買い物が終わった後、ユウタは一刻も早く家に帰りたかった。
しかし、ヨウの提案はそれを許さなかった。
「ユウタ、せっかく外に出たんだし、少し公園で遊ぼうか。赤ちゃんには外で遊ぶ時間が必要だろ?」
その言葉に、ユウタは恐怖に近い感情を覚えた。
「公園で遊ぶ?」まさか、自分がこの恥ずかしいロンパース姿で、公園で他の人の目に晒されるなんて――考えただけで震えが止まらなかった。
しかし、ヨウに逆らえる状況ではなかった。
彼はただ「ば、ばぶ…」と力なく呟くしかなかった。
ヨウに手を引かれながら、ユウタは近くの公園へと向かって歩き出した。
秋の澄んだ空気が周囲に広がり、木々が少し色づき始めている。
しかし、そんな美しい景色も、今のユウタには全く心地良く感じられなかった。
周りの人々が自分に注目するのではないかという不安が常に付きまとっていた。
公園に着くと、そこには家族連れや子供たちが遊んでいた。
親子が楽しそうに砂場で遊んでいたり、ブランコに乗って笑っていたりする光景が広がっていた。
その中で、ユウタだけが不自然に浮いていた。
大人でありながら、赤ちゃんの服を着て、ヨウに手を引かれている自分は、どう見ても普通ではない。
「ほら、ユウタ。ここで少し遊びなよ。」ヨウは無邪気な笑顔を見せながら、ユウタを砂場の方に促した。
ユウタは唖然としながら、砂場に足を踏み入れた。
周囲の親たちが、何とも言えない驚きと不安の表情を浮かべながら、ユウタを見ていた。
子供たちは純粋な目でユウタを見上げ、何かを感じ取ろうとしているようだった。
大人の体を持つ自分が、子供たちと同じ砂場で遊ぶ光景は、あまりにも異様だった。
「ば、ばぶ…」と震える声を出しながら、ユウタはぎこちなく砂に手を伸ばした。
手に取った砂は冷たく、感覚的にはどこか懐かしいが、それが今の自分には痛々しいものに感じられた。
ヨウは少し離れたベンチに座り、ユウタの様子を見守っていた。
彼の視線は暖かいようでありながら、どこか支配的で冷たいものが混ざっていた。
ヨウの思惑通りにユウタが赤ちゃんとして振る舞っているのを確認し、満足げな表情を浮かべていた。
ユウタは砂場で遊ぶふりをしながら、周囲の視線を常に意識していた。
親たちの間でささやき声が聞こえ始め、遠くの子供が「ねえ、あのお兄ちゃん、なんで赤ちゃんの服着てるの?」と親に尋ねる声が聞こえてきた。
それに対して、母親は困惑した表情で子供を引き寄せ、そっとその場を離れていった。
「お前、もっと楽しそうに遊べよ。赤ちゃんなんだから、みんなに可愛いところを見せてやれよ。」ヨウが笑顔を浮かべながらそう言った。
ユウタは耐えられない羞恥心を抱えつつ、何とかブランコに向かった。
大人の体でブランコに乗ること自体が不格好で、周囲の注目を集めてしまう。
彼はブランコを軽く漕ぎながら、心の中で「こんなこと、もう耐えられない」と叫んでいた。
しかし、ユウタには逃げる術がなかった。
ヨウの視線が常に彼を捉えており、何か反抗的な行動を取ろうものなら、すぐにヨウの厳しい罰が待っていることは明白だった。
ユウタはただ、ヨウの期待に応えるしかなかった。
赤ちゃんとして、公園で遊ぶ姿をヨウに見せ続けるしかなかったのだ。
やがて、他の親たちが不安そうにユウタとヨウの方を見つめ、少しずつ距離を取るようになっていった。
彼らには、ユウタが普通の大人でないことが明らかだったのだろう。
公園の賑わいの中で、ユウタだけが孤立していくような感覚を覚えた。
「もう少し遊んでいけよ、ユウタ。お前のためにみんなが見てくれてるんだぞ。」ヨウは冗談めかした口調で言ったが、その言葉の裏にはユウタを完全に支配する意図が感じられた。
ユウタはブランコを漕ぎ続けながら、心の中で叫び続けた。
自分がここでこうして赤ちゃんとして扱われる生活に、どこかで終わりがあるのかどうか――それすらも分からない。
しかし、今のユウタには、それに抗う力は残されていなかった。
結局、ヨウは満足するまで公園でユウタを遊ばせ、その後、ようやく家に連れ戻した。
ユウタは公園での出来事を思い返しながら、ただ黙ってヨウに従った。
「今日は楽しかったな、ユウタ。また遊びに行こうな。」と、ヨウは満足げに言った。
ユウタはその言葉に答えることなく、ただ「ばぶ…」と呟くことしかできなかった。
【続く】