逃げ場のない外出

  ユウタは、ヨウの家での生活がすっかり日常化していた。

  彼の全てがヨウに管理され、ユウタは次第に自分の意思を失っていった。

  外出もほとんどせず、ヨウの家に閉じ込められたような日々が続いていたが、ある日、ヨウが思いもよらない提案をした。

  「ユウタ、今日は外に出よう。お前にも少しは新鮮な空気が必要だろ?」

  その言葉に、ユウタは戸惑いを隠せなかった。

  「外に出る?」とユウタは心の中で呟いたが、赤ちゃん言葉しか話せない今、まともに抗議することもできなかった。

  ヨウの提案に恐怖を覚えつつも、彼に逆らえない自分を理解していた。

  「でも、ユウタ。お前が外に出るには、ちょっと準備が必要だな。」

  ヨウはそう言いながら、ユウタのクローゼットを開けた。

  しかし、そこにあったのは以前まで着ていた普通の服ではなく、全てが赤ちゃん服だった。

  ヨウはユウタの私服を全て捨て、彼のために用意した赤ちゃんの服だけを残していたのだ。

  小さなロンパース、動物の絵が描かれた服、そして色とりどりのビブ。

  ユウタがかつて持っていた大人の服は、跡形もなく消えていた。

  「お前にはもう、これしか着るものはないんだよ。赤ちゃんだからね。」とヨウは微笑みながら、ピンク色のロンパースを手に取った。「これ、今日着て出かけようか。」

  ユウタは顔が真っ赤になり、羞恥心と絶望感が一気に押し寄せてきた。

  こんな服を着て外に出るなんて、考えたこともなかった。

  しかし、ヨウの命令に逆らうことができない彼は、ただ「ばぶ…」と小さく答えるしかなかった。

  ヨウはユウタにロンパースを着せ、おむつを確認してから靴を履かせた。

  すべてが赤ちゃん仕様で、普通の大人が着る服とはかけ離れたものであった。

  ユウタは鏡に映る自分の姿を見て、言いようのない屈辱感を感じた。

  自分がここまで赤ちゃんとして扱われることになるなんて、想像もしていなかった。

  「準備完了。さあ、行こうか。」ヨウは楽しそうに言い、ユウタの手を引いて家を出た。

  外の世界に出ると、ユウタは一気に冷たい風を感じ、胸が締め付けられるような気持ちになった。

  周りには普通の人々が歩いており、誰もが自分の生活を送っている。

  しかし、ユウタだけが赤ちゃんの服を着て、ヨウに手を引かれている。

  その異様な状況が、彼の胸にさらなる羞恥をもたらした。

  「ユウタ、今日は買い物に付き合ってもらうよ。お前のミルクやおむつ、色々揃えないとね。」

  ヨウはそう言って、近くのスーパーへとユウタを連れ込んだ。

  スーパーの自動ドアが開くと、ユウタは一気に視線を感じた。

  店内にいた人々が、自分をちらちらと見ているのがわかった。

  ユウタは頭を下げ、目を合わせないようにしたが、逃げられる場所はどこにもなかった。

  「ほら、ユウタ。可愛い赤ちゃんなんだから、ちゃんとみんなに挨拶してごらん?」ヨウが言うと、ユウタは震えながら「ば、ばぶ…」と呟いた。

  それを聞いた周りの人たちが、少し驚いた表情を浮かべているのが見えた。

  「おかしい人だと思われてる…」ユウタはそう感じながら、逃げ出したい衝動に駆られた。

  しかし、自分の立場を考えると、どうすることもできない。ここで逃げ出せば、ヨウがどんな罰を与えるかわからない。

  逃げることは、ユウタにとって不可能だった。

  ヨウは楽しそうに買い物を続けた。

  ミルクの棚で数種類のベビーミルクを選び、さらに大人用のおむつコーナーでユウタに合ったサイズを選び出した。

  ユウタはその様子を呆然と見つめながら、ただ「ばぶばぶ…」と小さく言葉を漏らすしかなかった。

  「お前のおむつもこれで安心だな。ほら、泣かないで。みんな赤ちゃんが好きなんだからさ。」

  ヨウはまるでユウタを本物の赤ちゃんのように扱い、周囲の目を気にすることは全くなかった。

  それどころか、彼はむしろその異様な状況を楽しんでいるようにさえ見えた。

  ユウタは心の中で絶望感と羞恥を抱きながら、ヨウの後を追いかけるしかなかった。

  買い物が終わると、ヨウは満足げにレジへ向かった。

  そこで、レジの店員がちらりとユウタを見て、微妙な表情を浮かべた。

  しかし、店員は何も言わず、ただヨウの買った商品をレジに通しただけだった。

  外に出た瞬間、ユウタはホッとしたような気持ちになったが、次の瞬間、ヨウが不意に立ち止まった。

  「次はどこに行こうか。今日はまだ時間があるし、ユウタをもう少し外で遊ばせてあげようかな。」

  ユウタの心は一気に重くなった。

  これ以上外にいるのは耐えられない。

  しかし、ヨウの計画は終わっていなかった。

  【続く】