マウル
イリナ
ランドゥ
シェルメ
マルティ
スナフ
「本日付けでこちらの部署に配属になりました、イリナです。よろしくお願い致します」
「こんな力強い子を迎え入れられて我々も嬉しいよ。皆これからイリナ君が困っているようであれば率先して教えてあげるように。質問をされた時には調べてても必ず答えるように。以上」
総務課のオフィスの中央で紹介を終えるとイリナの周りから拍手が起こり歓迎ムードとなった。
白毛の狼族のイリナが栗色の毛に包まれた熊族のマウルに会ったのは製鉄会社テツザン入社後の新人研修が終わり職場配属されてすぐだった。総務課のオフィスに入るとすぐにマウルの身体が目に入った。
マウルは周りの人達よりも2倍のデスク幅を占有していた。それほどまでにマウルの身体は大きかったのだ。
最北端の地に先祖を持つ狼族女性であるイリナの家系は代々一匹狼の気質を持っている。それはイリナが子供の時からの性分でもあった。身長は高めではあるが決して体格に恵まれてはいない。だが昔からイリナは負けん気が強く男勝りで周りの幾周りも身体が大きい男に物怖じせずにものを言い、必要であれば喧嘩から逃げることなく男を地に伏せさせていた。そして周りの人とは必要以上に馴れ合うことがなくイリナはいつでもありのままの自分であり続けた。
イリナの性格、立ち振舞は男を怯えさせ、そのかっこよさから女の子から強く支持され人気でファンクラブまで作られるほどだった。そのため学生の間のまとまることが強制されている環境ではイリナが強さの頂点におり男の子も女の子も何か行動をする場合にはイリナのことを念頭に置き、そのおかげでくだらないイジメなどはイリナのいる環境では起きなかった。
学生として段階ではさすがに男も身体が発達しイリナよりも体格、筋力は勝っているのにも関わらず言葉でも喧嘩でも争いごとにはイリナには勝てなかった。
そんなイリナでも恋愛はする。小さい時から成人した後でも恋はするものの誰も彼もがイリナの性格に物怖じして実らない。そしてそんなイリナにでも挑戦し自分のものにようと現れる猛者が何人かはいた。しかし恋人となった後にはイリナの気質、イリナの血、イリナの家の血に押され皆が白旗を上げて逃げ去ってしまう。
そんなことが続き年月が経つにつれて孤高の存在であるイリナもさすがに少しづつ寂しさを覚えるようになっていった。
(……すごい大きな、人)
総務課のオフィスで自席に座ったイリナの目にマウルの巨体が目に入る。それは誰でもそうであっただろう。それほどマウルの身体は山のように大きかった。イリナに限らずマウルのことについて気にならない人はいないだろう。
イリナは新人配属として朝礼の時に全員に向けて挨拶を行った。平凡な挨拶だったが職員は全員拍手で迎えてくれた。そして気になったマウルの方へイリナは少し視線を向けた。マウルは微笑みながら小さく拍手をしていた。イリナはその顔が身体の大きさに似合わず可愛いなと思った。
(ここって社会人スポーツも盛んだったよね。あのひとも何かスポーツしてるのかな)
「イリナくん、ほらこっちの席に座って。色々説明するから」
「あっ、はい、すみません」
イリナは教育担当者の先輩に呼ばれるとハッとして自身の席へと早足で向かった。
国内でも屈指の規模を誇る多分野に跨る製鉄会社テツザンの総務課にイリナは希望して入社。イリナは強気な性格をしてはいたが何か特別な野心があるわけでもない。自分が誰かに強制されることなく自分らしく生きられていればそれでいいと思った。公務員にでもなろうかとでも思っていたが周りの学生からも勧められたようにとりあえず就職活動を始めてみた。特に希望する職種もなかったので総務への就職希望を出して就労活動を行った。総務であればどの会社でも存在しているからだ。
そしてイリナは何も考えずに他の会社と同じように書類選考を通りこのテツザンへも面接を受けることになった。理由はただ単に大きな会社だったから。この会社の規模を考えると社員待遇から総務課と言えど倍率はとんでもない数字となっている。さすがのイリナも受かる確率はかなり低いだろうと踏んでいた。
「我が社を志望した動機はなんですか」
「志望した動機は御社が大きく強い会社だから、それだけです」
「……それだけって。もっとこう自分の強みとか将来のキャリアにマッチしているとか、何かあるだろう」
「私は御社が強い会社だと聞きました。それは私に合っていると思います」
「……強いって。別に強い弱いで採用を決めているわけではないから……。強い弱い以前に仕事が出来るか否かで採用を決めているんだよ」
「では他の就活生に私は負けません。それが私の強みです。仕事もその他のことも」
「……はぁ、そうですか」
滅茶苦茶な問答であった。イリナ自身もなんの手応えも感じなかった。しかしイリナはトントン拍子に話が進みすぐに採用されることになった。面接での混沌としてるが強さを感じる佇まいが一部の採用担当者にはかなり評判だったことをイリナは後々に知る。
製鉄会社テツザンは社風としてその工業性からか”強い”人を採用する傾向にあった。代々社長がスポーツ好きが多いということもあるがテツザンは創業当時からスポーツ支援を積極的に行っていた。企業のスポーツ支援は今でこそ珍しくないが昔から多くのスポーツに対して支援しチームなどを抱えてた企業は珍しい。
企業のスポーツ支援は企業の宣伝、ブランディングなどのために行われるのが普通であるがテツザンでは創業者の好み、享楽として支援することが始まったのだ。
テツザンが支援していたスポーツはラグビー、サッカー、バスケットボールなど多岐に渡った。そしてその中にウェイトリフティングがあった。
テツザンのウェイトリフティングは全国リーグで強豪とされるラグビーチームの影に隠れてしまっているが全国選手権でも複数回の優勝を成し遂げ上位入賞常連の記録を持っている。そしてテツザンのウェイトリフティングをたった1人で支えているのがマウルだった。
ウェイトリフティングの費用対効果は高い。チームスポーツが多人数を雇い必要な設備を揃えなければならないのに対してウェイトリフティングはコーチやトレーナーはいるものの選手は1人。その上マウルという強豪選手がいればこの部を潰す理由はない。
イリナは入社してから教育係の先輩に手取り足取り業務を教えてもらいながらつつがなく仕事をこなしていた。だがそれはどれもが先輩の仕事のお手伝いのようなものだ。他の社員と多く交流することもなく数日が経った。
年度初めということもあり総務課は多忙だったという理由でイリナの歓迎会は遅れた。歓迎会自体は開かれたが遅れた時間に参加する者や歓待の言葉だけを言って職場に戻ってしまう人も多かった。
そんな中でマウルはイリナの歓迎会に初めから参加していた。イリナはそれとなくマウルのことが気になっていたがマウルは少し離れたテーブルに座り上司達と談笑を続けイリナにあまり興味がないようだった。イリナの周りは比較的若い社員と最年長組の社員が囲みイリナのことを歓迎していた。
飲み会という賑やかな場においてもイリナはいつものイリナを崩さなかった。相手に冷たくするためではないがかといって相手を馴れ馴れしく容易く迎合はしない。自分の芯を崩さずに新入社員という立場ではありながらも1人の人として下手には出ない。普通の会社であればあまりよく思われない態度であるがそうした強い態度がこの会社では迎え入れられる。
「イリナさん、面接で凄まじい受け答えしたんだってね」
「……私は素直に答えただけです」
先輩社員からの質問にも素っ気なくイリナは返す。
「ひたすら強さについて語ったんでしょ?他の会社ではまず受からないね。でもさウチってなかなかクレイジーな製鉄会社だからさ、イリナ君みたいな子は見逃さなかったんじゃない?」
「創業からして製鉄以外にもスポーツとにかくお金注ぎ込みまくってさ。製鉄と関係あるのかわからないけどとにかく”強いこと”に以上にこだわるんだよね、ウチの会社」
「代々社長が”強さ”にこだわる人揃いだからね。肉体的な強さか精神的な強さかは人それぞれだけど」
イリナの周りで職場の社員達が口々にテツザンについての事情を語りだす。
「だから企画部門も営業部門も素材部門も研究部門も工場管理部門も全部癖の強い人ばっか。それら全てに総務って関わってくるからさ、ハートが強くないと相手にしてらんないんだよな」
「イリナさんだったら他部門の奴らも攻略出来るぜ。今から奴らが面食らうのを見るのが楽しみだな」
強気なイリナに負けず劣らず周りも社員達も個性豊かだ。ツンとした芯の通った態度で今まで周りからはどこか距離を置かれていたイリナは怖気づかずに接してきてくれるテツザンの社員達がすぐに気に入った。
イリナの周りには職場の社員が入れ替わり立ち替わりローテーションしていき様々な社員と会話を楽しんだ。しかしそこにマウルの姿はなかった。
マウルの方をチラリと見るとマウルは年配の社員に囲まれ大きな声で談笑していた。マウルは年上によく好かれるようだった。年配の社員に足止めされているとはいえ自分に挨拶をしにこないマウルに複雑な感情を抱いた。とにかく気になったのだ。
歓迎会の中頃に差し掛かった時イリナは用を済ませにトイレへ向かった。そして席へと戻ろうとしたその時、マウルとばったりと鉢合わせた。
「あっ……どうも」
「イリナさん、だよね。俺はマウルね。挨拶行けなくてごめん。周りの人達が離してくれなくて」
図体のデカい熊族の身体を丸めながら申し訳無さそうにマウルははにかんだ。
「いえ、大丈夫です。年配の方々に人気なんですね」
「う〜ん、ウチの社風的なのか強い奴は結構好かれてね。俺もなんていうか、こんな感じだから自分で言うのもなんだけど人気あるんだよね」
マウルはそう言いながら苦笑した。
「マウルさん逞しいのに優しそうだから誰からも好かれると思いますよ」
「そうかな、ははっ。ありがと」
間近で見るマウルの身体は更に大きく感じられた。そして肉体も顔立ちも遠くから見るよりもずっと雄々しく黙っていれば少し怖気づくほどの威圧感があった。だけれども根の部分の優しさは隠しきれていない。イリナは素直に素敵だなと感じた。
「それじゃ、俺はこれで。会計はもちろん他の社員が全部出すから好きに飲み食いしていってよ。2次会もあると思うけど面倒くさかったから断っちゃっていいよ。君なら出来るでしょ」
「えっ、もう帰られるんですか!」
「あぁ、うん。これからウェイトリフティングのトレーニングあるんだ。あ、言ってなかったよね。俺ウェイトリフティング部に入ってるから」
「トレーニングがあるって、もう夜の9時ですよ」
「うん、そうなんだけどね。ウェイトリフティングって結構休みなくて。だから今日もお酒飲まなかった。それじゃあ週明けにまた職場でね、じゃあね」
マウルは柔らかい笑顔でイリナに手を軽く振ると大きな身体をズカズカと進めていき居酒屋の外へと出ていった。イリナは立ち振舞は優しいけれどその奥にあるストイックさに惹かれるものがあった。
*****
「新人教育としてかなり速いスピードで色んな仕事に触れてもらうから。これが今俺達のところに降ってきてる仕事の一覧。これは消耗品の補充の依頼だから今回は俺等がやるよ。健康診断の段取りは福利厚生課のアカリさんに振分ける。技術管理部の空調の調子が悪いのは俺等が業者を入れる段取りするから。社員名簿の更新は文書管理課のブリケンさんに振り分ける」
歓迎会後にイリナの仕事は本格化していった。イリナが個別で出来ることは増えていき教えられたことはすぐに個人の仕事として舞い降りた。
教育係の先輩も職場の人達も目に見えて厳しい人はいない。だが出来ることはしっかりとこなすことを確かに求められる。ボケっとしていたら周りのペースに置いていかれるという静かなプレッシャーをひしひしと感じる職場だった。それはきっとこの会社テツザンの社風なのだろう。とかくタフであることが求められる。それもデスクワークでは肉体的なものよりも精神的なものだ。降りかかる仕事に対して頭の回転と指を動かす速度はかなり求められる。
備品の発注管理、会社全体の職場環境管理、賃貸契約をしている物品の管理などなど。新入社員への教育も兼ねてであろうが様々なものが振り分けられ教育係の先輩と共にその仕事をこなしていく。仕事内容も環境も目まぐるしく代わりタフさに自信のあるイリナでもさすがに頭の中は仕事のことで一杯になっていた。
「今日の仕事は終わりました。それぞれメールで資料送っておきましたんで確認して下さい。それじゃお疲れ〜っす」
タフでなければ置いていかれるという圧力は時間的なものでも感じる。イリナの職場では残業をすることは相当なことがなければない。それは仕事の量が少ないからではない。職場の社員全員が今日やらなければならない仕事はその日の内にきっちりと終わらせて定時にはしっかりと帰る。ともすれば仕事を巻いて定時前に帰宅するものいる。聞けばそれはテツザンでは他の部署もそうだという。自分の時間は自分の能力で勝ち取るのだ。
*****
7月になり仕事は苛烈を極めていた。それは仕事の量が多いからではない。8月の長期休暇を十分に勝ち取るために社員は夢中で仕事をこなしていた。
そんな中で3ヶ月が経ったイリナにも職場の様子がかなり分かってきた。保安課のワリドさんは仕事を恐ろしい速度こなし必ず定時の前に帰宅する。街に遊びに行っているだとか恋人とデートに行っているだとか言われている。清掃課のイザベラさんは曲者揃いの男の中でも負けず劣らずの存在感を示す女性社員。決して自分の事を曲げずはっきりと意見を言う。しかし間違いなく仕事は完璧にこなす。間違ったことを言ったりしたことは一度もないのだという。文書管理課のフリストさんは活気のある職場の中では珍しく寡黙に仕事をこなすタイプ。きっちり仕事を終わらせ1秒の狂いもなく定時に上がる。数々の課を渡り歩いて来たため総務課の多くの仕事に精通している。たまに仕事に困った他の社員に泣きつかれることもあるほど頼れる人だ。
その中でもイリナはマウルの姿にどうしても目を奪われた。オフィスの中で席はイリナと離れている。イリナが自席から目を上げると反対側の方にこんもりと山のような身体が見えた。
「マウルさん、こちら控除証明のための書類になります。一通り目を通してサインをし私に渡していただければと思います」
「ん?ああ、ありがと。早めに返すようにするよ」
イリナとマウルの関わりは少ししかない。教育係の先輩と共にそれぞれの課の仕事に触れるために渡り歩いた時に数回言葉を交わした程度だった。それもほぼほぼ挨拶程度のものだった。
マウルは施設管理課の中で防災関連の管理や業者の発注などを担当していた。仕事はあくせくと動く周りの社員に比べると鈍重なイメージだが仕事はしっかりとこなし他の社員と同じく残業なぞしていなかった。
不思議な魅了がマウルにはあるとイリナは感じた。見た目といては図体がデカくドッシリとしている。しかし顔は柔和。優しさを感じさせ温かい。そうするとなんだかノロマのように感じられてしまうかもしれないが仕事速度は周りの人達に負けていない。先輩達に聞いたところでは定時に上がるとそのままウェイトリフティングのトレーニングルームに向かいトレーニングを行い帰宅する。それを毎日こなしているらしい。マウルも他の社員と変わらず時間は自分の能力で勝ち取り、そして肉体的にも当たり前だが恐ろしくタフだった。
イリナの家系は最北端の地から始まっているという。極寒の地に耐えるためなのか他の狼族よりもマズルが短く耳が小さい。そして自分の獲物は決して逃さない。それは厳しい環境で生存をするため本能を研ぎ澄ませた先祖の名残だろう。そして自分の獲物を逃さないために自身が強くあることを忘れない。強くなること、強くあろうことを求める。今のイリナの気質もそうだが、父も祖父も同じで曽祖父の同様であったそうだ。そして自分の獲物だと思ったものは決して他の者には譲らない。執念深いのだ。
意識下の中でイリナはマウルに惹かれるものがあった。それはマウルが醸し出す強さの匂いのせいだろう。イリナはマウルのことがもっと知りたくなっていた。
*****
イリナは休憩時間や家でも気がつけばウェイトリフティングの動画を見るようになっていた。ウェイトリフティングというスポーツがあまりにも知らなかったため、そしてマウルに興味があったためだった。
ウェイトリフティングは高重量を持ち上げることぐらいしか知らなかった。ウェイトリフティングには一動作で頭上までバーベルを持ち上げるスナッチと二動作でバーベルを持ち上げるクリーン&ジャークという2種類があることも知った。そしてその合計重量で競う。
動画に映る重量挙げの選手達は皆図体がデカく特に太ももと胴体が特に太かった。だがそれらの選手にマウルの肉体は劣ってはいなかった。
それからイリナはウェイトリフティングのことを調べ始めるようになっていく。ただの筋力勝負ではなく筋肉をどれだけ強く、瞬発的に動かす技術、そして強靭なメンタルの勝負であること。
(ただの偏見だったけど単純な力持ち比べってわけじゃないのね)
またウェイトリフティングのトレーニングについても知っていく。ただ漠然と筋力トレーニングと実際の重量挙げをやっているイメージであったが筋肉の各部位の筋肥大を狙うトレーニングはもちろんのこと、筋肥大ではなく筋断面を大きくするためのトレーニング、筋肉を瞬発的に動かすトレーニングなど多様であった。
そしてイリナが驚いたのはそのトレーニング量であった。全ての種目を高いレップで行い肉体を限界まで追い詰めるトレーニングを行う。そして好成績の選手であればあるほどトレーニングは毎日、あっても週一の休みで行っていることに驚いた。マウルが昼間は働いていることを考えるとトレーニングは土日も行っているのだろう。仕事もしっかりとこなしウェイトリフティングで好成績を残し続けるマウルの精神力の凄さが垣間見えるような気がした。
(マウルさんも毎日こんな大変なトレーニングしてるのよね)
イリナはベッドに横になりながらトレーニングを積んでいるマウルの姿を思い浮かべた。全身から汗を滝のように流しながら筋肥大をさせていくマウル。瞬発的にバーベルを持ち上げ顔をパンパンにさせて我慢するマウル。そして決して脆い部分を見せずにどっしりと逞しい仁王立ちのマウル。
マウルの様々な姿を思い浮かべているとイリナの胸の鼓動は速度を増した。
「マウルさん……」
気がつけばイリナはマウルの名を口にしていた。そのことにイリナ自身が驚くとすぐに頭の中を空っぽにして急いで眠りにつくために布団の中で丸まり目を閉じた。
*****
8月の初旬、長期休暇の前に中途採用の社員がやってきた。その社員のために急ごしらえで歓迎会が開かれることになった。仕事を定時できっちりと終わらせる社員達は基本的に皆が参加するといった。中には手持ちの仕事を早々に終わらせてすでに休暇に入っている社員までいた。またすでにその日時に予定が入っている人は参加を断った。そういうところはキッパリとしている職場だ。
個人を尊重する社風、職場のため早めに歓迎会を開き、早めに歓迎会を終わらせる。そしてその後の時間は個々人が好きすればいいという段取り。いつも通りだ。
「この度中途採用ですが入社することになりましたブランドです。前の会社では総務課の中で複数の部署の取りまとめを経験してきました。色んな仕事はお役に立てると思いますのでよろしくお願いします。……ちょっと堅苦しすぎたかな。まぁよろしくです。たはは」
定時後すぐに最寄り駅近くの居酒屋で歓迎会が開かれた。中途採用で入社してきた社員が初めに挨拶をすると乾杯の音頭がとられ各々談笑したり飲み食いに夢中になったりとした。中途採用で入ってきた社員は快活で明るく芯の強さを感じさせる人だった。この会社にピッタリだろう。その社員の周りには直属の上司となる人や更に上の立場の人達が会話をするために周りを囲んでいる。新入社員のイリナにはあまり関係のないことのように感じられた。
イリナはそこから2つ離れたテーブルで面識のある社員達と話しながらつまみを食べお酒を楽しんだ。
そのままつつがなく時間は過ぎていくと徐々に他の職場の同僚のところで移動したりなど人の流れが流動的になっていた。イリナのテーブルも誰かが他のテーブルに移動したり、または他のテーブルから人がやってくることがあった。イリナはまだそこまで職場の中で親しく喋れる人は少ないため移動をすることなく初めに座ったテーブルに居続けた。
歓迎会が中盤に差し掛かったころイリナはほろ酔いとなりぼんやりと周りの人達と会話をしていた。イリナの隣の人がトイレに行くため席を立った後すぐにドスンッと隣に体重を感じた。イリナが目を向けるとそこにはマウルが座っていた。冷静にすごく大きな熊だと思った。そして一瞬の間をおいてイリナは戸惑いを感じた。
「席ゲット〜」
マウルもお酒が回っているのかやんわりとした口調でそう言った。
「お、マウル君やってきた。今日はお酒飲むんだね」
イリナの席にいた社員達が活気だった。
「ああ、昨日トレーニングで追い込みすぎちゃって今日トレーニングしてもあんま意味あるものになりそうになかったから。だから今日は休み。ちょっと怠けちゃう」
そう言ってマウルは微笑んだ。イリナはその表情が可愛いと思った。
「それくらいがいいって。毎日大変でしょ。近々大会もあるらしいじゃん。なんだったら仕事とか周りに振っちゃえよ」
「う〜ん、まぁそこはあまり甘えたくはないかな。今でさえ仕事量ちょっと調整してもらっちゃってるし」
マウルはそう言いながらテーブルのつまみを一口食べると持ってきていたジョッキのビールをグビリと飲んだ。イリナの間近で見ていたマウルの手は想像以上に大きかった。そのことにもイリナはドキリと胸を高鳴らせた。
するとマウルはすぐ隣のイリナのことを覗き込んだ。
「君、新人の、え〜と、イリナ君だよね。久しぶり」
「あ、はい……お久しぶりです」
芯の強いイリナが珍しく動揺した。マウルと言葉を交わすだけでイリナの身体は火照った。そしてそんな自分にイリナは戸惑った。
「君の噂、結構聞いてるよ。まさにテツザンって感じの強い社員がやってきたって。忙しいと思うけど周りの人達、みんな悪い人じゃないからヘルプが欲しい時は言ったほうがいいよ」
「大丈夫です。いつも皆さんに助けていただいてますから」
「そっか、すごい仕事出来るって聞いてる。自分の課に来てくれたらいいのにな」
マウルのなんの下心もない言葉がイリナを刺激する。何の変哲もないイリナの心拍数がトクトクと上がる。
「ウェイトリフティング、されてるんですよね?」
「うん。周りから聞いた?」
「はい。初めて職場来た時から目に止まって、すごい気になって」
「ははっ。やっぱり俺って身体デカイか」
マウルは少し恥ずかしそうにはにかんだ。
「ウェイトリフティングって結構大変なんですよね。ちょっと調べました。それなのによく仕事と両立してますよね」
「ちょっとは大変かな。これでもかなりテツザンに優遇してもらっているというか、色々ね。元々は工場管理部門で工場で働いてたんだけど、ちょっと大会成績よかったから上の方からもっとスポーツに専念出来るようにって仕事が肉体を酷使しない総務に再配属されたんだ。それに仕事の量も加減してもらってるから文句言えないね」
「トレーニングも大変って聞きました。あまり休みないって」
「トレーニングはね、大変だね。何か都合がなければ一週間毎日ずっとトレーニングはするかな。トレーニングの質が落ちそうな時には休みを入れることはあるけど、基本的には毎日」
「大変ですね」
「う〜ん、でも好きでやってるからね。それ自体はあまり苦じゃないよ」
柔らかい顔を崩さずに苦労している様子を見せないマウルの佇まいにイリナは益々マウルのことが知りたくなった。
その時イリナとマウルが話をしているところ、イリナの反対のマウルの隣に職場の女性社員がやってきた。その女性社員はマウルの隣に座るなりマウルの太い腕に手をかけた。
「マウルちゃん、久しぶり。なんかまた身体大きくなったんじゃない?頑張ってるのねぇ」
「まぁそこそこ。ちょっとトレーニングの種目変えてから結構身体調子良くて」
「ずっとストイックで素敵ね、マウルちゃんは。今度どっか飲みに行こうよ」
「そー、ですね。トレーニングがあるからあんまり飲みはちょっと」
マウルは女性社員からの申し出に渋い顔をして断りを入れた。
「そっか、残念。今度大会あるんでしょ。応援してるからね」
「ははっ、ありがとうございます」
少しの気恥ずかしさを感じたのかマウルは苦笑した。
その光景を見、会話を聞いていたイリナの身体の中、全身の毛が逆立つのを感じた。
マウルの周りに女性がいることが気に食わなかった。もしかしたらその女性社員にマウルを取られるんじゃないかと思うと頭に血が上りそうだった。
マウルさんを絶対に、取られたくない。
その時イリナははっとした。
自分はマウルのことが好きだったのだと初めて気がついた。
その事に気がついた時イリナの視界がさっとクリアになり色彩が鮮やかになるのを感じた。それと同時にイリナの中でマウルへの執着心がマグマのようにドクドクと溢れ出した。
それからマウルのそばに座った女性社員は他のテーブルへと移動していった。またマウルもビールジョッキだけを持って他のテーブルへと移動していった。それからイリナは自分のテーブルに座る社員達と雑談をしたがマウルがどこのテーブルに座ったか、誰としゃべっているのかが気が気じゃなくそわそわと目を動かした。
歓迎会が終わると位が高い立場の人達が会計を終わらせ社員達はゾロゾロと店の外へと流れ出していた。全ての社員が店の外に出るとサッパリともう帰宅する人、飲み足りないと2次会を企画する人に分かれて話し合いが始まった。
イリナは店の中で気がついた恋心をすぐに行動に映したかった。それはイリナの気質であり家系の血だ。欲しいものは自分の強さで手に入れる。そしてそれを絶対に他の人に取られはしない。
店の前で人の輪から少し離れたところで立っていたマウルはもう帰ろうか2次会についていこうか若干迷っているようだった。そんなマウルの腕を掴む者がいた。イリナだった。
「えっ?どうしたの?」
「ちょっとマウルさん、来てくれますか」
「え、まぁいいけど」
イリナは自分の手では掴み切れないマウルの太い腕を引っ張りながら居酒屋のそば、誰も見ていない路地にマウルを引き込んだ。
「どうしたの?」
「……私と付き合ってくれませんか」
「ん?付き合うってどこに?」
「いえ……恋人として付き合ってくれませんか」
「……えっ!」
マウルは少しの間を置いてキンッとする驚きの声を上げた。それに対してイリナは対照的に冷静だった。相手に告白することへの気恥ずかしさなどは微塵も感じていない。思い立ったらすぐに行動。これはイリナにとって勇気のいる行動ではなく絶対にしなければいけない行動だった。
「つ、付き合うったって、俺達会ってほとんど……っていうか会話もほとんどしてないけど」
「わかってます。でもマウルさんのことが好きなんです。お願いします」
イリナもなぜマウルが何故好きになったのかぼんやりとしか分からない。強さを感じる雄の肉体。自立した精神性。ストイックさ。温かな人柄。どれも遠目に見て、そして僅かな会話から感じたことだった。まだまだマウルがどのような人かをイリナは知っていない。しかし好きになってしまったことに理由などない。好きになったのだから仕方がない。そして好きになった人をイリナは絶対に逃さない。必ず自分の隣にいて欲しいと思う。そしてそれを成すために実際に行動に移した。
「う〜ん……え〜と……う〜ん」
「それじゃあ試しに付き合ってみるだけでもいいです。それで駄目ならすぐに別れます」
マウルの反応は鈍かった。イリナは少し焦った。かなり本能的に行動に出てしまったことはわかる。それにマウルも動揺している。イリナはこの機会を逃すとマウルとの距離が遠くなってしまうことはわかった。
少し、2人の間に沈黙が流れる。
「私じゃ、ダメですか」
自分でも驚くほどイリナの声に力が入っていない。
「いや、えっと、ダメとか、そういうんじゃないけど……イリナさんってすごい素敵な人だなとは思うけど……うん」
再び沈黙。イリナはマウルに無理をさせてしまっているようでとても心苦しく思い始めていた。しかしマウルの方もモジモジとはしているが満更でもないような様子だった。
その沈黙を破ったのはマウルの方だった。
「……それじゃあ、まぁ……付き合ってみようか」
「ほ、本当ですか!私、マウルさんに認められる女になります」
イリナの中で獣の血がドクリと脈打った。
「えっ!そんな気張らなくていいよ!ただ……そんな自分が……なんていうか見合う男になれるかどうか……ごめんね、こんな言葉しか言えなくて」
「だ、大丈夫です!私の方こそ無理を言ってしまって。マウルさんの邪魔になるようでしたらすぐに別れてしまって構いませんから」
「そ、そんな今から別れるとかそんな……でも俺女性とのそういうの、あんまり慣れてないから。その……よろしくね」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
イリナが自然とマウルの大きな手をそっと握るとマウルもギュッとイリナの小ぶりな手を握り返した。
これはまだスタートラインにすら立っていないとイリナは分かっていた。マウルとどうなるかは自分次第だと気を張った。
イリナは全身の毛細血管が開き毛が逆立つのを感じた。
*****
かくしてイリナとマウルは付き合い出した。そしてイリナはマウルという男に驚かされることになる。
イリナの勝手な偏見であるがマウルはおっとりとした大男でどちらかという気性の尖ったイリナの方がリードしていくのだと思っていた。
しかし実際には逆だった。マウルは大人しくはあったがはっきりと雄であった。
イリナとマウルがデートをする日時はほぼ決まっている。マウルのトレーニングがあるからだ。初めはマウルの方もイリナに合わせようとトレーニングの時間や回数を減らそうかと考えていたがそれにイリナは大反対した。自分のせいで好きなマウルの大切なものを変えさせてしまうのは許せなかったからだ。
そのためマウルとのデートは土日休み。それも朝からのトレーニングが終わった午後過ぎからだった。土曜日の午後から1日を共に過ごすことになったとしても日曜日の朝にはトレーニングが入っている。そして日曜日にデートをしてもその次の日にはどちらも仕事が始まっていう。イリナは心の中で歯がゆい思いをしていた。
しかしその限られた時間でのデートをマウルは充実したものにしていた。
「あそこの大きなタワーの中に実は水族館あるんだ。レストランも充実してるからそこ行こう!」
「あそこデッカイ施設出来たでしょ。服屋もレストランもビール製造のツアーもあるんだ。ビール、嫌いじゃないよね?夜はイルミネーションも綺麗だからよかったら行かない?」
「あそこにあるタワー登ったことあるここらで一番高いからさ、見に行こうよ。周りは下町な感じで面白いに庶民的な食べ物も美味しいらしいよ」
たまにはイリナの方から提案をしてデートコースを決めることもあったがほとんどがマウル主導で決めたものになった。そしてそれはイリナの趣味とも合ったものだ。
マウルはこっそりイリナの趣味に合わせてそういったものをリサーチしていたのかと思ったが何度かデートを重ねる内にそれはマウル自身の意外な好奇心から湧いてくるものだと知って驚いた。
「綺麗だね。俺も初めて来たけどこんなに綺麗にライトアップされてると思わなかった」
「そうですね。夜に川べりを散歩なんて前まではしなかったから」
イリナとマウルはその季節に花を咲かせる木々が周りに生え、夜ライトアップされている川べりをゆったり歩いていた。イリナは素直にその光景に心を奪われ、そして微笑みながらそれを眺めているマウルの横を共に歩けることに高揚していた。
「綺麗」
マウルはいつも以上に優しい声でそう言うとイリナの手をギュッと握っていた。イリナの毛が逆立つ。
手を握るはいつもマウルの方だった。それも恥ずかしがるわけでもなく至極当然といった風に自然にイリナの手をつないでくる。むしろ恥ずかしがっているのはすんなりとエスコートがされるイリナの方だった。この日もイリナはマウルと手を繋ぎながら高鳴る胸を悟られないようにマウルとは反対側のライトアップされた夜の木々を見ていた。
手を繋ぎながら散策の途中にマウルはベンチを見つけ少しの休憩しようとした。そして皮の夜景のことや次にはどこへ行こうかなどを静かに、しかし楽しく話し合った。
イリナも笑いながら会話をしているとすっとマウルから返事がなくなる。気になってマウルの顔を見るとマウルの手を繋いでいない方の手がイリナの顔に添えられた。そしてマウルの丸っこい顔が近づいてきた。そして止まる。マウルの顔はいつも見せる柔らかなものではなくキリッとした男の顔であった。
「素敵だね。俺、イリナさんのこと、どんどん好きになってく。イリナさんと付き合って本当によかった」
イリナは周りの観光客のことが少し気になった。しかしマウルの顔はジリジリと近づいてきていた。
「あっ……」
マウルは野暮な許可など言葉で取らなかった。受け入れてくれるかどうかは表情と小さな動作で感じ取った。
そしてマウルはイリナの唇を奪った。
イリナは初め夜景目当ての客達のことが気になったがすぐに頭はマウルのことでいっぱいになると口の感触に集中し、マウルの顔に自分も手を添えた。
*****
マウルとイリナの仲はトントン拍子に進んだ。幾度となくデートを繰り返し、お互いの好きな物、嫌いなもの、趣味、考え、それらを共有していった。
そしてある日の湾岸のデートスポットで楽しんだ後にイリナとマウルは一緒に手を繋ぎ夜景を見ていた。そして当たり前のように唇を重ねていた。
ねっとりとしたキスが終わるとマウルは真剣な眼差しでイリナの両肩に手を添えると向き直らせる。
「イリナさん、実は明日俺オフの日なんだ。サボってるんじゃない。トレーニング室に清掃が入って、明日何も予定ないんだ」
「……はい」
「だから……今日ウチに来ない?」
野太いマウルもその顔には緊張がうかがえる。イリナの方はさらに表情も身体もこわばっていた。
帰りはタクシーでマウルの家へと向かった。普段であればタクシー代を気にするイリナであったがそんなことには頭が回らなかった。車内で2人はほとんど言葉を交わさなかった。
マウルのマンションに付く。小綺麗なエントランスもマウルの部屋への道も2人は手を繋ぎながらどこか足早だった。
マウルの部屋に入ると体躯や男らしなに似合わない爽やかな匂いがした。
マウルの部屋はその図体のデカさに似合った広さでイリナの身体からすると十分な広さを感じる。イリナはキッチンテーブルに座るか、それとも奥のリビングのソファに座ると逡巡しているとマウルが後ろからイリナを抱きすくめた。
急なことにイリナは身体を強張らせる。
「ごめんね、我慢出来ない」
そう言ってマウルは優しい手つきでイリナの身体を弄るとそっと顎に手を添えてイリナの顔を後ろに振り向かせ、そして唇を奪う。
しばらくの間時間を気にすることなくマウルとイリナは舌を絡めながら唾液を交換し合った。イリナはマウルの濃密な味に酔いしれた。
イリナに時間間隔がなくなり顔を紅潮させるとマウルが顔を離した。瞑っていた目をイリナは開けマウルを見るとマウルはイリナの腕をそっと掴むと浴室へと誘い込んだ。優しく掴まれた腕にはマウルの巨大な手、そして力を加減した温かさを感じた。
洗面室ではマウルは滑らかにイリナの服を脱ぐと自分は荒々しく服を脱いだ。2人とも少し目のやり場に困りながらも浴室でイリナはマウルに抱きしめられながらシャワーを浴びた。その間もお互いの手は相手の肉体を彷徨い口は距離を詰めて貪り合う。その頃には2人の間に羞恥心はなくなっていた。
お互いに身体を拭き終わるとバスタオルを身体に巻き付けてそのまま寝室へと向かう。寝室に入るとイリナからすると大きく感じるベッドが備えられていた。もちろん身体の大きなマウルからするとそれは自然な大きなのものだ。
マウルはイリナを抱きすくめるとそっとベッドに横たえた。そしてマウルはのっそりと細いイリナの肉体に覆いかぶさった。
しばしの間2人は見つめ合う。
「可愛い。ずっとこうしたかった。たまらなかったよ」
マウルの言葉にイリナに再び緊張が走る。
「仕事してる時もトレーニングしてる時もずっとイリナのこと考えてた」
付き合いってから初めてさん付けをしない呼び方だった。イリナは心臓を掴まれる。そしてマウルは忍ぶようにイリナに唇を重ねた。それは浴室でのお互いを求めるような強いものではなくギリギリまで理性を働かせた愛の感じられるものだった。
その口づけを受け入れるとイリナはマウルの首に両腕を絡ませた。
イリナの下腹部はマウルの太く長く熱い雄を感じた。
******
夕刻。
「すっごい緊張する。大会でもこんな緊張したことないよ」
「……うん、まぁリラックスして」
マウルとイリナが結ばれてからすぐ、マウルはプロポーズをした。自然な流れ。マウルがどう思っていたかはわからないがイリナはさほど驚かなかった。遅かれ早かれそうなることだと分かっていた。そしてそうならなくてもイリナは絶対にマウルと結ばれたいと思っていた。
そして今日マウルはイリナの両親に挨拶をし、婚姻の許しを得ようとしていた。
「た、たしか、イリナのお父さんって、ちょっと怖いんだよね」
「……う〜ん、見た目とかちょっと怖いけど……あの……その……」
イリナはマウルの戸惑いにはっきりと否定してあげたかった。しかしそうしようとすると言い淀んでしまうほどイリナの父は特殊だった。
マウル達がイリナの実家の玄関前に立つ。住宅街の中に違和感なく建つ変哲もない家だ。マウルはインターホンを鳴らすとすぐに玄関が開き狼族の女性が顔を出した。
「あっ、いらっしゃい」
「来たよ、お母さん」
「きょ、今日はよろしくお願いしますッ!」
イリナの気兼ねない言葉に比べてマウルの言葉は緊張を隠しきれず言葉尻が上がっている。
「ふふっ、そんな緊張しなくて大丈夫よ。さぁあがって」
「は、はいッ!」
マウルはイリナの実家にあげてもらうとリビングのテーブルに招かれた。テーブルの椅子は大柄なマウルも窮屈にならずに座れるものだ。
「紹介してなかったね。お母さんのシェルメ」
「よろしくね」
「よろしくお願いします」
シェルメはキッチンから茶葉を煎じたお茶を人数分用意して持ってきた。数は4つ。それはマウル、イリナ、シェルメ、そしてイリナの父の分である。
マウルはそれを見て改めてイリナの父の存在を感じて胸を跳ねさせる。
「そんな緊張しなくて大丈夫よ。大丈夫。……でも……いや、まぁ……大丈夫よ」
微笑むシェルメはマウルの緊張をほぐそうとそう言うが語尾が濁っていることにマウルは気になった。そしてイリナの方を見るとマウルよりはましだがどこか緊張していることが感じられた。
(だ、大丈夫だよね……)
マウルは張り詰めた気から少し身体を縮こまらせていると2階から物音がするとドスンッドスンッとした音がリビングに近づいて来た。
「あっ、来たみたい。……普通にしてれば大丈夫だから、ね?リラックス、リラックス」
シェルメがそう言い終わるかどうかのタイミングでリビングの扉がバンッと開くとヌッと岩の塊のような人が入ってきた。そしてマウル達が座るテーブルのお茶が用意されている椅子にドカリと座った。リビングが比喩ではなく大きく揺れた。
マウルは息を呑んだ。
眼の前に座った狼族の男はこれまで見てきたどの狼族の男にも似つかなかった。マウルは自身の太い骨に肥大した筋肉がガッチリとまとわりついた肉体に少なからず自身があった。これまで様々なスポーツをする人を見てきたが自分よりも身体が大きな男は数えるほどだ。
しかし眼の前に座る男はそれらに匹敵するか、それ以上の大きさを持っていた。岩石のようだ。シェルメと同じくらいの壮年。獣毛は真っ茶色のマウルの毛色を薄めたような茶色。しかしその毛並みは見た目の年齢に似合わずに艶があり金属の銅のようにキラキラと輝いて見えた。顔の周りには年相応の白髪の顎髭が整って生えていた。緩い上着から見える胸元には胸筋と腹筋を縦に割るように白い獣毛が生えていた。
服はバスローブのような上着とダブダブの下着で服の隙間からは肌が露出している。だらしない服装になってしまってもおかしくはないがその下の筋肉が説得力を与えていた。服の上、そして胸元から見える肉体からその身体の大きさは筋肉であることは間違いなく。
狩猟本能を忘れていない厳しい顔つきのその男は茶碗を持ちお茶を一口飲むとテーブルに置き言葉を発した。
「ん、お前がマウルって奴か?」
「えっ……あっ……はい」
驚くほど小さな声だ。マウルの口からは次の言葉が出てこない。
するとその状況をアシストするようにシェルメがその男の肩を叩いた。
「ちょっと挨拶しなさいよ。こちらが私の旦那、イリナの父のランドゥ。ほら、挨拶して」
「……挨拶もクソもねぇだろ」
ランドゥは顔を変えずにそうボソリと呟く。
「で、今日は何用だよ」
そんなことはこの場にいる誰もが分かっている。しかしそれは様式。マウルは久々の圧力のある雰囲気に潰されぬよう。精一杯の、しかし力み過ぎないように言葉を発した。マウルの全身から汗が流れ、手のひらには汗の粒が出来ていた。
「む、娘さんを下さい」
その場が時間が一瞬止まる。マウルはその時間が永遠に感じられた。誰も声を発しない。
ランドゥは目を瞑ったまま再びお茶を飲むとコトリとテーブルに置いた。
「まぁ、いいんじゃねぇの」
ランドゥの低い声がマウルの耳に響く。その言葉の意味を解釈するのにしばらく時間を要したがマウルの筋肉の緊張がとけるのを感じた。
「ふふっ、よかったじゃないマウルさん。あんたもよかったね」
マウルが横を見るとほっと息を吐くイリナが見えた。マウルほどではないにしろ緊張していることがわかった。
イリナの父ランドゥはマウルのことをジトリと見ながら話し出す。
「まぁ、あれだな。お前のことはイリナからちょっと聞いた程度だけどよ、俺はイリナのこと信用してるからよ。イリナがいいって言うんだったらいい男なんだろうな。だったら俺に反対する理由はねぇよ」
「そ、そうですか。ありがとうございますッ!」
ランドゥのその言葉を聞いてマウルは初めて顔をほころばせると温かな気持ちのこもった言葉を発する。マウルの全身から先程とは別の意味の汗がどっと流れ始めた。
「よかったね」
「うん、よかった」
小さな声でそう言ったイリナの方をマウルは向きながら返事をした。しかしその顔は少し複雑そうにしてることがマウルには気になった。
「さぁお茶だけで話するのもなんだし夕飯にしましょうか。今日はお肉いっぱいのお鍋用意してるから好きなだけ食べてね、マウルさん」
「は、はいッ!いただきますッ!」
マウルはまた顔を緩ませながらそう言った。
ランドゥはそんなマウルを見ると微かにニヤリと笑った。
*****
イリナの実家での夕食はつつがなく終わった。始めは出された鍋に遠慮しながら手を出していたがシェルメをイリナから催促されるように食べるように言われてから急に強い空腹を感じるようになりバクバクと鍋を食べていった。そしてランドゥもマウルと負けず劣らずの食欲で鍋を平らげていったため負い目を感じずにマウルは食事を続けることが出来た。
夕食をしている合間合間には娘も勤めている会社のこと、仕事のこと、ウェイトリフティングのことなどを和やかに話した。特にランドゥはウェイトリフティングに興味を示し、詳しい競技のこと、トレーニングのこと、大会のことなどを話した。
「あの……お……あの」
「お義父さんでいい。そう呼びたいんだろ」
「は、はいッ!お義父さんは何かスポーツされているですか」
「学生の頃は野球してたがな。それ以降はなんもしてねぇよ」
ランドゥはあまり興味なさげにそう返した。
「えっ、じゃあその身体はどうしてるんですか?ジムとかに行かれてるんですか」
「ジムなんか行かねえよ。そもそも俺はスポーツとかなんやらあんま好きじゃねぇよ。野球も親から勧められたからやってただけであんま気乗りしなかった」
ランドゥはグラスに注がれたビールをグビリと飲み干した。
「そ、そうなんですか。滅茶苦茶すごい身体してますけど」
「まぁ血筋だな。俺のオヤジもジジイも身体がデカかった。ぐうたらしてても対して脂肪がつかなくて助かるがな」
マウルは注がれたビールは何杯か飲まないと失礼かと思いランドゥに続いてグラスを空にした。
「まぁ見た目だけだな。しっかり鍛えてるお前の方が立派な筋肉してるよ。質が違う」
夕食が終わり食後の果物を食べお茶を飲むとゆったりとした時間が流れた。
「連絡いただいてたけど今日は泊まってくんでしょ。色々気苦労もあったでしょうから先にお風呂入って今日は早めに寝た方がいいわよ」
「うん、今日は疲れたでしょ。早めに寝よう」
ランドゥはこちらの様子にそこまで興味がないのかお茶をゆっくりと飲んでいる。
「じゃあ、そうしてもらいます」
マウルはシェルメから寝間着を受け取ると浴室へと向かった。寝間着は上から羽織り、前を帯で締めるタイプのものだ。
談笑をしている内に緊張はほぐれていっていたが1人になるとマウルはハァと大きな溜め息をした。全身の強張りが解け倒れそうになるほどだった。あまりゆっくりお風呂に入るのは迷惑かと思いつつも湯船に浸かると蕩けるほどの安堵感を得られついつい長風呂をしてしまった。
風呂から上がるとシェルメはキッチンで後片付けをしており、イリナは父ランドゥと何かを話していた。
「いいお風呂でした。ありがとうございます」
マウルは身体のまだ残る湿り気をタオルで拭いながらそう言う。
「それならよかった」
シェルメは笑顔でそう言った後に少し顔を曇らせた。
「えーとっ……それじゃあ……寝室なんだけど……私が寝てたところ。つまりお父さんの部屋で一緒に寝てもらうの……うん。あたしはイリナと一緒の部屋で寝るから」
マウルは少し言葉を解釈するのに時間をかけたがすぐに違和感を覚えた。
「えっ……お義父さんと……同じ部屋ですか。まぁ……構いませんけど」
そうは言いつつもマウルの中での違和感は拭えない。イリナとランドゥの方を見るとランドゥはなんとも思っていない風で、イリナの方は少し顔をくすませていた。
「それじゃあ部屋まで案内するわね。ちょっと待ってて」
シェルメは再びキッチンに戻ると洗い物を片付け始めた。
その時椅子からイリナが立ち上がると困惑しながら立ったままになっているマウルの元へと小走りで寄ってきた。
「あの……ごめんない。あの……うん……ごめんね、ちょっと変で」
「いや、全然構わないよ。お義父さんともゆっくり話したかったから、丁度いいよ」
言い淀むイリナの顔は複雑そうだった。
「本当にごめんね」
しつこいほどの謝罪。マウルはさすがに不審に思ったが何を聞けばよいかわからない。口を開けたままのマウルにイリナは問いかけた。
「私、あなたのこと愛してる。本当に。それは信じて、お願い」
イリナはマウルの太い腕を掴む。見たこともない切実なイリナの顔、声であった。マウルは疑問に思うよりも驚きの方が勝った。
「う、うん、信じてるよ」
「……私のこと、愛してる?」
大きな声を出せたイリナの両親に声が聞こえてしなうような場所での問いかけ。マウルは更に驚きながら差し迫った表情のイリナを見た。
「あ、愛してるよ。当たり前だろ」
「……うん、わかった。お願いだから私のこと忘れないでね」
この発言にはマウルも言葉が出なかった。忘れるわけがない。しかし何故この場所で、こんな状況でそのことを言うのかマウルには全くわからなかった。
顔を曇らせるイリナと動揺したマウルの間に気まずい雰囲気が流れていたがシェルメが2人のところへとやってきた。
「それじゃあ寝室まで案内するわ」
シェルメはそう言ってマウルと廊下の先、そして2階へと手で指し示した。
「じゃあイリナ、また明日」
「うん、わかった」
背中を向けて去っていくマウルをイリナは不安そうな眼差しで見つめていた。その目には少しばかりの涙がたまっているようだった。その様子を見てマウルは更に不可思議に思う。そしてマウルが2階へと向かおうとしたその時、イリナは小さな声で「頑張って」と言っているような気がマウルにはした。
ーーーーー
「ここが寝室ね」
シェルメが扉を開けると普段はシェルメとランドゥが寝ている寝室のようすが見えた。意外にもベッドではなく床に布団を敷いた寝室である。床はフローリングではなく乾燥させた植物を編み込んだカーペットであった。
部屋はすでに天井の照明は消されており枕元に置かれた小型ランプによって部屋は柔らかく照らされていた。
シェルメの手入れが行き届いているのだろう。極めて小綺麗な寝室だった。
しかしマウルはすぐに違和感をおぼえた。床に敷かれた布団と布団の距離がほぼ接するようにして敷かれていた。
(近っ……)
だがマウルにそんなことは言えるはずもなく黙ってそれを見つめていた。
「あの人、ベッドの柔らかさがあんまり好きじゃなくて」
シェルメがそのことに触れることなく平然としていることも変に感じながらもマルウは平然を装った。
「大丈夫ですよ。僕も敷布団は嫌いじゃないです」
「そう、よかった。それじゃあ奥の布団がマウルさんのだから」
部屋の中にマウルが入るとさっぱりとした植物の匂いがし自然と身体の緊張がほぐれていく。
「それと夜にお水欲しくなったら1階の冷蔵庫から好きに取り出して飲んでいいからね。あっ、それとトイレはあそこ」
シェルメは寝室の外から階段とは反対方向の扉を指し示した。
「それじゃあ後はごゆっくり」
「ええ、ありがとうございます」
そう言ってシェルメは寝室から出ると扉を閉めた。しかし扉が締まるまでの僅かな瞬間、シェルメは複雑そうな表情を浮かべた。
マウルはシェルメのその表情を見ることなく扉が締まると枕元のランプを消し、床についた。布団は驚くほどフカフカですぐに安心するような匂いと今日の挨拶の疲れからマウルはすぐに眠りに落ちた。
ーーーーー
マウルが意識を手放してからどれくらい時間が経ったかはわからない。しかしマウルは異変を感じて目を覚ました。
目を開けると部屋が明るい。目を向けると枕元にあったランプが点いていた。
「おう、起こしちまったか」
「いや……大丈夫ですよ」
「そうか。そいつぁよかった」
すぐ隣、手が届く距離に敷かれた布団の上で胡座をかきながらランドゥがマウルを見下ろしていた。マウルは不思議と胸の高鳴りを感じる。
マウルが感じた違和感は枕元のランプが灯っているだけではない。部屋の中がムワリとした独特な臭いがしていたのだ。”臭い”とも少し違う。アロマのような匂いでもない。爽やかな香りとは程遠い。言語にし辛い臭いがプンッと漂っていた。その臭いはマウルの鼻を覆い、そしてその奥にツンツンと突き刺さる。
鼻に届くその臭いは異様で鋭く頭を覚醒させているようでもあり頭を酩酊させていくような感覚もある。そしてその作用はマウルをボンヤリとさせながらも心臓を高鳴らせ、そして血管へと強い圧力を催していく。バクバクと身体の奥から音がする。
マウルはしっかりと目を開けてランドゥを見つけて初めてわかった。臭いの元はランドゥの身体から発せられていた。
「なぁ、ちょいと話でもしようや」
「……はい」
ランドゥはそう言って掛け布団を除けたまま敷布団の上にゴロリと横になると横目で見ているの方に横たわった。
「イリナと初めて会った時、どう思った?」
「初めて……ですか。職場で会いましたけど、綺麗な人だと思いました」
「そうか。俺が言うのも自画自賛みてぇで気持ちわりぃがあいつはいい女に育ったな」
ランドゥはどこか懐かしむような気怠げな低い口調でそう言った。
「付き合うってなった時どっちから告白した?」
「……イリナさんから告白されました。すごいビックリしましたけど、素敵な方だったので付き合うことにしました」
マウルもイリナと付き合うことになった夜のことを思い出す。
「そうか。でもよぉ、お前さんも結構女にモテテたんじゃねぇか?」
「いや、そんな。もちろん何人かお付き合いした方はいましたけど、自分が競技を優先し過ぎていて長続きはしませんでした」
ランドゥはクックックッと静かに笑う。
「真面目なんだか違うんだかよくわからねぇな」
「……悪いことをしたなとは思っています」
ランドゥにつられてマウルの声も低くなっていく。
「イリナのどんなところが好きになった」
「……初めは気の強い女性だと思いました。でも知るにつれてすごく可憐でおしとやかで、そして繊細な人だと感じました。それが、すごく可愛かったです」
「ふふっ、そうか。まるで自分のことみてぇに嬉しいな」
直接見ていなくてもランドゥが小さく笑っているのがマウルにはわかった。マウルは初めこうしてお義父さんと同室で寝ること。それも布団が接するほど近く並べて寝ることに違和感を覚えていたがこうして語らうことも悪くないなと思った。
だがランドゥの次の動きに驚かされた。
ランドゥは仰向けで寝るマウルのすぐ横に身体をずり動かしてくるとマウルの丸い顔にゴツく大きな手を添えた。
「おめぇもおんなじくらい可愛いぜ」
「えッ!?」
マウルは驚愕すると思わずランドゥの方に首を向けた。するとすぐそこにランドゥの顔があった。怖さを感じるほど男らしく年齢以上の渋い顔をもつランドゥはヒヤリと笑っていた。
驚愕しているマウルが身動きをしていない内にランドゥはカパリと口を開けてマウルの短いマズルに齧り付いた。
ジュルッ……
「んふッ!!!」
ランドゥの触手のような太い舌は硬直するマウルの口を無理矢理開かせ口内、歯、歯茎、舌をなぞりあげていく。マウルの口の中にランドゥの味が広がっていく。驚きから固まっているマウルは口の中の味を再確認する。それは部屋中に充満していたランドゥの臭いを濃縮したようなものだった。
ランドゥの臭い、味は迎合したくなるようなものではなかった。しかし同時に抗いがたいものでもあった。鼻につく、喉に刺さる臭いと味にも関わらず思わずそれを迎え入れたくなるような、そしてもっとそれを欲してしまうような魔力のある臭い、味だ。
驚きとその不思議な感覚も相まってマウルはグビリと唾を飲み込む。するとランドゥの唾液も十分に含まれていたのか喉が焼けるような、度数の高いアルコールを接種したように感じた。そして即効性のある酔い。マウルの脳味噌ははっきりと覚醒しながらトロリと酔いしれた。
「んッ! んッ!」
「ヂュルルッ……チュッ……抵抗しなくていい、慌てなくていい。ただ俺に身を任せてろ」
少しずつ状況を理解し思わず身体を離そうとマウルの太い腕がランドゥの太い胴体にぶつける。しかしマウルの太い腕よりも更に太いランドゥの腕がそれを退ける。猛獣なような力を持つはずのマウルの腕はいとも容易くランドゥの手で鎮圧されると自身の背中の方へと曲げられてしまう。そしてランドゥははだけた寝間着の胸元から腕をスルリと滑り込ませるとマウルのミチミチに膨れ上がった肉体を撫でまわした。
力が入らない。マウルは動揺する。四肢に力を込めようとしてもその根元の部分から力が湧いてこない。しかしそれも少し違う。意図的に力を沸かせないようにしてるようでもある。
そうこうしている内にランドゥの口から何度もマウルの口に齧りつき、口を割らせ、舌を差し込み舌をネロネロと絡みつかせた。そしてランドゥは逆流してきたマウルの唾液をグビリと飲み干した。
「うんめぇ……♥ やっぱイリナが連れてくる男にハズレはいねぇや」
「はぁ……はぁ……」
ランドゥはベロリと自身のマズルの周りを舐め回すとギラギラとした表情でマウルを見た。対称的にマウルの顔は恋する乙女のようにトロリと蕩け、熱にうなされているように荒く呼吸をしていた。
「おら、気づいてねぇのか?ギンギン」
「えっ……」
ランドゥは寝間着の上からマウルの股間を鷲掴みにする。するとマウルはイリナ相手でもしたことがないほどに下着の中で肉棒を反り返らせていた。マウルはあまりのことに理解が追いつかない。
「男とこういうことしたの初めてか?悪くねぇだろ?」
「はぁッ……はぁッ……」
寝間着の上からランドゥがマウルの肉棒を手で優しく撫であげると下半身からゾクゾクと感じたことのない快感が背筋を駆け上がってくる。
「ふぐぅぅッ!」
「こんなの初めてか?たまんねぇだろ?おめぇは横になってるだけでいいからよ、俺を受け入れるだけでいい。簡単だろ?」
ランドゥは寝間着の隙間から息を荒げるマウルの肉体を撫で回すとムッチリと肉づいた雄胸を鷲掴みにしてその形を乱暴に変形せる。
「んんんッ!! ふぅんッ!! ふはぁッ!!」
「あぁ、すっげ。雌みてぇな胸。たまんねぇ。でも雌のよりも弾力があるからな握り潰しがいがある。たまんねぇ。どうした、雌みてぇな声出てるぜ。胸揉まれただけで感じてんのか?すげぇだろ?胸揉まれただけでこんな感じるなんて思ってなかったろ?すっげぇスケベな乳だな、ほんと。ずっと揉んでられるわ。一度雄の乳しっちまったら雌の乳じゃ物足りなくなるからな。すっげぇ」
腕をグリングリン回し、手をギチギチを締め上げてランドゥはマウルの雄乳を犯した。ランドゥが胸を捏ねくり上げる度にマウルの胸部から重圧の快感で身体が満たされる。マウルの思考力はドロドロと落ちていきただただ快楽を享受することしか出来ない。
マウルの目は緩み涙がトロリと溢れ、目を開け続けることが難しくなってくる。
「あぅッ……あぅッ……あぅッ」
「はぁ〜可愛い声出すじゃねぇか。たまんねぇだろ。もうなんも考えなくていいから。気持ちいいことだけ考えてろ。俺が溶かしてやるからよ」
雄乳を揉みしだきながらランドゥは爪で乳の先端、肉突起がピチンッと弾いた。
「い゛ッッッッッ♥」
ブビュルルルルルルッッッッ ブビュッブビュッブビュッブビュッ!!
ブッビュブッビュブッビュッ ビュルンッビュルンッビュルンッ!!
「おっ、乳首軽く弾いただけでイっちまったのかよ。とんだ野郎だな、お前。どんだけ才能あんだよ。そんなに俺に酔っちまったのか?この調子だと朝までイキまくりだぞ、おい。身体ぶっ壊れちまうぞ。まぁいいか、俺が頭真っ白にしてやるからよ」
マウルは寝間着を、下着を着たままに中で雄精をドクドク吐き出した。下着の中で射精してしまうなんてマウルにとっては子供の時以来である。我慢をする暇もなく雄液を吐き出すとマウルは腰が取れてしまうような快感にランドゥの前で無様に跳ねた。
ビグンッ……ビグンッ……ビグンッ……
「ふぅッ……ふぅッ……ふぅッ……♥」
「おうおう、身体痙攣しまくり。腰抜けちまうだろ。もっと俺に酔っていいぜ、もっと頭ブッ飛べるからな。今まで経験した気持ちよさなんて比べモンにならねぇだろ。今日はお前の体液全部ブッこ抜くからな。だがそのぶん気持ちいいからよぉ、喜べよ。声も我慢しなくていいぜ。下の階の奴らに聞かせてやろうぜ、お前の雌声」
”下の階”と言われた瞬間にマウルの頭が覚醒する。今自分は結婚の許しを得にイリナの実家に来ており、そして許しを得た。そして今結婚を決意したイリナは下の階で寝ているのだ。マウルは今一体何をしてしまっているのか、しでかしてしまっているのか我に返った。
しかしそれもほんの束の間であった。次の瞬間にはランドゥは揉み込んでいたマウルの雄乳の先端をベロリと舐め上げた。
ヂュルルルルゥゥゥッ レッロレロレロォォォォッ ヂュッパヂュッパヂュッパッ!
ヂュパヂュパヂュパヂュパァァァッ クチュチュチュチュゥゥゥ〜〜〜ッ!
「いぅぅぅぅぅッ♥ あ゛ッあ゛ッ♥ ダメッダメッダメッ♥」
「ヂュルルルッッチュルルゥゥッッ……うお、すっげぇいやらしい乳首。ピチピチじゃねぇか、おい。なんだ、イリナに乳吸わせたりしてんのか?ヂュチュチュチュチュゥゥッ……レロォッ……うんめぇ。まぁこんな綺麗な乳首してたらイリナにイジらせたりしてねぇな。どうだ、乳首でこんな感じるなんて思ってなかっただろ。今日知れてよかったな。楽しみ増えたじゃねぇか。今度イリナに乳吸わせてみろよ、たまんねぇぞ。だが俺の方が上手く吸えるがな。」
ランドゥはマウルのプックリと膨れ上がった雄乳首を舌でゾリゾリと舐め上げ、歯をわざとあててカリカリとし、口で咥えるとチュルチュルと吸い上げる。
マウルの身体には舌を絡め取られた時よりも、雄乳を揉まれた時よりも鋭い快感より休みなく突き刺さる。雄乳の先端から全身に張り巡らされた神経の隅々にまで快感は駆けていき、全身がそれに合わせてビクビクと震える。
マウルの頭の中から”イリナ”という存在が零れ落ち、頭はただただ快感を受け入れることしか考えられなくなる。そんなマウルは雄乳に顔を埋め雄突起と嬲り回しているランドゥの身体に思わず太い腕を回して強く抱きしめてしまっている。
ヂュルヂュルヂュルヂュルゥゥゥゥッ チュチュチュチュチュ〜〜〜〜ッ!!
レロッチュルッヂュルッネロネロネロネロォォッ ヂュッチュウウウゥゥッ!!
「ひぃ゛ッッ♥ ぐぅッッう゛ぅッッう゛ぅッッ♥ ぐぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜ッッ♥」
「うんめぇうんめぇ。ずっと味するわ、お前の乳。たっまんねぇや。こいつは上物だな。ぜってぇお前のこと離さねぇからな。全身チンポにして身も心も俺のことしか考えられなくすっからよぉ。喜べ。今まで知らなかったこといっぱい教えてやるからよ。俺に触れられただけでイクようにしてやるからな。あぁマジで楽しみだな。おめぇのエロい身体が千切れるくらい調教してやるからよ。面倒なこととかもう考えなくていいからな。俺のことだけ考えろ」
「はぁ゛〜〜〜〜ッ♥ はぁ゛〜〜〜〜ッ♥ はぁ゛〜〜〜〜ッ♥」
「おら、聞こえてっか?おめぇのマンコとんでもねぇことになってんぞ」
肉突起を弄ばれて息も絶え絶えになっているマウルを尻目にランドゥは寝間着の隙間から下着の下へと手を滑り込ませていた。そしてランドゥは指を束ねるとマウルの雄穴の中にズププと指を沈めた。
マウルの雄穴は本人が気づかない内に中から垂れるはずもない雌液がビシャビシャに溢れランドゥのぶっとい複数の指を容易く飲み込んでいけるように変わってしまっている。
ズブブブブブブゥゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜ッ……
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛んんんんん〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ♥」
「すっげぇな、ただのマンコじゃねぇか、これ。こんだけケツ穴が早くマンコになった奴初めてだ。才能あり過ぎんだろ。しかもトロトロ。今までSMクラブいったり自分でケツいじったりしてねぇよな?まぁお前真面目だからケツいじったりしてねぇよな。これもいい経験だよな。まさか男の身体にマンコあるとは思わねぇもんな。だがなマンコはチンポなんか目じゃねぇほどブッ飛べるからよ。これから俺のチンポで時間かけて仕上げていってやるから期待してろ」
もうマウルの耳にはランドゥの言葉が文章と認識出来なくなっており、感覚は自身の股穴に集中されていた。肉棒を刺激されるのとはまた違う、奥をグリグリ押されることにより無理矢理快感を捻り引き出されているような感覚。
これまでに知らない快感から驚き逃げ出そうには雄穴は逃げることは出来ない。為すがままにランドゥの太い指を受け入れ、そして快楽を生み出す源泉を無防備に明け渡すことしか出来ない。
「んっ、ここだな、お前のポルチオ」
ランドゥは手応えを得たのかマウルの中の一点を指で押し潰しながらその周辺と合わせて指でグリグリと乱暴に、しかし的確に責め立て始める。
グッッッヂュゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜ッ!!
グチョチョチョチョチョチョチョチョォォォォ〜〜〜〜〜ッ グチョグチョッ!!
ブチュチュチュチュゥゥゥッッ グヂュヂュヂュヂュヂュヂュッッ!!
「あ゛ぐッッッッう゛う゛う゛う゛う゛う゛うううううぅぅぅッッ♥ う゛ッッッう゛ッッッう゛ッッッ♥」
「いい声いい声。完全に下の階まで聞こえちまったな。結婚相手の耳にとんでもねぇ雌声と届けちまったな。さぞかしガッカリしてんじゃねぇか。まさか結婚相手がこんな淫乱雌マンコ野郎だって知っちまったらな。あぁ、マンコ、キュンキュンさせてんじゃねぇぞ、指抜けなくなっちまうだろうがよ。あ〜あ、布団ベットベドだ、こりゃ。女でもこんなマン汁垂らさねぇぞ。どうなってんだ」
ランドゥは不敵な笑みを浮かべながら容赦なくマウルの中を指で掻き回す。マウルにもはや判断力はない。雄から雌への変化。それと凶悪な快感をただ受け入れるしかない。視界は強烈な快感にちらつき、口からは出したことのない声を発する。絶え間なく身体を布団の上で痙攣させながらランドゥの度数の高い雄臭を肺いっぱいに吸い込み酩酊していく。そして口の中に残るランドゥの味を舌をネチョネチョと動かして再び味わう。
「俺の家系は雄力強すぎてよぉ、何もしなくても筋肉がビキビキに発達しちまって肉達磨になるんだわ。それにフェロモンだかなんだかわからねぇけどよぉ、臭い嗅いだ奴が結構雌になっちまう。雌はもちろん雄も間近でこの臭い嗅ぐとイチコロだな。だからマンコに困ったことねぇんだ、いいだろ?俺のオヤジもすごかったが俺の母がかなり動物の才能ある奴でさ、ただでさえ雄臭い家系なのに俺の身体から出るフェロモンの量ブッ壊れちまったんだわ。まぁいいことだらけじゃねぇけどな。周りの奴みんな狂っちまうしよ」
独り言のように語りかけている間もマウルの中でランドゥの指達が乱舞する。気がつけばマウルの下半身の位置の布団はオネショをしたかのように雌液でビショビショになっており、それは布団を突き抜けて床まで到達しようとしていた。
「もうマンコもいい加減だろ。いや、元からモチモチマンコだったがよ。そろそろチンポで味合わせろ。待てねぇよ」
布団の上で身体を震わせながらクネラせているマウルをガバッを仰向けにすると乱暴に下着を引抜がし丸太のように太いマウルの両脚を抱え込むと腰に巻いていた帯を解き寝間着の前を肌けさせるとすでにバキバキに勃起した凶悪な面構えの肉棒を取り出しマウルの雌穴にノンストップで突き刺した。
ズッッッププププゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!
「お゛お゛お゛お゛お゛おおおぉぉぉッッ♥ んごぉッッお゛ッッお゛ッッ♥」
「んぁ〜フワトロでギッチギチ。すんげ。ほんとにケツで遊んだことねぇよな。まぁ俺の臭いがお前のケツ穴速攻でマンコにしちまったか。トロトロでギチギチ。矛盾してんなぁ。今までこのマンコ使ってこなかったって人生損してんだろ。これから俺が人生取り戻させてやるから。あぁすっげすっげ。お前身体鍛えてるからな、だからマンコも筋肉でビキビキなんだろうな。筋肉雄マンコたまんねぇ。これまで俺のチンポのためにトレーニングありがとな。あぁ〜たまんね、腰止まんなくなるぞ、これ」
ランドゥは天井を見上げながらマウルに屈辱的な言葉たちを浴びせながらマウルの淫穴かから伝えられる快感に酔いしれた。マウルの中は心臓が鼓動に合わせるようにビクンビクンと脈打ち、しかしランドゥの肉棒を逃がすまいとギッチリと引き締まっていた。
そして腰を止めたまま肉棒でマウルの雄穴の感触たっぷりと味わうとランドゥはズルリと肉棒をマウルの中から引き抜くと今一度大きく腰を叩きつけ肉棒でマウルの中の最奥をゴツンと変形させた。
ズッッッブンンンンンッッッ!!!
「お゛ッッッッッッッ……こほぉッッッッ♥」
ブビュルルルルルルルッッッ ビュルンッビュルンッビュルンッ!!
「んん〜〜一突きでイッちまったかぁ。これくらいでいちいちイッちまってたら朝まで保たねぇぞ。こっからマンコめくれ上がるまでチンポ出し入れすっからよぉ。おっおっおっ、トロマン雄イキでビックビックじゃねぇか。いい心地だ。ちゃんと俺のチンポもてなしてくれよ。マンコの気持ちいいとこガン突きしてあの世に送ってやるからな。気絶しちまったらあんまマンコ気持ちよくなくなっちまうからちゃんと意識保てよ、なぁ」
がっしりとマウルの太い脚に力を込めて抱きかかえるとランドゥは壁を破壊するかのように腰と杭と打ち付け始めた。
ドブチュンッッ ドブチュンッッ ドブチュンッッ ドブチュンッ!!
布団の上で溶け合わないほどの体積を持つ雄同士が腰と腰を交あわせる。体液でドロドロの毛並みになったマウルの腰からは弾ける水音が響き、そしてランドゥの重量級の動きには床がドスドスと鳴り響いた。壁や窓もその風圧からビリビリと揺れる。
ランドゥの肉棒が出し入れされるマウルの中は過剰な肉刺激からビクンビクン揺れ動きそれが肉棒に絡みつく。突撃してくる肉棒は中の奥をグニャリを押し曲げ、そして亀頭を包み込むように形を変える。
止めどない肉棒の挿出、そしてそこから生まれる快感にマウルは文字通り飛び跳ねる。しかしマウルと同等以上の肉体を持つランドゥに簡単に抑え込まれる。マウルの衰えることのない肉棒はランドゥが身体を衝突される度にブルンブルンと揺れ動き、容易に絶頂へと導かれると白濁液をビュルビュルと自身の胴体、時には顔、そしてそれを飛び越して布団、床へと飛び散っていく。
ボチュンッッ ボチュンッッ ボチュンッッ ボチュンッッ ボチュンッッ!!
「ふごッッ♥ ふごッッ♥ ふごッッ♥ 無゛理゛ッ♥ 無゛理゛ッ♥ もう゛ッッ無゛理゛ッ♥」
「おいおいマンコ震えすぎだろ。チンポもイキすぎだ。人様の家の布団と床汚してんじゃねぇぞ。このマンコわがまま過ぎんだろ。それにチンポも弱すぎだ、これ。イリナにもこんな雑魚チンポで相手してんのか、呆れるぜ。おっすっげぇ、俺にこんなこと言われて興奮したか?マンコ引き締まってチンポもぎ取れそ。俺がしっかりわがままマンコ躾けてやるからな。強強マンコにさせてやっからな」
それからランドゥの侮辱的な言葉を浴びせられながらそれを理解出来ないままマウルはランドゥの肉棒に踊らされた。肉棒を突き立てられると意識が飛びそうになる快感が脳味噌にブチ刺さり、その快感を咀嚼出来ないうちに肉棒が再度突き立てられまた生まれた快感に意識が飛びそうになる。
マウルはうわ言を漏らしながらもランドゥの肉棒に身を任せる他なく雌穴と肉棒、同時に2つの箇所から弾ける快楽に飲み込まれた。
肉棒を叩きつけながらランドゥはうっとりとした表情でマウルの顔を覗き込む。数時間前まで娘の結婚の許しを乞いにやってきて男前の顔でそれを告げた男が自分の肉棒を咥え込み人生で見せたことのない破顔をあられもなく晒す。その様がランドゥにはたまらなかった。
ランドゥは肉棒をより固くさせると更にマウルを破壊すべく腰を叩きつけまくった。
ドヂュンッッッ ドヂュンッッッ ドヂュンッッッ ドヂュンッッッ!!
「ん゛おぉッッ♥ ん゛おぉッッ♥ ん゛おぉッッ♥ やばッッ死゛ぬッッ♥ もうッッわ゛かんないッッ♥ だめッッ♥ 無゛理゛ッッ♥」
「あぁすっげぇ顔。鏡でお前の顔見せてやりてぇわ。とんでもねぇ顔してんぞ。明日どんな顔でイリナに会うんだよ、お前。マンコだるだるにしたまま婚約者と会うのか、あぁ?こんな雌マンコ野郎が結婚だとか調子のってんじゃねぇぞ、おい。俺が一番だからな。仕事してる時もウェイトリフティングしてる時も俺のチンポのこと考えろ。そうすりゃ俺が一生可愛がってやるからよ、おお。お、すっげ、俺の言葉聞いてマンコ疼いちまったか。ははっ、いい子だ。いつでも俺のチンポのこと考えてマンコぐじゅぐじゅにしとけよ。連絡くれりゃぁいつでも雌にしてやるからよ。お、またマンコ締まったな。あぁ、やっべ、俺も我慢出来ねぇわ、そろそろイク。俺の種汁、顔にかけて欲しいか、飲みてぇか?いややっぱ種付するわ。これから結婚しようって男が妊娠するなんて笑いもんだな。俺のガキ汁いくぞ?いくぞ?うッッッッ……ぐぅぅッッ!!!」
ブッッッッビュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!
ブビュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!
ボビュルルルッッ ボビュルルルルッッッ!!
ボビュッッ ボビュッッ ボビュッッ ボビュッッッ!!
「うッッッおッッッ……チンポ止まんねぇ、腰抜けちまうぜ……おッまだ出る」
「お゛お゛んッッッッお゛ッッッお゛ッッおおぉぉぉぉぉーーーーーーッッッ♥」
ランドゥのホースから壊れたように精液が放出される。マウルは体内からその音が聞こえるほどだ。マウルは自身の中をランドゥの雄汁が勢いをもって尻から腹へと駆け上がってくるのを感じ、そしてまたマウルの中では捕まえきれなかったランドゥの子種が尻から逆流しブシュッブシュッと音を立てて噴き上がる。
マウルはケツ、そしてお腹の中がランドゥの雄汁によって熱されるのを感じ雄では感じえなかった快感を感じる。それはこれまで乳首や雄穴から生まれた快感とは違うランドゥに体内の中から抱かれているような、ランドゥに侵されているようなネットリと、ジンワリとした心地よさに雌声を上げながら酔いしれた。
止まることのない注精をしながらランドゥは歯を食いしばりながら突き抜ける快感に汗を噴き出させた。肉棒からの自動的な快感はもちろんのこと、雄精をマウルの最奥の最奥、更に奥へ着精させるために腰をグリグリと円を描くように動かした。ランドゥの肉棒の先端は押されるがままにマウルの雌穴のポルチオに押し付けられ亀頭が膣壁にめり込み包まれる。
ブビュビュビュビュッッ ブビュビュビュビュビュッッ!!
ビュルッッ ビュルッッ ビュルッッ ビュルッッ!!
ボビュルッッ ビュルッ ボッビュッ ボッビュッ!!
「ぐッッ……はぁ、チンポ止まんね。お前のマンコで俺のチンポブッ壊れちまったぜ、おい。どうしてくれんだ、あぁ?そんなに俺のガキ欲しいか?あぁッ……ぐぅッ……すっげ、すっげ、チンポずっと止まんねぇ。俺のチンポはお前に俺のガキ生んでほしくてたまんねぇみてぇだわ。こんなにザーメン出たの久しぶりだな。んぉッ……どんだけ種汁出んだ、これ。お前のマンコの中これで全部孕んだからな。こんなん初めてだろ?俺が一番乗りだな。これからも俺がお前のことずっと孕ませまくるからちゃんとマンコ空けとけよ、いいな?」
ドビクンッッッ……ドビクンッッッ……ドビクンッッッ……ドビクンッッッ……
「ふはぁ゛ーーーーッッ……ふはぁ゛ーーーーーッッ……ふはぁ゛ーーーーーッッ♥」
「あーあ、こりゃ聞こえてねぇや。気絶はすんなよ?マンコ緩んじまうからな」
電気ショックをうけているかのように跳ねる自身のザーメン塗れのマウルは光を失った目のまま呼吸をして生命活動をするだけで精一杯だった。僅かに知覚出来るのは自分の意志とは関係なく痙攣し続ける雌穴と肉棒、そして体内でポチャポチャと流動するランドゥのザーメンの感触だった。
「お、まだこんな時間か。朝までまだ時間あるからな。俺が雄、お前は雌ってことみっちり教え込んでやるからな」
ランドゥは悪い笑みを浮かべながらマウルの丸い太腿をバチリッと叩いた。
*****
朝、体液でベットリと汚れた身体を外も中も洗い流した虚ろな意識のマウル。身体をバスタオルで乾かした後にハンドタオルで細かな湿り気を拭き取りながら自我を取り戻そうとコーヒーを飲むためリビングに行くとソファにイリナが座っていた。マウルは思わず動きを止めた。
「……」
「……」
両者の口から言葉は出来てこない。マウルはイリナから目を逸らすがイリナもマウルのことを見ない。
マウルはこのまま帰ってしまおうかとさえ思った。
先に口を開いたのはイリナの方だった。
「夜……色々あったよね」
「……」
まだマウルは言葉を発することが出来ない。
「本当にごめんなさい。こうなるって実は、わかってたの」
「わかってた?」
イリナは泣きそうな顔で言葉を紡いだ。
「……昨日の夜わかったと思うけど、私のお父さん、ああいう人なの。雄として強すぎて私の恋人、みんな私よりもお父さんのこと好きになっちゃうの。中学生の頃からでも私と付き合った人、みんなお父さんの方を好きになっちゃうの。もう何人もお父さんに堕とされちゃう。今でも性奴隷みたいになっちゃった人いっぱいいて、この近所にも住んでたりする」
「そ……そんなことって……ありえる……わけ」
「ありえるの。私の家系はもともと雄性が強い家系なんだけど、その中でもお父さんは別格なの。女性にもモテるけどお父さんのフェロモンみたいなものは男性に効果抜群なの。みんなおかしくなっちゃう。過去にも私と婚約した人いたんだけどお父さんの奴隷になっちゃった。こうなるってわかってたからお父さんから出来るだけ会わせないようにしてたんだけど、いつしか肉体関係を持って堕とされちゃった。遅かれ早かれなの」
イリナは沈んだ顔のままマウルを見つめた。マウルは言葉を失ったまま
「私、あなたのこと本当に愛してる。本当に。あなたと結婚したい。……だから」
イリナの顔に力がみなぎる。
「だから、お父さんに打ち勝って。お願い」
そう言い切るイリナはマウルには輝いて見えた。マウルが好きになったイリナの姿だった。マウルは少しの間呆然としていたがイリナの言葉で我に返ると首にかけていたタオルをギュッと握り締めた。
*****
マウルはそれからイリナのお父さんに会うことはなかった。あの夜のことはあまりにも衝撃的で何度もあの時のことがフラッシュバックした。しかしそんな記憶も僅かに薄れ始めマウルはこれまでと同じようにイリナとの付き合いを続けている。
今日は土曜日。イリナといつものようにデートの予定を入れていた。午前中はウェイトリフティングのトレーニングを行い午後からイリナと会う予定だ。
今日は高重量、低回数で筋肥大を促すトレーニングをみっちりと行った。前までであればフラフラになり午後はゆったりと過ごすことが多かったがイリナと付き合い始めてからは是が非でもデートで予定をいれている。土日を除くとイリナと長い時間会うことが叶わないからだ。
午前のトレーニングを終えた後一度家まで戻りシャワーを改めて浴び、獣毛をとかし、服装を整えて予定の時間にイリナに会いに行く、予定だった。
予定の時間までまだ時間があり家でくつろいでいるとインターホンが鳴った。いつも宅配は置き配にしているため誰が来たのだろうと不思議に思いながらインターホンをつけるとそこにはランドゥが立っていた。
「よぉ、マウル君。遊びに来たぜ」
ーーーーーー
ボヂュンッッ ボヂュンッッ ボヂュンッッ ボヂュンッッ!!!!
「お゛ッッお゛ッッお゛ッッお゛ッッお゛ッッお゛ッッ♥」
「ん〜たまんね。やっぱお前マンコの才能あるわ。この俺がこんなに夢中になるなんて久々だぜ、おい。嬉しく思えよ、おらッ!」
マウルの身体の大きさにあった家の広いベッドの上、裸のマウルはべったりとうつ伏せになり顔を枕に埋めている。そして全裸のランドゥはそんなマウルの上にずっしりと覆いかぶさりながら腰を激しく動かしていた。
インターホンに写ったランドゥはいやらしい笑みを浮かべていた。ランドゥの姿を見た瞬間マウルの全身の獣毛は逆立ち、ゾクゾクとした悪寒のようなものが走り、そして下腹部がジンジンと疼いた。
「……何しに来たんですか」
「ちょっと近くまで寄ったからよ。あれからお前に会ってなかったから久しぶりに顔見たくなってな。可愛い娘の交際が上手くいってんのか、知りたくて、な」
全身の毛穴から汗が噴き上がるのを感じる。絶対にお義父さんに会ってはいけない。しかしマウルのもう一つの頭が「お義父さんは娘を心配してたまたま会いに来ただけ」という言い訳を生み出した。そんなことはないともう一つの頭がわかっていてもどうにもならなかった。マウルは震える指でエントランスの扉を開けるボタンを押した。
ドチュンッッッ ドチュンッッ ドチュンッッ ドチュンッッ ドチュンッッ!!!
「すごッッ♥ すごッッお゛ッッ♥ イグッッ♥ イグッッ♥ またッッイグッッ♥ 中゛ッッ中゛ッッジンジンッしゅるッッ♥ やばッッ♥ イグッッ♥ やばッッ♥」
「マンコびっくびく。まだ部屋あがってから数十分しか経ってねぇぞ。何回イクんだ、この雌犬。とんだ喰わせモンだな。こんな雌犬が可愛い娘と結婚するなんてお父さん悲しいぜ」
ベッドの上で盛りに盛ったハンバーガーのように重なるマウルとランドゥは山のように盛り上がっていた。平らにうつ伏せになったマウルは枕に顔を突伏したまま朱色の声を上げ染み込ませている。その上で岩石のようなランドゥはマウルをぺちゃんこに押し潰すように重なり腰を暴れまくらせた。ただでさえ高重量の雄2人を乗せ歪んだベッドがグニグニとスプリングを歪ませながら揺れる。
催眠でもかけられたようにランドゥを家にあげたマウルはすぐに裸にひん剥かれるとベッドに投げられあっという間に組み敷かれ肉棒をねじ込まれた。それからは休むことなく腰を叩きつけられ、中にランドゥの雄汁を注入され、そして自身も抗えない快楽で肉棒から精液を情けなく弾け飛ばした。枕に埋めた口は溢れ出る喘ぎ声から閉じることを忘れて唾液をダクダクと垂らし枕をグッショリと濡らしていた。
ズプンッッ ズプンッッ ズプンッッ ズプンッッ ズプンッッ!!!
「ふほぉッッッ♥ ふほぉッッッ♥ ふほぉッッッ♥ んぐぐぐぅッッ♥ あ゛ッッあ゛ッッ♥ またッッイグッッ♥ イグッッ♥ いやッだッッ♥ 止められッッ♥ うぐぅぅッッ♥ ……ッッッぐはぁッッ♥」
ドビクンッッ ドビクンッッ ドビクンッッ ドビクンッッ ドビクンッッ!!!
「お、またメスイキか?何回目だ?10回目ぐらいか?ほんとだらしねぇマンコしてんな。どんだけ俺のチンポ好きなんだよ。まぁ回数なんて関係ねぇけどな。俺が満足するまでマンコ躾けまくるかな」
「もうッッ♥ もうッッ♥ 許゛じてッッ♥ あぐぅッッ♥ ひぅッッ♥」
「な〜に言ってんだ。家にあげたのはてめぇだろ。俺見てマンコ疼いたんだろ。安心しろよ。可愛い婿のためだ、俺がチンポでいくらでも昇天させてやるよ。それに連絡くりゃぁいつでも付き合ってやるぜ」
押し潰すようなランドゥの下でマウルの身体がビクンビクンと震える。
「あ゛ッッ♥ あ゛ッッ♥ 中゛ッッ♥ やばッッ♥ 中゛ッッ♥ やばッッ♥」
「おい、”中”じゃねぇだろ、”マンコ”だろ、てめぇのここはよぉ。二度と言い間違えんなよ。おら言って見ろ。”マンコ”って言ってみろ、オラァッッ!!」
尻を天井に突き出すようにランドゥは腰を引くを重力と共にマウルのまん丸の尻へと腰を叩きつけた。
ドヂュンンンッッッッ!!!
「お゛お゛おぉぉッッ♥ お゛ッ♥ お゛ッ♥ マ゛ンコッッ♥ しゅごぉッッ♥」
「おぉおぉちゃんと言えたな。偉いぞ。”マンコ”言いながらケツアクメするの頭ブッ飛ぶだろ?お前のここはマンコだかんな。あぁすっげマンコびくびく。またマンコいくんじゃねぇのこれ、なぁ?」
「しゅるッッ♥ しゅるッッ♥ マ゛ンコッッ♥ イ゛ッッッグゥゥゥッッ♥ イグイグイグイグッッ♥」
ビグンッッ ビグンッッッ ビグンッッッ ビグンッッ ビグンッッ!!!
「おぉイったイった。どした?イキ癖ついちまったか?まぁ俺のチンポ味わったらもう元には戻れねぇわな。まぁ頭真っ白けの空っぽカラカラにしろ。俺のチンポのことで頭パンパンにしてやるからよぉ。な?俺にチンポチンポ言われるとマンコびくびく反応すんだろ?たまんねぇよなぁ?俺のチンポ大好きだろ?なぁ正直に答えてみろよ」
気がつけばマウルは快感に震えながら覆い被さるランドゥを押し上げるように腰をガクガクと自ら動かし始めていた。
「しゅきぃッッ♥ チンポしゅきっすッッ♥ チンポでぇッッ♥ マンコびくびくするっすッッ♥ あ゛ッッあ゛ッッあ゛ッッ♥ チンポぐりぐりッッ当゛たるぅッッ♥ マンコひくひくしゅるッッ♥ やばッッ♥ すごッッ♥」
「あぁすっげ。マンコもビクビクいって答えてんぞ、おい。そういやお前これからイリナとデートなんだってな。オヤジとこんなことしといてどんな顔してデート行くんだよ。恥ってもん知らねぇのかよ。人の娘にこんな汚れた身体して手ぇ出そうとしてんじゃねぇぞ。おめぇが心奪われてるのはどこのどいつか答えてみろ、おら。おめぇは俺の娘とセックスしてるベッドの上でお義父さんとセックスしてんだよ。二度とここで女抱けねぇようにしてやるからな。もう一度聞くぞ?てめぇはどこのどいつが好きなんだよ、おら」
その言葉に快楽に沈没していたマウルの頭に閃きのようにイリナの顔が浮かんだ。頭の中にかかっていた霧が僅かに晴れつつあった。
「俺゛はッッ♥ 俺゛はッッ♥ んぐッッ♥ ふはッッ♥ あ゛ッッぐぅぅぅッッ♥」
「なんだ口ごたえすんのかよ。ナメてんのか、おい。こんなことしといて偉そうなこと言うんじゃねぇぞ。てめぇはこれから俺の種汁袋になんだよ。お前が重量挙げやってる時の腹パンパンに俺の種汁溜め込むんだよ。バーベル持ち上げてマンコから俺の種汁ブシャブシャ撒き散らすんだよ、おら」
マウルは枕に隠れて目をギュッとつむり、歯を食いしばった。油断をするとすぐにランドゥの肉棒で頭が漂白されランドゥのことで頭が一杯になってしまう。僅かに残っている理性の力を振り絞りマウルはイリナのことを頭に留めた。
ドヂュンッッッ ドヂュンッッ ドヂュンッッ ドヂュンッッ ドヂュンッッ!!
「ぐぅッッ♥ ぐぅッッ♥ ぐぅッッ♥ だめッッ♥ ぐそぉッッ♥ イ゛ッっちまうッッ♥ やっっべぇッッ♥ イっぐッッ♥ イっぐッッ♥ イグイグイグゥゥッッ♥」
「……ふん。強情な奴だな。まぁ今日はこれぐらいにしといてやるか。じゃあ最後にドップリ中に出すからよぉ。腹ん中に俺のザーメンたっぷり仕込んだままデート行けよ。それでどっちがほんとに好きか考えろ、雌マンコ野郎。おらいくぞ?いくぞ?いくぞ?孕んだっていいんだぞ?おらッッおらッッ……うぐッおらぁぁッッ!!」
ランドゥが一際強く腰を叩きつけるとマウルの中に遠慮なく大量の精液をビュウビュウと注ぎ始めた。
ブビュルルルルルルルルルル〜〜〜〜〜ッッ!!
ブリュッッッ!!
ブリュリュリュリュリュリュリュリュ〜〜〜〜〜〜ッッ!!
ビュパァッ ビュパァッ ビュパァッ ビュパァッ!!
「お゛ッッ♥ お゛ッッ♥ く゛ッッるぅッッ♥ ぐるぅッッ♥ 熱゛ッッ♥ 熱゛ッッ♥ マ゛ンコにぃッッ♥ ザーメンッッぐッッるッッ♥ あ゛ッッあ゛ッッ♥ あ゛ーーーッッ♥ マ゛ンコいっぐッッ♥ 熱゛ッッ♥ マ゛ンコ止゛まんねぇッッ♥ イ゛っっっっぐぅッッ♥」
ビクンッッ ビクンッッ ビクンッッ ビクンッッ ビクンッッ!!!
マウルは覆い被さる重い体重のランドゥを跳ね除けるほど身体が揺れ動いた。しかしそれを鎮めてしまうほどランドゥは体重をかけて身体を重ね、そしてグリグリと腰を動かしながらマウルの中に長時間の射精を続ける。2人の体重でベッドがグニャリとへしゃげる。
腹の中の熱い種子を感じながらマウルは尻と肉棒とで絶頂を感じていた。
「あぁすっげぇ出たわ。お義父さんの種汁腹に溜めたままデート行けよ。いや、気が変わったってんならこのままデートキャンセルして俺とこのまま交尾してもいいぜ。マンコはまだまだチンポ欲しがってるみてぇだからよ。おら、チンポがっちり咥えて離さねぇわ」
霞んでしまっている意識の中でマウルは最後の力を振り絞った。
「ごめん、待った?」
イリナとの待ち合わせ場所にマウルは脚をふらつかせながら辿り着いた。待ち合わせ時間は過ぎていた。しかし弱ったマウルを見て全てを察し、しかしそれでも自分の元へと来てくれたマウルを見つめた。。
「全然待ってないよ」
「そっか、なら良かった」
マウルは愛する人の優しい笑顔を見て力は入らないものの静かに微笑んだ。
*****
ゴプゥゥゥッッッ!! ゴプゥゥゥッッッ!! ゴプゥゥゥッッッ!!
ゴプゥゥゥッッッ!! ゴプゥゥゥッッッ!! ゴプゥゥゥッッッ!!
「ふごッッ♥ ふごッッ♥ ん゛ん゛ッッ♥ ん゛ん゛ーーーッッ♥ ん゛ッッん゛ッッん゛ッッ♥ ん゛ッッ♥ ふごぉッッ♥ ふごぉッッ♥」
「ん?どうだ、俺のチンポの味は?たまんねぇだろ、なぁ?そりゃそうだよなぁ。喉もトロトロのグッポグポになってきたな。おら、おめぇの喉ももうマンコなんだよ。わかるよな。身体触ってねぇのに俺のチンポむしゃぶりついてチンポおっ勃てちまってんだからよ。このまま俺のいうこと聞いてりゃ喉マンコでイけるようになるぜ。喉躾けて喉にポルチオ作んだよ。聞いただけで興奮すんだろ?おぉっ、喉マン締まってんじゃねぇかよ。そんなに喉、マンコにして欲しいのか?そうなったらもう俺のチンポから逃げらんねぇぞ」
マウルの喉奥深くにねじ込まれたランドゥの肉棒がビクリと震えるとマウルの喉はキュッと締り肉棒を包み込む。
「んごぉッッ♥ んごッッ♥ んごぉッッ♥ ふごごぉッッ♥ ふごッふごッふごぉッッ♥」
マウル達は都心から離れた温泉旅館に来ていた。それはマウルとイリナの結婚のための両家顔合わせを兼ねたものだった。
イリナ側の家族はもちろん、マウル側の両親も結婚には賛成だった。マウルは逞しく頼りがいのある男ではあったがどこか大人しく婚期を逃してしまうのではないかと両親は心配していた。しかしマウルから結婚の話を聞き、そして相手のこと、家族のことを聞いて両親は喜んだ。
そして今日の顔合わせもつつがなく終わりお互いの両親達は意気投合して終わった。ささやかな宴会をしてそれぞれが部屋に戻っていくはずだった。
急なことだった。円もたけなわとなった後すぐ、ランドゥは「それじゃあちょっと息子さんと一緒に温泉でも入りたいですね。色々話したいこともありますし」と言ってマウルのことを見た。
顔合わせが終わり次第イリナと部屋に戻ってランドゥから離れるつもりだった。しかし両親の前でそう言われてしまうと断ることが出来ず逃げずことが出来なくなった。
マウルは腹を括ってランドゥと共に夜でも開いている温泉に向かった。向かう間も2人は言葉を交わさずにいた。マウルはなんとか逃げられないかを考えていたが後に両親から聞かれたり、ランドゥから何か両親に言われたりした場合を思うと逃げ出すことは出来なかった。
脱衣所に入るとランドゥはささっと服を脱ぎ捨てるとニヤリと笑いながらマウルのことを見た。何度見てもランドゥの肉体は雄雄しかった。全身が筋肉ではち切れんばかりになっていてその上薄っすらと脂肪も乗っていて豊かさも感じられる。そして股間にぶら下がったふてぶてしい肉棒にマウルは思わず唾を飲み込んでしまった。
マウルも服を脱ぎランドゥと脱衣所を出ると夕食の前にも入っていた大きな温泉が広がる。
「どうする?温泉入るか?それとも、どうするよ?」
「……ッ」
マウルは答えなかった。目を瞑り、歯を食いしばり、ランドゥの方から顔を逸らした。
「なんだよ、つれねぇな。もう他人ってわけじゃねぇんだから仲良くしようぜ」
そう言うとランドゥはズカズカとマウルに近づくとガバッと腕を回しマウルの顔を腋に挟みマウルの鼻先を腋毛の中へと突っ込ませた。
一瞬のことでマウルは虚を突かれ思わずスゥーッと鼻で息を吸い込んでしまった。
瞬間鼻からランドゥの臭いが通り抜け嗅覚を支配していく。ツンとして背けたくなりつつも何故かもっと嗅ぎたくなる謎の魅力に包まれた臭い。それも濃縮されたような濃度の臭いは鼻だけでなく喉でも臭いを感じられるほど強烈だった。
マウルの身体から力が抜けて顔が蕩けていく。それはまるで自身の身体から雄という性別が流れ出て落ちてしまうようだった。
「ふっ……はぁ……」
「おら、たまんねぇだろ。お前が好きで好きでたまんねぇ臭いだ。ん?どうした?もう勃っちまったか。好きだねぇ、お前も。温泉入った後も汗と一緒にすっげぇ臭うけどよ、まずは生のまんまの臭いに溺れてぇだろ」
「ふはっ……ふはっ」
呼吸する度に臭いが鼻に突き刺さる。そしてその度にマウルのすでに勃起している肉棒はピクンピクンと震えた。
「後でビッチリ種付するとして、今はたっぷりチンポ味わってもらうか」
ランドゥは悪笑を浮かべながら脱衣所に一度戻ると2枚の手拭いを持って現れた。
「おら、そこにつま先でしゃがんで股開け。腕は後ろな」
ランドゥの臭いに脳細胞をヤラれたマウルはランドゥの肉棒を見つめ虚ろな表情のまま言われた通りに温泉の脇につま先で座りながら股を開いた。
「いい子だ」
言いなりに座ったマウルにランドゥは顔にシュルッと巻き付け目隠しとし、後ろに組んだ腕の手首に手拭いを巻き付けて固定する。視界が奪われ上半身の自由が奪われるとマウルの鼻はより敏感になりよりランドゥの臭いがよく捉える。
ランドゥの臭いは鼻から始まり全身に毒のように回っていき血管が広がり心臓の鼓動が早く強くなり身体全体が火照っていく。そしてそれだけのことでマウルの肉棒はより硬く反り返りピクピクと痙攣し、先端からはすでに透明な液体がトロトロと溢れていた。
「ふぅーーーーーッ♥ ふぅーーーーッ♥ ふぅーーーーーッ♥」
「こんな格好させられてチンポびんびんにしてるって、俺のこと好き過ぎんだろ。まぁたっぷり可愛がってやるから喜べよ。おら、舌出せ」
マウルは言われた通りに口を開けてベロをダラリと垂らした。するとランドゥは唾液がたっぷりとついたマウルの舌の上をすでに準備万端となった肉棒をズルリと滑らせる。
「んんんッッ♥ んふぅーーーーッ♥ んふぅーーーーッ♥」
「おら、どうだ、俺のチンポの味だぞ。たまんねぇだろ。どうだもっと欲しくなったか?ん?どうなんだ?」
「んッ……くぅッ……」
ランドゥにそう問われるとマウルの心は揺らいだ。どうしてもイリナの顔が頭にちらつく。しかしランドゥの悪魔的魅力にはどうしても抗えない。マウルは肉棒を硬化させたままランドゥの問いに答えられないでいた。
「ちっ、じれってぇな。おら、どうなんだ。なんとか言え」
そう言ってランドゥはマウルの鼻先から舌の上に向かって太い肉棒をズルリと撫で上げた。
「んふぅッッ♥ ふはッ♥ ふはぁーーーーーッ♥ ふはぁーーーーーッ♥」
「おら、さっさと答えろ」
マウルは小刻みに揺れながら舌を震わせた。そして気がつけば臭い立つ目の前にあるランドゥの肉棒にソロリと舌を絡め、口の中へと導いた。
レロォッ……ヂュプププゥゥッ……ヂュパッヂュパッヂュパァッッ
ヂュルルルゥゥゥッッ……ヂュポッヂュポッヂュポッ……ジュルンッ
「ヂュルルッ……ふはッ♥ レロヂュルルッ……んぁッ♥」
「おいおい何急にしゃぶり始めてんだよ。どうなんだよ、欲しくなったのかよ」
「ヂュポッヂュポォッ……んはぁッ……チンポッ……レロレロォッ……欲しい……っす♥」
「ははっそうだよなぁ。さっさと素直になっちまえばいいんだよ。手間取らせんな、アホ。どうだ舌痺れてきたか?すんげぇだろ、俺のチンポ。いつもマンコで咥えてるチンポ、口で咥えると美味くて美味くて仕方ねぇだろ。お、舌と口の動き早まってんじゃねぇかよ。そんなに俺のチンポ欲しかったのか。まぁこれからも言ってくれりゃあいくらでもチンポ味あわせてやるからな。素直に欲しくなったら俺んところ来いよ」
「ん゛ん゛ッッ……ヂュパッヂュパッヂュパッ……わかりひたぁ♥」
マウルの舌は回転するようにランドゥの肉棒の周りを這い回る。そして身体ごと口を前に進め奥へ奥へとランドゥの肉棒を飲み込んでいく。ランドゥの肉棒はマウルの唾液でドロッドロになり滑らかにマウルの口の中を前後する。我慢が効かなくなったマウルは一気にランドゥの肉棒の奥へと飲み込むと肉棒が全てマウルの中へと収まった。するとマウルの鼻先はランドゥのもっさりと生えた陰毛に埋もれると腋よりも強烈なランドゥの臭いが鼻へと突き刺さる。
「んふぅーーーーーーッッ♥ ふぅーーーーーッ♥ んふぅーーーーーッ♥ ふはぁーーーーーーーッッ♥ ふすぅーーーーーーーッッ♥」
「お、威勢がいいな。チンポ蕩けちまいそうだよ。それになんだ、これ。チンポがっちがちで先からブッ壊れたみてぇに我慢汁垂らしてんじゃねぇか。どうかしてんな。その内チンポ咥えただけでイッちまうようになるな。まぁこっから喉もマンコにするから。嬉しいだろ?」
夢中でランドゥの肉棒を飲み込み、更には顔をグリグリと回転させて喉奥で亀頭を擦り上げるマウルの顔を両手で掴むとランドゥは荒々しくマウルの顔を前後させ始めた。ランドゥの肉棒がマウルの口から離れた次の瞬間には肉棒は喉奥の奥へとズッポリとその姿を隠す。それがランドゥの思うがままに繰り返された。
ゴップゥッッ!! ゴップゥッッ!! ゴップゥッッ!! ゴップゥッッ!!
グポォッッ!! グポォッッ!! グポォッッ!! グポォッッ!!
「ふごッ♥ ふごぉッ♥ んごぉッ♥ んごぉッ♥ ん゛ん゛ッ♥ ぐほぉッ♥」
「おっおっおぉっ、すっげ、なんだこれ。下のマンコより気持ちいいんじゃねぇか、これ。お前わざと喉締めてんのか?わざとじゃなかったら生まれつきの喉マンコ野郎だろ、おい。チンポ溶けそ。おら、口いい感じに開けて優しく牙でチンポ撫でんだよ、やってみろ。あぁ、そうだそうだ。あーやべ、すっげぇマンコ。虜になっちまうよ。おら、チンポ引き抜く時もマンコ締めんだよ、おら」
ゴプゥッッ!! グポッッ!! グポッッ!! グポォォッッ!!
ゴブチュッッ!! ヂュポッッ!! ヂュポッッ!! ヂュポポポォォッ!!
「んふぅーーーーッッ♥ んごッッんごッッんごぉッッ♥ ふごぉッ♥ ふごぉッ♥」
ランドゥの肉棒を突き刺されたマウルの口からは井戸水のようにゴブゴブと唾液が溢れ喉元や地面へと垂れていく。喉を肉棒で刺激されるとそれに連動して腹に食い込むほど反り返ったマウルの肉棒はピクピクと震える。
そんなマウルの様子を見下し眺めるランドゥは自分の思い通りになる肉塊マウルを更に自分のものにしたいと思った。そう思えば思うほどランドゥは掴んだマウルの顔を激しく前後させ口内、舌、喉、喉奥に自身の肉棒を擦り上げる。
「あ〜だめだ。イくわ、これ。まぁ時間はあるし我慢することねぇよな。腹タプタプになるまで種汁出すからよぉ、全部飲み干せよな。じゃあ喉思いっきし締めろ。俺のチンポに絡みつかせろ。いいな、いくぉぞ?うっ…………イクッ!!」
グビュルルルルルルルルル〜〜〜〜〜〜ッッ!!
ビュルルルルルッッビュルルルルッッビュル〜〜〜〜〜ッッ!!
ゴピュウッッゴピュウッッゴピュウッッ!!
ビュククククククゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜ッッ!!
「ん゛ん゛ん゛ん゛ッッッッ♥」
ランドゥの肉棒がマウルの喉奥で爆ぜる。肉棒はポンプのようにビクンビクンと膨張と収縮を繰り返し雄液をマウルの中へと送り出す。マウルは喉から逆流してくる雄汁の風味に臭いと味とで陶酔した。頭の中が熱にあたったように火照り身体全体から汗が噴き上がる。するとマウルの喉は更にそれを望むかのようにギュチチッと締め上がりランドゥの肉棒を絞り取ろうと動いた。
マウルの喉の動きに合わせて解き放たれたランドゥの精液はドクドクと嚥下されていきマウルの胃の中を満たしていく。しかし急な多量の液体が流れ込んできたことに驚き条件反射で縮む。そして小さくなった胃から幾分かの白濁液が胃から逆流をした。逆流した白濁液は喉に詰まるランドゥの肉棒と喉壁の間を進みマウルの口と鼻から弾け飛んだ。
その衝撃からかマウルの硬化した肉棒から雄液を放ちマウルの大きな体躯がビクンビクンと痙攣した。
「ぶふぅぅぅぅッッッ♥」
それを見たランドゥは呆れながらマウルの口から肉棒をズロロロと引き抜く。
「おい全部飲めっつたよな。なんか言う事あるんじゃねぇのか」
「ふぅーーーーッッ♥ はぁーーーーッッ♥ はぁーーーーーッ♥ ごめんにゃさい♥」
「そうだよなぁ。今度は全部飲めるな?」
「はぁーーーーッ♥ はぁーーーーッ♥ こ、今度は……全部飲めます♥」
「わかりゃいいんだよ、わかりゃ。まぁ喉マンコの才能はあるのはわかったからよ。この夜できっちりお前の喉をマンコに仕立てるからな。俺のチンポが喉に刺さる度にイっちまうようにするから、よろしくな」
「はぁ……はぁ……おねがい……します♥」
ランドゥは目隠しをされ、腕を縛られたままのマウルの頭を撫でた。
「もちろん下のマンコも後でビキビキにするからな。俺の種汁で胃も腹もパンパンにして両親に会えよ。自慢の息子として、な」
「は……はい……わかり……ました♥」
先ほど射精をしたにも関わらずマウルの肉棒の先端からは再び透明粘液がゴポゴポと溢れ出始めている。
*****
パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ!!!
「チンポしゅごッ♥ チンポしゅごッ♥ チンポしゅごッ♥ マンコッッイグッッまたッッイグッッイグッッ♥ 時間ッッないにょにッッ♥ イッッグゥッッ♥」
「はぁ〜お前のマンコ孕ませまくってんのにマジで締まりが弱まらねぇわ。どういう身体してんだ」
その日はマウルとイリナの結婚式、当日であった。マウルは新郎衣装に身を包み、ランドゥは礼服に身を包んでいる。
しかし2人がいる場所は式場のトイレの個室。狭い空間に馬鹿でかい2つの肉体を押し込みながらランドゥは下半身を露出させたマウルに肉棒を突き刺していた。マウルは壁に手をつき尻をランドゥの方へ突き出している。ランドゥはそんなマウルの丸々と肥えた尻肉を鷲掴みにしてマウルの後ろから腰を叩きつけまくっていた。
ズパンッ ズパンッ ズパンッ ズパンッ ズパンッ ズパンッ ズパンッ!!!
「ふはぁッ♥ ふはぁッ♥ マ゛ンコッッマ゛ンコッッずっとッッイ゛っでるッッ♥ マ゛ンコッッイグのッッ止゛まんなッッ♥ イっぐッッッイっぐッッッイっぐッッッ♥ イグイグイグイグッッ♥」
「これから式だっつうとそれだけで興奮すんな。これからお前のマンコ俺のチンポ汁でタップタプにすっからよぉ、それマンコに入れたまま結婚式行くからな、わかったな。 我慢出来なくて途中でザーメン噴き出すんじゃねぇぞ」
これから結婚式だという状況にも関わらずマウルは義父の肉棒に溺れ雄穴の中で絶頂を繰り返し、同時に自身の肉棒からビュルビュルと精液を撒き散らしていた。
ランドゥはマウルの尻肉をバシバシとしばきながら休むことなく腰を振り続ける。
「ふぅ、マンコたっまんねぇや。まぁな、俺のチンポがありながら結婚までこぎつけたのは褒めてやるよ。ただこっからもお前は俺のザーメン袋だからな。いつまで俺のチンポに抗えるかは見ものだな。気が向いたらことあるごとにおめぇのこと孕ませまくるからよ。それかそっちの気が変わったなら連絡くれりゃあ俺が直々に雌野郎にしに行くからよ。考えときな。じゃあそろそろ中ん出すぞ。後10発孕ませたら式の時間だな。さっきも言ったけど俺の種汁出さずに式来いよ。それとここもザーメンで汚しまくっちまったからな。ちゃんとザーメン舐め取って綺麗にしてから出てこいよ」
マウルは尻の中で淫頂を繰り返しながらランドゥの肉棒で頭を掻き回され結婚式のことが頭から消えてしまうのを必死に耐えていた。
マウルの結婚生活はまだ始まったばかりだ。