまんない。

  もう待ちきれない!

  先輩のいきり立つ巨大なペニスと、漂ってくる強烈な精臭に私の子宮が疼く。

  「あはっ♪」

  私は全身のあらゆる場所から一気に触手を突き出し、身につけている防具や道着を吹き飛ばすと触手との融合を始めた。

  ゴキゴキッと骨が折れるような音が内側から鳴り、体が急激に変化していく。

  「変身が…… ぐぉぼっ! 気持ぢいい゙ぃ~ !! ぐぉぼぼぼっ!! グギャッ!」

  口から吹き出す触手の勢いで私の顔面が吹き飛び、首がズリュッと上部へ伸びていく。

  それでも気が狂いそうなほどの絶頂を全身で感じながら、聞いたこともないような肉体の変化する音を上げて、私は人間からかけ離れた異形へと変貌を遂げた。

  グジュッ…… ジュブッ…… グジュ……

  滑り気のある音を上げ、一面を触手が埋め尽くした。

  私の体が昨日よりも進化している。

  無数の触手が体から生え、その先端には鋭い爪や口が生えている。

  腕や足といった区別すらないどころか、人で言う所の頭部ですら存在していない。

  本来、首であった物は極太の触手へと代わり、その先は丸い形状をした大きな穴と、左右に電球のように光った感覚器官が2つ付ついている。

  辛うじて口と目のついた頭部のようにも見えるが、それは全く別の器官。

  至る所に出現した無数の小さい目が私に人外の視界を与えてくれる。

  「ふふっ…… ふへへッ! ぐひゃひゃはははッ!!」

  強烈な絶頂が絶えず全身を貫く。

  首の先端に付いた巨大な穴から、淫臭を放つ粘液が糸を引いてドロッと溢れ出し噴き出した。

  それは巨大なペニスを受け入れる為に作られた新たな器官。

  首の先端に付いた口は、巨大な膣穴として生まれ変わったのだ。

  つまり、この長く伸びた首は膣。

  私は口から愛液を噴き出し垂れ流している。

  これならどんなに太くて長いペニスでもこの身で受け入れることが出来る。

  「凄い…… 凄い! この体凄い!! あはははっ♪」

  強烈なメスの臭気を全身から発し、口からは凶暴な淫臭を放つ愛液を噴き上げる。

  覚醒したオスの体を愛撫するための触手。

  最高の興奮状態へと誘う臭気。

  そして、その肉棒を全て受け入れるための巨大な膣。

  もはや人としての原形を留めない程までに進化した自分の体を眺め、私は全ての触手から高濃度の愛液を先輩に向けて噴き出した。

  「雌の臭いぃ-!」

  情報体の欠片に完全に寄生された先輩が、私の放つ淫臭に刺激され襲いかかってきた。

  私は触手を伸ばし、先輩の両手両足に巻き付け動きを止める。

  先輩は力任せに振り払おうとしているけど無駄だ。

  所詮人間。

  今の私は先輩の力など虫けら同然。

  それだけ次元の違う存在なのだ。

  私は長い首を先輩の眼前まで伸ばしてもたげると、秘所となった口の中から触手を伸ばし先輩の口を無理やり広げる。

  「先輩のために私の秘所をこんなに大きく長くしたんです。 だから先輩ももっと大きくなってください♪」

  そして、大量の愛液を先輩の口の中へ噴き出し流し込んだ。

  ドプッ ドブッ……

  「んぷっ! ぶぼっ!」

  「あははっ♪」

  苦しみに歪む先輩の無様な顔を見て思わず笑ってしまう。

  糊のような粘度を持った大量の愛液が先輩の喉に引っかかり、気管に入ったのか呼吸困難に陥っている。

  私は粘液を流し込みながら触手を使い先輩を持ち上げると、いきり立つペニスを目の前に持ってきた。

  私の愛液の効果によりペニスがボコボコと波打ちながら更に膨張を始める。

  凄まじく太い血管が浮き出て脈動しながらより太く、より長く成長を続け巨大化していく。

  「あ~ 凄い…… 流石先輩! 立派ですよ♪」

  私はその巨大なペニスを口に突き入れ、膣と化した長い首にゆっくりと挿入していく。

  グチュグチャ……

  首の長さを収縮させて先輩のペニスに刺激を与えていく。

  ミチミチッ!

  首の太さを変えてペニスを締め上げる。

  ズチャズチャ グチョグチュ!

  首が激しく収縮を繰り返す度に愛液が私の喉…… いや膣の中を満たし卑猥な音を奏でる。

  先輩の顔が苦痛とも快楽とも言える表情を浮かべていた。

  凄い!

  昨日感じた快感が究極と思っていたが、比較にならないくらい凄い!

  私の体の全てが性器になった気分。

  いや、間違いなくこの体は絶頂を貪るためだけに進化した全身性器。

  私を構成し形作る全ての器官が性感帯であり、細胞の一つ一つで絶頂を感じる。

  「ぎもじいぃ~」

  気持ちよすぎて頭がおかしくなりそうだ。

  いや、すでにおかしくなっている。

  だって私の思考は、人とは思えないほど醜悪なものに変わっているのだから。

  性欲を満たすこと以外はどうでもいい。

  先輩が死のうが知った事ではない。

  今の私は、ただひたすら絶頂を求めて動くだけの肉塊。

  私はただこの瞬間を、この快感を味わい続ければそれで良い。

  グチャグチャグチュグチュ!

  首の伸縮速度を上げ、先輩のペニスを責め続ける。

  より刺激を求め膣内で無数の細い触手を作り出し、先輩のペニスに突き刺すと直接愛液を流し込んだ。

  「ぐぁあ! がぁぁあああ!」

  先輩が絶叫を上げ腰を大きく突き出す。

  ついにその時が来た。

  ビュルル! ドピュ! ブシャー!

  大量の精液が噴き出し、元は胃であったはずの子宮へと流れ込んでくる。

  ビュビューーッ ドピュッ! ドプゥウウッ!

  凄い量!

  すごく濃い!

  あはっ! 美味しい! もっと欲しい!

  私の子宮は大量の精子を飲み込み、さらに多くの精液を求めて首の伸縮を繰り返し、射精したばかりの敏感な亀頭を締め付ける。

  先輩の腰がガクガクと震え、再び大量の精液を吐き出す。

  ミチッ! ミチミチッ!

  膣内の触手でさらに激しく締め上げて精液を絞り出す。

  先輩は、何度も何度も痙攣を起こしながら精液を吐き出した。

  しかし、それは永遠に続くはずもなく、徐々に先輩のペニスは小さくなっていく。

  「あ~あ。 終わりか、残念」

  私は先輩のペニスを膣圧で押しつぶし、噛みちぎって胃に…… いや子宮へ送り込む。

  そして拘束していた触手を解いて、用のなくなった先輩を床に放り投げた。

  「気持ちよかったですよ、先輩。 あはっ♪」

  先輩はもう声すら出さず、ただ痙攣を続けている。

  ペニスを噛みちぎられた股間から真っ赤な血をドクドクと噴き出しながら。

  『おそましいな。 これのどこが性交なんだ?』

  「え~ 人外ならこの位は普通じゃない? こんななりなんだし、やっぱり姿に見合った行為をしないと」

  『まぁ…… 確かに…… 凄い姿だな』

  私の体は凄いことになってしまった。

  昨日はギリギリ人間に近いフォルムだったのが、今では人をベースにした生物とは呼べない異形の姿になっている。

  全身から生えた無数の触手は私の腕であり足、そして口。

  長く伸びた膣と化した首。

  顔は人間の原形を留めないどころか、膣口になっちゃってるし。

  っていうか、顔じゃないし。

  変身中に顔面は吹き飛んじゃったんだよね……

  「でも…… 素敵」

  どう表現したら良いのか分からないほどの力が体中から溢れ出てくる。

  体は常に絶頂状態。

  ちょっと気を抜くと私の理性が簡単に壊れちゃう。

  いや、壊れてるか。

  ま、考えた所で仕方がない。

  私は人間じゃないんだし。

  存在自体が人外へと変わってしまったのだから。

  それに、私の意思と関係なくこの体は進化をし続けていくのだから。

  そう、進化を……

  私は先輩を取り込んだことで更なる進化を遂げた。

  「あはっ♪」

  全身の触手からさっきよりも粘度の高い愛液が噴き出し、周囲に飛び散る。

  「じゃあ、最後のお楽しみ! さくっと先輩を食べちゃおう!」

  『そ、そうだな』

  何で地球外生命体の方が引いてるの?

  納得いかないが、私は先輩を触手で優しく抱きしめ包み込む。

  そして……

  「いただきますっ♪」

  バキボキグチャッ!

  先輩の体が私の中で潰され圧壊する。

  『おぉ……』

  「何よ、何か言いたいことでもあるの?」

  『いや、私が言うことでもないが随分と躊躇ないなと思ってな』

  そうかな?

  昨日もこんな感じじゃなかったっけ?

  私は触手で包み込んだ先輩をすり潰しながらその汁を体内で啜り吸収し続ける。

  『まあ欠片は回収できたから問題ない』

  「先輩って凄く美味しい♪」

  『それは良かった……』

  一片の肉片も、一滴の体液も残すことなく先輩はこの世から消えた。

  満足!

  「じゃ、帰ろっか」

  『いや、その体で外に出るのはマズいと思うぞ。 変身を解け』

  あっ、そうだった。

  私は変身を解くため意識を集中する。

  ボコボコグチョ!

  全身の触手が私の体に取り込まれ、次第に人間の姿へと戻っていく。

  「ふぅ~」

  私は自分の体を触り感触を確かめた。

  うん、大丈夫みたいだ。

  顔もちゃんと復元されてる。

  でも……

  「つまらない体……」

  絶頂を求め、秘所から太い触手を出し入れして膣壁を擦り上げても、大した快感が得られない。

  『人間の体ならそんなものだ。 それでもこの刺激なら普通の女は一瞬で死ぬぞ。 お前が規格外なだけだ」

  「そうだっけ、こんなもので死んじゃうんだ。 人間って弱っ」

  私は何本もの太い触手を秘所から出し入れしながら道場内を見渡し、苦笑いの表情を浮かべた。

  「これどうしよう……」

  大量の血痕と、滑った液体で道場の中は酷い有様だ。

  しかも、この臭い。

  普段でも臭い剣道場が、強烈な生臭さで上書きされてしまっている。

  私にはこの臭いがとても心地よく…… いや別に感じないけど、人間には耐えられないだろう。

  『教師を操って掃除でもさせておけ』

  「お~ 良い考え! 流石、地球外から来た人知の力を超越した情報体」

  『褒めたつもりか?』

  ◇

  私は剣道場を後にして職員室へ向かった。

  部屋の中には10人ほどの教師たちが居て、残務処理をしているようだ。

  「何だ、まだいたのか。 下校時間は過ぎてるぞ」

  「少し掃除が必要になってしまいまして」

  私は笑顔で答える。

  そして、目を瞑り意識を集中させ大声で叫んだ。

  「私の代わりに皆さんで剣道場を綺麗に掃除をしておいてください!」

  教師達が一斉に私の方へ視線を向ける。

  直後、私の目が真っ赤に光り頭から情報操作の思念が放たれる。

  私に寄生する情報体が、信号のような言葉みたいな理解できない物を教師の頭に書き込んでいる。

  2~3秒くらいだろうか。

  教師達は目をうつろにしながら、ぞろぞろと職員室から出て行き剣道場へと向かっていった。

  「凄いね」

  『あの程度造作もない。 人間の意識など欠陥品もいいところだ。 よくこの程度で文明を築けたもんだ』

  ホントだよ。

  人間なんて欠陥だらけの生き物だ。

  力は弱いし、理性で押さえつけられて本能が解放できない。

  こんな体じゃ、私の性欲も食欲も満たすことが出来ない。

  つまんない生き物。

  『気が合うな。 私も同じ意見だ』

  「ふふっ♪」

  私は笑いながら誰も居なくなった職員室の扉を閉めた。

  『では戻ろう』

  「あっ、その前に寄りたい所があるんだけど」

  『……』

  私の声は聞こえているはずなのに、寄生体は返事をせず沈黙で答える。

  「聞いてる?」

  『言わずとも分かる。 お前は本当に好きだな……』

  へへっ。

  今日は[[rb:淫女 > いんにょ]]先生の新作 “触手[[rb:淫装 > いんそう]][[rb:遊戯 > ゆうぎ]]” の発売日だ。

  『聡美とやらの見舞いに行く約束はどうするんだ』

  あ~ そういえばそんな約束をした気がする。

  でも……

  「なんで私が人間なんかの心配をしなきゃいけないの? あり得ないって」

  私はクスクス笑いながら学校を後にした。

  ◇◇◇

  ─── 同時刻・聡美の家

  「大丈夫? 聡美」

  クラスメイトの佳奈が心配そうな顔でベッドを覗き込む。

  布団を頭まですっぽりと被り、その体はどこか震えているようだった。

  「どうしたの? 昨日、何かあった?」

  「実はね……」

  聡美は布団を鼻の上まで少し下げ、目だけを出して佳奈へ顔を向けた。

  その目を見た聡美は、口元を手で覆い驚きの表情を浮かべる。

  「どうしたの!? その目!」

  聡美の目が真っ赤に染まっていた。

  充血などではない、明らかに異常な程に赤く変色している。

  「目だけじゃないの」

  聡美は布団をバサッと取り去ると、ベッドから上半身を起こした。

  そして、顔を覆っている髪を掻き上げ佳奈に顔を晒した。

  「私、こんな顔になっちゃった」

  口が大きく正円のように開き、細かい歯が口の周りを取り囲むように生えている。

  とても人間の口とは思えないその顔を見た佳奈の顔色が、みるみる真っ青になっていく。

  「ひっ!」

  佳奈は怯えた表情で後ずさった。

  しかし、すぐに壁にぶつかると全身を震わせ、涙を流しながら聡美を見つめる。

  「私どうしちゃったのかな…… 人間じゃなくなっちゃったのかな?」

  顔を引き攣らせている佳奈に聡美が四つん這いで近づいていく。

  ぼっかり丸く開いたその口は、閉じることが出来ずに涎を垂らし、周囲を囲む歯と共にウネウネと動いている。

  「こ、来ないで…… こないでー!!」

  「そんなこと言わな─── グォエッ!!」

  直後、聡美の口の中からイソギンチャクのような細い触手が佳奈の顔に向けて飛び出し、その顔を包み込んだ。

  「きゃぁぁああ!」

  佳奈の絶叫と、グチュグチュと水気のある音が部屋に響き渡り──

  ◇

  この日、一人の少女が行方不明になった。

  北条佳奈。

  彼女は学校を出た後、近くの洋菓子店でケーキを買った姿を最後に消息を立つ。

  大規模な捜索にもかかわらず、彼女が見つかることはなかった。

  すでにこの世から跡形もなく消えてしまったのだから───

  つづく

  [newpage]

  [chapter:第3話「[[rb:触変 > しょくへん]]」]

  私は今興奮の絶頂に包まれている。

  全身が疼く。

  胸の高鳴りを抑えきれない。

  少しでも気を緩めたら、体中から触手を突き出して、周囲の人たちを襲ってしまうだろう。

  別にそれでもいいけど、今は我慢だ。

  私は肩から提げた鞄をギュッと握りしめ家に向かって走り続ける。

  この中には、夢と希望と浪漫がいっぱい詰まってるのだ。

  『大袈裟だろ……』

  (そんなことないよ。 これ発行部数少ないから入手できただけでも奇跡なんだよ)

  そう、鞄の中に入っているのは[[rb:淫女 > いんにょ]]先生の新刊 “触手[[rb:淫装遊戯 > いんそうゆうぎ]]” だ。

  一秒でも早く家に帰って読みたい。

  『本屋でパラパラと立ち読みしただろ。 お前の持っている他の本と同じように見えたが』

  「はぁ~……」

  私は呆れたような溜息をつく。

  分かってないな~

  (何を見てたの? 淫女先生初の触手鎧だよ? ヤバいって)

  『……。 それは私の問いに対する返答になっていないのだが』

  全く。

  確かに触手物のエッチいマンガで間違いはない。

  でも、今回は触手を使って悪と戦う少女騎士が主人公の物語なのだ。

  触手が悪でなく善に回った。

  これは革命に近い。

  そして重要なのは、今の私と状況がとてもよく似ているということ。

  私は主人公と同じく、触手と融合した体で世を守り戦う正義の美少女ヒロインなのだから!

  『……』

  (何よ、文句あるの?)

  『何も言っていないだろうが』

  (ま、地球外生命体には分からないよね。 人間の感性なんて)

  私は頭の中で悪態をついた。

  『……。 この乱れは何だ…… 初めてのパターン、回路が焼き切れそうだ』

  どうやら地球外生命体にも人間の感情が芽生えてきたらしい。

  (まあ、それはどうでも良いんだけど…… ちょと臭うよね)

  周囲から漂う僅かな精臭。

  鼻を通じてではなく、人には存在しない別の器官で感じ取った匂い。

  『そうだな。 家に帰ったらまずは風呂に入ることだ』

  (そっちじゃないよ!)

  こいつ、レディーに対してなんて腹の立つことを。

  『レディーかどうかは置いておくとして…… 東に1キロといった所だな』

  「そのくらい、分かってますぅ」

  私は周囲に認識改ざんの思念を放つと、触手を体から突き出して走り出した。

  沢山の足…… いや触手で走るその姿は結構気色悪い。

  『あまりスピードを出すな。 認識改ざんが追いつかない』

  (え~ 頑張ってよ。 逃げられたら面倒だし)

  私はそう言いながらも触手を器用に動かし、高速で移動を続ける。

  『この程度の処理すらギリギリとは今の自分が情けない』

  (だったら欠片をもっと集めないとね!)

  今でも凄い知識と力があるのに、欠片を全て集めて完全体になたらどんな事になるんだろう?

  『時期お前にも分かる。 期待して待ってろ』

  それは楽しみだ!

  ◇

  急いだお陰か、5分も経たないうちに3キロ程離れた目的地付近に到着した。

  私は全身から突き出していた触手を仕舞い、臭いを探りながら人気のない路地裏に入り込んだ。

  この辺なら人が入ってくることもないし、安心して楽しめそうだ。

  「きゃー!!」

  32メートル先から女性の悲鳴。

  私は踵から触手を突き出し、それをバネにして一気に跳躍する。

  路地を器用に曲がり、その先で…… 見つけた!

  尻餅をついた女子大生風の女性を見下ろすように立っている男の姿。

  男は巨大なペニスを股間から突き出し、女性に覆いかぶさろうと、ゆっくりと近づいていた。

  間違いない、情報体の破片に寄生された男だ。

  私は勢いよく触手を伸ばし彼女の体に巻き付けると、そのまま一気に引き寄せ自分の後ろへと運んだ。

  女性は訳も分からずキョトンとした顔を浮かべている。

  「ちょっとそこで待ってて、逃げられると面倒だから少し拘束するけど」

  数本の細い触手を放って、彼女を固定して動けないように封じた。

  「……」

  『どうした?』

  (私って変身後は臭うんだよね?)

  『それはもう凄いぞ』

  これでも私は女の子、臭いと思われるのは心外だ。

  見られたからには後で殺すけど、私は彼女の鼻に触手を突き入れておいた。

  これでよし!

  『……その配慮は素晴らしいが、どうせなら目も隠してやった方が良くないか?』

  「最後に私の雄姿を目に焼き付けておいてもらおうと思ってね!」

  私は男に向き直り、ある一点に視線を向ける。

  人間としてサイズの限界を超え、天高くいきり立つ極太ペニス。

  「先輩よりも小さいけど、まあ合格。 私を全力で楽しませてね。 あはっ♪」

  私は変身を“解いた”。

  本来の姿に戻るために。

  全身から触手が吹き出し私の体を包むと、ゴキゴキと音を上げて首が伸びていく。

  「ひぃ!!」

  後ろで拘束されている女性の悲鳴が聞こえる。

  まぁ無理もない。

  長く伸びた首を後ろに回すと、女性が私を見て青ざめていた。

  私は首の先端に付いた顔もたげ、彼女に向けて笑いかける。

  うん、人外の化物っぽくていい構図だ。

  「一応守るけど、殺しちゃったらごめんね。 あはっ♪」

  彼女は絶望の表情をしている。

  でもね、ここからが私の一番の見せ場だから!

  直後、口から膨大な触手が噴き出し私の顔面を吹き飛ばした。

  顔面がなくなった頭部がボコボコと変形し巨大な膣口へと変わると、全身に絶頂が走る。

  口の中からは糊のような愛液がドプッと吹き出し、周りの壁や地面にへばり付いて凄まじい淫臭を放った。

  (ふぅ…… やっぱりこれ、最高に気持ちいい~)

  『それは良かったな』

  私は変身した姿を彼女に見せつける。

  恐怖に震えたその表情、合格です。

  でも、この人凄いな。

  人間のくせに私の悍ましい…… いや、格好いい変身を見ても気絶しないなんて。

  『おい、お前の相手はそっちではないぞ』

  (分かってるよ)

  私は目的の男性へと首を回して向き直った。

  「お待たせー♪ んじゃ、いっくよ~!」

  私は全身から生えた触手を一気に伸ばし男性の体を絡め取ると、そのまま持ち上げて引き寄せる。

  私の膣口の目の前に巨大なペニスがくると、ゆっくりと膣と化した首の中へ咥え込んでいく。

  あ~ 最高に気持ちいい……

  全身から突き出た触手の先端から愛液が噴き出す。

  ニュルッ…… グチョ グチュッ……

  いきり立つ太くて長いペニスを首を収縮させて刺激を与えながら快楽を貪る。

  ゴポッ ゴポッ……

  首の中が愛液で満たされ、収縮する度に口から粘液が溢れ出す。

  男はとてつもない刺激に悶えながら、腰を突き出し快感を得ようと必死になっていた。

  そんな男の動作に私は満足すると、さらに強く締め付けペニスに無数の触手を打ち込み愛液を流し込んだ。

  「逝っちゃえ!」

  ビクッ! ドバァッ!!

  ペニスが大きく跳ねた瞬間、男が射精を始め大量の精液が私の子宮に流し込まれる。

  私はペニスを更に奥深くへと突き入れ、締め上げながら刺激を与え更なる射精を促した。

  ビュルルルーー!

  (あ~ やっぱりぎもぢいい゛~ んあっ♪)

  あまりの気持ちよさに、首に力が入ってしまう。

  ギュウゥゥ…… ビチャッ!!

  肉が潰れる音が響き、彼の股間から血が飛び散った。

  「あっ、やべ。 やっちゃった!」

  まだ始めたばかりなのに…… 男のペニスを膣圧で押し潰してしまった。

  男の顔を見ると、白目を剥いてすでに絶命している。

  こんなので死んじゃうなんて弱すぎるよ~ もっと楽しみたいのに。

  『やってしまったものは仕方がない。 とりあえず喰っとけ』

  (あいよ)

  私は男を触手で隙間なく包み込むと一気に押しつぶす。

  ボキベキッ グチャッ!

  私の体内にジュワッと広がる大量の体液。

  「うん、先輩の方が肉付きが良くて美味しかった」

  『そうか…… 取り敢えず欠片の回収は確認した』

  私は触手を引っ込め、人間体の姿へと戻った。

  と言っても、全身からは触手が垂れているし、首も結構伸びたままだけど。

  そんな中途半端な姿で、私は女性に近づき触手の拘束を解いた。

  「あ…… あなた一体…… この惨状は…… うっ!」

  彼女は急に腹部を押さえると吐瀉物を吐き出した。

  まぁこの惨状を見たらそうなるよね。

  仕方ない。

  気絶しなかっただけ凄いよ。

  『いや、その姿と臭いが原因だと思うぞ。 お前の体から放っている臭いで吐いたのだ。 これだけの臭いの中で気絶しなかったのは驚きだが』

  「……」

  臭い臭いって何度も言わないで。

  私は、中途半端な姿から完全な人間の姿へと戻る。

  これなら大丈夫。 たぶん……

  咳き込む彼女を横目に周りを見渡した私は、そこで信じられない光景を見てしまった。

  「あー!!」

  私の鞄が粘液塗れ!

  私の大切な本が!!

  鞄を開き、念のため確認してみる。

  ダメだ。

  買ったばかりの “触手淫装遊戯” がドロドロの粘液塗れになってる。

  その絶望的な光景を前に、私はガックリと頭を垂れる。

  「あ、あなた…… 一体何なんですか。 さっきのは一体……」

  女性が恐怖に満ちた顔で私を見つめている。

  (あの人の記憶を消しておいて)

  『喰わなくても良いのか?』

  もうそんな気力ないよ。

  今日はもうおうちに帰ってふて寝する。

  まあ寝れないんですけど……

  「多分だけど女性は脂身が多くて美味しくなさそうだし、食べたくない」

  『そうか』

  私は、無残な姿となった“触手淫装遊戯” を鞄から出して表紙を軽く指先で撫でる。

  ベチョッ

  凄まじい粘性のある液体が指に付着した。

  ダメだ。これ時間が経つと固まる系のヤツだ。

  自分の愛液で固まった本とか、手元に置いておくほど私は変態じゃない。

  まだ売ってるかなぁ~……

  『では、改ざんの思念を送───』

  「その本……」

  女性が私の持つ本を震えながら指を指している。

  私はギクッとして慌てて本を背中に隠した。

  やばい。

  取り乱していたけれど知らない人の前でこれは恥ずかしい。

  「あっ、これはその何というか…… あはは(早くこの人の記憶を改ざんしてぇ!)」

  『すぐやる』

  「それ、私の本」

  「え?」

  私の思考は停止した。

  私の本?

  いや、これはさっき私がお買い上げした本であってあなたの物では……

  「私、その本の著者で淫女って言います」

  淫女? この人、今自分のことを淫女って言った?

  淫女って淫女先生のことだよね?

  それに、この本を自分の著書だと言った?

  つまり…… この人は “触手淫装遊戯” を書いた淫女先生!?

  (あーーー!!! 改ざんストップッーー!!)

  『うるさい! 頭の中で騒ぐな!!』

  うそ、この人が淫女先生!?

  やばい、超可愛い。

  さすが淫女先生。

  こんなに若い人だったの!?

  洋服のセンスも凄く素敵。

  さすが淫女先生。

  「実は私、淫女先生の大ファンなんです!」

  「え? あっ、ど、どうも」

  淫女先生が震えながらぺこりと頭を下げる。

  「さっきの姿も先生の本に出てた触手融合体が参考でして、それであの、もしよかったらサイン貰えませんか? お願いします!」

  私は思いっきり頭を下げた。

  「えぇと……」

  先生は困惑気味に返事を濁している。

  そりゃそうだよね。

  いきなり襲われて、化物に姿を変えた女の子にファンだと言われても困るだけだよね。

  私はそっと顔を上げると彼女の目を見る。

  「うれしい…… 嘘みたい。 私の大好きな触手型クリーチャーが目の前に現れるなんて……」

  チャンス!

  これは淫女先生とお近づきになれる絶好の機会だ。

  逃してなるものか。

  私は体から触手を突き出して、空中でウネウネさせながら彼女に笑顔を向ける。

  「あ、あの触ってもいい?」

  「どうぞ。 “触る手”とかいて触手と読みます。 触手は触る物です」

  やったーーー!!!

  私は触手で彼女の手を握ると、それをゆっくりと動かして先生の腕に絡ませる。

  ヌルリとした感触に、彼女は顔を赤く染めて戸惑っていた。

  「なんなら “あなたの愛する触棒 ~for you~” のように優しく弄ってあげましょうか?」

  『弁えろ馬鹿』

  うぅ~、ごめん。

  私は触手を戻して、少し残念そうに彼女から離れた。

  淫女先生は不思議そうに私を見ている。

  そんな彼女を他所に、私は急いで鞄からノートとペンを探す。

  気が変わらないうちにサインをもらわないと。

  「あっ……」

  当然ノートは愛液塗れ。

  ガクッと項垂れる私の姿を見て、淫女先生が優しく微笑んだ。

  「少し時間ある? 私の家すぐ近くだし、もしよかったら」

  「え!? いいんですか!?」

  「助けてもらったんだと思うし、お礼させて」

  思わぬ形で淫女先生のお家に行ける事になった。

  でも……

  「あの、私は見ての通り人間じゃないですけど良いんですか?」

  「だったら尚更家に来て欲しいな。 こっちからお願いしたいくらい」

  えへへ~。

  人間辞めて良かったぁ~

  ◇

  先生の家は現場から10分ほどの場所にある5階建てマンションの最上階にあった。

  とても良い場所に住んでいる。

  「お邪魔します」

  「誰も入れたことがないから少し恥ずかしいな」

  先生は照れながらそう言って私を部屋に招き入れてくれた。

  憧れの先生のプライベート空間に入れる喜びで私の子宮…… いや胸が高鳴る。

  「うわ~」

  目の前には私のイメージ通りの、絵に描いたような漫画家の部屋が広がっていた。

  私は感動しながら室内を見渡す。

  凄い。

  壁中に見覚えのある触手達の絵がある。

  しかも、どの絵も見開きで使われたベストシーン。

  汚しも不自然な光も入っていない入稿前の生原画。

  凄い迫力。

  部屋中に張られた絵に目が釘付けになる。

  「はい、これ」

  淫女先生が私に1冊の本を差し出してきた。

  タイトルは触手淫装……

  「触手淫装遊戯!」

  しかも全店舗分の予約特典付き!

  「さっき汚れちゃったでしょ、だから」

  うぉ~! 嬉しい! 感激!!

  私は受け取った “触手淫装遊戯” を胸に抱きしめる。

  「あ、あの…… もし良ければサインを頂いても?」

  「もちろん。 お名前は?」

  「美保。 佐々木美保です!」

  「美保ちゃんね」

  淫女先生は本を持って机に向かい、サラサラとペンを走らせる。

  (これは凄いことだよ!)

  『そうなのか?』

  淫女先生はその素性を明かしていない。

  商業誌での連載は一切行っておらず同人誌一本。

  しかも流通は委託販売のみ。

  つまり、サイン会を含め顔出しは一切行っていないのだ。

  ホームページもBLOGもやっていないしSNSすら存在しない。

  それが私の為に、こうして目の前で直筆サインをしてくれている。

  これがどれほど凄い事か分かるかな?

  私は今、歴史の証人になっているんだよ。

  『……』

  それにしても随分と長いな。

  サインってこんなにかからないよね?

  「はい、お待たせ」

  そう言って先生が私にサインを書いたページを開いて本を手渡してくれた。

  「これ……」

  「自分で言うのも何だけど上手くかけたと思う。 どうかな?」

  見開きの空ページに、大きく触手型のクリーチャーのイラストが描かれている。

  『ほぉこれは凄い。 お前そっくりじゃないか』

  「これ私!?」

  私は渡されたイラストを食い入るように眺める。

  うそ、私ってこんなクリーチャーなの!?

  改めてみるとかなりヤバい。

  全身の触手から愛液を吹き散らし、首を長く伸ばして口に突き入れた肉棒を噛み千切っている姿。

  躍動感が半端ない。

  でも、さっき私はペニスを食いちぎってないよ?

  膣圧で押しつぶしたりはしたけど。

  でも、見ているだけで快楽を貪っている時の興奮が蘇ってくる。

  子宮が疼き、触手が膣を締め付ける。

  「んっ♪」

  『おい、押さえろ!』

  「え?」

  ブシャー!!

  私は思わず秘所から大量の触手を噴き出してしまった。

  ヤバい! スカートの下から触手が!

  「あっー! すみません!! 私人外なもので興奮するとつい!」

  『そんなヤツ宇宙を知り尽くした私でも、お前以外に見たことないぞ』

  頭の中の声を無視して私は必死に謝るが、先生は気にしていない様子。

  「気にしないで。 私も書いている途中でその…… ぬ、濡れちゃったし。 あはは」

  淫女先生は恥ずかしそうにモジモジとしている。

  エロい! そして可愛い!!

  私の粗相に併せて、恥ずかしい告白をしてくれた先生の優しさ。

  なんて素敵な人なんだろう。

  ◇

  それから私は先生と色々な話をした。

  9割は触手と淫魔の話だったけど……

  この人、本当に触手が好きなんだということが伝わってきた。

  商業のために触手本を書いているわけではない。

  愛しているから書いているんだ。

  だからこの人に私のことを知って欲しい。

  だって私は先生の大好きな触手を持った体なんだし。

  私は先生に全てを話した。

  隕石によって地球に飛来した情報体のこと。

  落下時の分裂で散った破片の影響で引き起こされた人間の凶暴化のこと。

  そして、私が寄生され遺伝子改造された元人間であったことを……

  そう、この星を守るため人を捨てて魔法少女ならぬ触手少女になって人類を守る決意をしたことを!

  そのモデルが先生の触手デザインである事を!!

  「そうなんだ。 私の書いたマンガのせいであんな姿に……」

  「はい。 私の中で最強の生命体は、先生の触手生物だったみたいです」

  先生は少し申し訳なさそうな表情を浮かべて続けた。

  「……たとえば、それが別の存在とかだったらそれがベースになったの? たとえば、蟲とか」

  あ~

  「どうなの?」

  『そうだな。 蟲とやらを元に遺伝子改造を行っただろうな』

  「だそうです」

  「そっか。 え!? 今の何? 頭の中に声が聞こえたけど……」

  先生は周りをキョロキョロと見渡しながら不安そうな表情を浮かべる。

  「あっ、紹介します。 今のは私に寄生して融合している情報生命体で…… あれ? 君、名前なんて言うの?」

  『そんなものはない』

  そういえば名前で呼んだことがなかった。

  「良い機会だし、名前付けようか」

  『必要ないだろうが。 お前としか会話はないし』

  「いやいや、この場には淫女先生もいることだし。 個の識別は大事だよ? 宇宙で習わなかった?」

  『ぐっ…… 好きにしろ』

  う~ん……

  「じゃあ、インキュバスで」

  『いや、それは……』

  「淫夢を見せて性交を行う悪魔の名前」

  『知っている。 意味を聞いたわけではない』

  好きにしろといった割に、なんか文句言ってくる。

  インキュバスじゃだめ? じゃあ、デビルでも……

  いや、なんか違う。

  「……ノクター って言うのはどう?」

  『ノクター?』「ノクター?」

  私と寄生体の声が重なる。

  「うん。人に寄生する生命体として、次の作品で出す予定のキャラクターの名前なん───」

  「それでいきましょう。 決定です」

  先生の言葉を遮って私は言った。

  『私の意見は聞かないのか?』

  「先生が付けてくれた名前だよ? それを断る理由が無いじゃん。バカなの?」

  『……何故だろう。 この感情、太陽系を破壊したい気分だ」

  ここら辺の煽りがノクターの我慢の限界のようだ。

  覚えておこう。

  でも、良いなぁ~

  先生に名前をつけてもらえるなんて、ズルい。

  私も……

  「ねえノクター。 私の姿って変えること出来るんだよね?」

  『戦闘形態であればある程度自由度はあるが、触手のベース素体からは変えられないぞ』

  「お~ 戦闘形態って言葉の響き、なんか格好いいね」

  『それは良かった……』

  だったら……

  「先生、厚かましいお願いがあるのですが!」

  「なに? 命の恩人だから私に出来ることは何でもするけど」

  私は先生に向かって頭を下げた。

  そして、少し間を置いてから思い切って告げる。

  「お願いします。 私の戦闘形態の姿をデザインしてください!」

  「え?」『え?』

  今度は先生とノクターの声が同時に重なる。

  『正気か?』

  私の姿を先生が考えてくれたら……

  これはヤバいって。

  先生が私のためだけに考えてくれた姿になれるんだったら、私はその姿でいくらでも男を襲い、絶頂を貪って喰らい尽くす。

  24時間いつでも喜んでその姿で戦える。

  『よし、協力しよう。 淫女よ、この女に最強のクリーチャーの姿を与えてやってくれ』

  勝手に乙女の心をトレースしたノクターが、初めて私の意見に同調してくれた。

  先生は少し困惑した表情を浮かべているが、こんなチャンスを逃がすわけにはいかない。

  「私に、今以上に最強のエクスタシーを得られる体をください!! 先生の触手生物が大好きなんです!」

  淫女先生は少し考えた後、ニコリと微笑んで口を開いた。

  「喜んで。 私のデザインしたクリーチャーが本当に存在する事になるなら、これほど嬉しいことはないわ」

  よっしゃー!

  言ってみるもんだぁー!!

  先生はすぐに机へ向かうと、タブレット上でペンを走らせていく。

  その姿は真剣そのもの。

  シャッシャッと音に合わせモニター上に線が次々と現れると、あっという間に形を作り上げた。

  「まず、これが今の美保ちゃんの変身後の姿…… 戦闘形態ね」

  モニター上に先生が描いたイラストが表示されると、私はそれ見て息を飲む。

  3面図の私の体。

  やっぱり凄い…… いろんな意味で。

  「ちょっと思ったんだけど、触手が強すぎると思うの」

  「でも力はあった方が……」

  「あっ違うの。 触手のイメージが強すぎて、体全体が触手になっちゃってるって事」

  確かに。

  ぱっと見だと触手の怪物…… というか、でかい触手だ。

  「体に融合した触手はあくまで器官、それが本体になっちゃうとどうしても……」

  先生は少し思案した後、私の姿に修正を入れ始めた。

  「お~」『お~』

  私とノクターが声を上げる。

  人間のシルエットが随所に残っている。

  しかし、細部は異形の構造。

  さすが漫画家。

  ぱっと姿を見ただけで、触手を操る人外だということが分かるデザイン。

  『触手の数がだいぶ減ったな』

  「さっきの戦闘を見て、使っていた触手はこのくらいの数だったから。 実際相手を拘束する位だったし」

  太い触手が背骨に沿うように6本生え、その先端はイソギンチャクのような構造になっている。

  なるほど。

  確かに多けりゃ良いってもんではないよね。

  反省。

  「あと、首が膣で、口が膣口って言うのは凄く良いデザインだから、そこは生かしたいの」

  確かにあれは気に入っている。

  変身中に顔面が吹き飛ぶとか、人外への変身らしくてお気に入りだったし。

  それにフェラしているみたいで気持ちよかった。

  まぁ実際、私にとってはあれが性交だから気持ち良いんだけど。

  「それで、これが最後の捕食シーンのイメージ」

  凄い……

  マンガの見開きだ。 効果線まで入ってるし。

  私のお腹が、いや首から股までバックリと裂けて体内から無数の細い触手が飛び出している。

  エグッ!

  「それで、こんな感じで人間を取り込むの」

  次のシーンでは、私の体から飛び出した触手が男を包み体に取り込んでいる。

  もはや脱帽。

  取り込んだ人間を、バキ! グチャ! って体内で潰している効果音も最高です。

  実際そんな音してるし。

  私こんな事するんだ。 エグいね~

  『脇腹にある穴は何だ?』

  ノクターが指摘したのは、私の腰の付近に付いた無数の穴のような器官。

  そこから何かを盛大に噴き出している。

  「人間を捕食した際に発生したガスを抜くための器官。 ここから勢いよく噴射して捕食完了ってイメージ」

  はい再び脱帽。

  先生は私も知らない体の構造を理解してデザインしてくれたんだ。

  嬉しい。

  『良い案だな。 だったら左右2つ、合計4個にしてくれ。 その方が勢いよくガスを噴き出せる』

  「分かりました」

  先生は笑顔で答え、更に細かな修正を加えていく。

  その後も細かな指摘をノクターから受け、細部を詰めていった。

  あまりにも専門的すぎる用語に、私はただボーとそれを聞き流していくしかなかった。

  そして、最終的に決まった姿は……

  「うわぁ~」

  生々しい生物感。

  人には存在しない器官が体中から生えまくっているし、肌の質感もヤバい。

  こんな生物見たら、普通の人間は失禁どころかショック死するだろう。

  私は、詳細に書かれた設定図を上から順に目で追っていく。

  「ねぇノクター、胸の所にある筒って何?」

  私の胸の下から筒状の突起物が何本か突き出し並んでいる。

  『高粘度淫汁噴射器官だ』

  何それ……

  もう名前だけで普通じゃない。

  『お前の愛液は粘度が高い。生成から時間が経つにつれ更に粘度が高くなっていくから、固着を防ぐために一定間隔で古い愛液を体外へ噴き出すために付けた』

  エグい。

  エグすぎるよ、私の体……

  私って本当に元は人間なの?

  でも……

  うん、先生のデザインしてくれた私の新しい姿はやっぱり最高だ。

  凄い。

  それ以外表現のしようがない。

  ノクターも気に入ったようだ。

  「でも、私この姿にきちんと変身できるかな?」

  『遺伝子変換と細胞の調整は私が行う。 お前はいつも通り変身を進めれば大丈夫だ」

  そっか。

  だったら安心して変身することが出来る。

  早くこの姿に変身したいなぁ~

  と思った瞬間。

  「……」『……』

  感じた。

  「南南西2キロくらい?」

  『ああ。 しかし……』

  少し感じが違う。

  何だろう、今までの情報体が寄生した人間とは少しだけ違う気がする。

  『女だ。 しかも識別パターンが少し違うな』

  「ノクター以外の生命体って事?」

  『いや、ベースは私の物だ』

  よくわかんないけど、行けば分かるね。

  「じゃ先生。 今日はありがとうございました。 ちょっと敵が現れたみたいなんで行ってきます」

  私は先生に頭を下げると窓を開けて飛び出す準備をした。

  「あの……」

  淫女先生が申し訳なさそうにモジモジとしている。

  どうしたんだろう?

  「私も一緒に行っても良い?」

  「え!?」『え!?』

  私とノクターの以下略。

  「でも危ないですよ?」

  『命の保証は出来ないぞ』

  同意見だ。

  流石に危険すぎる。

  「私のデザインした触手型クリーチャーになった美保ちゃんを見ながら死ねるなら本望よ」

  「じゃあ一緒に行きましょう」

  そんなこと言われたら一緒に行く以外の選択肢はない。

  『正気か?』

  「どんな強敵でも絶対に私が淫女先生を守る!」

  私は触手で先生を包み込んで持ち上げると、背中に背負って固定した。

  やばい、超幸せ。

  私の子宮が喜んでるぅ~

  『念のために…… ちょっとチクリとするぞ』

  ノクターは私の意思と関係なく先生の首筋に触手針を突き刺す。

  先生はビクッと体を震わせ、一瞬苦痛な表情を見せる。

  「ちょっと、先生に何したの!?」

  『お前が変身後に放つ臭いに耐性をもつように少し変えただけだ。 生体上の書き換えはしていない』

  確かに先生は両手で顔を塞ぎ、何かに耐えている表情をしていた。

  「……。 そうですか。 なんかすみません」

  私、ちょっと変身しちゃってるしね。

  気持ちよくてちょっとだけ吹いちゃったし。

  軽くショックを受けつつも、先生を抱えて私は窓から飛び出し、敵の気配がする方角へと急いだ。

  ◇◇◇

  数分後、私達はある住宅の裏庭へと到着した。

  ここって……

  私はこの家を知っている。

  『聡美の家だな』

  そう、ここは私のクラスメイトで同じ剣道部に所属している笹木聡美の自宅だった。

  「聡美に何かあったのかな?」

  私は淫女先生から触手を離すと、優しく丁重に地面へ降ろした。

  「お友達の家?」

  「はい……」

  「そう。 心配ね」

  いや、別に。

  とは流石に言えない。

  家の中で聡美が死んでいても何とも思わないだろうが、取り敢えず驚いて悲しむ振りをする準備だけはしておこう。

  『勝手に殺すな。 生きているぞ』

  (あっそ)

  んじゃ、玄関からお邪魔しましょうか。

  私達は正面玄関に回りインターホンを押した。

  ピンポ~ン

  チャイムを鳴らしても応答はない。

  「返事ないし、勝手に入ろうか」

  私はドアノブを掴むと鍵のかかった扉を一気に引いてみた。

  ガシャン!

  「……」

  私の手には引きちぎられた取っ手が握られている。

  「す、凄い力ね」

  「私も正直びっくりしました。 鍵かかってたんですね……」

  人間の姿の時でもこの力って…… 気をつけなきゃ。

  『でも扉は開いたようだな』

  そりゃ壊れたからね。

  私達は家に入り、聡美の部屋がある2階へと向かった。

  上から臭いがする。

  階段を上り終え、部屋の前に立つと中から苦しそうな喘ぐ声が聞こえてきた。

  「先生は私の後ろにいてください。 出来るだけ離れて」

  私は勢いよく部屋の扉を開ける。

  真っ赤に染まった部屋。

  立ちこめる生モノが腐ったような臭い。

  そんな部屋の中で、ベッドの上に一人の少女が布団を被り私達に背を向け震えている。

  間違いない、聡美だ。

  『情報体の反応は感じるが破片は入っていないようだ』

  (どういう事?)

  『公園で襲われたときに情報体の残留思念が入り込んだのだろう』

  そういえば、聡美は襲われた時に中出しされてたし。

  というか、子宮突き破ってたから腹出し? いや、お腹も突き破ってたよね。

  せっかく修復してあげたのに。

  (助かる?)

  『無理だな。 精神が汚染されて変質してしまっている。 戻せん』

  「そんな……」

  後ろで淫女先生が寂しい声を漏らした。

  私とノクターの会話は先生にも届くようにしてある。

  「本当ですよね、可哀相な聡美。 しくしく」

  『……』

  ま、仕方がないね。

  聡美は痛みを感じる暇も与えることなく一瞬で殺してあげよう。

  断腸の思いだ。

  『だったらそのにやけた顔をやめろ』

  おっと失礼。

  私は聡美のベッドに近づき布団を剥いだ。

  直後、聡美がベッドから飛び出し私に覆い被さってくる。

  「ガァアア!!」

  聡美の口から獣のような叫びが漏れる。

  彼女の瞳は白濁し、口からは涎が噴き出している。

  しかもその口はまん丸と大きく開き、イソギンチャクのような触手がウネウネと這い出ていた。

  「きしょ!」

  私はおもいっきり聡美を足で蹴り飛ばす。

  聡美は吹っ飛んで壁に激突すると、そのまま床に崩れ落ちた。

  直撃ををまともに食らい彼女は蹲ってもがき苦しんでいる。

  「なにあれ! 凄っごいきしょいんですけど! 見た? あの口きしょ! ヤツメウナギかよ!」

  『お前が言う台詞じゃないだろ……』

  聡美があんな化物みたいな顔に……

  これは人間の姿のままじゃ倒せないよね。

  私も変身するしかないか。

  『いや、そのままでも十分倒せると思───』

  「[[rb:触変 > しょくへん]]!!」

  私は仕方なく変身を始めた。

  今の合図いいね。

  出来るだけ先生の書いてくれた姿をイメージして……

  来た!

  来た来た!

  「ごぉぼ! ごぉぼぼぼ!」

  首が伸び口から触手が噴き出す。

  予定通り顔面を吹き飛ばして新たな生殖器を作り出す。

  体もノクターが寸分の狂いなく調整しながら構造変換を行ってくれる。

  凄い! 凄い! 凄い!

  「あはっ♪」

  ジュルンッ!

  背中から触手が生え、ビチビチと音を立てながら激しく暴れまわる。

  (最高に気持ぢ良い…… イぐっ!!)

  「美保ちゃん! 上を向いて!!」

  先生が叫んだ。

  私は先生に言われた通り、長い首を伸ばし天上に向けて大きく膣口を開く。

  プシャー!!

  勢いよく膣口から愛液が噴き出した。

  部屋中に私の噴き出した愛液がまるで噴水のように飛び散る。

  「そのままゆっくりと首をもたげて」

  私はゆっくりと首をもたげ、先生の方へ顔を向ける。

  ドブッ ドロッ……

  膣口から粘度の高い愛液が糸を引きながらゆっくりと垂れ落ちていく。

  (あっ、これ格好いい♪)

  『なるほど、首を伸ばして粘度の低い愛液だけを最初に噴き出したのか』

  淫女先生は期待通りの光景だったのか頬を染め、嬉しそうに笑みを浮かべている。

  「どうですか先生、私の姿は」

  「最高よ。 想像以上に格好いい……」

  「あはっ♪」

  先生は目を輝かせて私を見つめている。

  喜んでくれて何よりだ。

  変身冥利に尽きる。

  「ガー!!」

  私の変身を待っていたかのように聡美が吠えながら突っ込んできた。

  私は彼女の両手を掴み、力比べのような体制となる。

  「聡美…… うそでしょ!?」

  思わず叫んでしまった。

  「くっ…… 大切な友達なのに手をかけないといけないなんて、残酷すぎ───」

  先生が辛そうに声を漏らすが、そうじゃない。

  「聡美、弱っ!」

  「え?」

  驚いた表情で先生が呟いた。

  「どうしよう先生! 聡美が弱すぎて、たぶん瞬殺しちゃいます」

  「……」

  嘘でしょ。

  いくら何でも弱すぎでしょ。

  何、この押し返してくる弱っちい力。

  ちょっと力を入れたらたぶん聡美の手が潰れちゃうんですけど。

  引っ張ったら腕千切れるよ?

  『いや、お前が強すぎるだけだ。 これでも通常の人間に換算すれば数倍の力はあるぞ』

  (え~)

  ここで私が全身から触手を突き出したら、聡美は肉片になってバラバラになる。

  なのに、突っ込んできたの?

  戦闘センスが絶望的にないじゃん。

  『普通の人間にはそんなセンスなどはない』

  ちょっとショック。

  まぁいいや、じゃサクッと殺しちゃおうか。

  『親友じゃないのか?』

  それは人間だった時の話。 私はもう人じゃないし、聡美が肉片になろうが別に何とも思わないよ♪

  私は全身から触手を噴き出す体制を取る。

  「だったら、最後は快楽の中で逝かせてあげたら?」

  先生が私にそう提案した。

  確かに、それ淫魔っぽくて好きかも。

  「いいですね、それ。 さすが淫女先生、ナイスアイデアです♪」

  私は少しの間考えた。

  快楽の中で逝かせる……

  相手は人間の雌だし、だったらこれしかないよね。

  「聡美、たっぷりと私の触手で快楽を貪ってね♪」

  私は1本の触手を聡美の膣へ突き刺した。

  ミチミチ グチャ!

  どんどん奥へと触手を挿入する。

  『バカ! 相手は人間のサイズだぞ!』

  「え?」

  聡美のキショい口から、私が突き刺した触手が飛び出した。

  「グギャッ!」

  短い悲鳴を上げ、口からいろんなモノを撒き散らし、聡美は目を見開いたままグッタリとなって動かなくなる。

  『あんな物を突き入れたら死ぬに決まっているだろうが」

  「で、でも最期は一瞬でも快感を味わえたよね?」

  『凄まじい激痛なら味わえただろうがな』

  先生の方に首を向けると、引き攣った笑顔で固まっている。

  「次はちゃんと出来るように精進します」

  「ないことを祈るわ。 あはは」

  ベッドの上には、口から臓物を吐き出し結構なお姿へと変わり果てた聡美が横たわっている。

  「後始末はどうしよう」

  『取り敢えず喰え』

  「え~ だって女は絶対に美味しくないって~」

  脂肪の塊。

  人間ですら、お肉は脂肪を出来るだけ取り除いてから食べるんだし、こんなの捕食したら絶対胃もたれする自身がある。

  胃なんか無いけど……

  『食わず嫌いだろ。 それにこの女が変貌した原因を取り込んで調べたい』

  「しようがないな。 まぁ先生の考えてくれた捕食もやってみたいし」

  グチャ ニチャニチャ!

  私の体が首から股まで裂けると、沢山の触手が体内から現れ聡美の亡骸を包み込む。

  「お~」

  ゴキベキッ グチャ! ブチュ!

  そして、触手に包まれた聡美が、私の体の中に結構な音を上げながら取り込まれていった。

  うん、全て食い尽くし消化されたようだ。

  大トロみたいでこれはこれでありかも。

  でも、私は赤身派だ。

  プシュー!

  腰の部分の器官からガスが噴き出す。

  捕食完了のサイン。

  あ~ これゲップか。

  確かにこっちの方が格好いい。

  さすが淫女先生、一つ一つの行動にまで考えられた人外のおぞましさが宿っている。

  私は先生に視線を向けた。

  先生は羨望のまなざしで私を見ている。

  鼻を摘まんでいるけれど……

  『人間を喰らった後のガスだからな。 嗅覚を変更したとはいえかなりキツいだろう』

  だろうね。

  私でも結構臭いを感じるし。

  でもこの臭い、意外と好き。

  しかし、こんな凄惨な光景の中でも精神が壊れることなく平然としている先生は凄い。

  「先生はこんな状況でも平気なんですか?」

  「マンガを書くときの参考資料として見ているからね。 グロ耐性はそれなりにあるつもりよ」

  流石、先生は素晴らしい感性をお持ちで。

  「本物のグロシーンを見られてとっても参考になったわ。 ありがとう」

  いえいえこちらこそお粗末様です。

  私は首を上に伸ばし、膣口からお礼の愛液を噴き出す。

  そして、先生の眼前でゆっくりと首を降ろした。

  ドロッとした愛液が糸を引きながら垂れ落ちる。

  「うん、格好いい。 涎じゃなくて愛液っていうのがもう最高よ」

  先生は満面の笑みでそう言って微笑んでくれた。

  そんなに喜んでくれるのでしたらもっと愛液を噴きましょうか?

  この体であればいくらでも作れるので。

  『これ以上体内で作ると吹き零れるぞ』

  (何が?)

  ドプッ! ブボッ!

  胸の下に付いた高粘度淫汁噴射器官とやらから糊みたいな愛液が噴き出す。

  (え……?)

  ボト ポタッ

  私は自分の愛液が体を伝って垂れて行く様を眺める。

  (なんか…… 凄く恥ずかしいんですけど)

  この液体、白く濁ってるし。

  すっごくネバッとしてるし。

  トプッ!

  また出た。

  「ねぇノクター。 この白濁とした粘液、凄く嫌らしいんだけど」

  『お前の愛液だ。 嫌らしい汁である事に違いないだろうが』

  「そうなんだけどさぁ、なんで私の体に噴きかかるの? 時間が経った古い愛液なんだし外に噴き出せば良いじゃん」

  私はノクターに愚痴をこぼした。

  「やっぱり触手と言えば、粘ついた粘液に塗れた体だと思って」

  え? これ先生のアイデア!?

  『体の粘つきを増すにはこれが一番効率的だったからな』

  あ~ そういうことか。

  納得。

  確かに粘ついてナンボの世界だしね。

  「オッケーです。 これで行きましょう」

  トプッ!

  また出た……

  これ以上この体でいても快感を貪ることは出来ないし、名残惜しいけど人間に姿に戻ろう。

  聡美が寄生体の男だったら少しは楽しめたのに……

  私は人の姿へと戻る。

  そして周りを見渡し頭を抱えた。

  「ねぇ、どうしようこれ」

  血まみれの室内に、中々に香ばしい臭いが充満している。

  流石に今回は他人に後始末をさせるわけにはいかない。

  「聡美の親が帰ってくるまで待つ?」

  『いや、この女の両親はもういないぞ。 この女に喰われたようだ』

  お~

  それはそれは随分と痛ましいお話で。

  『ついでに、お前のクラスの北条佳奈も喰ってる』

  そういえば佳奈はお見舞いに行くって言ってたな。

  私があの時断らなければ……

  しくしく。

  ま、どうでも良いけど。

  「家ごと証拠を隠滅するしかないんじゃないかな」

  淫女先生がかなり規模の大きい提案をしてきた。

  「家ごとってどうするんですか?」

  「その…… 燃やすとか潰しちゃうとか」

  なるほど。

  確かにそれなら簡単に隠蔽できそうだ。

  死体はないし、たぶん大丈夫だろう。

  決まりだ。

  「じゃあそれで。 ノクター、よろしく」

  『……』

  結局、ノクターが全焼は周りへの被害が大きくなると言いだし、聡美の部屋だけを証拠が残らない程度に焼く事になった。

  ◇◇◇

  楽し…… いや、悲しい事件に幕を下ろし、私は淫女先生に別れを告げ自宅へと戻ってきた。

  シャワーを浴び、その記憶を忘れようとするかのように体をゴシゴシと強く洗う。

  『うむ。 固着した愛液と淫臭は消えたようだな』

  「おっけぇ~」

  一々人間の生死を気にするほど、私は暇じゃない。

  私は部屋に戻ると、ベッドに倒れ込み枕に顔を埋めた。

  「あ~ 疲れた」

  本当は疲れていないけど、癖みたいなもんだね。

  お腹はいっぱい。

  体も綺麗になった。

  「さてと、準備万端!」

  私は鞄を開き、淫女先生から賜った “触手淫装遊戯” を手に取る。

  表紙を捲ると、先生の直筆サインと私の姿のイラストが描かれている。

  えへへ~

  『以前の戦闘形態だがな』

  「次の新刊が出たら私の新しい姿を書いてもらお~」

  そして淫女先生の新刊を読み始めた。

  至福のひととき。

  触手鎧を纏ってしまい、融合してしまった主人公。

  私には分かるよその気持ち。

  最っ高に気持ちいいよね~

  人を凌駕する力を、その身に宿してしまった主人公の苦悩。

  分かる!

  人間が弱すぎて絶望するよね!

  私もそうだったから、共感できるよ!

  触手の力が暴走し、無差別に人を傷つけてしまう主人公。

  あっ、それは体験したことないな。

  私もまだまだ経験が足りないという事か……

  でもいずれ、そういうシチュエーションに出くわしてみたい。

  私も暴走してみたい。

  『したいのか?』

  (うん)

  私は素直に頷いた。

  だってさ、私の暴走を誰も止められないんだよ?

  自我を失った私は狂ったように人を襲って蹂躙するの。

  そして、地獄絵図のような光景の中で私は咆哮を上げる。

  それこそが人外のあるべき姿だと思う。

  『そうか……』

  何よ、その汚物を見た後のような反応。

  『いや、そういう訳ではないのだが…… お前も変わったな』

  「そう?」

  『ある程度予想していたとはいえ、まさかここまで急激に変わるとは思っていなかった』

  「ま、私はもう遺伝子レベルで人間じゃないしね。 血も通ってなければ心臓すらない。 仕方ないよ」

  そう。

  私には地球上の生命体が持つような、器官や臓器はすでに体内に存在しない。

  体の中は触手で埋め尽くされ、人のように見える皮膚や目、髪も人間の物とは異なる組織で作られている。

  頭の中には脳すらない。

  記憶や思考は体を構成する細胞一つ一つの繋がりで形成されているネットワークで処理されているからだ。

  つまり頭を吹き飛ばされても問題ない。

  肉体の欠損は、空気中の素粒子を使って相互作用を起こし、そのエネルギーで補えばすぐに復元できる。

  細胞の一片でも残っていれば、そこから体を再生する事が出来る。

  死という概念すらこの体には存在しない。

  「私をこんな化物の体にした張本人が驚くとか、私そんなに凄い体なの?」

  『肉体のことではなく、心の方のことを言っている」

  それは仕方ないよ……

  こんな肉体を維持するには心も人外になるしかない。

  でないと、私は一瞬で気が狂ってしまうだろう。

  だから私は変わるしかない。

  体が進化すれば心もそれに合わせて進化を進める。

  進化を繰り返していけば私はいずれ……

  『どれだけ進化しようが、どのような状況下であってもお前が暴走することはない』

  「どうして?」

  『私が制御不能になることなどあり得ないからだ』

  ノクターはそう言い切った。

  自信たっぷりに。

  「ですよね~ ちょっと残念」

  私は暴走計画を打ち切り現実に意識を戻し、“触手淫装遊戯” を机の上に置いた。

  「北西に3キロかな?」

  『だな』

  両目が紫色に染まって光を放ち大きく盛り上がる。

  体の中で触手が暴れ回り表皮が波打つ。

  私は窓を開けて体から触手を出すと勢いよく飛び出した。

  「今度はちゃんと最後まで楽しもうね。 あはっ♪」

  どんな獲物に会えるのだろうか。

  私はワクワクしながら空を駆ける。

  上空からウヨウヨと動く人間達を眺めながら。

  人間って邪魔だな。

  弱くて脆いくせに、私の方がコソコソしなきゃいけないなんて。

  面倒くさい。

  『見えたぞ。 あの森の中だ』

  「おっけ~ 私も捕捉した」

  私は暗闇の中、森の奥へと消えていった。

  快楽と食欲を貪るために。

  ノクターを完全体へと戻すために。

  戦闘生物と化した私の体は、今日も進化を続けながら夜を彷徨う──

  つづく

  [newpage]

  [chapter:第4話「[[rb:触憧 > しょくしょう]]」]

  「はっ、はっ」

  「んぁ! ちょ、拓也激しっ!」

  深い森の中、高校生のカップルが性の快楽に溺れていた。

  男は彼女と思われる少女を組み伏せ、欲望のまま腰を振り続けている。

  「外だからかな? 今日はいつもよりすげー興奮するんだ」

  「んもぉ、変態。 んあっ!」

  気持ちよさそうな顔を浮かべて行為に浸る二人を、私は少し離れた木の上から観察していた。

  (羨ましいねぇ~ 私もあんな激しい高校生活を送ってみたかったよ)

  『あんなもんで良いのか?』

  頭の中で私に寄生している地球外情報生命体であるノクターの声が響く。

  ノクター、人間の体ならあれでも最高に気持ちが良くなれるんですよ?

  人を捨てた今の私の体は常に絶頂状態ですけど。

  (人間だった時にああいう事をしてみたかったって事だよ)

  彼らに気付かれないよう、私は頭の中でノクターに返事をする。

  私とノクターは完全に融合してしまっているので本当は会話などする必要はない。

  ノクターだって、質問する前に私の思考は読み取れている。

  私は元々人間だからね、やっぱりこういう会話っぽい事もしたくなる。

  ノクターもそれを理解してくれているのだろう。

  私の思考が理解できず、質問や会話をしてくる事も結構あるけど……

  私は再び彼らの観察に意識を集中させる。

  今回のターゲットは腰をカクカクと振っている彼。

  制服を見るに私と同じ高校の人だろう。

  スポーツ系の部活に入っているのだろうか、短い髪にがっしりとした体格をしている。

  肉付きが良くて美味しそう…… いろんな意味で。

  『まだ覚醒はしてないようだな』

  (でも見て、あれ)

  彼は口から涎を垂らし凄い勢いで腰を打ち付け始めていた。

  「ちょ、拓也! 痛い! 痛いって!!」

  「やべ、意識飛び…… そぅ…… はぁ、ハァ」

  どうやら覚醒が近いようだ。

  臭いが変わった。

  私この臭い大好き♪

  ミシミシと音を上げ彼のペニスが彼女の中で膨らみを増してく。

  「痛い! 拓也痛いっ! ぎゃー!!」

  彼女にこれ以上大きな声を出されると面倒だ。

  「さてっ、そろそろ行こうか」

  私は木から飛び降り、彼女に跨がる形で着地すると男の顔面に向けて膝を突き上げる。

  「そいっ!」

  そして、後ろに仰け反った彼の顎を蹴り飛ばした。

  彼は2メートルほど吹き飛ばされ、木に激突しグッタリと倒れ込む。

  うん。良い感触、確実に顔は潰れたね。

  首も折れたし、間違いなく死んだ。

  チンポおっ立ててから出直してらっしゃい。

  『この女はどうするつもりだ?』

  ノクターの声で私は視線を下げる。

  すぐ下で彼女が震えた表情で私を見ている。

  やだ、パンツ覗かれちゃってる。

  そんなに見たいなら見せてあげようかな。

  触手の噴き出す私の秘所を。

  『ふざけたことを考えてないで彼女の下半身を見てみろ』

  彼女の秘所から血が流れ出ている。

  あっりゃりゃ、オマンコ裂けちゃってるよ。

  痛そ~。

  可哀相だし取り敢えず治してあげよっか。

  私は傷の状況を確認しようと彼女の横に移動してしゃがみ込んだ。

  「嫌…… 化け物……」

  かすれた声で彼女は私のことをそう呼んだ。

  え? なんで?

  私まだ変身してないんですけど。

  それとも秘所から触手出てたかな?

  『目が光っているぞ。 あと皮下で触手がうねっている』

  あ~ 完全に無意識だった。

  ごめんよ。

  でもさぁ、か弱い乙女に向かって化け物は失礼じゃない?

  折角助けてあげようと思ったのに。

  「……」

  『どうした?』

  (彼女はこのままだと、8分後に出血性ショックでお亡くなりになります。 1分後からは強烈な激痛を味わうでしょう)

  『まぁそうだな』

  私は彼女の額に人差し指をあてニコッと笑う。

  そして……

  バキッ クチャッ。

  私の指先が伸びて彼女の頭の中まで突き刺さった。

  「え?」

  何が起きたか分からないといった表情で彼女は私を見ている。

  「痛くないでしょ? 痛覚を殺してあげたから」

  私は頭から触手と化した指を引き抜くと、違和感を感じたのか彼女は震えながら額に手を当てる。

  「あっ、触らない方が良いよ? 穴が開いて脳みそ見えてるから」

  彼女は自分の額に開いた穴を手で確認すると、口をパクパクさせて見る見る血の気が引き顔面蒼白となる。

  「きゃ─── むぐっ!」

  悲鳴を出そうとする彼女の口に私は触手を突き入れ黙らせる。

  「声を出したら殺すよ? すっごく惨たらしい殺し方するから。 ね」

  私は彼女の目の前でニタァと不気味な笑顔を向ける。

  瞳のない紫色に光った人外の目で。

  「私が戻るまで声を出さずにいられたら助けてあげる。 約束できる?」

  彼女がボロボロ涙を流しながら頷くのを確認すると、私は口から触手を引き抜いた。

  恐怖に満ちた表情を浮かべた彼女を見ていると、全身がゾクゾクする。

  私は今、人間というゴミを凌駕する存在なのだと実感できる瞬間だ。

  『遊びはそのくらいにしておけ。 男が覚醒したようだぞ』

  (あいよ)

  私は彼女を触手でコロコロ転がして遠ざけながら男へ視線を向ける。

  2メートル先にズボンを突き破り巨大なペニスをいきり立たせた彼が立っていた。

  蹴り飛ばしたせいで顔面は潰れ目は見えず、声も出せないだろう。

  でも、行為には関係ないから問題なし。

  「んじゃ、いっくよ~ッ!」

  私は背中から触手を勢いよく突き出して男の動きを封じた。

  触手を伝って、雄の臭いが私の臭覚を刺激する。

  ヤバい。 すっごく美味しそう。

  ズリュリュッ!

  私は興奮を抑えきれず、彼の股間へ向けて首を一気に伸ばしていく。

  そして、そのままの勢いで巨大なペニスを口に突っ込んだ。

  ブボッ! ゴボァ!

  私の口を引き裂き、顎を砕きながら凄まじい太さと長さを持ったペニスが突き刺さる。

  彼のペニスよりも細い私の喉がボコッと広がり、首が一回り膨張する。

  これ、良い~……

  ズボボボッ! ズボッ! グチュッ!

  筋一本で繋がり垂れ下った下顎を揺らしながら、私は首を激しく前後させる。

  完全戦闘形態へ変身前のため、首の中を簡易的な膣に組み替えてある。

  それでもペニスが首を押し広げながら出入りを繰り返す度に、強烈な快感が全身を駆け巡る。

  凄っご。

  私って人間の姿の時でもこんなに気持ち良くなれるんだ……

  『いや、これはすでに人の姿とは言えないぞ。 人間の首の中に膣などない』

  ノクターが何か言っているが、私は快楽を求め貪る事だけに集中する。

  体が更なる刺激を欲し蠢き出す。

  前戯はこのくらいで良いだろう。

  私は、普段の何倍も高濃度に濃縮した愛液を彼のペニスに流し込んだ。

  さて、どうなるか。

  ビクン!

  男の体が跳ね上がるのを確認すると、首からペニスを一気に引き抜いた。

  私の口からヌラッと糸を引いて飛び出したペニスが脈打ち、膨らみを増しながらより長く、より太く、そしてより堅くいきり立っていく。

  たぶんこの男は数分で死ぬだろう。

  流石にあの濃度の私の愛液は強すぎる。

  だから、寿命と引き換えに得たその凶暴なペニスで私を楽しませて。

  短命の分、私に最高の絶頂を与えて頂戴!

  私は舌なめずりをしながら、彼女さんに長く伸びた首を向ける。

  はしゃぎすぎて、下顎はなくなってるけど。

  「あなたの彼氏、食べちゃうけど良いよねぇ?」

  ズイッと崩壊した顔を近付けて、私はそう聞いた。

  彼女は涙目でコクコクと必死に頭を縦に振る。

  ちゃんと約束を守って必死に声を殺しているのは偉いぞ。

  では、彼女さんの許可も得たし、始めましょう。

  「触変」

  彼女の目の前で私の頭部が吹き飛び、体が戦闘形態へと変わっていく。

  グチャ ボキッ!

  私は彼女に変身過程を見せつけるように姿を変えていった。

  この世の物とは思えない私の姿に涙を流し、必死で声を殺しながら見つめる彼女。

  私が異形へと姿を変えていく度にその表情は精神が崩壊するかのように崩れていく。

  私と同じ位の歳の子が、一生分以上の恐怖を一瞬で味わう瞬間の表情。

  最高だ。

  私は先生の発案した変身後の行動ルーティーンの通り、長い首を上に伸ばして愛液を噴き散らかす。

  そしてゆっくりと彼女の目の前に首をもたげていく。

  ドロッ……

  彼女の眼前で私の顔…… いや巨大な膣口から粘度の高い愛液が糸を引きながら垂れ落ちる。

  完全に精神が壊れてしまったのか、彼女は笑みを浮かべていた。

  「喜んでくれてありがとう。 でもね、ここからが凄いの」

  『おい、あと3分半で男が死ぬぞ』

  おっけ~

  「彼女さん、よく見ててね。 これが本気のセックスよ!」

  私は首を再び男の方へ向け、彼を拘束している触手を引き寄せた。

  彼の体が私の顔もどきに押しつけられ、さきほどより巨大となったペニスが膣口と化した口に突き刺さると、首の中へと一気に突っ込まれる。

  凶暴なまでの絶頂が体を突き抜け、全身のあらゆる器官や穴から愛液が噴き出した。

  これ…… ヤバッ!

  私の体が、細胞が、遺伝子が歓喜に震え暴れ回る。

  そして、更なる絶頂を要求する。

  ジュルルル! ニュポッ! ヌポォ! グチャ! グチャ!

  私は快楽だけを求めて一心不乱に首を収縮し続けた。

  もっと奥まで!

  もっと、もっと刺激を頂戴!

  首を限界まで圧縮しペニスを締め上げる。

  突き刺さったペニスが締め上げる膣を押し戻すかのように膨張を起こした。

  (来る!)

  ドバァー!

  凄まじい勢いで大量の精液が体の中に注がれた。

  ブボッ!

  あまりの急激な噴射で私の膣口から精液が噴き出す。

  (この量、凄ごっ……)

  快楽を長く味わいながらする性交も良いが、短時間で激しく交わるのも最高だ。

  新たな発見。

  『これが交わいか? 一方的だろ』

  (でも、気持ぢよがっだでしょ~……)

  『絶頂度でいえば、まぁ過去最高ではあったな』

  私は絶頂の余韻を全身で感じながら、彼を体内に取り込んで捕食した。

  『よし、情報素子の欠片を確認した。 今までで一番大きいサイズだ』

  だろうね。

  彼、凄っごく良かったもん。

  プシュー!

  私の腰付近位に付いた器官から勢いよくゲップ…… いや、ガスが噴き出す。

  彼はこの世から跡形もなく消えた。

  唯一残った物と言えば、今噴き出したガスの微粒子だけだ。

  『で、あの女はどうするのだ? あと40秒ほどで死んでしまうが』

  私は長く伸びる首を回し、彼女の方を向く。

  「あ…… あっ…… ふ、ふふ」

  完全に精神は壊れているようだ。

  涎を垂らしながら笑っている。

  『まあ治そうと思えばまだ───』

  「いらない」

  私はノクターの声を遮って触手を伸ばし彼女の首を跳ね落とした。

  「声を出したら殺すって約束だし」

  『そうか…… まあそうだな』

  「でも、惨たらしく殺すって言った気も……」

  しまった。 一瞬で殺してしまった。

  これは反省。

  私は体を再びバックリと開き、触手で彼女の体と跳ね落とした頭部を包み込む。

  『捕食するのか?』

  「あんまり女は食べたくないけど自分への罰として残さず食べる」

  ボキッ グチョ

  私の体の中で少女だったものが粉砕され消化されていく。

  「あ~あっ…… せっかく美味しい男を食べた後なのに、胃もたれしそう」

  プシュー!

  今宵2度目のプシュ~タイム。

  『……』

  「どうしたの?」

  『いや、今回は一段と残虐だなと思ってな』

  「そうかな?」

  確かに快感が凄すぎて、いつもより興奮はしたけれど、こんなもんでしょ。

  それに私をそんな化物にした張本人に言われたくない。

  「んじゃ、満足したし帰ろうか」

  『そうだな』

  私は人間を辞めて本当に良かった。

  こんなに凄い力と快感を味わうことが出来るんだもの。

  でも、もっと……

  もっと私は進化して今以上の力と快楽を得たい。

  その為には、沢山の寄生体を喰らわないと。

  そしたら今以上に私の体は進化できるよね?

  その問いに私の中の遺伝子が答えてくれた。

  まだまだ進化できると……

  ◇◇◇

  それから1ヶ月ほど過ぎた。

  私は相変わらず、悪と闘う正義のヒロインとして狩りを続けている。

  寄生体が全く現れない日もあれば、1日で5体も覚醒する入れ食いの日もある。

  こればかりは仕方がない。

  そして今、私の目の前には通算53体目の寄生体の男がペニスをおっ立てている。

  反ってるねぇ~

  その曲線、私の首と相性良さそう。

  うん、合格。

  ただ……

  その近くにお友達だろうか、2人の男性が腰を抜かして震えていた。

  この類いが一番面倒くさい。

  ギャーギャー騒ぐし、放っておけば勝手に逃げ出す。

  最悪なのは、周囲の人や警察を呼んでくること。

  これが死ぬほど面倒くさい。

  折角、快楽を楽しんでいるのに一旦中止して認識改ざんに力をまわす必要がある。

  これがどれほど腹立つか。

  本気で全員ぶっ殺してやりたいが、流石の私でもわらわらと現れた多くの人間達を喰らうのは荷が重すぎる。

  だから、私はこのような状況になった時には決めている事がある。

  「さてと、まずは一般人を殺そっか」

  『お前は正義のヒロインではないのか? 正義を貫く者の台詞とは思えんのだが』

  「現実は物語のようには行かないんだよ! っと」

  私は触手を伸ばし男の頭部に突き刺すと、体液を流し込む。

  二人の男は凄い痙攣を起こし、悲鳴を上げる間もなくそのまま絶命した。

  私の体液は結構な酸性みたいで脳が簡単に溶ける。

  首を跳ねたりすると血が噴き出して処理が面倒だしね。

  中々良いアイデアだ。

  「どうよ、この精度。 今回は全く血が垂れてない」

  『私の演算能力を上手く使いこなせてきたな』

  邪魔者はいなくなったし、お楽しみタ~イム!

  私は、触変して至福の時間を満喫する。

  狂ったように男のペニスを咥え込み快楽を貪る。

  絶えず体を突き抜ける絶頂に、私はこのためだけに生きているのだと実感する。

  『おい携帯が鳴っているぞ?』

  「今はそれどごろじゃないの゙ぉ~」

  普段はそんなこと言っても来ないくせに今日はどうしたんだろう。

  そう思ったが、今止めるわけには行かない。

  だってもう少しで彼の精液が噴き出すんだから。

  『淫女からの電話だ』

  なにー! マジか!!

  『あー…… 私が代わりに出ても良いが』

  (おね゙がい)

  ◇

  『わたしだ』

  「え~と…… その声はノクターさん?」

  どうしてノクターさんが美保ちゃんの電話に出たのだろうか。

  取り込み中だったかな。

  というか、どうやって電話に出ているの?

  「あの、美保ちゃんは」

  『今は “あれ” の真っ最中だ』

  「あれ?」

  あれって何だろう。

  と考えた直後、ジュボッ グチョ! という音が電話口から聞こえた。

  『あぁ~ もっと出して! 精液を流し込んでぇ!!』

  美保ちゃんの声。

  あっ、あれってあれのことですか……

  「ご、ごめんなさい。 仕事中でしたか。 ならまた後で───」

  『問題ない』

  「なんか、凄い音ですね……」

  とても性交とは思えない粘ついた水音と、大きな物が送出を繰り返す音が絶えず聞こえてくる。

  『ああ。 中々の上物でな。 美保もかなり激しく吹き出して乱れている』

  うっ、以前見た美保ちゃんの戦闘形態での激しい行為が思い出される。

  ジュワ……

  ちょっと濡れてしまった……

  『美保の代わりに用件を聞こう』

  「あっ、大した要件じゃないんですけど、新作のラフが出来たので美保ちゃんに見て欲しいなと思いまして」

  『そうか。 こいつも喜ぶだろう。 私も是非拝見したいと思う』

  あれ? ノクターさんってこんな感じだったっけ?

  『どうした?』

  「いえ! 何でもないです。 では都合の良いときにでも連絡ください」

  『今から行こう』

  「え?」

  『いや、そんな急だと失礼だな。 明日伺おう』

  「私は構いませんが、美保ちゃんは……」

  『イッぐぅー!! プシャ! ドヴァー!』

  「……」

  電話口から美保ちゃんの絶叫と、盛大に何かが噴き出した音が聞こえた。

  『大丈夫だそうだ』

  え!? 今の “いく” って “行く” の発音とは違った気もするけど……

  「そ、そうですか。 私明日は一日自宅にいるので都合の良いときにでも来て下さい」

  『分かった。 では失礼する』

  ツーッ 私は通話が切れたのを確認してから携帯を置く。

  相変わらず良いコンビだ。

  美保ちゃんが来るまでにもう少し原稿を進めておこう。

  ◇◇◇

  翌日。

  私は今興奮の絶頂に包まれている。

  全身が疼く。

  胸の高鳴りを抑えきれない。

  少しでも気を緩めたら、体中から触手を突き出し、周囲の人間達を無差別に殺してしまうだろう。

  別にそれでもいいけど、今は我慢だ。

  だって、今日は淫女先生にお呼ばれされているのだから。

  人間のようなゴミに構っている時間などない。

  『淫女は人間だが?』

  (先生は神。 私を作った存在だよ? それはもう人とは呼べない)

  そう、私はある意味、淫女先生から生み出されたクリーチャー。

  私に素敵な姿をくれた存在。

  そんな先生が私のために時間を作ってくれたのだ。

  新作マンガのラフを見せてもらえる。

  興奮するなと言うのが無理な話。

  私は先生の家に着くまで人の姿を保てるだろうか。

  『首が伸びているぞ。 口から触手が出ている。 どう見ても人の姿ではないのだが』

  (え~ ほとんど人間だよ。 それに情報改ざんの思念を放ってるし少し位は大丈夫だって)

  『少しではないだろ…… そんな姿で淫女の家に押しかけるなよ。 礼儀は弁えろ』

  地球外生命体に礼儀とか言われてしまった。

  一理あるけど興奮状態の今の私には無理な話だ。

  (あ! 見えた!)

  とても立派な5階建てのマンション。

  私は少しだけ人外と化してしまっている体の構造を人の形へと戻す。

  流石にこの姿はダメ。

  人外でも礼儀は弁えないといけない。

  『……』

  はやる気持ちを抑え、15段飛ばしで階段を駆け上がり、先生の部屋のインターホンを押す。

  「いらっしゃい。 お久しぶりね、どうぞ上がって」

  「はい! 失礼します!」

  私は先生の後に続いて部屋に入る。

  相変わらず壁には沢山の触手イラストが飾ってある。

  私もこんな部屋にしたい……

  「ん?」

  目の前に飾られた触手型クリーチャーのイラストを見て私は少し違和感を感じた。

  これ、前の物と違う。

  凄く格好いい。 素敵。

  『これはお前だ。 流石デザインしただけある。 細部まで精巧に書かれているな』

  「これ私!?」

  確かに。

  長く伸びた首とその先端には膣口。

  淫汁噴射何とかと言う器官が胸の下にある。

  腰に付いた筒のような所からプシューしてるって事は捕食した後の姿だろう。

  「美保ちゃんの変身後の姿…… 戦闘形態がとっても格好良かったから、いっぱい書いちゃった」

  嬉しい。

  もう死んでも良い。

  死ねないけど。

  「もし気に入ったのがあったら、どれでも持って行って良いわよ」

  「マ・ジ・で・す・か!!」

  私は部屋をぐるぐると何周もしてイラストをじっくりと見て回る。

  どれも良い。

  全部のイラストに躍動感と人外のおぞましさが詰まっている。

  「それとこれ」

  先生が私に分厚い紙の束を渡してきた。

  「こ、これは……」

  表紙にはタイトルが書かれている。

  「“触寄少女 ~性虜と殺欲~” 次の新作予定のうちの一編よ」

  くっはっ!

  こいつはヤバい。

  タイトルがストレート過ぎて絶対買ってしまう。

  「それでね、これを美保ちゃんに一度読んでもらいたくて」

  初めて見る先生のラフ。

  綺麗な線のマンガも良いけど、ラフの荒い線画も素敵だ。

  一目で力を入れたシーンが分かる。

  「全神経、いや全触手を集中して拝見いたします!」

  「ラフだから、気楽に読んでね。 あはは……」

  私は早速ページを捲り読み進めていく。

  触手と粘液の表現が凄いリアル。

  そして、触手の滑らかな動きが絵から伝わってくる。

  人外化した少女も格好いい。

  ペン入れしてトーンを張ったら凄いことになるだろう。

  お話は、とある少女が謎の生命体に寄生され触手と融合してしまうというもの。

  寄生体の名前は“ノクター”。

  『これが私の名の起源か』

  そういえば、ノクターの名前は先生の次の新作に出てくる生命体の名前って言ってたっけ。

  これの事かぁ。

  少女は強大な力の虜になり、遂には闇堕ち。

  そして、より強大な力を求めて人類を滅亡へと導く。

  ちなみに登場している男はみんな犯されていた。

  なるほど。

  私はこのヒロインの気持ちが痛いほど良くわかる。

  圧倒的な力で快楽の渦に飲まれ、その虜になって暴走してしまう。

  私もいつかそうなるかもしれない。

  いや、なる!

  それが私の目標・いや使命だから!!

  『そんな使命を勝手に決めるな』

  それはさておき、やはり先生のマンガは凄い。

  今回の作品は前作以上。

  私の大好きな “触臭 ~その臭いは奴らを狂せる~” と良い勝負だ。

  「どうかな?」

  私の読了を待っていたかのように、先生が感想を聞いてきた。

  正直に言おう。

  これは素晴らしい出来だ。

  間違いなく先生の代表作の1つとして、この本は争奪戦になるだろう。

  「最!高!です!!」

  でも……

  「一つだけ良いですか?」

  「何でも言って」

  私は先生の顔を見ながら言った。

  「完全体となった少女が性を貪るシーンはもっと激しい方が好みです」

  少し消化不良だ。

  もっと激しく、もっと濃厚に、もっと惨たらしく。

  そうしないとこのキャラの魅力は引き出せない。

  今回の新作は、いつも以上にエッチくてグロい。

  だからこそ、もっと突き抜けるべきだ!

  「やっぱりそうよね…… 実は今回美保ちゃんに意見を聞こうと思った理由はそこなの」

  「ほへ?」

  「今回の主人公は人外化が突き抜けているでしょ? だからエロやグロシーンも普通ではダメな気がして」

  『いや、十分普通ではない気がするが…… 普通のグロとは何だ?』

  この業界ではこれが標準なんだよ、ノクターは分かってないなぁ。

  「ノクター、もし主人公が私だったらどうすると思う?」

  『そうだな、まず周りにいる人間共は真っ先に殺す』

  「うん」

  『ターゲットは肉棒さえ残っていれば、顔が潰れていようが生死を問わず自分の快楽を最優先する』

  流石ノクター。

  正解。

  「えっ、美保ちゃんってそんな感じなの?」

  「はい。 だって私は人外ですよ? 人間なんて殺しても何とも思いませんし、快楽を貪り食い殺すのが私の仕事ですから」

  「そ、そうね……」

  おっと、先生ちょい引きですね。

  でも、先生の聞きたいことは何となく分かる。

  先生は人間だ。

  人間の思考と感性を持っている。

  だから、どうしても私と同じような考えができないんだ。

  だったら……

  「先生も私と同じ人外になってみれば良いんじゃないですか?」

  「え!?」 『え!?』

  先生とノクターが同時に驚きの声を上げる。

  2人とも驚いているみたいだけど、何か変なことでも言ったかな?

  『お前は何を言っているんだ?』

  「だって、人外の思考は人外にしか分かんないでしょ」

  『それはそうだが』

  「戦闘形態で味わう絶頂なんか人間では理解できないって」

  人間の体であれば1秒も持たずに狂い死ぬほどの快感なんて想像できないだろう。

  それをリアルに表現するなら、人外になって味わうしかない。

  「興味はあるけど私はただの人間だし、美保ちゃんのようには───」

  「なれますよ。 私みたいなクリーチャーに」

  「……」 『……』

  いやいや、先生がそういう反応するのは分かるけど何故ノクターまで?

  『どうする気だ?』

  「私の遺伝子情報を先生の体に組み込めばいいだけでしょ」

  実にシンプル。

  『待て待て、どこがシンプルなんだ。 かなり複雑で精密な計算が必要だぞ』

  「そんなの簡単だよ。 今の私でもできるって」

  ノクターの言った通り、確かに複雑で膨大な計算が必要だ。

  スパコンを何千台使っても計算は出来ないだろう。

  でも今の私ならその程度の計算は余裕。

  「美保ちゃんってそんなに頭が良いの?」

  「そうですね。 たぶん宇宙で一番の頭脳の持ち主かと。 脳はないですけど」

  「もしかして、相対性理論とかも分かっちゃう感じ?」

  「分かりません」

  「……」

  おっと、先生の動きが止まって固まっちゃったね。

  「ちなみに分からないと言ったのは、相対性理論が間違っているからですよ?」

  「え?」

  「あれには欠陥があります。 統一理論で示さないと完全とは言えませんから」

  『美保の言ったことに間違いはない』

  「そ、そうなんだ……」

  まぁ良いや。

  この話は長くなるから隣に置いておこう。

  「これも何かの縁。 先生もお試しでクリーチャーになってみませんか?」

  「え、お試しなんて出来るの?」

  「はい。 痛みとかは一切ないので安心して下さい」

  「……」

  悩んでいますね、先生。

  でも私には分かりますよ、先生のお股が濡れ濡れになっている事が。

  『淫女が望むのであれば協力するぞ。 今の私の計算力なら人外化後に再び人間に戻すことも出来る』

  「じゃ、じゃあ一度だけ。 お試しで」

  よし。

  嬉しい、先生が私と同じような姿になってくれる!

  百合属性はないけれど、先生なら…… 良い。

  『アホなことを考えるな』

  (ごめん…… 冗談です)

  ノクターと思案した結果、先生には私の生体遺伝子の一部とノクターの回路を破片化して脳に打ち込むことになった。

  先生は少し不安な表情をしていたが、100%成功する保証はある。

  一通り人外化を楽しんだ後は完璧に人間へと戻すことも出来る。

  戻りたくなくなっちゃうかも知れないけど。

  「お願いします。 わ、私を生体改造して下さい」

  先生の決意が固まったようだ。

  生体改造って響き良いですね。

  流石先生、ワードチョイスが普通じゃない。

  ◇

  2分後。

  先生に打ち込む遺伝子情報の設計は終わった。

  私とノクターがそれぞれ2000回チェックしても全く異常は確認できない。

  完璧だ。

  では始めよう。

  私は指先から目に見えない位に細い触手を作って、先生の鼻の中へと挿入した。

  そして、脳髄を触手の先端で突く。

  反射反応で先生の体がビクンと跳ねた。

  でも痛みはないはずだ。

  これで私の遺伝子とノクターの情報破片のインストールは完了。

  『聞こえるか?』

  先生の頭の中からノクターの声が聞こえた。

  「え?」

  先生が回りをキョロキョロしている。

  『淫女の頭の中にいる私だ。 成功したぞ』

  「そ、そうですか。 でも特に変わった気は…… あっ」

  プシャー

  先生の秘所から盛大にお潮が噴き出した。

  「……凄い気持ちいい」

  分かりますよ、その感覚。

  体は常に絶頂状態ですからね。

  人間の体には刺激が強いことでしょう。

  『遺伝子改造も終わったぞ。 今のお前は人間ではない。 気分はどうだ?』

  「これが私の体…… 凄い力が溢れてくる。 それに最高に気持ち良い……」

  気に入ってくれたようだ。

  「……」 『……』

  良いタイミングで現れてくれたものだ。

  「じゃあ先生。 行きましょうか」

  「どこへ?」

  「狩りの時間です。 あはっ♪」

  私は体から触手を出して先生を包むとそのまま窓から飛び出した。

  「美保ちゃん、良い匂い」

  「でしょ! 流石先生。 私の淫臭をそう言ってくれるのは先生だけです!」

  「この前は耐えきれないほど臭く感じたのに、今日は匂いを嗅いだだけで体が疼いちゃう」

  嬉しいけど、なんか複雑な気分だ。

  でも先生、あなたも愛液ダラダラで私の触手を伝って臭ってますから。

  これ、もう人間の愛液の臭いじゃないですよ?

  私も大好きな臭いなので嬉しいですけど。

  ◇◇◇

  先生を背負いながら6キロほど移動。

  市街地から少し離れた所で、見つけた!

  『2人同時か。 珍しいな』

  「何という都合の良さ。 まだ覚醒はしていないみたいだね」

  私達は寄生者達から気付かれない程度に距離を置いた場所に降り立つ。

  「ここは、お寺かしら」

  いや先生、神社です。

  幸い人はいないが、隣にある公園には何人か人間がいるようだ。

  「寄生体が覚醒する前に、先に先生を触変させちゃおうか」

  『そうだな。 ただ、万が一を考えてあの2人は先に拘束しておいた方が良いぞ』

  「あいよ。 ぶぅおエェッ! 」

  私は口を大きく開くと、触手を2人目掛けて吐き出した。

  触手は蛇のようにうねりながら彼ら絡みつき、一瞬で簀巻き状態にするとその体を拘束する。

  「な、なんだこれは─── もごっ!」

  おっと、声を出せないようにしておかないとね。

  追加で触手を放し二人の口に突っ込んだ。

  「凄い…… 格好いい……」

  淫女先生が、私の顔を羨望の眼差しで見ている。

  無理もない。

  戦闘生物である私の華麗な技をその目に──

  『下顎が砕けてなくなっているぞ。 そんな気色の悪い顔で何を格好つけているんだ』

  おっと失礼。

  触手を吐き出す勢いが強すぎたようです。

  これからは、下顎は左右に割れて開くように調整しておこう。

  でも、この顔に羨望の眼差しを向け格好いいと思うとは、淫女先生はやはり凄い。

  それはさておき、これで準備は整った。

  「れは、へんへい。 ひょくへんを」

  『だから、顎を再生させてから話せ』

  おっと、そうでした。

  私は顎の再生を適当に行うと、淫女先生に向かって笑顔を浮かべて言った。

  「では淫女先生、触変をどうぞ」

  先生がゴクリと喉を鳴らす。

  『淫女よ。 お前の戦闘形態は美保の姿がベースとなる。 多少の融通は利くから変身後の姿を思い浮かべて触変しろ』

  「分かりました」

  先生は一度目を閉じて集中すると、ゆっくりと目を開く。

  瞳の色が黒から赤に変わった。

  「触変」

  直後、一気に首が上方へ伸びゴキゴキと音を上げて体が膨張していく。

  先生の服が破れ、全身から触手が噴き出した。

  茶系の堅そうな皮膚に包まれた体には、フジツボのような突起が無数に張り付き、その穴から触手が出入りしている。

  あれ良いな、私も欲しい。

  「あがっ! がぁあアァアア!」

  長く伸びた首の先端に付いた顔は、私のように吹き飛ばさずそのままのようだ。

  でも、それが元は人間であった面影を残しているため逆に興奮する。

  先生は口を大きく開き、苦痛でも感じているかのように涎を撒き散らしながら腹に響くような絶叫を轟かせた。

  痛みなど無いはずだが、やはり声を出した方が変身っぽい。

  髪の毛がほどよく抜け落ち、短い触手が頭頂から首の上部を覆っていく。

  そして、腕や足、体中にフジツボを避けるように無数の太い血管が現れると脈動を始めた。

  いや、あれは血管じゃない。 触手だ!!

  脈打つ触手が体を締め付け、肉体が筋肉に覆われたかのような姿に見える。

  強よそぉ~

  先生は長く伸ばした首を回し、私の眼前に顔をもたげた。

  「先生、顔が人間のままですけど、その口のサイズだとペニちゃんが入りませんよ?」

  「大丈夫」

  先生はニタァと笑うと、パキッと音を立て頭頂から顎まで縦方向に亀裂が入る。

  そして、バックリと頭部が左右に割れ、中から巨大な膣口が姿を現した。

  「グギャー! キシャー!!」

  うわー! それ格好いい!!

  しかも人外の雄叫びだ!

  触変を完了した先生は自分の変わり果てた体を眺める。

  そして、フジツボの穴から愛液を噴き出し、周囲に撒き散らかした。

  この臭い、ヤバい……

  (イぐッ!)

  私も臭気に当てられ絶頂の中で触変を起こす。

  「ぐぎゃあー きしゃあ」

  あれ? 先生みたいに上手く雄叫びにならない。

  『下手くそだな。 締まらないぞ』

  だね。

  練習しないと……

  「どうですか先生。 触変した気分は」

  「これが人外の快楽なのね。 はぁはぁ…… 想像以上に凄いぃ!」

  興奮しているのか、先生のフジツボからは大量の愛液がドブドブと垂れ流れて地面を濡らしていた。

  『変身の快感に酔いしれている所悪いが、今の雄叫びで公園にいた奴らがこちらに向かってきているぞ』

  本当だ。

  10人位の不良かぶれがこちらに向かって来ている。

  「私がゴミ達に情報操作の思念を放つので───」

  「私に殺らせてぇぇえええーッ!!」

  「え?」

  振り向くとすでに先生の姿がない。

  『おおぉ…… これは中々にグロいな』

  すでに先生は不良達の中に入り、結構なエグい行動を取っていた。

  うわっ、人間を引き引き千切ったよ。

  凄ごっ。

  ドサッ!

  私の足下に首が飛んできた。

  「さすが淫女先生。 先生の著書 “触暴 ~無に帰す使者~” を彷彿とさせるグロシーンの再現ですね」

  私は足下に飛んできた首をわざと踏み潰して、先生の元へと歩き出した。

  「ふぅ…… こんなもんかな」

  先生が暴れた跡には、人間だったものが転がっている。

  バラバラだね、これ。

  「一度やってみたかったの」

  「痛いほど分かりますよ、その気持ち」

  『お前らは本当に人間だったのか?』

  失礼な。

  人間だった事は私の汚点なんだから。

  先生も完全に人間を捨て、身も心も人外と化しているようで、高揚しながら愛液を吹き続けている。

  でも先生、お楽しみはこれからですよ。

  私は触手で拘束していた2体を引き寄せる。

  「では先生、取り敢えず覚醒前のこのゴミを殺しちゃって下さい」

  「えっ、良いの?」

  随分と嬉しそうな声を出しますねぇ。

  左右に割れた顔面で笑う先生の顔、ヤバいっす。

  「えーと、本体が死ぬと破片の融合が進んで性欲大魔神として一気に覚醒しますから。 あっバラバラにしたらダメですよ」

  「そっか。 じゃ、お言葉に甘えて」

  先生は彼らの眼前に異形の顔をもたげ、男達の恐怖に染まった顔を楽しむかのようにニタァと不気味な笑みを見せる。

  そして、顔面をバックリと左右に割って巨大な膣口を露出させた。

  「キシャー!」

  人外の奇声を発しネッチョリとした愛液を膣口から噴き出す。

  うわ~ あれ絶対怖いよね。

  「た… 助けてくれ」

  「金か? 有り金なら全部渡すから」

  2体は命乞いを始めるも、その思いが届くことは絶対にない。

  すでに先生の膣口から触手が飛び出して男達のこめかみを貫いているし。

  私は白目を剥き即死した男の一人を先生の前へ、もう1体を私の前に運んだ。

  「先生はそっちの男で楽しんで下さい。 たぶんそっちの方がビッグなものを持っているので」

  「ありがとう、美保ちゃん」

  さあ、楽しませてね。

  先生の初体験なんだから気合い入れて頂戴。

  男達はすぐに覚醒し、とても立派なものを私達に提供してくれた。

  ◇

  ブボッ グチュ!

  私は巨大なペニスを首に突っ込んで、ひたすら快楽を貪る。

  あ~ 最高に気持ち良い……

  私の少し後ろからも、先生が奇声を上げて性の快楽を貪っているようだ。

  先生の愛液が定期的にこちらの方まで飛んできている。

  楽しんでくれているようで何よりだ。

  ズチュン グチュン!

  でも、凄い音だね。

  どんな性交をしたらこんな音が出るんだろう。

  チラッと、先生の方へ意識を向ける。

  「……」

  信じられない光景が広がっていた。

  先生は触手を使って、男の体を頭上に持ち上げている。

  首を上へ垂直に伸ばし、その先端に男のペニスを突き刺しながら。

  すげ~

  男を拘束していた触手の力が緩み、先生の長い首に男が上からペニスを突っ込みながら落ちてくる。

  ズチャッ!

  先生の首が彼の重量で圧縮されて短くなると、大量の愛液が膣口から噴き出した。

  その後、触手で再び男を持ち上げると首がズルズルと元の長さに伸びてく。

  そしてまた、下に落とす。

  何あれ……

  でも気持ちよさそう。

  間違いなく、絶対凄いよね。

  私も真似してみる。

  男の両手両足を触手を使って大の字に開きながら上空へと持ち上げ首を伸ばす。

  そして膣口にペニスの先を入れて、一気に彼の体を落下させた。

  ブバァ!

  首が圧縮されて縮むと、中を満たしていた愛液が一気に噴き出す。

  ペニスがいつもよりも深く体内に突き刺さってくる。

  あっ…… 想像以上に凄い……

  これ、ヤバっ!

  私は夢中で男を上下に揺らし続けた。

  『なんか凄い光景だな…… 私達は雑技団か?』

  確かに。

  傍から見たらサーカスの曲芸に見えるかもね。

  観覧料は命と引き換えだけど。

  ◇

  数分後、私が快楽を貪っていた男は精液を全て放出してしまったため、完食させて頂きました。

  先生の方も、丁度終わったみたいだ。

  さて、淫女先生の捕食シーンを拝むとしましょうか。

  先生は男の拘束を解くと地面に落とし、全身に付いたフジツボから触手を突き出した。

  無数の細い触手が男の至る所に突き刺さる。

  直後、触手が脈動を始め……

  ゴクゴクッ ゴクゴク

  何かを飲んでいるような音……

  吸ってる!

  先生が男の体液を吸ってる!

  ズチュウ~ ズルッ!

  肉まで、いや内臓まで吸ってる!

  男が見る見るしなしなになりミイラ化していく。

  エッぐ~

  その捕食は凄くエグいよ、先生。

  「ふぅ~」

  全て吸い終わったのか、先生はその残骸を拾い上げ下半身の秘所にあてがと、秘所がバックリと開きその中にほぼ皮だけとなった残骸を放り込んだ。

  え? そこ口!?

  (ねぇノクター。 先生の姿とか行為は自分の意思なんだよね?)

  『勿論だ。 全て淫女自身の行動だ』

  先生の願望があんなにグロいと思わなかった。

  人間の時はあんなに可愛いくて優しいのに……

  でも最高です!

  色々と勉強になりました!!

  さてと、残るは後始末。

  流石に食べきれないから、触手で適当に叩き潰して細かくしてから埋めておいた。

  面倒くさかったけど先生はノリノリだったのが印象的……

  取り敢えず、先生は満足してくれたようだし、これで任務完了かな。

  私と先生は触変を解除し人の姿に戻った。

  着替えを忘れちゃったから全裸だけど。

  「帰りは認識改ざんしながら全裸で帰るしかなさそうですね」

  「ぇ?」

  あんな大胆な殺戮行為をしていて、全裸姿は恥ずかしいんだ……

  まあ、そのギャップがまた良いんだけど。

  ◇◇◇

  先生の家に帰宅後、全身にこびり付いた血と愛液を綺麗に洗い流して一段落。

  興奮したから体が火照っているし、全裸でいいや。

  先生も全裸だしね。

  『淫女の体内は50度を超えているしな。 表皮は平温だが冷却のため服など着ていられないだろう』

  そんなに凄い体温になるまで興奮してるなんて先生エッチ!

  『ちなみに、お前の体内は120度あるぞ』

  「……」

  そんな火照った体の先生は、先程から部屋の隅で体育座りをしている。

  「はぁ~……」

  大きなため息をつき、どうやら落ち込んでいるようだ。

  まあ無理もないか。

  触変した姿だったとはいえ、あれだけの人間を殺し、おぞましい行為を楽しんでしまったのだから。

  先生はまだ人としての心が強いのだろう。

  私だって最初はそうだった。

  私は先生の肩に手を置き、優しく語りかける。

  「大丈夫ですよ先生。 あの時の先生は人間じゃなかったんですから、そんなに落ち込む必要はありません」

  厳密にはまだ人間に戻っていないけど。

  「違うの、あんなに凄い快感とグロシーンをどうやったら絵に出来るのかが分からなくて……」

  あ~ そっちですか。

  『だいぶ気に入ったようだな』

  「……はい、想像以上でした」

  「私もびっくりしましたよ。 先生の性交とか捕食が凄すぎて。 でも勉強になりました」

  先生は頬を染め、はぁはぁと息を荒くしている。

  「んっ!」

  プシャ

  先生の秘所からお潮が噴き出した。

  「ご、ごめんなさい。 思い出しただけで」

  それは仕方がない。

  人間の姿ではあるが、体の構造はまだ人外のままだし。

  快楽が全身を走り続けているはずだ。

  通常の人間で言えば常に絶頂状態。

  私はニヤッと顔を歪め、先生の隣へ座る。

  そして彼女の耳元に唇を寄せた。

  「人間に戻ります?」

  「……」

  返事がない。

  私は先生の耳に息を吹きかけながら続けた。

  「情報体の破片ってまだ沢山あるんです」

  「え?」

  「だから、さっきみたいな絶頂をこの先もずっと堪能できるんです」

  先生の股間から愛液が足を伝って垂れ堕ちる。

  私は先生の両足を広げて押さえつけると、股間に顔を近づけ割れ目に沿って舌を這わせた。

  「美保ちゃん!?」

  「折角ですし、人の姿の状態でも絶頂を感じてみませんか?」

  「で、でも…… 私は」

  「先生はまだ人外です。 人間の体には戻っていません。 だからこの姿でも絶頂は凄いですよ?」

  先生の秘所がヒクヒクと蠢き愛液がドロッと溢れ出した。

  「先生の秘所から溢れる愛液、凄い臭いと粘り気です。 人間が出す愛液じゃありません」

  私は先生の秘所に口を押し付ける。

  「美保ちゃん! ダメ!!」

  ジュルッ ズゾゾゾ!

  先生の愛液を吸い上げると、口の中に濃厚な味が広がる。

  歯でかみ切れるほどのドロッとした愛液。

  美味しい……

  先生は顔を真っ赤にして、息を荒げながら私を見つめている。

  「美保…… ちゃん……」

  先生が私の頭を両手で掴んだ。

  そして、自分の秘所へ押し付ける。

  「して。 お願い、私をイかせて」

  私は先生の秘所へ舌を伸ばす。

  舌先で膣壁をなぞるように擦りながら、ズルズルと奥へ侵入させる。

  奥へ… 奥へ……

  「美、保ちゃん…… 凄い。 舌がこんな奥まで……」

  秘所から溢れる愛液を吸いながら、舌先で子宮口をノックする。

  先生の体がビクンと跳ねた。

  ブボッ!

  私の口の中に大量の愛液が流れ込んでくる。

  喉の奥に絡み付く粘ついた液体が、私の体にジワリと吸収されていく。

  もう一度、先程よりも強く子宮口を舌先で突き上げる。

  先生の体が大きく跳ね、子宮口が開いた。

  私は舌を更に伸ばし、一気に子宮へと差し入れ内部で触手をぶちまけた。

  「かはッ!」

  先生の目が大きく見開き、凄まじい量の愛液がぶち撒かれ、私の口の隙間から白濁とした糊のような愛液が噴き出す。

  ギュー っと私の舌が凄い膣圧で締め付けられる。

  『……。 欠片を回収した。 遺伝子の再構築も終わったし抜いても良いぞ』

  「あいよ」

  私は長く伸びた舌を先生の膣から一気に引き抜いた。

  「んあぁ!!」

  先生は凄まじい痙攣を起こしながらその場に倒れ込んでしまった。

  「お疲れ様でした。 これで先生は人間に戻りましたので」

  「ハァ… ハァ……」

  最後に舌を抜いた時の刺激が強すぎたかな?

  あの時はもう人間の体に組み換えが終わっていたし……

  もう少し優しく抜くべきだった。 反省。

  先生は息を切らしながら腰をかくつかせて虚ろな瞳で私を眺めている。

  口をパクパクさせ何か言いたげだ。

  私は先生の口に顔を近づけた。

  瞬間、先生が私の頭をガッチリと掴んで固定する。

  そして、

  「ありがと……」

  小さな声でそう言うと、口にチュと優しくキスをした。

  「ちょ、先生!?」

  「美保ちゃん、大好き」

  先生の唇が再び私と重なり、舌が口の中に侵入してくる。

  歯茎や上顎を舐められ、舌を絡ませてくる。

  結構濃厚なキスを繰り出した先生の口が、糸を引きながら離れると耳元でささやかれた。

  「無理矢理にでもしてくれなかったら私、人間に戻れなかった」

  「いや~ そんな事ないですよ。 あはは」

  とは言いつつも、実際戻れなかっただろうね。

  「美保ちゃんの口の中、すっごい嫌らしい味がしたよ。 ふふっ」

  先生はそう言ってクスクスと笑い始めた。

  「え? それって臭かったって事ですか? 多分それは先生の愛液の味ですよ? 絶対先生の愛液です!!」

  「私、人外を経験して味覚が変わっちゃったのかも。 とっても美味しかったよ」

  「だからそれは先生の愛液の味ですからー!!」

  その後、私は再び先生に唇を奪われた。

  触手で舌を絡めとるという先生の要望を叶えるために。

  次作のためと言われたら仕方がない。

  結果、私は先生の口内を触手で蹂躙するという、何とも言えないプレイをする羽目になってしまった。

  ◇◇◇

  (先生って百合属性あるのかな?)

  『次回作はかなりぶっ飛んだ百合人外だからな』

  (え? 何でノクターがそんな事まで知ってるの?)

  『先程まで淫女の頭に同期していたからな。 4作ほど先までの構想は知っている』

  何その羨ましい能力……

  私も欲しいんだけど。

  『教えても良いが、完成を待ってからの方が楽しめるぞ』

  (そだね。 っていうか何その人間くさい台詞……)

  私には百合属性はないけれど、きっと先生の本を読んだら私の性癖に百合が追加されてしまうのだろう。

  だって……

  えへへ~

  私は鞄の中から先生にもらったイラストを眺めて愛液…… いや涎を垂らす。

  『よく描けているな』

  私と先生が戦闘形態の姿で、長く伸びた首をお互いに絡め合う微笑ましいイラスト。

  今日のお礼にと、先生が描き下ろしてくれた。

  素敵♪

  百合も有りかも。

  『どちらの口にも巨大なペニスが突っ込まれているが…… 私の知っている百合とは違う気がするぞ』

  「あはっ♪」

  近いうちに、また先生を誘って狩りをしよう。

  先生の触変は本当に凄かったし、色々と参考にもなった。

  今度はもっともっと沢山…… 人間を殺そう。

  そんな野望を抱きながら、私は人気のない路地を選んで家に向かう。

  雨が降り出しそうな湿った臭いに混じって、中々に香ばしい香りが漂ってきた。

  反応あり。

  「……さて、行こうか」

  『対応は任せるが、淫女に描いてもらった絵は鞄に仕舞っておけよ』

  「分かってるって」

  私は先生に描いてもらったイラストをクリアホルダーに挟んで鞄に仕舞った。

  直後──

  ポンッ!

  結構後ろの方からワインのコルクが抜けるような音が聞こえてきた。

  ポンポンポンポンポンッ!

  何度も連続して色々な方角から音が聞こえる。

  私の体から煙が上がり、白い液体が噴き出した。

  「これって……」

  ボンッ!

  最後に大きな音が響くと、私の額を何かが貫通した。

  私はその衝撃で地面へ仰向けに倒れ込む。

  体がビクビクと痙攣を起こし、私は──

  つづく

  [newpage]

  [chapter:第5話「[[rb:触征 > しょくせい]]」]

  私は今、とても立派な車の中で寛いでいる。

  見たこともない高そうな車。

  弾丸も跳ね返すだろう分厚い装甲は、某国の大統領が乗っている車よりも頑丈そうだ。

  たぶん特注で何億円もするんだろう。

  『内装は無骨で窓一つないがな』

  (そうだね。 しかも遺体袋に入れられて、鉄製の堅いベットの上にロープで固定されているし)

  私は路地裏で全身に銃弾を撃ち込まれ、倒れて死んだ…… 振りをした。

  あんなへなちょこ玉を浴びせられても、どうにかなる体ではない。

  私を殺る気ならロケットにでも括り付けて、なおかつ宇宙から一緒に落とす位はしてもらわないと。

  それでも死ねないと思うけどね。

  数日前から私が付けられている事には気付いていた。

  わざと裏路地に入ったのも、彼らの接触を期待したから。

  毎日毎日バカみたいにあの道を通ったしね。

  でも不意打ちで攻撃とは穏やかじゃない。

  反撃して全員肉片にしても良かったけど、取り敢えず彼らの正体と目的を調べるために私を拘束させてあげた。

  (で、私の演技はどうだった?)

  自分で言うのも何だけど、結構良い演技だったと思う。

  地面に倒れた後の痙攣、最後はガクッと首を垂れて死んだふり。

  我ながら完璧だった。

  『良かったんじゃないか? さすが多くの人間を手にかけ、死に際を見てきただけのことはある』

  ノクターが褒めてくれるなんて珍しい。

  それだけ私の演技は完璧だったのだろう。

  ……いや、褒められたのかな?

  『それより、こいつらは何者だ?』

  (う~ん、自衛隊っぽい服着てたよね。 この車も迷彩柄だったし)

  『私達の入った路地を封鎖するようにしていた車両は警察のものだったな』

  ということは……

  ついに私も国家から一目置かれる存在になったか。

  悪を成敗し、この国を守る正義の少女。

  バレてしまったからには仕方がない。

  しかし、私は地位や名誉には興味がないし、勲章の類いも遠慮させていただこう。

  『そんな待遇を受けるヤツが装甲車でロープに縛られ護送されるとは思えんのだが?』

  (まぁね)

  ◇

  長時間のドライブを堪能し、私はとある施設に運び込まれた。

  私が死んでいると思っているのか、簡易なストレッチャーに揺られて建物の中へとドナドナされていく。

  館内に入るとエタノールの臭いが臭覚を刺激した。

  病院…… いや、物騒な武器を持っている人達もいるし、特殊な研究施設の類いだろう。

  長い廊下やエレベータを乗り継ぎ、ようやく目的の部屋に着いたようだ。

  多分ここは手術…… いや解剖を行う部屋。

  私を囲むように数人の人間が現れた。

  男3人、女2人、合計5人か。

  皆さん血圧が高いですよ?

  心臓バクバク、そんな状態で私を切り刻むおつもりですか?

  勘弁して欲しいなぁ……

  (ねぇ、ノクター。 この袋が開いたらどう挨拶しようか?)

  私は彼らへの挨拶をどうするかノクターの意見を聞くことにした。

  『大人しく切り刻まれるのは癪だな』

  (ですよね~ だったら……)

  ジィー

  遺体袋のチャックが開き、私の顔が露わになる。

  「ども、こんちは。 あはっ♪」

  私は笑顔で彼らに挨拶した。

  「え? あ、あ……」

  「うわー! こいつ生きてるぞ!!」

  「きゃー!!」

  期待通りの阿鼻叫喚。

  私は指先から触手を伸ばして、彼らの腹部を突き刺した。

  大丈夫、致命傷だけど5分は死なないから。

  それより、その格好は何?

  宇宙にでも行くおつもりですか?

  たぶん彼らは医者や学者の類いだろう。

  彼らの素性を確かめた所で有益な情報は得られない。

  だから、私は部屋に設置されたカメラに向かって話しかけることにした。

  「初めまして、佐々木美保と申します。 この度は中々の歓迎ありがとうございます。 詳しいお話が出来る人はいますか?」

  【……】

  無言。

  「10秒以内に反応がなければこの5人を殺します。 見たこともないような惨たらしい殺し方で」

  【まて、いや待って欲しい。 私は責任者の田辺、国家安全保障局の者だ】

  部屋の中に設置されたスピーカーから男性の声が聞こえた。

  やはり政府機関の方でしたか。

  困ったなぁ……

  「あの、私は地位や名誉に興味がないので、勲章とかそう言う類いの物は辞退します」

  【え? あ…… いや、そう言う訳でここに来たもらったわけではなく……】

  やっぱ違うんだ。 残念。

  「じゃあ、どういう理由で私をここに連れてきたんですか? 結構荒々しかった気がしますけど」

  【その前に彼らを解放して───】

  「田辺さん、でしたっけ? 私が質問したんですから先に答えて下さい」

  私は、少しイラッとした声で田辺と名乗る男の会話を遮り回答を促す。

  【……】

  仕方ないなぁ。

  「私、人間を殺すことを何とも思ってないので本気で殺しますよ?」

  【悪いがそのような一方的な要求は政府として───】

  「ぎゃー!!」

  私の近くにいた女性が中々の悲鳴で叫び声を上げた。

  直後、ボンッ! と音を上げ女性の着ていた宇宙服のような防護着が破裂する。

  部屋中にその破片と一緒に肉片が飛び散り、血の臭いが立ち込めた。

  腰から下だけとなった彼女の断面からは触手がウネウネと突き出ている。

  「可哀相に彼女は体の内側から触手さん達によって破裂して吹き飛びました。 あなたのせいですよ?」

  くっ、という男の声に交じって複数の人物の声がスピーカから微かに聞こえた。

  結構な人間がいそうだ。

  『少しやり過ぎではないか? いきなり飛ばしすぎだろう』

  ノクターさん、飛ばすというのは肉片のことでしょうか?

  第一印象で、こいつには敵わないって事を見せるのは大事だよ。

  人間なんて、これで絶対折れるから。

  【……分かった、正直に話そう】

  ほらね。

  【私達、いや政府は君の素性と力、そして行動に懸念を抱いている】

  「懸念とは?」

  【どうして君はあのような姿を持ち、あのような行為を行っているのか、君と交戦したあの男達は一体何者なのか。だ】

  「話しても良いです。 でも、あなたは正直に話すと言いましたよね? 今までの会話の中で嘘はありませんか?」

  取り敢えず、聞いてあげよう。

  【嘘はない】

  ボンッ!

  はい二人目爆散。 いや触散か。

  【ま、まて! 本当に嘘は───】

  「あなたの名前、田辺じゃないですよね? あなたのせいで二人死にました。 まだこの人達を殺すおつもりですか、後藤さん?」

  【……】

  私は指先を触手に変化させ、まだ息のある宇宙飛行士さんの防護服をヌルヌルのネバネバに仕上げた。

  『上手いな美保。 それに、他人の頭の中にある情報を読み取る事まで出来るようになったか』

  (まだ会話している人間だけしか読めないけど凄いでしょ)

  私はノクターの力をかなり使いこなせるようになってきたらしい。

  「後藤さん、あなたでは役不足です。 もう少し上の方か頭の回る人に変わって下さい」

  この男は上級の官僚である事に間違いはない。

  でも、私と話をしたいならもっと上の人に出てきてもらわないと。

  よって、彼にはご退場頂きましょう。

  【そうか。 悪いが切り札はこちらにもあるんだ】

  あ~ やっぱそう来たか。

  部屋の中に置かれたモニターに、一人の女性が意識を失ない椅子に固定されている映像が映る。

  淫女先生だ。

  麻酔だろうか、全身に注射針を打ち込まれて可哀相に。

  【悪いことは言わない。 分かったら無駄な抵抗は止めてもらいたい】

  さて、ここからが腕の見せ所だ。

  人外を相手に、調子に乗った罰をたっぷりと味合せてやろう。

  「その人、別に殺して構いませんよ? 私、人間なんていうゴミには興味ないので」

  【こちらを混乱させるつもりか? この女性は君と仲が良いことは調べてある】

  「私は彼女のマンガが好きなだけですから。 なんなら私がこの手で殺しましょうか?」

  面倒だからここら辺で引き下がってくれると有り難いんだけど……

  ウイーン

  私のいる部屋の後方で扉の開く音がした。

  振り返ると、モニターに映っていた通りの状態で淫女先生が椅子に固定され意識を失っている。

  【ご覧の通りだ。殺せるならやって構わない。 ただ、もし助けたいのなら私の指示に従ってもらいたい】

  面倒くさいなぁ。

  私はベッドから降りて先生の方へ歩を進める。

  そして、先生の頭を両手でガッシリと掴む。

  「だから人間を殺す位なんとも思ってないって言ったでしょ!」

  語尾を強め、私は先生の頭部を一気に引き裂いた。

  先生の頭部が左右に割れ、大量の血と脳みそが床に飛び散る。

  【なっ!?】

  「これでそちらの手は終わりですか? あなた1つ上のフロアーにいますよね。 今から行っても良いですか?」

  私は首をズルズルと伸ばし、天井に付いたカメラの真ん前に顔を近づけるとニヤリと笑みをこぼす。

  「お前を最高に惨たらしいやり方で殺してやるよ。 そこで待ってろ。 あはははは!」

  そして、最後にカメラをぶち壊した。

  「どう? ノクター、今の凄くない?」

  『そのままホラー映画に使えそうだな』

  自分でも惚れ惚れとする演技に大満足。

  「さて、と」

  私は部屋の中を見渡す。

  私を解剖しようとしていた人達は、出血多量で死んでしまった。

  後藤がいらん時間をかけるから。

  敵は絶対に取ってあげるからね!

  『お前が刺さなければ死ななかったと思うが』

  「てへ。 それよりノクター、先生の方は?」

  『再構築は可能だが……』

  「だが?」

  『それより、いくら何でも酷すぎないか? ほとんど脳が残っていないぞ』

  確かに先生の頭は凄いことになっている。

  しかし、この位しないとエンタテインメントとして臨場感に欠ける。

  でも…… ちょっと調子に乗りすぎた感はあるね。

  反省。

  こいつらが先生にちょっかいを出すことは当然想定済み。

  先生を事前に人外化させたのも、リアルグロを体験させたのも、もちろん作戦だ。

  さすが私。

  『淫女の体を生体改造した後で思いついただけだろ』

  「でも近いうちに手を打たなきゃって思っていたし、ナイスタイミングだったよ」

  『淫女の脳内に私の回路をそのまま残しておいたのは正解だったな』

  そう。

  先生を人間に戻す際に、遺伝子構造は人に戻したが、ノクターの回路はそのまま置いておいた。

  つまり先生の体の中には、ノクターの欠片が残っている。

  もちろん、先生が触変した際の遺伝子情報もその肉体に保存済み。

  「ノクター、一応先生を触変出来る体にしておいて」

  『分かってる。 念のため…… そうだな、戦闘形態のパワーアップもしておこう』

  見るも無惨な状態となった先生の頭部から、グチャグチャと音を上げて細胞の再生が始まった。

  先生にこの光景を見せてあげたかった。

  『悪いがそこに転がっている死体を淫女の近くまで運んでくれるか』

  「どうするの?」

  『再生と再改造に使う養分にしたい』

  おっけ~

  私は3人の遺体を先生の前に積み上げる。

  たんとお食べ、先生。

  先生の体から触手が生え、3人の死体に突き刺さる。

  触手が体液を吸い上げながら脈動を始めた。

  先生、これであなたは人間を喰らって自己再生しちゃう完全な化物になりました。

  人間なんてゴミみたいな下等生物から完全なるクリーチャーへと進化してください。

  「先生は人間のようなゴミとは違うんですから」

  淫女先生の体から這い出た触手が、美味しそうに3人の遺体を貪り始めた。

  触手の先端から溶解液を出して肉を溶かし、それを吸い上げては再生を繰り返す。

  触手が遺体を次々に喰らっていく光景は、まさに地獄絵図だ。

  『少し時間がかかりそうだ。 先に行こう』

  「あいよ」

  多少の心配はあるけど、先生がここで修復改造している間に上にいるゴミ達と話を付けに行こう。

  あと、後藤を殺さないと。

  「ねぇノクター。 ドアの前に結構な数の人間がいるけど、どうする?」

  『20人か。 上のフロアーに行くまでにもウジャウジャいるな』

  というわけで、まずは天上をぶち抜いてショートカット。

  私は体から触手を突き出し天井をぶち抜くと、一つ上の皆さんがいるフロアーへと移動した。

  ◇

  「こ~んに~ちは~」

  7人ほどがいる結構広い部屋。

  その中に…… いた!

  「約束通り後藤を殺しに来ました~」

  私は触手を放ち、後藤の両手両足を拘束して持ち上げる。

  「うわー!!」

  彼は突然の出来事に驚きの声を上げることしか出来ないようだ。

  「念のため聞きますけど、この中で一番偉い人は誰ですか?」

  「わ、私だ」

  後藤さん…… あなたこの状況で、まだそんな事を言うんですか……

  ゴキッ ボキッ!

  「うがーっ!!」

  私は後藤を拘束している触手に力を入れ、彼の両手足の骨を砕いた。

  「ま、待ってくれ! たぶんこの中では私が一番立場が上だと思う」

  そう言って一人の男が手を上げた。

  「どちら様ですか?」

  「内閣官房の橋本と言う。 官邸から指示を受けここに来ている」

  嘘ではないようだ。

  官邸からの指示とは、これまた凄いね。

  「 じゃあ、あなたが私と交渉できる人間ですね。 よろしく」

  「その前に彼を解放して───」

  言葉を遮って私は後藤の首を触手でへし折る。

  ゴキッ!

  最後に分かりやすい音を出してくれてありがとう、後藤さん。

  「調子に乗らないでください。 あなた達から私への指示や意見は受けませんので」

  私はそのまま後藤の首を引き千切って頭部を壁に投げつけた。

  中々丈夫な壁だね。

  頭の方が粉々になった。

  「橋本さん、私から人間のゴミ共に伝えることは2つ。 一つは私と淫女先生、そしてその周囲に今後一切の監視やちょっかいを出さないこと」

  「……持ち帰って検討させて───」

  はい、残念。

  私の触手が橋本さんの隣にいた人の頭部を貫きました。

  可哀相に。

  「“はい” 以外の発言は認めませんよ?」

  「わ、分かった。 今後の監視などは一切行わないことを約束する」

  最初からそう言っておけば良いのに。

  私ナメられてるのかな?

  「それと、2つめ。 これからも私達は人間を殺します。 私達が関与していると思われる事案に関しては政府が責任を持って隠蔽してください」

  「……」

  「それは、法治国家として───」

  誰だか分からないヤツが横から口出ししてきたから、取り敢えず首を跳ねる。

  これで三人目。

  言うこと聞かないと、交渉が終わる前にみんな死んじゃうよぉ~

  「良いですね、橋本さん」

  「わ、分かった。 各機関にはそう指示を出す。 ただ少し時間を欲しい」

  はい四人目~

  「待ってくれ! 分かった! すぐに手配する」

  だから最初からそう言えって。

  「では、交渉はこれで終わりです。 橋本さんは隅にあるロッカーの中に入って下さい」

  「……どうする気だ」

  はい五人目~

  沢山の触手が突き刺さった男が、悲鳴を出す間もなく血を噴き出しながら倒れた。

  「わ、分かった! 入る! すぐに入るから」

  橋本っちは急いでロッカーへと駆け込んだ。

  「助けが来るまでそこにいてくださいね。 あなたに死なれると交渉がパーになっちゃうんで」

  さてと、残りは一人。

  「あなた、白衣を着ているって事は医者か何かですか?」

  「そ、そうだ。 君と交戦していた男達の残した遺伝子を解析して調べている」

  確かに捕食前の交戦で血とか精液は飛び散ってたしね。

  ちょっと厄介だな。

  『なぁ、美保。 ちょっと良いか?』

  (どうしたのノクター?)

  『いや、その…… 淫女なんだが』

  (そういえば、先生の再構成は終わった?)

  『……終わってはいる』

  何その表現。

  グチュ…… グチョ……

  下のフロアーから触手の這う音がする。

  先生の目が覚めたのだろうか。

  私は先程突き破って出てきた穴から下を覗き込む。

  「……」

  あれ? 確か下のフロアーの床ってコンクリだったよね?

  触手で埋め尽くされてるんだけど……

  「うわー! 助けてくれー!!」

  「きゃー! 痛い! 痛いー!!」

  下から人間の悲鳴が聞こえますけど、先生は一体何をしてるの?

  『無差別に人間を襲って捕食してるな』

  (どういう事?)

  『淫女の遺伝子に何か混じっているのが原因だろう』

  先生の体に別の遺伝子が!?

  私は再び白衣の男性に目を向け脳内をスキャンする。

  「はぁ~…… 先生の体に寄生体の男から抽出した遺伝子を入れたのか……」

  こりゃ一本取られたねぇ~

  こんな切り札を隠し持っていたとは。

  私は触手を放ち、白衣の男の体を拘束して壁へ磔にする。

  恐怖と絶望に染まったその表情は合格。

  でもさぁ。

  「人間の分際で淫女先生に変なことしてんじゃねーよ!!」

  私は男の顔面の一部を抉り、骨という骨を砕いた。

  「ぎゃーっ!! あぁーっ!!」

  男はこの世の物とは思えないような悲鳴を上げ叫び出す。

  「3時間は死なないから、罰としてたっぷりと激痛を味わってから死ね!」

  悲鳴を上げ続ける声が不快なので、最後に声帯を壊しておいた。

  『下のフロアーに戻ろう』

  「そだね」

  ◇

  先生のいるフロアーは触手が床をビッシリと覆い尽くし、部屋の中がベトベトのドロドロになっていた。

  大量の触手に覆われた室内。

  その部屋の角に先生…… いや、それはあった。

  「え~っと、あれは何でしょうか?」

  巨大な卵のような、繭のような形状をした物体。

  表面は紫がかった半透明で、ぶよぶよとした質感をもち、触手が血管のように走り脈動している。

  内部は白濁とした液体で満たされているが、何か入っているような影が浮かぶ。

  間違いなく先生だろう。

  部屋を覆い尽くしている無数の触手は、その物体の下部から生えている。

  触手があちこちに転がった人間に突き刺さり、何かを吸い上げているようだ。

  餌食となっているのは、ドアの前にいた人間達だろう。

  すでに事切れている女の膣内には太い触手が股を引き裂いて突き刺さり、男のペニスは触手に巻き付かれながら激しく脈動し射精している。

  これは凄い、この触手両刀か!

  「ねぇノクター、これはどういう状況?」

  『暴走、いや進化の暴走と言ったところか』

  おっと先生、暴走までするとは羨ましい。

  しかも “進化の暴走” とか格好良すぎるんですけど。

  完全に私を超えちゃいましたね。

  「取り敢えずその暴走は止められるの?」

  『いや、暴走事態は終わっているようだが淫女の意識が……』

  「なるほど。 先生の意識が戻っていないから止められないと」

  『いや、もう戻っている』

  ちょっと待ってくださいノクターさん。

  それは、先生が自らの意思でこの惨状を引き起こしているとでしょうか?

  『そういう事だ。 しかも楽しみながら進化を加速させている』

  わ~お。 さすが先生。

  強制的に打ち込まれた遺伝子すら取り込んで進化するとは、私には真似できない芸当です……

  『それより淫女の状況を確かめよう』

  「あいよ」

  先生の状況を確認するため近づこうと足を踏み出した瞬間、触手の動きがピタリと止まった。

  そして、先生を包んでいた繭にひびが入り始める。

  ドクンッ…… ドクンッ…… グチョ!

  脈動と共に繭の裂けた隙間からドプッ…… と強烈な淫臭を放つ液体が流れ出し、先生の体がゆっくりと露になる。

  「先… 生……?」

  私は先生の姿を見て思わず息を呑む。

  暴走と聞いていたから、どんなクリーチャーになって出てくるのかと期待していたけど人間の姿だ。

  しかも全裸。

  「あ゙~ ふふっ」

  先生は、まるで “ヴィーナスの誕生” のようなポーズで、指に付着した粘液を舐めながら秘所を弄り、妖しい笑みを浮かべてこちらを見ている。

  人間の姿なのにすごく綺麗。

  その姿は妖艶であり、同時に凄く卑猥だ。

  一言で言うなら……

  「エッロ!」

  ほどよいサイズの胸。

  主張しすぎず、小さすぎず、張りのある最高の膨らみ。

  腰はキュッとくびれ、ヒップはボーンと身体が肉感的な曲線を描いている。

  実にけしからん体型だ。

  指先で秘所を弄り、凄い粘度を持った愛液がトロ~っと床に着きそうな程に糸を引き垂れ落ちる。

  そして、秘所の上からは一本の剛直がいきり立っている。

  私の大好きなペニス。

  大きい。 形も凶暴。

  今までの寄生体の男とは比べものにならないほどの……

  「ん?」

  先生はいつから両性具有に?

  いや、ここはその筋の者として[[rb:二形 > ふたなり]]と呼ばせて頂こう。

  というか、その肉棒エグすぎるんですけど。

  先生が舌舐めずりをしながら私の方へと近づいてくる。

  触手の群れが先生を取り囲むかのように一緒に移動してくるその姿は、まるで触手を従える女王様のようだ。

  格好いい……

  先生の手が鎌首をもたげる触手を優しく撫でる。

  グチョ… ピチャ

  まるで自分の子供の頭を撫でる母親のように。

  そして、糸を引く粘液が付いた手を口元へ運び、指先を舌で絡め取るようにしながらしゃぶり始めた。

  ジュル…… チュパ……

  これはヤバい。

  ヤバいくらいエロい!

  先生は指を口内で転がすようにして丹念に舐めながら、私に妖しい笑顔と目線を送ってくる。

  格好良すぎ!

  私もアレやりたい!!

  そんな魅惑的な光景と、全身を包み込む白濁の粘液から放たれる強烈な淫臭で私の本能が発情する。

  先生が近づいてくる度に濃くなる臭いに耐えきれず、私の体が勝手に触変を始めた。

  首が伸び、顔面を吹き飛ばして大きく開いた膣口から愛液が吹き上がる。

  捕食前だというのに、先生の放つ淫臭が私の体を強制的に発情させ、噴霧器官から大量のガスが排出された。

  胸の下から糊のような愛液がドプドプと噴き出し、体をネットリと包み込んでいく。

  完全な戦闘形態へと姿を変えた私の目の前まで来た先生は、股間からそびえ立つ巨大な肉棒を私の体に擦り付けてきた。

  「どう美保ちゃん? これはあなたのためだけに作った特製の生殖器なの」

  白濁のドロッとした粘液が私の体に触れただけで、気が狂いそうな程の絶頂が体を駆け抜ける。

  欲しい……

  このペニスが欲しい……

  膣を掻き回し、奥を突いてほしい!

  子宮が子種を求めている。

  私は無意識に首をもたげ、膣口を広げ先生のペニスの先を咥え込んだ。

  クチャッ…… ブボッ!

  先生のペニスが私の膣口に触れただけで、盛大に愛液が噴き出してしまう。

  こんなものが中に入ってきたら私、どうなっちゃうんだろう……

  自分を保てる自信がない。

  「私の体で、美保ちゃんに今まで感じたことがない絶頂をあげる。 受け取って」

  膣口に入れた状態で固まっている私に、先生がニヤッと笑顔を向けた次の瞬間。

  ズボッ! ミチミチ!

  先生のペニスが一気に伸び、私の首の中へと突き刺さった。

  「あ… ああっ… あっ……」

  何これ……

  先生のペニスが私の首を限界まで押し広げ、擦り上げながら体の奥深くまで突き刺さってくる。

  首を動かさなくても、首を締め上げなくても、先生のペニスが私の首の中で勝手に膨らみ、伸び縮みを繰り返してくる。

  覚醒した寄生体のペニスなんか比較にもならない、次元の違う快感が私の全身を襲う。

  これはただのペニスじゃない。

  触手の遺伝子を組み込んだ触手ペニス。

  私は身動きが取れなくなる程の絶頂を感じながら、先生の触手ペニスの送出を受け続ける。

  今の私は絶頂を感じ、愛液を吹き散らすだけの肉塊に成り下がっている。

  「ねぇ美保ちゃん、わたし進化して分かったの。 この世は快楽だけあれば良いって」

  先生の触手ペニスがさらに大きく膨れ暴れ回る。

  ジュブッ! グチュ! グチュ! グチュ!!!

  「私ね、美保ちゃんにいつでもどこでも快楽を貪れる体になって欲しい。 でも今の美保ちゃんの体じゃ超えられない」

  先生の触手ペニスの動きが速くなる。

  「んあぁ!!」

  ブシャー! ビシャー!

  私の体のあらゆる所から愛液が噴き出す。

  「こんな比じゃない絶頂が欲しくない?」

  「ほ、欲ひいれす……」

  先生の言いたい事が分かった。

  私にもっと進化しろと言っている。

  「じゃあ私の遺伝子をあげる。 進化した最強の化物の遺伝子よ、受け取って!」

  大量の精液がぶちまけられた。

  「ぶぼっ!」

  あり得ない量の焼けるように熱く、濃厚な精子が私の体の中を満たしていく。

  ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!

  触手ペニスの鼓動に合わせ、先生の遺伝子をたっぷりと含んだ精液が注ぎ込まれ、私の体を冒していく。

  「あっ…… あっ……」

  言葉が出ない。

  凄い。

  凄い、凄いっ、凄いーっ!!

  私の細胞が、遺伝子が、先生の精液を我先にと取り込んでいく。

  吸収の速度が尋常ではない。

  絶頂、いやそんな生ぬるいものではない、今まで感じた事が無い超絶的な感覚が全身を襲う。

  何かのスイッチが入ったような、抑えきれない高揚感が全身を包み込んだ直後、私は意識を失った……

  ◇

  どのくらいの時間が経ったのだろうか。

  気がつくと、私は白濁とした液体の中にいた。

  この臭いは私の愛液……

  違う、先生の精液の臭いも感じる。

  今までとは比較にならない濃い臭い。

  私を包み込む液体の臭いだけで体が発情してしまう。

  もっと欲しい。

  ドプッ……

  私の中に強烈な快感が流れ込んできた。

  もっと、もっと頂戴。

  トプッ…… ドボッ

  私の願いに答えるかのように、外から快感が運び込まれてくる。

  「……」

  状況が把握できてきた。

  私は今、培養繭の中で全てを溶かされ再構築されている。

  先生の精液に含まれた遺伝子情報が私の遺伝子と混ざり合って、新たな生命体へと進化していく。

  進化を促すためには、沢山の栄養と快感が必要だ。

  培養繭の外で、私は夥しい数の触手を生やし人間を絡め取って蹂躙している。

  さっきの先生のように。

  多くの人間の男根を触手で包み込み、ペニスを強制的に擦り上げ精液を貪ぼっている。

  女の秘所には触手を突き刺して、絶頂による快楽物質を吸い上げる。

  果てそうになる人間達に私の愛液を流し込み、無理やり発情を促し、用の無くなった人間は養分として捕食する。

  私は触手で人間達を犯し続け、快楽と養分を自分の体へと送っているのだ。

  私は進化した。

  寄生体からだけでなく、人間からも快感を得る身体を。

  そして、人間を餌として喰らう事の出来る能力を手に入れた。

  寄生体だけでなく、人間も餌にする化物に。

  ピシッ!

  進化した新しい私が誕生する。

  私を包んでいた繭が割れ、大量の愛液が床に流れ出る。

  繭から出て最初に目に映ったのは、無数の触手に覆われた部屋と、食い散らかされた人間の残骸が転がった地獄。

  私はその光景を見つめ、秘所から滴り落ちる愛液を指に取りペロリと舐め上げた。

  「み、美保ちゃん? 気分はどうかしら?」

  後ろから声が聞こえた。

  私は声の主へ首を180度回転させ顔を向ける。

  「ええ、とても良い気分ですよ。 クイーン」

  『クイーン!?』 「クイーン!?」

  「私をここまで進化させたあなたは、名実ともにクイーンです」

  私は彼女の遺伝子を元に再構築された生命体だ。

  彼女がいなければ、今の私は存在していない。

  ノクターに寄生され、触手クリーチャーとしての自我を覚醒できたのは彼女のお陰。

  快楽を貪り、人間を捕食する行為に精神が順応出来たのも彼女のお陰。

  彼女のマンガの世界ではそれが当たり前だったから。

  そして、そんな化物になった私を受け入れ、更に進化させてくれたのも彼女。

  私は彼女に憧れ、尊敬を抱いている。

  生まれ変わった私には、それが今でも刻み込まれている。

  彼女は私を作り出した存在、クイーンであると。

  「クイーン…… いえ、ノクターに聞きましょう」

  『何だ?』

  私の進化はノクターとクイーンによる計画的な暴走だ。

  おそらく、クイーンに寄生体の遺伝子が打ち込まれ、私が頭部を粉砕した際に立案されたと思われる。

  「違いますか? ノクター」

  『その通りだ』

  私に計画を隠していた事は許し難いが、意識的な進化より無意識下での進化の方がリミッターが外れる事を考慮したのだろう。

  お陰で私の方がクイーンよりも進化が上回っているのはそのためだ。

  結果的に、私は生物とは呼べない未知なる生命体へと進化できた。

  「な、何か美保ちゃんの雰囲気がいつもと違う気がするけど……」

  「そうですね。 成長…… とでも言うのでしょうか。 今までの私は、まだ人としての理性がありました。 しかし今はもうありません。 あるのは、食欲、性欲、そして快楽を求める本能と最低限の記憶と感情のみ。 それ以外は不要ですから消去しました」

  私の言葉にクイーンはゾッとした表情を見せる。

  しかし、その表情は恐怖や畏怖というものではない。

  期待と興奮に満ちたものだ。

  「性格も変わったのね。 でもそんな美保ちゃんも素敵」

  彼女は本当に素晴らしい化物だと思う。

  ただ快楽を求め続けるのではなく、それを糧に人類を破滅へと導く存在に昇華しようとしているのだから。

  私がクイーンの立場ならこんな考えには至らなかっただろう。

  彼女に出会えて良かった。

  「多少…… いえ、自分で言うのも何ですが、かなり冷酷な性格になったと思います」

  クイーンは私の言葉に、これから何が行われるのかを察したようだ。

  「追加の派兵がこちらへ向かってきているようですね」

  『ああ。 150人の戦闘兵器満載の部隊が接近中だな』

  橋本との約束は守られなかったようだ。

  なら仕方が無い。

  私は体中から無数の触手を突き出して言った。

  「下等生物共に、自分達の置かれた立場を叩き込んでやりましょう」

  ◇

  30分後。

  膨大な数の人間が触手の海で溺れている。

  グチャッ! ブチッ! ボキィ! ジュルルルッ

  夥しい数の触手が人間の体に突き刺さり、体液を吸われながら生殖器を蹂躙されている。

  「あなた達のような下等生物は、どう足掻いても上位生命体には敵いません。 身をもって私達の餌となりなさい」

  ボキボキッ! グチョッ!

  触手が動くたびに肉片が飛び散り血飛沫が舞う。

  そんな光景を見ながら私は無表情で絶頂を味わい、人間達を次々と捕食していく。

  「ちゃんと見ているのですか?」

  私の横には、至る所から血を流し、触手で拘束された橋本がいる。

  彼にはこの光景をたっぷりと脳に焼き付けおいてもらう必要がある。

  上位生命体である私の信用を裏切った彼は簡単には殺さない。

  「目を背けずよく見ておきなさい。 私達に刃向かうとはこういう事なのです。 理解できましたか?」

  私は橋本にそう告げると、意識を失いそうな彼の両手を触手で食いちぎる。

  「ぐぅああー!!」

  人間の悲鳴は心地が良い。

  もっと聞いてやろう。

  私は生き残っている人間の身体に向け、次々と触手を突き刺した。

  「ぐわー!!」

  「ぎゃー!!」

  至る所で悲鳴が上がる。

  お前達は私にほんの一瞬でも快感を与える事が出来ました。

  光栄に思って私の養分となって消えなさい。

  人間だった物は触手に喰われ、ただの液体へと変り私の身体へと流れ込んでいく。

  『お楽しみの所悪いが、少し良いか?』

  もう少し快楽を味わいたいが、ノクターの作業が終わったようだ。

  「終わりましたか、ノクター」

  『ああ。 まだ日本国内だけだが、世界中への電波送信は1分以内には完了する』

  人間共が乗り付けてきた車に衛星通信車があった。

  クイーンの発案で衛星を乗っ取り、ノクターが世界中の電波施設を掌握した。

  この現場の光景は橋本の脳から、衛星を通して人間達の脳へと送られた。

  同時に上位生命体の存在と、その絶対的な力もインプットされたはずだ。

  これで日本は愚か、世界中の人間は私達に快楽を与え養分となる餌だということが脳へと刻まれた。

  そう、人間は上位生命体の餌にすぎない。

  それだけのために存在が許されている。

  私の気分次第で人間は殺され、犯され、食べられる。

  今日からこの星は、快楽と恐怖だけで成り立つ世界へと生まれ変わる。

  私とクイーンがそれを証明しよう。

  「ノクター、少し予定が狂ってしまいましたが構いませんよね」

  『何のことだ?』

  「あなたが完全体になる前に、この星を征服してしまいましたので」

  『そんな事か。 構わないぞ。 何なら私の破片の回収の事すらどうでもいい』

  ふふっ

  彼も私と完全に融合…… いや取り込まれたようだ。

  私の意識化で掌握されている。

  すぐにでもノクターの意思を形成する回路を破壊する事も出来る。

  しかし、彼にはまだ役割がある。

  「安心して下さい。 あなたの欠片は必ず全て回収しますから」

  『そうか。 優先順位は低くても構わないぞ』

  「いいえ、早くノクターを完全体にしないといけませんから。 それが私の優先事項です」

  ノクターが完全体になるという事は、当然私もその影響を受ける。

  今の破片ですらこの能力。

  それが完全体となったら……

  想像する事ができない程の力を私は得る事が出来るだろう。

  彼の意思を消すのはその後だ。

  「ギシャー! グギャーー!!」

  10メートルほど先で、身の毛もよだつ姿のクリーチャーが命を弄んでいる。

  クイーンが発する人外の雄叫び。

  周りに溶解液を撒き散らし、触れる物全てを溶かしている。

  触手の先端は、触手と人間の顔が交じった物へと変化し人間達を貪り蹂躙していた。

  捕食した人間達の顔を、触手と遺伝子融合して捕食器官と生殖器へと作り替えているようだ。

  人間に恐怖と絶望を与えるためだけに凝縮したその姿は畏怖の象徴。

  クイーンの名に恥じない生命体としての姿。

  「そう、その姿です。 あなたは私が認めた最強の生命体」

  自ら人を捨て進化した最悪の化物。

  私を進化へと導き、この先も永遠に私と共にこの世に存在し続ける上位生命体。

  もう人に戻る事は出来ない所まで、私は彼女をこちら側へと引き込んだ。

  彼女を巻き込んだ事に後悔があるとするならば、それは……

  もう淫女先生の描くマンガが読めない事。

  こればかりは仕方が無い。

  (大丈夫よ美保ちゃん)

  「?」

  クイーンが人間の頭部を秘所に突っ込みながら語りかけてきた。

  (私の描く予定だったマンガの内容は、私と美保ちゃんがこれから現実に起こしていくんだから。 ね?)

  私は思わずクスリと笑った。

  全く、この人は……。

  「次は確か、人外百合でしたよね。 容赦はしませんので」

  (!?)

  クイーンはビクッと体を震わせた。

  その反応で秘所に突っ込んでいた人間の頭部を膣圧で潰してしまったようだ。

  私は数え切れない量の触手を放ち、生き残っていた人間達の身体に突き刺して捕食する。

  そして、人間達の断末魔をバックに、彼女にだけ聞こえるように呟いた。

  私のクイーン。

  あなたは私の中で永遠の先生です。

  完