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事実のみを嗅ぎ分けよ(cover)
事実のみを嗅ぎ分けよ
Author: 蘇芳
わたし――鴻那由多(おおとり・なゆた)は、犬獣人の柴本光義(しばもと・みつよし)と一緒に暮らしている。 その同居人は今日、嗅覚判定士(きゅうかくはんていし)なる資格に合格したようだ。 犯罪捜査から食品製造の検品まで、様々な場所で活躍する嗅覚判定士。 獣人が有資格者の大半を占めており、それが種族格差に繋がっているとの声はたびたび上がる。 けれども一方で、現在の社会ではこの資格は欠かせないのもまた事実だ。 実技試験は全一〇問のうち、七問以上に正答しなければ認められない。 五問の回答を終えた時点で、残る受験者は柴本のみとなっていた。 麻薬捜査を想定した六問目。 匂いを封入したキューブには、悲しみを薬で紛らす男の痕跡が込められていた。 しばらく気を取られたものの、急いで検分を全て終えて問題を突破する。 その後も迷う事態はあったが実技試験に合格。資格を認定されるに至ったのだった。 夕食を終えた後、用事があるからと柴本は自分の部屋へと戻っていった。 出てくる気配がないので様子を見に行くと、ガラにもなく何事かを考えている様子である。 試験終了後、六問目のキューブと一緒に渡された『事実のみを嗅ぎ分けよ』と書かれたメモ紙。 意図が分からず、すっかり困惑している様子だった。 わたしはメモの意図を、嗅覚を過信して事実を見落とすなというメッセージだと解釈する。 実際、匂いを介して感情や思考をコントロールする技術は、限定的ながら確立されつつあるのだ。 偽情報を信じかけたことを悔やむ一方で、不幸な誰かが実在しないことに安堵する柴本。 他者の不幸を悲しみ、そしてそれが嘘と分かれば安堵する。 種族違いの同居人のそんな"人柄"を、わたしはとても好ましく思っている。
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