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大っ嫌いだよお前なんか。

  俺の悲痛な……というか、滅茶苦茶で、波乱ばかりで、最悪であり非人道な過去について、まず話そうと思う。本当は話したくないけれど、どれだけ俺があの熊野郎を憎んでいるかと言うのを知らしめる為には、やはり最初から話さなければいけないと思うのだ。

  俺はゴクゴク普通の人間の夫婦の家庭に産まれた。ただ残念な事に、母は身体の弱い人で、俺を産んで直ぐに無くなってしまった。これは別に親に責められもしないし、俺も気にしていないのでどうでもいいのだが、問題は次だ。

  その同じ病院、同じ時間に、別の夫婦も全く同じ状況で子を産んだ。悪魔の子である。だって母親を殺してしまうくらい栄養を吸い取り、そのおかげで身体がでかくなって、衰弱していた母は産んだ時に絶命したらしい。当然である、産まれた時から10キロもあった化け物のような赤ん坊なのだ。本当に子供とは思えない恐ろしい話だ。俺とは全く違う。

  そんな赤ん坊は、龍と熊の獣人から産まれた子だった。母は殺してしまったが、龍の父親は涙ながらに喜び、そして悲しんだらしい。まぁ、身体の大きい龍と熊から産まれたなら、その身体の大きさも一応は納得出来る、異常である事は間違いないが。 その時居合わせたうちの父と、龍の親父は同じ境遇から意気投合、苦しくも友人となってしまったのが不運の始まり、いや、それ以前に恵まれなさすぎる状況であったのだけど。

  そんなこんなで、俺と、その化け物赤ちゃんこと熊三郎は出会った。熊三郎はその時から人相が悪かったらしい。そして俺に対しいじめっ子気質だった。俺はしょっちゅう押し倒されたり泣かされたりしていたらしい。本当死ねばいいのに。

  時は流れて小学校四年生。

  俺と熊三郎は一応親友という感じだった。一応と言うのは、俺がまだ純粋であったからで、今思えば異常である事に間違いない。因みに熊三郎はその時にはもう170cmという小学四年生ではあり得ない身長で、体型もずんぐりと腹が出ていた。顔も高校生くらいにしか見えなかったくらいだ。医者に調べてもらったら筋力も既に高校生並みだったらしい。本当にこいつは人なのだろうか疑問が残る。運動会やらでも断トツでトップだった。その代わり頭は糞だが。

  ともかく、俺はその頃110cmくらいでなかなか小柄だった、まぁ…今も小さいが……そんな事は良い、体格差は分かるだろう。熊三郎は意外にもクラスの人気者で、俺もその時は熊三郎が人気者であると自分の事のように嬉しかったのを覚えている。何せお互い親友だと思っていたし、子供だったからだ。思えば熊三郎の今の特性はその頃から既に片鱗が見えていたのだ。

  話はちょっと変わるが、熊三郎の家は関東で一番幅を聞かせるヤクザの家だった。名を【東龍会】と言い、麻薬等汚い事には手を染めなかったが、それでも警察に部下を仕込ませてほとんどの幹部連中が身内というそれはそれは手の込んだヤクザだ。実際に偉い警視庁の人は、正月等に来てお年玉とかくれた事もある。

  そんな環境で育ったら、そりゃあ悪餓鬼に育つだろう。と思う人が多いと思うが、熊三郎は素直で明るくて、そして無邪気に育った。甘やかされてきたからだろう。それにヤクザ仕事なんかは俺達の前では全くというほど見せず、徹底していた。俺達も親戚が沢山いる程度の認識だった。

  そんな熊三郎は、後から聞いたら小学校一年から既に自慰を覚えて、好んでやっていたらしい。若い衆が下劣な下ネタを連呼するからいったいそれは何なのか聞いたのが始まりだったとか。自分でやってみたら気持ちよくて嵌まったと言っていた。死ねばいいのに。

  そして今の熊三郎が出来上がるきっかけ、休日に広い屋敷を暇だから歩いていたら離れの方に行ってしまい、静かで誰もいないはずの離れの一室で、男の矯声を聞いたらしい。音のする方へ向かうと、そこにいたのは父親の龍兵朗さんと、当時側近だった部下の犬獣人。犬獣人の男は荒縄で雁字絡めにされ、舌を口の端からだらしなく垂らし、龍兵朗さんの大きな大きなチンポを尻からくわえて喘いでいたらしく、熊三郎はそれを見て興奮し、そしてその全ての内容をきっちりと記憶した。

  フェラの事やキス、乳首が性感帯である事や、罵られて嬉しがっている犬獣人を見て、こうすれば良いとか、普段勉強出来ない癖にそれを目敏く覚えたのだ。

  そして悪夢は始まる。

  それは俺と熊三郎が近所の公園で二人で遊んでいた時の話だ。

  「おまえ、ジイってしってるか?」

  砂遊びをしていて、唐突に熊三郎は呟いた。端から見たら兄と弟のように見えるだろう。俺は顔をあげると、そんな熊三郎を見上げて首を傾げた。

  「ん~ん。なにそれ。」

  「しらないのか?スッゲェきもちいいんだぜ?」

  「へ~、きいたことないなぁ。」

  熊三郎はどこか誇らしげに、鼻をふんすと鳴らしてドヤ顔をした。俺は今ならぶちギレてる所だが、何せ子供だったので、気持ち良いと聞いて興味が湧いてしまった。本当に過去にいけるなら熊三郎を殴りたい。きっと今の俺が殴るくらいがちょうど良い年代だろう。

  「俺がおしえてやろうか?」

  「うん!!おしえて!!」

  正直どう見てもショタコンが子供にちょっかいを出しているような危ない場面だが、俺達は幼なじみだ。俺は警戒心もなく盛大に首を縦に振った。ああ悔やんでも悔やみきれない。

  熊三郎は俺の手を引くと、公園の公衆トイレに向かって行った。手を洗わなければならないと言ったので、二人で手を洗い、行儀悪く服で手を拭う。

  「どうやるの?」

  「ヒトにみられるとダメだってニイちゃんたちがいってたんだ。だからここにはいろうぜ。」

  言われるがままに手を引かれて、俺は熊三郎とトイレの個室に入ってしまった。壁には沢山落書きが書かれており、熊三郎は鍵を掛けると、俺を洋式の便器に座らせた。俺は何をするのか、少し怖かったのを覚えている。子供にとって、顔見知りが側にいるとしても密室は怖いものだ。熊三郎は少し鼻息を荒くし、興奮した様子でその場にしゃがんだ。

  「ちょっとハズカシイかもしれないけど、すぐキモチよくなるから、俺にまかせろよ。」

  「え?え?なにするのくまさぶろうくんっ!?」

  熊三郎は俺の半ズボンをパンツごと下げると、プルンと飛び出た幼いチンポをやわやわと揉み始めた。俺は初めての他人からもたらされる快感に身体を跳ねさせる。

  「あぁっ やぁっ なに なにぃっ!?」

  熊三郎はハァハァと息を荒くして、グニグニとチンポを弄る。俺は下半身からくる快感に耐性などなく、いつの間にか勃起した子供チンポを弄られる感覚に、熱く吐息を放つようになっていた。

  「あふ あ…あ…」

  「キモチいいだろ?」

  熊三郎の問い掛けに、俺は顔を真っ赤にしてコクコクと頷いた。熊三郎の両肩に手を置いて、徐々に身体は熊三郎にもたれ掛かっていく。と、途端にチンポの奥から何かが来るような、限界の近い感覚に襲われて俺は反射的に腰を引いた。

  「あぁっ やぁっ くまさぶろうくっ くまさぶろうくぅんっ!!」

  彼の名前を必死に呼んでも、一向に行為は止む様子はなく、熊三郎は俺の声が外に聞こえると思ったのか、俺の口を手で塞いだ。俺はその瞬間目を見開き、ビクビクビクゥと震えて身体をしならせる。初めて絶頂したのだ。当然精子が出る事は無く、俺はひとしきり身体を痙攣させたあと、ぐったりと熊三郎の肩にもたれ掛かった。熊三郎は、胸を大きく上下させて、興奮していた。これが熊三郎の攻め気質の発端になったのである。

  「……キモチよかったろ?」

  「…ふぁ…ふぅ…」

  俺は熊三郎の言葉に反応する事が出来ずに、ただただその快楽の余韻に酔いしれていた。本当に無知とは恐ろしいものである。

  その後、中一の中程まで、俺は熊三郎のセックスの相手となって、身体中を開発調教された。

  初めての公衆トイレの自慰から始まり、次の日には熊三郎の家で連続絶頂を体験した。精子が出ない敏感なチンポは、何度も何度も達してしまうのだ。その時、声が漏れるといけないからと、熊三郎に唇を覆われてキスをされ、お互いファーストキスを捧げてしまった。悪夢である。キスは拙いながらもタップリねっとり、俺が下半身の絶頂で気絶してしまうまで行われ、口を離せば粘ついた銀の糸がいくつも橋を作ったことだろう。

  その次の日にはとうとうアナルの開発が行われ、やっぱり対面座位で、唇を奪われたまま、グチョグチョとアナルを解された。既に高校生と比べても大きいくらいの熊三郎のペニスは、散々解さないと入れるのは無理だったのだ。熊三郎はアナルセックスにはまり、何度も何度も飽きるまで穴を犯した。いつの間にか俺は、初日でアナルによる快感を見出だしてしまっていた。熊三郎は天性の調教師スキルを持っていたらしい。

  そして乳首も同じく。

  いつの間にか淫語による言葉責めもされ。

  俺の身体は順調に開発されてしまっていた。

  中一になって半年間はいつもと代わらず、セックスは毎日のように行われていた。

  しかしそんな時事件が起きる。

  題して熊三郎裏番長就任事件。

  まぁ、簡単に言えば、当時既に200cmを越えていた熊三郎が先輩である三年の虎に呼び出された事件なのだが、問題はそこではない。俺は熊三郎について何にも知らなかったのだ。

  俺は放課後、熊三郎があまりにも呼び出されて時間が経っていたので、もしや袋叩きになっているのでは無いかと心配になって、定番の呼び出され場所である体育館裏へと向かった。熊三郎は見た目通り、そしてヤクザという家系からも分かるだろうが腕っぷしが強かったし、何より体格がある。虎の番長も中学生にしては180cm台で充分大きく、空手をやっていると聞いたが、それでも俺は熊三郎の勝ちを確信していた。

  体育館裏付近は異様に静かで、もしや熊三郎が倒れているかも知れないとゾッとした俺は、急いで呼び出された場所に向かう。俺が息を荒くして角を曲がろうとすると、視界に捉えたのは―――

  ―――「あ゛っあ゛っあ゛っぉ゛お゛っほお゛お゛ッッッ!!!!」

  「おら、ここが良いんだろうが番長さんよぉ。」

  「あ゛ひぃぃ゛い゛いっ!!ぞごぎも゛じぃぃ゛い゛ッッッ!!!?」

  ズパンズパンズパンズパンッッッ!!

  軽快で力強いリズムの肉の音と卑猥な水音。

  辺りにはズボンだけ脱がされて、学ランや、はだけて見えたタンクトップを白い精子だらけにして倒れる様々な男達が沢山いた。皆一様に舌を口から出し、白眼を剥いて恍惚の表情で気絶している。尻を四つん這いで高々とつき出す牛は、上半身を地面に伏せて、ビクビクと震えており、股をM字に開いて倒れた鮫は、タテワレからグブ…と痙攣する度に濃い精子の塊を吐き出す。

  限界進行形で犯されている虎の番長は、壁に背をつけて、所謂駅弁状態のまま、熊三郎の巨根に激しいストロークで肉壁を抉られており、もう何度も絶頂させられたのか、身体中ザーメンで真っ白に汚れていた。

  「男に舌でアナルほじられて、チンポでゴリゴリ抉られて感じやがって、てめぇ本当に雄かぁ?初めてじゃねぇんだろ?部下に尻穴使わせて番長になったんじゃねぇか?あぁ?」

  「んぎぃ゛ぃ゛っち゛がい゛まずぅ゛処女でずぅっ!!」

  「あん?処女が初めてでこんなに感じるかよ。だとしたら相当淫乱だな。淫乱番長。」

  「は゛い゛ぃっ!! 俺は゛淫乱番長た゛からあ゛っ た゛がら゛もっど突い゛でぐれ゛ぇッッッ!!?」

  「クソビッチがっ!?おら、またイケよ!?ケツだけで雄イキしちまえぇっ!!」

  「おごお゛お゛お゛ッッッ!!ま゛だゲヅアグメ゛ずるぅぅぅッッッ!! ケ゛ツ゛だげでイッち゛ま゛う゛う゛う゛ッッッ!!!」

  虎番長が、その雄々しいチンポの先からドピッドビュッッッ!!と沢山のザーメンをまるで注射器のように噴き上げた。それは突き出た熊三郎の太鼓腹と虎番長の顔まで飛び散り、二人を白く汚す。ここまでその濃厚な雄の臭いが漂って来ている気がした。実際に沢山の雄の臭いでむせかえるような場所なのだが……

  俺はその光景が信じられなくて、そして何だか妙に悲しくなって、その場から走って逃げ出した。熊三郎が好きだからとかでは断じて無い。ただ熊三郎が他の男と交わっているのを見ると、自分と熊三郎の繋がりの意味が分からなくなったのだ。

  その頃になると熊三郎は多感な性欲を発散する為に頻繁に俺を抱いていて、休み時間にはトイレの個室でフェラさせられたし、体育の自由時間には用具室のマットの上で、声を出さないように唇を合わせながら身体を重ねた。体育終了の時間にザーメンの臭いがして周りに気付かれないか怖くて、昼休みも勿論。家に帰ればまた。そんな感じで、ほとんどセフレのような関係だった。

  別に身体だけの関係ではない。良く話す仲だし、下らない事で笑い合う。

  でも俺にとったらその前提にはセックス相手というのがあるのでは無いかと思っていて、その時何だか、熊三郎にお前はもう必要無いと言われてるような気がしたのだ。

  結局熊三郎は番長なんてダルいという事で、虎を配下に、更に虎の部下を部下にと、裏番長へとなった。

  虎や部下は、使われていない溜まり場の教室に熊三郎が居合わせた時、前と同じように犯され、熊三郎の性奴隷となっていた。

  それが熊三郎の天賦の才能。

  熊三郎はどんな処女ノンケでも、その日のうちにアナルで絶頂する性奴隷に開発調教する事が出来、それによってカリスマ性が生まれ、もはや宗教教祖団体レベルの下僕を作る才能があるのだ。

  その才能を見出だすキッカケに俺が居たことは否めない。熊三郎のテクニックの練習相手になっていたのは俺なのだから。

  俺は事件の帰り、何となくホテル街の方へ行っていた。本当に何となく足が向いたのだ。トボトボと、その界隈には似つかわしくない学ラン姿の男がいたら、援交と疑われても仕方無い。俺は警察に補導される前に帰ろうと踵を返した。その時だ。

  ゆらゆらと揺れる白い巨体。でっぷりとしてはいるが腕や足は熊三郎のように丸太のような筋肉があり、身体中に古傷がある、黒い虎髭を生やした着物姿の龍人が見えた。それは俺がよく知る人物。子供の頃からお世話になっている熊三郎の親父さん。

  (龍兵朗さん……?何してるんだろ…)

  【東龍会】の現当主、東龍龍兵朗さんが、ホテル街にある、一つの建物から出てきたのだ。

  こんな場所にあるのはラブホテルしかない。ということは誰かと会っていたのか。そう思って見ていたが、横にいる人物は小柄なのか、龍兵朗さんに隠れていて俺には良く見えず、暫く観察していたが、龍兵朗さんの普段は見ないような穏やかな表情を見れば、相手はきっと恋人なんだろうと想像は容易かった。

  しかし、肩を抱いて歩き出し、此方に向かって来たときに気付く。

  (お父さんっ!?)

  ……それは、俺の父親だった。

  俺は暫く固まってしまい、しかしそのまま脇の路地裏に身を隠す。

  親父は龍兵朗さんと談笑して笑っており、その姿はどう見ても友人だからという風には見えない。むしろもっと親しげで、深い仲に見えた。それに友人同士がラブホから出てくるなんておかしいだろう。

  俺は心臓がバクバクとして、驚きに頭が混乱した。

  そして気付く。本当に遅かったが、そこで俺の人生の異常さに気付いたのだ。

  家に帰ると、出迎えた親父からは嗅ぎ慣れない石鹸の香りがした。いつも通りの笑顔の裏には、とんでもない所業がある。俺の目は据わっていた。

  親父は俺と同じく小柄で温厚だ。気も弱くて会社では流されるような感じの人だろう。仕事もライターとか小説とか書いてる感じのインドア派で、まぁ、龍兵朗さんが好きそうなタイプではある。龍兵朗さんは本気の恋は人間が良いと言っていた。だとしたら本気で愛されているのか、遊び好きの龍兵朗さんのことだからわからない。俺はいつも出迎えてくれる親父に挨拶を返すが、その日は返さなかった。そう、俺はその日からグレたのである。僕から俺に、お父さんから親父に、口調は荒く、もう誰にもナメられたくはないと決意したのだ。因みに後で親父のスマホを見た時、高画質で親父が縛られている画像が大量に保存されており、完全に龍兵朗さんに堕ちていると確信した。あの息子の親父なのだから当たり前だろう。もう何も信じられなくなった。

  そもそも男同士身体を重ねるのがおかしい。学校でちゃんと、子供の作り方を習った筈なのに、あまりにも当たり前で常習化していたせいで、熊三郎と身体を合わせるのに何の疑念もなかった。学校で言われるがままに熊三郎の性処理道具とされていた自分が急に恥ずかしくなり、そして馬鹿らしくなって後悔した。熊三郎死ねと何度も呟いていた。

  鬱だ…死のう…なんて思っても死ねるわけは無いし、ただ頭をかきむしって発狂したい気分になって、一週間くらい仮病で学校を休んだ。親父が心配してたけど、もう親父なんて他人のような感覚だ。まさか熊三郎の親父と恋人なんて誰が思うだろうか。龍兵朗さんは個人的に好きな人物であるけれど、多感な中学生の時期にそれは無いだろう。縄で縛られた姿も精神的に辛かった。毎日インターホンがなって、親父にそれは熊三郎だと聞かされた。勿論俺は熊三郎に会うような精神状態ではなく、それを拒否する。俺はベッドに籠って鍵を閉め、無言のアピールをし続けた。

  「お、カケル!? 心配してたんだぞ!? 大丈夫だったか? 親父も、お前の親父さんにも心配かけるなよ?」

  「………」

  一週間後、部屋を出ると、親父がとてつもなく笑顔で沢山話しかけてきた。勿論全て無言で、でも親父はただ笑っていた、とんだお人好しだ。

  家の前には珍しく熊三郎が立っていて、既に俺は扉を閉めてこいつの前で鍵を掛け部屋に戻りたいと思った。とりあえず無言で横を通りすぎるが、熊三郎はニコニコと、文体からは想像出来ないが男らしく笑いながら俺の横を歩く。密着して歩くのはこれまでの生活のそれであり、俺はわざと歩くのを速くした。

  でもまず脚の幅が違う。熊三郎はむしろそれくらいが丁度良いようで、鞄を持った手を肩に掛けて、マズルで器用に口笛を吹く始末。今までは合わせてくれていたらしいと理解した。

  しかしそんな気遣いはその時の俺には逆効果である。俺は気付いたらその場から全力で走っていた。

  「お? 久しぶりに学校まで鬼ごっこか? よっしゃ、捕まえちゃる!!」

  しかし底なしの馬鹿である熊三郎にそれは効かない。結局俺は、直ぐ様後ろから抱き締められるように捕まえられてしまい、軽く持ち上げられた。ジタバタと暴れて見るも、熊三郎の屈強な身体に効果はなく、熊三郎はキョロキョロと周りを見渡してからちょっとした路地に入ると、俺を壁に押し付け、そのまま当然の如く、いつもの延長で俺の唇に噛み付いてきた。俺は暫く抵抗するも、熊三郎は俺の弱い場所を責めてきて、力が無くなり、ずり…と手は落ちていく。くち…くちゅ…と音が鳴り響き、逃げようとする舌は熊三郎の舌に絡めとられて、大量の唾液を互いに飲みあった。一度口を外して角度を変えてまた口を吸われる。反対側も同じく責められると、俺はすっかり抵抗出来なくなっていた。

  「ん…ふむ…ジュル…」

  「ん~ふふ…んむ…ぷはぁ…」

  たっぷり5分も行われた深いディープキス。口を離されれば、太い透明な糸が二人の間にいくつも出来る。熊三郎は惚けた俺をそのまま当然のように背中に背負うと、遅刻しそうな勢いであったのに、その見た目から想像出来ない速さで走り、消費した五分の時間を簡単に取り戻した。

  結局俺は、ズルズルと熊三郎に流されていっていたのだった。

  結局高校に入る現在まで、相変わらず熊三郎は天然というか、馬鹿を発動し、俺と身体を合わせる事をやめなかった。

  休み時間は嫌がっているのに、「そういうプレイも燃えるぜぇ」と言ってレイプ的シチュエーションを堪能。体育の時間は、頑なに用具室に入らず、広い体育館の端で座っていたのに、「確かにこっちの方がドキドキは増すな。」とか言って俺を後ろから抱き締め、痴漢を装ってセックス。昼休みには「しようや!」といつも通り誘ってきて、俺が「やだ!」と言うと、「だ…だ…ダンゴムシ。」と何を勘違いしたのかしりとりを開始。そのまま小脇に抱えられて様々な場所にて行為を強要された。放課後は案の定、誰も居ない教室とか熊三郎の家とか。たまにどっかの番長達が現れた時には逃げられる。まぁ、その番長達は想像通り、熊三郎の忠実な奴隷、そして下僕となっているようだが。俺には最早関係無い。

  俺は熊三郎に襲われる度に「変態!!」とか「離せ!!」とか叫ぶのだが、人が来そうな時はわざわざ唇で塞がれ、そうじゃなくても、結局最後には艶やかな声をあげてしまって、悔しくて悔しくて、こんな身体にした熊三郎を憎んだ。

  そして俺はその悪夢から逃れようと、3つ隣の街の男子校に電車登校する事に決めた。いつもよりちょっと早く起きなければならないが、熊三郎と離れられると思うとそんな事些細だ。俺は勉強を開始し、熊三郎に進学先がバレないよう最新の注意を払った……が、家にいる父は送られてくるパンフレットを見てしまうし、三者面談だってある。父が知るという事は龍兵朗さんが知るということであり、そして龍兵朗さんが知るということは……しかし俺はそんな事もあろうかと、学力がちょっと俺より高いくらいの学校を選んだ。万年赤点の熊三郎にはいくら勉強した所で無理である。そう睨んでそこを選んだ。俺も正直頭は良いほうでは無い。良くも悪くも平均的で、大体50前後だ。でも熊三郎は毎回10点以下の点数であり、それに比べたらマシである。そんな熊三郎には絶対無理!!そう思っていた。………俺が馬鹿だった。

  「お前、結構遠い場所受けんだろ?聞いたぞ?」

  「………」

  「俺もお前とそこ受ける事にしたんだ。教師が言うには絶対受かるらしい。」

  「っはぁ!?」

  教師とは、担任の猪頭先生のことだろう。眼鏡を掛けた冴えない男で、だらしない身体が服の上からでも目立つ先生だ。先生は確かに冴えないが、口調はハキハキしてるし嘘は言わない。いったいどういう事なのか、俺が聞かなくても熊三郎はケラケラと話始めた。

  「あの教師ったらよぉ、赤点取る度に親に連絡するとか、補修だとか言いやがるからウザったくなってそのまま犯してやったんだよ。そしたらすっかり俺のチンポの虜になっちまって、三者面談の時も親父と一緒に犯してやったらヒィヒィ泣いてよがってよぉ、俺が受かる方法を教えてもらったら、確かになって感じでな、すっかり納得しちまった。だから、それさえすりゃあ俺も受かれるぜ。おめぇと離れなくても良くなるぞ。」

  絶句した。

  熊三郎は担任の教師までも手中に置いていたのだ。しかも父親さえも共犯になって……通りで毎回赤点でも咎められないわけだ。

  熊三郎はその後ご褒美に気絶するまで犯してやったとかどうでも良いことを呟き、俺は固まって、内心頭を抱えていた。これもそれも親父が無闇に話したりするからである。熊三郎が自信を持って実行出来ると言い切った時は絶対に成功する。親父さんが関わって否定しないなら尚更だ。

  結局、奇跡なんて起こるわけがなく、俺と熊三郎は一緒にその学校に入学する事になった。熊三郎が何をしたのかはわからないけれど、とりあえず全て100点満点と書いていた。死ねばいいのに。せめてクラスを一緒にしないでくれと祈ったが、そこもいつも通り、そして席も、俺の後ろに熊三郎となった。本当に世の中不条理である。

  それが昨日の話。

  そしてここから、俺の悪夢が、また始まるのだ。

  ――――

  「ふ…く…あ…」

  「おいおい…乳首だけでチンポグシャグシャになってんじゃねぇか。気持ちいいか?」

  「あ…やぁ…」

  「声抑えろよ。聞こえたら困んのはおめぇだぞ?」

  「ふぅぅっっっ!!?」

  「お? 乳首だけで雄イキしたのか? おいおい、こりゃお仕置きが必要だなぁ。」

  通学中の電車の中、俺は熊三郎が以前からやりたかったらしい痴漢プレイ的な事をやらされていた。

  熊三郎は既に身長250cmという大きさに加え、丸太のような腕、ドッシリとした重厚な身体、多少突き出た柔らかい腹と完全にヤクザ者の顔付きをしていた。端から見たら学ランを着たオッサンだ。制服も特注らしい。

  対して俺は171cmという極めて平均的身長であり、熊三郎の図体に身体が隠れて他人から見えない状態だった。ギュウギュウ詰めの車内で、熊三郎に密着していて、コイツが何もしないわけない。

  俺はガクガクと膝を揺らして乳首だけでドライオーガズムに達してしまった。悔しいが熊三郎に開発された身体は、熊三郎にとったらイカせるも焦らすもお手の物なのだ。自分で乳首を触ってたって当然イクことなんて出来ない。

  もうすぐ着く目的の駅。

  お仕置きという言葉は惚けた俺の脳に虚しく警戒音を鳴らした。

  「もうちょい時間あるからなぁ。俺の事も満足させてくれや。」

  軽快で妙に口ずさんでしまいそうな音と共に電車の扉が開き、雪崩のように人々が電車から降りた。俺はその人混みの中でさりげなく手を引かれて、そのままトイレの個室へと連れていかれる。

  熊三郎は俺を便器に座らせると、慣れた手つきで社会の窓をジリリと開けて、中からブルンと長大でグロテスクな、赤黒いチンポを目の前に出した。既に半起ちのそれは、皮がズルリと剥け、使い慣れていると一瞬で分かる。ぶあ…と俺の鼻先に熊三郎のフェロモンの香りが沸き立ち、嫌だ嫌だと頭では否定するのに、その臭いをもっと嗅いで、そのチンポに今すぐにでも食らい付きたくなってしまうのだ。

  熊三郎は不敵に口角を上げて、ギラギラとした色欲に溺れた険しい目付きで俺を見下げる。こいつはセックスになると最早人が変わったようだ。

  「おら、俺様のチンポ舐めてぇんだろうが。」

  俺は首を横に振って否定する。しかし目は、顔付きは既に雌の顔になっているだろう。

  「嘘つくんじゃねぇよ。雌見てぇな顔しやがって…へへへ、おら、さっさと舐めねぇとガツガツ尻穴掘ってやんねぇぞ。」

  「んぶっ…!!?」

  熊三郎が俺の顔程もある大きな手で後頭部を押さえた。実際はそんなに力は入っていない、しかしまるで熊三郎に無理矢理やられているかのように俺はチンポに口をつけて、そして程なく舌を這わせ始めた。子供の腕程もあるそれは、俺の口ではくわえる事も出来ない。しかし根元から裏筋に沿って亀頭まで舐めあげ、鈴口をチロチロと舐めて、亀頭や握り拳大の金玉を口に含めば、徐々に熊三郎の息は荒くなり、そして先走りが沢山出始めた。

  「可愛い奴だ。へへ…」

  熊三郎は頭を撫でながらそう呟く。

  俺はただ一心不乱にそのチンポを舐め続けていた。

  と、鼻先からいきなり離されたチンポに、俺は思わず舌を伸ばしてそれを追ってしまう。熊三郎はそんな俺を軽く持ち上げると、今度は自分が便器に座って、ピトリと肛門にチンポをキスさせた。

  「あ…」

  俺が言葉を出す前に、唇をそのマズルで上から覆われる。と同時に、慣らされてもいない腸内にいきなり熊三郎のチンポがズクンッ!!と挿入されると、俺は熊三郎の口の中で叫び、空いた唇に舌が侵入した。S字結腸がゴツ…と中で音を立て、華奢な腹には、内側から熊三郎のチンポの形が押し上げられる。口内では荒々しく熊三郎の舌が俺の舌を絡めとり、大量に唾液を交換したため、お互いの口の端から光が伝った。

  熊三郎がゆっくりとピストンを開始する。ジュプ…ジュク…と卑猥な音が鳴り響くのは、俺の腸が最早慣らさなくても熊三郎のチンポを受け入れているからだ。

  叫び声が艶声に変わると、熊三郎は口を離した。伸ばした舌からはツゥ…と唾液が太い糸を作る。

  「へ、入れる時はガバガバなのに、良く吸い付くケツ穴だぜ。やっぱりおめぇは俺のチンポと相性がいいなぁ。餓鬼ん時から身体合わせてるだけあるぜ。」

  「あっ あっ あっ あっ くま…さぶろ…っ」

  「おら。ここがいんだろうが。ゴリゴリされて馬鹿になっちまうだろ?ん?」

  「あぁっ らめっ… そこゴリゴリだめぇっ 」

  「何言ってやがる。おめぇの身体は駄目だって言ってねぇぞぉ。おら。」

  「んひいいっ!! らめぇっ!! お尻ゴリゴリされてイクぅっ!!?」

  「おうおう、イッちまえイッちまえ。幾らでも俺のチンポでイケよ。」

  「んあああああっ!!?」

  ……そうして俺は、その日熊三郎が射精するまで五回もイカされて、グッタリしながらまた熊三郎におぶられて登校した。駅が学校と近くなかったら遅刻する所である。結局俺は熊三郎に身体を良いように弄ばれる生活を送っているのだ。

  ――――

  「先生。生徒会役員、まだ空いてますか?」

  「お? なんだお前、生徒会に興味があるのか? 丁度一人この学年で余ってたんだ。今年の一年はなかなか見所があるなぁ。普通生徒会なんて面倒臭がる奴等が大抵だが。2日目にして定員の三人が集まるなんてそうそう無いぞ。ほら、これを書いて放課後生徒会に持ってけ。頑張れよ!!」

  俺は担任の体育教師である鬼塚先生に会っていた。鬼塚先生は人間と獣人のハーフらしく、人間であるが、体格は獣人に負けず劣らず麗しい、スポーツ刈りに赤ジャージの男らしい先生だ。

  熊三郎に付きまとわれる為、俺が考えた方法。

  それは、学年毎に定員がある生徒会役員になって、放課後忙しいという名目で、熊三郎から逃げるという事だった。定員がない委員会では熊三郎も後を追ってくる可能性があるのを考慮しての作戦である。我ながらなかなか冴えていると思った。

  鬼塚先生から紙を受け取った俺は、内心不敵な笑みを浮かべて職員室を後にする。ルンルン気分で教室に戻り早速書き始めると、後ろから熊三郎の声が聞こえた。

  「……ん?何書いてんだお前。……生徒会…役員…申請書?」

  「っ…な、何でもないよ。」

  「何だよ。隠さなくたっていいじゃねぇか。なんだお前、生徒会に入んのか?」

  「お前には関係ない!! ほっとけよ!!」

  「じゃあ俺も入るかぁ。」

  「残念ながら一年の生徒会役員はもう俺で最後だ。お前は入れない。」

  「へぇ。そうかい。」

  「………?」

  問答を繰り返していると、チャイムが鳴って休み時間が終了した事を知らせる。

  何故だか熊三郎は、入れないと言っても全く動じず、悠々と後ろの席に戻っていき、俺は何だか嫌な予感を感じ取ったのに、その事について深く熊三郎に追求しなかった。それが間違いだったのだ。

  帰りのHMが終了し、俺が席を立つと、熊三郎は一人鞄も持たずに教室を出ていった。特に興味も無く、生徒会室に行こうとすると、そう言えば鬼塚先生に生徒会室の場所を聞いていなかったのを思い出して、少し迷った。このままこの広い男子校をさ迷うのもおかしな話だし、鬼塚先生にわざわざ聞くのも気が引ける。

  ほんのちょっと迷った結果、俺は男子校にいち早く慣れる事も考慮して、さ迷う事に決めたのだった。

  校内を歩き回る事35分。

  俺は職員室等が存在する廊下に、生徒会室があることに気付いた。何だか意外と見付けやすい場所にあったので、何故自分は気付かなかったのか、ちょっとマヌケだと自分自身を叱咤する。普通に歩けば見付けられそうなものだ、きっと鬼塚先生もそれを知ってて言わなかったのだろう。

  俺はコンコンと扉を叩いてノックする。流石生徒会室だけあって、なかなか防音がしっかりしているようだ、中から物音一つ聞こえない。

  「失礼します。」そう呟きながらドアノブを回す。

  ガチャリと扉を開ければ、そこは………

  「んあ゛ん゛っ!! ん゛ほお゛お゛お゛っっ!! あ゛た゛ま゛お゛か゛し゛ぐな゛る゛う゛ぅっ!!!??」

  「俺を生徒会に入れてくれたら、毎日こうやって犯してやっても良いぞ。ガッハッハ!!」

  「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!! はい゛い゛い゛っ!! ぜひはい゛って゛ぐだざい゛ぃ゛ぃ゛っ!! 俺をもっどお゛がじでぐれ゛ぇぇ゛っ!!!」

  ズパンズパンと鳴り響く肉の音と淫猥な音。防音設備のせいで尚更響く。

  二年半前と同じ光景。

  床には、きっと文武両道で真面目だろう麗しい身体付きの獣人達が倒れており、皆一様にアへ顔で舌をだらしなく垂らす。熊三郎の巨根で貫かれたアナルは、ヒクヒクと痙攣し、中身が見え、白い液体をゴプ…と垂らしている。

  部紹介の場で、空手部の部長を勤めていると言っていた虎は、机に上半身を預け、バックから突かれたのだろう、ドロリとその体格に似合わない小さな包茎チンポから精子を垂らし、机にぶちまけながら痙攣し続けている。

  同じく部紹介で柔道部の主将を勤めていると言った、熊三郎と変わらない大きな身体を持ったサイは、腕を縛られて高い壁のフックに掛けられ、地面に置かれた生徒会に飾られていたであろうデコボコとしたトロフィーを尻に突っ込まれていた。きっと自重で、不安定な態勢に堪えられず落ちたのだろう。ズップリと根元までハマったトロフィーの間からはザーメンが流れ落ち、サイはビクンビクンと魚のように跳ねながら、その大きなチンポを隆起させて項垂れている。

  そして今まさに犯されている、生徒会長の獅子の男。

  此方に向けて尻を高々と上げて、中腰になった熊三郎にガツガツと尻を掘られているその男の開いた股の間には、ピストンと同時にブルンブルン震えるチンポと金玉があり、床には精液と先走りで水溜まりが出来ていた。

  ズップリと奥まで入っているだろう接合部が此方から良く見える。熊三郎が腰を引く度に、ギブッグボッ!!と嫌な水音が響いて、襞がめくれあがっていた。濃厚でむせ変えるような雄の臭いが鼻をつき、顔が真っ赤に燃え上がる。

  「ん?お、カケル。やっと来たなぁ。今生徒会長に許可貰ったからよぉ。これで問題ねぇよな。」

  何を言っているのだろうか。

  場に似つかわしくなく笑う熊三郎を見て、俺は一歩下がる。

  「ンゴオオオっっ!!また゛い゛ぐぅぅぅぅッッッ!!!」

  「おうおう。完全に雌になっちまったなぁ。いったい何発目だぁ?」

  ビクンと獅子の身体が弓なりにしなる。腰をガクガクと突きだし、ビュググググッッッ!!!と吹き出したザーメンが床に打ち付けられ、また一層と雄の臭いが部屋に充満した。

  熊三郎はそれを加虐的な目で見下ろすと、俺が来たことで飽きたのか、すっかり項垂れて痙攣を繰り返す獅子のアナルから逸物をずるりと抜き取ると、側にあった獅子制服で、自分の濡れたチンポを拭いてはバサリとそれを投げ捨てた。カチャカチャとズボンを履くその横で、俺はゆっくりと扉を閉めると、手に持っていた紙を握り潰して走り出す。

  もう本当に支離滅裂で、いったい熊三郎の何が気に入らないのかもわからない。いや、最早わかりたくもない。熊三郎など死んでしまえばいいと、俺は何故か溢れ出る涙に気付かないまま、玄関に向かって走っていた。

  「おい!! カケル!?」

  後ろで馬鹿が俺を呼び止める声と、ドシドシと地面を踏み締める音が聞こえる。そんなものに答えてやるほどお人好しではない。俺は速く速くと思いながら靴を脱ぐと、直ぐ様そこからまた走り去った。

  流石に足の速い熊三郎も、身長故に靴を脱ぐのには手間取る。

  俺はその間に、距離を離そうと全速力だった。

  「お、おい!? なんだぁ糞…っ待てっつうの!!」

  誰が待ってやるものか、電車に乗れば此方のものである。駅まで何とか捕まらないように、そう願って走った。

  が……

  「待てって!!…何だよ。どうしたんだお前。」

  「離せっ!!?」

  こいつは全く息も切らさないで、校門に着く前に俺の腕を捕まえた。あれだけの速さで走っても熊三郎には気を抜いて走る程度の力で、肩で息をする俺が馬鹿らしくなってくる。

  腕を振って拘束から逃れようとするが、それも無理で、熊三郎は訝しげな顔をすると、俺の額に手を当てた。

  「お前真っ赤じゃねぇか。熱あるんじゃねぇの? 大丈夫か?」

  「うるさいうるさいうるさいうるさい!!離せったら!!」

  「あ、風邪移さねぇように気遣ってくれてんのか?へへ、可愛い奴だなお前。」

  「ちがう!ちがう!! 違う!!!」

  いったいどう考えたらこの様子が気遣っているように見えるのか、熊三郎は俺の手を引いて校門の脇にある茂みの奥に入っていくと、俺を石の塀に押さえ付けて無理矢理上を向かせ、その唇を覆った。

  「ふ…ん…んん゛っ!!」

  俺が抵抗したって何のその、熊三郎の分厚い舌は、俺の口を無理矢理開拓して、大蛇のように俺の舌を絡めとる。

  駄目だ。

  こんな事でまた誤魔化されるなんて、こんなんじゃ俺は一生熊三郎の奴隷になってしまう。俺は無理矢理首を振って、キスを振りほどこうとした。すると熊三郎はいきなりで驚いたのか、口を離して俺をとぼけた顔で見る。

  「おいおい、牙が刺さったらあぶねぇだろぉが。」

  「うるさい!!何なんだよもう!!」

  俺は無意識に心のたけを叫んで、閉じた目尻から涙をポロリと垂らした。自分が情けなくて、熊三郎を完全に拒む一言が言えなくて、自分自身が嫌になる。

  熊三郎は後頭部をボリボリと掻くと、何だかバツの悪そうな顔をした。

  「なんでぇ。泣かなくてもいいじゃねぇか。そういう涙はあんまり好きじゃねぇなぁ。」

  まるで子供をあやす見たいに頭をポンポンと叩かれる。俺はそれを両手で振り払うと、今までたまっていた気持ちを叫んだ。放課後で校門前には誰もいない、ここなら声を出せると思ったからだ。

  「何で! 何で俺をほっといてくれないんだよ。お前は何で俺を追っかけてくるんだよ! 別に身体合わせるだけなら他にも沢山相手がいるだろ!? 何で俺と身体合わせるんだよ!!」

  「…何でって…そりゃあ。」

  熊三郎が目を反らして、少し照れたように眉を持ち上げた。チラチラと俺の方をみるその姿は、いつもの熊三郎には見えない。

  「俺達……その…………じゃねぇか…」

  「は?聞こえないよ!!ハッキリ答えろよ!!」

  「お、お前、今日は結構くるじゃねぇか……でもまぁ、俺的にはそっちの方が、気持ち確かめられていいと思うぜ。」

  俺は熊三郎の言ってる事の意味がわからず、顔をしかめた。熊三郎は掻いていた頭をいつの間にかデレデレと撫でるようにして、ニカッとはにかむ。

  そして………

  「ほら、俺達……“恋人”……同士だろ……糞…おめぇ、言わせんなよ。 うおーっ!! 改めて確認すると恥ずかしいじゃねぇかっ!!」

  「………」

  熊三郎がタハー、と頭を大袈裟に掻いてデレデレと顔を赤くした。

  俺はその言葉の意味を理解出来ずに硬直する。恋人同士?改めて確認?いつからそんな事になったんだ?俺はそんなこと知らないし、熊三郎と恋人同士になったなんて今初めて聞いた。俺は唖然として、ただ固まることしか出来なかった。

  「…なんだぁ? 今日は随分積極的だなぁ。よしよし、可愛がってやるからよ、とりあえず家に帰ろうや。」

  熊三郎が幸せそうにニコニコ笑いながら俺の手を取る。俺はそこでハッと意識を戻すと、慌てたように確認した。

  「い、いやいやいや!! い、いつだよ! いつ恋人になったんだよ?!」

  「ん?なんだお前。……おめぇ恋人でもねぇのにキスしたり、抱き締めたりすんのか?」

  「え、や、お、お前は他の奴といっぱいしてるじゃないか!?」

  「あん?ありゃ“セフレ”だ。キスはしねぇし、抱き締めたりもしねぇ、お互い気持ちよけりゃそれでいいだけの相手だろ。」

  「そ、そんな…っ」

  「それに、恋愛感情はねぇ。ただ身体だけだ。」

  「そ…れって……」

  「ん? お前気付かなかったのか? まぁヤってる時にゃ頭沸騰しててあんまり複雑にゃ考えられねぇか。好きでもねぇ奴に可愛いとか言いたくもねぇし、わざわざ指絡めたりもしねぇよ。」

  熊三郎はまるで当然の如くそう言いはなった。確かに俺とするときは、馬鹿の一つ覚え見たいに可愛いと呟くし、手を押さえ付けたり、握ったりした時は指を絡めてくる。キスも沢山するし、家にいる時にはベタベタしてくる。でもそれは熊三郎が関係を持つ奴ら全員にしていると思ったし、それに好きだとか愛してるとか、恋人のような言葉は無かった。ただ一方的に恋人として認識されていたって俺にはわかるはずがない。俺は立ち止まり、熊三郎を見上げながら叫んだ。

  「そんなの……そんなのわかるはず無いだろ!!あんなに沢山の奴と寝てたら、俺もその一人だって思うじゃないか!!ただのセフレだって思うじゃないか!!?俺はただお前の性欲を発散する道具の一つだってそう思うしかないじゃないか!!?」

  目に涙を滲ませて

  俺の苦悩はなんだったのかと熊三郎を責める。

  勝手に恋人にされたって迷惑なんだ。熊三郎が他の奴と寝る度、余計嫌な気分になるのは嫌なんだ。

  「ん? はっは~…おめぇもしや嫉妬してんのか? ガッハッハ!! 可愛いとこあるじゃねぇかよ。」

  「なっ!!ち、違う!!」

  熊三郎が大きく笑う。俺はそれを否定する。

  でも熊三郎はそれを肯定と受け取ったのか、俺の肩を抱いてただ笑っていた。

  認めたくないが、その笑い顔を見て思う。

  俺は嫉妬していたんだ……。

  熊三郎が他の男に手を出すのを見て嫉妬していた。

  あの中学の番長を犯していた時まで、俺はそれまで熊三郎のたった一人の相手だったのに。それが壊れた事実が受け入れられなくて。

  ズルズルと身体を重ねるのは、心の何処かでまた熊三郎が俺だけを見てくれるよう、俺だけと身体を重ねてくれるよう、そう願っていたからで。

  気付かないふりをして

  俺は、俺だけは、他の奴らと違うと。

  熊三郎の虜になっていた自分を否定していたんだ。

  「だったら、もうおめぇ以外抱かねぇよ。」

  「………」

  「それで良いんだろ?」

  熊三郎はそう言って、電車の中で俺を見下ろした。

  俺はそれに答えるわけでもなく、ただ俯いている。

  「じゃあ、やっぱ他の奴も抱く。」

  「っ……!!?」

  「……素直になれっつぅの。」

  俺が顔をあげると、悪戯が成功した子供のように熊三郎は微笑んだ。

  俺は嵌められたと気付いたが、何も言えず、ただ熊三郎の腹を悔しげに叩いていた。

  ――――

  「ふぅ…疲れたぜぇ…」

  ドサリと鞄を下ろして、熊三郎は制服を脱ぎ捨てた。

  ヤクザの家系からか、パンツは褌で、Yシャツを脱げば、すっかりこいつは全裸と変わらない。

  熊三郎は服を脱ぐと直ぐ様俺を抱き締め初めて、その瞬間、プンと熊三郎の臭いが鼻をついた。

  「おら、おめぇも服脱げよ。」

  言いながらも熊三郎は服を脱がしにかかり、俺はあっという間にシャツとトランクスになる。熊三郎は俺を押し倒すと、股の間に顔を埋めて、フガフガと俺の股の臭いを嗅ぎ始めた。熊三郎は俺の股の臭いが好きらしい。家ではいつも最初に股の臭いを嗅いできて、前に一日中嗅いでいたいと呟いていた。

  俺は止めろと一度言った事があるが、熊三郎は一向に止めようとしない。何度も深く息を吐いて臭いを嗅ぐその顔は、何故だか凄く嬉しそうだから俺はもう何も言えなかった。

  「ふはぁ……たまんねぇ…」

  「は、恥ずかしいだろ…」

  「でも嫌じゃねぇんだろ?」

  「………」

  俺の沈黙を肯定に捉えた熊三郎は、小さく笑いながら俺に覆い被さった。俺はこの瞬間、毎回堪らなくドキドキして、顔が熱くなる。ギュッと抱き締められると、熊三郎は俺にも臭いを嗅げと言っているようなもので、むせ変えるような熊三郎の臭いが、俺の脳を蕩けさせていく。

  「俺様の臭い好きだろぉ?」

  「苦し…」

  「嘘つけ、おめぇ俺の臭い嗅いだだけで、もうおっ起ててやがるじゃねぇか。へへ、可愛い奴だ。おら、舌だせ。」

  「んら…」

  「んふ……ちゅく…」

  顔を真っ赤にして首を横に振るけれど、熊三郎は不敵に笑って、直ぐ様それが嘘だと見抜く。確かに俺の下半身はもうギンギンになり、熊三郎の腹に擦れてしまっているのだから仕方ないだろう。

  言われた通り舌を出せば、口を覆われた瞬間に口内が犯されていき、歯の裏や口蓋を舐められて唾液を供給しあう。

  意識すれば、確かに熊三郎は俺の手を握り締め、太い指で一杯一杯になるくらい、俺と指を絡めていた。

  口が離されれば粘り気のある糸が沢山出来上がり、少し暗い室内でキラリと光る。俺は普段絶対しないのに、自分から舌をつき出して、もっともっとと甘えるように声を出していた。

  「へへ…可愛いじゃねぇか。でも駄目だ。今日はその声が聞きてぇ。もっともっと、乱れて辛抱堪んなくなったらしてやるよ。」

  「そんら…」

  言って、熊三郎は褌の紐を解く。

  とたんにブルンと、珍しく完全に勃起していたチンポが、空気に触れてむあ…と雄の臭いを放ち、俺の思考を麻痺させる。熊三郎は意地悪く微笑むと、チンポに力を入れて上下に激しく痙攣させた。

  「俺様のチンポ舐めてぇか?あ?」

  俺が答える代わりに顔を近付けるが、それは叶わず、熊三郎は腰を引いて俺の頭を片手で押さえてしまう。俺はまるで犬のように舌を出して、は、は、と小刻みに息を吐き、何故舐めさせてくれないのかと上目遣いに熊三郎を見た。

  「ちゃんと言う事言わねぇと駄目だ。ケツも使ってやんねぇぜ?」

  俺はプライドと欲の間で思考が震える。舐めたい、これでゴリゴリ中を抉られたい。そう思うと、今はプライドなんて簡単に崩壊してしまいそうになるが、しかし俺は、その感情を理性でなんとか抑えて目を反らした。

  「い、いらない…!もう、お前の思い通りになんかなってやるもんか! 誰がお前と恋人なんか!」

  「あ゛ぁん?」

  熊三郎の片眉が上がる。俺がそれを拒否したのが相当気に入らないらしい。とどめに恋人じゃないと言っているような発言をしたことも、こいつの気に触れたみたいだ。

  「へ、………そうかい。 ……だったら、おめぇが俺の恋人だってことを、とことん知らしめてやろうじゃねぇか。 覚悟は出来てんだろうなぁ?」

  「っ……」

  ズイと俺の顎を持ち上げられ、無理矢理上を向かされると、息が掛かるほど近い距離に、熊三郎の鋭い眼光が俺を射ぬく。

  俺は隠しきれずに、瞳孔が恐怖で縮み上がり、その場から逃げようと、熊三郎に背を向けた。

  「おっと、おめぇが俺を煽ったんだぜ。 逃げられるわきゃねぇだろうが。」

  「…はなっ!??」

  「おめぇが俺に堕ちるまで、徹底的に可愛がってやるよ。嬉しいだろうが。」

  「っやぁ!!」

  しかし逃げられるわけもなく、後ろ手に手首を捕まれれば、熊三郎はゴソゴソとそばにあった箪笥の中から一つの長い荒縄を取りだし、あっという間に俺を縛り上げてしまった。

  腕は勿論、足は膝を折られたままグルグル巻きにされ、鍛えられていない標準体型であっても、胸に多少ある脂肪が盛り上がるよう縛り上げられる。電車で乳首を自分で弄ってもイケないというのは強がりで、実際には開発され過ぎて布に擦れただけで感じてしまう胸の突起は、ニップレス代わりの絆創膏で保護されていた。これが無いとまともに外も歩けないし、これがあっても上から弄られただけで昇天してしまう。

  熊三郎は、縛り上げた俺を股の間に置いて自分の身体に寄り掛からせ、そして厭らしい笑みを浮かべた。極太長大なチンポが背中に擦り付けられ、二人の間で篭った熱と臭いが濃厚さを増して鼻につく。

  伸ばされた図太い指が、まるでカウントダウンを見せ付けるように絆創膏に伸びていて。

  それは、俺が最も嫌だと思う責めの一つをこれから行うと言われているようなものだった。

  「ひ、ひぃぃ…嫌だっ! 乳首嫌…乳首だけは…!?」

  「何言ってやがる。乳首コリコリ触られんのが大好きな癖しやがって。」

  「あ…あ…あぁ…っんああ!!!?」

  俺の懇願も聞いて貰えるわけはなく、熊三郎はゆっくりと、焦らすように、ペリ…ペリ…と絆創膏を剥いだ。突起が見えるか見えないかのタイミングまでくれば、こいつはいきなり一気にベリリと強く絆創膏を剥いで、俺はその快感に舌を出して叫んでいた。

  剥がされた絆創膏に隠されていたのは、くすんだピンク色で滑稽なまでに立ち上がったクリトリスのような乳首。それは熊三郎に日夜開発されてしまい、恥ずかしく肥大化した調教の賜物だった。

  「おうおう、随分淫乱な乳首になったよなぁ。」

  「やぁ…いやぁ…」

  ニヤニヤと厭らしい顔を隠さない熊三郎は、俺を辱しめるようにそう言いながら、自分の指にベットリと唾をつける。乳首は焦らすように触れず、ただ円を描くように突起の周りを回るだけ。

  それだけで身体はビクビクと震え、俺は首を嫌々と駄々をこねる子供のように振るしか出来なかった。

  「触れられてねぇのにおめぇのチンポはもう涎垂らして喜んでるぜ?そんなに震えてよぉ…直に触ったらどうなっちまうんだ?あ?」

  「お願い…乳首だけはぁ…乳首だけはあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッッ!!!」

  ドビュッ!!ドクドクドク……

  俺が言葉を放ち終わる前に、熊三郎はギュイと強く俺の乳首をつねり上げた。

  それによって俺は目を見開いて絶叫し、ビクンッッ!!と強く身体を跳ねさせる。俺のぺニスからは、沸き上がった精子がドロリと裏筋を伝って、金玉の窪みに水溜まりを作った。

  「おいおい、つねられただけでイッちまったなぁ。おら、弾いてやる。気持ちいいだろうが」

  「んぎぃぃぃっ!!いぎぃぃぃッッ!!」

  胸をもみくちゃに揉まれ、下から持ち上げられれば、熊三郎は人差し指の第一間接だけを素早く動かして、チチチチと立ち上がった乳首を弾く。弾かれた乳首はすぐ中央に戻ろうと力がかかり、それを後押しするかのように熊三郎の指は大きく動き続けた。

  俺は歯を食い縛り、目をギュッと閉じて身をよじる。首は伸び、身体はつの字に引っ込んだり、逆に胸をつき出すように動き、ジタバタと畳を身体で叩くが、熊三郎が押さえている胸だけはいくら動いても外されなかった。

  「お~ら…気持ちいいか? また乳首だけでイッちまうんだろうが? イケ。いくらでもイカせてやるよ。」

  「ん゛らめえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ッッッッ!!!」

  コリコリと指の腹で乳首が転がされれば、ビクビクビクビクと危なげに身体が痙攣し、身体がS字になってドライオーガズムに達する。チンポからは相変わらずドロリとザーメンを出し続け、振り回した首のせいで唾が大量に自分の口周りを汚せば、既に精神が崩壊する寸前だった。

  感触を楽しむようにグニグニと圧されれば、グミのような弾力でそれに返す。次の瞬間には、獣人の硬い指の毛先で、ツクツクと刺激され、普通ならそんな刺激はどうとでもないだろうが、開発された乳首には強大な刺激となって、絶頂が止まらなかった。

  「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」

  まさに拷問。

  絶叫は泣き声のそれにかわり、涙が大量に溢れ、熊三郎はそれを楽しそうに、そして鼻息を荒くして興奮した様子で見ていた。

  「へへへ……エロすぎるぜカケル…よしよし、もっともっと気持ちよくしてやるからなぁ。」

  舌舐めずりをしながら、熊三郎はそう呟いて乳首から一旦指を離した。

  俺はぐったりとして、あ゛…、とか、お゛…、と小さく声を出し、その度に痙攣する。半開きになった瞼には力が入らずヒクヒクと震え、見える瞳孔は上を向いて中央に寄り始める。鼻水と汗、涙と涎がテカテカと光り、まるで全身がローションに包まれたかのようになっていた。

  ガサガサとまた音が聞こえる。

  熊三郎は一つ小さな瓶とローションボトルを取り出すと、俺をゆっくりと布団に横たわらせ、その瓶を俺の鼻に持ってきた。片方の鼻を押さえられ、強制的に瓶の中の香りが鼻腔を犯す。ツンとした強い臭い。それを嗅いだ瞬間、ビクビクと脳が揺れ意識が混濁する。熊三郎は満足そうに口角を吊り上げた。

  「さあ…壊れちまおうぜ。へへへ。」

  「あ…あ…ああ…あああああああ゛あ゛あ゛ッッ!!!」

  身体全体にローションを垂らされ、塗り込まれると、ガクガクと腰や胸が揺れ、徐々に小さな声が叫びに肥大していく。

  熊三郎は俺の胸に顔を埋めると、右の乳首を周りの脂肪ごと口に含み、舌先でジュルジュルと愛撫し始めた。片手は勿論左の乳首をコリコリと弄くり回し、もう片手は揺れる小振りな俺のチンポをこねくり回す。

  俺は快楽の限界をとっくに越えて、精神が崩壊していた。

  「ぎい゛ィイいい゛ぃッッ!!! あ゛だま゛お゛がじぐな゛っぢゃう゛ぅう゛ゥ゛ぅヴぅぅッッッッ!!!!!」

  「ジュル…んむ…ジュクジュク…ジュゾゾゾゾ!!!」

  「あ゛あ゛あ゛ぁ――――ッッッッあ゛あ゛っ!!!!」

  野太い舌がコロコロと乳首を左右からもてあそぶ。ジュルジュルとまるで授乳されているかのように強烈に吸い付き、熊三郎の口の中で吸引され立ち上がった乳首を激しく弾かれた。

  左の乳首はひたすらこね回され、血行が良くなったお陰で赤く腫れ上がり、強く引っ張られて伸びる。

  いじり回されたチンポは潮やら精子やらを噴き出して、熊三郎の手をグシャグシャに汚してしまっていた。

  頭が沸騰して、身体の痙攣が強まる。

  今自分が何処にいるのか、何をしているのかもわからなくなって、はしたなく声を上げた。

  そこには先程熊三郎を否定した俺の姿はなく、あるのはただ快楽に堕とされた一匹の雌の姿だけ。

  快楽に狂う、熊三郎の奴隷の姿だけだった。

  ――――

  「さぁて…どうだぁ? 気持ち良かっただろうが? いや…気持ち良すぎて頭がおかしくなるか? 何回イキやがったんだ? ドライで50は越えてるだろ? ん?」

  「はひ……っあ゛…」

  目の前が霞む。熊三郎の満足げな顔が涙で歪んで見えた。

  あれから散々鳴かされ、泣かされ、啼かされ、哭かされ。

  もうドライでなければ空撃ちしか出来ない。

  枯れた金玉の内側が痛くて、既に勃起は出来ない状態だ。

  ……それでもまだ、熊三郎は挿入していない。アナルは一切手をつけられていないのだ。

  このまま終わる筈はなかった。

  「……いい顔じゃねぇか。 色に染まって、もう俺様しか考えられねぇだろ? 俺が好きで、大好きで、愛してるって、そう思うだろうが?」

  熊三郎が状態を倒し、密着しながらそう呟いた。

  ギラギラとギラついた瞳の奥が見えるくらい、顔が近くて、今にも食われてしまいそうな、そんな距離。

  俺はただ…

  ゆっくりと…

  小さく頷いた。

  「……可愛い奴だ。おめぇはよ。」

  唇がその大きな口の中に吸い込まれて、見えなくなってしまう。

  クチュクチュと舌で口内を掻き回されながら、ゆっくりと縛られていた身体が解放されていき、まるで熊三郎の所有物だと言わんばかりに、身体中には縄の痕が赤く残っていた。

  俺は熊三郎の首に手を回して、甘えるようにキスを続けた。

  一度口を離され、俺たちの視線が交差する。熱い吐息が掛かった瞬間、俺たちはまた角度を変えて濃厚なキスをした。

  「んふ…ん゛…じゅる…」

  「ん…む…ふふ…ぷは……はぁ…しっかり捕まっとけや。…激しくすんぞぉ…」

  熊三郎がニヤリと笑った。

  大きなチンポが襞に埋没していく。

  そこは喜んでいた。

  やっと受け入れることが出来るチンポを待ち望んで、震えていた。

  ズグンッッ!!!

  「あ゛ひいい゛っ!!」

  一気に抉られたチンポの形を感じて、俺は口角を吊り上げ思わず叫ぶ。

  S字結腸まで難なく貫いたチンポを、もう離さないとばかりに無意識に締め付けた。

  「ぐうう…へっ…締め付けやがる…ぅ…願い通り、ゴリゴリ抉ってやらぁっ!!!」

  「あひぃぃっ!!いき゛ぃぃっ!! チンポぉっ チンポぉぉっ!!!」

  ゴリゴリと前立腺を抉るチンポ。型を取った粘土のように熊三郎のチンポだけを受け入れるそこは、まさに俺と熊三郎でなければ味わえない快楽を生む。俺の背中を支える熊三郎は、腰を艶かしく、激しく動かして中を抉る。

  後ろから見れば、接合部がありありと見え、泡立った腸液が白い筋をつくっていた。

  同時に熊三郎の身体に擦れ、前立腺を圧迫された事で勃起した俺のチンポや乳首も刺激される。

  熊三郎の荒い息遣いが耳元で聞こえたかと思えば、次の瞬間には耳の中に舌が侵入し始め、俺の身体はスパークしていた。

  「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッッ!!!!!」

  「おらぁ!! ここがっ 良いんっ…だろうがっ!!」

  「ぞごぉ゛ぉ゛っ!! ぞごぎもぢぃのお゛ぉお゛っ!!!!」

  熊三郎は俺の身体を熟知している。

  何故ならこいつが開発した身体なんだから。

  的確に俺の弱い場所を突き上げ、俺はたまらずまた絶頂する。

  なりやまない快楽の渦に、身体が悲鳴を上げた。

  「イクぞぉっ!!! しっかり俺の子を孕めやぁっ!!! オルアアアアア!!!!!!!!ッッッッ!!!!」

  「っあ゛―――イ゛ッ――ぐ――――ッッッッ!!!!!????????」

  ドクンッ

  目の前が白く染まって、視界が光り続ける。

  ドゥルルルル…ビュググ…

  そう音を立てて、熊三郎も散々溜めていた濃厚なザーメンを俺の中に吐き出した。

  ギュッと抱き締められ「お゛っ…お゛…」と声を上げる度に震える腰の痙攣と共に、熊三郎は大量のザーメンを叩き付ける。

  俺はグッタリとして、顎をしゃくりあげ、舌をはしたなく出して、虚ろな目で痙攣し続けた。

  「………ぐ…ふぅ……はぁ…」

  熊三郎の身体から一気に力が抜け、俺も布団に力なく寝そべった。

  熊三郎はザーメンを吐き出した満足感と心地のよい倦怠感に息を吐き、俺の顎を取ってまたキスをした。

  いつの間にか俺の右手と熊三郎の右手は、強く指が絡められており、俺はそのまどろみの中、ゆっくりと気を失う。

  はずだった。

  「おいおい、気絶すんのは早ぇぜぇ。まだまだ俺はしたりねぇんだ。気張れや。」

  「へ…?ひっ!!!」

  この性欲魔神に限って、一回精子を吐き出しただけで満足する筈はなかった。

  熊三郎は、ラッシュの入った瓶を俺に嗅がせると、次は自分でも猛烈に吸い込み始める。刺激臭に頭がまた覚醒して、熊三郎も恍惚と狂喜の入り交じった表情でニヤリと笑った。

  「さぁ、ガンガン行くぞおらぁっ!!!」

  「ひぎぃぃぃぃッッッッ!!!!」

  そうして俺はまた、終わらないセックスへと身を投じた。

  目隠しをされて散々色々な体位で中出しされたり、張り型でグポグポと犯されたり、逆に奉仕させられてしゃぶったり騎乗位で自ら腰をふったり……

  結局熊三郎はその日離してくれる事はなく、俺は平日だと言うのに熊三郎の家に泊まる事となってしまった。

  本当に散々、こんな奴、死ねばいいのに。

  なんて…

  結局自分の気持ちに気付き、熊三郎の俺に対する気持ちも一応はわかった。

  それだけで、俺はいいやと思うのだ。

  終わり

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