年上虎獣人に孕まされた高校生の俺が、2人で両親に結婚の挨拶に行くお話

  ☆

  「ねえ、本当に今日挨拶するの?」

  目の前のドアノブに手を伸ばそうとした俺ー柏原智一ーは、一瞬躊躇して、隣にいる大柄な虎獣人を見つめた。

  虎山勝成さん。

  つい先ほどまで名字しか知らなかった、この強面の虎獣人が、俺の大好きな人だった。

  3メートルはある背丈にふさわしいがっちりとした体格。

  腕や足なんか、服がちぎれそうなほど膨れ上がっている。

  そして、いつも不機嫌そうに歪められたゲジゲジの眉に、への字に曲げられた口。

  そのぶっきらぼうな物言いも合わせて、威圧感ならテレビで見たヤクザにだって負けていないだろう。

  でも……本当はとても優しい事を、俺はすでに知っていた。

  「なんだ、怖気づいちまったのかよ。怖ぇなら俺だけで挨拶しちまったっていいんだぞ」

  そう言いながらも、勝成さんも幾分強張った顔をしている。

  それはそうだろう。

  なにせ30越えた大の大人が、高校生である未成年の俺を、孕ませてしまったのだから。

  そう、俺達は出会い系アプリで知り合った、いわゆるセフレだった。

  でも、セックスを繰り返すたびに俺はだんだんと勝成さんが好きになっていって……。

  その気持ちに悶々としているうちに、俺はいつの間にかこの虎獣人の子を身ごもってしまっていたのだ。

  どうすればいいのか悩む俺に、勝成さんは『俺は智一が好きだ! お前を嫁にしたい』と言ってくれた。

  すごくうれしかった。

  でも……。

  それが世間的には非難されるべきことだとは重々わかっていた。

  場合によっては通報されてもおかしくない案件なのだ。

  それを俺の両親に謝罪して、なおかつ結婚したいと説明するなんて。

  自業自得とは言え、さすがの勝成さんも緊張するはずだ。

  ぎゅっ。

  俺はそんな勝成さんの手を強く握る。

  「いや……俺も一緒に……」

  これは勝成さんだけの問題じゃない。

  俺と勝成さん、2人の問題なのだから。

  とは言うものの、正直、両親にどんな顔をされるかわからない。

  母さんは少し天然が入っていて、穏やかな性格をしているからそれほど怒らないかもしれない。

  でも、問題は父さんだ。

  厳格な性格をしているから元々躾も甘くなかったし、会社経営をしているワンマン社長だから、人を見る目も厳しい。

  我が子を、しかも未成年の男である俺を孕ませたのが、30過ぎの獣人だなんて分かったら、どんな顔をするか想像もできなかった。

  ……多分、ものすごく怒られるんだろうな。

  怖くないと言えば嘘になる。

  ……それでも、これを乗り越えないと、俺は勝成さんと一緒にいられないんだ。

  俺は自分に気合を入れると、頭の中でどうやって両親に話をするかを考えながら、我が家の扉を開けた。

  「ただいま!」

  ☆

  「ああ、智一。おかえりなさい!」

  夕飯の支度をしていたのだろう。

  エプロンをつけたままの母親が、スリッパをパタパタと鳴らして出迎えに来た。

  「あら、お友達も一緒かしら?」

  「は、初めまして。わたくし、虎山勝成と申します」

  今まで見せたこともない、がちがちに緊張した虎獣人の様子を見て、隣にいる俺の頭の中まで真っ白になる。

  「あ……」

  言おうと思っていた言葉の順番がすっ飛んでしまったのだ。

  当初の予定では、軽く挨拶をして家に上がり込んでから、世間話なんかをしながら勝成さんのいいところをアピールして、好感度を上げてから結婚の話をする予定だったのに。

  つい、一番最後に言わなければならないはずの言葉が、口かこぼれたのだ。

  

  「母さん、俺……勝成さんの子供身ごもっちゃったから……結婚します」

  「えっ……」

  その言葉に思わず絶句する母さん。

  いや、隣で聞いていた勝成さんも驚愕の表情を浮かべていた。

  「お、おい! 智一……いや、柏原くん……」

  勝成さんは慌てて俺の肩を揺するが、口から出てしまった言葉はもう戻らない。

  さすがにその様子を見て、冗談ではないとわかった母親が、口を開いた。

  「智一、どういうことなの? 男なのに妊娠って……。その方と結婚するつもりってこと?」

  「う、うん、そのつもりなんだ……」

  気まずくなって俯いてしまう俺と勝成さん。

  ……どうしよう。

  もう俺の頭の中は、勝成さんが悪者にならないように説明することで精一杯だった。

  「俺、勝成さんが好きで、結婚して子供が欲しいってお願いしたんだ。そしたら……」

  その言葉に母さんは虎獣人へと視線を向ける。

  「虎山さんとおっしゃいましたね」

  「……はい」

  「あなた、ご自分のやったことがどのようなことかわかっておられるんですか?」

  その冷たい言葉に、俯いたままの虎獣人の額に汗が浮かぶ。

  勝成さんはすぐさまその場に膝をついて、頭を土間に擦り付ける。

  「……申し訳ございません」

  「謝っていただいてすむ話ではないと思いますが……。とりあえず、きちんと説明していただかないと。……ひとまず中へおあがりください」

  そう、母さんが虎獣人に声をかけた瞬間だった。

  「春江!」

  それを遮るような大声が、部屋中に響いたのだ。

  「こんな奴を家にあげるだと! お前は何を甘っちょろいことを言っているんだ!」

  それは怒りに任せて怒鳴りつけるような声。

  俺がびくっとして顔を上げると、そこには俺の父さんが、ゆでだこのように顔を真っ赤にして頭を下げたままの虎山さんを睨みつけていた。

  「…父さん」

  「そこの……そこの虎獣人が俺の息子に手を出したのか!」

  そう言うと、父さんは靴の履かないまま玄関に降りて、土下座している勝成さんの胸ぐらを掴む。

  ニンゲンにしては大柄でがっちりしているとは言えども、虎獣人と比べたら体格はまるで違うのに、父さんはそれでもまったく怯まなかった。

  むしろ怯んだような驚いた顔をしたのは、勝成さんの方だった。

  「あ……」

  息子の事を大事に想う父親の迫力に気おされてしまたのか。

  虎獣人は強張った顔のまま、口を開こうとして……。

  「しゃ……」

  「うるさい!」

  そんな勝成さんを、発言は許さないとばかりに父さんは怒鳴りつけた。

  「余計なことは言うな! いいからこっちへ来い!」

  父さんはその大きな体を引っ張り、外へと連れだすのだ。

  「か、勝成さん!」

  俺は思わず2人を追いかけようとするが、その腕を母さんが掴む。

  「智一はこっちに来なさい」

  「でも……」

  「あっちはお父さんに任せて。それよりも、きちんと説明をしてもらわないと」

  「はい……」

  ☆

  「そういうことだったのね……」

  困ったような顔をしている母さんに、俺はごまかすことが出来ずに正直に話すことしか出来なかった。

  ふう、と1つため息をついて、母さんは言う。

  「誰かを好きになることは悪い事じゃないわ。でも、貴方はまだ高校生なのよ。そういった行為も、結婚なんてことも、まだ早すぎると母さんは思うの」

  「……ごめんなさい」

  確かにそうなのかもしれない。

  自分で自分の事も養うことも出来ないガキの分際で、結婚、ましてや出産などと。

  「でもまあ……授かりものに関しては仕方ないか」

  諦めたように母さんは笑う。

  「それに、虎山さんの対応も理解できないでもないし。そういうアプリをしていることは褒められたことじゃないけど、本人は元々婚活のつもりだったのなら、まあ納得出来ないこともないわ」

  「それじゃあ……」

  期待で目を輝かせる俺に、母さんはぴしゃりと言う。

  「だからと言って未成年に手を出していいわけではないでしょうが!」

  「……」

  「それに、私はともかく、厳格なお父さんが許すとは思えないわ」

  「……」

  がちゃり。

  噂をすれば、ではないけれど、母さんの言葉を聞いたように、裸足のままの父さんが外から玄関に戻ってきた。

  怒り心頭という表情のまま、たった[[rb:1人 > ・・]]で。

  「父さん……」

  がちゃんっ!

  腹立たし気に玄関の鍵をかけると、父さんは俺を睨みつけたままつかつかと近づいてくる。

  「あの……勝成さんは……」

  俺は最後まで言葉を続けることは出来なかった。

  父さんの握り拳が俺の頬に振るわれたから。

  ばきっ!

  その勢いで、俺の身体が床に倒れる。

  「あなた、何を!」

  「うるさい!」

  じんと頬が熱くなり、口の中に鉄に味が滲むのがわかった。

  「智一……お前は自分が何をしでかしたのかわかっているのか! ガキの分際でセックスなんかしやがって! しかも妊娠させるならともかく、妊娠させられるだと! お前は男なんだぞ!」

  「……ごめんなさい」

  「謝って済む問題ではないだろうが! 俺は男のお前をこんな風にするために育てたわけじゃない!」

  「でも……」

  俺はそれでも、勝成さんが好きだから……。

  「まだ言うか!」

  再び拳を振り上げようとする父さんを、後ろから母さんが抑える。

  「やめてください! 智一のお腹には子供がいるんですよ! 赤ちゃんには何の罪もないんですから!」

  それを聞いて、父さんは渋々拳を振り下ろした。

  「……出来ちまったもんは仕方ない。だが、あの虎山とか言ったか。虎獣人は許せん。うちの息子を傷物にしやがって!」

  「そんな……」

  「結婚はおろか、2度とお前と会わせるわけにはいかん!」

  そう言うと、俺のポケットからスマホを取り上げると目の前でへし折って、父さんはものすごい剣幕でまくしたてる。

  「こんなものを持つからいけないんだ! スマホもパソコンもしばらく禁止だ。高校も休学届を出しておく。変に噂が広がらないように、出産したら子供はどこかへ養子にでもやって、別の高校へ転校させるからな。それまでは家から出てはならん! 謹慎だ!」

  ☆

  ……どうすればいいんだろう。

  あれから1週間が経った。

  俺は部屋に閉じ込もったまま途方に暮れていた。

  元々アプリで知り合った虎山さんだ。

  ネットを通じて以外の個人的な情報は何も知らなかった。

  電話番号も、どこに住んでどんな仕事をしているかも。

  父さんは言った通り、俺を謹慎処分にした。

  家の中は自由に動いていいが、外に出ることは許してもらえなかった。

  スマホやパソコンは使えないから、勝成さんと連絡を取ることも出来ない。

  ……勝成さん。

  夜中に虎獣人の事を考えながら部屋で1人蹲っていると、涙が出そうになる。

  俺を包み込めるほどに大きな体と、ヤクザのように強面でいかつい顔。

  強引で男らしくて、性欲が強くてぶっきらぼうで、それでも不器用ながら俺を大事に考えてくれるのだ。

  ……会いたい。

  あの大きな体に抱きしめられて、甘い匂いがするフェロモンに包まれて、勝成さんの雌になりたい。

  そんなことを考えていると、雄を求めるように、身体が疼いてしまうのだ。

  くちゅくちゅ……。

  気がつくと、俺はいつの間にか裸になり股間に手を触れさせていた。

  「勝成さん……」

  彼との交尾を思い出しながら、すでに勃起してしまった逸物をしごくことしか出来なかった。

  『智一、入れてやるからな』

  黄色と黒の体毛に身を包んだ虎獣人は、いつだってそのいかつい顔を獣欲に歪ませて俺に覆いかぶさってくると、潤んだ肉穴に逸物を押し付けた。

  繰り返される交尾ですっかり雌になったその穴は、主の形を覚えてしまっていた。

  ワインボトルほどもある巨大な逸物は、使い込まれて飴色をしている。

  それは雌を孕ませることに特化したように、排卵を促すための棘が張り巡らされているのだ。

  その先端はいつだって我慢汁で濡れていた。

  俺を孕ませたいと泣いているように。

  それを見るだけで、俺の体は震えてしまう。

  心の底から雌にして欲しいと願ってしまうのだ。

  ぐちゅり。

  そんな巨大な逸物を、俺の雌穴は当たり前のように受け入れてしまう。

  『おおおおおおおっ♡!!』

  肉壁をぞりぞりと引っ掻いていく棘の感触が、たまらなく気持ちいいのだ。

  しがみつくように甘える襞を躾けるように容赦なく押し開き、えぐっていく。

  ぐじゅっ、ぐじゅっ、ぐじゅっ……。

  先走りと雌汁で濡れていなければ、きっと肉穴は傷だらけになってしまうだろう。

  それほどまでにその刺激は強いものだった。

  だが、そこに痛みはない。

  フェロモンで狂わされた俺の身体は、いつだって雄の与えてくれる刺激を快感と捕らえることしか出来なかったから。

  『ひぃぃぃっ♡!』

  脳天まで響く快感に、俺は悲鳴をあげる。

  そんな俺を見ながら、肉食獣の顔で勝成さんは舌なめずりをしてみせる。

  『かわいい声あげやがって。たまんねえな』

  乱暴にそう言うと、虎獣人は俺の身体を抑えつけ、情け容赦のない杭打ちを開始する。

  その長い逸物が抜けそうなほど腰を引くと、勢いよく肉穴の中に叩きつけるのだ。

  ばちゅんっ!

  濡れ雑巾を叩きつけたような音が、部屋中に響く。

  『ああっ♡!!』

  あまりの衝撃に、俺は脳震盪を起こしてしまいそうになる。

  だが、簡単に意識を手放すことは許されなかった。

  その杭打ちは一度ではおさまらなかったから。

  快楽をまとわりつかせた巨大な逸物は、雌であることを教え込むように、何度も何度も俺の身体を掘削していくのだ。

  ばちゅんっ! ばちゅんっ! ばちゅんっ! ばちゅんっ!

  『だめぇぇぇぇっ♡!!!』

  体が壊れそうな衝撃が撃ち込まれるたびに、俺の逸物はびゅるりと精を吐き出した。

  肉襞をえぐりながら、その奥に隠された前立腺を直撃する一撃。

  壊されてしまうのではないかと思うほどに強いダメージは、すべて快感へと変換されて俺の脳を壊そうとする。

  ばちゅんっ! がちゅんっ! ばちゅんっ! がちゅんっ! ばちゅんっ! がちゅんっ! ばちゅんっ! がちゅんっ! ばちゅんっ! がちゅんっ! ばちゅんっ! がちゅんっ! ばちゅんっ! がちゅんっ! ばちゅんっ! がちゅんっ! ばちゅんっ! がちゅんっ!

  『やだっ♡、やだぁぁぁぁっ♡!!』

  常人に堪えることが出来ないほどの快楽の荒波に、俺はただ首を振って泣くことしか出来なかった。

  抗うことなんて出来るはずもない。

  目の前の強大な雄を俺は受け入れることしか出来ないのだ。

  俺に出来るのは、ただ震える手で、壊そうとする虎獣人にしがみつくだけ。

  

  びゅるっ、びゅるっ、びゅるっ、びゅるっ……。

  何度も吐精しながら、ついには子種が枯れ果てても、条件反射のように杭打ちをされるたびに震える逸物。

  俺と勝成さんの腹は、吐き出した粘つく白濁液でべっとりと濡れてしまっていた。

  

  『かわいい顔しやがって……』

  朦朧とする俺を見下ろすと、虎獣人はその身体を抱え上げて、繋がったままその場にあぐらを掻く。

  ずぶりっ!

  『ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”っ♡!!』

  重力に引かれたせいで、杭打ちされた時よりも深くに逸物が捻じ込まれ、俺は喘ぎ声を上げた。

  そんな俺を愛おしそうな顔で見ながら、勝成さんはゆさゆさと優しく腰を振っていく。

  杭打ちの時の激しさはそこにはなかった。

  ただ、泣いている子供をあやすような柔らかい動きなのだ。

  先ほどまでとは違う、ひたすら甘いだけの快感が篭絡するように俺の身体を襲った。

  ぬこっ、ぬこっ、ぬこっ、ぬこっ……。

  『すっかり俺のちんぽこの虜になっちまったなぁ』

  耳元で虎獣人は卑猥な言葉を囁く。

  『男の癖にちんこ入れられて、快楽に喘いで……。もう完全に雌じゃねえか』

  『……言わないで』

  ほんの少しだけ残された雄としての自尊心がじくじくと心の中で疼くのだ。

  『いいんだよ、無理しなくて。智一はもう雌になっちまったんだ。ほれ、この雌穴だっておれのちんぽこに媚びてるぜ。ぎゅっと締め付けて、子種くださいってねだってやがる』

  『……そんな』

  ぐちゅっ、ぬこっ、ぐちゅっ、ぬこっ、ぐちゅっ、ぬこっ、ぐちゅっ、ぬこっ……。

  俺の身体を抱きしめて、絶えず腰を振りながら、涙を流す俺の顔を見て喜ぶ虎獣人。

  

  『さあて。そろそろ粘っこい雄の子種を出してやるよ。……どこに欲しいんだ?』

  『……』

  そんな恥ずかしい事……。

  『言わなきゃわからねえぞ。いらねえのか?』

  そういわれたら、もう我慢できなかった。

  『……中に……中に下さい』

  恥ずかしいけど……欲しかった。

  粘ついた熱い塊を、勝成さんの子種を俺の中に注いで欲しい。

  それはきっと雌としての本能だった。

  『よく言えたな』

  そのいかつい顔をにやりと歪めると、虎獣人は俺の身体を再びベッドに押し倒す。

  そうして再び激しく腰を振り始めて……。

  「イ、イクぅっ!」

  俺はベッドの上で、[[rb:1人 > ・・]]精を放つ。

  思い出の中では勝成さんと一緒だったのに、現実の俺は1人でマスを掻くことしかできないのだ。

  「勝成さん……」

  1人でマスを掻いたって、気持ちよくもなんともなかった。

  この身体は、もはや勝成さんなしでは満足できないように躾けられてしまっているから。

  「会いたい……」

  俺はただ、泣くことしか出来なかった。

  ☆

  半月も経つと、父さんの怒りはいくぶん沈静化されたようだった。

  家でおとなしく過ごしている分には何も言おうとはしない。

  俺は勝成さんの事を蒸し返して、また機嫌を損ねることが得策ではないことをわかっているから、よけいなことは何も言わなかった。

  一見、あの虎獣人の事は忘れてしまったかのように。

  ……忘れられるはずがない。

  あの人は俺の雄なんだ。

  でも、父さんの言うことを聞いてスマホを使えるようにならないと、勝成さんと連絡を取ることすらできないのだ。

  ……会いたい。

  ……勝成さんに会いたい。

  家族の前では平静を装っているが、俺は頭がおかしくなってしまいそうだった。

  ……もし、彼が待ってくれていなかったら。

  勝成さんはきっと、連絡が取れるまで俺の事を待っていてくれる。

  そう信じていた。

  でも……。

  ……もし俺を諦めて、他の男と一緒になることを考えていたら。

  そう思うと、いてもたってもいられなかった。

  そんな気持ちがずっと心の中で渦巻いているのだ。

  そのせいだろうか。

  ある日、己の雄を求める雌の嗅覚が、それを敏感に感じ取ってしまったのだ。

  仕事から帰ってきた、父さんの背広から漂う匂いを。

  それは……勝成さんのフェロモンだった。

  嗅ぎ間違えるはずがない。

  それは確かに、勝成さんが発情した時に発する甘い匂いだったのだ。

  「なんで……」

  俺はぽつりと呟く。

  ……なんで勝成さんの匂いが、父さんからするんだよ!

  ひょっとして、父さんが勝成さんと会っているのだろうか?

  そんなわけがない。

  あれだけの剣幕で怒鳴り倒して、家から追い出したというのに。

  第一、目の前でスマホを壊されたから、連絡する手段だってないはずなのに。

  でも、その日から毎日のように、父さんの背広には勝成さんの匂いがこびりついていた。

  ……勝成さん。

  もう、我慢することなんて出来なかった。

  ……父さんの後をついていけば、勝成さんに会えるかもしれない。

  その気持ちがどんどんと膨らんで……。

  気がつくと俺は、母さんにバレないように家を出て、父さんの会社へと向かっていた。

  ☆

  「おお、智一くんじゃないか」

  会社の受付へ行くと、顔見知りの社員さんが話しかけてくる。

  「今日は学校は休みなのかい?」

  「え、はい……」

  そんなことを聞いてくるという事は、父さんは俺の妊娠の事は誰にも話してないのだろう。

  「今日は父さんはいますか?」

  「ああ、社長室にいると思うけど」

  「あの……最近父さん、仕事で外へ出かけたりしてますか?」

  「いや、このところ社長が仕事で外出することはないんじゃないかなぁ。ずっとここにこもりっきりだよ」

  「そうですか……」

  じゃあなんで、父さんの背広に勝成さんの匂いがついてるんだ……。

  考え込む俺に、社員さんは尋ねてくる。

  「せっかくだから、社長に会っていくかい?」

  「……はい」

  俺は覚悟を決めて頷く。

  謹慎中に外出していることがばれたら、今度は家を追い出されるかもしれない。

  ……ひょっとして、勘当と言われるかもしれないんだ。

  それでも。

  俺はどうしてもあの虎獣人に会いたかった。

  ……絶対に父さんから勝成さんの居場所を聞き出して、会いに行くんだ!

  

  ☆

  ごくり。

  俺は緊張の面持ちで大きな扉の前に立った。

  ここは社長室だ。

  子供の頃に何度も連れてこられた場所だから、すぐにわかった。

  ……この中に父さんがいるはずだ。

  間違いない。

  中から誰かと会話する声がするのだから。

  「よしっ」

  ドアノブを掴もうとした手が、一瞬固まる。

  覚悟を決めても、正直、怖くて指が震えた。

  ここを開ければ、俺はすべてを失ってしまうかもしれない。

  でも……。

  ここで引き下がるわけにはいかないんだ。

  俺は勇気を奮い起こすしてドアノブを掴み、ゆっくりと回すと、扉を押した。

  がちゃり。

  ……あ。

  「……報告は以上です」

  「よし、わかった。よくやってくれたな」

  そこには、俺の想像もしなかった光景が広がっていた。

  高級そうなひじ掛け椅子に座り、朗らかに笑う父さん。

  そしてその前で書類を持って、生真面目な顔をして立っているのは……。

  「勝成……さん?」

  俺の口から言葉が漏れる。

  3メートルはある背丈にふさわしいがっちりとした体格に、服がちぎれてしまいそうなほど膨れ上がった手足。

  そして、不機嫌そうに歪められたゲジゲジの眉に、への字に曲げられた口。

  それは俺が、ずっと……ずっと会いたかった虎獣人の姿だった。

  ……なんで。

  俺は呆然と立ち尽くす。

  

  「とも、かず……?」

  振り向いた虎獣人の目の色が変わる。

  理性のあるその瞳が、雌を見つけた発情期の雄へ。

  ぱたり。

  手に持った書類を落とす。

  そしてまるで飢えた獣のように、俺に飛び掛かってくるのだ。

  「智一!」

  そして虎獣人は決して逃がさないとばかりに、乱暴なほど俺を強く抱きしめた。

  その分厚い肉の感触、雄の匂い、そのすべてが愛おしかった。

  ……勝成さんだ。

  ……勝成さんだ。

  もう離さないとばかりにきつく抱き返した俺の目から、知らず知らずのうちに涙が溢れるのがわかった。

  「どうしてここに……」

  「どうしてじゃないよ! 勝成さん、会いたかった……」

  「俺もだ。俺も会いたかったぞ……」

  いかつい虎獣人に目にも、涙が浮かんでいた。

  ☆

  「実は、虎山はうちの社員でな」

  抱き合ったままの2人を見て、父さんは決まり悪そうに説明をする。

  「社員……」

  俺はその言葉に絶句した。

  ……じゃあ、父さんと勝成さんはもともと顔見知りだったのか。

  「こいつは優秀な部下でな。俺もずっと目をかけてやっていたんだ。だからよく、早く身を固めろと冗談めかして言っていたんだが……まさか突然お前を孕ませて、結婚したいなんて言い出すとは思わなかった」

  「……俺も挨拶するために智一の家を訪ねて、まさか社長が出てくるなんて思ってもみませんでしたよ」

  虎獣人も父さんの言葉に頷く。

  「お前、あの時『社長』って言いかけてたもんな」

  父さんは思い出したように笑う。

  「とりあえず、話を聞くため外へ連れ出して、事のあらましを聞いたんだ」

  「……俺、殴り合いでもしてるのかと思った」

  「馬鹿野郎。獣人相手にそんなことしたら、俺が殴り殺されるだろうが」

  父さんは顔をしかめた。

  「それに、虎山はお気に入りの社員だからな。こいつはこう見えて真面目な男だ。それに一度ツガイにすると決めた相手をそう簡単に諦めたりしないし、大事にするのも分かっている」

  「……」

  「俺の息子に手を出したのは許せなかったが、跡を継がせることが出来る優秀な人材を婿入りさせられるんなら、そう悪い話じゃない」

  その辺のドライな感覚は、ワンマン社長ゆえなのか。

  「じゃあ、なんで……」

  俺は理解できなかった。

  ……なんであの時、勝成さんを追い出したんだ。

  俺がぽつりとつぶやいた言葉に、父さんは苦笑いする。

  

  「虎山は真剣にお前とのことを考えているのだろう。だが、お前が本当に結婚というものをちゃんと理解しているのか甚だ疑問だったからな」

  「……」

  「飽き性のお前があとで後悔するようなことがあればかわいそうだからな。まあ1ヶ月ぐらい距離を置いて、それでも虎山と一緒になりたいと言うのなら、結婚を許そうとは思っていたんだ。まさか、思い余って会社にまでやってくるとは思わなかったが」

  「匂いが……父さんの背広から、勝成さんの匂いがしたから……」

  その言葉に、勝成さんは恥ずかしそうな顔をする。

  「社長にしばらく我慢しろと言われてたんだけどよ。ツガイに会えないと思うと辛抱できずに勝手に出てきちまうんだよ、フェロモンが」

  「この匂いにやられちまう従業員もいたから、困っていたんだけどな」

  まるで普通の事のように言う2人を見て、俺は自分の堪忍袋の緒が切れるのを感じた。

  「ひどい……ひどいよ! 俺、もう勝成さんに二度と会えないのかと思って怖かったのに! どうしていいかわからずに、今日だって父さんの背広から勝成さんの匂いがしたから、叱られるの覚悟でついて来て……勝成さんに会えるのなら勘当されてもいいって思ってたのに……。ひどいよ、2人して俺をだましてたなんて!」

  「「……」」

  ぼろぼろと涙を流して叫ぶ俺に、きまり悪そうな顔をする2人。

  「いや、それは……」

  「すまん」

  言葉を濁す父さんと、申し訳なさそうな顔をする虎獣人。

  「そりゃ、どうしてもだめな時はお前を掻っ攫って駆け落ちする覚悟はあったんだ。これは本当だぜ。でも、社長のお前を大事に想う気持ちも伝わってきたからよ。……やっぱり智一には、ご両親にちゃんと祝福してもらいたいと思ったんだ。それにお前なら、きっと俺の事信じてちゃんと待っていてくれると思ったから」

  「信じてたよ! でも!」

  強く抱きしめてくれる勝成さんに、俺はそっぽを向く。

  そんな2人の様子を見て、父さんは笑った。

  こうなれば、俺がてこでも動かないというのがわかっているのだろう。

  「……あー虎山。今日は俺が早退を許可するから、さっさとそいつを連れてご機嫌うかがいでもしてこい」

  ……人を厄介者みたいに。

  きっ、と睨みつける俺の身体を、わかりましたと抱きかかえる勝成さん。

  「あっ」

  「いいから、さっさとここを出ようぜ」

  ……ふんっ。

  いくら最愛の人の言葉でも、俺は返事を返す気にはならなかった。

  ☆

  「なあ、機嫌直してくれよ」

  横抱きにされたまま連れ込まれたのは、会社からほど近い、見知らぬマンションの一室だった。

  表札に『虎山』と書かれていたから、きっとここは勝成さんの家なのだろう。

  本来ならば、大好きな人の家に連れ込まれたのだから、喜んでしまうところなのだろうが……俺はそんな気持ちにはなれなかった。

  ……勝成さんに騙された。

  その気持ちが、いつまでもぐるぐると俺の頭の中を渦巻いていたから。

  だから、もう一度会えてこんなに嬉しいのに、それを素直に表すことが出来なかったのだ。

  すねた子供のように、俺は唇を噛んで俯くだけ。

  そんな俺を見て、ため息をついた虎獣人はつかつかと俺の前に来ると。

  「あっ」

  床にひざまずいて頭を絨毯に押しつけた。

  「すまんかった!」

  大の大人に土下座をされてしまい、俺は目を白黒させてしまう。

  このどちらかというと、俺様で厳つい虎獣人が、そんなことをするようには見えなかったから。

  「2度とお前をだますようなことはしない! それに結婚したら、絶対にお前を大事にするから!」

  結婚したらも何も、今でも俺の事を大事に想ってくれているのはわかる。

  ガキの俺とは違って、大人の考え方が出来るからこそ、父さんと揉めないようにこういう形の解決を求めてくれたのだ。

  わかっている。

  わかっているけど……。

  心の中では勝成さんの事をほとんど許してしまっていた。

  でも、ほんの少しだけわだかまりが残っている俺は、素直に頷くことが出来なかったのだ。

  そんな俺の心の様子が手に取るように分かっているのか。

  虎獣人は立ち上がると、そっと俺を抱きしめた。

  「俺、智一に嫌われちまったら、これからどうしていいかわからねえよ」

  「……」

  こっちこそ、ごめんなさい。

  そう素直に謝ればいいだけなのに。

  どうしてもその言葉が出てこないのだ。

  

  「だから……」

  不意に俺を抱きしめる虎獣人の力が強くなる。

  ……え。

  「お前を俺のもんにするために、実力行使に出ることにした」

  虎獣人の体からかすかに漏れていたフェロモンが、急に濃度を増した。

  ……なに、これ。

  今まで何度もフェロモンを嗅がされてきたが、それは完全に別物だった。

  確実に雌を躾けるために溢れ出たそれは、今までのフェロモンとは雲泥の濃さを持つのだ。

  それが勝成さんの身体から大量に放たれて、まるで香でもたきしめたように、部屋中に強い香りを漂わせた。

  ……甘い。

  まるで口の中に直接ハチミツを捻じ込まれたような甘さを俺は感じてしまうのだ。

  体から力が抜け、頭の中は霧がかかったようにぼんやりしてくる。

  もちろん体は火照り、肉穴は雄を欲しがって疼いてしまうのだ。

  「余計なことは全部忘れちまうぐらいに、快楽地獄を味わわせてやる」

  その宣言に、俺は体を震わせる。

  ……そんな。

  見上げたその顔は、もう人の目をしていなかった。

  獣欲に狂った、ケダモノの目。

  

  「雌のお前は俺の言うことを聞いてりゃいいと、その身体にわからせてやるよ」

  そう言い放った虎獣人は凄みのある笑みを浮かべる。

  それは悪い大人の顔だった。

  初めて出会って、無理やり俺を雌に変えてしまった時の顔。

  服越しに押しつけられる股間の強張りが、雄の興奮を伝えて来た。

  「俺だってずっと我慢してきたんだ。お前に会いたいのを歯を食いしばって堪えながら……」

  びりりっ!

  その大きな手で紙のように俺の服を引きちぎると、虎獣人は絨毯に押し倒す。

  そして、己も服を脱ぎ捨てるのだ。

  「ひぃっ!」

  その衝撃が甘い快感に感じられてしまうのは、すでに脳までフェロモンが届いてしまっているから。

  

  「言う事の聞けないガキには、お仕置きが必要だからな、従順な雌になれるように、今から調教してやる」

  「だめ……♡」

  その表情から、勝成さんが本気で俺を壊そうとしているのがわかった。

  たとえ快楽で狂ってしまっても、俺を屈服させようとしているのだ。

  その野太い逸物が、俺の雌穴を狙って近づいてくる。

  「やだ……♡」

  俺は本能で命の危険を感じて、その場から逃げ出そうと、もがく。

  だが、ただのニンゲンが本気になった獣人から逃げ出せるはずがないのだ。

  ぐじゅりっ!

  雌穴を肉棒がえぐり抜いた。

  「ああああああああああっ♡♡!!」

  肉壁に感じるのは、まるで焼け火箸でも突っ込まれたような灼熱感。

  体の内側から焼かれるような感覚が俺の肉壁をこじ開けていく。

  それは苦痛を伴う衝撃のはずなのに……痛みなどまるでなかった。

  あるのは気が狂いそうな暴力的な快感だけ。

  熱さも痛みも、すべてが快感に変換されてしまっているのだ。

  ずぞっ、ずぞっ、ずぞっ、ずぞっ……。

  「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡!!」

  その太長い剛直は、情け容赦なく俺の雌穴をえぐり抜く。

  鋭く硬い雁首が肉襞を押し潰す感覚が、たまらなく気持ちよかった。

  俺はこの快感を得るためだけに生まれてきたんだと勘違いしてしまうほどに。

  気がつけば、その圧迫感から無理矢理勃起させられた俺の逸物は、びゅるびゅると精を吐き出していた。

  それを指先で掬い取り口に含むと、虎獣人はにやりと笑う。

  「智一の味だ……。こいつを味わいたかったんだ。……さあ、俺が満足するまで付き合ってくれよ」

  そう呟くと、虎獣人は堪えきれないとばかりに激しく腰を振り出すのだ。

  ばちゅんっ……ばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんっ!

  「んあっ♡! んあっ♡! んあっ♡! んあっ♡!」

  その太竿が滑らかに動き出し、俺の身体を蹂躙にかかる。

  ごちゅりっ、ごちゅっ、ごちゅっ、ぐじゅりっ!

  肉襞が擦れて、淫らな音を奏でるのだ。

  「ひぃぃぃぃぃぃっ♡♡!」

  肉杭によって俺の雌穴が押し潰され変形する様が、見なくても分かった。

  それは脳を直接掻き回されるような快感を俺に与えるのだ。

  「い”や”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っ♡♡!!!」

  「嫌じゃねぇ! お前はただ雌らしく喘いでいりゃいいんだ!」

  もう2度と逆らうことなどできないようにと、雌を躾けるため肉壷を勢いつけてこねくり回す虎獣人。

  がちゅんっ、ぐちゅんっ、ごりごりごりごりっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、がちゅんっ、ぞりぞりぞりぞりっ、ごりゅりゅっ!

  「がぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡!!」

  どこもかしこも敏感になりすぎた肉穴に、その激しい抽挿はあまりにも凶悪で。

  しかも肉棒についた棘が、その快感を助長するのだ。

  ざりっ、ざりっ、ざりっ、ざりっ……。

  棘と襞が擦れ、血が滲むような摩擦がひたすら心地よかった。

  

  「しゅごいっ♡! しゅごいぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ♡♡!!」

  虎獣人の言う通り、俺は淫らな嬌声をあげることしか出来なかった。

  「こんなもんじゃねえぞ。半月我慢した分、金玉に子種がたっぷり溜まってるんだ。すっからかんになるまで、この体を楽しませてもらうからな!」

  ただ、己の快楽を求めるための交尾ならよかった。

  だが、目の前の虎獣人のそれは、俺を屈服させるために行われているのだ。

  俺に快楽を与えるのは、壊れてしまいそうになる激しい抽挿だけではなかった。

  その指先とマズルからも、とろけるような甘い愛撫が繰り出されるのだ。

  ぬちゅんっ、ざりっ、さわっ、じゅるっ、こりこりこりっ、さわっ、ぬちゅっ、じゅるっ……。

  「お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”っ♡♡!!」

  柔らかい体毛が俺の肌をくすぐったかと思うと、肉をこそげとれそうにざらついた舌が、敏感になった首筋をざりざりと舐めていく。

  その太い指でこりこりと乳首をいたぶりながら、鋭い牙で押し潰すように優しく甘噛みをするのだ。

  天国と地獄を味わわされながら、俺は何度も絶頂に押し上げられる。

  いや、そこから降りることは許されていないのだ。

  「ひやぁっ♡! ひやぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡!!」

  狂ったように喘ぎながら、俺は与えられる快感をただただ受け入れるだけの器に成り下がっていたのだ。

  それがたまらなく俺に幸せを感じさせる。

  自分の身体と虎獣人の体の境界がわからなくなるほど、俺達はドロドロに繋がってしまっていた。

  俺と勝成さんは、もはや一心同体だった。

  だからこそ、俺の幸福感も彼に伝わって……。

  それは虎獣人が堪えていた吐精の引き金を引いてしまうのだ。

  「くそっ!智一……イクぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」

  どりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅっ、どびゅっ、ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅっっ!!!

  「俺も、俺もイッじゃうぅぅぅぅぅぅっ♡♡!!」

  びゅるっ、びゅるっ、びゅるるるるるっ!

  肉襞に打ちつけられる子種の感触に、俺もザーメン混じりの潮を噴きだしてしまうのだ。

  「もっと……もっとだ。こんなもんじゃ足りねぇ! もう一度、もう一度孕ませてやるからな!」

  そう宣言すると、虎獣人は喰らいつくように再び俺の体を掻き抱いた。

  ☆

  「申し訳ありません……。どうももう1人、子供が出来ちゃったみたいで……」

  「「……」」

  

  数日後。

  うちの玄関先で顔を強張らせながら、再び謝罪する勝成さんの姿があった。

  それを無言のまま見つめる両親。

  あの激しい交尾の後、お腹にいた子供が大丈夫か心配になった俺達は、病院に診察に行った。

  そうしたら、診察を終えたお医者さんは呆れたような顔をして、『またおめでたのようですよ』と言ったのだ。

  どうもあの時の交尾で、またも子供を授かってしまったらしい。

  精が強い獣人だとたまにあることだそうだけど……。

  ……これって二卵性双生児ということかな。

  

  「母体に危険はないのか?」

  「はい、通常の双子と同じように出産できるとの事です」

  父さんの疑問に、汗を拭き拭き答える勝成さん。

  「……しかしお前も節操がないよなぁ。あれだけ智一を泣かせといて、またガキをこしらえちまうとは……」

  そんな父さんに俺はジト目を向ける。

  「父さんも同罪だと思うけど……」

  「……」

  黙ってしまった父親を一瞥すると、俺は母さんに頭を下げる。

  「ごめんね、こんなことになって」

  ……息子が、嫁になるなんて。

  だが、母さんは苦笑いして言った。

  「まあ、正直驚いたけどね。……でも、好きな人と添い遂げることが幸せだってことは、私が一番知っているから」

  「……」

  その言葉に照れた顔をする父さん。

  「智一が幸せなら、私はそれでいいのよ。……勝成さん、これからも智一のことをよろしくお願いします」

  「はい、一生大事にさせていただきます!」

  力強いその宣言に俺は嬉しくなって、隣にいる虎獣人の手をぎゅっと握った。