【フリー台本】遭難して行き倒れのところを狼少女に拾われる話【ASMR/焚き火/雨音】
【導入】
迷子かな…?
んー…ここは…くんくん…。
はぁ…困るなあ。
とりあえず引きずりますか…っと…。
うー…おもたい…。
【本編】
//SE:焚火の音
…ん。
だいじょーぶ?ぺちぺち。
あ、起きた。
安心して。ここ、私のお家だから。
えっ、どう見ても洞窟そのもの?
し、失礼な……。
で…
大丈夫って聞こうとしたけど、うーーーーん。
大丈夫じゃなさそ。
動くだけでも精いっぱいって感じだし。
まずはご飯とってくるから待っててね。
…君が餌になりたくなければ、だけど。
いってきまーす
//しばらく焚火の音
//SE:雨の音が入ってくる
はぁ…つかれたー…。
ごめんなさい、途中で雨降ってきちゃって。
思ったより時間かかっちゃった。
まあ匂いは雨が流してくれたし、それはいっか。
つかれたー…
うう…暖まる…。
はい、あーん…。
あれ?
新鮮な鹿のお肉なんだけど…。
あんまり好きじゃなかったかな…?
火?
あ、そっか。
人間さんは焼かないと食べれないんだった…。
じゃ、私もそうしよっと。
焼くから待っててね~。
これでよし。
で、人間さんはどうしてこの森に?
弓とか物騒なもの持ってたけど…。
旅人って感じでもないよね?近くの村の人?
ふーん。
なるほど…。
ハンターさん、か。
うん、私知ってるよ。
こう、あれでしょ?
ばしゅんばしゅんって撃ってくやつ。
あれすごいよねえ…。
どこから飛んできたかわかんないもん。
あ、そろそろ焼けたかな。
えへへ、じょうずにやけました~。
動いちゃ、めっ。
はーい、私が全部お口に持っていってあげるから。
いやだって、さっきまで何にもご飯食べてなかったんだよ?せめて今日くらいは大人しくしとかないとダメだよ。
私がお世話してあげるから、そのまま横になっててね?
おいしい?
よかった~~~!!!
んじゃあ、私も食べよ~っと…
いただきまぁーす!
あむあむあむ…
ひょっか。
ほんなところにわざわざ人間はんがいるなんひぇって思ってたけろ…。
(そっか。
こんなところにわざわざ人間さんがいるなんてって思ってたけど…。)
んぐ。討伐、か。
まあそんなことだろうとは思ってたけどね。
となると理由もあらかた…予想はつくね。
狼討伐ってところかな。
それにしても、こんな弓矢持って森の中歩いてたかあ…。げ、なんか塗ってあるし…。
ふふっ、面白い人だね。
討伐しようとしてた狼に忠告しちゃうんだ。
しかも毒が塗ってあるなんてご丁寧に。
私のお肉は美味しそうには見えなかったのかなー。
これで撃たれたらお肉はどうなっちゃうんだろうね
どういうことって…そのままの意味だよ。
人間さん。
なんであなたより小さい女の子がこんな森の中で暮らせてると思う?
もし、さ。
人間さんが探してたその狼が私だったら…どうする…?
がおー…
なーんてねっ。
じょーだんじょーだん!
あ、狼なのはほんとだけど。
大丈夫だよ~。
食ったりなんかしないし。
私はこの森にいるものしか食べないって決めてるんだ。森の掟でね。
そ、森の掟。
私たちは森をお世話した代わりに、命をいただいてるの。
じゃないと、森の神様に怒られて二度とご飯食べれなくなるんだって。
そんなのやだもん。
だから別の土地の恩恵を受けた人間さんを食べるわけがないよ。
私からしてみれば、それは横取りみたいなものだからね。
うん、そうだよ。
ここらへんは私の縄張りだし、そんな大きな狼がいたらわかるしね。
間違いなくその大きな狼は、私のことだよ。
あははっ、見た目人間で喋れることにびっくりした?
えへへ、私たちは人狼って種族なんだよ。
獣人…って呼ばれるのかな。
人でもなく獣でもないのが私たちなんだ。
ねぇ知ってる?
昔は、人間と獣がこの森では仲良く暮らしてたんだって。
それはもう分け隔てなくね。
いまじゃ、とても考えられないけど。
確かにそういう時間があったの。
森を散歩してるとね、人間と私たちが生きてた証がわんさか見つかるもん。
で、その結果生まれた種族が私たち。
いわば、人狼は人と獣が仲良くしてた証ってわけ。
いまは数こそ少なくなっちゃったけど、言語は意思疎通に必要なものとして、私たち世代まで伝わってるってわけだ。
実際、あなたと話せてることがその証拠かな。
私も半信半疑だったけど、いまので確信した。
私たちは、言葉を交わすことが出来るんだね。
昨日まで親友だったかのように、スムーズに。
ま、森の歴史に関しては私もおばあちゃんから聞いた話だから…どこまでほんとかはわからないけどね。
おばあちゃんの、もっともっとひいひいおばあちゃんくらいの時の話らしいよ。
ざっと1000年前くらい?
いや、でも私も驚いてるよ。
人間と人狼は意思疎通が出来ることにね。
すごく、ドキドキしてる。
まあ私のあの姿を見ただけじゃ、そんなことまでわからないよね…。
基本的には、獣はあなたたちにとって獲物だから。
まさか喋るなんて思いもしないと思うし。
いいよ、いいよ。
あの時は私も喋れなかったし。
人間さんから見れば、巨大な狼でしかないわけだからね。脅威だって思われる気持ちもわかる。
んー…?
なら、なんで助けたのか…かあ。
それは…倒れてたから…じゃダメかな?
でも言わないと安心できないか…
どう考えても助けるメリットないもんね。
でもなあ、きまぐれなんだよね~。
たぶん明日、別の場所で見かけてたら放っておいたと思う。
うーん…まあ場所が場所だったのもあるけど…
人間と話してみたかったっていうのが本音かな。
どうせ弱ってるし、武器も捨てちゃえば。
それなら私のお話に付き合ってくれるでしょ?
ていうか、あのまま放っておくわけにはいかなかったし。あそこね、夜になると私でも近付けないくらいなんだよ?
食い荒らされちゃうくらいなら助けた方が、得かなって。
と言っても…。
どこまで考えてたかって言われると怪しいかも。
だから本当にきまぐれなの。
だから…その…まさか私を狙ったハンターさんだとは思ってなくて…
ちょっとお願いしないといけないわけだし。
というわけで、お願い。
私があなたを救う代わりに、今日のことは忘れてほしい。
具体的には、私に出会ったことをかな。
疲れて帰りが遅れちゃったとか、戻る日にちを間違えちゃったとか。
そういう言い訳、できるかな?
いや、強制ではないんだけど。
これから話す内容が手向けの花になるか土産話になるかの違いなだけで。
私的には、受け入れてくれると嬉しいかな。
その方がみんな幸せになると思うんだけど。
怖がらなくてもいいよ。
状況を整理してみよっか。
君は身動きが出来ないまま、私の前にいる。
私はなるべく長く生きたい。
痛いのやだし。するのもされるのもね。
どう?
お互い願うことは一緒だと思う。
命をとらない代わりに命を見逃してほしいっていう、対等な交渉をしてるんだよ。
で。
どう、かな。
わるい話じゃないと思うんだけど。
うん、ありがとう。
あなたが物分かりのいい人間さんで嬉しいな。
私も無為なことはしたくないから。
これで、あなたは森の怪死体から人間さんにらんくあっぷだ。
素直な人間さんにはちょっとだけご褒美…ぎゅー…。
雨で冷えちゃったから温めてほしいな。
ふぅ…はぁ…。
体温は私の方が高いみたいだね。
続きはこのままお話しよっか。
明日になればどうせ忘れちゃうんだし、なんでも聞いてよ。
私、もっとお話ししたい。
んー…?
いつでもあの姿になれるか?
うーん、そうだなあ。
簡潔に言うと、なれないかな。
人狼はさ、かなり難儀な性質があってね。
月の満ち欠けで、人に寄るか狼に寄るかが変わっちゃうんだ。
砂時計って知ってる?
そうそう、砂で時間を測るやつね。
私たちはあの中にある流砂と同じなの。
月が満ちるにつれて、牙が太くなったり爪が伸びたり。
本当は月が出る日は、外に出ちゃいけないんだ。
満月の日、狼になったものには災いが訪れる…。
これも森の掟。
まあでも、あの日はすごく空が綺麗だったんだ。
それで満月の夜を見てみたくなったの。
私は昔から知りたがりでね。
好奇心旺盛だねってお母さんにも言われたっけ。
知識って言うのは、世界を広げてくれるんだ。
私はそういうのにどうしようもなく惹かれちゃう。
大切な森の掟を破っちゃうくらいにね。
実際、掟を破った私を見て人間さんが狩りにきてるわけだから…
災いが訪れるって話は合ってたってことだね。
失敗なんかじゃないよ。
それもひとつの知識なんだ。
森の掟は本当だったんだって知れたでしょ?
だから次は守ろうって思えるんだよ。
私はね、知れることが嬉しいんだ。
って、熱くなっちゃった…。
まあだからその、私たちも成りたくてあの姿になってるわけじゃないんだ。
むしろ掟からしてみれば、成るべき形じゃないってこと。
でも掟があるってことは、
たぶん私みたいに成った人狼が狩られていったからだと思うけど。
ほんとはね、私もこの姿でいたい。
話せなくなるのはやっぱりつらいし、狼になる不安を抱えずに、こんな風に人間さんと触れ合いたい。
そして、いろんなことを知りたい。
町に行ってお買い物したり、おいしいもの食べたりとかさ。
無理な願いなのはわかってるけどね。
それが人狼として産まれてきた私の鎖のようなものだから。
でもこうやって話せるって知っちゃったからかな。
つい、そう思っちゃう。
別に、獣が人がって争わなくてもいいのにってね。
ごめん、話長くなっちゃったね。
さ、夜も遅いし今日はおやすみしちゃお。
お話してくれてありがと。
明日また、帰り道まで送るから。
今夜はただ、そばにいてほしいな。
おやすみ…
すぅ…すぅ…
じゅるり……
すぅ…
なでてぇ……えへ…